にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第40話「それぞれの戦い!黛灰登場!」

 

「アゲハント!"スピードスター"!」

 

「マタドガス!"ヘドロこうげき"!」

 

 

リゼ達はメロエッタを奪ったフードの女性を追い掛けて遊園地の外…スメシシティの北西にあるコンテナヤード付近まで来ていた

 

空を逃げる相手にアゲハントが"スピードスター"を繰り出すが、ガラルの姿のマタドガスの迎撃が堅く、攻撃が決まらないでいた

 

 

「あの高さまで浮けるポケモンがもう1匹いれば落とせるのに…!」

 

「なら私に任せてください!お願い!バタフリー!」

 

 

状況を打開するべく、リゼはバタフリーを繰り出す

 

 

「バタフリー!"サイケこうせん"!」

 

「アゲハント!"スピードスター"!」

 

「わわわっ…!2体同時は流石に駄目だって…!マタドガス…!なんとかして…!」

 

 

フードの女性がバタフリーとアゲハントの同時攻撃に慌てるなか、マタドガスはなんとか迎撃を試みるも2方向からの攻撃には対応出来ず、バタフリーの攻撃を"ヘドロこうげき"で防いだ代わりにアゲハントの攻撃を受けてしまう

 

ダメージを負ったマタドガスは苦痛に表情を歪ませ、地上へと落下していく

 

 

「やっと追い付いた…!」

 

 

そして、コンテナヤードに墜落したフードの女性にリゼ達はようやく追い付く

 

 

「あいたたた…。も〜…酷い子達だね〜…!私がマタドガスから落ちてたら怪我じゃ済まなかったかもなんだけど…!」

 

「自業自得です!それより、私のポケモンを返してください!」

 

「すぐに警察も来ます!大人しくしてください!」

 

「従えば捕まってしまうことが分かってるのに大人しくすると思ってるの?」

 

「なら仕方ないけど、実力行使になります!」

 

「臨むところだよ!いけ!マタドガス!」

 

「アゲハント!いくよ!」

 

「バタフリーもお願い!」

 

 

メロエッタを取り返すため、リゼとういははフードの女性とのバトルに臨む

 

 

「あのマタドガス…通常とは異なるガラル地方で見かけられる個体ですね!たしか、どくタイプに加えてフェアリータイプがあったはず!」

 

「私も初めてバトルするから、注意しようね!」

 

「うん!バタフリー!"サイケこうせん"!」

 

「アゲハント!"ぎんいろのかぜ"!」

 

 

リゼとういははそれぞれのポケモンに指示を出して同時に攻撃する

 

 

「2体共真正面からなら怖くないよ!マタドガス!"ワンダースチーム"!」

 

 

対するマタドガスは"ワンダースチーム"で"サイケこうせん"と"ぎんいろのかぜ"を相殺させる

 

 

「防がれた…!」

 

「なら、威力を高めるよ!アゲハント!"ちょうのまい"!」

 

 

マタドガスの攻撃を凌ぐため、ういはは"ちょうのまい"を指示してアゲハントの特攻、特防、素早さを高めさせる

 

 

「厄介な技を持ってるね…!ならまずは貴女からだよ!マタドガス!"かえんほうしゃ"!」

 

「ほのおタイプの技…!」

 

「任せて!バタフリー!"エアスラッシュ"で迎え撃って!」

 

 

アゲハントを狙ったマタドガスの"かえんほうしゃ"に対し、リゼはバタフリーに"エアスラッシュ"をぶつけさせて防ぎ切る

 

 

「ありがとう、リゼさん!アゲハント!"スピードスター"!」

 

「バタフリー!"サイケこうせん"!」

 

 

そして、アゲハントの"ちょうのまい"が完了した後にリゼとういはは再び同時に攻撃を指示する

 

 

「マタドガス!"ワンダースチーム"!」

 

 

マタドガスも再び"ワンダースチーム"で迎え撃つが、アゲハントの特攻が高まったことで押し負けてしまい、"スピードスター"と"サイケこうせん"が炸裂する

 

 

「マタドガス…っ!?」

 

「よし!決まった!」

 

「このまま畳み掛けましょう!アゲハント!もう1度"スピードスター"!」

 

「バタフリー!"むしくい"!」

 

 

大ダメージを受けて地に伏すマタドガスに、バタフリーと"スピードスター"が迫る

 

 

「こうなったら…!マタドガス!"ミストバースト"!」

 

 

バタフリー達の攻撃が決まる直前、マタドガスはフェアリータイプの自爆技"ミストバースト"を繰り出して大きな爆発を引き起こす

 

 

「フリィ〜ッ…!」

 

