にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第27話「花畑チャイカ!明かされる過去!」

 

「兄上…っ!」

 

「リゼ…か…?」

 

 

こちらを振り返り、驚いた様子で名を呼ぶチャイカの顔をリゼははっきりと視認した

 

その瞬間、数年振りに再会する相手に様々な感情が溢れ出すとともに、脈打つ鼓動はより速く、周りの音を掻き消してしまうくらい大きくなり、緊張で全身が震え出す

 

 

「どうしてお前がここに…」

 

「兄上こそ…なんで…」

 

 

互いにそれぞれの疑問を問おうとするが、リゼの後ろから走って来たレインとレオスによってそれは遮られる

 

 

「リゼさん…!どうしたんですか…!?もしかして、知り合いの方…うわぁっ!?なんですかこの化け物…っ!?」

 

 

チャイカを見るなり、レインが恐怖するかのような叫び声を上げる

 

その身体付きから男性だと分かるチャイカだが、その目、頬、口には濃い化粧が施されており、見た目は俗に言うオカマと呼ばれるもののそれであった

 

レイン達の介入で少し冷静を取り戻したリゼは、誤解を解こうと口を開く

 

 

「だ、大丈夫です…!少し変わってるかもしれないんですけど、私の兄上なので…!」

 

「リ、リゼさんのお兄さん…!?この人が…!?」

 

「へぇ〜、あなたがリゼさんの…。どうもはじめまして。私、レオス・ヴィンセントと言います」

 

「…ああ、こちらこそ。花畑チャイカだ」

 

 

リゼの言葉に更に驚くレインに対し、レオスはそれをあっさりと受け入れ、チャイカと挨拶を交わす

 

 

「いやいやいや…!なんでヴィンさんそんなに冷静なの…!?」

 

「何かおかしいですか?レイン君。彼は見た目が個性的なだけじゃないですか。見た目で人を判断するなんて失礼だと思わないんですか?」

 

「うぐっ…!まさかヴィンさんに正論を言われるなんて…!でも、たしかに私が失礼だったな…。すみませんでした、リゼさんのお兄さん」

 

「構わないよ。そういう反応が普通ってことくらい分かってるし、もう慣れてる」

 

 

非礼を詫びるレインをチャイカはあっさりと赦す

 

そして、チャイカは改めてリゼを見やると何か納得したように微笑む

 

 

「そうか…お前もようやくポケモントレーナーとなったのか…。大きくなったな…」

 

 

チャイカからの言葉にリゼは涙が溢れる

 

だが、それと同時に抑え切れなかった想いを目の前の相手へと吐き出す

 

 

「兄上…答えてください…!どうして突然…家を出てしまわれたのですか…!どうして今まで…1度も帰って来なかったのですか…!」

 

 

怒りと悲しみが混ざり合ったその想いを涙とともに訴えられ、チャイカの表情も少し暗くなる

 

 

「家を出たって…どういうことなんだ…?」

 

「言葉通りの意味だよ。私は10年程前に、家を飛び出してそれから1度も帰ってない。リゼ、そこに座ったらどうだ?私も座る」

 

 

レインの疑問に簡潔に答えつつ、チャイカはリゼと共に座るのにちょうど良さそうな大木に腰掛ける

 

 

「…実は私は今、ある極秘のプロジェクトを行なっているんだ」

 

「プロジェクト…?それは一体…?」

 

「…なあ、リゼ。お前はポケモンが好きか?」

 

「え…?は、はい…それはもちろん…」

 

「そんなポケモン達の中に…絶滅の危機に瀕しているポケモンがいるんだ」

 

「絶滅の危機に…!?」

 

 

チャイカの言葉にリゼだけでなく、レインとレオスも驚く

 

 

「あれは、家を飛び出す数年前のことだ…。私はこの地方のある場所で既に絶滅したとされるポケモンを見つけた」

 

「絶滅したポケモン…!もしかして、化石のポケモンですか…!?」

 

「いや、そんな古代のポケモンじゃない。絶滅したのはここ数百年以内とされるポケモンだ」

 

「ここ数百年…となると、考えられるのはヒスイのポケモンでしょうか?」

 

 

レオスの推測に、チャイカは"そうだ"と頷く

 

 

「ヒスイのポケモン…?」

 

「ヒスイとは、シンオウ地方の古い名前で、その昔には今とは違った特徴を持つポケモンもいたそうです。そんなポケモンがこの地方に生き残っていたんですか?」

 

「ああ、その1匹がこいつだよ」

 

