にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第49話「オウマジム!リゼvs長尾!」

 

「頼もー!」

 

「お…!来たか!待ってたぜ、リゼさん!」

 

 

四天王:ましろの助力を経て改めてソウブレイズを仲間に迎えたリゼはアンジュと共にその翌日の午後、街の復興作業を終えて復帰したオウマシティのジムリーダー:長尾とのジム戦のため、オウマジムに訪れた

 

 

「こんにちは、長尾さん、甲斐田さん…あれ?弦月さん…?」

 

「こんにちは、リゼさん、アンジュさん」

 

「どうして弦月さんがここに…?」

 

 

オウマシティの役人である弦月の存在に気付いたリゼとアンジュは何故彼がここにいるのかと首を傾げ、理由を尋ねる

 

 

「実は仕事が今日お休みでね。リゼさんが景君に挑戦するって聞いて観戦に来たんだ。邪魔にならなければなんだけど」

 

「そういうことだったんですね。もちろん、大丈夫です」

 

「ありがとう。リゼさんが景君とどんなバトルをするのか楽しみだよ」

 

 

リゼが弦月の頼みを受け入れたところで、長尾はリゼの右腕に着けていたある物に気付く

 

 

「リゼさん、ダイマックスバンドを手に入れたんだな」

 

「はい!昨日、奈羅花から事件解決の御礼にと」

 

「なるほど。なら、リゼさんには追い風だな。オウマジムはパワースポットの上にある。つまり、ダイマックスが使用出来るってわけだ。当然、俺もだけどな」

 

「はい!臨むところです!」

 

「それじゃあ、バトルフィールドまで案内するので付いて来てください」

 

 

リゼと長尾が互いに意気込んだところで、甲斐田に呼び掛けられた一同はオウマジム奥のバトルフィールドが設けられた大部屋へと移動する

 

 

(晴、藤士郎…もしもの時は頼むぞ…)

 

(分かってるよ…。ましろさんからは大丈夫って言われたけど、あの気性の荒さが1日で変わるとは思えないからね…)

 

「皆さん、何を話されてるんですか?」

 

「い、いや…何でもないよ…!」

 

「「…?」」

 

 

小声で話し合う長尾達への問いがはぐらかされるなか、リゼ達はバトルフィールドへと到着し、アンジュと弦月は観覧席、甲斐田は審判台、リゼと長尾はバトルフィールドの立ち位置へとそれぞれ移動する

 

そして、全員の移動が済んだところで、審判である甲斐田がジムのルール説明を行う

 

 

「これより、チャレンジャー:リゼさんとジムリーダー:長尾のジム戦を始めます!使用ポケモンは4体!どちらかのポケモン全てを戦闘不能した方の勝利とします!ダイマックスの使用は互いに1度のみ!そして、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!それでは、お互いにポケモンを…!」

 

「お願い!リオル!」

 

「まずはお前からだ!いけ!コドラ!」

 

 

甲斐田に1体目のポケモンの選出を促され、リゼはリオル、長尾は"てつヨロイポケモン":コドラを繰り出す

 

 

「リオル!ジム戦デビュー、頑張ろうね!」

 

「リオッ!」

 

「おお…!随分とやる気満々なリオルだな!これはこっちも気合が入るな、コドラ!」

 

「コドォッ!」

 

「長尾さんの1体目はコドラ…。まだ進化を残していながら、非常に高い防御力を持つはがねポケモン…」

 

「1番手とはいえ強いですよ。トレーナーによってはあのコドラ1体で使用ポケモンを半壊させられることもありますから」

 

 

リゼと長尾、リオルとコドラが向かい合い、アンジュと弦月が見守るなか、両者の準備が整ったことを確認した甲斐田が試合開始の宣言を下す

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「攻めるよ、リオル!"いわくだき"!」

 

 

試合開始の宣言と同時、先手を取ったリゼの指示でリオルはコドラへと突っ込み、"いわくだき"を構える

 