「バタフリー…っ!」

 

 

距離があったアゲハントはともかく、マタドガスの至近距離にいたバタフリーは"ミストバースト"を最大威力で受けてしまい、戦闘不能となった

 

 

「マタドガスは自爆技を使うことでも知られているポケモン…。それなのに無闇に距離を詰める技を指示した私が迂闊だった…。ごめんね、バタフリー…ゆっくり休んで」

 

 

自身の判断を悔やみながら、リゼはバタフリーに謝罪と労いの言葉をかけてボールに戻す

 

 

「でも、相手のポケモンはこれで戦闘不能です!これ以上抵抗しないで、私のポケモンを返してください!」

 

 

フードの女性はマタドガスをボールに戻し、顔を俯かせる

 

 

「たしかに、私がこれ以上出せる"普通"のポケモンはもういない…」

 

「普通のポケモン…?一体何を言って…」

 

「出来れば使いたくなかったけど、素性がバレちゃうパートナーを使うよりはマシだよ!出ておいで!クレベース!」

 

 

フードの女性が投げたボールから飛び出して来たのは"ひょうざんポケモン":クレベース

 

だが、その姿は本来見られるクレベースとは異なっていた

 

 

「あのクレベース…!体が氷じゃない…!まるで岩で出来てるみたい…!」

 

「見たことも聞いたこともない異なる姿をしたポケモン…!まさか、そのポケモンは…!」

 

 

アローラの姿でも、ガラルの姿でもないポケモン…それを見たリゼはある推測が脳裏に過ぎった

 

 

「あら、そこのお嬢ちゃんは知ってるのかな?このクレベースはね、大昔シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれていた頃に生息していたヒスイのポケモンだよ!」

 

 

 

 

一方、遊園地の外北西…

 

笹木とフードの女性…その正体、かつての親友:椎名とのバトルが始まった

 

 

「ゲンガー!"ヘドロばくだん"!」

 

 

椎名の先制…ゲンガーにゴリランダーに対して効果抜群となる"ヘドロばくだん"で攻撃を仕掛ける

 

 

「ゴリランダー!"ドラムアタック"で防御や!」

 

 

笹木の指示を受け、ゴリランダーは放たれた"ヘドロばくだん"を"ドラムアタック"で操作したドラムの根っこで防ぎ切る

 

 

「ゴリランダー!"はたきおとす"!」

 

 

今度は笹木が攻めに転じ、ゴリランダーがゲンガーに飛び掛かる

 

 

「ゲンガー!影に潜れ!」

 

 

ゴリランダーの"はたきおとす"が決まる直前、椎名は影に潜むことができるゲンガーの特徴を活かして指示を出し、攻撃を回避させる

 

 

「消えた…!?ゴリランダー!気を付けろ!」

 

「無駄や!ゲンガー!"シャドーパンチ"!」

 

 

笹木がゴリランダーに注意するよう呼び掛けるなか、ゲンガーはゴリランダーの真下から飛び出して"シャドーパンチ"を懐に炸裂させる

 

 

「ゴリランダー…!大丈夫か…!?」

 

「ゴリィッ!」

 

 

"シャドーパンチ"を諸に受けて仰け反るゴリランダーに笹木が呼び掛けるが、ゴリランダーは"なんともない"と言うように力強く応える

 

 

「影に潜れるとか厄介やな…!」

 

「ふふん!手も足も出んやろ!ゲンガー!もう1度影に潜れ!」

 

 

勢いに乗った椎名は再びゲンガーを影に潜ませて攻撃を仕掛けようとする

 

 

「厄介ではあるけど、やりようはある!ゴリランダー!地面に向けて"ドラムアタック"や!」

 

 

それに対し、笹木の指示を受けたゴリランダーは"ドラムアタック"を繰り出し、操作するドラムの根っこで地面を大きく抉る

 

 

「ゲンガ…ッ!?」

 

「なっ…!?そんなめちゃくちゃな…!」

 

 

潜んでいた影のある地面が抉られたことでゲンガーは影の外へと放り出され、そのまま"ドラムアタック"が炸裂する

 

 

「よし!続けて"はたきおとす"や!」

 

 

そして、続け様に"ドラムアタック"を受けて地面に叩きつけられたゲンガーにゴリランダーは"はたきおとす"を繰り出す

 

 

「ゲンガー!"あやしいひかり"!」

 

 

だが、"はたきおとす"が直撃する寸前にゲンガーが"あやしいひかり"を発動

 

それによって混乱状態となったゴリランダーは攻撃を中断してしまい、フラフラと立ち尽くす

 

 

「しまった…!」

 

