お知らせ:次話の内容を投稿時点で書き出してないので、次の投稿は予告通り来週末頃になります。土日連投出来るよう、頑張ります
「リゼさん、お預かりしていたポケモン達はみんな元気になりましたよ」
「ありがとうございます、ジョーイさん!」
エデンの洞窟での一件を経て、ポケモンセンターに泊まっていたリゼはその翌日の朝、エデンシティのジムに挑戦するため、ジョーイさんに預けていたポケモン達を引き取っていた
ポケモン達を引き取り終えたリゼはポケモンセンターの出入り口で待つアンジュの下に駆け寄る
「アンジュ、お待たせ!」
「よし、それで今日は昨日言ってた通りジムに行くん?」
「うん!ポッチャマはポッタイシに進化したし、サイホーンもゲットしたから戦力は十分なはずだから!」
「おっ!自信たっぷりやな!」
「あ…!それでさ、アンジュ。エデンシティのジムってどんなポケモンを使うの?」
リゼはアンジュにエデンジム攻略のヒントを聞く
ポケモンリーグ挑戦の旅をした経験のあるアンジュなら知っていると踏んでの質問だった
「いや、全然知らない」
…が、アンジュの回答を聞いたリゼは"ズコーッ"、とその場で転ぶ
「し、知らない?なんで?」
「だって私が前来た時は街はこんなに発展してなかったし、ジムもなかったから」
「そ、そうなんだ…。ま、まあべつに?知らなくても何も問題はないんだけどね?」
「…自信あるんじゃなかったっけ?」
「あ、あるよ!?でも、なんとなく聞いておきたかったの…!」
(素直じゃないなぁ…)
と、本音をはぐらかすリゼにアンジュは内心呟く
話を終え、いざエデンジムへ向かおうとポケモンセンターを出た矢先、リゼ達に1人の少女が駆け寄る
「リゼさーん!アンジュさーん!」
リゼ達は声の主…レインに気付いて足を止める
「レインさん…!どうしてここに…!?」
「リゼさんが昨日ジムに挑戦するって言ってたのを思い出して!よかったら、私が案内しますよ!」
「いいんですか!?」
「はい!その代わり、リゼさんのジム戦を観戦してもですか?」
「それはいいですけど…」
「やった!アクシアから聞いたんですよ!リゼさんとそのポケモンのバトルは凄く見応えがあったって!」
「そ、そうかなぁ…?」
「アクシアの見る目に間違いはないよ!だから自信持って行きましょーう!」
リゼは照れながらも謙遜するが、レインにエールを送られ、彼女の案内を受けてエデンジムへと向かう
*
「着いたよ!ここがエデンジム!」
レインの案内で、リゼ達はエデンシティ中央区の北に位置するエデンジムに到着した
「よし!2つ目のジム戦、絶対に勝つぞー!」
「じゃあ、早速入りましょう!お邪魔しまーす!」
意気揚々なレインに続き、リゼ達はジムの中へと入る
「先生ー!いるー!?」
「先生…?」
「ここのジムリーダーはね、教授の仕事もしてるんだよ!だからみんなから"先生"って呼ばれてるの!」
リゼの質問にレインが答えると、ジムの通路から1人の男性が現れる
「どうしたんですか?レイン君」
「先生!あのね、ジム戦を受けに来た子を案内して来たの!」
「そうですか、それはご苦労様です」
男性はレインを労い、リゼの前に立つ
「はじめまして、チャレンジャー。僕はオリバー・エバンス。ここエデンジムのジムリーダーを務めています。とは言っても、まだほんの数年しか経っていない新米ですけど」
「はじめまして、リゼ・ヘルエスタと言います。こっちは親友のアンジュです」
「どうも、アンジュ・カトリーナです」
「ヘルエスタ…!ということは、君はヘルエスタシティのヘルエスタ国王陛下の御息女ですか…!それにあなたはあの"道具の錬金術師"の…!」
やや興奮するオリバーの横腹を、レインが肘でつんつんと突く
「おっと…失礼しました。では、立ち話も程々にしてバトルフィールドへご案内します」
オリバーに案内され、リゼ達はバトルフィールドへと向かう
「おや?レイン君、なんで付いて来るんですか?」
「今日はオフなんだ!それで、リゼさんのジム戦を観戦することにしたの!アクシアの話だと、リゼさんはバトルの腕がいいらしいよ!」