 

「コドラ!"てっぺき"だ!」

 

 

対する長尾の指示を受けたコドラは"てっぺき"を発動して防御を大きく高め、リオルの"いわくだき"を正面から受け止める

 

 

「リオ…ッ!?」

 

「全然効いてない…!?」

 

「なんて防御力なんだ…!」

 

 

リオルの"いわくだき"を正面から受けて顔色を微動だにも動かさないコドラの様子にリゼとリオル、アンジュは驚きのあまり声を漏らした

 

 

「俺のコドラは素の防御力を最大限に高めてるからな。レベル差が大きくなければ、たとえ効果抜群の技でもこの通りだ。反撃するぞ!"メタルクロー"!」

 

 

コドラはリオルを押し弾くと同時に"メタルクロー"を繰り出し、炸裂させる

 

 

「リオル…!大丈夫…!?」

 

「…ッ!リオッ…!」

 

 

"メタルクロー"を受けたリオルを心配してリゼが声を掛けるが、リオルはまだまだやれると言わんばかりに力強く返答する

 

 

「よし!どんなに防御力が高くてもダメージは与えられてるし、勝つ方法だってある!勝ち目がなくならない限り、最後まで頑張ろう!リオル!」

 

「リオッ!」

 

「ポケモンの交代は無し…。あくまでも、コドラはリオルで倒すつもりなんですね」

 

「特殊技を持っているエンペルトなら苦戦はしないとリゼも分かってはいますが、今回はリオルの想いに応えたいんだと思います」

 

「なるほど。景君から聞かされた通り、リゼさんは面白いトレーナーですね」

 

 

意気込むリゼとリオルの姿を見て観覧席のアンジュと弦月がそう話し合うなか、再びリゼの攻勢でバトルが再開される

 

 

「いくよ、リオル!"はっけい"!」

 

 

リゼは新たに覚えた技"はっけい"を指示し、リオルはコドラへと突っ込んでいく

 

 

「"はっけい"…追加効果の麻痺でコドラの動きを鈍らせるのが狙いだな!流石に食らうのはマズそうだから、きっちり対応させてもらうぜ!コドラ!"ボディパージ"!」

 

 

リゼの狙いを読んだ長尾はコドラに"ボディパージ"を指示する

 

"ボディパージ"を発動させたコドラはその身を削り落とすことで体重を軽くし、ぐーんと高まった素早さを以ってリオルの"はっけい"を既の所で回避する

 

 

「素早さが上がった…!?」

 

「足の速いポケモンへの対策も当然ある!コドラ!"メタルクロー"!」

 

 

驚くリゼに一言告げた後、長尾の指示で繰り出したコドラの"メタルクロー"が再びリオルに炸裂する

 

 

「リオォ…ッ!」

 

「リオル…!?」

 

 

最初に"メタルクロー"を受けた時のダメージよりも苦しむ様子を見せたリオルにリゼは思わず心配の声を上げる

 

 

「これは…!"メタルクロー"の追加効果で攻撃力が上がっている…!?」

 

「景君のコドラは防御力が最大限まで高い代わりに他の能力は平均並…中でも攻撃力が伸びにくい個体なんです。"メタルクロー"を覚えているのは、その低い攻撃力を補うため。高い防御力で相手の攻撃を凌ぎ、"メタルクロー"の追加効果による攻撃力の強化を狙いながら追い込むのが、あのコドラの戦い方なんです」

 

 

長尾のコドラについて弦月が解説するなか、リゼはリオルに声を掛ける

 

 

「リオル…!まだやれる…!?」

 

「リ…リオッ!」

 

「よし!なら次はでんこうせっか"!からの"はっけい"!」

 

 

リオルの意志を確認したリゼは素早さの上がったコドラの動きに対応出来るよう、"でんこうせっか"を利用した戦術を指示する

 

 

