にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第23話「リベンジマッチ!葛葉vsイブラヒム!」

 

「リゼ〜!もうお昼だぞ〜!起きろ〜!」

 

 

ヤオウシティでグウェルにより開催されたタッグバトル大会の翌日…ポケモンセンターの一室に宿泊していたリゼは前日の疲れが溜まっていたからか、昼まで布団に包まって寝ており、それを見かねたアンジュが声を掛ける

 

 

「ん〜…。もうそんな時間…?」

 

 

まだ眠気が残る声を発しながら、リゼはゆっくりとベッドから起き上がる

 

 

「まったく…。だから昨日の晩の打ち上げは程々にした方がいいって言ったのに…。皇女様がこの体たらくだと将来が不安だよ」

 

「だって、打ち上げなんて滅多に出来ないし、楽しかったんだもん…。あと、ヘルエスタにいた頃は毎日平気で夜更かししてたアンジュに言われたくない…」

 

 

だらしなさに溜息をつくアンジュに、リゼは眠たげながらも反論する

 

リゼとアンジュは昨夜、一部を除いてタッグバトル大会に出場した人達とその関係者を交えた打ち上げに参加し、夜遅くまで楽しんでいたのだ

 

 

「ほら、早く起きて身支度しないと今日中に次の街へ出発出来ないよ?」

 

「…明日じゃダメ?」

 

「おい、それでいいのか?未来のニジサンジ地方チャンピオン様は?」

 

 

眠気と気怠さに敗北しようとするリゼにアンジュがツッコむ

 

 

「〜♪」

 

 

その時、微かに聞こえる綺麗な歌声を2人の耳が捉える

 

それが気になったリゼはベッドから立ち上がり、部屋の窓を開けて歌声の出どころを探そうと辺りを見渡す

 

 

「え…!?」

 

 

見渡した結果、リゼは光景を目にして思わず声を上げる

 

そして、驚く様子を見せるリゼが気になったアンジュも窓の外に顔を出す

 

 

「リゼ、一体何が…!?」

 

 

リゼの視線の先…それを目にしたアンジュは一瞬言葉を失った

 

 

「どういうこと…!?沢山のポケモン達が1箇所に集まってる…!」

 

 

リゼとアンジュが目撃したのは、ポケモンセンターの裏にある木々に囲まれた庭…その1箇所に沢山のポケモン達が集まっている光景だった

 

 

「ねぇ、歌声もあそこから聞こえてきてない…!?」

 

「たしかに、方角はあそこからだね…!」

 

「確かめに行こう!」

 

 

歌声の出どころがポケモン達の集まっている場所だと推測したリゼは急いで身支度を整え、アンジュと共にポケモンセンターの裏庭へと向かう

 

 

 

 

「♪〜」

 

 

ポケモンセンターの裏…トレーナーのためのバトルフィールドも設けられた庭で、1人の人物が歌を歌っていた

 

その歌声に魅了されてか、聞きつけた周辺のポケモン達はその人の周りに集まり、心地良さそうにその歌に聞き入っていた

 

そこへ更に2人…茂みの中から覗く者がいた

 

 

「凄い…!綺麗な歌声だし、ポケモン達も心地良さそうにしてる…!」

 

「うん…!間近で聞くと凄く不思議な感じっていうか…引き込まれるくらい惹かれるっていうか…!」

 

 

歌声を聞きつけてやってきたリゼとアンジュは茂みの中に隠れながらその歌声に聞き惚れていた

 

皇族の嗜みとしてこれまで聞いてきたオーケストラ等のそれとは違う、初めて耳にする新鮮かつ魅了的な歌声に、リゼは引き寄せられるようにもう少し近くで聞こうと一歩踏み出す

 

 

パキ…ッ!

 

「…っ!」

 

 

だが、歌声に夢中になっていたせいで足下を注意していなかったリゼは転がっていた木の枝を踏み折ってしまい、その音が周囲に響いてしまう

 

その音に、歌を歌っていた人物とポケモン達が気付き、ポケモン達は一斉にその場から逃げるように去っていった

 

 

「誰…?」

 

 

そして、歌を歌っていた人物は少し警戒しながら音のしたリゼ達が隠れている茂みを見つめる

 

悪気がなかったとはいえ、その人とポケモン達のひとときを壊してしまったことに罪悪感を感じたリゼはアンジュと共に潔く茂みから顔を出す

 

 

「ご、ごめんなさい…!悪気はなかったんです…!ただ、あなたの歌声が綺麗で邪魔したくなかったから…その…!」

 

「あー!君、昨日のタッグバトル大会で優勝した人だよね!バトル凄かったよ〜!なに?そこで僕の歌を聞いてたの?べつに普通に聞けばいいのに!ほらほら、こっち来なって!」

 

「え…?あ、その…どうも…」

 

 

リゼは相手の予想外な反応に困惑の表情を浮かべながら、アンジュと共に茂みから出る

 

 

「その、歌ってたところを邪魔しちゃってごめんなさい。私はリゼ…こっちは親友のアンジュ」

 

「どうも」

 

「全然気にしてないから大丈夫だよ〜!僕はメリッサ!よろしくね〜!」

 

 

リゼの自己紹介に、メリッサは気さくに応える

 

 