「そうですか、それは楽しみですね」
話をしている内に、一向はバトルフィールドが設けられた部屋に出る
「それじゃあ、頑張れよ!リゼ!」
「うん!」
アンジュはリゼにエールを送り、レインと共に観客席に座る
そしてリゼとオリバーはそれぞれバトルフィールドに立ち、審判台に立つ審判の説明に耳を傾ける
「これより、チャレンジャー:リゼとジムリーダー:オリバーのジム戦を始めます!使用ポケモンは3体!どちらかのポケモン全てを戦闘不能にした方の勝利とする!なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!それでは、両者ポケモンを…!」
「お願い!サイホーン!」
「頼みますよ!ネイティ!」
審判の指示を受け、リゼはサイホーン、オリバーは"ことりポケモン":ネイティを繰り出す
「ネイティ…エスパーとひこうタイプのポケモンか。勘だけど、オリバーさんが使うのはエスパーポケモンだよね?」
「お!アンジュさん、正解!先生はエスパーポケモンの使い手なんだ!」
「エスパーポケモンはサイコパワーを駆使してくる。油断は禁物だよ、リゼ…!」
「では、バトル始め…!」
アンジュ達が見守るなか、ジム戦の火蓋が切られる
「ネイティはひこうタイプ…いわタイプのサイホーンの方が有利!行くよ、サイホーン!"うちおとす"!」
リゼは意気揚々と指示を出し、サイホーンはネイティに向かって"うちおとす"を発射する
「ネイティ!避けてください!」
オリバーの指示でネイティはその場から素早く飛び立ち、"うちおとす"を躱す
「サイホーン!"つのでつく"!」
飛行するネイティにサイホーンが突っ込み、大きく跳躍する
「ネイティ!"あやしいひかり"!」
だが、"つのでつく"を炸裂させる前にネイティの"あやしいひかり"を受けて攻撃が途切れ、体勢を崩して地面に墜落する
「サイホーン…っ!」
サイホーンは起き上がるが、"あやしいひかり"によって混乱し、訳も分からず地面に頭突きする
「ネイティ!"めいそう"です!」
サイホーンが混乱状態でまともに動けない間に、ネイティは"めいそう"で特殊攻撃力と特殊防御力を高める
「まずい…!サイホーン!"うちおとす"!」
リゼは攻撃の指示を出すが、混乱状態のサイホーンは"うちおとす"を自身に発射してダメージを負う
「今です、ネイティ!"アシストパワー"!」
そこに追い討ちをかけるように、ネイティの"アシストパワー"がサイホーンに炸裂する
「"アシストパワー"…!ポケモンの能力が高まれば高まるほど威力の上がる技…!2つの能力を同時に高められる上に、その1つが特殊攻撃力の"めいそう"とも相性がいい…!」
「でも、積み技をする時は隙が生まれる。それを先生は"あやしいひかり"の混乱で補ってるんだ!」
アンジュの解説に、レインが自慢げに補足する
「さあ、どうしますか?リゼさん」
「…っ!サイホーン!戻って!」
リゼはサイホーンを一旦ボールへと戻す
「うん、一度引っ込めさせれば混乱状態は治る。チャレンジャーのみ交代ができる利点を活かしたいい判断だね」
リゼの判断をレインは感心するように解説する
「お願い!トランセル!」
サイホーンに代わり、リゼはトランセルを繰り出す
「なるほど、むしタイプですか。しかし、ネイティにはひこうタイプがあります。そう易々と倒せはしませんよ」
「トランセル!"いとをはく"!」
まずはネイティの動きを封じようと、リゼはトランセルに"いとをはく"を指示する
「ネイティ!"テレポート"です!」
トランセルの"いとをはく"をネイティは"テレポート"の瞬間移動で回避する
「早い…!これじゃ、狙いが定まらない…!」
ネイティの回避能力に苦しい表情を見せるリゼ
そんなリゼに容赦なく、オリバーは攻撃に転じる
「ネイティ!"アシストパワー"!」
ネイティの"アシストパワー"がトランセルに炸裂する
(どうしよう…!ネイティの動きを止めないとトランセルの攻撃も当たらない…!でも"テレポート"の発動が早い上に移動先が分からないんじゃ対応も…!そうだ…!)
