にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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今週は沢山投稿できると言っておきながらめちゃくちゃ今回手間取りました…

ですが、この後はバトルに次ぐバトル回なので明日明後日連続で投稿できると思います!頑張れ、私!


第16話「恐怖!ウルトラビースト出現!」

 

ヤオウシティに到着し、リゼ達が愛園が勤めるメイド喫茶でのひと時を過ごしたその日の夜

 

ヤオウシティの東に位置する森…"ぽさんけの森"で怪しげな機械を持つ少女が2人…

 

 

 

 

「なあ夜見、ほんまに大丈夫なん…?」

 

「大丈夫ですよ、椎名先輩!試作品とはいえ、手順書通りにすれば大事になんてならないですから!」

 

「それにしても、異世界から来るポケモンまでお世話するとか…リーダーもわざわざそんなことまで首突っ込まんくても…」

 

「でも、近年その異世界からのポケモンが迷い込んで来るケースが増えてるし、椎名先輩もそんなポケモン達が行き場を無くしてしまうの可哀想だと思いません?」

 

「それ、元の世界に戻してあげればいいんじゃないの?」

 

「特定の異世界に繋がるウルトラホールを開くはまだ今の科学じゃ実現出来ないって社長が言ってたから、しばらくは無理だと思いますよ」

 

「そっかぁ…。なら、保護してあげないとダメやな」

 

「ですよねー!そのためにも、この試作品のデータを取らないと…えいっ!」

 

 

白と黒のツートンカラーのツインテールが特徴の少女…夜見れなは地面に置いた機械のボタンを押す

 

すると、彼女達の数メートル先の何も無い空間に白いヒビが入り始める

 

 

 

 

「いやぁ、やはり一仕事終えた後の夜の散歩はいいですね〜」

 

 

同時刻…ぽさんけの森を歩く男が1人

 

男の名はグウェル・オス・ガール。ヤオウシティでは有名な夜のエンターテイナー

 

自身の店では体を張ったライブ及びショーをしており、日々の疲れを癒したり、考え事をする時によくこの森へ来るのだ

 

 

「今日の"水中ポケモンバトル"は大盛況でした。今後のレギュラーネタに加えても良さそうです。さて、それはそれとして私もそろそろここで1つ大きな大会を催してみたいところですが…どんなものがいいでしょうか…」

 

 

と、考えながら歩くなか、グウェルは視界の端である光景を捉え、足を止める

 

 

「あれは…?」

 

 

 

 

「こ、これがウルトラホール…!?」

 

 

何もない空間で一点を中心に白いヒビが広がっていく光景を見て、椎名と呼ばれた少女が声を漏らす

 

 

「安心してください、椎名先輩。このウルトラホールはまだ開いてません。社長の話だと、この機械はこれから発生するであろうウルトラホールを事前にキャッチして、その発生場所を誘導することができるものらしいんです」

 

 

夜見は一呼吸置いて続ける

 

 

「ただ、誘導させるとその影響で実際に開いたかもしれない時よりも早く開いてしまうようになるらしいんです」

 

「つまり、これは今開こうとしている状態…ってこと!?それマズくないん!?」

 

「だから大丈夫ですよ〜。機械を止めれば誘導が切れてこのウルトラホールは元々発生するはずだった場所に戻って開閉の状態も元に戻るので…」

 

「そこのあなた達!一体何をしているんですか!」

 

「ひぃっ…!」

 

 

突然後ろから聞こえた声に驚いた椎名は体勢を崩し、機械を思い切り踏みつけてしまう

 

 

「ああっ…!!」

 

 

夜見が声を上げた直後、機械からバチバチと電気が放電し、同時にウルトラホールと呼ばれていた空間の白いヒビが一気に広がってトンネルを形成する

 

 

「な、なんですかこれは…!?」

 

 

彼女達に声をかけたグウェルも目の前で起こる出来事に驚愕し、その場から動けなくなる

 

