にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第34話「にじレジ団襲来!奪われた"いかずちプレート"!」

 

「あ…!ひまちゃん達だ!」

 

 

RRRビーチのステージ前…イベント終了の知らせからいち早くこの場に戻り、レインとレオスと共にアンジュ達の帰りを待っていたリゼは最初に戻ってきたひまわり達に気付いて駆け寄る

 

 

「リゼちゃん、お疲れ!」

 

「ひまちゃん達もお疲れ様!試練、どうだった?」

 

「かなり危なかったけど、叶さん達のおかげでりっちゃんが達成したよ〜!」

 

「本当ですか…!おめでとうございます!凛月さん!」

 

「ありがとう、リゼさん!リゼさんの方はどうだったんですか?」

 

「はい!レインさん達のご協力もあって無事達成しました!」

 

「やったやん!ひま達の中から2人も達成したなんて!今夜はみんなでお祝いパーティしようよ!兄やん!」

 

「そうだね。明日からはまたジムを巡る旅が再開するんだし。葛葉も構わないだろ?」

 

「まあ、最後くらいはいいか」

 

(あれ…?葛葉さん、あんまりピリピリしてない…。良いことでもあったのかな…?)

 

「あら、見たところ良い空気ね。もしかして、誰か試練達成したの?」

 

 

イブラヒムとのバトル以降、叶と同じく葛葉が焦っている様に感じていたリゼがその雰囲気が少し和らいでいることに気付いたちょうどその時、郡道とチグサ達が合流する

 

 

「郡道さん!それにチグサさん達も!」

 

「皆さん、お疲れ様で〜す!」

 

「そっちもお疲れ様です。試練の方は凛月さんがくさの試練を、リゼさんがみずの試練を達成しました」

 

「やるじゃない、あなた達!」

 

「ありがとうございます!郡道さん達の方はどうでしたか?」

 

「残念ながら、私達は達成出来なかったわ」

 

「あとちょっとだったんだけどな〜…」

 

「いやぁ、まさか最後の最後に荒らされるとは思ってなかったね〜…」

 

「荒らされた…?何があったんですか?」

 

 

残念がるコハクを宥めるヒスイが溢した言葉に、リゼが問いかける

 

 

「実は、主ポケモンをあと少しのところまで追い詰めれた時にカラマネロを連れたトレーナーに私達だけじゃなく、他の参加者も襲われて…」

 

「カ、カラマネロのトレーナー…?」

 

「ンゴ達で返り討ちにはしたんだけど、その間に主ポケモンは倒されちゃったんだよね〜…。しかも、その倒した人とみんなを襲った人が知り合いみたいでさ〜」

 

「とはいえ、トレーナー同士の潰し合いはOKなんだから文句は言えないんだけどね。私だって、本気でやるなら神田君に他の参加者を邪魔するよう仕向けるもの。今回はあくまで、生徒達が頑張ることだから手は出さなかったけど」

 

「そ、それは災難でしたね〜…」

 

 

郡道達を襲ったトレーナーに心当たりがあったリゼは苦笑しながら郡道達の話に相槌を打つ

 

 

「お…!妾達が最後みたいじゃね」

 

 

そして、丁度郡道達との話に区切りがついたところで竜胆、ニュイ、アンジュが戻って来る

 

 

「アンジュ…!お疲れさ…!」

 

 

リゼはアンジュに声を掛けるが、彼女の表情が沈んでいることに気付き、言葉を詰まらせる

 

 

「アンジュ…?何かあった…?」

 

「え…!あ、いや、大したことじゃないよ…!久しぶりのバトルが上手くいかなくってさ…!いや〜、すっかり腕が鈍ったわ〜…!あはははは…!」

 

「そ、そうなの…?なら、いいんだけど…」

 

『これより、イベントの閉会式を執り行います。参加者の皆様、ステージにご注目ください』

 

 

取り繕ったような苦笑いを浮かべるアンジュに疑問を抱きながらも、本人がそう言うならとリゼが一先ず納得したところでアナウンスが響き、ステージ上に舞元が登壇する

 

 

