にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第50話「進め!vsコバルオン!」

 

「ブレェェェェェェェェイ…ッ!!!」

 

「ソ、ソウブレイズ…!?」

 

 

"ダイロック"による砂嵐が吹き荒れるなか、体の奥底から込み上げ出てきてるようなソウブレイズの怒りを纏った咆哮にリゼは当然、長尾達にも緊張が走る

 

次の瞬間…

 

 

「ブレイッ!!」

 

「ゴドォッ!」

 

 

地を蹴ったソウブレイズは右腕の剣を勢いよく振り下ろし、ボスゴドラはその攻撃を頭突きで受け止める

 

 

「ソウブレイズ…っ!?落ち着いて…っ!」

 

「まさか、怒りで我を忘れている…!?」

 

 

指示も無しに突然ボスゴドラへと攻撃したソウブレイズにリゼとアンジュは慌てふためく

 

 

(やっぱり、ソウブレイズの危険性は解決し切ってない…!)

 

(あとは長尾がどう判断するかだけど…)

 

 

と、暴れ出したソウブレイズに対して弦月と甲斐田は長尾に目を向ける

 

すると長尾は"まだジム戦は続行するから介入は待て"と首を横に振って示し、それを確認した2人はいつでも対応出来るよう身構えながらその行く末を見守ることにする

 

 

(このままだとアンジュと長尾さん達も危ない…!こんな状況でジム戦の継続は無理なはず…!長尾さんと協力してソウブレイズを止めないと…!)

 

「待ってくれ!リゼさん!ジム戦はこのまま続ける!」

 

 

ソウブレイズを止めようとボールを構えるリゼだったが、長尾からジム戦を続行する意思を伝えられてその手を止める

 

 

「でも、長尾さん…!今のソウブレイズは冷静じゃない…!私の声も…!」

 

「なら尚更声を掛け続けるんだ!ソウブレイズと共に歩むと言うなら、その意志と覚悟を示してくれ!ボスゴドラ!"ストーンエッジ"!」

 

 

戸惑うリゼにそう伝えた長尾はバトルを再開し、指示を受けたボスゴドラは"ストーンエッジ"を繰り出して隆起する鋭い岩をソウブレイズへと迫らせる

 

 

「…っ!ソウブレイズ…!"ゴーストダイブ"で回避して…!」

 

 

まだ少し戸惑いながらも長尾の真意に応えようとリゼは指示を出すが、ソウブレイズはその指示を無視して"サイコカッター"での迎撃に打って出る

 

 

「ボスゴドラ!"アイアンヘッド"!」

 

 

"ストーンエッジ"は"サイコカッター"によって相殺されるが、その迎撃の隙を突いて突っ込んだボスゴドラの"アイアンヘッド"がソウブレイズに炸裂し、吹き飛ばす

 

吹き飛ばされたソウブレイズは空中で体勢を立て直そうとするも、フィールド全体に吹き荒れる砂嵐が襲いかかり、着地が出来ずに地面へとぶつかる

 

 

「ソウブレイズ…!大丈…」

 

「ブレイィッ!!」

 

 

その身を案じてリゼは声を掛けるが、更に苛立ちを募らせるソウブレイズは荒げる鳴き声を発して起き上がると"つるぎのまい"を発動させ、自身の攻撃力を高める

 

 

「攻撃力を上げてきたか…!」

 

 

攻撃力の上昇に長尾が警戒を強めるなか、ソウブレイズは"つるぎのまい"を終えると"ゴーストダイブ"を発動させてその場から姿を消す

 

 

「"ゴーストダイブ"…!でも、その手は通用しないぜ!ボスゴドラ!"ストーンエッジ"で身を隠せ!」

 

 

相手に動きを読ませず攻撃できる"ゴーストダイブ"に長尾は焦ることなく指示を出し、ボスゴドラは"ストーンエッジ"の岩を自身を囲む形で隆起させ、その中に身を隠す

 

直後、異空間から姿を現したソウブレイズは"ゴーストダイブ"でボスゴドラが身を隠した岩の囲いを粉砕する

 

 

「…ッ!?」

 

 

だが、粉砕した岩の囲いの中にボスゴドラの姿は無く、代わりにその地面に大きな穴が残されていた

 

 

「今だ、ボスゴドラ!"あなをほる"!

 

 

そして、タイミングを見計らって出した長尾の指示を受けたボスゴドラが地中から飛び出し、ソウブレイズに"あなをほる"を炸裂させる

 

 

「ブ…レイィ…ッ!!」

 

「ゴドォ…ッ!?」

 

 

しかし、攻撃を受けたソウブレイズは吹き飛ばされる前に"むねんのつるぎ"を繰り出し、ボスゴドラに反撃して痛み分けに終わらせる

 

 

「岩を使って身を隠した隙に"あなをほる"で地中から攻撃…!良い戦術だったけど…!」

 

「まさか、諸に攻撃を受けたにもかかわらず反撃してくるなんて…!話に聞いていた以上の強さだ…!」

 

 

一連の展開を目にしたアンジュと弦月が顔をしかめてそう述べるなか、"あなをほる"を受けて吹き飛ばされたソウブレイズは立ち上がるとすぐにボスゴドラへと突っ込み、"むねんのつるぎ"を構える

 

 

(あの技は厄介だが、"ストーンエッジ"での迎撃は通用しないだろうな…!それに"ストーンエッジ"と"あなをほる"の合わせ技も二度は決まらない…!接近されれば、ボスゴドラの素早さで避けるのは不可能…!その上で確実に仕留めるなら、あの技に賭けるしかねぇ…!)

