ちょっと今回の話を書くにあたって行き詰まってしまったのと息抜きにしていた娯楽にハマり過ぎて滞ってました!すみません!
それとここしばらくはバタバタするので今までよりも投稿が遅めになるかもしれません。次回はなるべく早くに投稿出来るよう頑張りますが、ご了承ください。
オウマシティを襲ったマナナツの森のポケモン達の暴走…その元凶であった廃墟の城の地下空洞で遭遇したソウブレイズを長尾達と協力してゲットすることに成功したリゼは、長尾のコバルオンを先頭に彼等と共にオウマシティへの帰路についていた
「帰りの道ですれ違ったポケモン達、襲ってこなかったね」
「コバルオンを先行させて、元凶になっていたソウブレイズがいなくなったことを野生のポケモン達に伝えたのが上手くいったみたいだな」
「みんな安堵の表情を浮かべて帰って行っていました。本当によかったです」
「本当、戦える手持ちも残り少ない状態だったからよかったよ」
「あ…!ようやく街が見えてきましたよ!」
と、ようやくオウマシティの出入り口が見えた美兎が全員に呼び掛ける
「…っ!みんなー!長尾達が帰って来たよー!」
「リゼ…っ!」
そして、オウマシティ北側の出入り口で見張りをしていた奈羅花は帰ってきたリゼ達の姿を見て周囲に呼び掛け、それが耳に届いたアンジュは一目散に駆け出した
「リゼーーーっ!」
「ぶわっ…!?」
オウマシティの出入り口手前…そこまで辿り着いた途端にリゼは迎えに飛び出して来たアンジュに抱きつかれて体勢を崩し、共にその場に倒れ込む
「よかった…!ちゃんと帰って来て…!何処か怪我とかしてない…!?」
「ア、アンジュ…!落ち着いて…!」
「大丈夫だよ、アンジュさん。大きな怪我はしてないから」
「まあ、相手が相手だったから全員ちょっと煤けてはいるけどね」
「そ、そうですか…よかった〜…!緑仙さん、夢追さん、ありがとうございます。2人も無事でなによりです」
緑仙と夢追の話を聞いてアンジュは安堵して胸を撫で下ろす
「美兎さん、お疲れ様」
「凛先輩と楓ちゃんもお疲れ様です。そっちも全員無事みたいですね」
「ギリギリやったけどな。私等のポケモンもヘトヘトよ」
「私もです。頑張ったポケモン達にゆっくり休息をあげないとですね」
「リゼさんに皆さん…!無事に帰って来て本当によかったです…!」
「レインさん…!そちらも無事に帰り着いたみたいでよかったです!」
飛び出して来たアンジュに続き、楓達もリゼ達の下に駆け寄って互いの無事の帰還を喜び合う
「長尾…!無事でよかった…!少し前に野生のポケモン達が森へ引き返して行ったけど…!」
「ああ、事件の元凶はもういない。リゼさんがゲットしたからな」
「ゲットした…!?元凶の正体はポケモンだったってこと…!?」
「元凶はソウブレイズって言う最近噂になっていた"呪われた騎士"のポケモンだった」
「ソウブレイズ…聞いたことのないポケモンだね…」
「何はともあれ事件は無事に解決した。街の警戒は解いていい。怪我人は病院、負傷したポケモン達はポケモンセンターに連れて行って、動ける奴等は明日の朝から街の北側の復興作業に取り掛かる」
「分かった、街のみんなに伝えて来るよ!奈羅花さん、夏芽さん、手伝ってもらえるかな?」
「任せてよ!」
「分かりました!」
長尾の意見に同意した弦月は奈羅花と夏芽を連れて街中へと走って行く
「さて、俺達も疲れ果てたポケモン達を休ませにポケモンセンターに行かないといけないが…晴、お前も一緒に来てくれ。それとテラキオンはまだ元気か?」
「元気だけど…どうかしたの?」
「さっき言ったソウブレイズ…厄介なほのお技を覚えててな。リゼさんがゲットしたが、あの気性の荒さが落ち着いたとは考えにくい。回復し切った後に暴れても抑えられる見張りが必要なんだ」
「そういうことか、分かった…!」
