蒼き鋼のアルペジオ Seeker's route 作:シオヒガリ
という訳で、軽く本当は書く予定だった設定を二つ程
・西之島に拠点を用意
・主人公達は正体は明かさないけど頼まれた仕事を行う詳細不明の組織(笑)をやっている
※あまりにも考えていた時間が長すぎて急ピッチで書いたものなのでクオリティがかなり低下しました。
――2056年―西之島――
………なんてやってみたけど特に面白味もなかったわね。やらなかったら良かったわ。
正直な話、あれから特にこれといったことは起きていないから変わらない状況にちょっと退屈に感じるが、まぁ何も無いことはいいことだと思い直し日々を過ごしている。
「ここにいたんだな」
と、艦長に声をかけられた。この感じからして何か用があるのは明白だし、さっさと言ってもらいましょうか。隠されると後で面倒にもなったりするし。
「で、用件は?」
「もうわかるか、流石だな」
「当然でしょ?伊達に二年間あなたの
どうせ新しい仕事が来たのか救援要請でも聞きつけたのだろうと思いながら聞く体制を整えると、艦長の口から語られたのは予想の斜め上を行く仕事の内容だった。
ただ、そろそろ来る頃だろうと踏んでいた為、私自身思ったよりも落ち着いた状態で聞くことができた。
「ふーん……新型弾頭兵器輸送のためのSSTOを発射する佐賀県 宇宙センターを霧から護衛する401の補助、ね。あの男も思い切ったことをするものだわ」
ただ、一つ聞きたいことがある。それは―――――
「――――でもこれ私達必要?」
「……それは言うな」
まるで言わなくてもわかってると言外に告げるように、背を向けながら発せられた言葉に艦長も同じことを思っていることを察した。
「俺だって別にいらんとは思ってるぞ?こんな地形のとこに大戦艦クラス送り込んでくるとは思えないし、第一人類の持つ輸送艇潰すだけなら軽巡だけで十分過ぎるくらいだしな」
「?、まぁSSTOを撃墜するくらいなら朝飯前どころか夜食前ね」
軽巡だけでもと言ったところで私の方を軽く見てきたので、少し首を傾げながらも頷き返事をすると、艦長は納得が行ったような表情を浮べたが一体何に納得したのかはわからない。
「この通り、本艦でもやろうと思えば簡単に出来る以上霧もやってくるだろうからな。それに今までのデータを見たところ、新型弾頭兵器輸送作戦において今まで投入されてきたのは本艦と同じ軽巡が大半を占めている」
「確かにね」
艦長が次々と言葉を口にしながらパネルを操作し、挿し込んだUSBメモリから流れ出てきたこれまでのデータを確認し頷く
「だから恐らく投入されるのは軽巡の可能性が高い。それも本艦のような特殊改造を施されていない汎用的な通常タイプ」
「私もそう思うわね。第一、私のように改造が施されてるのは比較的稀な方だから」
「だろうな。その上で一応聞くが、今回投入されるであろう艦艇は何かわかるか?勿論わからないなら大丈夫だ、それが普通だしな」
「……うーん、強いて言うならナガラ型の誰かかもしれないわね」
「ナガラ型……?一応聞くが、なぜそう思った?」
何故も何も記憶からの―――いや、これ艦長に伝わらないし、あーどうしよ……こうしよ。
「単純に宇宙センターの位置から考えてナガラが担当する可能性が高いと演算しただけよ、それ以外に特に意味はないから気にしないで」
と、そこまで言い切ったところで艦長が何やら懐疑的な目を向けてきていることに気づいた。
「……なに?」
「いや、今更だがお前は前に話した“共有戦術ネットワーク”ってやつにまだ接続出来るんだよな?」
「出来るけど……どうしたの?」
「……実はな、このニ年間ずっと気になってたことがあってな」
わざわざ聞いてくるってことはそこまで重要なことなのかと私は自然と身構えた。