そして、完全に開き切ったウルトラホール…その中から1匹のポケモンが姿を現す

 

 

「ロイ…?」

 

「これが…ウルトラビースト…!」

 

 

空中をゆらゆらと漂いながら辺りを見回す不思議な存在感を放つそのポケモンに夜見が声を漏らす

 

 

「グマァッ!」

 

 

すると突然、森の中から怒りを露にした"とうみんポケモン":リングマが現れる

 

リングマはウルトラホールから現れた不思議なポケモンに目を付けると容赦なく"きりさく"攻撃を繰り出す

 

不思議なポケモンはそれを咄嗟に躱すと"パワージェム"で反撃し、それが直撃したリングマは後ろへ仰向けに倒れる

 

 

「よ、夜見ぃ…!に、逃げへんとヤバいってぇ…!」

 

「あっ…!待ってくださいよ、椎名先輩…!」

 

 

ポケモン同士の戦いに怯えて一目散に逃げ出す椎名に続いて、夜見もその場から走り去る

 

 

「あっ…!あなた達…っ!うおっ…!?」

 

 

ドシャ…!と、逃げ出す2人に気付いて追いかけようと走り出したグウェルは何かに足を掴まれてその場に転ぶ

 

何に掴まれたのか、足元を見たグウェルはその瞬間に血の気が引いた

 

先程の不思議なポケモンの触手がグウェルの足を絡めており、更には顔に向かって這いずり上がって来ていた

 

 

「う、うわああああああああああ…!!」

 

 

グウェルの叫び声が夜の森に響き渡る

 

だが、その声は数分と経たずに静寂へと消えていった

 

 

 

 

「ふぅ〜…!満喫したぁ〜…!」

 

 

ヤオウシティに着いてから2日目の昼頃…リゼとアンジュは街でのショッピングを楽しんでいた

 

 

「やっぱり、ヤオウシティは他の街と違って珍しいお店が多いね」

 

「服もそうだけど、食べ物に御守り、掘り出し物…ヘルエスタや周辺の街だと見ない物が沢山あって思わずいっぱい買っちゃったね」

 

 

と、リゼは両手一杯に買い物袋を抱えながら苦笑いする

 

 

「とりあえず、昼食を取るのも兼ねて1度ポケモンセンターに戻って、買った物はぺリッパー便で送ろうか」

 

 

アンジュの提案に賛成し、リゼ達はポケモンセンターへと向かう

 

 

 

 

「やっと着いた〜…」

 

「お疲れ様。それじゃあ、先にその荷物を…あれ?なんか騒がしくない…?」

 

 

リゼ達がヤオウシティのポケモンセンターに着いた矢先…アンジュはポケモンセンター内が妙にざわついていることに気付く

 

 

「ほんとだ…。何かあったのかな…?」

 

 

リゼも不思議に思い始めると、ポケモンセンターのドアが開いて苦しんでいる様子のポケモンを抱えた2人の子供が横切り、受付へと駆け込んで行く

 

 

「ジョーイさん!僕のダンゴロが…!」

 

「僕のキノココも…!」

 

「あなた達も森のポケモンに…!?」

 

 

駆けつけて来たジョーイさんの質問に2人の子供が頷くと、ジョーイさんはパートナーのポケモン達を連れて苦しむポケモン達を運び、奥へと消えて行った

 

 

「な、何が起こってるの…?」

 

「リゼさん…!アンジュさん…!」

 

 

リゼが状況を把握出来ずに混乱しそうになるなか、健屋がリゼ達の下に駆け寄る

 

 

「もしかして、お二人のポケモンも被害に…って感じじゃなさそうですね」

 

 

リゼが持つ買い物袋を見た健屋は安堵の息を漏らす

 

 

「健屋さん、この状況は…」

 

