にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

35 / 90
RRRビーチ編はこれにて終了…次回からスメシシティ編に突入します!


第35話「マオの奥の手!逆転のZ技!」

 

ー遡ること数十分前ー

 

 

「いやぁ、完全に迷ったな…。宴会場何処だ…?」

 

 

パーティが行われている最中、トイレをしに宴会場を出たエクスは迷子となり、ホテル内を彷徨っていた

 

 

「それにしても内装や飾りも凄い豪華だよなぁ、このホテル…。1つくらいパクってもバレないんじゃないか?」

 

「…い、…っちの…はできて…す」

 

 

辺りを見渡しながら邪なことを考え歩くなか、エクスの耳が微かに聞こえた声を拾う

 

エクスは声のする方の角まで近寄り、その先からする声に耳を澄ます

 

 

「これから私はレオス・ヴィンセントに変装してプレートを取りに向かいます。時間は変更せずに20時頃…そちらはそれに合わせてホテル内の照明をお願いします。はい、それじゃあ」

 

 

声からして女性と思われるその主は誰かと通話していたらしく、それを終えると先程口にしていた変装をするためか人気のない通路の奥へと消えて行った

 

 

(今のは…!いや、これはもしかするとチャンスかも…!)

 

 

何か閃いたエクスは大急ぎで探り探りに宴会場へと戻って行った

 

 

 

 

ー現在ー

 

 

「よし…!ここまでは作戦通り…!もうこの変装もいらない…っと!」

 

 

ホテルの裏…非常口から外へ出た偽レオスは化けの皮となるその顔を身に付けていた暗視ゴーグルを掴み、それを勢いよく剥き捨てて真の姿を露にする

 

偽レオスの正体は以前にエデンシティでリゼと対峙したにじレジ団幹部のルイス・キャミーだった

 

 

「プレートは手に入れた…!あとはマオとの合流地点まで逃げ切るだけ…!」

 

 

プレートの奪取に成功したルイスは同じくにじレジ団幹部の魔使マオが逃走手段を用意して待つ合流地点へと向かうため、密林の中へと走り出す

 

 

「いた…!逃がさねぇぞぉ…!」

 

 

その時、後ろから自身に向かって叫ぶ声が聞こえてルイスはギョッと振り返る

 

ルイスが通って来た非常口の扉…そこには獲物を逃さんとする目付きでこちらを捉えるエクスの姿があった

 

 

「な、なんであの暗闇の中で追いかけて来れるの…!?」

 

 

エクスがここまで追って来たことにルイスは驚愕する

 

プレートの保管室前からルイスが逃げ出す時、ホテル内の照明は全て消えて何も見えないはずであった

 

 

「照明が消えることも事前に知ってたんで、暗闇になってもある程度対応出来るように目を瞑ってたんですよ!」

 

 

偶々計画を聞いていたことでそれが分かっていたエクスは事前に目を瞑ることで暗闇になった後でもルイスを追い掛けることが出来たのだ

 

 

「さあ!そのプレートを渡してください!」

 

「だ、誰が渡すもんか…!」

 

「あ…!待て…!」

 

 

逃げ出すルイスをエクスが追い掛ける

 

 

 

 

「お前等ぁ!幹部がプレートの奪取に成功した!これより俺達は作戦通りにホテルを襲う!だが、これはあくまで幹部が逃げ果せるための囮だ!その上、ホテルにはチャンピオンや四天王がいると聞いてる!下手に攻めず、時間を稼ぐことに集中しろぉ!」

 

 

ホテルの正面では、その場のにじレジ団団員を統率する男が仲間達に檄を飛ばしていた

 

団員達は"はっ!"と声を張り上げ、手持ちのポケモンを繰り出す

 

 

「出てきたぞ…!」

 

 

そして、ホテルから出てきた人影に気付いた団員の1人が声を上げ、にじレジ団は臨戦態勢に入る

 

 

「あれがにじレジ団か…」

 

「はい!全てのポケモンを救うと言いながら、その大義名分を利用して悪事を働く悪い連中です!」

 

「たしか、プレートが狙いなんだったな。それを盗んだ犯人は?」

 

「今、リゼさんとアルスさん…それと多分、エクスさんが追っています」

 

「そうか。ならそれはリゼ達に任せて、俺達は目の前の連中を片付けよう!照明のこともある、誰か電気室の様子を見に行ってくれ!」

 

 

警備員に指示を出し、舞元はレインや竜胆、郡道達数名のトレーナーと共ににじレジ団と向かい合う

 

 

「チャンピオンの舞元啓介に四天王の竜胆尊だ…!奴等には気を付けろ…!やれぇ!」

 