「これで形勢逆転よ!ゲンガー!"シャドーパンチ"!」

 

 

混乱しているゴリランダーにゲンガーの"シャドーパンチ"が炸裂する

 

 

「くっ…!ゴリランダー!"アクロバット"!」

 

 

混乱状態でも技が決まることもある…その可能性に賭けて笹木は"アクロバット"の指示を出す

 

だが、技を繰り出すことこそ出来たものの、ゴリランダーは在らぬ方向へと飛び出して壁に激突してしまう

 

 

「ゴリランダー…っ!しっかりせぇ…!」

 

 

笹木が呼び掛けるが、ゴリランダーに混乱が解ける様子はない

 

 

「効いてる効いてる!ゲンガー!"ヘドロばくだん"!」

 

 

そして、対応もままならないゴリランダーにゲンガーの"ヘドロばくだん"が炸裂し、吹き飛ばされて地に伏せる

 

 

「ゴ、ゴリィ…ッ!」

 

「ゴリランダー…っ!」

 

 

"ヘドロばくだん"を受けたことで混乱は解けたものの、効果抜群の大ダメージを負ったゴリランダーは瀕死寸前だった

 

 

「効果は抜群…ゴリランダーはもう虫の息。お前の負けや、笹木。これ以上あてぃしに構わんといて」

 

「椎名…。突然いなくなって、そんなに強くて…そうまでしてやりたいことがポケモン泥棒なんか?」

 

「べつにポケモン泥棒がしたいんじゃない。あのポケモンがあてぃし等に必要やからちょっと借りるだけや」

 

「なら理由を言ったらどうやねん」

 

「それが言えへんから泥棒紛いな手に出たんですけど?」

 

「そんなに譲れないんか…。お前のしたいことは…」

 

「そうや。あてぃしはリーダーと一緒に目的を果たす。だから笹木…お前に踏み入れられたくないし、どんなに頼まれても譲らへんよ」

 

「そっか…。でも、譲れないものはウチにもある…!」

 

 

"ダン…ッ!"と、笹木は右足を力強く踏み出す

 

 

「友達のためにポケモンを絶対に取り返したい気持ちもあるけど!ウチはポケモンリーグに優勝して、チャンピオンに挑んでその頂点に立ちたい!だから相手が誰であろうと、ポケモンバトルで負けるわけにはいかへん!」

 

「ゴリィ…ッ!」

 

 

そう叫ぶ笹木の想いに応じるように、ゴリランダーは傷ついた体を起き上がらせる

 

 

「…眩しいな、笹木。眩し過ぎて吐き気がしそうだわ。お前は何も見えていないねん…いや、見えてたとしても見てないフリしてるか関わらんようにしてんねん…っ!みんなそうや…っ!だからあてぃしはリーダーと一緒に世界を変える!そのために…お前とも決別する!ゲンガー!"あやしいひかり"!」

 

 

再びゴリランダーを混乱状態に陥らせようとゲンガーは"あやしいひかり"を発動しようと構える

 

 

「そうはさせへんで!ゴリランダー!"ちょうはつ"!」

 

 

その時、ゲンガーよりも素早く動いたゴリランダーが"ちょうはつ"を繰り出し、変化技である"あやしいひかり"を封じることに成功する

 

 

「くっ…!なら小細工無しや!ゲンガー!"ヘドロばくだん"!」

 

 

"あやしいひかり"を封じられた椎名はもう1度効果抜群の技を決めることで決着をつけようとゲンガーに"ヘドロばくだん"を繰り出させる

 

 

「ゴリランダー!"ドラムアタック"!」

 

 

対するゴリランダーは最初の展開と同じく"ドラムアタック"で迎え撃つ

 

だが、今度は防御ではなく攻撃的な形で迎え撃ち、ぶつかり合った両者の技は爆発を引き起こす

 

 

「互角か…!」

 

「いいや!違うで!」

 

 

椎名の言葉を笹木が否定した次の瞬間、爆発で巻き起こった煙の中から"ドラムアタック"の根っこが飛び出し、ゲンガーを捕まえる

 

 

「なっ…!?」

 

「なんで相殺されなかったのか驚いてるんやろうけど、理由は簡単や!ゴリランダーの特性は"しんりょく"!さっきの"ヘドロばくだん"で体力が僅かになったことで発動したんや!」

 

 

"しんりょく"…それは俗に御三家と呼ばれる初心者トレーナー用のくさタイプポケモン達が共通して持つ特性

 

体力が僅かになった時にくさタイプの技の威力を上げる…形勢を逆転させる可能性を秘めた特性である

 

 

「いけぇ!ゴリランダー!"はたきおとす"!」

 