と、思考の末にリゼはあることを思いつき、笑みを浮かべる
「トランセル!もう1度"いとをはく"!」
「何度やっても同じです!ネイティ!"テレポート"!」
トランセルの"いとをはく"をまたしてもネイティは"テレポート"で回避する
だが、リゼの作戦はここからだった
「トランセル!体を回転させながら"いとをはく"!」
リゼの指示を受け、トランセルはその場でグルグルと回転しながら1発1発糸を吐き飛ばす
当てずっぽうではあるが、フィールド全体に放たれた糸は"テレポート"で移動した先のネイティに命中、拘束し、羽ばたくことが出来なくなったネイティは地面へと落下する
「今だよ、トランセル!"むしくい"!」
そして、動けず落下するネイティにトランセルの"むしくい"が炸裂する
「ティ〜…」
「ネイティ、戦闘不能!トランセルの勝ち!」
「よし!まずは1体!」
ネイティを撃破し、リゼはガッツポーズする
「ただ技を繰り出すのではなく、その際に特殊なアクションを加える。なるほど、アクシア君が認めるだけのことはあるようですね」
ネイティをボールに戻し、オリバーはリゼの戦略に称賛の言葉を送る
「ありがとうございます!」
「しかし、次のポケモンにもその戦略が通用するでしょうか!?頼みますよ!ニャスパー!」
そう言うと、オリバーは2体目として"じせいポケモン":ニャスパーを繰り出す
「ニャスパー…!タイプはエスパーだけ、ならトランセルの"むしくい"が決まれば勝てる!まずは相手の動きを封じるよ!トランセル!"いとをはく"!」
再び、相手の動きを封じる狙いでトランセルは"いとをはく"を繰り出す
「ニャスパー!"ねんりき"!」
対するニャスパーは"ねんりき"で発射された糸を操り、トランセルへと飛ばし返す
"ねんりき"で操られた糸はトランセルに命中し、糸で雁字搦めにさせる
「続けて、"チャームボイス"!」
更に動けないトランセルに、ニャスパーの"チャームボイス"が炸裂する
「トランセル…!戻って…!」
動けない状態ではまずいと判断し、リゼはトランセルをボールに戻す
「流石はエスパーポケモン…!厄介だね…!」
エスパーポケモンの強さにアンジュが焦りを感じるなか、リゼは次のポケモンを繰り出す
「お願い!ポッタイシ!」
「ポッタ!」
「ポッタイシ!進化して強くなったあなたの力!アンジュにも見せてあげよう!」
互いに気合を入れ、ポッタイシはニャスパーと向かい合う
「ポッタイシ!"メタルクロー"!」
ポッタイシは"メタルクロー"を発動させながらニャスパーへと突っ込む
「ニャスパー!"ねんりき"!」
だが、ニャスパーの"ねんりき"がポッタイシの動きを止める
"ねんりき"に抗おうとポッタイシは力を振り絞る
ほんの僅かに体が動き始めるが、オリバーがそれを許すはずはなかった
「ニャスパー!そのまま吹き飛ばしてください!」
ニャスパーの"ねんりき"でポッタイシは後方へと吹き飛ばされる
「大丈夫…!?ポッタイシ…!」
リゼが声を掛けるが、ポッタイシはまだまだやれるとすぐに起き上がる
「ポッタイシ!"バブルこうせん"!」
「無駄です!"ねんりき"!」
今度は射程のある技で仕掛けるが、またしてもニャスパーの"ねんりき"に操られ、攻撃として返される
(物理技も特殊技も全て止められる…!あの"ねんりき"をどうにかしないと、ダメージを与えることも出来ない…!)