「メリッサさんの歌声、凄いですね!私とアンジュもそうだったけど、野生のポケモン達も聞き入っちゃうくらい魅力的で…!」

 

「ありがと〜!そんなつもりはないけど、めちゃくちゃ寄ってくるんだよね〜。僕も分かんない」

 

「タッグバトル大会を観戦してたみたいだけど、ここに住んでるの?」

 

「ううん、僕旅してるんだ〜。タッグバトル大会を観戦してたのは友達が出場してたからなんだ」

 

「あの参加者の中に…?一体誰の…?」

 

「おーい!メリッサー!買い出し終わったからそろそろ…。あっ…!」

 

「あれ…!リゼさんじゃん…!」

 

 

リゼ達とメリッサが話している最中、メリッサを呼ぶ声に全員が振り向く

 

そこには、昨日のタッグバトル大会決勝戦でリゼと笹木がバトルした相手…イブラヒムとフレンの姿があった

 

 

「もしかして、メリッサさんの友人って…!」

 

「うん!イブラヒムとフレンだよ!」

 

 

 

 

「じゃあ、改めて名乗るわ。俺はイブラヒム、こいつはフレン、そしてこいつはメリッサ」

 

「イェッ」

 

「フレン・E・ルスタリオで〜す!改めてよろしくお願いします!リゼさん、アンジュさん!」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。イブラヒムさん、フレンさん、メリッサさん」

 

 

ポケモンセンターの裏庭で偶然にも再会したリゼ達はポケモンセンターのラウンジで共に昼食を取ることになった

 

 

「まさかすぐにこんな形で再会するとは思いませんでした」

 

「そうですね!もしかしたら私達、運命で結ばれてるのかもしれませんね!」

 

「あ、こいつの言葉はいちいち真に受けないでもらって大丈夫です」

 

「フレン女の子にはすぐナンパするからね」

 

「ナンパじゃないよ!好きって気持ちを素直に伝えてるだけじゃん!」

 

「それを手当たり次第にやってると、世間ではナンパって言われるんだよ」

 

「なに?人を好きになるのはいけないって言うの?」

 

「そうだそうだ!好きという気持ちを相手に伝える…それの何が悪いってんだ!」

 

「なんでアンジュが共鳴してるの…?」

 

「そっちも大変だな…」

 

 

変なところで息が合うアンジュとフレンにリゼとイブラヒムが呆れる

 

 

「そういえば、メリッサさんもポケモンリーグ挑戦を目指してるんですか?」

 

「ううん。僕はイブラヒムとフレンの旅に付いて行ってるだけ。この旅で得た経験が創作活動に活かせると思って」

 

「創作活動…?音楽活動じゃなくって?」

 

「音楽活動はその中心だけど、他にも絵を描いたり色んなことで自分を表現したいんだよね。それで色んな人に感動や喜びを与えられたらなって」

 

「凄くいい夢ですね!」

 

「ありがとう!リゼさんとアンジュさんはどうして旅に出たの?」

 

「えっと…私はポケモンリーグに挑戦したくてかなぁ…?アンジュはその付き添いで…」

 

「ヘルエスタでも名高い錬金術師が付き添い…ねぇ?」

 

 

メリッサの質問に動揺を見せたリゼに、イブラヒムは訝しむ

 

 

「まあ、可愛い子には旅をさせろって言っても身分が身分だし、そりゃ親も心配で付き添いくらい付けるよな」

 

「アンジュが付いて来たのは本人の意志だけど、正直過保護だと思うんだよね。そりゃあ、アンジュがいなかったら危なかった場面はあったけど…」

 

「…やっぱりリゼさん、ヘルエスタシティの皇族だろ?」

 

「…っ!?」

 

 

イブラヒムの指摘に、リゼは目を見開いて驚く

 

 

「な、なんでバレたの…?」

 

「"身分が身分"だって言った時に否定しなかったからな。それに、ヘルエスタの錬金術師は皇族と関わりがあるのは知ってた。そこから推測することは出来たってわけ」

 

「リゼさん本物のお姫様ってこと!?僕お姫様って初めて見た!」

 

「え…?リゼさn…リゼ様って皇族の方なんですか…?あれ…?私達大丈夫かな…?これまでの発言失礼になってないかな…?」

 

「あ、葛葉さんと同じ反応だ」

 

「こうなるから伏せてたんだけどなぁ…」

 

「それは…すまん!でもまあ、だからなんだって話だけどな」

 

「だね。リゼさんが隠してたのってそれで距離を取られたくないってことなんだろうし」

 

「ありがとうございます…。そういうことだから、フレンさんもそんなに気にしないでください」

 

「な、ならよかったぁ…。でも、流石に恐れ多いのでリゼ様って呼ばせてもらってもいいですか?リゼ様が良くても、ご両親がどう思うかは別だと思いますし、少しずつ関係を育んでいく方がいいかなって…」

 

「うん、変わったのは言葉遣いだけみたいだね」

 

「なんでそれで正すのが言葉遣いの方なんだよ…」

 

 

相変わらずのフレンに一同は再び呆れる

 

 

「にしても、まだトレーナーになって間もない上に礼儀正しそうな皇族とは思えないバトルの腕っ節だよな。誰から教わったんだ?」

 

「見様見真似だけど、主にアンジュととこちゃん…あとは私の兄上かな?」

 

