「いやぁ、リゼの熱いバトルを見た後のご飯は格別だな〜」
「なんでバトルした本人よりも食が進んでるの…?」
ヤオウシティのジムリーダー:白雪巴とのジム戦に勝利したその日の夜…リゼはアンジュと一緒にポケモンセンターで夕食を取っていた
「リゼが3つ目のジムバッジをゲットしたんだよ!これで食わず飲まずにいられるかっての〜!」
「祝ってくれるのは嬉しいけど、ハメを外しすぎて明日動けないなんてことにはならないでよ?」
「そう急ぐなってリゼ〜!時には休息を取るのも大事やでな!次のジムがあるスメシシティに行くのはもう少しゆっくりしてからでもいいんじゃないかな?」
「…アンジュ、もしかして酔ってる?」
やたらテンションの高いアンジュにリゼは疑いの目を向ける
「お!リゼやん!」
すると、後ろから自身の名を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえ、リゼはハッと振り返る
「笹木さん…!」
声の主はリゼと同じ日に旅立った友人であり、ライバルの1人である笹木咲だった
「やっぱりもう来てたんやな。ここのジムには挑戦したんか?」
「ふふーん!当然、勝ちましたー!」
「早っや…!くそぉ…!卯月だけじゃなくてリゼにも追い抜かれるなんて…!」
「明日には次のジムがあるスメシシティを目指すつもりだから、私との差は更に広がっちゃうね〜!」
自分の一歩先を行かれていることに悔しがる笹木を、ジム戦に勝って上機嫌なリゼはここぞとばかりに煽る
「え?リゼ、明日もうここ出るんか?タッグバトル大会には出場しないの?」
「え…?タッグバトル大会…?」
だが、リゼの発言に疑問を覚えた笹木から告げられた言葉に、リゼの表情は一変する
「知らんの?ポケモンセンターの入り口にチラシ貼ってあったで。この街の3大看板の1人、グウェル・オス・ガール主催のタッグバトル大会が明後日行われるって」
「全然知らなかった…。でも、タッグバトル大会かぁ…。アンジュが一緒に出てくれるならいいんだけど、そうでないなら遠慮しようかなぁ…。知らない人と2人組になるの…気不味いし…」
タッグ…つまりは2人組という点に何らかの因縁があるリゼは参加に対して消極的になる
「それと、優勝者にはそれぞれ1つずつ、ポケモンのタマゴをプレゼントするって」
「ポケモンのタマゴ…!?やるやる!絶対参加する!」
と、優勝賞品に釣られたリゼは一瞬にして掌を返し、大会出場を宣言する
*
そして2日後…リゼはアンジュと共にタッグバトル大会が開催される場所となるヤオウジムに訪れる
「大会かぁ…。公式の大舞台じゃないけど、緊張するなぁ…」
「というか、タッグを組むのは大丈夫なの?」
「そこは笹木さんが組んでくれるって約束してくれたから問題ないよ。本当はアンジュと一緒に出れたらよかったんだけど…」
「ま、まあ、ウチはブランクがあるし?それにうっかり優勝してタマゴ貰っても孵化まで育てられる自信がないかな〜…」
「たしかに、サボテン枯らしちゃうくらいだもんね」
「そこは残念がるところじゃないかなぁ!?」
アンジュが辛辣なコメントをいただいたところで、リゼ達はジムの中へと入る
「あっ!リゼ殿!それにアンジュ殿も!」
中に入って早々、リゼ達を歓迎しに本大会主催者のグウェルが2人の下に駆け寄る
「いやぁ、待ってましたよ!お二人で参加ですか?」
「いえ、今日は私1人でアンジュは観戦です」
「そうですか。白雪殿とともにあのウルトラビーストと戦ったアンジュのバトルも是非見てみたかったですが…」
「あはは…申し訳ないです」
「それでは、リゼ殿は参加…と。これで参加者は16人…ちょうど良さそうですね。では、リゼさんはこちらに。大会が始まる前にタッグの相手を決めてもらうので」
「分かりました。それじゃあ、アンジュ!行ってくるね!」
「おう!頑張ってな!」
アンジュとは一旦別れ、リゼはグウェルの案内を受けて参加者の控室に移動する
控室には数分と経たずに到着し、グウェルがその扉を開けてリゼは共に中へと入る