 

「ボスゴドラ!この反撃で倒れても構わない!代わりに必ず、アイツの次の一撃を耐えてくれ!」

 

「ゴドォッ!!」

 

 

長尾の頼みを迷いなく承諾したボスゴドラは"ソウブレイズの攻撃を耐えてやる"という意志を示さんばかりに咆哮を上げる

 

そして、ソウブレイズが"むねんのつるぎ"を振り下ろし、ボスゴドラはそれを頭突きで受け止め…

 

ガギィィィン…ッ!!

 

衝突とともに大気を震わせる程の衝撃と音が走る

 

 

「ブレイィィ…ッ!!」

 

「ゴドォォ…ッ!!」

 

 

"むねんのつるぎ"に更なる力を込めるソウブレイズとそれを耐えようと必死に踏ん張るボスゴドラ

 

唸り声を上げてぶつかり合う2体を長尾は瞬きせずに集中して見つめる

 

 

(まだだ…!もう少しだけ耐えてくれ…!ボスゴドラ…!)

 

 

ソウブレイズの攻撃を耐えるボスゴドラに内心でそう願うなか、衝突から数十秒…僅かにボスゴドラが表情を歪ませた瞬間に長尾は反撃の一手を放たせる

 

 

「今だ、ボスゴドラ!"メタルバースト"!」

 

 

耐え忍び、溜まりに溜まったダメージを大きくして相手に返す技"メタルバースト"をボスゴドラは繰り出し、そのエネルギーはソウブレイズと共に両者を包み込んだ後に大爆発を引き起こす

 

 

「きゃあ…っ!?」

 

「…っ!」

 

「うおっ…!?」

 

「くっ…!」

 

「な、なんてパワー…っ!」

 

 

爆発による衝撃で吹き飛ばされないよう、リゼ達が耐えること十数秒…土煙が晴れるとともに吹き荒れていた砂嵐も収まり、結果が一同の視界に映る

 

 

「ブ…レイ…ッ!」

 

「「「「「…っ!?」」」」」

 

 

リゼ達の視線の先には肩で息をする程にボロボロの体で立っていたソウブレイズと…

 

 

「ゴ…ドォ…」

 

 

渾身のメタルバーストを放ち、力尽きて倒れたボスゴドラの姿があった

 

 

(瀕死直前まで耐えた"メタルバースト"を受けてまだ立ってられるのか…!なんてタフな奴…いや、そうじゃねぇ…!あんなにボロボロな体でまだ立ち上がってくるのは底知れない執念からか…!)

 

 

瀕死でもおかしくない体で尚立ち上がるソウブレイズの姿を見て、長尾はその異常なまでの強さの認識を改める

 

長尾もましろから話は聞いており、ソウブレイズが過去に廃墟の城で主人を亡くしているのを知っている

 

だが、以前の主人を失い、城から離れてリゼと行動を共にすることを決めた今、何故これほどの怒りを抱いているのか

 

 

「ブ…レイッ…!」

 

 

長尾がその理由として1つの推測に至る最中、ソウブレイズが突然恐ろしい形相でボスゴドラへと走り出した

 

 

(おいおい…っ!そこまでやるのかよ…っ!?)

 

 

ソウブレイズの行動…その意図を察して長尾の表情が驚愕と戦慄に染まる

 

倒れ伏し、もう戦闘の意志が無いボスゴドラにソウブレイズが突っ込む理由は1つ…トドメもしくは追い討ちである

 

怒りで我を失っている今のソウブレイズにとって相手を倒すことは徹底的に仕留めるものに変わっていた

 

 

(マズい…っ!間に合わねぇ…っ!)

 

 

ボスゴドラをボールに戻すよりも早くソウブレイズの一撃が振り下ろされると察して長尾が表情を歪ませた…その時だった

 

 

「ソウブレイズ…っ!!もうやめて…っ!!」

 

 

リゼの悲痛な叫び声が部屋全体に響き渡る

 

そして直後、これまで一度もリゼの声に応じなかったソウブレイズは何故かその声に反応して振り返った

 

 

「…ッ!?」

 

 

ソウブレイズの視線の先には、涙を零し、哀しんでいるリゼの姿があった

 

それが何を思わせたのかはこの時の誰にも分からなかったが、リゼのその姿を目にしたソウブレイズはボスゴドラへの追い討ちを目前にその動きを停止した

 

 

「ソウブレイズの動きが…!」

 

「急に止まった…!?」

 

「…っ!いけ!コバルオン!"アイアンヘッド"!」

 

 

リゼの叫びで急にソウブレイズの動きが止まったことに甲斐田と弦月が驚くなか、ハッと我に返った長尾はコバルオンを繰り出すと同時に指示を出す

 