 

そして、"ドラムアタック"の根っこにより拘束されたゲンガーにゴリランダーは効果抜群となる"はたきおとす"を炸裂させる

 

 

「ゲンガァ…」

 

「ゲ、ゲンガー…っ!?」

 

 

椎名が駆け寄るも戦闘不能となったゲンガーが起き上がることはなかった

 

 

「うぐっ…!」

 

 

直後、ゴリランダーの操作する根っこによって椎名は拘束される

 

 

「ウチの勝ちや…。椎名、お前がういはちゃんから奪ったボール持っとるんか?」

 

「持ってへんわ…。本当に最悪…。囮にされた挙句に捕まるとか…」

 

 

椎名の沈んだ表情から、笹木はそれが嘘でないと判断する

 

 

「散々な目に遭ったことには同情するわ。ウチもよく遭うし。なあ、椎名…。こんな大変な目に遭ってもまだ隠すつもりなんか?」

 

「文句はある…。でも、これでウチ等の目的が達成されるなら…」

 

 

と、そこまで言いかけたところで椎名は更に深く顔を俯かせる

 

そして次の瞬間、顔を上げた椎名の瞳には涙が溢れていた

 

 

「いいなんてわけないやろ…!こんなに大変な思いしたんや…!あてぃしだけ捕まって終わりたくなんてない…!」

 

 

思いの丈を叫ぶ椎名に笹木が憐れみの目を向けた…その時だった

 

 

ポンッ…!

 

 

「…っ!」

 

「なっ…!?」

 

 

突然、椎名のポケットにしまわれていたモンスターボールの1つが勝手に開き、そこからおどろおどろしい炎を燃え上がらせた"かざんポケモン":バクフーンと思われるポケモンが飛び出し、椎名を守るように笹木を威嚇する

 

 

「なんやこいつ…!バクフーン…なんか…!?」

 

 

バクフーンに酷似しているが、その雰囲気と見た目が異なるポケモンに笹木が動揺するなか、そのポケモンは"えんまく"を繰り出して視界から姿を消す

 

 

「うわっ…!?」

 

「ゴリィ…ッ!」

 

 

放たれた煙幕に笹木とゴリランダーが驚く

 

そして、警戒すること数分…煙幕が晴れたそこには燃え裂かれた根っこだけがあり、椎名とバクフーンと思しきポケモンの姿はなかった

 

バトルも終わり、椎名が消えてしまって緊張が解けてしまった笹木はその場にへたり込む

 

 

「椎名…。ウチの知らないところで、お前に何があったんや…」

 

 

再会出来たのも束の間…謎を残したまま再び姿を消した親友に向けて笹木は届かない問いを口にする

 

 

 

 

一方…スメシシティ北西のコンテナヤード

 

 

「ヒスイのポケモン…!やっぱり…!」

 

 

フードの女性のカミングアウトにリゼは目を見開く

 

兄:チャイカから聞いた絶滅したはずのヒスイのポケモン…その1匹を目の前の女性が所持しているのだ

 

 

「何も驚くことはないよ?ヒスイのポケモンは個体数こそ少ないけど、エデンシティのジムリーダーさんだって持ってるんだから」

 

「…そのポケモンはあなたのような悪い人の手にあっていいポケモンじゃありません!然るべき所へ保護するべきです!」

 

「あら酷い。私とクレベースの仲を裂こうって言うの?」

 

「そ、それは…!」

 

 

フードの女性の言葉にリゼは口を噤んでしまう

 

如何に珍しいポケモン…それを悪事を働く人が持っていようとも双方の間に絆があるなら、それを引き裂くことは正しいことなのか?

 

人とポケモン…その在り方について考えているからこそ、リゼはフードの女性の言葉に何も言い返すことが出来なかった

 

そんなリゼに代わり、ういはがフードの女性に言い返す

 

 

「でもその言葉、人のポケモンを奪う人の言う台詞とは思えませんよ」

 

「勘違いしないでほしいんだけど、このポケモンはいつかちゃんと返すよ。しばらくの間、借りるだけだから」

 

「なら、相応の理由を聞かせてもらってもいいですか?」

 

「言ったら納得してくれるの?って、言いたいところだけど多分納得はしてもらえないから言わない」

 

「じゃた、あなたとの話し合いはこれで終わりです。負けた後、お巡りさん達に捕まってから自分がやったことを後悔しないでくださいね!」

 

「しないよ〜!だって、それは私が負けたらの話だもんね!いくよ!クレベース!」

 

「クレェェェッ!」

 

 

夜見の言葉に応じ、ヒスイ:クレベースは咆哮を轟かせる

 