 

統率する男が叫び、にじレジ団は一斉に攻め始める

 

 

「まずは状態異常にして弱らせてやる!ドクケイル!"どくのこな"!」

 

「アメモース!"しびれごな"だ!」

 

「ボクレー!"おにび"!」

 

「キノココ!"キノコのほうし"!」

 

 

先頭に躍り出たにじレジ団団員は舞元達がどんなポケモンを繰り出してきても弱らせられるように毒、麻痺、やけど、ねむりとあらゆる状態異常にさせる技をポケモンに繰り出させる

 

 

「来るぞ…!」

 

「ここは妾に任せて!いけ!スワンナ!"ぼうふう"じゃ!」

 

 

ドクケイル達の技に竜胆のスワンナが"ぼうふう"で対応…強烈な風が吹き荒れ、ドクケイル達の技は掻き消される

 

 

「怯むなぁ!数で押せぇ!」

 

 

統率する男の叫びに、再びにじレジ団が攻める

 

 

「ビリリダマ!"スパーク"!」

 

「エレブー!"10まんボルト"!」

 

 

スワンナの弱点を突こうとビリリダマやエレブー等のでんきタイプポケモンが攻撃を仕掛ける

 

 

「いけ!ガバイト!攻撃を受け止めろ!リザード!"かえんほうしゃ"だ!」

 

 

スワンナに向けられたでんき技をボールから飛び出した葛葉のガバイトが受け止め、その隙にリザードが"かえんほうしゃ"を繰り出してビリリダマ達を攻撃する

 

 

「ビ、ビリリダマ…っ!」

 

「エレブー…っ!」

 

 

自身のポケモンが一撃で戦闘不能となり、にじレジ団団員が動揺する

 

 

「気を付けるのはチャンピオンと四天王だけだぁ?随分と舐められたもんだなぁ!」

 

「しばらくゆっくり過ごしたしね。肩慣らしには丁度いい相手かも」

 

「ひま達もやるよ!」

 

「うん!悪い人達は成敗せんと!」

 

「負けないぞー!」

 

「ウチのホテルを襲撃したこと、後悔させてやんよ!」

 

 

葛葉を筆頭に叶、ひまわり、凛月、天宮、リオンも舞元達と並び立つ

 

 

「頼りにしてもいいんじゃな?」

 

「当然!俺はいずれ、あんたもチャンピオンも超えるトレーナーだからな!こんな奴等に負けることはねぇ!」

 

「助かるよ、葛葉君!みんな!それじゃあ、やるぞ!いけ!ガオガエン!」

 

 

舞元もガオガエンを繰り出し、葛葉達と共ににじレジ団との激しい戦闘が始まった

 

 

 

 

「ルイス、まだかな〜…」

 

 

RRRビーチ東部…にじレジ団幹部のマオは岩礁に囲まれたそこに逃走用のボートを止めてルイスの帰りを待っていた

 

 

「マオ〜〜〜…っ!」

 

「ルイス…!え…?」

 

 

自分の名を叫ぶルイスの声が聞こえ、マオは明るく顔を上げる

 

だが、次の瞬間にその明るさは消え失せた

 

ルイスの後ろ数十m先に、にじレジ団の団員ではないエクスが彼女を追ってこちらへ迫って来ていたからだ

 

 

「ちょっ…!誰だよそいつ〜…っ!?」

 

「いいから…!ボートのエンジンかけてぇ…っ!」

 

 

泣き目で訴え叫ぶルイスの言葉にハッと冷静さを取り戻したマオはすぐさまボートのエンジンをかける

 

 

「逃すかぁ…!いけ!コダック!"みずでっぽう"!」

 

 

エクスはコダックを繰り出し、ルイスに向けて"みずでっぽう"を指示をする

 

 

「いけ!ギモー!"あくのはどう"!」

 

 

狙われたルイスを守るべく、マオはギモーを繰り出して"みずでっぽう"に"あくのはどう"をぶつけて相殺させる

 

 

「マオ、ナイス!」

 

 

ルイスはマオに感謝を伝えてボートに飛び込み、同時にマオはボートを発進させる

 

 

「よーし!作戦成功だぁ!」

 

「これでもう逃げ切れる〜!」

 

「まだだ…!コダック!"ねんりき"で引き戻せ!」

 

 

マオとルイスが喜ぶなか、コダックが"ねんりき"を繰り出してボートを止める

 

そして、マオ達を乗せたままボートを空中に浮かせてビーチへと投げ飛ばす

 

 

「「ウソォォォォォ…っ!!?」」

 

 