「リゼさん、ソウブレイズは回復して目を覚ますまで隔離させてもらうけど…構わないか?」
「可哀想だけど、みんなの安全のためですから…分かりました」
「助かる。それじゃあ、全員ポケモンセンターへ行くぞ」
その後、リゼは長尾達と共にポケモンセンターへと向かい、ポケモン達を預けてから自分達も休息を取った
*
そして翌朝…ソウブレイズ以外の回復し切ったポケモン達を引き取ったリゼは美兎や緑仙、レイン達と共にオウマシティの西出入り口に集まった
「それじゃあ、私達はここで」
「皆さん、改めてこの度はありがとうございました!エデン警備隊に務めていた身として恥ずかしい限りです…。加えて、皆さんが大変な目に遭っていたのに力になることも出来なくて…」
「そんなん気にしなくていいですよ。困った時はお互い様ですし」
「どんなに腕に自信のあるトレーナーでも、どうしようもない時はありますよ。レインさんにとっては今回が偶々そうだっただけです」
「でも…」
「レインさんがそこまで気になるなら、次にお会いした時に私達と是非バトルしてください。エデン警備隊でも屈指の実力を備えているトレーナーとのバトルは私達にとって良い経験になるので」
「分かりました…!でも、手加減はしませんからね!」
「望むところです!」
バトルの約束を交わした美兎達とレインは互いにニッと笑い合った
「美兎委員長、ヘルエスタシティまでお気をつけて」
「リゼさんこそ、この先にあるコーヴァスシティの砂漠やシーズシティとの間にある雪山では気を付けてくださいね」
「は、はい…」
「リゼさん…?」
気不味そうな表情になるリゼに美兎は首を傾げる
「あ、いえ…。昨日のことでアンジュにこっぴどく叱られたので…」
「今回ばかりはちゃんと反省してもらわないといけないからね。結果は良かったけど、美兎さんや緑仙さん達まで危険に巻き込んだんだから。昨日話を聞いた時は心臓が止まるかと思ったよ…」
「ご、ごめんなさい…。美兎さんと緑仙さん達も本当にすみませんでした…」
暴れるソウブレイズを助けたいという想いから危険な行動に出たことをアンジュに咎められたリゼは改めて美兎達に謝罪するが、彼女達は少し微笑みながら揃って首を横に振った
「謝ることないよ。僕達は僕達の意志で逃げるのを辞めて、リゼ達の加勢をしたんだから」
「それに他人やポケモンのために必死になれることはリゼさんの美徳です。状況や後先を考えないことは反省しないといけないかもしれませんが、その想いを抑え込む必要はないと思います」
「美兎委員長…緑仙さん…!はい…!」
「それでは皆さん、また何処かでお会いしましょう!」
最後にそう告げた美兎達はオウマシティを出発し、リゼ達は彼女達を見送った
「それじゃあ、次は緑仙さん達ですね。コーヴァスシティへの出入り口まで見送ります」
そして、次にコーヴァスシティへ出発する緑仙達を見送るため、リゼ達は南の出入り口に向けて歩き出す
「リゼとレインさん達はこれからどうするの?」
「私は街の復興が落ち着き次第、長尾さんに挑戦するつもりです。勝てればすぐ、私もコーヴァスシティに向かいます」
「パタちは既にジムをクリアしてるけど…」
「私の目的…マナナツの森の遺跡の調査がにじレジ団の邪魔もあってまだ終わっていませんからねぇ。この後、改めて調査に向かって明日か明後日には我々もコーヴァスシティへ出発するつもりです」
「そういえば、その後にじレジ団は…?」
「長尾さん達に事情を話して昨晩の間に何人か捜索に出たらしいんだけど、マナナツの森には人っ子1人いなかったって…」
「既にマナナツの森からは姿を消しているらしいですねぇ。でも、連中の狙いはプレート…念のため、遺跡の調査には長尾さんの知り合いから何人か付き添ってもらえることになりました」
「それはよかったですね」
「ええ。それにこのオウマシティで私の研究も大きく前進しました」