「皆さん、お待たせしました!最後の参加者が揃いました!」
「ようやくか…!それじゃあ、さっさと始めよ…って!?リゼさん!?」
「ほんまや!リゼちゃんや!」
「久しぶり〜!」
「葛葉さん…!それにひまちゃんと叶さん、凛月さんにあまみゃも…!」
リゼが控室に入ると、そこにはこれまでの旅で出逢った友人でありライバルの葛葉、ひまわり、叶、凛月、天宮の姿があった
「皆さんも参加してたんですね!」
「ここには昨日着いたばっかだけど、こんな面白ぇ大会あったら参加するしかねぇだろ!」
「腕試しにもちょうどいいしね」
「それにタッグバトルなんてなかなかせんけん、いい機会と思って!」
「ひまは優勝賞品のタマゴが欲しくて〜!」
「あまみゃも〜!」
「なんや〜、リゼ〜!知り合いか〜!」
リゼが葛葉達との会話が弾ませるなか、笹木が卯月とりりむと共にリゼの下に集まる
「笹木さん!それにコウさんにりりむさんも!」
「やっほー!」
「参加すると思ってたよ、リゼさん。メイド喫茶の時のリベンジ、ここで果たせてもらうからな」
「望むところです!」
コウのリベンジ宣言にリゼが応えるや否や、叶がリゼに声を掛ける
「リゼさん、そちらの方はお友達?」
「はい!私と同じトレーナーズスクールに通ってた友人の笹木さんとコウさん!りりむさんはコウさんの旅の連れなんです!」
「コウ…!もしかして、ヘルエスタシティトレーナーズスクールの卯月コウさんですか…!」
「なに?有名人なの?叶」
「そうだね。ヘルエスタシティで開かれてる小さな大会で戦績を残してるって聞いてるよ」
「へぇ〜」
「叶…!シーズシティで有名な"クロノワール"…葛葉と叶の叶…!?ってことはそこの白い髪のお前は…!」
「あ、ども…葛葉です」
「いや声小っさ!」
「初見の人にいつまで人見知り発揮してるんだよw」
「うるっせぇなぁ!」
コウ達と葛葉達が顔を合わせていると、更にリゼの下に人が集まる
「ふふ、賑やかね」
「リゼさん超人気者じゃないっすか!」
「でも分かるな〜!リゼさん素直で真っ直ぐだから!」
「やっぱこういう人が人徳あるのか〜」
「妙に惹きつけられるところがあるよね〜!」
「白雪さん…!?それに三枝さんに不破さん、健屋さんに愛園さんまで…!」
「グウェルちゃんに呼ばれて仕方なくね。でも、健屋さんとタッグが組めるなら悪くないわ」
「ねー!もしバトルすることになったら、私と巴さんの抜群のコンビプレイを見せてあげる!」
「コンビプレイって言うなら、私とアッキーナも負けないよ!ね!アッキーナ!」
「あ、愛園さん…!?分かったからもうちょっと体は離して…!」
「私だって負けません!って、あれ…?不破さんは誰と組むんですか?」
「それがおらんねんよな〜!あはははは!まあ、俺誰とでも仲良くできる自信あるから問題ないっすよ!」
「そ、そうなんですね…」
知らない人と組むということを全く悲観していない不破の陽キャぶりに、リゼは思わず後退りしてしまう
そして、リゼ達の会話が終わるのを待ってくれたグウェルは頃合いを見て説明を始める
「それでは皆さん、開会式を始める前にこの中からタッグを組む相手を決めてください」
「じゃあ、ウチは予定通りリゼとやな!よろしく頼むで!」
「こちらこそ!」
「俺はりりむちゃんと」
「うん!頑張るぞー!」
「俺は当然、叶とだ」
「そうだね。問題は…」
「ウチら3人…やな」
リゼと笹木、コウとりりむ、葛葉と叶のタッグが決まるなか、ひまわり、凛月、天宮の3人は誰が組むかで悩んでいた
検討した結果、公平にじゃんけんで決めることとなり、最終的にひまわりと凛月がタッグを組むことになり、天宮は他の人と組むことになった
「よろしくね!りっちゃん!」
「こちらこそ!ひまちゃん!」
そして、巴と健屋、明那と愛園がタッグを組み、余っていた不破が天宮と組むこととなった
「あ、どうも〜。不破湊と申します〜」
「あ、天宮こころです…。よろしくお願いします…」
(え…?全然よそよそしいけど大丈夫なの?あれ…。誰とでも仲良くなれる陽キャじゃなかったの…?)
