次回、ジム戦となります。
「あっ…!リゼ〜!笹木さ〜ん!」
「アンジュ〜!…って、アルスさん…!?」
謎のフードの女性達からういはのメロエッタを取り戻せたリゼと笹木はアンジュが待つ遊園地の警備施設前に戻って来た
そして、リゼはアンジュと共にいたアルスの存在に驚く
「3日ぶりだね、リゼさん」
「リゼ、知り合い?」
「うん、RRRビーチで知り合ったんだ。なんでアルスさんがアンジュと一緒に?」
「ここへ来た時にバッタリ会ってね。アルスさん、ういはさんと四天王の黛さんと知り合いらしいんだ」
「ってことは、黛さんが駆け付けてくれたのは…!」
「僕が連絡したから。間に合って本当に良かったよ」
「そうだったんだ…!助かりました、アルスさん」
「うん。でも、ういはちゃんのポケモンが傷付いちゃったんでしょ?怪我が酷くないといいんだけど…」
「その心配は大丈夫ですよ」
アルスの心配にそう答えたのは、黛と共に施設から出てきたスメシジムのジムリーダー:加賀美だった
「加賀美さん…!?今日はジム戦があったはずじゃ…!」
「この遊園地は加賀美インダストリアルが運営していまして、事態の連絡を受けて飛んで来たんです。ジムの方は幸いにも3人目のチャレンジャーが終わったところだったので」
「社長…!大丈夫っていうのは…!」
「ういはさんのポケモン…特にダメージのあったアシレーヌとシャンデラの怪我自体は酷くないので夕刻までには回復できるそうです」
「ういは曰く、アシレーヌもシャンデラもやる気みたいだから、特別パフォーマンスは夕暮れに延期するらしいよ」
"よかったぁ…!"と、リゼ達は胸を撫で下ろす
「リゼさんと笹木さん…だっけ?ういはのパフォーマンスまで時間が空いたし、2人のポケモンも休ませた方がいいんじゃない?案内するよ」
「あ、ありがとうございます…!」
「それでは、私は本日のチャレンジャーをあと2人残してるのでこの辺りでジムへ戻ります。皆さん、この度の事件解決に協力してくださり、心から感謝いたします。ささやかではありますが、良ければ今夜ご馳走させてください。黛さんも久しぶりにご一緒に」
「いや、俺はそういうの…」
「まゆ君!ういはちゃんに会うのも久しぶりでしょ!せっかく僕達3人揃ってるんだからさ!」
「…まあ、ご飯のことをういはに伝えたら無理矢理引っ張られるだろうしね。分かったよ、無駄な抵抗はしないでおく」
「それでは、ジムが終わり次第また黛さんの方にご連絡します」
そう言い残して加賀美はジムへと戻り、リゼ達は黛の案内を受けて遊園地内の医療施設へと向かう
*
「わあ…っ!かなり集まってきましたね…!」
「リゼさん達が一緒でよかった…。僕1人でこんなに多勢な人混みの中にいたら気絶しちゃうよ…」
夕刻…ポケモン達の回復も終わったリゼ達はういはが特別パフォーマンスを行うステージ前で始まるその時を待っていた
そして、特別パフォーマンス開始時刻…ステージ上にういはが姿を現し、観客が大きな拍手で彼女を迎える
「いよいよ始まるな!」
「リゼが興味を持つパフォーマンス…一体どんなものなんだろう!」
『お集まりの皆さん!予定より遅れてしまってごめんなさい!でも、こうして見に来てくれたこと、本当にありがとうございます!お待たせしてしまった分、私もポケモン達も全力でパフォーマンスします!』
ういはは挨拶を終え、ステージ外の音響スタッフとアイコンタクトを取る
『それじゃあ!ミュージック〜…スタートっ!』
ういはの掛け声とともにポケモン好きな人に流行の曲「1・2・3」が流れ出し、同時にういはが宙へと投げた5つのボールからアシレーヌ、アゲハント、シャンデラ、ハハコモリ、アマルルガが飛び出す
『アゲハント!"エアカッター"!シャンデラ!"おにび"!アマルルガ!"10まんボルト"!』
Aメロ…アシレーヌ、ハハコモリと共にダンスを披露するういははアゲハント、シャンデラ、アマルルガに指示を出す
アゲハント達3体それぞれがリング状に放った技は宙で集約した後、3つ全てが絡み合ったリングとなって観客の頭上へ多数拡散する