("でんこうせっか"か…。流石にその速さに対応するにはもう一度"ボディパージ"を発動させなきゃいけねぇんだけど、そんな隙はないな…)

 

「どのみち、"はっけい"は食らうしかないか。なら、麻痺は引かないことを祈って迎撃するしかねぇな。コドラ!"メタルクロー"で迎え撃て!」

 

 

瞬時に思考し、回避を諦めて迎撃の選択肢を判断した長尾の指示に従い、コドラは"メタルクロー"を繰り出してリオルの"はっけい"とぶつかり合う

 

ぶつかり合った両者の力は拮抗…互いに押し切れなかった結果、衝突した技のエネルギーによる小さな爆発が引き起こされ、その爆風によって2体は後ろへと押し戻される

 

 

「くっ…!長尾さんのコドラは…!?」

 

 

爆風を耐えるから身を守るように腕を顔の前に出すリゼは"はっけい"とぶつかり合ったコドラが麻痺状態に陥ったかどうか目を凝らす

 

 

「コドォッ!」

 

 

視線の先にいたコドラは麻痺状態にはなっておらず、はっけい"によるダメージも大きくはないといった様子だった

 

 

「運は傾かなかったみたいだな!それじゃあ、そろそろこっちも攻めるぞ!コドラ!"がんせきふうじ"!」

 

 

リオルの素早さを封じ、尚且つ次の攻撃で確実に大きなダメージを与えるため、長尾の指示を受けたコドラは"がんせきふうじ"を繰り出し、フィールドから隆起した岩でリオルが身動き出来ないよう閉じ込める

 

 

「しまった…!早く抜け出さないと…!」

 

「悪ぃが、そうはさせねぇよ!コドラ!"メタルクロー"!」

 

 

そして、リゼよりも早く長尾は指示を出し、コドラは"メタルクロー"を構えてリオルへと突っ込む

 

 

(先手を打たれた…!今"いわくだき"で"がんせきふうじ"から脱出が出来ても"メタルクロー"まで対処が間に合わない…!)

 

 

"ボディパージ"で上がった素早さによってコドラの攻撃を凌ぐことが不可能だとリゼは悟った

 

 

(直撃は避けられない…!なら、一か八かに賭けるしかない…!私はリオルを信じる…!)

 

 

そして、唯一の逆転方法を思い付いたリゼは覚悟を決めるとともにリオルへと呼び掛ける

 

 

「リオル!攻撃を受ける直前に反撃するよ!」

 

「リオ…ッ!?」

 

「私を信じて…!」

 

「…ッ!リオッ!」

 

 

身動きが取れない状態での反撃の指示にリオルは一瞬驚くも、リゼの力強い後押しを受けて反撃のために意識を集中させる

 

 

(何か狙ってるな…?いいぜ、乗ってやる!)

 

 

リゼに何らかの思惑があることに気付きながら、それに迷い無く受けて立つことを決めた長尾は攻撃を決行する

 

そして、コドラの"メタルクロー"が"がんせきふうじ"に囚われているリオルに直撃する寸前でリゼが指示を出す

 

 

「今だよ、リオル!"カウンター"!」

 

 

"がんせきふうじ"に囚われた中でリオルはリゼの指示に素早く反応して"カウンター"を発動

 

直後にコドラの"メタルクロー"が"がんせきふうじ"を粉砕しながらリオルへと炸裂する

 

 

「リ…オォォッ!!」

 

 

コドラの"メタルクロー"を額で受け止めるリオルは苦痛に表情を歪ませるも根性で耐え切り、"カウンター"によって受けたダメージを倍にしてコドラへと反撃し、後ろへ大きく吹き飛ばす

 

 

「コドラ…っ!なるほど、"カウンター"による防御無視の攻撃か…!」

 

「今度こそ決めるよ!"はっけい"!」

 

 