「リゼ様のお兄さんもポケモントレーナーだったんですか?」

 

「うん、凄く強くてカッコいいトレーナーだった。でも、何年も前に家を出て行っちゃってそれきりなんだけどね…」

 

「そうなんですか…。リゼ様!何か手伝えることがあれば言ってくださいね!私、全身全霊を以って協力しますから!」

 

「僕も〜!」

 

「…2人共ありがとう。その時が来たら是非頼りにさせてもらうね」

 

 

こうして会話が続くこと数十分…昼食も取り終え、イブラヒムが立ち上がる

 

 

「さて…飯も食ったし、そろそろ俺達は行くか」

 

「え〜!もう出るの〜?」

 

「そういう予定だったろうが…」

 

「イブラヒムさん達は次は何処に?」

 

「南のエデンシティに行くんだ。オウマとスメシ…それとここのジムはもう終わってるから」

 

「そうなんですね。ジム戦、頑張ってください!」

 

「そっちもな…次会ったらバトルしようぜ。その時がポケモンリーグかその前かは分からねぇけど、リゼさんとのバトルは楽しめそうだからな。それじゃあ…」

 

「見つけた…っ!!」

 

 

イブラヒムがリゼに別れの挨拶を済ませようとした時、1人の人物が彼等に向かって声を上げる

 

 

「お前はたしか…」

 

「葛葉さん…!?それに叶さんも…!」

 

 

声の主である葛葉はその少し後ろに立つ叶と共にリゼ達の下…正確にはイブラヒムに詰め寄る

 

 

「イブラヒムだったよな?今から俺とバトルしろ…!」

 

「今から…?悪いけど、もうここを出るつもりなんだ。勝負なら次会った時に…」

 

「いいや、今ここでだ…!タッグバトル大会では負けたが、ポケモンリーグでのバトルはシングルバトル…!どっちが強いのか、それで白黒はっきりつけさせろ…!」

 

 

有無を言わさぬ様子でバトルを申し出る葛葉と目を合わせ、イブラヒムは少し考え込む

 

 

「…分かった。そこまで言うなら付き合ってやるよ。お前とはもう1度サシでバトルしたいとは思ってたしな」

 

「そうこなくちゃな…!」

 

 

そう言って、イブラヒムは葛葉からのバトルの申し出を承諾する

 

 

 

 

ポケモンセンターの裏庭に設けられたバトルフィールド…その所定の位置で葛葉とイブラヒムは向かい合い、互いを見据える

 

 

「ルールは3対3のフルバトル。どちらかのポケモン全てを戦闘不能にした方の勝ち…それでいいな?」

 

「ああ…!」

 

「すみませんけど、誰か審判頼めますか?」

 

「じゃあ、私がやるよ」

 

 

イブラヒムの頼みをアンジュが引き受け、位置へと移動する

 

 

「結局予定崩してるじゃん!イブちゃんも人のこと言えなくない?」

 

「まあ、相手側の頼みだから仕方ないんじゃない?」

 

 

観戦のためにベンチに座るフレンとメリッサが話すその隣で、リゼは叶に声を掛ける

 

 

「叶さん、どういうことなんですか…?もしかして、昨日のタッグバトル大会と関係があるんですか…?」

 

「見ての通り、リベンジマッチだよ」

 

「それにしても凄い剣幕でしたよ…?ひまちゃんから聞きましたけど、"ジムリーダーの息子"って言われたりしてあんなに荒れてるんですか…?」

 

 

リゼの言葉に、叶は一瞬目を丸くするがすぐに普段の落ち着いた表情に戻る

 

 

「聞いたんだ…。そうだよ、昨日のタッグバトル大会で試合前にイブラヒムさんから"ジムリーダーの息子らしいから、バトルの腕は期待していいのか?"っていう風に言われたんだ」

 

 

叶は葛葉の怒りの原因であるイブラヒムに目を向ける

 

 

「人を馬鹿にするようには見えないから、あの発言に深い意味はないんだろうけど…」

 

「"ジムリーダーの息子だから強くて当然だよな?"…そういう解釈で受け取った…。その上で負けたから…」

 

「葛葉自身とジムリーダーである母親が"こんなもんか"って思われてるかもしれない…。そう感じちゃってるんだ」

 

 

一呼吸置き、叶は話し続ける

 

 

「それに、葛葉自身が負けることを凄く嫌悪してるんだ。リゼさんの時はまだ旅に出始めたばかりだったし、"ジムリーダーの息子が〜"みたいなことも言われなかったからこうならなかったけど…。その後に何かあったのか、葛葉がもう負けない、強くなるって心に決めた矢先にこれだったから…余計に自分への苛立ちが募ってるんだと思う…」

 

 

何よりも腹立たしいのは己自身…そんな葛葉を叶は哀れみの眼差しで見つめる

 

 

「それじゃあ、これより葛葉さんとイブラヒムさんのポケモンバトルを始めます!使用ポケモンは3体、どちらかのポケモンを全て戦闘不能にした方の勝ちとする!両者、最初のポケモンを…!」

 

「いけ…!ギャラドス!」

 

「いけ!グソクムシャ!」

 

 

アンジュに指示され、1体目として葛葉は"きょうあくポケモン":ギャラドス、イブラヒムはグソクムシャを繰り出す

 