「へぇ、そんなに凄い発見か何かがあったんですか?」
「我々が預かっているこの"りゅうのプレート"を貸してくれた夏芽君が興味深い書物を持っていましてね。そこにはこのニジサンジ地方誕生時の出来事と思われる内容が記されていました」
「ニジサンジ地方が出来た時の…!?」
「それってかなり重要な資料になるんじゃ…!でも、どうして今になってそんな物が…?」
「プレート自体は夏芽君の家系が代々営んでいる図書館に保管されていたらしいんですが、書物に関しては近年になって偶然見つかったそうです」
「それで、その本にはどんな内容が書かれていたんですか?」
リゼの問いにレオスはコホンと咳払いを挟んでから話し出す
「大昔、ニジサンジ地方はある日起こった大災害によって大陸の半分以上が失われたそうです」
「大陸の半分…!?」
「それが失われるって、どれだけヤバい災害だったんだ…!?」
「書物に記されていた大災害の特徴は大規模な津波に地震…そして、それはポケモンによって引き起こされていたみたいなんです」
「大規模な津波や地震を引き起こせるポケモン…?災害級の規模でそんなことが出来るポケモンなんて、それこそ伝説の…」
「ええ、私もアンジュ君の考えに同じです。おそらく、大昔に大災害を引き起こしたポケモンとは超古代ポケモンのグラードンとカイオーガでしょう」
「「「「…っ!!?」」」」
伝説の超古代ポケモンとして知られる"たいりくポケモン":グラードンと"かいていポケモン":カイオーガ…レオスの口から出たその名にリゼ達は驚愕する
「グラードンとカイオーガ…!たしか、近年だとホウエン地方でその姿が目撃されてた伝説のポケモン…!」
「私も知ってます…!大きなニュースにもなってました…!」
「ええ。しかもホウエン地方で確認されたその2体は本来とは少し異なる姿、そして書物で記されていたような大災害を引き起こせるほどの力を有していたと聞きます」
「でも、ホウエン地方の2体はチャンピオンのダイゴさんを含めた数人のトレーナー達の活躍で無事に解決したんだよね?」
レインの問いにレオスは頷いて肯定を示す
「しかし、大昔の人々にはまだ我々のようにポケモンを使役する術もなく、大災害に呑まれるしかなかった。ですが、そこに救いの手が差し伸べられたんです」
「救いの手…?」
「大昔の人々はあるポケモンを祀っていたらしく、そのポケモンに救いを求めた結果、そのポケモンはこの地に眠っていた6体のポケモンを目覚めさせた」
「6体のポケモン…?それがグラードンとカイオーガを倒したってことですか?」
「大昔の人々に祀られていたポケモンと6体のポケモンは協力してグラードンとカイオーガと戦い、最終的にはレックウザの介入もあってなんとか2体を鎮めることが出来たそうです」
「レックウザ…!グラードンとカイオーガに縁のあるもう1体の超古代ポケモンですね…!」
「ええ。グラードンとカイオーガが争う時、それを治めるこの地球の守護神と言われているポケモンです。こうして、大災害に終止符が打たれたわけです」
「それで、その後ニジサンジ地方はどうやって半分になった状態から今の形になったの?」
「書物によれば、目覚めた6体のポケモンが長い年月を掛けて大災害によって欠けた他の地方の大地とで繋ぎ合わせ、人々の復興に協力したとされています」
「そういえば、凛月さんや天宮さんがエデンシティの時に似た話をしていたような…!」
「ニジサンジ地方の一部の地域では、大昔の出来事を脈々を語り継いでいることは把握していました。凛月君や天宮君はそこの出身なのでしょう。今まではあくまで語り継がれてきたということで確信を得られませんでしたが、今回書物にも同じことが書かれていたので確かな情報と見ていいでしょう」
「ということは、このニジサンジ地方にアローラ地方の環境やガラル地方で見られるパワースポットが存在するのは…」