その声に意識を戻されたソウブレイズは振り向くも遅く、一瞬で距離を詰めてきたコバルオンの"アイアンヘッド"の直撃を受けて吹き飛ばされる

 

 

「ブレ…イ…ッ!」

 

 

吹き飛ばされて地に伏したソウブレイズは立ち上がろうとするが体力は既に限界に達しており、力尽きてその場に倒れ込んだ

 

 

「ソウブレイズ…」

 

 

ソウブレイズが倒れ、場が気不味い空気に包まれるなか、リゼは沈んだ声でソウブレイズの名を呟いた

 

 

(ソウブレイズとの信頼関係はまだ十分にない…。だから指示を聞かなくなる可能性は考えてた…。でも…)

 

 

城の地下空洞で出逢った時と遜色ない怒りを再び表し、暴走するとはリゼは考えていなかった

 

あの時、ソウブレイズが怒りを露わにしていた理由はましろから聞いた限りでは亡くなった以前の主人が関係していたらしいが、今はそれと全く関係のないジム戦で再びソウブレイズは我を忘れてしまうほど怒り狂ってしまった

 

 

(亡くなった以前の主人こと以外でまだ、ソウブレイズには我を忘れるほどの怒りを引き起こしてしまう何かがある…。それを知らない限り…)

 

 

"ソウブレイズを助けることは出来ない"…と、怒り苦しむ要因が他にもあると知ると共に、リゼは倒れたソウブレイズを憂いながら静かにボールへと戻した

 

 

「すみません、長尾さん…。まだ信頼関係も十分にないソウブレイズをバトルに出したばかりに大変なご迷惑をおかけして…。ジム戦はまた改めて…」

 

 

そして、ソウブレイズの暴走に責任を感じたリゼは長尾に謝罪の言葉を述べ、ジム戦の中止を自ら申し出ようとする

 

 

「晴、勝敗の判定を忘れてるぞ」

 

 

だが、長尾はリゼの申し出を遮ってジム戦続行の意志を示さんと甲斐田に判定を催促させる

 

 

「え…?あっ…ソ、ソウブレイズ戦闘不能…!コバルオンの勝ち…!」

 

「長尾さん…どうして…?」

 

「ポケモンがトレーナーの言うことを聞かずに暴走することはそう珍しいものじゃないし、その程度でジム戦は中止にはならない。俺達ジムリーダーはそうした事態が起こった時に、そのポケモンに対してトレーナーがどれだけ向き合う覚悟を持っているかを見極めることも役目の1つとしている」

 

 

"そもそも…"と、長尾は言葉を続ける

 

 

「俺は最初から、このジム戦を通してリゼさんとソウブレイズのことを見極めるつもりでいた。そうなるようにも仕組んでいたんだ…本来よりもジム戦の難易度を上げることでな」

 

「そういうことか…!道理で2番手にあれだけ強いハッサムが繰り出されたわけだ…!」

 

 

5つ目のジムに挑むチャレンジャーに対して…そして、リゼの実力の一部を間近で見ているはずの長尾が1番手のコドラと比べて数段強いハッサムを繰り出したことに多少の違和感を感じていたアンジュはその説得を聞いて合点がいき、思わず声を上げる

 

 

「…私は不安に思っていながら、信頼関係を育める良い機会になれればと思ってソウブレイズの選出を決めました。でも、同時にジム戦に勝ちたいという気持ちもありました…」

 

「…ジム戦をする以上、勝ちたいという気持ちが逸るのは仕方のないことだ」

 

「それだけじゃありません…。私はソウブレイズが指示を聞かなくなる可能性があることを理解していました…。それでも選出してしまったのは自分の考えが浅はかだったからだと後悔しています…」

 

 

言うことを聞かなくなる可能性を理解しておきながら、ソウブレイズとの信頼関係を築くこととジム戦に勝つことに天秤を傾けてしまった

 

その結果、ソウブレイズは予期せぬ暴走を起こし、長尾のボスゴドラに重大な傷を負わせるところだった

 

自身の想いを優先して他者を巻き込んだこと…先日の件を経て反省した矢先に同じことを繰り返してしまったことをリゼは酷く後悔していた

 

 

「…リゼさんの気持ちはよく分かった。それでも、俺はここでジム戦を辞めることは間違っていると断言する」

 

「どうしてですか…?」

 

「…何か大きなことを成す上で犠牲の無い選択をし続けることは出来ない。何処かで必ず、何らかの犠牲を要することが出てくる。その結果、その選択に後悔を感じるのは仕方がない」

 

 

"だが…"と、長尾は言葉を続ける

 

 

「その後悔によって立ち止まることを俺は良いとは思わねぇ!」

 

「…っ!」

 

「進み続けろ!少なくとも、俺はリゼさんがその選択を踏み切るに至った根幹にある想いが悪いことだとは思ってねぇ!」

 

 

長尾のその言葉で、リゼは今一度、美兎の言葉を思い出す

 

"他人やポケモンのために必死になれることはリゼさんの美徳です。その想いを抑え込む必要はないと思います"

 

美兎に指摘されたリゼの根幹にあるポケモンに対する想いを長尾もまた肯定した

 