悲鳴を上げながら、マオとルイスはボートごとビーチへと叩きつけられる

 

 

「よくやったぞ、コダック!ゆっくり休め!」

 

 

エクスは"ねんりき"を使ったことで激しい頭痛に見舞われたコダックを戻し、代わりにニダンギルを繰り出してマオ達に詰め寄る

 

 

「さあ、もう逃げられませんよ!大人しくプレートを渡してください!そうすれば、ここは見逃してあげてもいいですよ!」

 

 

"いたた…!"と呻き声を溢しながら、マオとルイスは立ち上がる

 

 

「だ、誰が聞くもんですか…!」

 

「そうだそうだ!危うくこっちは大怪我しかけたんだぞ!むしろ、タダで済むと思うなよ!」

 

 

エクスの要求を拒否し、マオとルイスはギモーとレパルダスを繰り出す

 

 

「ギモー!"どげざつき"!」

 

「レパルダス!"シャドークロー"!」

 

「ニダンギル!"てっぺき"だ!」

 

 

ギモーとレパルダスの同時攻撃をニダンギルは"てっぺき"によって高めた防御力を以って受け切る

 

 

「よく耐えたぞ、ニダンギル!返しの"ジャイロボール"だ!」

 

 

攻勢に転じたニダンギルはレパルダスに向けて"ジャイロボール"を繰り出す

 

 

「レパルダス!"シャドークロー"で迎え撃って!」

 

 

対するレパルダスは"シャドークロー"で迎撃

 

"ジャイロボール"と衝突するが、威力はニダンギルが勝っており、レパルダスはジリジリと押し返されていく

 

 

「ギモー!"あくのはどう"だ!」

 

 

そのレパルダスを援護するべく、ギモーが"あくのはどう"を繰り出す

 

"ジャイロボール"と"シャドークロー"のぶつかり合いに"あくのはどう"が加わり、形勢を逆転されて押し返されたニダンギルは吹き飛ばされる

 

 

「くっ…!流石に2対1はキツいか…!ニダンギル!こっちに来い!」

 

 

このまま戦うことは不利と判断したエクスはニダンギルを呼び戻す

 

そして、エクスはニダンギルそれぞれの柄を両手に握り締める

 

 

「よし!いくぞ!」

 

 

ニダンギルを構え、エクスはレパルダスに突っ込む

 

 

「ト、トレーナー自らバトル…!?」

 

「く、来るなら容赦しないよ…!レパルダス!"シャドークロー"!」

 

 

エクスの奇行に動揺するも、ルイスはレパルダスに攻撃の指示を出す

 

 

「ニダンギル!"てっぺき"だ!」

 

 

エクスはニダンギルに"てっぺき"を指示し、レパルダスの"シャドークロー"を紙一重で避ける

 

 

「おらぁ…っ!」

 

 

攻撃を避けて側面を取った瞬間、エクスはニダンギルを振るってレパルダスに叩き付ける

 

"てっぺき"によって防御力が上がり、頑丈さを増したニダンギルは一種の鈍器となり、エクスによって振るわれた一撃を受けたレパルダスは大きく吹き飛ばされて戦闘不能となる

 

 

「レパルダス…!?」

 

「あ〜もう…っ!無茶苦茶だよ…!ギモー!"どげざつき"!」

 

 

文句を吐きながら、マオはギモーに"どげざつき"を指示し、それがエクスの腹に直撃する

 

 

「ぐっ…!おぉぉぉぉ…っ!!」

 

 

だが、それを耐え切ったエクスはニダンギルを勢いよくギモーへと投擲し、直撃させる

 

 

「ギモォ〜…」

 

 

その強烈な一撃に、ギモーは呻き声を上げながら戦闘不能となった

 

 

「マ、マジ…!?」

 

「あの人、なんてタフさなの…!?」

 

 

エクスの身体能力と"とうけんポケモン"であるニダンギルだからこそ成立する戦法の前にギモーとレパルダスが敗れ、マオとルイスは後退りする

 

 

「へへっ…!どうだ、凄いだろ…!僕とニダンギルの連携は…!」

 

 

"いてて…"と、ギモーの"どげざつき"が直撃した腹をさすりながら、エクスは勝ち誇ったような笑みを浮かべる

 

 

「マ、マオ…!どうする…!?」

 

「くっそぉ…!こうなったら仕方がない…!どうなっても知らないからな…!いけ!バサギリ!」

 

 

やむを得ない険しい表情を浮かべながらマオがボールを投げると、その中からバサギリと呼ばれた両手が大きな斧となっているポケモンが飛び出す

 

 

「なんだこのポケモン…!?」

 

