PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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震える指

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

辺り一面がオレンジ色に染まる

大きな夕陽をボーッと外で眺めている舞白

石畳の地面に膝を抱えて座っていた

 

すると1人のガタイのいい大男が舞白に近づき声をかける

その男は今日の戦闘で左腕をドローンに吹き飛ばされていた

まだフラフラとしていたがどうしても舞白に礼を言いたいと探し回っていたのだった

 

 

「「マシロ、今日は本当に…ありがとう

命があるのはあんたのおかげだ」」

 

舞白は慌てて立ち上がり相手の身体を気遣う

 

「ロイ!そんなこと…それに安静にしていないと…」

 

「「…いいや、いても立ってもいられなくて」」

 

ドローンに追いかけ回され腕を吹き飛ばされ

壁に追い込まれていたロイという男

 

それに気づいた舞白は本部隊へと向かう車から一旦飛び降り

身を呈して、そのドローンを引き付け破壊したのだった

 

「…陽動となって危険な場所に立ち向かってくれていたのはあなたでしょう?それを援護するのが私の役目でもあるし…

むしろお礼を言うのは私の方、ありがとう」

 

舞白は深々と頭を下げ困ったような笑みを浮かべる

ロイはいつもの謙虚なその行動に感銘を受けると片手だけで合掌する仕草をし頭を下げるのであった

 

 

その一通りの出来事を少し離れていたところから見ていたのは宜野座と常守だった

 

 

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ロイが立ち去ったあと、2人は舞白に歩み寄る

 

「舞白さん?部屋にいなかったから…

もう体調は大丈夫なの?」

 

「常守さん、ノブ兄、ご心配おかけしました

いつもの事なので大丈夫です、それにピンピンしてますから!」

 

右腕をグッと2人の前に翳しニコニコと笑みを浮かべる舞白

その様子に常守たちも安堵していた

 

「今日、私たちここに泊まらせてもらうことになったの

私は舞白さんの部屋にお邪魔させてもらうことになったからよろしくね」

 

「まだ居てくれるんですね、おふたりとも…

嬉しいです」

 

久しぶりの再会にまだまだ2人と長く居れると思うと嬉しくてたまらなかった

 

「…それと舞白、謝りたいことが

…テロ事件の幇助…あれば俺たちの勘違いだった、

疑って悪かった」

 

「ごめんなさい」

 

2人は舞白に頭を下げる

それを必死に止めようと舞白は慌てふためく

 

「そんな!頭上げてください!

…こんな事になってるんだし疑われても仕方ないし…」

 

「お前に銃口を向けたこと、後悔してる…悪かった」

 

宜野座は哀しそうに、申し訳なさそうに

どこか苦しげな表情をしていた

 

「…そんなのお互いさまだよ

私もノブ兄のこと投げ飛ばしたりして…」

 

顔の前でブンブンと手を振る舞白

そして何となく宜野座と舞白を気遣う常守は

"狡噛さんに用事があるのを思い出したので戻ります"と言えばその場から立ち去るのだった

 

急に2人っきりになりなんとなく沈黙してしまう

夕日に照らされる2人は遠くを眺めていた

 

「ちょっと話さないか?」

 

その沈黙を先に破ったのは宜野座だった

 

 

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寺院の周りを2人で歩く

そして舞白を見る度にキャンプの人々は手を合わせ頭を下げる

 

「すっかりお前も導く者、か

慕われる理由がなんとなく分かったよ」

 

「私は大したことしてないよ

お兄ちゃんが凄いだけ、私は自分の事で精一杯」

 

なんとなく人が多いところを避けようと

近くの草原へと歩く方向を変える

黄金色の稲穂が風に煽られ、稲穂の擦れる音が耳に入る

 

 

「……私のこと、怖い?」

 

舞白はピタッと動きを止めるとコソッと呟く

その言葉に若干の動揺を見せるのは宜野座だった

 

「銃に爆弾、

…この手で人を殺める私、

ねぇ、ノブ兄にとって私は恐怖の対象になってしまったの?」

 

「…お前……あの時」

 

タイムリーな発言にあの時起きていたと気づいた宜野座

視線は目の前の草原に向けられたまま舞白は無表情で淡々と喋っていた

 

 

「喉元に刃を突き刺す感触、トリガーを引く時の指の感触、手榴弾のピンを引き抜くときの感触

…髪の毛が返り血で染まると漂う殺しの臭い」

 

「やめろ、…舞白」

 

「私ね、ある時、

自分が躊躇したせいで仲間を見殺しにしたことがあるの

…あの時、私が躊躇しなければ味方は死ななかった

その時の私の甘さが招いた悲劇だった」

 

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スナイパーライフルで相手を捉えドローンを破壊していく

 

 

『舞白、12時の方向から憲兵隊の奴らが複数人向かってる

上から援護してくれ』

 

「…了解」

 

『頼んだぞ』

 

生身の人間を相手にする時はドローンとは違う気持ちが沸きあがる

相手は生きている人間、刺せば血が出る、もちろん頭を1発狙えばその人の命はそこで絶たれる

 

やらなければ、やられてしまう

 

「…ふー……」

 

しっかりと銃を握りしめスコープから対象を覗き込む

そしてトリガーを引けば倒れていく憲兵隊の人々

 

「…あと…5人……」

 

倒れる仲間に駆け寄る隊員の姿

この人達にも勿論仲間がいる

…家族や恋人だって…

 

微かにトリガーを引く人差し指が震える

 

 

そして、舞白は幻覚を見る

あの人が現れた

 

銃を握る両手に添えるように

上からあの人の白く大きな手が添えられる

 

その時だけ時が止まったような間隔だった

 

 

 

 

槙島聖護、

男は舞白の耳元で囁く

 

 

 

 

 

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