「その場所が過去の大災害で割れた他の地方の大地だったからです」
RRRビーチのアローラ地方と同じ環境やニジサンジ地方北部に集中して存在するガラル地方のパワースポット
他の地方特有の環境や現象が何故この地方にあるのか…その不思議に感じていた謎が解け、リゼ達は思わず口を開けて呆然となる
「なんだか、凄い話だね…」
「まさか、この地方誕生の歴史がそんなに壮大だったなんて…」
(チャイカさんもこの地方誕生の歴史に興味があった…。もしかしたら、プレートや遺跡がある場所でチャイカさんの足取りがつかめるかも…)
「アンジュ…?難しい顔してるけど、どうしたの?」
「うぇっ…!?い、いや…!なんでもないよ…!あはは…!」
「…?」
声を掛けてきたリゼにアンジュが笑って誤魔化すなか、一行はオウマシティの南出入り口へと辿り着いた
「それじゃあ、僕達もここで…」
「リゼさ〜〜〜ん!緑仙さ〜〜〜ん!」
緑仙が別れの言葉を告げようとした時、街の方からリゼと緑仙を呼ぶ声が響いた
リゼ達が声のする方へ振り向くと、そこにはこちらへ向かって走ってくる奈羅花の姿があった
「奈羅花さん…!」
「よかった〜、出発する前に間に合って…!実はリゼさんと緑仙さんに渡したい物があって…!」
「僕とリゼに…?」
「うん!はい、これ!」
リゼ達の下に駆け寄った奈羅花はリゼと緑仙にポケットから取り出した"ある物"を手渡す
「これって…!ダイマックスバンドじゃないですか…!?」
リゼと緑仙が奈羅花から渡された物…それはパワースポットでポケモンをダイマックスさせるために必要なアイテムであるダイマックスバンドだった
「そう!2人共、オウマシティに来る前にダイマックスアドベンチャーに挑む予定だったよね?急に巻き込まれちゃって機会逃させちゃったし、事件解決に大きく貢献してくれたから、その御礼にと思って!」
「い、いいんですか…?」
「僕達、ダイマックスアドベンチャー自体はクリアしてないけど…」
「リゼさん達は長尾や美兎さん達と協力して強力なポケモンを倒した。それだけの実力があるなら、ダイマックスアドベンチャーに挑んでいたとしてもクリア出来てたと思う。だから何も気にすることはないよ」
「ありがとうございます!奈羅花さん!」
「リゼさん、緑仙さん…それにレインさんも!残りのジムも制覇して絶対ポケモンリーグに出場してね!奈羅花、応援してるから!それじゃあ、そろそろ戻らないといけないからこの辺で!じゃあね〜!」
リゼと緑仙にダイマックスバンドを渡し、激励を残した奈羅花はマックスダイ巣穴があるトリガー山道へと向かって去って行った
「じゃあ、僕達も行こうか」
「うん。それじゃあ、リゼ、みんな…僕達は先にコーヴァスシティに行くよ」
「はい!コーヴァスジムの再挑戦、頑張ってください!」
奈羅花の姿が見えなくなった後、緑仙と夢追もリゼ達との別れを告げ、一足先にコーヴァスシティに向けて出発して行った
「さて、それじゃあ我々も改めてマナナツの森の遺跡の調査に行くとしましょうか」
「うん!それじゃあ、リゼさん、アンジュさん、バイバーイ!」
「はい!2人共お気をつけて!」
そして、リゼとアンジュは改めて遺跡の調査に向かうレインとレオスに別れを告げ、その出発を見送った
「さて、今日はこの後どうする?」
「せっかくだから、オウマシティを見て回…」
「いた…っ!リゼさ〜ん…っ!アンジュさ〜ん…っ!」
美兎達全員の見送りが終わったリゼがアンジュに今日の予定にオウマシティの観光を提案しようとしたその時、自分達の名前を呼ぶ声が耳に届いて言葉を遮られる
声のした方へ振り返ると、そこには慌てた様子で駆け寄って来る夏芽の姿があった
「夏芽さん…?そんなに慌ててどうしたんですか…?」