 

そう言って、チャイカは1匹のポケモンをボールから出す

 

飛び出して来たのは"かぎづめポケモン":ニューラ

 

しかし、その姿は普通のニューラとは明らかに異なっていた

 

 

「ニューラだ…!あれ…?でも色が全然違う…。色違い…?」

 

「いえ、よく見れば鉤爪の形も少し違いますね…。これがヒスイのニューラなんですか…?」

 

「そうだ。こいつはその昔、シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれていた時代に残された記録と一致している正真正銘のヒスイ:ニューラだ。タイプも我々がよく知るニューラと違って、どく・かくとうタイプになっている」

 

 

チャイカはヒスイ:ニューラをボールに戻し、話を続ける

 

 

「私はこの他にも何体か見つけ、今は信頼できる仲間に預けている。そして、私のプロジェクトとは、このポケモン達並びに昨今問題となっているウルトラビーストと呼ばれるポケモン達を保護するというものだ」

 

「絶滅の危機に瀕してるポケモン達の保護…!」

 

「更にはウルトラビーストまで…!」

 

 

チャイカから明かされたプロジェクトの内容にリゼ達は再び驚く

 

 

「このプロジェクトにはあの有名な加賀美インダストリアルにも協力してもらっている。さっきも言ったが、これは極秘のプロジェクトだ。くれぐれもここだけの秘密にしてもらえると助かる」

 

「どうしてですか…?そんなに大きなプロジェクトならヘルエスタの力を借りればもっと…!」

 

「このプロジェクトは知ってる者が少なければ少ない程いいんだ。でないと、ポケモンハンター等の極悪人に狙われる危険性がある」

 

 

チャイカの答えに、リゼ達はハッと息を呑む

 

 

「なるほど、情報を知る者が多ければ多いほど何処かでそれが漏れる可能性も高くなる…。だから協力する人達を厳選している、ということだな」

 

「そういうことだ」

 

 

レインの補足にチャイカは肯定する

 

 

「じゃあ、理由も告げずに出て行ったのもそれが理由で…?1度も帰らなかったのは…?」

 

「告げなかった理由はそうだ。1度も帰らなかったのは、私がヘルエスタの城を出入りするところを見られるわけにはいかなかったからだ」

 

「プロジェクトの露呈…そして、ご家族に危険が及ぶ可能性があったからですか?」

 

「そうだ。最近では、我々の真似事をする過激な連中もいるとも聞いている。そういう輩に私の存在が知られるわけにはいかない。世間的に、私は行方不明となっているからな」

 

「行方不明…。なるほど、そういうことでしたか。たしかに、あなたの存在は人目を引きますからねぇ」

 

「どういうことなんだ、ヴィンさん?」

 

 

レインの問いに、レオスは眼鏡をクイッと上げて答える

 

 

「彼は20年程前、当時のこのニジサンジ地方で新たなチャンピオンになるのではないかとまで言われた凄腕のポケモントレーナーなんですよ」

 

「この人が…!?」

 

 

レオスの発言に、レインはチャイカを二度見する

 

 

「まあ、舞元には敵わなかったんだけどね」

 

「しかし、あと一歩のところまで迫った白熱のバトルを繰り広げたと聞いていますよ。翌年にはチャンピオンを超えるだろうと言われていましたが、その後に姿は現さず、10年ほど前に険しい山脈地帯での修行中に行方不明となったと報道されていました」

 

「それも加賀美インダストリアルに協力してもらって偽装したんだよ。こうして水面下で活動するためにね」

 

 

話が一段楽し、チャイカは改めてリゼに向き直る

 

 

「すまなかった、リゼ。まだ幼かったお前を置いて行くのは私も心が痛かった。だが、私の人生にお前を巻き込むことは出来なかった。それだけは理解してくれ。決して、お前や家族を見捨てたわけじゃない」

 

 

頭を深々と下げて謝罪を述べるチャイカに、リゼもまた向き直って答える

 

 

「…うん、分かってる。私こそ、疑ってごめんなさい…。兄上は私達家族と同じくらいポケモンのことを考えて愛してた…。そんな優しい兄上が、正当な理由も無しに出て行くわけないって冷静に考えれば分かることだったのに…。私は…」

 

 

リゼはチャイカを疑ったことへの罪悪感で再び涙が溢れそうになる

 

 

「いいんだ、リゼ。お前が気に病むことはない。そうすることしか出来なかった私に非がある。赦してくれ」

 

 