 

「そして、ここから先は改めて証明してくれ!リゼさんの覚悟を俺とコバルオンとのバトルで!これが…今リゼさんが進むべき道だ!」

 

 

長尾からの叱咤激励…それを受け取ったリゼは両手で自信の頬を"パンッ!"と叩いて喝を入れる

 

険しくない道はない。連続する選択の中で間違いが無く終えられる人生はない

 

それでも掴みたいものがあるなら…"それが間違っていない"と背中を押してくれる人達がいるなら止まってはいけない

 

止まったら…ゴールへは辿り着かなくなる気がするから

 

 

「…ありがとうございます、長尾さん。後悔は消えない…。それでも私は…!この想いを肯定してくれるみんなに報いるためにも進ませてもらいます!お願い!リオル!」

 

 

奮起したリゼはジム戦の続行を決意し、ソウブレイズに代わってリオルを再び繰り出す

 

 

「よかった…!いつものリゼだ…!」

 

 

リゼが大きく気を落とした時はどうなることかと心配していたアンジュはその姿にホッと胸を撫で下ろす

 

 

(景君があんなに必死になるなんて…。まったく、何処の誰を彷彿とさせたのやら)

 

 

その隣…リゼを叱咤激励した長尾の姿を見た弦月は微笑み、ふとコバルオン達と出逢った時のことを思い出す

 

とある地方で旅をしていた時に遭遇した大森林での大火災

 

その周辺を訪れていた人やポケモン達を長尾達は当然助けに行き、特に2人よりも人一倍正義感に強かった長尾は燃え盛る火の中に取り残された森のポケモン達を助けに無茶をしていた

 

その危機にコバルオン達が現れた後も長尾は彼等と共に行動し、見事全てのポケモン達を救った

 

だからこそ、こうして長尾及び弦月達はコバルオン達に正義の心を認められてゲットするに至った

 

 

(彼女…きっと良いトレーナーになるんだろうな)

 

 

人だけでなくポケモンにも優しく、強い正義感と想いを持つリゼを自身が1番よく知る大親友と重ねた弦月は静かに笑みをこぼした

 

 

「晴!バトル再開だ!」

 

「ああ!それでは、バトル始め!」

 

「リオル!"はっけい"!」

 

「コバルオン!"せいなるつるぎ"!」

 

 

バトル再開…それと同時にリオルは"はっけい"、コバルオンは"せいなるつるぎ"を繰り出して激突

 

 

「リ…オ…ッ!?」

 

 

だが、数秒も保たずにコバルオンの"せいなるつるぎ"に押し負けたリオルは吹き飛ばされ、ジムの内壁に叩き付けられる

 

 

「リオル…っ!」

 

「リォ…」

 

「リオル、戦闘不能!コバルオンの勝ち!」

 

「コドラとのバトルによるダメージが残っていたとは言え一撃…!」

 

 

コバルオンの強さにアンジュが目を見張るなか、リゼはリオルをボールへと戻す

 

 

「よく頑張ったね、リオル…ゆっくり休んで。次はあなたにお願い!エンペルト!」

 

 

倒れたリオルに代わり、リゼはエンペルトを繰り出してバトルを再開する

 

 

「エンペルト!"うずしお"!」

 

 

まずはコバルオンの動きを止めるべく、リゼの指示を受けてエンペルトは"うずしお"を繰り出す

 

 

「コバルオン!"とびはねる"で飛び越えろ!」

 

 

対する長尾は"とびはねる"を指示し、コバルオンはその強靭な脚力を以って大きく跳躍して"うずしお"を飛び越える

 

 

「なんて跳躍力…!」

 

「驚いてる暇はないぜ!コバルオン!"ワイルドボルト"だ!」

 

 

エンペルトの上を取ったコバルオンは"ワイルドボルト"を繰り出し、急降下する形で突っ込んでいく

 

 

「でんきタイプの技…!?」

 

「エンペルト!れいとうビーム"で迎え撃って!」

 

 

ひこう技の"とびはねる"に続き、コバルオンのタイプであるはがね・かくとうと異なるでんき技を覚えていることにアンジュが驚くなか、凍り状態を狙うリゼの指示を受けたエンペルトは"れいとうビーム"を繰り出す

 

"れいとうビーム"はコバルオンに直撃するが、はがねタイプにこおりタイプの技は効果が薄い上に"ワイルドボルト"で纏った電気のエネルギーに阻まれて凍り付かせることは叶わず、押し通ったコバルオンの"ワイルドボルト"がエンペルトに炸裂する

 

 

「エンペェ…ッ!」

 

「エンペルト…!大丈夫…!?」

 

「防ぎ切れなかったか…!でも、"ワイルドボルト"は反動のある技…!効果抜群のエンペルトはかなりのダメージを負ってるから、コバルオンにも相当な…!?」

 

 

リゼがエンペルトに呼び掛けるなか、アンジュは分析を口にするがコバルオンに視線を移した瞬間に言葉を失ってしまう

 

相当な反動ダメージを受けたはずのコバルオンはその表情を少しも歪ませておらず、凛とした様子で佇んでいた

 

 

「流石は伝説のポケモン…!そう簡単には揺らぎはしないか…!」

 

 

能力だけでなく精神力も一級品なコバルオンの姿にアンジュは当然、リゼも驚嘆していた

 

 

(コバルオン、やっぱり強い…!エンペルトも体力は限界…!控えにいるもう1体で勝利を掴むには、ここでコバルオンを少しでも消耗させないといけない…!)