「リゼさんのソウブレイズが目を覚ましたんだけど暴れ出して…!今は甲斐田さんとテラキオンが食い止めてます…!」
「ソウブレイズが…!?」
夏芽から目覚めたソウブレイズの状態を聞かされたリゼとアンジュは彼女と共に急いでポケモンセンターへと向かった
*
「ブレイ…ッ!」
「ラァキオンッ!」
「落ち着いてくれ…!ソウブレイズ…!僕達は敵じゃない…!」
オウマシティのポケモンセンター…その最奥にある隔離治療室で甲斐田とテラキオン、数人のトレーナーとポケモン達が目覚めたソウブレイズと相対していた
「甲斐田さん…!これ以上の防御は無理です…!壁が破られます…!」
「くっ…!」
数人いるトレーナー達の1人の報告に甲斐田は表情を歪ませる
現在、甲斐田はソウブレイズをテラキオンと共に他のトレーナーのポケモン達による"リフレクター"の壁で形成された空間に閉じ込めていた
そうすることで、暴れるソウブレイズによる周囲への被害と逃走を防いでいた
回復したソウブレイズを再び戦闘不能に陥る負傷を負わせることを躊躇った甲斐田は対話による解決に試みたが、ソウブレイズに甲斐田の言葉を聞き入れる様子はなく、暴れ続けていた
そして、ソウブレイズによる周囲への被害と逃走を防ぐために形成した"リフレクター"の空間も暴れ続けられたことで維持の限界が近づいていた
(リゼさんには悪いけど…バトルで弱らせるしかないのか…!)
対話での解決は不可能だと悟った甲斐田は不本意ながらもソウブレイズを戦闘不能にする手を打つしかないと考えて覚悟を決める
「ソウブレイズ…っ!」
「…っ!リゼさん…!」
その時、夏芽からの知らせを聞いて来たリゼが到着する
「落ち着いて、ソウブレイズ…!あなたが何に怒っているのかは分からないけど、私達はあなたを助けたいの…!だから…!」
「ブレイ…ッ!」
「…っ!」
リゼが必死に呼び掛けるもソウブレイズに聞き入れる様子は微塵もなく、威嚇してその言葉を遮らせる
「リゼさん…!残念だけど、ソウブレイズとの対話は不可能だ…!それと、今ボールに戻してもソウブレイズは無理矢理出てくると思う…!止めるには弱らせるしかない…!手伝って…」
「ブレイッ!」
「「「…っ!?」」」
バリィィィン…ッ!
と、甲斐田がリゼにバトルの共闘を申し出る最中、ソウブレイズが放った一振りによって"リフレクター"の空間が音を立てて破られる
「ラァキオン…ッ!?」
状況が危機的なものに一変したことでテラキオンが迎撃のために突っ込むが、ソウブレイズは跳躍してそれを躱す
そして、着地したソウブレイズは間髪入れずにリゼへと突っ込んで行き、右腕の剣を振り下ろす
「…っ!」
攻撃を覚悟したリゼは反射的に目を瞑る…が、ソウブレイズの一振りが直撃することはなかった
「ヨノワール!"かなしばり"!」
何者かの指示とともに突如現れたヨノワールの"かなしばり"を繰り出し、ソウブレイズの体の自由を奪ってその動きを止める
「このヨノワール…!もしかして…!」
暴れるソウブレイズの動きが止まったことで腰を抜かした一同がへたり込むなか、現れたヨノワールに見覚えがあった夏芽が後ろを振り返る
「いや〜、危機一髪だったね!」
「ましろさん…!」
そこにいたのは竜胆、黛と並ぶニジサンジ地方の四天王の1人…ましろ爻だった
「ましろさん…この人が…!」
「えっと、あのポケモンのトレーナーは君だよね?」
「あ、はい…!」
「都合が悪くないなら、この後お話しでもしない?あのポケモン…ソウブレイズについて」
ソウブレイズについて何か知っている様子のましろの誘いにリゼは一瞬驚くもコクリと首を縦に振って承諾した
「よし!でも、まずは一度落ち着かせないとね!出てこい、ゲンガー!"さいみんじゅつ"!」
ましろはゲンガーを繰り出し、ソウブレイズに"さいみんじゅつ"をかけて眠らせる
「ブ…レイ…」