「実は、今朝頃からこの街の東に位置するぽさんけの森に行った人達が謎のポケモンの被害に遭っているらしいんです」

 

「謎のポケモン…!?」

 

「それって、新種のってことですか…!?」

 

「そこまでは…。ただ、今分かっているのは、被害に遭った人やポケモン達は神経毒の類に侵されているということです。幸い、今のところは誰の命にも別状はないですけど…」

 

 

更に被害が出れば、大事にもなりかねない…と、健屋は被害に遭った人達に視線を向けながら暗にリゼ達に伝える

 

そして、そんな状況…とは別に、アンジュの中である不安が芽生える

 

 

「な、なあ、リゼ…?」

 

 

アンジュは不安そうにリゼに視線を向けると、彼女の表情は何かを決心したかのような真剣な面持ちだった

 

そんなリゼに、アンジュは恐る恐る尋ねる

 

 

「ま、まさか被害が出たって聞いた森に行くなんて考えてないよね…?」

 

「…アンジュ、ごめん。心配してるのは分かってる。でも、私はこの状況を放っておけない。この街の人達とポケモン達を守るために、私に出来ることをしたいの」

 

 

リゼの答えを聞き、アンジュは顔に手を当てて深い溜息をつく

 

誰に似たのか、この正義感の強さがリゼの美徳であると分かってはいるが、今回は状況が状況であり、更にはこれまでエデンシティ、ベニズワイ湿地とトラブル続きであったことで、アンジュの心労はピークに達していた

 

リゼの想いは痛いほど理解しているだけに、アンジュは苦しそうに言葉を絞り出す

 

 

「…リゼ、今回だけは…」

 

「た、大変だぁぁ…っ!!」

 

 

その時、ポケモンセンターに1人の男性が駆け込み、空気が一変する

 

 

「どうしたんですか…!?」

 

「グ、グウェルさんが…街を…!」

 

 

 

 

「ブーバー…"ほのおのパンチ"…。マグカルゴ…"げんしのちから"…」

 

「ブバァッ!」

 

「マゴォッ!」

 

 

ヤオウシティの東…ぽさんけの森へと続く出入り口付近で"ひふきポケモン":ブーバーと"ようがんポケモン":マグカルゴを従えたグウェルが手当たり次第に街に攻撃していた

 

そして、その場に話を聞き付けたリゼ、アンジュ、健屋が駆け付け、その光景に驚愕する

 

 

「本当だ…!街を襲ってる…!」

 

「どういうこと…!どうしてグウェルさんが…!」

 

「ねぇ…!あの頭、何か変なのがいない…!?」

 

 

アンジュにそう指摘され、リゼ達はグウェルの頭部を注視する

 

すると、そこにいたあるものを見て、リゼ達は更に驚愕する

 

 

「何あれ…!ポケモン…!?」

 

「グウェルさんの頭に被さって…!まるで乗っ取ってるみたい…!まさか、あのポケモンの神経毒に侵されて操られてるの…!?」

 

 

グウェルの頭部に帽子のように乗っかる触手を持ったポケモンらしき生物がいたのだ

 

そして、リゼ達に気付いたのかグウェルとブーバー、マグカルゴが敵意を向けて迫り来る

 

 

「とにかく、まずはあの人を止めないと…!ほのおタイプにはみずタイプといわタイプ…!お願い!ポッタイシ!サイホーン!」

 

 

リゼはブーバー、マグカルゴにタイプ相性で有利なポッタイシ、サイホーンを繰り出す

 

 

「ブーバー…"ほのおのパンチ"…。マグカルゴ…"やきつくす"…」

 

「ポッタイシ!"バブルこうせん"!サイホーン!"すてみタックル"!」

 

 

グウェルの攻撃にリゼは間髪入れずに切り返し、ポッタイシとマグカルゴ、サイホーンとブーバーの技がそれぞれぶつかり合う

 

 

「ポッタイシ!"メタルクロー"!サイホーン!"うちおとす"!」

 