 

「アゲハント、戻って!いくよ!シャンデラ!」

 

 

ういははアゲハントをボールに戻し、こおりタイプに有利なほのおタイプを持つ"いざないポケモン":シャンデラを繰り出す

 

 

「リゼさん、あのポケモンに思うところがあるのは分かります。でも、私達の独断で取り上げたりすることは出来ません。そういうのは、それこそ然るべき人達に任せましょう。今はメロエッタを取り戻すために、力を貸してください」

 

「うん、そうだね…!もう大丈夫!お願い!サイホーン!」

 

 

ういはの言葉を受けて気を取り直したリゼはこおりタイプに有利ないわタイプを持つサイホーンを繰り出す

 

 

「それじゃあ、いくよ!シャンデラ!"ほのおのうず"!」

 

 

ういはの先制…シャンデラが繰り出した"ほのおのうず"がヒスイ:クレベースに直撃する

 

 

「よし!効果は抜群!」

 

「いえ…!そうでもないみたいです…!」

 

 

こおりタイプに効果抜群であるはずのほのおタイプの技を受けたヒスイ:クレベースの表情は少しも苦痛に歪んではいなかった

 

 

「嘘…!なんで…!?」

 

「さあ〜、なんでだろうね〜?クレベース!掻き消して!」

 

「クレェェェッ!」

 

 

リゼが動揺するなか、"ほのおのうず"に閉じ込められたヒスイ:クレベースは前足を力強く叩きつけることで地面を隆起させ、その衝撃を以って"ほのおのうず"を掻き消した

 

 

「凄いパワー…!」

 

「でも、パワーならこっちも負けない!サイホーン!"ドリルライナー"!」

 

 

今度はリゼが指示を出し、サイホーンは"ドリルライナー"を繰り出してヒスイ:クレベースへと突っ込んでいく

 

 

「良いもの見せてあげる!クレベース!"ひょうざんおろし"!」

 

 

ヒスイ:クレベースは頭上にこおりエネルギーが集約させて氷山のような巨大な氷塊が形成し、それを相手の頭上からぶつける技…"ひょうざんおろし"を繰り出す

 

 

「デカい…っ!サイホーン…っ!」

 

 

氷塊のあまりの大きさにリゼが叫び、サイホーンは氷塊に"ドリルライナー"をぶつける

 

ぶつかって少しの間は拮抗したが、氷塊があまりにもデカくて削り切れず、"ひょうざんおろし"がサイホーンに炸裂する

 

 

「サイホーン…っ!?」

 

「やっぱり桁違いだね…!なら弱らせます!シャンデラ!"おにび"!」

 

 

ヒスイ:クレベースの圧倒的なパワーを改めて脅威と感じたういははそのパワーを半減させようと火傷状態にすることが出来る"おにび"をシャンデラに繰り出させる

 

 

「そうはいかないよ!クレベース!"ストーンエッジ"!」

 

 

だが、ヒスイ:クレベースが繰り出した"ストーンエッジ"によって"おにび"は打ち消され、更にはサイホーンとシャンデラに炸裂する

 

 

「サイィ…」

 

「シャン…」

 

「サイホーン…っ!」

 

「シャンデラ…っ!」

 

 

サイホーンとシャンデラは戦闘不能となり、リゼとういははそれぞれをボールに戻す

 

 

「シャンデラの"ほのおのうず"で大きなダメージを受けているようには見えなかった…。それに今の"ストーンエッジ"の威力は"ひょうざんおろし"って技にも引けを取ってなかった…」

 

「それにあの見た目…おそらく、あのクレベースはこおりタイプに加えていわタイプも持ってるのかも…」

 

 

ここまでのバトルで得た情報から、リゼとういははヒスイ:クレベースがこおりといわの複合タイプなのではないかと推測する

 

 

「もしそうなら、攻めも守りもあなたが有利!お願い!エンペルト!」

 

「弱点を突きつつ、こっちの弱点を突かれないならあなた!いくよ!アシレーヌ!」

 

 

倒れたポケモン達に代わってリゼはエンペルト、ういはは"ソリストポケモン":アシレーヌを繰り出す

 

 

「どっちもいわタイプに有利なみずタイプ…。おまけに片方はこおりといわタイプ両方が効き辛いはがねタイプ持ちか〜…。でも、それだけで私のクレベースに勝てるかな?クレベース!"ストーンエッジ"!」

 

 

と、タイプ相性上は明らかに不利な状況に立たされているはずのフードの女性は不適な笑みを浮かべ、ヒスイ:クレベースに"ストーンエッジ"を繰り出させる

 

 