リゼの思惑を知って長尾が声を漏らすなか、"カウンター"のダメージが効いて体勢を崩しているコドラにリオルが"はっけい"を炸裂させる

 

 

「コドォ…ッ!」

 

 

そして、"はっけい"を受けたコドラはその追加効果によって麻痺状態となり、苦痛の鳴き声を上げる

 

 

「よし!このまま押し切るよ!連続で"いわくだき"!」

 

 

コドラの動きが鈍ったところで一気に畳み掛けるべく、リゼの指示を受けてリオルは走り回りながら連続で"いわくだき"を炸裂させる

 

 

「コ…ドォォ…ッ!」

 

 

持ち前の防御力でコドラは粘るが、"いわくだき"を連続で受けたことから、その追加効果によって防御力がじわじわと低下してしまう

 

 

「いっけぇぇぇっ!」

 

「リオォォォッ!」

 

 

そして、リゼとリオル…2人の叫びが一致した最後の"いわくだき"の一撃を以って、攻撃を耐えていたコドラは遂にその場に崩れ落ちた

 

 

「コ、コドォ…」

 

「コドラ、戦闘不能!リオルの勝ち!」

 

「やったー!リオル!よく頑張ったね!」

 

「リオ〜ッ!」

 

 

コドラの戦闘不能が告げられ、リゼとリオルは共に喜びを分かち合う

 

 

「よくやった、コドラ。ゆっくり休んでくれ。流石だな、リゼさん!リオルと強い信頼関係を築けているのがよく伝わる勝負だった!」

 

「ありがとうございます!」

 

「実力も申し分ない。だが、次も同じように攻略出来るとは思わない方がいいぜ!いけ!ハッサム!」

 

 

コドラをボールへと戻し、リゼに称賛の言葉を贈った長尾は続く2体目のポケモンとしてハッサムを繰り出す

 

 

「弱点がほのおタイプだけの優秀な複合タイプを持つポケモン…。それがまさか2体目に出てくるなんて、5つ目のジムとはいえレベルが高いですね…」

 

 

長尾の2体目に早くも強力なポケモンであるハッサムが登場し、アンジュは5つ目のジムの難関さにそう声を漏らす

 

 

(まあ、本来なら2番手として出てくるのはエアームドで、ハッサムは3番手のポケモンなんだけど…今回はリゼさんのことを考えての選出になってるからね)

 

 

そんなアンジュの隣で、何かしらの思惑を抱いている弦月は内心でそう呟くなか、リゼがボールを取り出す

 

 

「リオル、戻って!ここはあなたにお願い!エンペルト!」

 

 

リゼはリオルを交代させ、2体目のポケモンとしてエンペルトを繰り出す

 

 

「エンペルトか…。たしかに、タイプ相性上はがねタイプを持つエンペルトにハッサムのむしとはがね技は効果が薄い」

 

「でも、その対策も当然あるんですよね?」

 

「分かってきたみたいだな、リゼさん…!」

 

「タイプ上の有利があるとはいえ、油断はしません!全力でいきます!」

 

「それでは、バトル始め!」

 

「エンペルト!"うずしお"!」

 

 

甲斐田のバトル再開の宣言と同時に、リゼの指示でエンペルトが"うずしお"を繰り出す

 

 

「ハッサム!"シザークロス"!」

 

 

対する長尾の指示でハッサムは"シザークロス"を繰り出して"うずしお"へと突っ込む

 

衝突して数秒後、ハッサムは持ち前の攻撃力を以って"うずしお"を弾いて消し飛ばした

 

 

「なんてパワー…!まともに受けたら相当なダメージになりそう…!なら、今度は確実に動きを止める!エンペルト!"れいとうビーム"!」

 

「させるか!ハッサム!"バレットパンチ"!」

 

 

リゼは直撃すれば凍り状態に出来る"れいとうビーム"を指示するが、長尾の指示を受けて素早く相手との距離を詰め攻撃できる"バレットパンチ"をハッサムは繰り出し、技を放つ直前のエンペルトの顔に炸裂させて不発に終わらせる