チャイカはそう言いながらリゼの頭を優しく撫で、自身の赦しを乞う

 

その言葉に泣き出すリゼと宥めるチャイカ…そんな2人を見るレインとレオスも感動のあまりほろりと涙を流していた

 

 

 

 

「へぇ、アンちゃんが度々話してた幼馴染の子の付き添いで…」

 

「そ、だから私はポケモンリーグに挑戦はしてないよ。ソシエは今年も挑戦してるの?」

 

 

リゼがチャイカとの再会を果たしていた頃、アンジュもまた昔の旅仲間であるニュイと再会し、リゼを探す道中に話をしていた

 

 

「そうだよ。でも、今回で最後にしようかなって」

 

「え…!なんで…!」

 

「私ね、アンちゃん達と別れた後に1人でカロス地方を旅したんだ。その時に"サイホーンレース"っていうスポーツを見て、バトル以外でポケモンと人が競い合える競技に興味が湧いたんだ。それで今回のリーグ挑戦を終えたら、知り合いの人達と一緒に新しい競技を作ろうと思ってるんだよね」

 

「そうなんだ…!うん、ソシエらしいいい夢だね」

 

「ありがと。でも、最後までアンちゃんとポケモンリーグの舞台でバトル出来ないのは心残りかな」

 

 

惜しむように告げるニュイの言葉に、アンジュは申し訳なさそうな表情を見せる

 

 

「ねぇ、アンちゃん…その幼馴染のリゼちゃんに付き添ってるってことは、もう…」

 

 

ニュイがアンジュに問いかけようとしたその時、バキバキと凄まじい勢いで木々が薙ぎ倒されていく音が迫って来るのに気付き、2人は咄嗟にその場から後ろへ飛び退く

 

次の瞬間、通常ではあり得ない大きさのオニシズクモが2人の前に現れる

 

 

「これは…オニシズクモ…っ!」

 

「ちょっと待って…!なんかデカくない…っ!?」

 

 

自分達の身長を遥かに超えるその巨体に2人が驚くなか、アンジュ達を視認したオニシズクモは直後に6本ある前足の2本を振り下ろす

 

 

「アンちゃん、危ない…っ!」

 

 

ニュイに突き飛ばされる形でアンジュはオニシズクモからの攻撃を逃れる

 

 

「アンちゃん…!大丈夫…!?」

 

「ソシエこそ…!」

 

 

2人が互いの無事を確認し合うが、オニシズクモはアンジュ達から目を逸らして違う方向へと突き進んでいく

 

 

「た、助かった…?」

 

「みたいだね…。いや…待ってアンちゃん…!あの方角はマズいよ…!この先はビーチに出る…!」

 

「なんだって…!?」

 

 

ニュイの言葉にアンジュは目を見開く

 

あのオニシズクモがビーチに出れば、そこにいる人達を攻撃してしまうかもしれない

 

そんな事態を想像してしまった瞬間、アンジュとニュイは同時に動いた

 

 

「あいつを引きつけてビーチから遠ざけないと…!」

 

「なら私に任せて…!出てきて!ギャロップ!」

 

 

そう言うと、ニュイは"ひのうまポケモン":ギャロップを繰り出し、その背中にアンジュと共に跨がる

 

 

「しっかり掴まってて、アンちゃん!」

 

 

アンジュが背中にしっかりとしがみついたのを確認し、ニュイはギャロップを走らせてオニシズクモを追う

 

 

 

 

「リザード!"かみなりパンチ"!」

 

「プクリン!"すてみタックル"!」

 

 

一方、RRRビーチの葛葉とチグサ達のバトルは佳境に迫っており、葛葉のリザードとサンゴのプクリンそれぞれの技がぶつかり合う

 

せめぎ合う互いの技のエネルギーは爆発を起こし、2体はその衝撃で後ろへと押し戻される

 

 

「なかなかやるじゃねぇか…!」

 

「そっちこそ…!」

 

 

葛葉は余裕な、サンゴは意地を張ったような笑みをそれぞれ浮かべる

 

まだピンピンしているリザード、もうボロボロな状態のプクリンに、それぞれが最後の指示を出そうとした…その瞬間だった

 

 

『RRRビーチにお集まりの皆様にお知らせです。現在、主ポケモン:オニシズクモがこのビーチ付近を徘徊しています。非常に危険なため、ビーチにお集まりの皆様には事態の収拾までホテルへの避難をお願いします。繰り返します…』

 

 

ビーチの所々に設置されている拡声器から緊急事態を知らせるアナウンスが流れる

 