抗おうとするも敵わず、眠りに落ちたソウブレイズはその場に倒れ込む
「これでしばらくは大丈夫。目覚めたら勝手にボールから出てくるかもしれないから、話は外でもいいかな?」
「わ、分かりました…」
「甲斐田君!長尾君に"ソウブレイズは僕がなんとかする"って伝えておいて!」
「わ、分かった!」
甲斐田に長尾への伝言を残し、リゼとアンジュ、夏芽はましろと共にポケモンセンターの裏庭へと移動する
*
「ちょうど良くましろさんが帰って来てくれて助かったよ…」
「シンオウ地方のホラースポットを巡ってる最中に"呪われた騎士"のようなポケモンの噂を偶然聞いてね。気になったから予定を切り上げて帰って来たんだ」
ポケモンセンターの裏庭…そこに設けられた横長のベンチにリゼ達は腰掛けて、まずは互いに打ち解け合うために軽い話を交わしていた
「それで、ましろさん…。ソウブレイズについて何か知っているんですよね…?」
そして、会話が始まってから数分…十分に打ち解け合った頃合いを見てリゼは本題についてましろに尋ねる
場が一瞬静かになるなか、ましろは少しだけ真剣な表情になって話を切り出す
「…僕もね、あいつを一度見ているんだ」
「見た…ということは、あの地下空洞に行ったってことですか?」
「うん。あの地下空洞の奥には隠し穴があってね、その中にいたのを見つけたんだ」
「襲っては来なかったんですか?」
「一歩間違えてれば襲われてたかもね。今回、あいつが目覚めたのはその間違いを誰かが犯したからだと思う」
「間違いってなんなの…?」
「墓荒らし…その隠れ穴に眠っていたソウブレイズの傍には亡き主人の遺骨があったんだ」
ましろの口から出た衝撃の事実にリゼ達は目を見開き、息を呑んだ
「僕はそれに気付いて身を退いたから大丈夫だったけどね。主人の墓とも言える隠し穴を荒らされた怒りからソウブレイズは目覚めて、今回の騒動を引き起こした」
「そして、亡くなった主人と城を守るために住み着いていたポケモン達を支配、排除して、踏み入れた者は容赦なく攻撃した…」
「亡き主人のことが余程好きだったからこその怒りだったんだろうね。何百年もずっと、あそこから離れなかったんだから」
「何百年…!あの城はそんな昔に廃墟になってたんですか…!?」
「調べた限りではそうだね。あの城…というよりマナナツの森とされる地は元々大昔のパルデア地方の一部だった。それが大災害後に割れた後、ニジサンジ地方の一部になった」
「ニジサンジ地方誕生以降の歴史で、あのお城が廃墟となった背景を記した物はない…」
「つまり、大災害前からあの城は廃墟になっていた可能性が高い…というわけですね」
「そんなに長い間…ソウブレイズは亡くなってしまった主人の傍を離れなかったんですね…」
あれほどの怒りを露わにしていたソウブレイズの背景を知り、リゼ達は心を痛ませる
「ソウブレイズ…あのお城に帰した方がいいのかな…」
「リゼ…?」
「だって、ソウブレイズにとっては大好きだった人が眠る場所と同時に思い出の場所ってことでしょ…?お城…特に地下空洞には誰も近付かないよう知らせて、あの城に住んでるポケモン達にも地下空洞には近寄らないよう説得して、ソウブレイズにも分かってもらえれば今後問題になることも…」
「いや、それは無理な話だよ」
ソウブレイズにとって大切なもの…それを考え、ソウブレイズのためと思って言い出したリゼの提案をましろはあっさりと否定した
「どうしてですか…!」
「僕が知ってる限り、進化前のカルボウというポケモンがパルデア地方で生息が確認されてるけど、その進化方法が特殊なんだ。だからソウブレイズは比較的珍しいポケモンと言える」
「もし、ソウブレイズを城に戻しても噂を聞きつけた良からぬ誰かがまた足を踏み入れるかもしれない…」
「そしたら、ソウブレイズは同じことを繰り返すだろうね」