「な、なんやこれぇ…っ!?」
「す、凄い…っ!」
バトルとは違うパフォーマンス特有の技の使い方にリゼと笹木は目を見張る
『アシレーヌ!"バブルこうせん"!ハハコモリ!"エナジーボール"!』
次にアシレーヌ達とアゲハント達の立ち位置が入れ替わり、アシレーヌとハハコモリの技が拡散したリングに向かって放たれる
多数のリングは放たれたそれぞれの技と更に融合した後に弾け、幻想的な光の粒となって観客の頭上へと降り落ちる
「綺麗〜っ!」
「これがパフォーマンスか…!リゼが興味を示すのも頷けるな…!」
ういはのパフォーマンスに魅入るアルスとアンジュはそれぞれそう呟く
『アシレーヌ!"ムーンフォース"!アゲハント!"スピードスター"!アマルルガ!"ふぶき"!』
Bメロ…照明が全て消え、アシレーヌ達3体がステージ上空にそれぞれの技を放つ
Bメロの最後…サビへと繋がる"ポンッ!"の音と同時に2つの技のエネルギーを纏った"ムーンフォース"が照明代わりの綺麗で力強い光を放ち、絡み合った"スピードスター"と"ふぶき"で生み出された雪の結晶のような星が降り注ぐ
「ポケモンの技でこんなこと出来るんや…!」
「ういはちゃんもポケモン達も凄く華やかでカッコいい…!」
サビ…降り注ぐ幻想的な雪の星に飾られながらダンスをするういはとアシレーヌ達の姿にリゼ達の興奮は最高潮に達する
『シャンデラ!"ほのおのうず"!アマルルガ!"れいとうビーム"!』
そして、ラストサビ直前にシャンデラとアマルルガの技によって、ういは達の後ろに炎をその中に留めた氷のリングの像が形成される
ラストサビ…"1、2、3"の順にういはを中心に宙ではアゲハントが"ちょうのまい"、左右でアシレーヌとハハコモリがそれぞれ"トリプルアクセル"と"つるぎのまい"、シャンデラとアマルルガが"サイコキネシス"によって宙を飛びながらラストスパートのダンスに入る
終盤…"レッツゴー!"から入る1フレーズずつで左右中央3つの順に全員が同じポーズを決めて動きを止め、アウトロが流れるとともに再び息の合ったダンスを披露する
そして、曲のフィナーレは空中に止まれなくなって落ちてきた"ムーンフォース"が後ろの像を花火のように弾けさせ、ういは達はそれを背にポーズを決める
「「「「うおおおおおおおおっ!!!」」」」
開幕1つ目のパフォーマンスで観客は大いに盛り上がり、大きな歓声と拍手が響き渡る
『皆さ〜ん!ありがとう〜!パフォーマンスはまだ続くから、もっともっと楽しんでくださ〜い!それじゃあ、次の曲へ〜…ゴーッ!』
その後約1時間…ういはとポケモン達のパフォーマンスは観る人全てを熱狂させ、大盛況に終わった
*
「ふぅ〜…っ!美味しかった〜…っ!」
ういはの特別パフォーマンスが終わった後…リゼ達は加賀美の誘いでスメシシティ内の高級レストランで夕食をご馳走になっていた
「皇室に呼ばれた時に食べた物と遜色ない味…流石はスメシシティの高級レストランですね」
「本当にありがとうございます。加賀美さん」
「礼を言うのはこちらの方です。改めて、この度の騒動の解決にご協力いただき、ありがとうございます。それにういはさん、改めてこの度の特別パフォーマンスありがとうございました。そして、私共の警備が甘かったために起きた騒動…誠に申し訳ございません」
「いえいえ!こちらこそ、多くの皆さんにパフォーマンスの魅力をお見せできる機会を頂けましたし、今回の件で加賀美さんが謝ることなんて…!」
「そう言っていただけるのは嬉しいですが、ういはさんに接触したスタッフ…それがおそらく今回の騒動の主犯だったことは間違いありません。どうやってスタッフに紛れ込むことが出来たのか…現在調査中ですが、今後二度とこのようなことが起きぬよう改善を尽くします」
「俺の方でも、今回の犯人がどこの誰なのか…リゼさん達から得た情報を基にジュンサーさん達と協力して突き止める。それと今後、ういはは1人で行動しないこと。プロデューサーの方にもキッチリ言っておくから」