「エンペルト!"はがねのつばさ"!」

 

 

アシレーヌの前に飛び出したエンペルトは"はがねのつばさ"を繰り出して迫る"ストーンエッジ"へ突っ込んでいく

 

タイプ相性によるダメージの抑制と"はがねのつばさ"での防御が活き、エンペルトは"ストーンエッジ"の中をなんとか突き抜けてヒスイ:クレベースに炸裂させる

 

 

「アシレーヌ!"ムーンフォース"!」

 

 

更にそこへアシレーヌが繰り出した"ムーンフォース"が炸裂して、ヒスイ:クレベースはこのバトルで初めて地面に膝を突く

 

 

「よし!効いてる!」

 

「このまま一気に畳み掛けるよ!アシレーヌ!"うたかたのアリア"!」

 

「エンペルト!"うずしお"!」

 

 

膝を突いたヒスイ:クレベースにエンペルトとアシレーヌの同時攻撃が繰り出される

 

 

「待ってたよ!クレベース!"ミラーコート"!」

 

 

だが、不敵に笑ったフードの女性はヒスイ:クレベースに"ミラーコート"を指示する

 

"うたかたのアリア"と"うずしお"を正面から受け止めたヒスイ:クレベースはその攻撃を耐え切り、"ミラーコート"による倍返しのダメージをエンペルトとアシレーヌに炸裂させる

 

 

「エンペ…ッ!」

 

「アシレェ…ッ!」

 

「エンペルト…っ!」

 

「アシレーヌ…っ!」

 

 

ヒスイ:クレベースが受けた2体分の攻撃の倍のダメージ…その一撃だけでエンペルトとアシレーヌは瀕死寸前に追い込まれてしまった

 

 

「まさか"ミラーコート"を持っているなんて…!」

 

「でも、みずタイプの技は効果が抜群…!クレベースも相当のダメージを負ってるからもう一押しで…!」

 

「甘いね、お嬢ちゃん達!クレベース!"じこさいせい"!」

 

 

エンペルト達同様にかなりのダメージを負ったヒスイ:クレベースは"じこさいせい"を発動して、自身の体力を回復する

 

 

「そんな…!回復技を持ってるなんて…!」

 

「私のクレベースは攻撃力だけじゃなく、耐久力にも自信があるんだよね〜。この子に通用するポケモンがそのエンペルト達くらいしかいないなら、このバトルは私の勝ちだよ」

 

 

ヒスイ:クレベースの強さを前に、リゼとういはの表情が険しくなる

 

どうにかして倒す方法はないか…そう思考を巡らせるなか、リゼのボールから勝手にあるポケモンが飛び出す

 

 

「リオッ!」

 

「リ、リオル…!?」

 

 

飛び出したのはリオル…奪われたメロエッタの危機にいてもたってもいられなかったのか、その様子に普段の臆病さは欠片もなく、ヒスイ:クレベースに対して戦闘の意志を示すように睨み付ける

 

 

「あらあら、可愛らしいポケモンだね〜!まるで"生まれたばかり"みたい!」

 

「…っ!?」

 

 

"見透かされている…!"と、フードの女性の言葉にリゼは動揺する

 

 

「リオル退がって…!今のあなたじゃまだ…!」

 

「リオッ!」

 

 

リゼが止めようと叫ぶが、リオルは頑なにそれを拒んでヒスイ:クレベースへと突っ込んでいく

 

 

「感情的なんだね〜。でもごめんね?弱い子を痛ぶる趣味は無いんだけど、向かってくるなら容赦は出来ないよ。クレベース!"ひょうざんおろし"!」

 

 

突っ込んで来るリオルに対し、フードの女性は容赦なくヒスイ:クレベースに"ひょうざんおろし"を繰り出させる

 

 

「リオル…っ!避けて…っ!」

 

 

リゼが必死に叫ぶが、リオルは言うことを聞かずに"ひょうざんおろし"に正面からぶつかっていく

 

 

「リ…リオォ…ッ!」

 

「あら?結構ガッツあるんだね、あなた。でも無理はよくないよ〜?」

 

 

本当に心配しての発言か…"ひょうざんおろし"に負けじと張り合うがどんどん後ろへと押されていくリオルにフードの女性がそう言葉を掛ける

 

仲良くなったメロエッタのためとはいえ、あまりの無茶に不安が抑えられなかったリゼはエンペルトに叫ぶ

 

 

「…っ!エンペルト…っ!無茶なのは分かってるけどお願い…!リオルを連れ戻して来て…!」

 

 

リゼの悲痛な叫びにエンペルトは何も言わずにコクリと頷き、傷付いた体を起こしてリオルの下へ動こうとする

 