余りで組むこととなった不破と天宮の様子にリゼは心配する
「これで7組目…。最後に残ったそちらのお二人はそのままタッグでよろしいでしょうか?」
「はい、問題ないです」
そして、グウェルが控室の隅に座っていた2人の男女に最後の確認を取り、一同は開会式のためにジムのバトルフィールドに移動する
*
『レディース&ジェントルマン!ようこそ皆様!この度はヤオウシティ、タッグバトル大会にお越し頂き誠にありがとうございます!司会実況進行を努めますは私、グウェル・オス・ガールです!どうぞよろしくお願いします!』
真っ暗なバトルフィールド…そこに設けられた実況席の前でスポットライトを当てられたグウェルが開会式を始める
『さて、ご存知の方もいると思いますが、私グウェル・オス・ガールはここヤオウシティでエンターテイメントを主流にしたライブショーを営んでいます。訪れる方々を楽しませる日々の中、私は大きな事を実行し、人々を熱狂させたいと考えていました』
一呼吸置いて、グウェルは続ける
『そんななか、ある出来事とある日1人のトレーナーのバトルを拝見して私は気付きました。ポケモンと暮らすこの世界において、ポケモンバトルこそが1番人々を熱狂させられるのだと!そして、ポケモンとの絆だけでなく、同じトレーナーと協力して勝利を目指す…それは非常に美しいものだと思いました!』
そこでグウェルは大きく息を吸い、左腕を力強く天に突き出す
『そこで私は本日!この場にてタッグバトル大会の開催を宣言します!』
「「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」」
グウェルの宣言と共に、満員の観客席から大歓声が響き渡る
『今回の大会はトーナメント制。タッグを組んだ8組のトレーナー達がそれぞれのブロックを勝ち上がり、優勝したタッグにはこの…ポケモンのタマゴを1つずつ差し上げます!』
専用のカプセルに入れられたタマゴがお披露目され、観客席のボルテージは更に高まる
『さて、それでは今大会の参加者を紹介していきます!まずはエントリーNo.1!ポケモントレーナーとして旅立ったばかり…しかし、その僅かな間に止まることなくジムを制覇してきた期待の新星!リゼ殿&笹木殿!』
「うおおおおお!」
「ど、どうも〜…!」
グウェルの紹介を受け、スポットライトを当てられたリゼは照れながら手を振り、笹木は両腕を突き上げて観客にアピールする
そして、同じような流れでコウとりりむ、葛葉と叶、ひまわりと凛月、明那と愛園、巴と健屋、不破と天宮も紹介され、いよいよ最後の1組の紹介に移る
『そして最後!エントリーNo.8!遥々コーヴァスシティからの参加!砂漠の地で強さを磨いたこのタッグはどんなバトルを見せてくれるのか!イブラヒム殿&フレン殿!』
「いえーい!応援よろしくー!メリー!頑張るからねー!」
「はしゃぎ過ぎだろ…」
『さあ!これで全ての参加者の紹介が終わりました!そして、次は運命の組み分け!抽選の結果は…このようになりました!』
第1試合:リゼ&笹木vsコウ&りりむ
第2試合:明那&愛園vs不破&天宮
第3試合:葛葉&叶vsひまわり&凛月
第4試合:巴&健屋vsイブラヒム&フレン
「いきなりコウさんが相手か…」
「なぁに、ウチとリゼが組めば卯月なんて敵じゃないよ!」
「言ってくれるじゃん。メイド喫茶の時よりも磨き上げた俺とりりむちゃんのバトル、見せてやるよ」
「負けないぞー!」
「早速ふわっちと対戦か…!向こうは初見同士だし、この勝負は貰ったも同然だな!」
「油断は駄目だよ、アッキーナ」
「出番まで時間あるっすね。作戦とか立てるついでにお喋りでもしません?」
「わ、分かりました…」
「初っ端から葛葉と兄やんか…。ひま達勝てるかなぁ…」
「大丈夫だよ、ひまちゃん!私がサポートするけん!」
「最初の相手はひまちゃんと凛月さんか。葛葉、うっかり手を抜いてもいいよ」
「はあ?なんで俺がそんなことすんだよ。バトルするからには相手がガキだろうと手加減なんてしねぇよ」
「そうだね、それでこそ葛葉だ」
「頑張ろうね!巴さん!」
「頼りにしてるわ、健屋さん。でも油断しないでね。私達と最初に当たるあの2人…相当強いから」
「そうなの?」
「ええ。あの2人とは既にジム戦をしたけれど、特にあの褐色肌の子…イブラヒムさんは別格。まず間違いなく、近い将来本気の私も超えるトレーナーになるほどの実力があるわ」
『それでは、これより予選第1試合を始めます!出場者はバトルフィールドに!』
「いくぞ!リゼ!」
「うん!」
「勝つぞ!りりむちゃん!」
「おー!」
こうして、グウェル主催のタッグバトル大会の幕が上がった
並み居る実力者達を相手に、リゼと笹木は優勝を掴み取ることができるのか…!
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:ポッタイシ、イーブイ、バタフリー
サイホーン
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