「はーい…」
メロエッタのためにも仕方がないとは言え、しばらく自由に行動することが厳しくなることにういは納得しつつも残念そうに返事をする
「それにしても、今回の犯人はヒスイのポケモンを持っていたんだよね?たしか、リゼとアルスさんがRRRビーチで遭遇したにじレジ団も…」
「うん…。あの夜、にじレジ団の人が持っていた"バサギリ"ってポケモンのことを舞元さんに話したらヒスイのポケモンだって言ってた」
「バサギリか…。たしか、ヒスイ地方で生息していたストライクの進化形って文献には書いてあったね」
「ヒスイのポケモンを所持していた今回の犯人と昨今噂になっているにじレジ団…繋がっている可能性は高そうですね」
「うん。その手の話に詳しい人にも協力を仰いでみよう」
「そうですね。ですが、その前に…」
と、加賀美はリゼとアルスに向く
「リゼさんとアルスさんはジムに挑戦するんですよね?私の方がまた忙しくなる前に近日中でどうでしょうか?」
「なら、私は明日にでも!」
「僕は時間を空けようかな…。アレが手に入ったとは言っても、まだ社長に挑むにはレベルが足りないと思うし…」
「分かりました。では、リゼさんは明日。アルスさんは準備が整い次第、お声を掛けてください。可能な限り取り計らいます。良ければ、ついでにエクスさんの挑戦もお受けします」
加賀美の計らいにアルスはペコリと礼をする
「よーし!なら、アルスさんの挑戦までは私と黛さんでみっちり特訓に付き合ってあげますね!」
「いや、そこはういはがマンツーマンで付き合ってあげなよ」
「駄目ですよ!せっかくなんだから黛さんも手伝って!それに黛さんとも久しぶりにバトルしたいんです!今度こそ、黛さんを熱くさせるバトルをしてあげます!」
「ういは、まだそんなことを言って…」
「そんなことじゃないですよ!私もアルスさんも!エクスさん達だって黛さんに四天王を辞めてほしくないんですから!」
「…え?」
ういはから突然出た言葉にリゼとアンジュ、笹木の思考が一瞬止まる
そして、理解が追い付いたと同時にリゼと笹木は声を上げて驚く
「えぇ…っ!?四天王を辞める…!?」
「ど、どういうことですか…!?」
「ちょ…!ちょっと、ういはちゃん…!まだ公に言ったら…!」
「あっ…」
アルスに指摘されて自分が失言してしまったことにういはが気付き、黛は"やれやれ"と溜め息を吐く
「ういはが言った通りの意味だよ。俺は次のチャンピオンリーグが終わったら四天王を辞める。理由は大したものじゃない…単に、四天王で居続けることに疲れただけだから」
驚くリゼ達にそう告げると黛は席を立つ
「…何処に行くんですか?」
「帰るんだよ。やることは山積みだからね」
「そうですか…。では、先に黛さんを送るよう運転手に伝えておきます」
「それじゃあ、俺はこれで。ういは…バトルをする気はないけど、アルスの特訓には付き合ってあげるよ。それでいいなら、また後で連絡して」
そう言い残して、黛は先にレストランを出て行った
「むぅ〜…!」
「もう、ういはちゃんったら…。ごめんなさい、せっかくの食事会を変な空気にしちゃって…」
黛の対応にご機嫌が悪くなるういはに代わってアルスがリゼ達に謝罪する
「驚きはしたけど、べつに気にしてはないからそんなに謝らんでええよ」
「うん…。もしかしてなんだけど、ういはちゃんが言ってたポケモンリーグに挑戦する理由…勝ちたい知り合いって黛さんのこと?」
「はい…」
「…黛さんは四天王:竜胆尊さんに次ぐトレーナー。その実力は過去在籍していた四天王の方々全員を凌駕すると言われています」
「過去に在籍していた…と言うと、ニジサンジ地方でチャンピオンを含めた事実上3番目に強いトレーナーということですか」
「はい。黛さんは数年前に四天王となりましたが、しばらくしてそれまでのバトルに対する熱が嘘のように無くなってしまいました」
「それは…どうして…?」
「まゆ君は"挑戦者とのバトルに熱を感じなくなった"…って言ってた」