 

「…っ!?リゼさん、待って…!リオルをよく見てください…!」

 

 

その時、ういはが叫んでリオルの連れ戻しに待ったをかける

 

そして、リゼはういはに言われた通りに目を凝らしてリオルを見る

 

 

「…っ!?あのオーラは…っ!」

 

 

よく見るとリオルの体からは力強いオーラのようなものが溢れ出していた

 

 

「リ…オォォォォォッ!!!」

 

 

そして"ひょうざんおろし"の氷塊が砕け、それを耐え切ったリオルは受けたダメージを倍にして返す技…"カウンター"によるダメージをヒスイ:クレベースに炸裂させる

 

 

「クレェェェ…ッ!」

 

「あわわわわ…っ!?」

 

 

リオル渾身の"カウンター"を受けたヒスイ:クレベースは大きく押し飛ばされ、フードの女性を巻き込んでダウン…戦闘不能となる

 

 

「わっ…と!」

 

 

そして、ヒスイ:クレベースのダウンに巻き込まれた衝撃によってフードの女性はメロエッタの入ったボールを手放してしまい、ういははそれを見事キャッチする

 

 

「メロエッタ…!」

 

 

念のため、本当にメロエッタが入ってるボールなのか確認するためにういははボールを開く

 

 

「メロ…?」

 

「メロエッタ…っ!よかった…っ!」

 

「メ、メロ…!?」

 

 

ボールから出てきたメロエッタを見て、ういはは喜びのあまり思わず抱き締め、メロエッタは何が何やら分からず困惑する

 

 

「リ…オ…」

 

「リオル…っ!」

 

 

そして、"ひょうざんおろし"のダメージに堪えて倒れるリオルにリゼは急いで駆け寄って抱き止める

 

 

「もう…!こんなにボロボロになってまで無茶して…!でも、よく頑張ったね…!リオル…!」

 

 

涙を零しながら、リゼはリオルを叱り…そしてその成長を誉めて微笑んだ

 

 

「しまった…。思わずボールを…」

 

「観念してください!この子は絶対に渡さないし、悪いあなたにはお巡りさん達に捕まってもらいます!」

 

 

ういはの宣言に、フードの女性は大きな溜め息を吐く

 

 

「それは困っちゃうなぁ…。私達の目的にはそのポケモンが絶対不可欠かもしれないし、私には果たさないといけないことがある…」

 

 

そして、ヒスイ:クレベースを戻したフードの女性は新たなモンスターボールをその手に構える

 

 

「だから何としても!そのポケモンは貰っていくよ!出ておいで!ゾロアーク!」

 

 

フードの女性が投げたボールから飛び出したのは"ばけぎつねポケモン":ゾロアーク

 

だが、その見た目は先程のクレベース以上に異なる姿をしていた

 

 

「毛色が白と赤…!?色違いとは違うし、見た目も全然違う…!まさか、そのポケモンも…!」

 

「そうだよ!この子はヒスイの姿のゾロアーク!出来れば誰の目にも触れさせたくなかったけど仕方ない!ゾロアーク!"うらみつらみ"!」

 

 

フードの女性の指示を受け、ヒスイ:ゾロアークは背筋が凍るような怨念のエネルギーを放つ技"うらみつらみ"をリゼ達に向けて繰り出す

 

 

「「…っ!」」

 

 

回避も、今場にいるポケモンでの迎撃も、迎撃のために他の手持ちポケモンを繰り出すことも間に合わず、リゼ達は迫る攻撃に覚悟して目を瞑った

 

 

「メタグロス!"ひかりのかべ"!」

 

 

だが、ヒスイ:ゾロアークの攻撃がリゼ達を襲うことはなく、突如頭上から現れたメタグロスが"ひかりのかべ"を以ってそれを受け止める

 

 

「遅くなってごめん、ういは。それと知り合いの君」

 

「ま、黛さん…っ!」

 

「黛…!?もしかして、あなたは四天王のあの"黛灰"さん…!?」

 

 

リゼ達を攻撃から救ったのはニジサンジ地方で四天王最強の竜胆尊に次ぐ実力を持つトレーナー:黛灰とその1番のパートナー:メタグロスだった

 

 

「ういは、メロエッタは?」

 

「ここにいるよ!」

 

「メロ〜!」

 

「取り戻せてたんだね。ならよかった」

 

 

メロエッタの無事を確認した黛はフードの女性とヒスイ:ゾロアークに向かい合う

 

 

「そのポケモン…文献で見たヒスイの姿のゾロアークかな?珍しいポケモンを持ってるね、泥棒さん」

 