 

続くリゼの指示で、ポッタイシとサイホーンの技がそれぞれマグカルゴとブーバーに炸裂する

 

 

「このまま押し切る…!ポッタイシ!"バブルこうせん"!サイホーン!"うちおとす"!」

 

 

攻撃の手を緩めることなく、リゼはポッタイシとサイホーンにトドメの指示を出す

 

 

「ブーバー…マグカルゴ…"ふんえん"…」

 

 

だが、ブーバーとマグカルゴが共に繰り出した技"ふんえん"がポッタイシとサイホーンの技を防ぎ、更には2体に襲い掛かる

 

 

「2体同時の"ふんえん"…!範囲攻撃で味方にもダメージを与えてしまう技だけど、向こうの2体はそれを半分のダメージに抑えられる…!」

 

「それに2体同時だから威力もその分上がってこっちの攻撃を掻き消される…!このままだと…!」

 

 

一方的にやられる…リゼがそう思った時、アンジュのボールから1匹のポケモンが飛び出す

 

 

「ビパァ!」

 

「ビッパ…!なんで急に…!?」

 

「ビパ!ビパビパビィ!」

 

 

突然のことにアンジュが驚くなか、ビッパは必死に何かを伝えようとする

 

 

「…もしかして、何か考えがあるのか?」

 

「ビパァ!」

 

「アンジュさん…!この状況を打開する手立てがあるなら試してみても…!」

 

 

健屋がそうアンジュに声を掛ける

 

だが…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…っ!」

 

 

突然、顔色が悪くなり、過呼吸となるアンジュに健屋は目を見開いた

 

 

(酷い過呼吸…!急にどうして…!もしかして、何か大きな病を…!?)

 

「ビパァ!」

 

 

健屋がアンジュの身に何が起きたのか心配するなか、今度はビッパが突然、アンジュの腕に噛みついた

 

 

「…っ!ビッパ…?」

 

「ビィィ〜…!」

 

 

過呼吸が少し収まり、自身を睨むビッパにアンジュは視線を向ける

 

 

「…ちゃんとしろ…怖がるな…そう言いたいんか?」

 

 

アンジュの問いに、ビッパはただ頷いて肯定する

 

 

「…分かった。お前を信じるよ…頼んだぞ、ビッパ…!」

 

「ビパァ!」

 

 

アンジュの言葉を聞き、噛み付いていた腕から離れたビッパは穴を掘り始め、そのまま地中を進んでブーバーとマグカルゴへと突き進む

 

 

「ブーバー…マグカルゴ…もう1度"ふんえ…!」

 

 

そして、1度目の"ふんえん"が収まり、2度目が放たれる直前…ビッパは"あなをほる"をブーバーとマグカルゴに炸裂させ、2体を戦闘不能にする

 

 

「やった…!成功した…!」

 

「ビッパ凄い…!」

 

 

ビッパの活躍にリゼと健屋が声を上げ、アンジュはホッとしたのかその場にへたり込み、ブーバーとマグカルゴを倒してこちらに満面の笑みを向けるビッパに微笑む

 

 

「ありがとう…ビッパ…」

 

 

アンジュが小さくそう呟いた…次の瞬間…

 

 

「うおおおおおお…っ!」

 

「ビパァ…ッ!?」

 

「ビッパ…!!」

 

 

ブーバーとマグカルゴがやられたからか、謎のポケモンに操られたグウェルがビッパに襲い掛かろうとする

 

 

「アマージョ!"ふみつけ"!」

 

 

その時、どこからともなく現れた"フルーツポケモン":アマージョがグウェルをふみつけ伏せ、ビッパを助ける

 

 

「奇抜な帽子を被って、こんな真っ昼間から何してるのかしら?グウェルちゃん」

 

 

そして、リゼ達の後ろから妖艶な女性が姿を現す

 

 

「巴さん…!」

 