 

 

「続けて"かわらわり"!」

 

「かくとう技…っ!エンペルト!"はがねのつばさ"で迎え撃って!」

 

 

"れいとうビーム"を阻止し、一気に距離を詰めたハッサムが"かわらわり"で攻撃してくるのに対て、"バレットパンチ"を顔に受けてよろめきながらもなんとかすぐに体勢を立て直したエンペルトは"はがねのつばさ"で打ち合いに臨んだ

 

 

「ハッサ!ハッサ!」

 

「エンペ…ッ!エンペェ…ッ!」

 

 

エンペルトとハッサムの"はがねのつばさ"と"かわらわり"の打ち合いはハッサムに軍配が上がっていた

 

かくとう技である"かわらわり"が弱点となるエンペルトに対して、はがね技である"はがねのつばさ"はハッサムに効果が今ひとつ

 

そのことから、ハッサムはまともに受けてしまっても大したダメージにならないため、防御を捨てた強気の攻勢に出ていた

 

そのため、途中から"かわらわり"の直撃は避けなければとエンペルトは防戦一方となってしまった

 

 

(このままだと徐々に防御を崩されて、いずれ大きな一撃を入れられる…!かといって、あのハッサムに対抗出来そうなのはエンペルトを除くとあの子だけ…!)

 

 

リゼはハッサムを突破する打って付けのポケモンを使用することに躊躇いを感じるが、いずれ何処かでバトルの経験を経る必要があり、相手がジムリーダーであればもしものことがあっても止めることが出来ると考えて覚悟を決める

 

 

「エンペルト!戻って!」

 

 

ハッサムに押し切られる前にエンペルトをボールに戻したリゼは交代先のあるポケモンが入っているボールを取り出し、目を向ける

 

 

「本当はもう少し様子を見てからにしたかったけど、あのハッサムを突破するにはあなたしかいない…。私達に力を貸して…お願い!ソウブレイズ!」

 

 

リゼはエンペルトに代わる3体目として、新たに仲間に加わったばかりのソウブレイズを繰り出す

 

 

「いきなりのジム戦でごめんね、ソウブレイズ。でも、私はあなたと仲良くなりたい…これから一緒に歩んでいきたい。だから私と一緒にバトルしてくれないかな…?」

 

「……」

 

 

恐る恐る尋ねるリゼにソウブレイズは無愛想な表情こそ見せるも特に嫌がったり機嫌が悪くなるような様子はなく、無言でチラリと一瞬目を合わせた後すぐにハッサムへと向き直った

 

 

「…うん。今はそれでいいよ」

 

 

ソウブレイズの真意こそ読み切れないが、一先ずは様子見くらいの気持ちで歩み寄りを受け入れてくれたことにリゼは感謝の言葉を伝える

 

 

「ソウブレイズ…!?流石にまだバトルは早いんじゃ…!」

 

 

リゼがソウブレイズを繰り出したことにアンジュが驚くなか、長尾、甲斐田、弦月は緊張を走らせていた

 

 

(出た…!)

 

(ソウブレイズ…!)

 

 

長尾が本来3番手として繰り出すはずだったハッサムを2番手に繰り出したことと、弦月がジムの観戦に赴いたのは全てリゼのソウブレイズのためだった

 

廃墟の城で実際にソウブレイズを見た長尾は昨日今日であの時のバトルで感じた憎悪や怒りが収まっているとはましろのお墨付きがあっても考えられなかった

 

もし、長尾達の推測が当たっているなら今後ソウブレイズによって被害を被るのはリゼ達だけに留まるとは限らない

 

だからこそ、リゼ達が街を旅立つ前にソウブレイズとの関係がどれほど構築されているのか

 

リゼにソウブレイズを任せても問題はないのか、確かめる必要があった

 

だからこそ、5つ目のジムとして挑戦するリゼに敢えて本来よりも厳しい状況を与えてソウブレイズの使用を誘発させ、万が一に暴走した時に止める戦力として弦月を呼んだのだ

 

 

(さて、ここから少しの間は勝手ながら見定めさせてもらうぜ、リゼさん…!)