「な、なんで四天王がこんなところに…!?」

 

「友人からういはのメロエッタが奪われたって連絡を受けてね。ここに来れたのは俺がハッカーで、あなたの逃走ルートを予測しながらその範囲の防犯カメラを全てハッキングして追跡したからだよ」

 

「くぅ〜…っ!」

 

 

四天王の登場にフードの女性は悔しそうにするが、流石に分が悪いと判断したか諦めた様子を見せる

 

 

「四天王に出てこられたら、これ以上は無駄ですねぇ…。今回のところは退かせてもらうよ」

 

「退く…?随分と当然のように言うね。そう簡単に逃がすとでも?」

 

「出来ますよ…ゾロアークの力を借りればね」

 

「させないよ!メタグロス!"アームハンマー"!」

 

 

ヒスイ:ゾロアークが何かするよりも早く、黛の指示を受けたメタグロスが"アームハンマー"を繰り出す

 

 

「…っ!?」

 

 

だが、直撃したはずのメタグロスの"アームハンマー"はヒスイ:ゾロアークの体を擦り抜けてしまった

 

 

「あはは!流石の四天王も初めて見るポケモンのタイプまでは分からなかったみたいですね!ゾロアーク!」

 

 

フードの女性が勝ち誇った笑みを浮かべた直後、ヒスイ:ゾロアークは幻影によって真っ暗な闇を作り出してリゼ達の視界から姿を消す

 

そして数分後、真っ暗な闇の幻影は消えてフードの女性とヒスイ:ゾロアークの姿は目の前からいなくなっていた

 

 

「き、消えた…!」

 

「ゾロアークの特徴でもある幻影で俺達を欺かせている間に逃げたか…。周囲の防犯カメラにも幻影の力で見えなくしてる…。まさか、ヒスイのゾロアークにゴーストタイプが備わっているなんてね…してやられた」

 

「でも、メロエッタは取り返すことが出来ました…!リゼさん、黛さん!ありがとうございます!」

 

「いえ、メロエッタを取り返せて本当によかったです」

 

 

お礼を述べるういはにリゼは笑顔でそう答える

 

 

「一安心したところで悪いんだけど…ういは、特別パフォーマンスには出られそう?一応、きずぐすりは持ってきてるけど」

 

「アシレーヌはなんとかなると思うけど、シャンデラが特にダメージが酷いから…」

 

「分かった。とりあえず、俺のジバコイルに乗って遊園地まで戻って、そこの回復施設で様子を見て中止か延期を運営に申し出よう」

 

「分かった!リゼさんも一緒に…!」

 

「リゼ〜!ういはちゃ〜ん!大丈夫か〜!」

 

 

と、ういはがリゼも同行しないか聞こうとしたところで、笹木がその場に合流する

 

 

「笹木さん…!そっちも無事でよかった…!メロエッタは無事に取り返せたよ!」

 

「そっか!ならよかっ…って、ええっ…!?四天王No2の黛灰…!?な、なんでこんなところに…!?」

 

 

黛の存在に気付いて笹木が驚くなか、リゼはういはの誘いに対して答える

 

 

「ごめん、ういはちゃん。流石に4人は乗れないだろうから、私と笹木さんは歩いて遊園地まで戻るね」

 

「分かりました…。リゼさん、笹木さん…!この度は本当にありがとうございました!」

 

 

改めてういはからお礼を言われたリゼ達は一足先に黛のジバコイルに乗って遊園地に戻るういは達を見送った

 

 

「まさか、ういはちゃんが四天王と知り合いだったなんて…」

 

「ほんま、ビックリしたわ…。ところでリゼ、ポケモン泥棒は?」

 

「それが逃げられちゃって…。笹木さんの方は?」

 

「ウチは…」

 

「…?」

 

「いや、ウチの方も逃げられた…。結局正体も分からんかったわ…」

 

「そっか…。気になることが沢山あるけど、一先ずアンジュと合流しよっか」

 

「うん、そやな」

 

 

こうして、遊園地でのメロエッタを巡る騒動は幕を下ろし、リゼと笹木はアンジュが待っている遊園地へと戻る

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイホーン、リオル

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

笹木咲
手持ち:ゴリランダー、オオスバメ、ガラガラ(アローラ)

相羽ういは
手持ち:メロエッタ、アシレーヌ、アゲハント
   シャンデラ

黛灰
手持ち:メタグロス、ジバコイル

椎名唯華
手持ち:ゲンガー、バクフーン?

夜見れな
手持ち:フーディン、マタドガス(ガラル)
   クレベース(ヒスイ)、ゾロアーク(ヒスイ)
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