更に…

 

 

「おい見ろ…!密林の方…!木々が薙ぎ倒されてないか…!?」

 

 

1人の観光客の叫びに、全員の視線が密林の方へと向く

 

密林の奥で木々が薙ぎ倒されていくのがたしかに確認でき、それはこちらへと進んで来ているようにも見えた

 

それが分かった途端に場は騒然となり、人々はアナウンスの指示に従って急いでホテルへの避難を始める

 

 

「主ポケモン…!?たしか、アローラ地方の島巡り…その試練に立ちはだかるポケモンじゃない…!」

 

「どうしてそんなポケモンがここに…!」

 

「ねぇ!ひま達も避難しないと…!」

 

「でも、リゼさんとアンジュさんがまだ戻って来てないよ…!」

 

 

ひまわり達も状況に慌てるなか、葛葉はただ1人笑みを浮かべていた

 

 

「主ポケモン…なかなか強そうな名前だな!」

 

「く、葛葉さん…?もしかして、主ポケモンに挑むつもりじゃ…?」

 

 

不安な顔で問いかける天宮に、葛葉はニッと笑って答える

 

 

「待ちなさい…!主ポケモンは名前の通り、普通のポケモンとは違う…!1人で挑めば返り討ちに遭うわよ…!」

 

「その主ポケモン1匹どうにか出来なくて、次のチャンピオンになれるかっての…!」

 

 

郡道の制止を聞かず、葛葉は主ポケモンがいるとされる方向へ走り出す

 

ズシン…ッ!

 

だが、その前をアンジュが残して行ったゴルーグが立ち塞ぐ

 

 

「お前、邪魔しようってのか…!」

 

 

葛葉が睨みつけるが、ゴルーグは首を横に振って掌を差し出す

 

 

「なんだ…?乗れってことか…?」

 

 

葛葉の言葉に、ゴルーグはコクリと頷く

 

理由はどうであれ、アンジュの身に危険が迫っているかもしれないと感じたゴルーグは葛葉を同行させるつもりらしい

 

 

「話の分かる奴じゃねぇか…!」

 

 

そう言って、葛葉はゴルーグの背中へと飛び乗る

 

 

「待ってよ、葛葉!僕も行く!」

 

「兄やん…!?」

 

「葛葉、ポケモン達がチグサさん達とのバトルで疲弊してるの忘れてない?悪いけど、そんな状態で1人で挑むのは無視出来ないよ。だから一緒に行く」

 

「あっ…!…そ、そうかよ!勝手にしろ!」

 

「お前、完全に忘れてたろ…。それと素直じゃないなぁ」

 

 

痛いところを突かれて焦る葛葉に呆れながら、叶もゴルーグに飛び乗る

 

 

「私も行くよ!リゼさんとアンジュさんが心配だし、2人が行くって決めたなら人数は多い方がいいと思う!」

 

「あ、あまみゃも…!」

 

「りっちゃん達まで…!あ〜、もう…!分かった!なら、ひまも行く!」

 

 

更に凛月、天宮、ひまわりも同行を決めてゴルーグに飛び乗る

 

 

「はあ…。しょうがないわね…。チグサ、あなた達はホテルに避難しなさい。私はこの子達が無茶しないように付いて行く」

 

「先生…!?」

 

「それなら私達も…!」

 

「あなた達のポケモンは葛葉君とのバトルでもう動けないでしょ。ポケモン達に無理させる気?」

 

「た、たしかに…」

 

「ごめんなさい…」

 

「安心しなさい、私はジムリーダーよ。この子達も連れて無事に帰って来るわ」

 

 

チグサ達にそう言い残し、郡道も葛葉達と共にゴルーグへと飛び乗る

 

 

「べつにジムリーダーの助けはいねぇけどな」

 

「その言葉、後で後悔するから覚えておきなさい。それじゃあ、ゴルーグ、お願いね!」

 

 

郡道の言葉にゴルーグは頷き、足を体内に収納した後にジェット噴射で飛び立ち、オニシズクモがいるであろう木々が薙ぎ倒されて行く場所へと向かう

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:ポッタイシ、イーブイ、バタフリー
   サイホーン

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

葛葉
手持ち:リザード、ゴルバット、ギャラドス
   ガバイト

花畑チャイカ
手持ち:ニューラ(ヒスイ)、???、???

ニュイ・ソシエール
手持ち:ギャロップ、???、???

周央サンゴ
手持ち:プクリン
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