「巴さん…?もしかして、ヤオウシティのジムリーダーの…!?」

 

 

健屋が呼んだ名に、リゼが驚きの声を上げる

 

 

「健屋さん、怪我はない?」

 

「うん、大丈夫だよ!」

 

「ならよかった。あなた達も大丈夫?」

 

「は、はい…!」

 

「危ないところをありがとうございました…!」

 

 

巴はリゼ達の無事を確認し終えると、アマージョにふみつけられているグウェルに歩み寄る

 

 

「それで?なんとか答えたらどうなの?グウェルちゃん」

 

「巴さん、待って…!グウェルさんは…!」

 

 

明らかな敵意を持ってグウェルに迫る巴を健屋が止めようとした時、グウェルの頭部に被さっていた謎のポケモンが逃げるようにそこから離れる

 

 

「…っ!帽子じゃない…!?」

 

「ポケモンだよ…!巴さん…!アレが神経毒を使ってグウェルさんを操ってたの…!」

 

「なるほど、道理でグウェルちゃんがこんなことしてたわけね。頭おかしい企画ばかりやって本当に狂ったのかと思ったわ」

 

(す、凄いボロクソ言ってる…)

 

 

グウェルの行動に合点がいった巴の辛辣な言葉にリゼが困惑するなか、謎のポケモンは森の方へと逃げ去って行く

 

 

「逃げ出した…!?追い掛けないと…!」

 

「待ってください!リゼさん!」

 

 

逃げる謎のポケモンを追おうとするリゼを健屋が引き止める

 

 

「で、でもあのポケモンをどうにかしないと…!」

 

「はい、グウェルさんのような被害に遭う人や被害に遭わせてしまう人が更に出る危険があります。でも、あのポケモンのことを何も知らないまま立ち向かうのはもっと危険です…!」

 

「でも、見たこともないポケモンのことを接触無しに知るなんてこと…」

 

「いいえ、情報ならあります。アレは昨今各地方でも目撃されている異世界から来たウルトラビースト。名前はたしか…ウツロイドと呼ばれるポケモンだと思います」

 

 

健屋の言葉に、一同が驚愕する

 

 

「ウルトラビーストって…あの…!?」

 

「異世界から来たポケモン…!?それってどういう…!」

 

「ウルトラビーストは…ウルトラホールと呼ばれる異世界に通じる空間の裂け目から現れるまだこの世界では確認されたことのない未知のポケモンなんだよ…。話には聞いていたけど…」

 

「でも健屋さん、どうしてアレがそのウルトラビーストだって分かるの?」

 

「分かるというか、私も名前だけで姿までは知らないから確証はないんだけど…ポケモンドクターを目指す上で勉強した文献の中に一致する部分があったの。ゆらゆらと空中を漂う触手のポケモンで、神経毒を使って人やポケモンを操るって…」

 

「たしかに、見た目と特徴は一致してる…」

 

「タイプはいわ・どくって、文献には書いてあったと思います。それ以上のことは…」

 

 

バトルに役立つ情報が少なく、肩を落とす健屋

 

そんな健屋の頭を巴は優しく撫でる

 

 

「十分な情報よ。ありがとう、健屋さん。それと申し訳ないけどグウェルちゃんを任せてもいい?この街のジムリーダーとして、後は私が対処するわ」

 

 

そう言うと、巴はウツロイドが逃げだぽさんけの森に向かって歩き出す

 

 

「私も行きます…!」

 

「リゼ…っ!?」

 

「相手は未知のポケモンです!戦力は多いに越したことはないと思います!」

 

 

力強く同行を志願するリゼに、巴は足を止める

 

 

「あなた、お名前は?」

 

「ヘルエスタシティのリゼです!ポケモンリーグ挑戦を目指すポケモントレーナーとして、力にならせてください!」

 

 

臆する様子はなく、はっきりとそう告げたリゼに巴はクスリと微笑む

 