「そんな…!じゃあ、ソウブレイズは大好きな主人と離れ離れになるしかないってことですか…!」
ソウブレイズが城へ戻ることは再びオウマシティへの被害を招く恐れがあり、その酷い現実にリゼは落胆する
「うん。でも、僕はそれがソウブレイズのためにもなると思ってる」
落ち込むリゼにましろがそう告げた時、リゼのボールが勝手に開いて、そこから眠りから目覚めたソウブレイズが一同の前に飛び出す
「ブレイ…ッ!」
「ソウブレイズ…!」
威嚇するソウブレイズにリゼ達が反射的に警戒するなか、唯一人…ましろは特に恐れる様子もなくソウブレイズに歩み寄る
「ま、ましろさん…!?」
「ソウブレイズ、君の気持ちは分かるよ。亡くなった主人の傍にいたいんでしょ?でも、それだと亡くなった君の主人は報われない」
「…ッ!」
夏芽が心配するなか、ましろはソウブレイズに話し掛ける
すると、"亡くなった主人"という言葉が効いたのか、ソウブレイズの興奮が僅かに収まる
「ソウブレイズが…耳を傾けた…!」
「凄い…!」
自身や甲斐田では出来なかったことをすんなりとやってみせたましろの凄さに驚き、リゼとアンジュは思わず言葉を溢す
「君がずっとあそこに縛られ続けることを君の主人は望まないんじゃないかな?君が主人を愛しているように、亡くなった主人も君のことを愛していたんだろ?つまり、君の幸せを願ってると思うんだ」
「……」
「そろそろ君は前に進むべきだ。亡くなった主人のためにも。そして…」
ましろはリゼの方へと振り向いて言葉を続ける
「彼女が、亡くなった主人に代わって君に明るい未来を見せてくれるはずだ」
ましろにそう言われ、ソウブレイズはリゼに目を向ける
ましろとソウブレイズの視線が向けられてリゼはビクリと体を震わせるとともに、少し不安げな表情を見せる
「…私に、出来るんでしょうか?私はただ、ソウブレイズが苦しんでるように見えたから助けたいと思っただけで…具体的な方法は何も…」
「本当に大切なのは方法じゃないよ。体が動いてしまうほどに助けたいと思うその気持ち…それがリゼさんにはある。誰よりも適任だよ」
ましろにそう言われて、リゼは美兎の言葉を思い出す
"他人やポケモンのために必死になれることはリゼさんの美徳です。状況や後先を考えないことは反省しないといけないかもしれませんが、その想いを抑え込む必要はないと思います"
「…分かりました!ソウブレイズは私が責任を持って助けます!」
覚悟を決めたリゼの姿にましろはニッと笑い、アンジュと夏芽も微笑む
「というわけだから、君はしばらくリゼさんと一緒に行動するといいよ。それで無理なら、城に帰ってくればいい。それまでは僕があそこを守っておいてあげるよ。部屋の一部を住まいにさせてもらってる礼にね」
「……」
ましろの提案を受け入れたのか、ソウブレイズは無言でリゼへと歩み寄り、向かい合う形で立ち止まる
「え、えっと…!あ、改めてこれからよろしくね、ソウブレイズ!」
「……」
緊張しながらもリゼは新たな仲間として迎えるべく言葉を贈るが、ソウブレイズは数秒リゼを見つめた後にプイッとそっぽを向いた
「え…?」
「あはは!まだ心を開くには早いみたいだね。まあ、焦らずに心を通わせるといいよ」
「…はい!ソウブレイズが心を開いてくれるまで諦めずに寄り添います!」
こうして、リゼは新たな仲間としてソウブレイズを迎え入れた
そして、次にリゼを待ち受けるはオウマジムのジムリーダー:長尾景
果たして、リゼは5つ目のジムバッジを手に入れることが出来るのか…
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
サイドン、リオル、ソウブレイズ
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
ましろ爻
手持ち:ゲンガー、ヨノワール