『トレーナー諸君!まずはお疲れ!そして、このイベント"舞元の五大試練"に挑戦してくれたことに感謝する!どうもありがとう!』

 

 

ステージ上に立った舞元は閉会式の挨拶に参加者のトレーナーへ労いと感謝の言葉を述べる

 

 

『過程や結果がどうであれ、このイベントに真剣に臨んだ君達の熱意に俺は心の底から敬意を表する!そして、このイベントで学びを得た人も多いと思う!是非その学びを活かし、自身の成長に繋げてくれ!』

 

 

そして、トレーナー達への賛辞を贈ってから一拍置き、いよいよZリングとクリスタルの授与に移る

 

 

『さて!それじゃあ、5つの試練を達成した5人のトレーナー達にZリングとZクリスタルを授与しようと思う!ステージに上がって来てくれ!』

 

「な、なんだか緊張するなぁ…!」

 

「それじゃあ、ちょっと行ってくるね」

 

「妾達も行こうか、ニュイ」

 

 

リゼ、凛月、竜胆、ニュイは一緒にステージへと上がり、でんきの試練を達成したと思われる少女と共に1列に並び立つ

 

 

『くさの試練達成、桜凛月!ほのおの試練達成、ニュイ・ソシエール!みずの試練達成、リゼ・ヘルエスタ!でんきの試練達成、アルス・アルマル!じめんの試練達成、竜胆尊!今ここに、運と実力を兼ね備えたこの優秀な5人のトレーナーへZリングと各Zクリスタルを授与する!』

 

 

歓声に包まれるなか、リゼ達は舞元からZリングとそれぞれが達成した試練に応じたZクリスタルを渡される

 

 

『それぞれのトレーナーとしての実力、ポケモンと育んだ絆…余す事なく見させてもらった!Zリングを持つ者として、申し分ないと思う!5人共、おめでとう!』

 

 

舞元から賛辞とともに、リゼ達への大きな拍手と歓声が響き渡る

 

 

『今回、惜しくも達成出来なかった皆の中にも優秀なトレーナーは多く見受けられた!Zリングは手に入れられなかったが、その有無がバトルの勝ち負けを絶対的なものにすることはない!俺達トレーナーとポケモンは共にいれば何処までも強くなれる!是非今日の敗北、学びを明日に繋げてくれ!そして、いつかこの俺に挑んでチャンピオンの座を奪いに来てくれる日を楽しみにしている!以上をもって、"舞元の五大試練"を閉会とする!改めて、参加してくれた全てのトレーナー諸君…ありがとう!』

 

 

最後に舞元から全てのトレーナーへの激励を以って、イベントはその幕を下ろした

 

 

 

 

「というわけで!俺の初イベントに付き合ってくれたお礼だぁっ!好きに飲んで食って、競い合ったライバル達と親睦を深めてくれぇっ!それじゃあ!イベントお疲れ様ぁっ!乾杯っ!」

 

「「「「「乾杯っ!」」」」」

 

 

そして、その日の夜…ホテルの宴会場にて、イベントに参加したトレーナー達を招いたパーティが開かれた

 

会場全体に等間隔で設けられたテーブルに所狭しと並べられた豪華な料理を味わいながら、トレーナー達は和気藹々とパーティを楽しむ

 

そして当然、その賑わいの中にリゼ達もいた

 

 

「ステーキにハンバーグ!グラタンにピザ!ホットケーキにシュークリーム!最高やぁ〜!」

 

「オクタン焼きにいかりまんじゅう!ミアレガレットにヒウンアイスもあるよ!」

 

「昨日までは無かった料理も沢山あるね!」

 

「このパーティのためにチャンピオンが手配したんだろうね」

 

「もうお腹ペコペコだよ〜!とりあえず、まずは食べようよ!」

 

 

興奮気味なひまわり、天宮、チグサに続く形でリゼ達も料理を手に取り、楽しいパーティに興じる

 

 

「へぇ〜!リゼさんのポッタイシ、エンペルトに進化したんですね!」

 

「その上でみずのZクリスタル…!これは今年のポケモンリーグの台風の目になりそうですね!」

 

「そ、そんなことないよ〜…!」

 