 

初めて目にするポケモンの登場に、エクスは動揺にする

 

次の瞬間…バサギリはマオの指示もなく突然動き出し、エクスに向けて腕の斧を振り下ろす

 

不意を突かれたエクスは防御を取ることも回避することも出来なかったが、バサギリの行動に素早く反応出来たニダンギルがエクスの手元から離れてその攻撃を受け止める

 

だが、バサギリの力に押し負け、ニダンギルは大きく吹き飛ばされてしまう

 

 

「ニダンギル…!」

 

 

吹き飛ばされたニダンギルの下へエクスが駆け寄り、心配そうに抱き抱える

 

だが、そんな彼等に構うことなく、バサギリが再び迫り来る

 

 

「ニダァ…ッ!」

 

「おいバカ…っ!やめろ…っ!」

 

 

先の一撃でボロボロになった体を起こしたニダンギルはエクスの制止を振り切って、彼を守るためにバサギリの攻撃を受け止めようと立ち塞がる

 

 

「フリィーッ!」

「スロォーッ!」

 

 

バサギリの攻撃がニダンギルに直撃するその直前に上空から"サイケこうせん"と"はっぱカッター"が飛来し、バサギリに炸裂する

 

 

「師匠のフクスロー…!それにあのバタフリーは…!」

 

「エビせんぱーい…!」

 

「エクスさん…!大丈夫ですか…!」

 

 

自身の上空に現れたバタフリーとフクスローにエクスが驚くなか、その後ろから聞き慣れた声が聞こえて振り返る

 

そこにはサイホーンに乗ってこちらへ向かって来るリゼとアルスの姿があった

 

 

「師匠…!それにリゼさんまで…!どうしてここに…!」

 

「レオスさんから話を聞いて、プレートを奪った犯人を追いかけてるんじゃないかと思って…!」

 

「リゼさんのサイホーンに乗せてもらいながら、バタフリーとフクスローに空から探してもらって辿り着いたんだよ…!また1人で無茶して…!心配かけるなよぉ…!」

 

「す、すみません…。師匠…」

 

 

目に涙を浮かべるアルスを見て、エクスは素直に謝罪の言葉を口にする

 

 

「バサァァァァ…ッ!!!」

 

 

だが、悠長に構えてはいられない

 

バサギリの咆哮が轟くとともに、リゼ達は身構える

 

 

「な、なんなの、あのポケモン…!?」

 

 

初めて見るポケモンに驚くアルスはポケモン図鑑を開いて確認しようとするが、画面には"データ無し"の文字が表示された

 

 

「あのトレーナー…小柄な女の子が"バサギリ"と呼んでいました…!タイプまでは分かりませんが、あの見た目からしていわタイプなんじゃないかと思います…!」

 

「バサギリ…!それにあの人達は…!」

 

 

エクスが示した少女…マオとその隣に立つルイスを視認したリゼは声を上げる

 

 

「し、知ってる人…?」

 

「今ホテルを襲ってるにじレジ団の仲間です…!でも、前にバトルした時はこんなポケモン使ってこなかった…!なんであの時は…!」

 

「気を付けてください…!あのポケモン、トレーナーの指示も無しに攻撃してきました…!それに攻撃力が桁違いに高い…!防御力を高めた僕のニダンギルが一撃で大ダメージを受けました…!野生のポケモンとバトルするつもりで臨んでください…!」

 

「トレーナーの指示無しで…!分かりました…!」

 

 

エクスの忠告にリゼは気を引き締める

 

そして、アルスもまた身体を震わせながらもバサギリの前に立つ

 

 

「し、師匠…?」

 

「僕もリゼさんと一緒にバトルする…!勝手に首突っ込んだエビ先輩の自業自得だけど、先輩を傷付けたアイツを僕は許さないよ…!」

 

「…ありがとうございます、師匠」

 

「これに懲りたら、もう勝手に1人で無茶しないでよね…!」

 

 

エクスに小言を吐き、アルスはリゼと共にバサギリに対峙する

 

 

「あ、あの人…!エデンシティで僕達の邪魔した人じゃん…!」

 

「で、でも…!今回はあの時一緒にいた強い警備隊の人がいないし、マオのバサギリは強いから大丈夫だよ…!」

 

「そ、そうだよね…!よし、頼んだぞ…!バサギリ〜!」

 

 

マオはエールを送るが、それに対してバサギリはギロリと睨み返す

 

マオが"ひぃ〜…っ!"と怯えるが、バサギリはそんな主人を気にすることなくリゼのバタフリーとサイホーン、アルスのフクスローに向かい合う

 

 