 

 

長尾は2人にアイコンタクトを送り、それを受け取った弦月は小さく頷き、甲斐田はバトル再開の宣言を下す

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「ハッサム!"つじぎり"!」

 

「ソウブレイズ!"むねんのつるぎ"!」

 

 

バトル再開と同時にリゼと長尾はそれぞれ指示を出し、ソウブレイズは"むねんのつるぎ"を、ハッサムは"つじぎり"を繰り出してぶつかり合い、次の瞬間には中規模の爆発が起こって黒い爆煙が立ち込める

 

直後、爆煙の中から飛び退くようにソウブレイズとハッサムが飛び出し、大きなダメージを負った様子のハッサムが膝を地面に突く

 

 

「分かってはいたが、ジム戦用のハッサムじゃ碌にダメージを与えられない上にこっちは大ダメージか…!でも、最後まで抗せてもらうぜ!"バレットパンチ"!」

 

 

力の差を前に苦笑いを浮かべながらも長尾は指示を出し、ハッサムは"バレットパンチ"を繰り出して距離を詰め、両腕の剣を十字に組んで防御の構えを取るソウブレイズに連打を叩き込む

 

 

「ソウブレイズ!"ゴーストダイブ"!」

 

 

"バレットパンチ"の猛攻から逃れるため、ソウブレイズはリゼの指示に従って"ゴーストダイブ"を発動し、一瞬にしてその姿を消す

 

 

「ブレイッ!」

 

「ハッサム!後ろだ!」

 

 

そして、長尾の叫びも虚しく、ハッサムは後ろに姿を現したソウブレイズの"ゴーストダイブ"を食らい、吹き飛んで地面に倒れ伏した

 

 

「ハッサ…」

 

「ハッサム、戦闘不能!ソウブレイズの勝ち!」

 

「よし!ありがとう、ソウブレイズ!」

 

「……」

 

 

ハッサムの撃破にリゼは感謝の言葉を伝えるが、ソウブレイズは相変わらず無言で佇むだけだった

 

 

「よくやってくれた、ハッサム。ゆっくり休んでくれ」

 

 

長尾はハッサムに労いの言葉を掛けてボールへと戻し、改めてソウブレイズに目を向ける

 

 

(さて、思ってたより関係は築けてるみたいだな。でも、問題はここからだ。追い込まれたソウブレイズは何処まで冷静でいられるか…)

 

 

"ふぅ〜っ!"と、深呼吸を挟んでから長尾は3体目となるポケモンを繰り出す

 

 

「いけ!ボスゴドラ!」

 

 

長尾が繰り出したのはボスゴドラ…以前、廃墟の城の地下空洞でソウブレイズとバトルする時に使用したのと同じ個体であった

 

 

「ボスゴドラ…!」

 

「3番手でもうあんなに強力なポケモンが…!?」

 

「ソウブレイズが相手だし、そう易々とジムバッジを渡すつもりもないからな」

 

「分かっています…!ソウブレイズ、さっきの調子でもう少しだけお願い!」

 

「……」

 

 

ジムリーダーは相手の力量を考慮して使用ポケモンを選出する…ソウブレイズの強さを知っているからこそ、ここでボスゴドラを選出したのだと納得したリゼは気を引き締め直す

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

 

そして、甲斐田の宣言によってバトルが再開される

 

 

「ボスゴドラ!」

 

「…っ!?」

 

 

…と思った次の瞬間、長尾が突然ボスゴドラをボールへと戻す

 

 

「交代…!?いや、ジムリーダーの交代はルール上禁止…ということは、もしかして…!」

 