 

サンゴ達に迫られて照れるリゼ

 

その彼女達の会話を少し離れたところから葛葉と叶は聞いていた

 

 

「これはまた先を行かれちゃったかな?」

 

「なんだ、焦ってんのか?」

 

「そういう葛葉はどうなの?」

 

「成長速度に多少の差はある…ってことで割り切ってる。それにずっとあの成長速度を保つことは出来ねぇだろ。問題なのは何処まで伸ばせるかだ」

 

「…葛葉にしては、意外と余裕のある考えだね」

 

「最後に勝てればそれでいい…そう考えたら少し気が楽になっただけだ。だからといって、特訓を緩くするつもりはねぇ。叶ももう少し本腰入れねぇと置いて行くからな」

 

「そうだね。次の街…スメシシティのジムからは難易度が上がるって聞くし、今以上にポケモン達の育成に力を入れないと」

 

 

リゼの急成長に葛葉の変化に触発され、叶は静かにその闘志を燃やし始める

 

 

 

 

「じゃあ、アンジュのトラウマ克服は失敗したってこと?」

 

「良くない方向に克服しようとしたから、ある意味失敗だね」

 

 

リゼ達から離れたところで集まったアンジュ、ニュイ、竜胆、郡道の4人はアンジュのトラウマについて話をしていた

 

 

「アンちゃん、主ポケモンに勝とうとしなかったってどういうことなの…?」

 

「そ、それは…」

 

「アンジュはね、真の意味でトラウマを克服することを諦めた。それが何でなのかは妾にも分からないけど、その代わりにアンジュは"時間を稼げるバトル"を出来るようにすることにした…そうじゃよね?」

 

「それって…この先リゼの身に何か起きたとしても、その脅威を取り払うんじゃなくて、リゼが逃げるための時間を稼いで自分が犠牲になろうってこと…!?何考えてんのよ、アンジュ…!」

 

「郡道さん…!落ち着いて…!」

 

 

竜胆の推測を否定しないアンジュに郡道は叱咤する

 

ニュイが郡道を宥めようとするなか、竜胆はアンジュに質問を続ける

 

 

「アンジュ、どうしてそういう結論になったの?」

 

「私はこのトラウマを克服出来ない…。ほのおの試練を終えた時にそう思った…。でも、どうしてもリゼの傍にいてあげたかったから…!」

 

「足を引っ張るのだけは避けられるその考えに至った…というわけなんじゃよね?」

 

 

竜胆の推測にアンジュは頷いて肯定する

 

 

「だったら尚更その考えは駄目じゃよ、アンジュ。それで何かあれば、リゼが心に深い傷を負うことは目に見えてる。それが分からないわけじゃないでしょ?」

 

 

竜胆の指摘にアンジュはぐうの音も出なかった

 

 

「大人しく身を退きなさい、アンジュ。あなたにもしものことがあれば本末転倒よ」

 

「私も郡道さんの意見に賛成かな…。その考えを抱いたまま、リゼちゃんの旅について行くのは違うと思う…」

 

 

リゼの旅に同行することを止める郡道の意見にニュイも同意を示す

 

しかし、それでもまだアンジュは諦め切れない様子だった

 

 

「納得出来ないなら、仕方ないね…」

 

 

溜め息を吐き、竜胆がアンジュに歩み寄る

 

 

「…アンジュ、これを受け取って」

 

 

アンジュ…並びにニュイと郡道は竜胆が差し出した物を目にして驚愕する

 

 

「ZリングとじめんのZクリスタル…!尊…!どういうつもり…!?」

 

「ここでアンジュを止めるのは簡単なことだけど、そうすれば永遠にトラウマを克服することは出来ない」

 

「でも、アンちゃんはもう自分を犠牲にする覚悟を決めてる…!どのみちトラウマの克服は…!」

 

「今は無理じゃろうね…。でも、そもそもトラウマなんてそう簡単に克服できるものの方が少ないよ。こればかりは時間をかけて、何度も困難を乗り越えようとしないと」

 

 

"だから…"と竜胆は続ける

 

 

