PSYCHO-PASS white referee 作:鈴夢
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たまに槙島の夢を見る
テーブルを間に、向かいに座る槙島
内容はいつも忘れてしまうが、何かを話している夢
弄ぶような笑みを向け、試すように何かをいつも問いかけられる
なにか答えようとするのにいつも…
「!?…っは…、はぁ…はぁ…」
ぐっしょりと汗をかき、心拍が異常に速い
頻度は減ったもののあの時に埋め込まれた起爆物のせいで
酷い頭痛を起こし、稀に飛び起きていた
拠点としているベースキャンプの一角
寺院のような美しい建物の中の一部屋に舞白は住んでいた
そして隣には狡噛の部屋がある
「……痛……」
左の耳の下のしこりに触れ、ドクドクと脈打つのが分かる
その度にあの時の光景を思い出すのだった
ゆっくりと起きがり
傍らのテーブルのコップを手に取れば
温い水を口に含む
今日の人を殺めた感覚がどうも抜けず
トリガーを引いた人差し指がやけに震えていた
「…何度も経験したことじゃない…今更…」
この4年間、紛争地を兄と巡り
その度に難民の救助や様々な危険な場面に遭遇してきた
安息の地を求めていたがシビュラのない世界に
そんな場所は全くと言ってなかった
どこも戦場、その度に鍛えられた肉体
しかし、心はさほど鍛えられなかった
((ちょっと外の空気でも吸おうかな…))
自室を出て下の階へと階段を降りていく
傭兵達や老人から子供まで
たくさんの人々が身を寄せていた
そしてその人々とすれ違う度に
皆手を合わせて頭を下げてくる
どうやら狡噛兄妹は神のように崇められているのだろう
しかし本人たちはそんなつもりも無く、
ただこの国のために、人々のために動いているだけだった
そして寺院外に出ると1人の男に遭遇する
名前はセム、ここのリーダーだった
「眠れないのか?マシロ」
優しい表情を浮かべると背中をトントンと叩く
傭兵のリーダーなんて恐ろしくおっかない人、なんて思っていたが
セムは誰よりも勇敢で仲間思い、身を呈して皆を守る、そんなリーダーだった
「うん、ちょっと変な夢見ちゃって、目が覚めちゃった」
どことなく元気の無い舞白を心配し
セムは目の前に広がる広大な緑地へ舞白を誘う
「白銀の女神がそんな顔をしていると
皆が心配する」
「その呼び方やめてよ、私はそんなんじゃない」
白い髪をしているからか良い意味でも悪い意味でも目立ってしまう
神が与えた白銀の髪、女神のように優しく強く
鷹揚で泰然、屈強な相手にも屈しない
この国の人達は神を信仰する、その分
舞白も同じような扱いを受けていた
暫く歩きながら談笑し
広い草原にたどり着くと立ち止まる
「…綺麗だな、星…」
不意に空を見上げると
一面に広がる綺麗な星空
東京では見ることの出来ない、本物の星空だった
「この国の皆が、穏やかに
星空を眺めて家族たちと談笑し合える
そんな日々を取り戻したい」
舞白はセムに視線を戻し穏やかに微笑む
そしてその願いは自分自身も強く願っていた
「君と狡噛の力があれば成し遂げられる、きっと」
ふふふっとお互い笑顔で見合えば
背後から人影が現れる
「なんだ、誰かと思ったら
セムと舞白か」
銃を片手にタバコを吸いながら現れたのは
狡噛だった
今夜の警備は狡噛ではないはずなのに
2人は不思議そうに視線を移す
「狡噛、今夜は休めと…」
セムは狡噛に近寄ると肩に触れる
しかし狡噛は小さく笑みを浮かべ首を振る
「なかなか眠れなくてな
いい気晴らしなんだよ」
「…ムリをするな、狡噛」
「大丈夫さ」
セムといつも通りの会話をすると
鋭い目付きで舞白を見る
「…舞白、何度も何度も言ってるはずだが…」
舞白の身体を上から下まで見ると
察する舞白
へへへっと誤魔化すように笑うとセムの後ろに隠れる
狡噛の大きな半袖のTシャツに
適当な短パン姿、まるで短パンを履いていないように見える丈の長さのTシャツで相変わらず日本にいた時と同じような格好で
フラフラと危険な外を歩いていたため狡噛は怒り気味で食いかかる
「だって、寝巻きだし
楽な服装なんだもん」
「ここは日本じゃないんだぞ舞白
誰かに襲われたらどうする?」
「私を襲うなんて無理無理
昔とはもう違うんだから」
「…お前な……」
セムはそんな2人の板挟みになると
可笑しそうに笑い出す
「君たちは間違いなく兄妹だな」
「セム…そういう問題じゃ…」
「私もう22歳だよ?お兄ちゃん
日本じゃシスコンって言われるよ」
「……舞白…」
本気で怒りかけそうな兄を横目に走り出す舞白
「おやすみなさーい!セム!お兄ちゃん!」
「おい!逃げるな!」
追いかけようとする狡噛の腕を掴むセム
はぁー、と盛大なため息を吐く狡噛
「大丈夫だ狡噛、彼女は強い」
「……違うんだよセム…」
宥めるように肩を叩くセムに対して
そうじゃないんだよな、と表情を向けるも
自分のシスコンさに呆れていた
「あいつは、いくつだろうが俺の妹だ
強さに限らず、可愛いんだよ、セム」
狡噛の本音にセムは穏やかに微笑むと
2人は星空を見上げた
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