「まずは動きを止める…!バタフリー!"しびれごな"!」

 

「フクスロー!一緒に突っ込んで!"はっぱカッター"!」

 

 

まずは麻痺状態にして動きを鈍らせようとバタフリーが"しびれごな"を繰り出す

 

そして、くさタイプに粉技が効かないことを活かして"しびれごな"に紛れたフクスローが"はっぱカッター"を繰り出しつつ、バサギリに迫る

 

 

「バサァァァ…ッ!」

 

 

それに対してバサギリは腕の斧を振るい、"エアスラッシュ"を繰り出す

 

"エアスラッシュ"によって"しびれごな"は霧散し、"はっぱカッター"は弾き返され、直撃したフクスローはダメージを負い、地面へと落下していく

 

 

「フクスロー…っ!」

 

 

アルスがフクスローに叫ぶなか、バサギリは追い討ちをかけようとフクスローが落下する地点に目掛けて走り出す

 

 

「サイホーン!"ドリルライナー"!」

 

 

フクスローをカバーしようと、サイホーンが"ドリルライナー"を繰り出してバサギリに突っ込む

 

バサギリはそれを迎え撃つべく、腕の斧に力を込めて振るう技…"がんせきアックス"を繰り出す

 

両者の技がぶつかり合い、凄まじい衝撃が空気を震わすが、その威力はバサギリが上回り、サイホーンを落下してきたフクスローを巻き込む形で吹き飛ばす

 

 

「サイホーン…っ!なんてパワー…!力だけなら主ポケモンにも引けを取ってない…!だったら、距離を取りながら戦うだけ…!バタフリー!"サイケこうせん"!」

 

 

上空を飛ぶバタフリーが"サイケこうせん"でバサギリを攻撃する

 

バサギリは片方の腕の斧でそれを受け止めつつ、もう片方の腕の斧で"エアスラッシュ"を繰り出して反撃する

 

だが、先程やられたフクスローの時とは違い、迎撃手段があると分かっているバタフリーは難なくそれに反応し、回避を取りながら攻撃を続ける

 

 

「よし…!これなら…!」

 

 

突破口を見出したと思ったリゼが声を上げる

 

だが、その希望はすぐに打ち砕かれることとなった

 

 

「バサァァァ…ッ!!」

 

 

バサギリは咆哮を上げると"サイケこうせん"を防御していた腕の斧を下ろし、攻撃をその身で受け始めた

 

そして次の瞬間、バサギリは腕の斧をビーチに叩きつけ、そこから岩を隆起させて攻撃する技"ストーンエッジ"を繰り出すが、その攻撃はバタフリーのいる上空に届くことはない

 

だが、バサギリの狙いはその後にあった

 

最初に隆起させた岩の下から更に岩を隆起させることでその高さを稼ぎ、それを足場に上空へと駆け上がったバサギリはバタフリーへと接近した

 

 

「"ストーンエッジ"をそんな風に使うなんて…!バタフリー…!そこから離れて…!」

 

 

バサギリの戦法に驚きながらもリゼは指示を出すが、バタフリーは回避が間に合わず、迫ったバサギリが繰り出した"がんせきアックス"の直撃を受けてビーチへと叩き付けられる

 

 

「フ、フリィ…」

 

「…っ!戻って、バタフリー!サイホーンも!」

 

 

効果抜群の一撃を受けて戦闘不能となったバタフリーと、大ダメージを負ったサイホーンをリゼはボールへと戻す

 

 

「強い…!トレーナーの指示も無しにあんな戦い方が出来るなんて…!」

 

 

バサギリのバトルセンスにリゼは思わず驚嘆の言葉を漏らす

 

だが、バトルに臨むその目はまだ諦めてはいない

 

 

「アルスさん、まだバトル出来ますか…!」

 

「うん…!でも、あんなのに勝てるかどうか…!」

 

「あのバサギリというポケモンが見せた技はいわとひこうタイプ…!その攻撃を軽減できるタイプのポケモンでなら…!」

 

「分かった…!なら、いけ!トゲデマル!」

 

「お願い!エンペルト!」

 

 

リゼはエンペルト…そして、リゼのアドバイスを受けたアルスは"まるまりポケモン":トゲデマルを繰り出す

 

共にはがねタイプを持つ2体であれば、ここまでバサギリが見せてきた技で大ダメージを受けることはない

 

とはいえ、バサギリのパワーは侮れない。リゼはバタフリーの時と同様に距離を保ちながら戦うことを基本としてバトルに臨む

 

 

「エンペルト!"うずしお"!」

 

 