「これから先で困難に見舞われても、アンジュが無事でいられるようにこれを渡しておく。Z技があれば、危機的状況も覆せる可能性も高まると思う。その代わり約束してほしい。可能な限り、トラウマを本当に克服出来るよう努めること。それが1番アンジュとリゼのためになるから」

 

 

竜胆としても、分かっていながらアンジュを死地へと向かわせたくはない

 

しかし、同時にアンジュをこのままにさせたくもなく、加えてトラウマを克服する機会があるとすれば今だと考え至った

 

故に、もしもの時に最悪の事態を少しでも免れるようにと、竜胆はZ技を使うために必要なZリングとクリスタルをアンジュに渡すことを決めた

 

 

「大切な誰かのために命を懸けられるなら、最良の未来を掴むことに全力を尽くして…アンジュ」

 

「はぁ…。甘いわね、尊は。まあ、それが誓えるなら私もこれ以上言わないわ」

 

「アンちゃんがどうしても退けないなら、そうですね…。本当は止めたいけど、悔いは残してほしくないから…」

 

「尊様…郡道さん…ソシエ…」

 

 

3人の想いを聞き、アンジュは考えを改める

 

 

「…分かった。私、頑張るよ」

 

 

そう告げたアンジュの覚悟は諦観からではなく、困難に立ち向かう勇気からくるものであると竜胆達は感じ取った

 

 

「なら、暗いのはもう止めにして前を向こうか」

 

「そうね。パーティの真っ最中だし、景気付けにしっかり飲んで食べなさい」

 

「ほら、行くよ!アンちゃん!」

 

「…うん」

 

 

ニュイに手を引かれ、竜胆と郡道に見守られながら、アンジュは光ある未来を掴むための第一歩を踏み出した

 

 

 

 

アンジュが竜胆達と話していた頃、リゼはレインとレオスと会話を交えていた

 

 

「じゃあ、遺跡の調査はもう終わったんですね!」

 

「とりあえずはそうですね。まだ解明し切れてないところはありますが、レイン君のジム巡りもありますから。残る遺跡を巡った後、またじっくりと調べるつもりです」

 

「次の遺跡はスメシシティの次の街…オウマシティの北外れにある樹海の中らしいんだよね。特にゴーストポケモンが沢山生息してて、訪れた人を驚かせては道に迷わせるって聞くからスメシジムを終えたらすぐに向かうつもりだよ」

 

「スメシシティを観光させてあげたいのは山々ですが、ポケモンリーグが始まるまでに全てを1度回るには時間が足りないかもしれないですからねぇ」

 

「気にしないでよ、ヴィンさん。こうして旅をする機会をくれただけでも、私は感謝してるから」

 

「じゃあ、各地のジムはさっさと終わらせて、ポケモンリーグまでに余った時間はたっぷりと調査に使わせてもらいましょうかねぇ〜!」

 

「少しは気遣ってくれないかなぁ!?」

 

 

レオスの冗談にレインが突っ込み、それを見てリゼが笑う

 

 

「あっ…!いたいた…!」

 

 

と、リゼ達の下に1人の青年が駆け寄る

 

 

「見つけましたよ、レオスさん!」

 

「君は…!」

 

「エクスさん…!」

 

 

みずの試練でリゼとZリングを懸けてバトルしたエクスの登場に3人は目を丸くする

 

 

「お…!リゼさん達も一緒なんですね!いやぁ、イベントお疲れ様でした!」

 

「それはそうとヴィンさんに何か用なのか?」

 

「そうそう!ちょっとお願いがあって…」

 

 

と、エクスがレオスに何か頼み事を言おうとした時、その後ろから1人の少女が走り迫る

 

 

「僕をいつまで放置するつもりなんだよぉぉぉ!!」

 

「ぐほぉぁっ…!?」

 

 

少女が手にしていた本を後頭部に勢いよく叩きつけられ、エクスは情けない声を上げる

 

 

「な、なにするんですか師匠!」

 

「うるさいよぉ!トイレに行ってから数十分経っても帰って来ないと思えば、戻って来てるのに僕を放ったらかしにしてぇ!こんな人混みの中で僕を1人にするなぁ!」

 