 

「ギャラドス…!?もしかしてあのコイキングが…!」

 

「強そう…!」

 

「デカいね〜…!」

 

 

気性の荒さから漂う強さとその圧倒的な存在感にリゼ達は目を見開く

 

 

「タッグバトル大会じゃ見なかったけど、なかなか骨がありそうだな…!」

 

「随分と余裕だな…。すぐに引っ剥がしてやるよ…!」

 

「それじゃあ、バトル始め!」

 

「グソクムシャ!"であいがしら"!」

 

 

アンジュがバトル開始の宣言をした直後、先手を取ったイブラヒムの指示でグソクムシャが"であいがしら"を仕掛ける

 

それに対してギャラドスは反撃や回避をせず、そのままグソクムシャの"であいがしら"を受ける

 

だが、攻撃を受けたギャラドスに仰け反りやダメージで苦しむ様子はなく、平然とグソクムシャを見下ろしていた

 

 

「巴さんのアマージョに大ダメージを与えてた"であいがしら"を受けて何ともない…!?」

 

「ギャラドスはみず・ひこうタイプだからむしタイプの技は効果いまひとつ。加えて、特性の"いかく"でバトル開始からグソクムシャの攻撃力を削いでるから、ダメージを大幅に抑えられてるんだよ」

 

 

驚くリゼに、叶が丁寧に解説する

 

 

「ギャラドス!"ハイドロポンプ"!」

 

 

"であいがしら"のお返しにと、ギャラドスの"ハイドロポンプ"が正面からグソクムシャに直撃

 

グソクムシャは腕を盾のように構えて防御するが、その威力に後ろへと大きく押し退けられる

 

 

「へぇ、よく育てられてんじゃん…!」

 

「今のでこいつの底を知った気になるなよ…?ギャラドス!"りゅうのまい"!」

 

 

"りゅうのまい"を繰り出し、ギャラドスの攻撃力と素早さが高まる

 

 

「"りゅうのまい"…!」

 

「葛葉の奴…一気に勝負を仕掛ける気だね」

 

 

叶の予想通り、直後に葛葉…そしてイブラヒムが同時に指示を出す

 

 

「ギャラドス!"アクアテール"!」

 

「グソクムシャ!"どくづき"!」

 

 

ギャラドスとグソクムシャ…2体の技が衝突し合う

 

だが、"いかく"により攻撃力の下がったグソクムシャに対して"りゅうのまい"で攻撃力を上げたギャラドスに軍配が上がり、"アクアテール"に押し負けたグソクムシャは吹き飛ばされる

 

 

「イブちゃんのグソクムシャが力で押し負けた…!?」

 

「あのギャラドス、相当な強さだね…!」

 

 

イブラヒムとの付き合いが長いからこそ、彼の手持ちであるグソクムシャの強さを理解しているフレンとメリッサは、それを上回る強さを見せたギャラドスに驚かされる

 

 

「どうだ…!お前のグソクムシャのパワーを上回る俺のギャラドスの強さは…!」

 

 

グソクムシャにパワー勝負で勝り、優勢を見せるギャラドスの強さに葛葉が吠える

 

それに対し、イブラヒムはグソクムシャに向けてボールを突き出す

 

 

「戻れ、グソクムシャ」

 

 

ギャラドスとの勝負を不利と判断し、イブラヒムはグソクムシャをボールへと戻した

 

 

「なんだ、逃げんのか?」

 

「見ようによってはそうだけど、交代は立派な戦術だ。卑怯みたいに言われたくはないな。いけ!サンダース!」

 

 

挑発する葛葉を受け流し、イブラヒムは"かみなりポケモン":サンダースを繰り出す

 

 

「わあ…!サンダースだぁ…っ!」

 

「そういえば、リゼさんはイーブイを持ってましたよね。ブイズ好きなんですか?」

 

「はい!トレーナーズスクールに通ってた時の先輩の影響を受けて…!カッコいいなぁ…!」

 

「それにしてもサンダースか…。ギャラドスにでんきタイプの技は大きなダメージになる…。ここは交代するのが無難だけど…」

 

 

サンダースの登場にリゼのテンションが高まるなか、叶はこの状況に不安を抱く

 

 

「弱点を突ければ倒せるってか?そう簡単に行くといいなぁ…!ギャラドス!"アクアテール"!」

 

 

弱点を突いてこれる相手に臆することなく、葛葉の指示に従ってギャラドスはサンダースへと迫る

 

"りゅうのまい"によって素早さを高めたこともあり、本来は水上がホームグラウンドであるギャラドスはその巨体からは想像出来ないスピードで地面を這い進み、瞬く間にサンダースとの距離を詰めて"アクアテール"を繰り出す

 

いかに弱点を突けると言えど、技を繰り出す前に倒されれば脅威にはならない

 

"りゅうのまい"を積んだギャラドスならばそれが可能だと、葛葉は思い込んでいた

 

 

「サンダース!"でんこうせっか"!」

 

 

だが、サンダースは"でんこうせっか"による瞬間的な超加速によって素早さの高まったギャラドスの"アクアテール"を容易に回避した

 

 

「なっ…!」

 

 

予想した展開を覆されて驚く葛葉に、イブラヒムは容赦なく仕掛ける

 

 

「サンダース!"10まんボルト"!」

 