(さて、どう対処しますか?リゼさん)
オリバーが対応を待つなか、リゼは1つの手に考え至る
「一か八かだけど、やってみるしかない…!ポッタイシ!"メタルクロー"!」
「来ましたね…!では、見せてもらいましょう!ニャスパー!"ねんりき"!」
突っ込んで来るポッタイシを、ニャスパーは再び"ねんりき"でその動きを止める
「今だよ、ポッタイシ!"バブルこうせん"!」
"ねんりき"で動けないなか、ポッタイシは"バブルこうせん"を放ち、ニャスパーに炸裂する
「ニャパ〜…」
「ニャスパー、戦闘不能!ポッタイシの勝ち!」
「よし!上手くいった!」
「凄いぞ!リゼさん!」
「"ねんりき"でポッタイシが動きを止められている間に、口から繰り出せる"バブルこうせん"で攻撃する。"ねんりき"発動中に放たれた技は止められないことに気付いてくれてよかった…」
リゼの策に、アンジュはホッと胸を撫で下ろし、レインは歓声を上げる
「ご苦労様です、ニャスパー。素晴らしいです、リゼさん。まさか1体も倒すことなくここまで追い詰められるなんて」
リゼに称賛の言葉を送りつつ、オリバーは最後の1体が入ったボールを構える
「そんな君に敬意を表して、最後は僕のとっておきでお相手します!頼みますよ!アヤシシ!」
オリバーが繰り出したとっておきの3体目…それはリゼだけでなく、アンジュも見たことのないポケモン:アヤシシだった
「なに…!?あのポケモン…!」
「初めて見た…!」
初めて見るポケモンに、リゼは図鑑を開く
『アヤシシ:おおツノポケモン。オドシシの進化形。ノーマル・エスパータイプ。目に見えない不思議な壁を作る時、角の黒い珠が怪しく輝く。抜け落ちた髭は暖かく、その昔は冬服の原料として重宝されていた』
「アヤシシ…!オドシシに進化形がいたんだ…!」
「ええ。このポケモンは遥か昔…シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれていた時代に、その環境の影響を受けてオドシシが進化した姿です」
「なんでそんなポケモンがここに…!」
「偶然にも、ここニジサンジ地方には、かつてのヒスイ地方と似た環境が存在しているんです。そこで僕達は出逢った」
オリバーとアヤシシは視線を交わし、バトルへの気を引き締め合う
「さあ!この未知に、君がどう立ち向かうのか見せてもらいましょうか!アヤシシ!"バリアーラッシュ"!」
「…っ!ポッタイシ!"メタルクロー"で迎え撃って!」
アヤシシのサイコエネルギーを纏った突進技…"バリアーラッシュ"に対し、ポッタイシは"メタルクロー"で迎撃する
両者の技が正面からぶつかり合うが、アヤシシのパワーに押し負けてポッタイシは吹き飛ばされる
「ポッタイシ…!?」
「ポ、ポタァ…」
「ポッタイシ、戦闘不能!アヤシシの勝ち!」
リゼが戦闘不能になったポッタイシをボールに戻すなか、チラリとアヤシシの方を見たアンジュはあることに気付く
「あれは…!能力が高まってる…!?」
攻撃後のアヤシシの体は能力が高まった時に発生する赤いオーラを纏っていた
「そう!"バリアーラッシュ"は決まれば、防御力と特殊防御力を高めることがあるんだ!攻守を兼ね備えた凄い技なんだよ!」
驚くアンジュにレインは自慢気に解説する
「ポッタイシ、お疲れ様。ゆっくり休んでね」
奮闘したポッタイシを労い、リゼはアヤシシに目を向ける
「パワーがある上に耐久力を上げられる…。なら今度こそあなたの出番ね!お願い!サイホーン!」
「サァァァイ…!!」
再び繰り出されたサイホーンはアヤシシを視認すると戦闘の意志を示すかのように咆哮を上げる
「パワー勝負をお望みですか…受けて立ちましょう!」
「サイホーン!"すてみタックル"!」
「アヤシシ!"バリアーラッシュ"!」
両者同時に指示を出し、それぞれの物理最高威力の技がぶつかり合う
その衝突は衝撃波を生み、力が拮抗したサイホーンとアヤシシは最終的に互いを弾き返す