「……今のお前やイ401は霧からすれば裏切り者だ。なのになんでソレに接続出来る?俺は最近それが気になってたんだよ」
「……」
なるほど、艦長が何を言いたいのか薄々理解出来た。つまり艦長は私が本当は霧のスパイなんじゃないかと疑っているらしい。
当たり前だけど、そんな事実は存在しない。ただヤマトのプレゼントによってヤマトのアクセス権の一部が私に導入されたことで、少し上位に設定されただけだから疑うだけ骨折り損である。
「……そういえば話してなかったわね」
「おーおー、裏切っていたことを話すのか?んん?」
「違うわよ。二年前に私が総旗艦たるヤマトによって強化を受けたことは話したわよね?」
「……確かに言ってたな」
「その時に戦術ネットワークへのアクセス権が少し特殊な位置に設定されたからまだ接続出来るのよ。今も更新されてるやつにね?」
「……」
この顔は信じてない顔ね。まぁ信じても信じなくても全部本当のことなんだから別にどっちでもいいんだけど。
それに、艦長はこんなことで行動不能になるほどヤワな精神してないのはもうわかってるからね。
「だから私のアクセス権を剥奪するには総旗艦のヤマトが直接動かないといけないから、ヤマトと総旗艦直衛艦のメンタルモデル達以外の連中はまだ接続出来るって知らないんじゃないの?」
「……たくよぉ、そういうところ本当にお前らしいぜ」
私の言葉に一度俯き、しかしすぐに顔を上げた艦長は思った通りの表情を浮かべており、疑念などもう無いように見えた。
故に私は問う、最後の確認を。
「それで?これで満足かしら?」
「ハッ、そもそも疑ってはいないさ。流石にこればっかりは聞かない訳にはいかないから聞いたが、自分の艦を信じねぇ艦長がどこにいるってもんだよ」
「全く、ハァ……あなたのそういうところって本当に好感が持てるわ」
「お、それは嬉しいな。わざわざ得意でもない演技した甲斐があった」
「はいはい、もういいもういい」
思わずピキッという音声が頭から聞こえてきそうになるほどウザいドヤ顔をしてくる艦長を軽くあしらい、話を戻すべくまだふざけている様子の艦長をスンとした目で見据える。
「…コホン、悪い悪いもうふざけないから許せ。それじゃあ話を戻すとするか」
見据えた瞬間から態度を改めるなんて効果覿面ね。こうした方が絶対楽になるという演算結果も導き出されたことだし、次からはこうしましょう。
「まず上陰次官補からの俺達への依頼は先に言ったように401の援護となっている」
「そうね」
「具体的には401メインの護衛作戦、万が一打漏らしや想定外の事態が発生したら俺達が駆り出されることになっている」
「……想定外の事態って、重巡とか大戦艦?」
「……場合によるけどな」
確実に無いとは言い切れないから困るんだよなとデカデカと顔に書きながら私の反応を伺う艦長に一つ思う。
「確かに、もし本当に大戦艦が来たら詰む可能性は高いけど、何故そんなに不安そうにしてるの?」
「あ?そりゃ肝心要のお前に断られたらこの仕事受けられないから慎重にもなるだろ」
「やっぱり艦長は受けたいのね、この依頼」
「まぁな、同業者として一度は何年間も人類の干渉を全く受け付けなかったあの401を支配下に置いた千早翔像の息子、千早群像とは顔を合わせておきたいし」
なるほど、千早群像に対して艦長はそのような感情を持っているのか。てっきり軍人を志す者としてどうなのかと苦言を呈するのかと思ってた。まぁそういうことなら、ね。
「了解、じゃあ行きましょうか。十分後に出るから準備をしておいて」
「行くって、まさか……」
「会いたいんでしょ?千早群像に。さっきの通りドック注水作業が十分後に終了するからそのつもりで」
「……、ありがとな」
「……何に対しての礼なのか、よくわからないわね」
私は静かに部屋を出て、ドックに向かった。
空白の二年間については番外編で時々出そうと思います。