 

 

次の行動が最後になる…そう考えたリゼは左腕の袖を捲り、手首に装着したZリングを構える

 

 

「Zリング…!」

 

「はい!私達の全力…長尾さんとコバルオンにぶつけます!いくよ!エンペルト!」

 

「エンペェッ!」

 

 

エンペルトと気持ちを1つにし、リゼは左から右へと水が流れていく様子を彷彿させる"みずタイプのゼンリョクポーズ"を取る

 

そして、エンペルトはリゼから溢れ出したZパワーを受け取ってその身に纏い、"スーパーアクアトルネード"を繰り出す

 

Zパワーを以って発生させた大波がコバルオンを呑み込み、更にその中でエンペルトが作り出した巨大な渦に囚えて激しい流れによるダメージを与えていく

 

 

「バル…オン…ッ!」

 

「よし…!効いてる…!」

 

「"げきりゅう"によるパワーアップもあって大した威力だ。流石にこれを受け切ったら最後のポケモンとのバトルも厳しいだろうな。ってわけだから…」

 

 

長尾は不敵な笑みを浮かべると自身の左腕の袖を捲り、リゼが身に付けているそれと同じ物を露にする

 

 

「Zリング…!」

 

「ダイマックスに続いてZ技まで…!?」

 

「ルールで使用制限はないからな!とは言っても、ダイマックスとZ技の両方を使うことなんて滅多にない!そうするだけの実力があって、予想以上に追い込まれそうになった時だけだ!」

 

 

驚くリゼとアンジュにそう言い放った長尾は2度拳を突き合わせた後に前へと突き出す"はがねタイプのゼンリョクポーズ"を取る

 

 

「いくぞ、コバルオン!"ちょうぜつらせんれんげき"!」

 

 

そして、長尾の指示とともに溢れ出したZパワーを身に纏ったコバルオンはドリルのように高速で回転しながら連撃を叩き込むZ技"ちょうぜつらせんれんげき"を繰り出す

 

コバルオンは"ちょうぜつらせんれんげき"によって"スーパーアクアトルネード"の巨大な渦を貫いて抜け出し、そのままエンペルトへと炸裂させる

 

 

「エンペェェェ…ッ!」

 

「エンペルト…!?」

 

 

発生した大波はZパワーが切れたことによって消失し、"ちょうぜつらせんれんげき"を受けて上空に吹き飛ばされたエンペルトは力無く地面へと落下した

 

 

「エンペェ…」

 

「エンペルト、戦闘不能!コバルオンの勝ち!」

 

「よくやったな、コバルオン」

 

「バルオン…ッ!」

 

 

エンペルトに戦闘不能の判定が下され、長尾はコバルオンに労いの言葉を掛ける

 

だが、"げきりゅう"を発動させたエンペルトの"スーパーアクアトルネード"は流石に効いたらしく、コバルオンの表情に少し険しさが滲み出ていた

 

 

「お疲れ様、エンペルト。あなたの頑張り、必ず勝ちに繋げるから」

 

「これで残すはお互いに1体ずつ。Z技で大きく体力を削ったとは言え、景君のコバルオンはまだ十分に戦える状態だ」

 

「リゼの最後の1体はおそらく、タイプ相性上では有利を突ける…」

 

 

アンジュと弦月が見守るなか、リゼはエンペルトに代わってこのジム戦を締め括る最後の1体を繰り出す

 

 

「最後はあなたにお願い!サイドン!」

 

「サァァァイッ!!」

 

 

リゼの4体目として飛び出したのは先日に進化したばかりのサイドン

 

進化してパワーアップした自身の力を試したくてウズウズしてるのか、雄叫びを上げてコバルオンと向かい合う

 

 

「サイドンか…!気合は十分って感じだな!さあ、これが最後のバトルだ!持てる力の全てをぶつけてこい!」

 

「はい!」

 

「それでは、バトル始め!」

 

「サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

バトル再開…先手を取ったリゼの指示を受けてサイドンは"ドリルライナー"を繰り出してコバルオンへと突っ込む

 

 

「コバルオン!"とびはねる"!」

 

 

対する長尾は効果抜群となる"ドリルライナー"を確実に躱すために"とびはねる"を指示し、コバルオンは大きく跳躍して直撃を免れる

 

 

「サイドン!"いわなだれ"!」

 

 

頭上を大きく跳躍しているコバルオンに対して、リゼは新たに覚えた技"いわなだれ"を指示し、サイドンは出現させた多数の大岩を雪崩の如く一斉にコバルオンへと放つ

 

 

「効果は今ひとつだが、追加効果の怯みになると厄介だ…!コバルオン!"せいなるつるぎ"で迎え撃て!」

 

 