 

「威勢と度胸のある子は好きよ。なら、協力をお願いしてもいいかしら?ただし、私が危険だと判断したらすぐに逃げること…これだけは約束してくれる?」

 

「はい…!」

 

「リゼが行くなら私もついて行かないとな…」

 

 

巴の同意を得て、リゼとアンジュは共にウツロイドを追ってぽさんけの森へと向かう

 

 

 

 

「あちゃ〜…。完全に壊れちゃってますねぇ…」

 

 

ぽさんけの森…ウルトラホールが開いた場所に戻ってきた夜見と椎名はその原因となった機械の壊れ果てた姿に冷や汗を流していた

 

 

「これ、夜見のところの社長さんから黙って持ってきたんやったよな…?大丈夫なん…?」

 

「し、社長なら正直に話せば許してくれる…と思う。それより問題なのは…」

 

「ウルトラビーストってヤツか…」

 

 

椎名の推測に、夜見はこくりと頷く

 

 

「あのポケモンが通って来たウルトラホールが閉じてしまった以上、野放しにするのと非常にマズイです…。社長はもちろん、リーダーからもキツいお叱りを受けることは間違いありません…」

 

「なんでこんなことにぃ〜…っ!それもこれもウチらを驚かしたあのスーツおっさんのせいや…!」

 

 

自分達の置かれた状況に椎名は地団駄を踏む

 

 

「ロォイ…ッ!」

 

「…っ!?椎名先輩…っ!危ない…っ!」

 

 

突然、椎名の背後から攻撃が飛来するが、それに気付いた夜見が咄嗟に椎名を突き飛ばしたことで直撃を免れる

 

 

「痛…っ!一体何やね…って…!?うわああああああああ…っ!」

 

 

自身に攻撃してきたものの正体を目にし、椎名は叫び声を上げる

 

攻撃の主は彼女達が呼び寄せてしまったウツロイド…その雰囲気からは怒りの感情が感じられていた

 

 

「もしかして、呼び寄せちゃった私達に怒ってる…?」

 

「ロォイ…ッ!」

 

「じ、事故なんやから許してやぁぁぁ…っ!」

 

 

敵意を向けるウツロイドに、泣き叫ぶ椎名と夜見はそれぞれのポケモンを繰り出して応戦する

 

 

 

 

「…!あっちの方角から音がする…!」

 

「急ぎましょう…!」

 

 

ウツロイドを追い掛け、ぽさんけの森にやって来たリゼ達は森の奥から響く戦闘の音を聞き、その方角へ走り出す

 

そして、1分と走らずにリゼ達は追っていたウツロイドとそれに対峙している2人の少女を目撃する

 

 

「人が襲われてる…!」

 

「助けないと…!お願い!ポッタイシ!"バブルこうせん"!」

 

「いきなさい!アマージョ!"トロピカルキック"!」

 

「頼んだよ…っ!ビッパ…!"ずつき"!」

 

 

リゼ達は各々のポケモンを繰り出すとともに指示を出し、ウツロイドに攻撃を仕掛ける

 

それを察知したウツロイドはひらりひらりと攻撃を躱し、リゼ達との距離を取る

 

その隙に、リゼ達は襲われていた2人の少女の下に駆け寄る

 

 

「大丈夫ですか…!?」

 

「た、助かった…!」

 

「安心しないで!ここにいたら巻き込んじゃうかもしれないから、今のうちに逃げなさい!」

 

「わ、分かりました…!椎名先輩…!行きますよ…!」

 

 

巴の警告を受け、椎名と夜見はその場から離れるなか、怒りを露にするウツロイドに向き合うリゼはその姿に心を痛める

 

 

「ねぇ!あの子は異世界から来たんでしょ!?送り返してあげることは出来ないの!?」

 

「ウルトラホールは前触れもなく発生するって聞いてるし、人工的に…それも特定の異世界に繋げる方法があるかも分からない…!」

 