エンペルトが繰り出した"うずしお"がバサギリを捕らえ、じわじわとダメージを与えるとともにその動きを止める

 

 

「トゲデマル!"10まんボルト"!」

 

 

"うずしお"に囚われたバサギリにトゲデマルの"10まんボルト"が炸裂する

 

攻撃を堪えるバサギリは渦の中で"がんせきアックス"を繰り出し、強引に"うずしお"を掻き消す

 

 

「エンペルト!"れいとうビーム"!」

 

 

"うずしお"が突破されたのを見て、リゼは次にこおり状態を狙ってエンペルトに"れいとうビーム"を指示する

 

放たれた"れいとうビーム"に対し、バサギリは"ストーンエッジ"を繰り出すことで防御…両者の間に氷漬けとなった岩が聳え立つ

 

直後、両者を隔てる氷漬けとなった岩を粉砕してバサギリ"がんせきアックス"を繰り出しながらトゲデマルに迫る

 

 

「ぴぎゃー…っ!ト、トゲデマル…!"ニードルガード"!」

 

 

隔たりとなっていた氷漬けの岩で相手が見えず、その動きが読めなかったところをバサギリが急に仕掛けてきたことで驚いたアルスは悲鳴を上げながらも、トゲデマルに"ニードルガード"を指示して守りに入らせる

 

"ニードルガード"は"がんせきアックス"を防ぐと同時に、接触してきたバサギリに棘によるダメージを与える

 

 

「バサァァァ…ッ!!」

 

 

だが、バサギリはそれに怯むことなく、連続で"がんせきアックス"を叩き付ける

 

何度も攻撃を叩き付けられたことで"ニードルガード"にヒビが入り、遂にはその守りが破られてしまい、無防備となったトゲデマルにバサギリの"がんせきアックス"が振り下ろされる

 

 

「トゲデマル…っ!」

 

「エンペルト…!"はがねのつばさ"!」

 

 

トゲデマルの危機にアルスが叫ぶと同時に、リゼの指示を受けてエンペルトが"はがねのつばさ"でカバーに入り、バサギリの"がんせきアックス"を受け止める

 

 

「エンペルト!"れいとうビーム"!」

 

 

そして、攻撃を受け止めた状態からエンペルトは"れいとうビーム"を繰り出し、バサギリを押し返す

 

 

「トゲデマル!"アイアンヘッド"!」

 

 

バサギリを押し返したのを好機と捉えたアルスの指示で、トゲデマルが繰り出した"アイアンヘッド"がバサギリの腹部に炸裂する

 

効果抜群の技を諸に食らったバサギリはよろめき、膝を突く

 

 

「効いてる…!攻撃さえ通れば勝てない相手じゃない…!このまま押し切って…!」

 

 

先程まで圧倒的な強さを見せていたバサギリが膝を突いたことで、リゼとアルスに希望が見え始める

 

 

「バ…サァァァァァ…ッ!!!」

 

 

だが、膝を突いたバサギリがけたたましい咆哮を轟かせ、リゼとアルスは戦慄する

 

バサギリは咆哮を轟かせ終えると"つるぎのまい"を発動させ、その攻撃力を更に高めさせる

 

 

「まずい…!エンペルト…!"れいとうビーム"!」

 

「トゲデマル…!"10まんボルト"!」

 

 

バサギリが次に繰り出してくる攻撃が直撃すれば一溜まりもないと予感したリゼとアルスはそれを阻止ないしは倒し切ろうとエンペルトとトゲデマルに指示をだす

 

だが、2体から放たれた技をバサギリは先程以上に威力が高まった"がんせきアックス"で強引に押し退けながら迫り、そのまま炸裂させる

 

 

「エンペルト…!」

 

「トゲデマル…!」

 

 

吹き飛ばされた2体にリゼとアルスが叫ぶ

 

幸いにも効果今一つの技であったため、一撃で戦闘不能にはならなかったが、それでも攻撃力の上がった"がんせきアックス"はエンペルトとトゲデマルに大ダメージを与えることとなった

 

 

「わ、技を押し退けるなんて…!あの攻撃力に打ち勝つ方法なんかないよ…!」

 

 

自分達が持ち得るどんな技も寄せ付けず、押し通してくる圧倒的な攻撃力を得たバサギリに、アルスは弱音は吐く

 

 

「いや、まだあります…!私とアルスさんには…!」

 

 

だが、まだ諦めないリゼの言葉を聞き、アルスもその唯一の方法を見出す

 

 

「そうか…!Z技だね…!」

 

「はい…!Z技なら、あの攻撃力に対抗することが出来るはずです…!」

 

「よし…!なら…っ!?」

 

 