「熱を感じない…?楽しくなくなったってこと?」
「大雑把に言えばそうだと思います。黛さんにとってバトルに求めるもの…それが四天王就任以降挑戦してくる人達から感じられなくなったそうです」
「それで四天王を辞めたいと…」
「でも、四天王を辞めるのは本人の自由なんじゃ…?」
「分かってます…。でも、私は黛さんにバトルの楽しさを感じられなくなった今のまま、四天王を辞めてほしくないんです…!辞めたら、そのままバトルそのものから離れちゃいそうだから…!」
黛が四天王とともに最悪の形でバトルから離れてしまうかもしれないという不安と悲しみ
そんなういはの気持ちを聞いて、リゼも哀しい表情を浮かばせる
(その気持ち、分かるかも…。何か理由があるのは分かってるけど、バトルが大好きで、憧れだった人が突然辞めちゃうことの悲しさ…)
と、リゼはチラリと隣にいるアンジュを見る
「たしかに、せっかく四天王になれたのにそんな悲しい理由で辞めるのは見てて良い気分にはなれんなぁ…。ウチ等にも何か出来ることがあればええんやけど…」
「でしたら、方法は1つです。全てのジムを制覇し、その過程で培った力をチャンピオンリーグで黛さんにぶつける。その時に黛さんが求める熱いバトルをすることが出来れば、考えを変えるかもしれません」
「そうですね。そのためにも、明日のジム戦は頑張らんとな!リゼ!」
「え…?あ…!う、うん!そうだね!加賀美さん!明日はよろしくお願いします!」
「はい。リゼさんとのバトル、楽しみにしています」
こうして、加賀美達との食事を終えたリゼとアンジュは宿泊先のポケモンセンターへと戻った
*
「よし、それじゃあ寝る前に明日のジムに向けて作戦会議でもするか!」
その夜、ポケモンセンターの宿泊部屋で就寝前にリゼとアンジュはジムに向けての会議を行う
「加賀美さんはかくとうポケモンの使い手だけど、リゼはもうメンバー決めてるの?」
「うん。優先度の高い順にバタフリー、エンペルト、サイホーン、イーブイ、リオル」
「あれ?リオルが1番優先度低いの?」
「リオッ!」
今日の出来事から強くなりたいという意志が芽生えてやる気満々のリオルは選出される可能性が低いことに対してリゼに物申す
「たしかに、私のメンバーはかくとうタイプに弱点を突かれる子が多いけど、リオルはまだ生まれたばかりだし、本格的なバトルするのは早すぎると思うの。今日のバトルも"カウンター"を決めただけだったし」
「リォ…」
リゼの理由にアンジュも納得し、リオルは悲しそうな表情を浮かべる
「だからリオル!明日のバトルをよく見ていてね!次のジム戦からはデビューしてほしいし!」
「リオッ!」
"次のジム戦からデビュー"…その言葉を聞いてリオルは納得を示す
「加賀美さんの"切り札"が気になるところだけど、リゼにもZ技っていう切り札があるからな。全力を出し切れば、きっと勝てるはずだよ」
「…うん!そうだね!」
「よし!なら、今日は早く寝てしっかり体を休ませようか!おやす…」
「アンジュ…」
アンジュが部屋の電気を消そうとした時、リゼは何処か不安そうな表情でアンジュを呼び止める
「どうした、リゼ?」
「…いや、なんでもない。おやすみ」
「…?」
そう言って布団に潜るリゼにアンジュは首を傾げるが、何か言いたげだったことには追及せず、部屋の電気を消して就寝する
(アンジュのことは気になるけど、あの日聞いて以来ずっと話してこなかったなら無理に聞くわけにもいかない。今は明日のジム戦に集中しなきゃ…。アンジュのことは…いつか話してくれるといいなぁ…)
内心そう呟きながら、リゼは眠りについた
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
サイホーン、リオル
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
相羽ういは
手持ち:メロエッタ、アシレーヌ、アゲハント
シャンデラ、ハハコモリ、アマルルガ