「サイホーン!"じならし"!」
サイホーンの"じならし"がアヤシシを襲い、その動きを止める
「アヤシシ!跳躍して"にどげり"です!」
だが、アヤシシはその場から跳躍することで"じならし"による地面の揺れを抜け出し、そのままサイホーンへ"にどげり"を炸裂させる
「サイホーン!"うちおとす"!」
「アヤシシ!"シャドーボール"!」
両者が同時に放った技がぶつかり合い、相殺される
「"すてみタックル"!」
「"バリアーラッシュ"!」
再度、両者の技がぶつかり合う
しかし、ダメージが溜まっているからかサイホーンが押されて始め、アヤシシに押し負けて吹き飛ばされる
「サ、サイィ…」
「サイホーン、戦闘不能!アヤシシの勝ち!」
「よく頑張ったね、サイホーン。あなたの頑張り、無駄にはしないよ」
労いの言葉をかけ、リゼはサイホーンをボールに戻す
「これでリゼのポケモンはトランセルだけ…。タイプ相性の弱点はつけるけど…」
「パワーもスピードもアヤシシの方が上。でも、まだ分かりません!」
リゼの勝利に不安になるアンジュに、レインはキラキラとした眼差しでそう言う
「ポケモンバトルは何が起こるか分からない!そして、リゼさんは何か起こしてくれる…私はそんな気がします!」
ワクワクするレイン…そんな彼女がオリバーの視界に入る
(楽しそうですね、レイン君。やはり君は…いえ、今は良しましょう。しかし、彼女の気持ちも理解できます。何故ならリゼさん、君の目は…)
"死んでいない"…むしろ、絶対に勝つという熱い闘志をオリバーは感じた
「あなたで最後…絶対に勝つよ!トランセル!」
想いを込め、リゼはトランセルを繰り出す
「泣いても笑ってもこれが最後です!アヤシシ!"バリアーラッシュ"!」
「トランセル!"かたくなる"!」
最後の火蓋が切られ、アヤシシの攻撃にトランセルは防御力を高めて迎え撃つ
攻撃のダメージは軽減させるが、アヤシシの角に持ち上げられ、トランセルはそのまま空中へと投げ飛ばされる
「アヤシシ!"シャドーボール"!」
「トランセル!"いとをはく"で躱して!」
アヤシシは空中のトランセルへ"シャドーボール"を放つが、トランセルは糸を地面に吐き出し、それを手繰り寄せることで地面へと急速に移動して攻撃を躱す
「逃しません!アヤシシ!"バリアーラッシュ"!」
だが、トランセルが糸を飛ばした着地先に合わせてアヤシシが"バリアーラッシュ"で突っ込み、トランセルは避けることが出来ずに直撃する
トランセルは吹き飛ばされるも、力を振り絞って起き上がる
「トランセル、まだやれる?」
トランセルはリゼに振り向き、こくんと頷いて応える
「うん…!ポッタイシとサイホーンの頑張りを無駄にしないためにも…勝つよ!」
「トラァ…!」
リゼの想いに呼応し、トランセルは咆哮するとその体が光に包まれる
「これは…!」
「進化が始まったんだ…!」
アンジュとレインがそれぞれ驚きと興奮の声を上げる
トランセルの姿形は見る見ると変わり、"ちょうちょポケモン":バタフリーへと進化を遂げる
「まさかこの状況で進化するなんて…!驚かされました…!」
バタフリーへの進化にはオリバーも驚きを隠せず、声を上げる
「フリィィ!」
「凄い…!」
バタフリーの姿にリゼは見惚れるが、すぐにバトルへと意識を切り替える
「行くよ、バタフリー!"ねんりき"!」
リゼは早速、バタフリーに進化して新しく覚えた技"ねんりき"を指示する
「"ねんりき"…!でも、エスパータイプにエスパータイプの技は効果が薄いぞ!」
レインはそう言うが、バタフリーの"ねんりき"を受けたアヤシシは効果が薄いはずにも関わらず強く抵抗することが出来ず、吹き飛ばされる
「え…!?どうして…!」
「あの特性は"いろめがね"…!やっぱり、リゼのバタフリーは隠れ特性なんだ…!」
アンジュは確信を得たようにそう断言する