長尾の指示を受けてコバルオンは"せいなるつるぎ"を発動…身動きが取りづらい空中にも関わらず、迫る"いわなだれ"全てを斬り落とす

 

 

「今だよ、サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

コバルオンが"いわなだれ"に対処していた隙を突き、その後ろへと回ったサイドンは再び"ドリルライナー"を繰り出して跳躍し、空中のコバルオンへと迫る

 

 

「"いわなだれ"が通用しないことを折り込んでの一手か…!でも甘ぇっ!コバルオン!」

 

 

長尾の呼び掛けに素早く反応したコバルオンは空中で一回転し、背後から跳躍して迫るサイドンの"ドリルライナー"を"せいなるつるぎ"で受け止め弾く

 

 

「コバルオン!"アイアンヘッド"!」

 

「サイドン!"アームハンマー"で迎え撃って!」

 

 

空中でのぶつかり合い後、地上に着地した2体はリゼ達に指示された技を繰り出して突っ込む

 

 

「バルオンッ!」

 

「サイィ…ッ!?」

 

 

だが、コバルオンはサイドンの"アームハンマー"を衝突する直前に屈んで避け、直後に懐へと"アイアンヘッド"を炸裂させる

 

 

「サイドン…!大丈夫…!?」

 

「サ…サァイ…ッ!」

 

 

"アイアンヘッド"の直撃を受けて心配するリゼの呼び掛けにサイドンは力強く返答するが、効果抜群の技によるダメージは当然大きく、額からは疲労してることが窺える汗が流れていた

 

 

(コバルオンはエンペルトとのバトルでダメージをちゃんと負ってるはず…!なのに動きは鈍ってない…!素早さも向こうが上…正面から戦っても勝ち目は薄い…!どうすれば…!)

 

「リゼさん」

 

 

コバルオンの突破の糸口を必死に思考するリゼに長尾が声を掛ける

 

 

「持てる力の全てをぶつけてこい…って、俺は言ったはずだぜ?リゼさんにもまだ残ってるだろ。ピンチを覆すことが出来る力が」

 

「…っ!」

 

 

その言葉の意味を理解したリゼはハッと目を見開き、自身の右腕に装着していたダイマックスバンドに目を向ける

 

 

「そうだった…!私にもまだある…!新たに手に入れた困難を乗り越えられる力が…!」

 

 

ソウブレイズの件を経て奈羅花から受け取ったダイマックスバンド

 

それによってもたらされるZ技、メガシンカに並ぶポケモンバトルの戦況を大きく動かすことのできる強力な一手となるダイマックス

 

それを長尾に気付かされたリゼは笑みを取り戻し、サイドンを一度ボールへと戻す

 

 

「いくよ、サイドン!ダイマックス!」

 

 

ダイマックスバンドを通じて流れたガラル粒子のエネルギーがボールを巨大化し、リゼはそれを勢いよく上空へと投げる

 

巨大化したボールが開くと同時、ジムの天井にマゼンタ色の暗雲が立ち込め、中から飛び出したサイドンは何倍にも巨大化した姿となって地響きを立ててフィールドへと降り立った

 

 

「ダイマックス…!そっか、たしかにリゼさんもダイマックスバンドを手に入れてたんだった…!」

 

「ダイマックス技は強力且つまず命中する!これで一気に逆転だ!いけぇぇっ!リゼェェッ!」

 

 

アンジュの応援する声が響くなか、リゼが先手を切ってバトルが再開される

 

 

「サイドン!"ダイアース"!」

 

「コバルオン!"とびはねる"で躱せ!」

 

 

サイドンは"ダイアース"を繰り出して地中へと潜り攻撃を仕掛けるが、それを予期していた長尾の素早い指示でコバルオンは"とびはねる"を繰り出し、空高く跳躍して"ダイアース"を回避する

 

 

「景君も容赦ない…!ダイマックスの制限時間は3回技を繰り出したところで終わる…!貴重な…それも当たれば効果抜群だった1回を躱されたのは相当な痛手に…!」

 

「いや、まだです…!空中に跳躍したコバルオンは迎撃こそ出来ても逃げ場はない…!」

 

「躱されるのは想定内…!サイドン!"ダイナックル"!」

 

 

"ダイアース"が躱されても動じることなく、リゼの続く指示でサイドンは"ダイナックル"を繰り出し、コバルオンの頭上に巨大な拳を降り落とす

 

 

「コバルオン!"せいなるつるぎ"!」

 

 

長尾の指示を受けてコバルオンは"せいなるつるぎ"で迎撃する

 

だが、空中では踏ん張りが効かないため威力が落ちてしまったことから相殺するには至れず、押し切られて地面へと叩き付けられる

 

 

「よし!決まった!ここで"ダイアース"を…!」

 

 

と、地面に叩き付けたコバルオンに"ダイアース"を仕掛けようとしたリゼだったが途中で口を噤み、逡巡した後に改めて指示を出す

 

 

「サイドン!"ダイアタック"!」

 

「…っ!?」

 

「え…!"ダイアタック"…!?」

 

「なんで…!"ダイアース"を直撃させられるチャンスなのに…!」

 

 

リゼの指示に全員が驚くなか、サイドンはその指示に戸惑う様子もなく"ダイアタック"を発動

 

