PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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不穏分子

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「厚生省さん!今日はよろしくお願いします

生きた人間を乗せるなんて久しぶりで嬉しいよ」

 

輸送機のスタッフが嬉しそうに2人に頭を下げる

 

 

「「こちらこそ、よろしくお願いします」」

 

2人もそれに応じるように頭を下げる

 

 

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座席の前後にお互い座れば輸送機は離陸

厚生省の護衛機もつけば厳重な体制だった

 

 

「しかし、まさかドミネーターが運用されていないなんて初耳だ

一体どうやって潜在犯たちの管理をしているのか…」

 

宜野座は渡された資料を手に取ると

シャンバラ地区のシビュラの運用方法に疑問を抱く

 

「現時点でシーアンに配給されているのはサイマティックスキャンの為の回答設備と計測したデータのトラフィックのみ

宜野座さんの言う通りドミネーターの運用は禁止されていて、治安維持は依然として国家憲兵隊に委ねられているわ」

 

「…よく得体の知れないシステムを

ハン議長は受け入れたな」

 

「それほど切実に治安の維持を優先したかったのでしょうね」

 

常守は小さくなっていく東京を見下ろし

局長の言葉を思い出す

 

"外の世界ではどれほど平和というものが希少な価値を持つのか、その目で確かめて来るといい

改めて君も、シビュラの偉大さを痛感することになる"

 

常守は拳をギュッと握りしめる

 

 

「常守、ひとつ聞いていいか」

 

「どうかしましたか?」

 

前の座席に座る宜野座が後ろに座る常守に視線を向ける

 

 

「……もし、狡噛も舞白も拘束した場合

2人は日本に強制送還、でいいんだな?」

 

常守は狡噛はともかく、舞白に関しては悩みに悩んでいた

その回答はシビュラも確定的な解答を出してこなかったからだ

 

 

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「あなたに確認したいことがあるの、

狡噛舞白についてよ」

 

局長、シビュラは不敵にな笑みを浮かべる

 

「連れ帰ったとして、身柄はどうなるのか

確認しておきたいの

…まさか、まだシビュラの一員に、なんて考えてないでしょうね?」

 

「それは彼女自身に問おう

とにかく、君の任務は2人を逮捕し

日本に連れ戻すことだ

…かかっているテロ容疑に関しては

いくらでも日本で聞き出せばいい」

 

 

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常守はしばらく間を置き口を開く

 

 

「…2人とも目的は逮捕ですから

見つけたら連れ帰ります」

 

「……そうか、了解した」

 

宜野座は視線を戻す

その様子を見た常守は俄に心配していた

 

誰よりも、舞白を案じているのは宜野座だった

でも、だからこそ

今回の国外調査に選んだのは常守の考えでもあった

 

「……シーアンまでまだ時間がかかります

仮眠をとって万全に備えましょう、宜野座さん」

 

「あぁ、そうだな」

 

宜野座は書類を隣りの座席に置くと

ゆっくりと目を閉じる

 

常守もこの先の調査の為にと、ゆっくりと目を閉じた

 

 

 

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・・・・・・

 

 

 

そして数時間後、シーアン国際空港着陸のアナウンスが入ると2人は目覚め、着陸すれば憲兵団に出迎えられる

 

 

 

 

 

「ようこそ

常守朱監視官、宜野座伸元執行官

我々はあなた達とシビュラシステムを歓迎します」

 

 

出迎えてくれたのはシーアン憲兵隊大佐のニコラス・ウォン

美しい顔立ちの男性で

長い黒髪を後ろに束ね、佇まいや所作にとても品を感じる人物だった

 

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

2人は順に握手を交わすと

軍の用意した軍事用の護送車へと案内される

 

 

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轟々とあちらこちらから登る煙、

スラム街に車両に群がる人々

 

日本ではありえない光景に2人はただ外を見つめるしか無かった

 

 

「酷い有様に驚いたでしょう?

今はどこの国もこんなもんです

……日本以外は」

 

ニコラスは外の群衆に目を向けながら口を開く

そして常守も彼に問いかける

 

「そんなに危ないんですか?」

 

「これでもマシになった方ですよ

主だった軍閥は既に鎮圧されています

内戦は収束に向かっている」

 

その言葉に宜野座も反応し初めて口を開く

 

「……その言い方だとまだ完全に終わったわけじゃない」

 

「そういう事です、依然として現体制に反発する不穏分子が

残っています」

 

ニコラスは険しい顔つきに変わり外を眺める

その様子に2人も目を合わせ、何か感じているようだった

 

その不穏分子があの2人が率いるゲリラの一部のことなんだろうと

 

「その不穏分子とやら、ゲリラ達はどれ程の規模なんですか?」

 

宜野座が口を開くと

ニコラスは目線を外から離す

 

「様々な組織がいるのは把握してます

……しかし、その中でも厄介なゲリラ隊が居ましてね

規模も1番大きい、今は奴らの拠点探しに奮闘していますよ」

 

「……なるほど……」

 

恐らくそのゲリラ隊に2人はいるだろうと常守も宜野座も考えていた

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

護送車から見える景色がだんだんと変わってくる

東京の街並みと同じ様な、近未来的なビルなどが目に入る

 

「この先のシャンバラ特区では実験的にシビュラシステムが運用されています、色相と犯罪係数が正常と認定された者だけが入ることを許可されます」

 

護送車は自治区入りを志願する人々に取り囲まれる

内紛に疲弊する国民にとって、平和なシャンバラフロートは楽園そのもの

 

そしてその瞬間、車両を取り囲んでいた複数人が銃撃により地面へと倒れていく

 

「民間人を銃撃!?」

 

食いつく宜野座に常守は制止する

ニコラスは薄く笑みを浮かべると外の死体を見下ろす

 

「気にしないでください、よくある事ですよ」

 

「……宜野座さん……」

 

冷徹な男の笑みに宜野座は怒りを覚えるも

常守に制止され落ち着きを取り戻す

 

こんな事を平然と行う者が軍のトップ

考えられない事だった

 

 

 

 

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