PSYCHO-PASS white referee 作:鈴夢
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所沢矯正保護センター
奥へと続く犯罪係数300以上の重篤患者が隔離されている部屋へと進む
厳重な警備をくぐり抜けていくと鉄格子の扉が開く
有事の際には通風口から毒ガスが出る仕組みの区域へ
その奥にいた人物は雑賀譲二
臨床心理学が専門の元大学教授
また、狡噛と親睦のある人物でもあった
常守はシーアンへ発つ前夜、彼に助言を貰うべく訪れていた
「狡噛慎也が犯罪を幇助する可能性かね?」
「そうです、自ら戦闘に立つのではなく計画的犯罪のために人員を組織し、指導する
そういう事があの人に可能だと思いますか?」
「…例えば、槙島聖護のように、かな?」
「はい」
室内に香ばしい珈琲の香りが漂う
落ち着いた空間に、落ち着いた口調の彼に
常守は懐かしさを感じていた
「有り得ない、と否定したいところだが
それがわたし個人の心情に流された答えであることは否めない」
コポコポとカップに注ぐ音が響く
「今の狡噛の行動は私の予測の範疇にない」
「…でも」
「自らの魂を社会の中の役割という言い方にはめ込んで形づくる、それが職務に準ずる生き方だ」
常守の前にカップを置くと
雑賀も向かい合わせに腰を下ろす
「以前は狡噛もそういう人生を歩んでいた
…だが、槙島という鋳型の外れた標的を追い求める内に彼もまた職務というやたから逸脱してしまった」
今の雑賀にはもはや狡噛の行動は読めない
そして妹も同じくだった
「妹も一緒だと言ったな?だが妹こそもっと範疇にない
…あの娘には何度か会ったことがあるが狡噛とは違うタイプだ」
「…というと?」
コーヒーを口に含み一息つくと
雑賀は昔、狡噛が妹と何度か埼玉の家に訪れた事を思い出す
「いくら兄妹、血が繋がっていても人間の本質が違う
姿形は似てようと、中身は全く同じじゃないからな
…臨床心理の講義で様々な生徒と関わってはいたが
妹の方はまるで"読めない、分からない"それに尽きる」
「雑賀先生でもそんな事があるんですね」
「稀だがね、どうも仕草や表情一つひとつを観察しても
あの娘だけは読めなかった」
常守はコーヒーカップに口をつける
彼女がシビュラに引き入れられる理由もそこにあるのだろうか
免罪体質、雑賀でも理解できない人物
「まあ、狡噛の妹というのは変わらない
あの2人が大きな過ちを犯すような事はしないと、私は信じているよ」
「……そうですね」
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「…何で発つ前日に…」
「まあそう言わず、たまには親子水入らず呑んでもいいだろ?」
珍しく征陸に呼び出され部屋に行ったものの
机に置かれていたのは年代物のウイスキーにグラスが2つ
槙島の事件から数年経ち、親子で一係で執行官
今までは監視官、執行官という関係性からか
大きな壁が立ちはだかっていたが
様々な事件を共に乗り越えていくうちに、だんだんとその壁は薄くなっていた
ウイスキーが注がれたグラスを受け取ると
宜野座は無言で口に運ぶ
その様子を征陸は嬉しそうに見ていた
「執行官の国外調査…、局長もよく許可を出したこった」
「本来だったら監視官だけか、
そもそも国外調査は許可を出さない」
「…さすがにあの2人が関わってると分かれば
局長も悩んでる暇はない、か」
2人も異例すぎる指示に異常さを感じていた
「伸元、覚えてるか?
あの事件の時、舞白ちゃんの身柄は本来であれば厚生省の機密機関だった」
「覚えてるさ
…舞白を取り逃した、いいや逃がしたのは俺でもある
本来であれば簡単にあのとき保護することは容易だった」
必死に見逃してくれと懇願した舞白を今でも忘れはしない
言えない何かを抱えている、そんな気がしていた
「もし、舞白ちゃんに遭遇した時お前はどうするつもりだ、伸元」
グラスをコトンとテーブルに戻すと
征陸は向かいに座る宜野座に問いかける
「……正直、まだ迷ってる
連れ帰るか、見逃すか」
そんな自分が国外調査に行っていいものかと悩んでいたが
指名したのは常守だった
常守はその気持ちを誰よりもわかっているはずだった
なのに宜野座を推薦したのには訳があるはずだと考える
「まあ、あの2人が易々と捕まるはずもないだろうな
コウ…あいつにも訳があるはずだ
妹を巻き込んでテロリストと共謀なんてするはずが無いさ」
"あぁ"と弱々しく口にした宜野座
やけにその夜は酒が進んでいた
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