「エクスさんの知り合い…?ていうか、あなたはでんきの試練を達成した…!」

 

 

リゼに声を掛けられ、少女はエクスを怒鳴るのを一旦止めて何故か緊張しながらリゼ達に向かい合う

 

 

「は、初めましてぇ…!アルス・アルマルです…!エビ先輩とは、その…腐れ縁みたいなものなので…!もし先輩が迷惑をかけてたら容赦なくボコボコにしてあげてください…!」

 

「自己紹介しながら見捨てないでくださいよ!?師匠、僕のこと嫌いなんですか!?」

 

「お前が迷惑な存在なのは事実だろぉ!今回だって頼んでもないのに試練で他の人達を倒してさぁ!それだけならまだいいけど、その後普通に僕に話し掛けて来るなよぉ!僕まで卑怯な奴って思われちゃうじゃないかぁ!」

 

「いやいや!僕は師匠のためを思って…!」

 

「やり方と事後の行動に問題があるって言ってるんだよぉ!」

 

「お、落ち着いてください…!」

 

 

再びエクスへの怒りをヒートアップさせるアルスをレインが止めに入る

 

 

「まさか、彼に友人がいたなんてねぇ」

 

「そ、それを疑うほどエクスさんは酷い性格ではないと思いますけど…」

 

「騙されないでください!エビ先輩はすぐに嘘つくし、普通に遅刻はするし、何かと言い訳しながら狡賢いことを平気でやる人だから!」

 

「えぇぇぇ…?めちゃくちゃ言うじゃないですか…。悪評振り撒いて僕の友人関係破壊しようとしてない…?」

 

「いや、君とは友人じゃないですよ?」

 

「えぇぇぇ…?こっちも凄く冷たい…」

 

 

アルスとレオスから冷たい対応を取られるエクスの光景にリゼは"あはは…"と苦笑をこぼす

 

 

「え、えっと…とりあえず私も改めて自己紹介。リゼって言います。よろしくお願いしますね、アルスさん」

 

「私はレオス・ヴィンセントだ。よろしく」

 

「レイン・パターソンで〜す!よろしくね!」

 

「よ、よろしく…」

 

 

人見知りなのか、少しばかり警戒した様子でアルスはリゼ達の自己紹介に返事をする

 

そして、先程までアルスに怒られていたエクスは何か閃いたかのような表情を浮かべる

 

 

「丁度いいや!師匠、僕また少しの間ここを離れるんで、その間リゼさん達と話でもして待っててください」

 

「はあ!?また何処か行くの!?それなら僕もついて行くよ!」

 

「いや、それはちょっと…。レオスさんと2人で話がしたいんで…」

 

「私に話ですか?」

 

「はい、とても重要な話があるんです。ここだとあれなんで、外でもいいですか?」

 

「まあ、聞くだけですよ?何か怪しい行動を取ったらその時は…」

 

「いやいや、流石に罪に問われるようなことはしませんよ!ねぇ!?師匠!」

 

「先輩が何かしでかしたら思いっきりしばいて構いません!」

 

「…やっぱり僕のこと嫌いですか?」

 

 

最後までアルスに庇われることはなく、エクスはレオスを連れて宴会場の外へと出て行く

 

 

「まったく、エビ先輩は…!」

 

「く、苦労してるんですね…」

 

「でも、お二人共凄く仲が良いんですね!」

 

「は、はあ…!?今のを見てどうしてそうなるんですかぁ…!?」

 

「見てれば分かりますよ〜!それに、嫌いなら一緒に旅なんてしないじゃないですか!」

 

「そ、それは…!エ、エビ先輩も僕もトレーナーになったばかりだから、何かあった時に助け合えると思って…!ほら…!エビ先輩あんなだから1人にしておくと心配だし…!」

 

「まあ、そういうことにしておきましょうか〜!」

 

「な、なんでニヤついてるんですか〜…!」

 

 

エクスとの仲を弄るレインとそれに動揺するアルス

 

そんな2人にリゼはクスリと笑いながら、アルスとの親睦を深めるべく会話を続ける

 

 

 

 

「それで、私に一体何の用なんですか?エクス君」

 