叩き付けられたコバルオンの真下の地面に大きなヒビが入り、そこから噴き出した膨大なエネルギーが炸裂する

 

 

「バルオン…ッ!」

 

 

2度のダイマックス技を受けてかなりのダメージが蓄積したはずのコバルオンだったがその能力は未だ衰えず、"ダイアタック"に吹き飛ばされても空中で体勢を立て直し、綺麗に地面へと着地する

 

そして、ダイマックスの持続時間が切れたサイドンは元の大きさへと戻る

 

 

「…ダイマックスは終わった。今のでコバルオンも相当なダメージを負ったが、能力に支障はなく健在だ。対するリゼさんのサイドンは体力も限界…次の一撃で戦闘不能になることは間違いないだろう」

 

「そうですね…。でも、逆転の準備は整いました!」

 

「なら、そろそろ勝負をつけるとするかぁ…っ!コバルオン!"せいなるつるぎ"!」

 

「サイドン!"アームハンマー"!」

 

 

勝敗を決する最後の一手にサイドンは"アームハンマー"、コバルオンは"せいなるつるぎ"を繰り出して相手へと突っ込む

 

 

「「いっけぇぇぇぇぇっっっ!!!」」

 

 

リゼと長尾が声を張り上げるなか、サイドンとコバルオンは同時に技を振るう

 

 

「サァァァイッ!!」

 

「バルオ…ッ!?」

 

 

その結果、サイドンはコバルオンが繰り出した"せいなるつるぎ"を直前に屈むことで紙一重で避け、下から突き上げるように"アームハンマー"を懐へと炸裂させて吹き飛ばした

 

 

「コバルオン…っ!」

 

 

長尾が叫ぶも、吹き飛ばされたコバルオンは空中で体勢を立て直すこともなくそのまま地面へと落下した

 

 

「コバルオン、戦闘不能!サイドンの勝ち!よって勝者、ヘルエスタシティのリゼ!」

 

「サァァァイッ!」

 

 

甲斐田からコバルオンに戦闘不能の判定が下され、リゼのジム戦勝利の宣言が告げられるとともにサイドンは勝利の雄叫びを轟かせる

 

 

「やった…!勝てた…っ!ありがとう、サイドン…っ!よく頑張ったね…っ!」

 

 

一拍遅れて、勝利したことを認識したリゼはサイドンに駆け寄り、喜びと奮闘してくれたことへの感謝を伝える

 

 

「よくやってくれた、コバルオン。ゆっくり休んでくれ」

 

 

コバルオンに労いの言葉を掛け、ボールへと戻した長尾はリゼの下へと歩み寄る

 

 

「おめでとう、リゼさん。流石だな」

 

「いえ、長尾さんに励ましてもらえたからこその結果です。本当にありがとうございました」

 

「リゼさんが立ち上がれたのはその心が強かったからだ。俺はちょっと背中を押しただけに過ぎねぇよ。まあ、力になれたならジムリーダー冥利に尽きるってもんだ。それじゃあ…」

 

 

と、長尾はポケットからジム戦に勝利した者に贈られるジムバッジを取り出す

 

 

「リゼ・ヘルエスタ。オウマジムのジムリーダーである俺こと長尾景に勝利した証として、このオウマバッジを進呈する」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「リゼ〜!おめでとう〜!」

 

 

リゼが長尾から5つ目のバッジとなるオウマバッジを受け取ったところで、アンジュと甲斐田達が合流する

 

 

「一時はどうなることかとヒヤヒヤした場面もあったけど、凄く白熱したバトルだったよ!」

 

「うん。景君も最後は凄く活き活きしていたしね」

 

「なんで珍しいものを見たみたいな言い方なんだよ…。ポケモンバトルは基本的に活き活きするもんじゃねぇか」

 

「言われてみれば、たしかに普段のジム戦よりも楽しんでたような気がするね」

 

「そうかぁ?」

 

 

リゼとのバトルで普段よりも熱くなっていたことを自覚していない長尾に甲斐田と弦月は笑みをこぼす

 

 

「…ねぇ、リゼ。どうしてダイマックスの最後の技に"ダイアース"じゃなくて"ダイアタック"を選んだの…?」

 

 

感想を伝え合う最中、バトルである疑問を抱いていたアンジュはリゼに質問を投げ掛ける

 

 

「それ、僕も気になったんだよね。結果的には"ダイアタック"による素早さの低下でサイドンがコバルオンの攻撃を躱すことが出来たわけだけど…」

 

「あの状況でなら"ダイアース"で決まってたんじゃ…と思ったよね」

 

 

弦月と甲斐田もアンジュと同じ疑問を抱いており、リゼに尋ねる

 

 

「…あの時、私はコバルオンならまた"とびはねる"で避けることが出来ると考えました」

 

「え…?でも、"ダイアタック"は避けられなかったよ?」

 

「"ダイアース"は一度地中に潜るという攻撃までの行程があって、"ダイアタック"に比べて技の直撃まで僅かに時間がかかります。だから…」

 

「その僅かな差でコバルオンが体勢を立て直し、"とびはねる"で回避出来るかもしれないと考えたわけだな。事実、それは正解だ」

 