リゼとアルスが共にZ技を繰り出そうと構えた瞬間、今度こそエンペルト達にトドメを刺そうとバサギリが動き出す

 

 

「エンペルト…っ!避けて…っ!」

 

「トゲデマル…っ!」

 

 

リゼとアルスが叫ぶが、体がボロボロなエンペルトとトゲデマルに回避は困難であった

 

 

「カラマネロ…!トゲデマル達を守れ…!"ひっくりかえす"!」

 

 

その時、リゼ達の後ろにいたエクスがボールを投げ、その中から飛び出したカラマネロがバサギリの前に立ちはだかって"ひっくりかえす"を発動

 

相手の能力変化を逆転させるその技によってバサギリの高まった攻撃力を大幅に下げさせて、カラマネロは繰り出された"がんせきアックス"をその身で受け止める

 

 

「師匠…っ!リゼさん…っ!今のうちに…っ!」

 

 

エクスが生み出してくれたチャンスの間に、リゼとアルスはイベント後に舞元から教えられたそれぞれのZ技を繰り出すためのポーズを取る

 

リゼは左から右へと水が流れていく、アルスは両腕を右から左へと大きく振った後に体の正面に雷を彷彿とさせる"ゼンリョクポーズ"を取る

 

直後、2人の体が光り出してエンペルトとトゲデマルへZパワーが流れ出し、2体はそのオーラを全身に纏う

 

 

「エンペルト!"スーパーアクアトルネード"!」

 

「トゲデマル!"スパーキングギガボルト"!」

 

 

リゼとアルス…2人の全力が込もった指示を受けてエンペルトとトゲデマルはそれぞれのZ技を発動さける

 

水流を身に纏って突撃したエンペルトの"スーパーアクアトルネード"が"うずしお"以上に巨大な渦を作り出し、その激流による大ダメージをバサギリに与える

 

そして、巨大な渦に囚われているバサギリに向けてトゲデマルが電撃の槍となる"スパーキングギガボルト"を放ち、炸裂したと同時に巨大な雷撃となってバサギリに大ダメージを与えた

 

 

「バ…サァ…」

 

 

2つの技を受けたバサギリは悔しそうな呻き声を上げ、力無く仰向けに倒れ伏した

 

 

「や、やった〜っ!倒した〜っ!」

 

「やりましたね!アルスさん!」

 

 

強敵:バサギリをなんとか倒したリゼとアルスはハイタッチをして勝利の喜びを分かち合い、またエンペルトとトゲデマルも腕と尻尾をコツンと合わせて互いの奮闘を讃え合った

 

 

「そ、そんな…!バサギリが負けた…!」

 

 

言うことこそ聞かないが、強さにおいては絶対の信頼を寄せていた相棒の敗北にマオは愕然と立ち尽くす

 

 

「さあ、もう無駄な抵抗はやめて大人しく捕まってください」

 

 

立ち尽くすマオとその隣で身構えるルイスに、エクスは投降を促す

 

 

「…だろ」

 

「…?今なんて…」

 

「そんなこと聞くわけないだろって言ったんだよ…っ!」

 

 

声を張り上げるマオにリゼ達は身構える

 

 

「バサギリが僕達のために頑張ってくれたんだ…!なのにコイツが負けたからって諦めたら…報われないじゃないか…!」

 

 

目に涙を浮かべながら怒りを露にするマオ

 

 

「そうだよ…!私達はここで捕まるわけにはいかない…!全てのポケモン達を救ってくれるリーダーのためにも…!」

 

 

バサギリの頑張りを無駄にしたくないマオの姿を見て、ルイスも覚悟を決めてボールを構える

 

それを見て、リゼはまだ万全の状態であるイーブイが入っているボールを握り、アルスもまだ繰り出していない3体目のポケモンが入っているボールを構える

 

 

「ウォォォッ!」

 

 

だが、再びバトルが起こると思われたその時、上空からポケモンの鳴き声が響き渡る

 

 

「あのポケモンは…!」

 

「ウォーグル…!あれ…?でも、少し姿がおかしいような…?」

 

 

リゼ達が上空を見上げると、そこには"ゆうもうポケモン":ウォーグル…とは色と特に頭部が異なるが見た目は酷似しているポケモンが飛行していた

 

そして、そのウォーグルらしきポケモンは突然急降下してマオとルイスに迫る

 

次の瞬間、ウォーグルらしきポケモンはその足でマオとルイスをガッチリと掴み、そのまま上空へと飛び上がった

 

 

「しまった…!まさか、にじレジ団のポケモン…!?」

 

 