 

エクスに連れられてホテル内を歩かされるレオスは用件を訊ねる

 

 

「実はこのホテルにあるプレートという物について…。凄く貴重な物なんですか?」

 

「何故君がプレートのことを?」

 

「ホテルを彷徨いてる時に偶然聞いちゃったんですよ。それで興味を持ったので」

 

「なるほど…。プレートはこの地方の歴史を知るための重要な物なので、学術的価値は相当な物です」

 

「へぇ〜!そうなんですか〜!」

 

 

プレートに価値があると聞いて、エクスはニヤリと怪しい笑みを浮かべる

 

その様子…並びにプレートについて情報を聞き出してきたエクスに不信感を抱いたレオスはある問いを投げかける

 

 

「ところで、何故君は私とプレートに因果関係があると睨んだんですか?私は1度も君にそれを悟られるようなことを口にした覚えはないんですけどねぇ?」

 

 

レオスからの質問に、エクスの額から多量の汗が流れ出る

 

 

「え、えーっと…。その話をしてた人がレオスさんの名前も言ってたので…」

 

「へぇ〜。ちなみに、どのような方がその話を?」

 

「そ、それはですね…」

 

 

はっきりと答えられないエクスに、レオスの不信感が高まっていく

 

レオスに知られたくない何かをエクスは隠している…そう睨んだ

 

そして、過去プレートに関わってきた者の中である怪しい連中の存在がレオスの脳裏を過ぎる

 

 

「エクス君…まさか君は…!」

 

「…っ!隠れてください…!」

 

 

レオスが問い詰めようとした瞬間、こちらへと近づいて来る足音に気付いたエクスは慌ててレオスを引っ張り、近くの部屋に連れ入る

 

 

「ちょっ…!何するんですか…!」

 

「静かに…!犯人にバレます…!」

 

「犯人…!?一体何の…!」

 

 

突然のエクスの行動に抵抗しようとするレオスだが、その最中に告げられた言葉を聞いて抵抗を止める

 

 

「あの人、見てください…!」

 

 

エクスに促され、ドアの隙間から通路を覗いたレオスは先程エクスが気付いた足音の主を目撃して驚愕する

 

 

「わ、私ぃ…っ!?」

 

 

そこにはなんと、姿形が完全に一緒のレオスの姿があった

 

 

「ど、どういうことですか…!」

 

「変装してるんですよ…!この先に保管されてるプレートを盗むために…!」

 

「プレートを盗む…!?まさか、君が偶然聞いたと言うのは…!」

 

「はい…!人の通りが少ない通路の角で、あの犯人が独り言で計画の整理をしているのを聞いたんです…!」

 

 

"そういうことか…!"と、レオスはエクスを内心疑っていたことを申し訳ないと思うとともにすぐに自分に変装してプレートを盗もうとする不届き者を捕らえんと身を乗り出す

 

 

 

 

「どうも〜。お疲れ様です〜」

 

「あなたはたしかレオスさん…!どうしてここに…?」

 

 

レオスに扮した偽レオスはプレートが保管されている部屋の前に立つ警備員に接触していた

 

 

「実は少し気になることがあって、今一度プレートをお借りしようと思いましてね」

 

「それは構いませんが…。パーティの方はよろしいので?」

 

「あのような大勢の人がいる場は慣れなくて…」

 

「そういうことでしたか。分かりました、少々お待ちください」

 

 

警備員はそう言うと、保管室の鍵を開けてプレートを取りに入って行く

 

 

「そこの私の偽者!プレートは盗ませませんよ!」

 

「…っ!?」

 

 

その時、エクスと共に偽レオスに追いついたレオスが叫ぶ

 

この展開は予想していなかったのか、偽レオスは本物のレオスの登場に酷く動揺する

 

 

「運が悪かったですねぇ!あなたの計画はここにいるエクス君が偶然聞いてしまっていたのですよぉ!プレートを狙う理由はじっくり聞かせてもらいます!大人しく投降…って、エクス君?なんで目を瞑っているんですか?」

 

 