「ああ、交代以外でポケモンをボールに戻す理由は1つ…ダイマックスだ!」

 

 

右の袖を捲り、そこに着けていたダイマックスバンドを見せた長尾はガラル粒子のエネルギーによって巨大化したボールを上空へと投げる

 

巨大化したボールが開くと同時、ジムの天井にマゼンタ色の暗雲が立ち込め、中から飛び出したボスゴドラは何倍にも巨大化した姿となって地響きを立ててフィールドへと降り立った

 

 

「ダイマックス…!何度見てもやっぱり凄い迫力…!」

 

「…ッ!」

 

 

ダイマックスしたボスゴドラを前にリゼは武者震いし、ソウブレイズは警戒を強める

 

 

「余所見してる暇はねぇぜ!ボスゴドラ!"ダイスチル"!」

 

 

長尾の指示を受け、ボスゴドラははがねタイプのダイマックス技"ダイスチル"を繰り出し、フィールドから次々と隆起する鋼の剣山がソウブレイズに直撃する

 

 

「大丈夫…!?ソウブレイズ…!」

 

「ブレイ…ッ!」

 

 

"ダイスチル"が直撃して吹き飛んだソウブレイズにリゼが心配して声を掛けるが、当の本人の表情には少し苛立ちが顔を出していた

 

 

「まだまだいくぜ!ボスゴドラ!"ダイアース"!」

 

 

続く長尾の指示でボスゴドラは"ダイアース"を発動…その巨体を地面へと潜り込ませて、地中からの攻撃を仕掛ける

 

 

「ソウブレイズ!"ゴーストダイブ"!」

 

 

対するリゼの指示に従ってソウブレイズは"ゴーストダイブ"を発動させ、地中から飛び出してきたボスゴドラの"ダイアース"が炸裂する直前にその姿を消して回避する

 

そして、ソウブレイズはボスゴドラの背後空中に姿を現して"ゴーストダイブ"を炸裂させる

 

 

「…ッ!」

 

 

だが、"ゴーストダイブ"を食らったボスゴドラの表情は一切揺るがず、大したダメージを与えられた様子はなかった

 

 

「効いてない…!」

 

「さっき繰り出した"ダイスチル"で防御力を高めているからな!ソウブレイズが強いと言えど、効果抜群でもなければ物理技で揺らぐことはない!ボスゴドラ!"ダイロック"!」

 

 

ボスゴドラの硬さに驚くリゼにその理由を解説した長尾はダイマックス中の最後の技となる"ダイロック"を指示し、ボスゴドラに繰り出させる

 

ボスゴドラとソウブレイズの間に巨大な岩壁が隆起し、次の瞬間にそれがソウブレイズへと傾き倒れる

 

 

「…ッ!」

 

 

空中では回避も間に合わず、ソウブレイズは"ダイロック"の巨大な岩壁の下敷きになってしまう

 

 

「…っ!ソウブレイズ…っ!」

 

 

巨体な岩壁が倒れたことで発生した砂嵐に耐えながら、リゼは"ダイロック"の直撃を受けたソウブレイズの身を案じて叫ぶ

 

数十秒後、ダイマックスの持続時間が切れたボスゴドラが元の大きさに戻ると同時に…

 

ボコン…ッ!

 

と、倒れた岩壁の下からそれを突き破ってソウブレイズが這い出てくる

 

 

「ソウブレイズ…!よかった、無事で…」

 

 

と、そこでソウブレイズの無事を喜ぶリゼの言葉は途切れた

 

何故なら…

 

 

「ブレェェェェェェェェイ…ッ!!!」

 

 

廃墟の城の地下空洞で出会った時と同じ…その眼に怒りを宿したソウブレイズの咆哮によって掻き消されてしまったから

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイドン、リオル、ソウブレイズ

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

長尾景
手持ち:ボスゴドラ、ハッサム、コドラ
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