 

サンダースが放った"10まんボルト"がギャラドスに炸裂

 

ギャラドスは苦痛な叫び声を上げ、"10まんボルト"の攻撃が終わると同時にその巨体は傾き、ズシンと音を立てながら地面に倒れる

 

 

「ギャラドス、戦闘不能!サンダースの勝ち!」

 

「…っ!」

 

 

ギャラドスの戦闘不能の宣言を受け、葛葉は険しい表情を浮かべながらボールへと戻す

 

 

「サンダース速い…!」

 

「サンダース自体が元々かなり素早さのあるポケモンだからね。とは言え、"りゅうのまい"で素早さの上がったギャラドスも負けてはなかった…。相手が"でんこうせっか"を覚えていたのが決め手になった感じだね…」

 

 

ギャラドスの敗北に、葛葉と同様に叶の表情にも少し険しさが浮かび上がる

 

 

「次はお前だ…!いけ!ガバイト!」

 

 

続く2体目に、葛葉は"ほらあなポケモン":ガバイトを繰り出す

 

 

「ガバイト…!たしか、フカマルの進化形のドラゴンタイプのポケモン…!」

 

「そう、スローンズ洞窟の奥にあったドラゴンポケモンの住処でゲットしたんだ。その時はまだフカマルだったけど、昨日ようやく進化したんだよね」

 

「ガバイトはたしか、じめんタイプも持ち合わせてるからでんきタイプのサンダースに有利ですね…!」

 

「だけど、イブラヒムさんがこの不利な状況に乗ってくるかどうか…」

 

 

先程のグソクムシャの時のように、状況が悪ければしっかりとポケモンの交代をしてくるイブラヒムの行動に叶は注意を向けるが、現段階でその様子はなく、そのままバトルが続行される

 

 

「なんだ?今度は交代しねぇのかよ」

 

「まあ、こっちにも色々考えがあるからな…サンダース!"ミサイルばり"!」

 

 

バトル再開と同時に、サンダースが"ミサイルばり"で攻撃を仕掛ける

 

 

「ガバイト!"すなあらし"!」

 

 

それに対し、ガバイトは"すなあらし"を繰り出して"ミサイルばり"を弾くことで防御しつつ、フィールドの天候を砂嵐状態に変える

 

砂嵐によって吹き上げられる砂や礫がサンダースを襲い、じわじわとダメージを与えていく

 

 

「"すなあらし"か…!流石にこれはマズいな…!サンダース!戻…!」

 

「させるか!ガバイト!"すなじごく"!」

 

 

砂嵐状態を厄介に感じたイブラヒムがサンダースを戻そうとした瞬間、ガバイトが繰り出した"すなじごく"にサンダースは囚われ、控えへの交代が阻止される

 

 

「これでもう逃げられねぇ…!代えるならもっと早くにやっとくんだったなぁ…!ガバイト!"ダブルチョップ"!」

 

 

サンダースを逃げられなくした葛葉はこのまま倒し切ろうと攻勢に出る

 

 

「サンダース!"スピードスター"!」

 

「無駄だ!ガバイトの特性は"すながくれ"!砂嵐の中に溶け込んだこいつを攻撃しようなんて…!」

 

 

サンダースに迎撃の指示を出すイブラヒムに葛葉が吠える

 

ガバイトの特性:"すながくれ"は砂嵐状態の中に溶け込むことで相手からの攻撃を当てにくくするもの

 

砂嵐で既にある程度視界が悪くなっている上に、特性によってほとんど狙いが定まらない以上、この状況下での攻撃はまず当たらない

 

だが…

 

 

「ガバァ…ッ!」

 

「ガバイト…!?」

 

 

その状況の中で、サンダースの"スピードスター"はガバイトに見事炸裂した

 

 

「"スピードスター"は相手に必ず当たる技。どれだけ姿をこの砂嵐の中に溶け込ませようが、避けることは出来ないぞ…!」

 

 

葛葉の戦術に対応してみせたイブラヒムはそう言い放ち、サンダースに"スピードスター"での攻撃を継続させる

 

 

「ならやり方を変えるまでだ…!ガバイト!"あなをほる"!」

 

 

ガバイトは"あなをほる"で地中へと潜り、"スピードスター"を回避すると同時に地中からサンダースへと迫る

 

対するサンダースは"すなじごく"に囚われていることもあって自由に身動きが取れずにいた

 

そして、回避することも出来ず、足下から飛び出したガバイトの"あなをほる"が炸裂し、吹き飛ばされたサンダースは地面に叩きつけられる

 

 

「サンダース、戦闘不能!ガバイトの勝ち!」

 

「あちゃ〜、流石に無理だったか〜」

 

「"スピードスター"で相手の作戦を破ったところはよかったんだけどねぇ」

 

 

サンダースの敗北にフレンとメリッサがそれぞれ意見を述べるなか、イブラヒムはサンダースを戻して次のポケモンが入ったボールを構える

 

 

「いけ!イノムー!」

 

 

イブラヒムの3体目はイノムー

 

ガバイトに対してこおりタイプで弱点の突けるポケモンだが、葛葉に交代する気配はなかった

 

 

