PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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2人の狼

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

同時刻 東南アジア連合国 SEAUn

首都シャンバラフロートより北東に30km地点。

 

ゲリラ達が身を置くベースキャンプへ向けて闊歩する、

憲兵団率いる大量の戦車やドローン達。

 

 

「…セム、合図を」

 

少女の手には、大型のスナイパーライフル。

戦車の列の数百m先の古民家の小窓から顔を出す。

 

『もう少し、あと少し待つんだ』

 

先頭の戦車の操縦者の頭上に狙いを定める。

彼女の他の仲間たちも四方八方に散り、バズーカー砲や

ライフルを構えていた。

 

 

 

『焦るな、下手したら

お前の逃げ道の援護が出来なくなる』

 

「…分かってるって…お兄ちゃん」

 

白髪の少女は迫り来る敵の影に緊張しながらも、

ふぅーと深呼吸をする。

 

ドローンには日本の厚生省のマーク。

何度も見た事のあるマークなのに、何故か緊張してしまう。

 

戦車が近づいてくる音、振動

集中力を切らさずただ一点を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今だ、マシロ』

 

男の指示が降りると人差し指のトリガーを引く。

対象を見事撃ち殺すと、すぐにその場から立ち去る。

 

 

「2台、ドローンが近づいてきてる!援護して!」

 

少女の場所を特定した2台の歩行型ドローンが追いかける、

あまりにも早いスピードに、さすがに逃げ切ることは厳しい。

 

 

『そのまま待機してる車まで走れ、

ドローンは俺が引きつける』

 

『待て!狡噛!1人は危険だ!』

 

 

狡噛は周りの他の仲間に指示を振ると

セムの制止を振り切り、現場へと走り出す。

 

 

「大丈夫だ、2人なら」

 

無線機をONにしたまま、ライフル銃片手に

ドローンを追う。

 

奇襲成功したのか、車列の一部の戦車やドローンが撤退していく

それを背に猛スピードで走り続ける。

 

 

「…っ…!」

 

追いつかれた舞白は小銃を構え

ドローンの弱点を狙い撃つ。

素早く身を交し、ドローンからの発砲から逃れ、続けて対峙する。

 

「1台無効化!

…あとは……って…ヤバい!!」

 

1台のドローンに乗りかかり、なんとか破壊したものの

もう1台のドローンは舞白に照準を当て、今にでも発砲する寸前。

 

その瞬間、そのドローンの右手側から人影が現れ

吹き飛ぶドローン。

 

「舞白!車だ!」

 

「了解!」

 

すばやくその場から離れる舞白は

停めてあった車にエンジンをかける。

 

 

 

 

「往生際の悪い奴はきらわれるぜ?」

 

執拗に襲いかかるドローンにライフルを向け、発砲。

上手く弱点に当たったドローンは、その場で電力を失い倒れ込む。

 

『狡噛!増援のドローンが向かってる、すぐにそこから立ち去れ!』

 

「分かった、セム

そっちは任せた」

 

通信を切ると狡噛は舞白の待つ車へと乗り込む。

そして急発進し、なんとかその場から逃れることに成功した。

 

 

「ドローンは引きつけると言っただろ、なぜ逃げなかった?」

 

「そもそも追いつかれちゃったから無理だったの!」

 

荒々しい運転に体を揺らす2人

ほかの仲間たちが逃げていく車列を見て

喜んでいる声が無線越しから聞こえてくる。

 

『マシロ、よくやった

1発で指揮官の頭を狙うとは…』

 

「射撃、成長したでしょ、セム」

 

「…おっかないな、お前」

 

本来であればもっと激戦になる予定だったが、

指揮官の車両を、すぐ抑えたことによって撤退も早く、

死人も出なかった。

 

「おっかなくさせたのはお兄ちゃんでしょ」

 

「そうだったな」

 

タバコを取り出し一服する狡噛。

それを横目に運転を続ける舞白。

 

 

「…奴ら、ベースキャンプの位置

おそらく特定しにきてる」

 

ここ最近の憲兵団の動きを見る限り、

自分達の拠点が、おそらくバレていると考えていた。

 

「今日は航空機はなかったものの、援護のドローンの台数は3日前の倍だ、明らかにおかしい」

 

「その割に、すぐ逃げていったけどね」

 

「…恐らく、俺たちの動きを伺ってる」

 

1本のタバコを吸い終われば、更に1本取り出し火をつける

なにか考え込む兄を観ては舞白も顣める

 

「……ハン議長は何を考えてるんだか

独裁者のサイコパスって、一体、何色なんだろうね」

 

「…舞白?」

 

目的地付近に近づき、車を停めると外に出る

狡噛もタバコをくわえたまま、追うように外へと。

 

人を殺めた感覚は何度経験しても慣れない

微かに舞白の手が震えていた

 

「私はそれでも白いのかな、

…ね?お兄ちゃん」

 

結い上げている白い髪がふわっと靡く

甲状腺の異常なのか、ストレスなのかは不明だが

あれから舞白の髪の毛は白い髪の毛しか生えてこなかった。

 

槙島と姿がたまに被ると感じる狡噛

奴に更に似てきた、と微かに考えていた。

 

「お前はお前のままだろ、そんな事聞くんじゃない」

 

ポンポンと頭を軽く叩けば

目の前に広がる紛争地帯を2人は見下ろす。

 

 

「成しうる者が成すべきを成す」

 

「…正しいと思うことを、俺たちはただ成せばいい」

 

 

狡噛慎也、舞白は

日々の出来事に翻弄されながら、問い続けながら立ち向かっていた。

 

 

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