リゼが気付いた時には時既に遅く、ウォーグルらしきポケモンに掴まれたマオとルイスは手の届かない距離まで遠ざかっていた

 

 

「た、助かったぁ〜….!でも、この借りは絶対返すからね〜…!」

 

「覚悟してろよ〜!次会う時までにバサギリに認めてもらって、お前達をギッタギタにしてやるからな〜!」

 

 

去り際の言葉を残し、マオとルイスは夜空の彼方へと消えて行った

 

 

「逃げられちゃった…!プレートも取り戻せないまま…!」

 

 

バトルには勝ったが、プレートを取り戻すことが出来ずにマオとルイスに逃げられてしまったリゼは悔しい表情でその場に立ち尽くす

 

 

「そ、そんな…!エビ先輩…!」

 

(カラマネロ…!アレは取れたか…?)

 

(ネロォ〜!)

 

(よし…!よくやったぞ〜!)

 

 

"どうしよう…!"とアルスが言いかけるが、プレートを奪われて重い空気になるリゼと自身を差し置いて、エクスが彼のポケモン:カラマネロと何やらコソコソとしているのを見て不審な眼差しを向ける

 

 

「エビ先輩、何してるの…?」

 

「えぇ…っ!?い、いやぁ〜…?特に怪しいことは何も〜…?」

 

 

明らかに動揺…そして、何故か両手を後ろに隠しているエクスを不審に思ったアルスは彼に詰め寄る

 

 

「後ろに何か隠してるでしょ…!見せて…!」

 

「そ、そんなことは…」

 

「いいから見せて!」

 

 

アルスを誤魔化せないと諦めたエクスは観念して後ろに隠したあるものを見せ、それを目にしたリゼとアルスは目を丸くした

 

 

「エビ先輩…!?それって…!」

 

「"いかずちプレート"…!?でも、いつの間に…!」

 

 

リゼとアルスが驚くなか、エクスは全て話した

 

最後にマオとルイスがウォーグルらしきポケモンに掴まれて逃げる直前に、バサギリの攻撃を受けて倒れたフリをしていたカラマネロが"トリック"を発動して、ルイスが持っていた"いかずちプレート"を取り戻したのだ

 

 

「よ、よかった〜…!お手柄じゃないですか…!エクスさん…!」

 

 

リゼは安堵し、エクスとカラマネロの活躍を讃える

 

だが、ある疑問が残っていたアルスはエクスに問いかける

 

 

「でも、プレートを取り返せたならなんですぐに言ってくれなかったの?」

 

「そ、それはですね…」

 

「…もしかして、黙っておけばあの人達がプレートを奪ったことに出来て、誰にもバレることなくエビ先輩がそれを頂くことが出来るとか考えてたわけじゃないよね?」

 

 

アルスの推測に口籠もっていたエクスは反論せず、コクンと頷いて肯定した

 

盗まれると知ったプレートに価値があるなら、売れば大金になるのでは…と、エクスは考えていたのだ

 

 

「こんの大馬鹿野郎ぉぉぉっ!!」

 

「ぐぼあっ…!!」

 

 

バレれば罪になりかねない事を仕出かそうとしたエクスにアルスの鉄拳制裁が炸裂し、エクスの欲深さにリゼは"あはは…"と苦笑を溢す

 

こうして、プレートを巡ったにじレジ団との事件は幕を下ろしたのだった

 

 

 

 

「…ルイスさん達は逃げ切れたか」

 

 

ホテルの屋上…そこから双眼鏡を用いてリゼ達とルイス達のバトルを見ていた男がそう呟く

 

 

「プレートの奪取は失敗に終わっちゃったねぇ。危険を冒してまでチャンスを作った僕の行動は何だったんだい?それに逃げる手伝いまでさせて…。いや、でもそれは頼まれてはないから僕の独断か…」

 

 

男は呆れて溜め息を吐き、夜空を見上げる

 

 

「でもまあ、そういう苦難を乗り越えないとその野望は達成出来ないってことだよ、◯◯さん」

 

 

その場にいないある人へ語りかけるように、男は1人静かに呟いた

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイホーン

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

葛葉
手持ち:リザード、ゴルバット、ギャラドス
   ガバイト

舞元啓介
手持ち:ガオガエン、ルチャブル

竜胆尊
手持ち:ウーラオス(れんげきのかた)、ラグラージ、スワンナ

エクス・アルビオ
手持ち:コダック、ニダンギル、カラマネロ

アルス・アルマル
手持ち:トゲデマル、フクスロー

魔使マオ
手持ち:バサギリ、ギモー

ルイス・キャミー
手持ち:レパルダス、ビリリダマ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。