(まだ砂嵐状態が続いてるからそれを活かそうってのもあるだろうけど、向こうのもう1匹…グソクムシャにガバイトはあまり有効打がない。少しでもイノムーを削って、最後の1体に繋げるのが狙い…ってわけじゃなさそうだな…)

 

 

叶は葛葉がガバイトを交代させない理由を推測するが、バトルに臨む葛葉の表情を見た瞬間にそこまで深い考えがあっての続行ではないことを悟り、不安げな溜息を吐く

 

 

「交代は無し…玉砕覚悟か?なら、遠慮なくいかせてもらうぞ!イノムー!"こごえるかぜ"!」

 

 

イブラヒムも叶と同じ推測に至ったと思われる言葉を口にし、イノムーにフィールド全体へ攻撃が行き渡る"こごえるかぜ"を指示する

 

 

「ガバイト!"あなをほる"!」

 

 

"スピードスター"の時と同様に、ガバイトは再び"あなをほる"で攻撃を回避しつつ、地中からイノムーへと迫る

 

 

「イノムー!音をよく聞いて反撃しろ!"こおりのキバ"!」

 

 

それに対し、イノムーは耳を澄ませて地中から迫るガバイトの穴を掘り進む音を捉える

 

イノムーは耳、更には鼻の感覚が優れており、地中から迫るガバイトの位置を目に見えなくとも正確に捉えていた

 

そして、ガバイトが地中から飛び出して"あなをほる"を仕掛けた瞬間に合わせ、イノムーも"こおりのキバ"を繰り出し、2体は衝突し合う

 

2体がいた砂嵐の中心で技の衝突による爆発が起こり、その直後に砂嵐状態が終わりを迎えて徐々に天候が晴れていく

 

 

「ガバァ…」

 

 

その晴れた先で、ガバイトはイノムーの足下で地に伏せていた

 

 

「ガバイト、戦闘不能!イノムーの勝ち!」

 

「流石に大弱点のこおり技は耐えられないか…」

 

「これで葛葉さんのポケモンは残り1体…。イノムーはほぼ無傷だし、グソクムシャもまだ体力がある…。厳しいですね…」

 

「一応、最後の1体は対グソクムシャ用の技を覚えさせてる…。問題はここからの攻防で体力が持つかどうか…」

 

 

叶が葛葉の勝ちの目を仄めかすなか、葛葉が最後の1体を繰り出す

 

 

「いけ…!リザード…!」

 

 

葛葉の3体目は最大のパートナーであるリザード

 

タッグバトル大会で己を打ち負かした相手…イノムーを目にしたからか、リザードは咆哮して気合いを入れる

 

 

「戻れ、イノムー。いけ!グソクムシャ!」

 

 

だが、イブラヒムはイノムーを交代し、代わりに残るもう1体であるグソクムシャを繰り出す

 

因縁の相手がすぐに戻されたことに一瞬戸惑うリザードだったが、すぐに気を取り直してグソクムシャに意識を集中させる

 

 

「イノムーで行かずにグソクムシャ…!最後まで相性の有利をしっかり狙っていくみたいですね…!」

 

 

リゼの言葉にこくり、と頷く叶はただ静かにバトルの行く末を見守る

 

 

「リザード、お前で最後だ…。グソクムシャもイノムーも倒して、俺達の強さをあいつに思い知らせるぞ…!」

 

「ザァド…ッ!」

 

「言うねぇ…!ならやってみせてくれよ!グソクムシャ!"であいがしら"!」

 

 

グソクムシャの先制…素早く迫り繰り出された"であいがしら"が防がれることなくリザードに炸裂する

 

 

「…っ!?」

 

 

だが、グソクムシャよりも一回りも小さいリザードは攻撃を受けても少し体を後ろへ仰け反っただけですぐに体勢を立て直す

 

 

「いけ!"かえんほうしゃ"!」

 

 

そして、至近距離にまで近づいて来たグソクムシャに"かえんほうしゃ"を炸裂させる

 

ギャラドスの"ハイドロポンプ"の時のような防御が間に合わず、グソクムシャは"かえんほうしゃ"をその身で受けてしまい、大きく後ろへと押し退けられる

 

 

「なんてタフネスだよ…!グソクムシャ!"アクアブレイク"!」

 

 

効果がいまひとつとは言え、グソクムシャの"であいがしら"を少し仰け反っただけに終わらせたリザードの頑丈さに驚きつつも、今度は効果抜群のみず技で攻撃に出る

 

 

「リザード!"かみなりパンチ"!」

 

「なに…っ!?」

 

「"かみなりパンチ"…!?」

 

 

昨日のタッグバトル大会では覚えていなかった予想外の技にイブラヒムはもちろん、観戦していたリゼやフレン達も驚愕する

 

両拳に電気のエネルギーを込めた"かみなりパンチ"を発動させ、その片方でリザードはグソクムシャの"アクアブレイク"とぶつかり合う

 

ぶつかり合った瞬間は拮抗したが、タイプが一致している上に技そのものの威力が高いグソクムシャの"アクアブレイク"がすぐにリザードの"かみなりパンチ"を押し始める

 

だが、押し切られる前にリザードはもう片手の"かみなりパンチ"をグソクムシャの懐目掛けて繰り出し、炸裂させる

 

効果抜群の一撃を受けたグソクムシャは大きく仰け反り、その場で地面に膝を突く

 

 