通常個体のバタフリーの特性は"ふくがん"。技の命中率が高まる特性である
しかし、アヤシシに効果が薄いはずの"ねんりき"であれ程のダメージ与え、まだキャタピーだった頃には葛葉のズバットの"おどろかす"で怯んでいたことから、その時の特性が通常特性である"りんぷん"ではなかった
故に、リゼのバタフリーは珍しい隠れ特性を持った個体であるとアンジュは確信付けた
「隠れ特性ですか…!驚かされてばかりですが、これだからポケモンバトルは奥が深い…!アヤシシ!"バリアーラッシュ"です!」
攻撃に転じるアヤシシに対し、リゼはバタフリーに更なる新しい技を指示する
「バタフリー!"しびれごな"!」
突っ込んで来るアヤシシに、バタフリーは"しびれごな"噴出する
"しびれごな"が付着したアヤシシは麻痺状態となり、体が痺れて動きが止まる
「麻痺で動きが止まった…!いけぇ…!リゼェ…!」
「バタフリー!トドメの"むしくい"!」
バタフリー渾身の"むしくい"がアヤシシに炸裂する
効果抜群の攻撃を受けてよろめくが、アヤシシは踏ん張り、リゼとバタフリーを見据える
そして、アヤシシは微笑みを浮かべるとその場に倒れ伏す
「アヤシシ、戦闘不能!バタフリーの勝ち!よって勝者!ヘルエスタシティのリゼ!」
「やっ…た〜!!よく頑張ったね!バタフリー!」
「フリフリィィ〜!」
ジム戦に勝利し、リゼとバタフリーは抱きつき合って喜びを分かち合う
「ふぅ〜…っ!終盤はヒヤヒヤしたけど、良いバトルだった…!」
「うん!アクシアの言ってた通り!リゼさんのバトル凄かったです!」
アンジュとレインもリゼの勝利に感想を述べる
「アヤシシ、お疲れ様でした」
アヤシシを労い、ボールに戻したオリバーはリゼの下へ歩み寄る
「リゼさん、君の戦略と君の想いに応えようと奮闘したポケモン達…実に見事でした。最後はアヤシシも、君達の強さに敬意を表しているように感じました。そして、君にはエデンジムに勝利した証として、このエデンバッジを差し上げます」
「ありがとうございます!」
リゼはオリバーから2個目のバッジ:エデンバッジを受け取る
「リゼ、お疲れ様」
「うん!アンジュも見守っててくれてありがとうね!」
リゼを労うアンジュに続いて、レインも声を掛ける
「リゼさん、凄かったです!こんなに熱いバトルを見たのは久しぶりでした!ポケモンリーグへの挑戦、頑張ってくださいね!」
「ありがとうございます、レインさん!」
バトルの感想とリーグ挑戦へのエールを送り、満足そうな様子でレインはジムの出入り口に体を向ける
「それじゃあ、私は街の巡回に行ってくるからこれで!」
「おや?今日はオフじゃないんですか?」
「そうだけど、リゼさんと先生のバトルを見てたらウズウズしちゃって…!というわけだから、私はこれで!バイバ〜イ!」
そう言って、レインは一足先にジムを後にする
「それじゃあ、私達もポケモンセンターに戻って今日はゆっくり休むか」
「そうだね」
アンジュにそう言われ、リゼはポケモン達を休ませるためにもポケモンセンターへと戻ろうとする
「リゼさん、少しよろしいですか?」
その時、オリバーがリゼに声を掛ける
「はい、なんでしょうか?」
「実は、リゼさんを見込んでお願いしたいことがあるんです。後でポケモンセンターに伺うので、詳しい話はその時に…」
「お願い…?それは何の…」
リゼが恐る恐る聞くと、オリバーは一呼吸置いてから真剣な眼差しで答える
「…レイン君と…バトルしてもらえないでしょうか?」
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:ポッタイシ、イーブイ、バタフリー
サイホーン
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ
レイン・パターソン
手持ち:インテレオン
オリバー・エバンス
手持ち:アヤシシ、ニャスパー、ネイティ