「少なくとも、今この場でそれは不可能よ。だからあのポケモンには悪いけど…」

 

「倒して大人しくさせるしかない…ってことですね…。分かりました…!」

 

 

可哀想だが、これ以上の被害を出さないためにも仕方がない…と、覚悟を決めたリゼはアンジュ、巴と共にウツロイドとのバトルに臨む

 

 

「ポッタイシ!"メタルクロー"!」

 

「ビッパ!"あなをほる"!」

 

 

ポッタイシ、ビッパがそれぞれウツロイドへと仕掛ける

 

地上から迫るポッタイシにウツロイドは"ベノムショック"で迎撃し、ポッタイシは"メタルクロー"を発動させた腕をクロスさせてそれを受け止める

 

直後、地中から接近したビッパが"あなをほる"で攻撃するが、ウツロイドはその場から軽く上昇することでそれを躱す

 

 

「アマージョ!"トロピカルキック"!」

 

 

そこに、空中へ跳躍したアマージョが上から"トロピカルキック"を仕掛ける

 

だが、ウツロイドは手数のある触手を利用した"どくづき"によって防御と迎撃を行い、アマージョを返り討ちにする

 

 

「アマージョ…っ!あのポケモン…隙がない上に動きが早いわね…!」

 

「1発でも当たれば、そこから崩して一気に攻められるのに…!」

 

「どうすれば…!」

 

「ポタッ!ポタポォッ!」

 

 

ウツロイドの強さにリゼ達が歯噛みするなか、ポッタイシが何かを訴える

 

 

「ポッタイシ…!何か方法があるのね…!」

 

「ポタァッ!」

 

「分かった!あなたを信じる!行って!ポッタイシ!」

 

 

リゼの想いに応え、ポッタイシは新たに習得した技を発動させる

 

手を上げ、頭上に集中させたみずのエネルギーが逆巻き、巨大な渦を作り出す

 

技の名は"うずしお"…ポッタイシはそれをウツロイドに向けて放つ

 

技自体の威力は低いが、攻撃の範囲がデカいそれはウツロイドを逃がすことなく、渦の中へと呑み込む

 

 

「捕らえた…!"うずしお"に拘束されていれば自由には動けない…!今よ、アマージョ!"トロピカルキック"!」

 

「ビッパも"あなをほる"!」

 

 

ポッタイシの"うずしお"がウツロイドを拘束したのを機に、アマージョとビッパがそれぞれ攻撃に転じる

 

"うずしお"の中心に囚われたウツロイドにアマージョが先程と同じく跳躍しての"トロピカルキック"を繰り出す

 

そして、触手が激しい渦に引っ張られていたウツロイドはすぐに迎撃することが出来ず、アマージョの"トロピカルキック"を諸に食らい、そのまま"うずしお"を突き抜けて地面へと押し出される

 

そこへ、続け様にビッパの"あなをほる"が炸裂し、ウツロイドは大きく吹き飛ばされて地面へと堕ちる

 

 

「ロ、ロォイ…」

 

 

弱々しい声を発した後、ウツロイドは完全に気絶し、戦闘不能となった

 

 

「た、倒せたの…?」

 

「どうやら、そうみたいね」

 

 

ウツロイドの戦闘不能を確認し、安堵したリゼとアンジュはその場に座り込む

 

 

「よかった〜…!お疲れ様、ポッタイシ…。新しい技も覚えて、よく頑張ったね…」

 

「ポッタ!」

 

「ビッパもありがとな…。お前のおかげで、少しは殻が破れた気がするよ…」

 

「ビパァ!」

 

 

リゼとアンジュに労われ、ポッタイシとビッパはそれぞれ喜びを表現する

 

 

「アマージョ、お疲れ様。さて、あとはこの子をどうするかだけど…」

 

「あのぉ〜…」

 