「いいぞ、リザード…!トドメの"かみなりパンチ"だ…!」

 

 

かなり弱ってきたグソクムシャを見て、葛葉はリザードにトドメの攻撃を指示する

 

だが、リザードがグソクムシャとあと数メートルの距離まで迫った瞬間、グソクムシャは独りでにイブラヒムの腰に携えられた自身のボールへと戻り、代わりに残るもう1体であるイノムーがリザードの前に飛び出し、"かみなりパンチ"を受け止める

 

 

「なっ…!?」

 

 

イブラヒムの指示も行動も無しに突然起きた出来事に葛葉は驚愕する

 

 

「残念だったな。グソクムシャの特性は"ききかいひ"…体力が僅かになると勝手に控えのポケモンと入れ替わる。普段なら扱いに困る特性だけど、今回は上手く作用した。イノムー!"10まんばりき"!」

 

「くそ…っ!リザード…!"かえんほうしゃ"…!」

 

 

回避不可能な至近距離で繰り出されるイノムーの"10まんばりき"にリザードは"かえんほうしゃ"で迎撃する

 

だが、それを押し返すことは叶わず、リザードはイノムーの"10まんばりき"を食らってしまう

 

 

「リザード…っ!立て…!お前はまだやれるだろ…っ!」

 

 

吹き飛ばされて地に伏すリザードに葛葉は叫ぶ

 

だが、リザードが立ち上がることはなかった

 

 

「リザード、戦闘不能!イノムーの勝ち!よって勝者、イブラヒム!」

 

 

リザードの戦闘不能をもって言い渡されたイブラヒムの勝利宣告…それを受けて、葛葉はその場に膝を突く

 

 

「負けた…?同じ相手に2度も…?ポケモンも鍛えた…対策も立てたってのに…なんで…っ!」

 

 

地面に拳を振り下ろして悔しがる葛葉

 

そんな彼に、イノムーをボールに戻したイブラヒムが歩み寄る

 

 

「やっぱ強いな、お前。特にリザード…昨日戦った時よりかなりパワーアップしてたし…」

 

「お世辞なんか言われても嬉しかねぇよ…!」

 

 

バトルの感想を伝えるイブラヒムの言葉を遮り、葛葉は吐き捨てるようにそう否定する

 

そんな葛葉に、それまで気さくな振る舞っていたイブラヒムの目つきが変わる

 

 

「…なあ、そんなに勝ちに拘ってたなら、なんで俺がサンダースを出し時にギャラドスを退かせなかったんだ?ガバイトに対してイノムーを出した時も、リザードに変えた方が勝ち目はあったんじゃないか?」

 

「仮に交代無しの1対1のバトルでタイプ相性が不利だったら…?それで負けたら運負けとでも言うのかよ…?んなもん弱い奴の言い訳だろ…!不利な状況だろうと覆してこそ真の強さだ…!」

 

 

自身が求めるポケモントレーナーとしての強さ…葛葉はそれをイブラヒムに豪語する

 

 

「…お前の考え方が間違ってるとは言わねぇよ。それが出来れば、そいつはポケモントレーナーとして一流だ。でも、それが今のお前に出来んのか?」

 

「出来ねぇから負けた…!でも、いずれはその域に到達する…!俺はニジサンジ地方のチャンピオンになるんだからな…!」

 

 

チャンピオンになると強く宣言する葛葉に、イブラヒムは少し残念そうな様子で溜息を吐く

 

 

「なんだよ…?文句でもあんのか…!それとも馬鹿にしてんのか…!」

 

「べつに…何に拘るもお前の自由だしな。まあ、精々頑張れよ」

 

 

そう言って、イブラヒムは葛葉に背を向けてその場から立ち去ろうと歩き出す

 

だが、数十歩も歩かない内にイブラヒムは突然その足を止める

 

 

「あぁ、言い忘れてた…。俺達が最終的に白黒はっきりつけんのはポケモンリーグだ。タッグバトル大会もこのバトルもそれまでの過程でしかない。強さに拘るのは結構だけど、そんなに焦んなくてもいいんじゃねぇか?」

 

 

振り向かずにそう告げるイブラヒムに、葛葉は何も言い返さず、ただその後ろ姿を睨んでいた

 

 

「次会う時は今よりもっと楽しめるバトルをしようぜ。お前とはそれが出来そうな気がするからな」

 

 

最後にそう言い残し、イブラヒムはベンチに座るフレンとメリッサの下へ歩み寄る

 

 

「終わった…行くぞ」

 

「いいの?イブラヒム…。ポケモンだって傷付いてるし…」

 

「エデンシティに向かう途中で回復させる。とにかく、もうここを出るぞ」

 

 

メリッサの心配を押し切り、出立することを告げたイブラヒムは立ち去る前にリゼに向き直る

 

 

「そういうわけなんで、俺達もう行くわ。リゼさんも次会ったらバトルしましょう。あんたも、俺にとって楽しめるバトルが出来そうなライバルなんで。アンジュさんも審判ありがとうございました。それじゃあ」

 

「リゼ様〜!アンジュさ〜ん!今度会ったらゆっくりお茶でもしましょうね〜!」

 

「またね〜!バイバ〜イ!」

 

 

イブラヒムと共にフレン、メリッサもリゼ達に別れを告げ、一足先に次なる旅の目的地へと旅立って行った

 

イブラヒム達を見送った後、リゼ達は叶と一緒に葛葉の下へ歩み寄る

 

だが、リゼとアンジュは先程まで荒れ、そして今は気持ちが沈んでいるように見える葛葉にどう声を掛けていいか分からないでいた

 

 

「葛葉、いつまでそうしてるつもりなんだい?もしかして、負けた上に相手に大人な対応されて惨めになってるのかな〜?大丈夫〜?すっきりするためにいっぱい泣くかな〜?」

 

((いやいや叶さん…!?なんで煽ってんの…!?))

