PSYCHO-PASS white referee 作:鈴夢
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常守達のいる特区から北へ約50km地点
狡噛達の拠点、ベースキャンプにて
いつも通り傭兵達は鍛錬に汗を流していた
「おりゃあぁぁぁ!!」
寺院の周りの訓練所にて
舞白の声が響き渡る
ガタイのいい男を1人投げ飛ばせば
順番待ちをしている他の男たちが後退りする
「はい、次!」
次々と来る相手来る相手と手合わせすれば
舞白もだんだんと疲労が溜まり、汗を滲ませる
それを傍らで見ていたのはセムと狡噛だった
「最近は女性達も加わりたいと
…間違いなく彼女の効果だろうな、狡噛」
フゥーとタバコの煙を吐く狡噛
セムの話に悩ましい心情を浮かべていた
「良いのか悪いのか分からんが
あいつの行動で誰かの士気が高まるなら、それはそれでいいのか…」
「若い女性が立ち向かう姿は
皆の士気にも、活力にもなる
兄のお前としては複雑だろうが…」
目の前で舞白は全員を投げ飛ばし
男たちは拍手を送る
すると狡噛が吸っていたタバコを地面に落とすと足で踏み潰し
ゆっくりと舞白の元へ向かう
「……はぁ……、ふぅ……
…お兄ちゃん?」
狡噛は舞白の向かいに立つと体を構える
「最後の相手は俺だ、舞白
久しぶりに手合わせだ」
「……13人倒した後なんだけど……
いいハンデかもね!」
先に攻撃を仕掛けたのは舞白
元々習っていた空手、格闘技に加え
兄に鍛えられた体術は並外れていた
セムを初め、他の仲間たちがぞろぞろと
兄妹対決があると噂を聞きつければ集まり始める
素早い動きに対応する狡噛
兄もまた、遠慮なく攻撃していく
「オラァッ!!」
強靭な足蹴りが容赦なく舞白の顔の真横に
なんとか腕で受け止めれば、反撃していく
「13人相手の後、ちょうどいいクールダウンだろ舞白」
「……へへっ……そうだね……ッ!」
なかなか勝負がつかない2人
長引けば長引くほど周りのギャラリーのボルテージも上がっていく
「「いけ!狡噛!!」」
「「マシロ!そのまま捻りつぶせ!!」」
止まらない互いの攻撃に
だんだんと体力を削られていく2人
しかし、舞白は限界に近かった
((……この1発で終わらせる……ッ!))
拳を強く握ると狡噛の顔を目掛ける
狡噛も同じく拳を握り狙いを定める
「……はぁっ……はぁ……」
「…やるな、舞白」
お互いの拳がお互いの顔の目の前で止まる
そしてギャラリーたちの盛り上がる声
舞白は仲間の男たちに連れられれば
頭を撫でられたり、肩を叩かれたり、もみくちゃにされていた
しかし舞白本人は嬉しそうだった
「ハンデ有りであの動き、恐ろしい妹にしちまったよ」
汗を拭きながら再びセムの元へと戻る
嬉しそうに仲間たちと騒いでいる舞白を遠目で見ると
狡噛も笑みを浮かべていた
「……腕が落ちたか?狡噛」
「馬鹿言え、そんな訳ないだろう……」
セムといつものように談笑していると
ひとりの男が背後から現れ、2人に耳打ちをする
「「偵察隊からの報告です
…憲兵隊の戦車、ドローンに動きが有り
おそらく明日、また拠点を狙って戦を仕掛けるつもりかと」」
「……おいおい、ほんの数日前にもやり合ったばかりだ
…いくらなんでも頻度が多い」
ニコラス率いる憲兵団、おそらく拠点の目星が着いたのだろう
動きが活発になっているとは思っていたが
早すぎる展開に驚いていた
「セム、直ぐに集合をかけよう
こっちも色々と準備が必要だ」
「あぁ、分かった、狡噛」
セムは直ぐに兵士たちに集合をかけると
武器の準備や作戦を立てる
舞白も休む間もなく自身のスナイパーライフルや小銃など
身の回りの武器の整備を自室で始める
そして暫くすると作戦の確認がおわった狡噛が
舞白の部屋へと訪れる
「舞白、入るぞ」
トントンと扉をノックするとタバコを片手に現れる
「お兄ちゃん、私の部屋は禁煙です」
「いいだろう、少しくらい」
「…それに吸いすぎ、肺が真っ黒になるよ」
「既に真っ黒だろうな」
フゥーと煙を吐き捨てれば
石の壁にタバコを押し付け窓の外へと吸い殻を捨てる
ガチャガチャと銃のメンテナンスをする舞白
数年前はただ勉学に励む高校生だった
だが、今は銃や爆弾を扱う人間に
たった数年でここまで状況が変わると
兄としても思うことはあった
「最近、首は痛むか?」
槙島に埋め込まれた首の爆弾痕
取り除けないと知った時は狡噛は酷く落ち込んでいた
「たまにね、でも前ほどじゃないし大丈夫」
着々と手順よく準備を行い
終わらせるとケースに銃をしまっていく
すると突然、狡噛は舞白を優しく抱きしめる
「……暑苦しい…」
微かに震える手を狡噛はギュッと握りしめた
「怖いか?」
「……もう何度もやってきてる事、別に怖くなんてない」
「……そうか」
「私もう22歳の大人なんだから!
心配しすぎだよ、昔と変わらないね本当に」
よしよし、と舞白も狡噛の頭を撫でる
「死ぬな、絶対に
お前は自分自身を最優先しろ」
兄らしくない言葉に舞白は困ったように笑みを浮かべる
「死なないし、私もお兄ちゃんと同じ道を歩いてるなら
同じ意思を持ってるよ」
安息の地を求めて、日本を出た2人
もう戻る場所はないと何度も2人で支え合って生きてきた
いつ死んでもおかしくない状況、
生きるか死ぬか、そんな狭間に立ち続ける2人にとって
兄妹という関係性は切っても切れない1番の存在だった
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