 

アンジュ達の疑問にリゼはその時の自身の考えを伝え、更に長尾が説明を補うとともにその考えが正しかったことを告げる

 

 

「たしかに、"ダイアタック"を受けた直後にコバルオンはすぐ体勢を立て直せたし、"ダイアタック"が直撃する瞬間には立ち上がっていた…!」

 

「だから技を外される可能性に気付いて、確実に当てられて且つ素早さの低下を狙える"ダイアタック"を選択した…!」

 

 

リゼと長尾の説明で合点がいったアンジュ達は靄が晴れてスッキリした様子で納得を示す

 

 

「おまけにタイプ一致で大ダメージを与えられる"ダイアース"に拘らず、"ダイナックル"で攻撃力を底上げしたのも冷静な判断だった。文句の付け所が無い、良いバトルだった」

 

「色々ありましたが、私も長尾さんとバトル出来て本当に良かったです!」

 

 

互いの奮闘を讃え、共にバトル出来たことへの感謝を示すべくリゼと長尾は握手を交わす

 

 

「ところでリゼさん、ソウブレイズについてなんだが…。俺もましろさんから話を聞いてて、ある程度の事情は把握してる。その上で、今回ソウブレイズが暴走した原因を俺なりに推測してみた」

 

「…聞かせてください」

 

 

握手の後、改まった長尾がソウブレイズについて話し出し、リゼは神妙な面持ちで耳を傾ける

 

 

「今回ソウブレイズが暴走した原因はおそらく、異常なまでの強さへの執着によるものだと思う」

 

「強さへの執着…ですか?」

 

「ソウブレイズが怒りを表す要因には必ず亡くなった前の主人が関係している。そして、その墓は城の地下空洞にあった…。妙じゃないか?」

 

「妙…というと?」

 

「なんでそこが前の主人の墓になっているのか…ってことだよ」

 

 

長尾の指摘にリゼだけでなくアンジュ達も雷に打たれたような衝撃が走り、目を見開く

 

余程の事情でもない限り、地下空洞の奥にある小さな空間をお墓にしようとはしないのだ

 

その不自然さから長尾は1つの可能性を推測した

 

 

「その理由として考えられる可能性で最も高いのは、大昔に亡くなった主人とソウブレイズは何らかの事件に遭ってあの地下空洞へと逃げ込んだ。そして…」

 

 

あの場で主人は生き絶え、ソウブレイズは生き残ってしまった

 

 

「つまり、ソウブレイズは亡くなった前の主人を守れなかったことを後悔していて…それで…」

 

「ボスゴドラに負けそうになった時に過去の後悔と弱い自分を思い出して暴走した…。詰まるところ、今回のソウブレイズの怒りは自身に対するものからだったんじゃないかと俺は思った」

 

 

この推測が本当なら、ソウブレイズは現状把握出来ていること以上に辛い過去を持っていることになる

 

 

「あくまで俺個人の推測に過ぎないけどな。でも、そう考えるとソウブレイズがあれほどの怒りを露にしたことに納得がいくんだ」

 

 

まだ確定していないとはいえ、その可能性は十分にあると感じてしまったリゼはソウブレイズを憂いて胸を痛める

 

だが、ソウブレイズがどれだけ払拭の困難な辛い過去を持っていようと助けたい気持ちがある以上模索し続けるとリゼは改めて心に決めた

 

 

「…ありがとうございます、長尾さん。その可能性も視野に入れて、これからソウブレイズと向き合っていこうと思います」

 

「…ああ、頑張れよ。でも、気負い過ぎる必要はないぞ。簡単に解決する問題じゃないが、リゼさんにはその可能性がちゃんとあるんだからよ」

 

「そうだね。ボスゴドラに追い討ちを仕掛けたソウブレイズはリゼさんの声を聞いて立ち止まってたし」

 

「完全とまではいかなくても、その苦しみを和らげられる何かがリゼさんにはある」

 

「ポケモンを愛する1人のトレーナーとして、ソウブレイズのことは頼んだ。リゼさんならきっと助けられると信じてるぜ。それと残りのジム制覇もな」

 

「はい!どちらも頑張ります!今日は本当にありがとうございました!」

 

 

こうして、長尾とのジム戦を経て多くのことを学んだリゼは5つ目のバッジとなるオウマバッジを手に入れた

 

ソウブレイズを助けたいという想いも新たに、次に目指すは6つ目のジムがあるコーヴァスシティ

 

果たして、どんな出逢いが待ち受けているのか…

 

 

 

 

 

 

そして、時は少し遡ってリゼがオウマジムに挑んでいた頃…

 

 

「おっ…!あの洞窟じゃねぇか…!マックスダイ巣穴ってのは…!」

 

 

全員がスメシジムへの挑戦を終えて旅立った葛葉一行はオウマシティに向かう道中の北…ダイマックスアドベンチャーの舞台となるマックスダイ巣穴に足を運んでいた

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイドン、リオル、ソウブレイズ

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

長尾景
手持ち:コバルオン、ボスゴドラ、ハッサム
   コドラ(ジム用)
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