PSYCHO-PASS white referee 作:鈴夢
厳重な警備をくぐり抜けると
シャンバラフロートへついに入ることに
外とは打って変わって整備された街並み
見覚えのある景色に2人は心做しか安堵する
そして常守はあることに気づく
「あの首輪の人達は?」
外のバス停に並ぶ人々が首輪のようなものを装着していた
しかし、全員ではなく別の列には何も装着していない人も見受けられる
「気づかれましたか?彼らは潜在犯ですよ
あの装置で常時サイコパスを監視しながら行動の自由を与えています
色相が曇れば直ちに犯罪係数の測定、ポイントに応じて麻酔、あるいは致死毒が注入される仕組みです」
宜野座はそっと首に触れ
自分にあの首輪が装着されると思えばゾッとしていた
「あーして、一般市民と生活を共有させるのはエリアストレスの観点から望ましくないのですが、まだ日本のように十分な規模の隔離施設や矯正施設の用意ができないための暫定的措置です」
よく見てみると護送車を運転している軍人にもおなじ首輪が装着されていた
「……軍人もいるんだな」
「彼らは言うなればあなたと同じ執行官ですよ
士官階級は皆ある程度のクリーン色相を保っています
監視官の役目も果たすためにね」
「嫌な役回りだな」
宜野座の呟きにニコラスは一瞬睨みつけるも
咳払いをして話を転換する
「ところで、お2人にはお願いがあります」
「はい?なんでしょうか」
「滞在中、もしシャンバラ特区から外に出たり重要施設を訪ねる際には手配した護衛と必ず一緒に行動してください」
「…一緒ですか?
こちらは執行官と共に行動をする予定ですし
そこまで憲兵隊の皆さんのお手を煩わせる訳にも…」
「何か、不都合でも?」
一刀されればそれ以上常守も言い返さず
2人は従うことに同意した
「ところでニコラス大佐
自分は潜在犯……執行官という立場ですが
何か行動制限や注意事項などがあれば教えていただきたいのですが」
常守は監視官で問題は無いが
自分は執行官、潜在犯でもある
首輪で管理されるほど、この国でも
潜在犯の扱いは日本と変わらない
どこまでの行動が許されるのか
宜野座は気になっていた
「あくまでもあなた方は国賓、大切な客人として我々は考えています
あのような首輪を付けることもありませんし、外出も可能です
ただし、常守監視官が必ず同行すること、
…きちんと手綱を握っていただければ結構です」
「……手綱か」
ニコラスの悪辣な物言いに少し怪訝な顔を見せるも
あの首輪をつけなくていいと知り安堵する
そして護送車はかなり大きな施設へと入ると
停車し、2人に降りるように促す
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案内されたのはシャンバラ特区の重要施設
この特区、国を統治している議長が現れる
「日本国厚生省監視官 常守朱です」
「同じく、執行官 宜野座伸元です」
2人は目の前の相手と握手を交わす
「チュアン・ハンです」
歳は60程だろうか?
威厳のある出で立ち、日本でも一時期テレビで見ない日は無かった
「まさか、議長が直接会ってくださるとは思っていませんでした」
あくまでも調査に来ただけの2人
その2人に対して国のトップが姿を現すとは予想外だった
「それだけ日本に関心があるということです
…長旅でお疲れでしょう?どうぞ座ってください」
2人は促されるままソファへと腰を下ろす
監視官ならまだしも執行官にまで丁寧な対応をするハンに
宜野座は少し困惑気味だった
そしてすぐさま、常守は本題へと口を開く
「今回は国際捜査に協力していただけるとか」
「はい、あなた方が追っている2人組は
ゲリラに加担するテロリストだそうですね」
「そういう容疑がかかっています」
常守は真剣な眼差しを向けながら
話を進めていく
宜野座は隣で口を出すことはなくただただ見守っていた
「…この国におけるゲリラ対策はあくまで鎮圧です、それを捜査とは呼ばない
勿論、支援は惜しみません
ただしこの国の状況はあなた方の国とは根本として違う
そこだけはご理解頂きたい」
「わかりました」
常守が了承すればハンは笑みを浮かべる
そして視線は2人の背後に立つニコラスへと向けられる
「よろしい
……大佐、よろしく頼むぞ
失礼のないように」
「お任せ下さい」
サッと敬礼すれば
2人はまた別室へと案内される