 

巴が大人しくさせたウツロイドの処遇について考えようとした時、リゼ達の後ろから声が掛かる

 

リゼ達が振り返ると、そこには先程ウツロイドに襲われていた2人の少女…椎名と夜見がいた

 

 

「あなた達はさっきの…!」

 

「し、椎名唯華で〜す…」

 

「夜見れなと言います。よろしければ、そのポケモンは私達が保護します」

 

「保護…?いきなり出てきて何を…」

 

「実は私、こういう者で…」

 

 

と、夜見は疑いの目を向けるアンジュ及びリゼと巴に名刺を差し出す

 

 

「加賀美インダストリアルの特別社員…!あなた達が…?」

 

「あっ、椎名先輩はアルバイトですけどね〜。実は我が社は近年各地方の企業や組織と連携してウルトラビーストの問題に取り組んでいるんです」

 

「そんな人達がどうしてこんなところに…?」

 

「実は偶然で、この近くで沼地に現れたベトベトンを保護する仕事があって、この街に滞在していたんですよ〜。そのポケモンは何故かいなくなってましたけど…」

 

「ベトベトン…!?それって…!」

 

「リゼが三枝さんと不破さんと協力して、最終的に不破さんがゲットしたアレか…!」

 

「ぇあ〜、あなた方が対処してくれたんですか?まあ、持ち主が出来たなら何も問題ないのでむしろ助かりました〜!」

 

「…分かったわ、信じましょう。加賀美さんと同じジムリーダーの私にバレる嘘は吐かないと思うし」

 

「それじゃあ、失礼して…えいっ!」

 

 

と、疑いが晴れた夜見はウルトラビースト捕獲のために作られた特別なボール…ウルトラボールを投げ、ウツロイドをゲットする

 

 

「ご協力、ありがとうございました。それでは、私達は一刻も早くこの子を社長の下へ届けないといけないので、失礼します。椎名先輩、行きますよ」

 

「助けてくれてほんとありがとな〜!」

 

 

そう言って、夜見と椎名は東の方角に向かって森の中へと消えていった

 

 

「まあ、色々あったけどこれで一件落着かな?あ〜、疲れた〜…!」

 

「白雪さん、ありがとうございました」

 

「あら、お礼を言うのはこっちの方よ。リゼさん、それにアンジュさん。私1人だったらあのポケモンを止めることは出来なかったわ。何かお礼が出来ればいいのだけど…」

 

 

と、巴は考えた末に1つの提案を思いつく

 

 

「そういえば、リゼさんはポケモンリーグを目指してるんだったわね。実力は十分あると思うし、ジム戦はすっ飛ばしてバッジをあげてもいいのだけど、どう?」

 

 

巴からの提案にリゼは一瞬目を丸くするが、すぐに真剣な眼差しで向き直る

 

 

「そう評価してもらえるのはありがたいんですが、バッジはちゃんとバトルした上で貰うので遠慮させていただきます。お礼と言うのであれば、全力でバトルしてもらいたいです」

 

 

リゼの真っ直ぐな言葉に、巴はクスリと微笑む

 

 

「ふふ、そうよね。失礼なことを言ってごめんなさい。朝は無理だけど、お昼から夜の間なら空いてるからいつでも挑戦を待っているわ」

 

「分かりました!また明日、挑戦しに来ます!」

 

 

巴とのジム戦の約束を取り付け、リゼは闘志を湧き上がらせる

 

 

 

かくして、ウルトラビースト:ウツロイドの騒動を解決したリゼとアンジュ

 

次に待つのは3人目のジムリーダー:白雪巴

 

果たして、リゼと巴…どのようなバトルが繰り広げられるのか…!

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:ポッタイシ、イーブイ、バタフリー
   サイホーン

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

白雪巴
手持ち:アマージョ

グウェル・オス・ガール
手持ち:ブーバー、マグカルゴ
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