 

 

そんな葛葉に叶が真っ先に声を掛けるが、掛けた言葉とその言い方が人を慰めるそれではなく、完全に煽るようなものであったことにリゼとアンジュは慌て出す

 

そして、叶をギロリと睨んだ葛葉は静かに立ち上がる

 

 

「……」

 

 

だが、煽ってきた叶に激怒して声を上げるということもなく、無視してその場から立ち去るように歩き出す

 

 

「何処に行くの?」

 

「ポケモンセンターだ…。コイツらを休ませてやんねぇといけねぇだろ」

 

 

そう言いながら振り返ることなく歩いて行く葛葉を追うように、リゼとアンジュも叶と共にその場を後にし、ポケモンセンターへと足を進める

 

 

 

 

「あ…!葛葉と兄やん…って、あれ…!?リゼちゃん達まで…!なんで一緒なん…!?」

 

 

ポケモンセンターに着くや否や、先にジム戦を終えていたひまわり達が葛葉と叶、リゼ達に気付いて声を上げる

 

 

「あははは…偶然の成り行きで…」

 

「そうだったんですか。葛葉さん達は用事の方は終わったんですか?」

 

「まあ、ついさっき…」

 

「…?」

 

 

葛葉の様子に違和感を感じたのか、凛月は少し首を傾げるが、特に深く触れることはなかった

 

 

「叶さん、これからどうするかはもう決めてますか?」

 

「そうだね…。葛葉もなんだけど、ひまちゃん達もジム戦でポケモン達が疲れてるだろうから。今日はもう1日だけここに留まって、明日次の街へ出発しようかな…って考えてるんだけど。その様子だと、何か希望があるのかな?」

 

 

質問してきた天宮…そして、ひまわりが少しソワソワしていたことに気付いた叶は、彼女達が話を切り出しやすくするために敢えて自ら質問を返す

 

 

「あのな、兄やん…。実はここから上の方にビーチがあるのは知ってる…?」

 

「北ね…?うん、もちろん知ってるよ。最近出来たことで有名な高級リゾートホテルがあるRRRビーチのことでしょ?」

 

「実は3人で話し合って、ジムバッジも3つ手に入れたし、タッグバトル大会お疲れ様ってことでそのビーチに遊びに行かないかな〜…って」

 

 

ひまわり達の話は、ここまで頑張ってきた自分達のご褒美に旅の合間の休息として海で遊ばないか?、という提案だった

 

 

「悪ぃけど、俺は遠慮してぇ…。正直時間が惜しいし、どうしてもって言うなら俺は先に次の街に向かって適当に時間潰しとくから、姉ちゃん達は後から合流ってことで…」

 

「そうなの?それは残念だね。RRRビーチにはあのチャンピオンがよく目撃されることでも有名なんだけど…。そっかぁ、葛葉は来ないか〜。まあ、もしチャンピオンに会えたらサインくらい貰って来て…」

 

「まあ、少しくらい寄り道してもいいか」

 

(絶対"チャンピオン"って言葉に釣られたよね…?葛葉さん…)

 

 

ひまわり達の提案に否定的な意見を見せた葛葉だったが、すぐに叶の言葉に掌を返した

 

 

「やったー!なら決まりだね!そうだ!リゼちゃん達も一緒にどう!?」

 

「えぇ…!?私達も…!?そ、そりゃあ、チャンピオンには一目会ってみたい気持ちもあるけど…」

 

「まあまあ、いいんじゃない?結構いいペースで旅も進んでるし、ウチ等も少しくらい休憩しようや?それに、ビーチということは素敵な人達との出逢いも…!」

 

「アンジュ…心の声が漏れてるよ…。ま、まあリゾートホテルがあるくらいだから安全面は確保されてるよね…?じ、じゃあ、ご一緒させてもらおうかな?」

 

「よ〜し!そうと決まれば水着だ〜!夜までに終わらせるぞ〜!」

 

「み、水着…!?今から…!?」

 

「まあ、当然だな。安心しろ、リゼ。迷うようなら私がしっかり1番似合うものを見繕ってあげるから…!」

 

「なんでアンジュが1番乗り気なの…?」

 

「あはは、賑やかな休息になりそうだね」

 

 

こうして、ひまわりの誘いを受けて葛葉達と共にRRRビーチへと行くことになったリゼとアンジュ

 

ニジサンジ地方のチャンピオンがいるかもしれないとされるその地で、次はどんな出逢いが待ち受けているのか

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:ポッタイシ、イーブイ、バタフリー
   サイホーン

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

葛葉
手持ち:リザード、ゴルバット、ギャラドス
   ガバイト

イブラヒム
手持ち:イノムー、コモルー、グソクムシャ
   サンダース
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