レオスが偽レオスに強気な姿勢を示すなか、何故かその隣にいるエクスが目を瞑っていることに気付いて指摘する

 

 

「レオスさん、お持ちしまし…って、えぇっ!?レ、レオスさんが2人…っ!?」

 

 

エクスの答えを聞く前に、偽レオスに頼まれてプレートを取りに行った警備員が戻り、現状に混乱する

 

 

「そいつは私の偽者です!一緒に捕まえてください!」

 

 

レオスが警備員へ偽レオスの確保を要請する

 

その直後だった

 

 

「…っ!」

 

「電気が…!?」

 

 

偽レオスを捕まえようとしたその時、急にホテル内の照明が消え、辺りは暗黒に包まれた

 

 

「うわぁっ…!」

 

 

そして次の瞬間、警備員の悲鳴が聞こえ、レオスは何かが自分の横を素早く横切っていくのを感じた

 

 

(やられた…!暗闇に乗じて…!)

 

 

今横切った何かが偽レオスだと気付いたレオスは悔しげに顔を歪め、懐からスマホを取り出す

 

 

 

 

「な、なに…!?」

 

 

一方、宴会場では突然照明が消えたことによって小さなパニックが起きていた

 

 

「みんな!落ち着いてくれ!下手に動くと危ない!」

 

「…っ!ね、ねぇ…!アレは何…!?」

 

 

舞元が注意を呼びかけるなか、宴会場のガラス越しから月明かりに照らされたビーチに何かを見つけた女性トレーナーの声が響き、その場の全員が視線を向ける

 

 

「な、何だあの集団は…!?」

 

 

ホテルの正面およそ数十m先のビーチに、異様な格好をした50人近くの集団が並び立っていた

 

大勢が正体不明の謎の集団に混乱するなか、その異様な格好に見覚えがあったアンジュや叶が声を上げる

 

 

「あれは…!」

 

「にじレジ団…!」

 

 

集団の正体は、過去にスローンズ洞窟とエデンシティで悪事を働いていたにじレジ団だった

 

 

「なんでこんなところに…!」

 

「そういえば、奴等は前にヴィンさんの持ってた"こうてつプレート"を狙ってた…!そして、ここには"いかずちプレート"がある…!まさかそれを狙いに…!」

 

 

レインがにじレジ団が襲来してきた理由を推測していると、彼女の持つスマホが鳴り出した

 

画面を確認し、掛けてきた相手がレオスだと分かったレインはその電話に出る

 

 

「ヴィンさん…!今何処に…!」

 

『レイン君…!何者かに"いかずちプレート"が奪われました…!』

 

「なんだって…!?」

 

『動けるなら、すぐに犯人を…!』

 

「そうしたいけど、こっちでも今ホテルの前に大勢のにじレジ団が現れたんだ…!」

 

『にじレジ団が…!?犯人は奴等とグル…!ホテルへの襲撃はプレートを盗んだ犯人が逃走するための囮か…!』

 

 

レインとレオスがこの事態にどう対応するか思案するなか、アルスが声を掛ける

 

 

「ねぇ…!電話の相手は青髪のおじさんなんだよね…!エビ先輩は大丈夫なの…!?」

 

『その声は…アルス君ですね!エクス君は…って、いない…!』

 

「いない…!?まさか、犯人を追って…!」

 

「…っ!僕、エビ先輩を追い掛けるよ…!」

 

 

危険に飛び込んでいったと思われるエクスの身を案じて、アルスはすぐに後を追おうと動き出す

 

その時、リゼが"待ってください…!"とアルスを呼び止める

 

 

「私も行きます…!バトルになった時、戦力は多いに越したことはないと思うから…!」

 

 

リゼの申し出にアルスは少し驚くも、"ありがとう…!"と感謝を口にする

 

 

「あれが囮なら、プレートを盗んだ犯人は正面からは出ないはずだから、ホテルの非常口か何処かから逃げてると思います!リゼさん達もそこから外に出て追ってください!私はここに残って、皆さんを守ります!」

 

 

レインの忠告を聞き終え、リゼとアルスは犯人とエクスの後を追うべく、ホテルの非常口を目指して走り出す

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイホーン

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
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