「おっ…!あの洞窟じゃねぇか…!マックスダイ巣穴ってのは…!」
「うわ〜!大きそうな巣穴やな〜!」
トリガー山道北部…スメシシティを出発した葛葉、叶、ひまわり、凛月、天宮の5人はダイマックスを可能とする"ねがいぼし"を求めてダイマックスアドベンチャーに挑戦出来るマックスダイ巣穴の目前に辿り着いていた
「あの穴の奥にダイマックスしたポケモン達がいる巣穴が広がってるんよね?」
「うん。あそこはガラル地方のカンムリ雪原にあるダイマックスアドベンチャーと同じように巣穴の奥がガラル粒子で満ち溢れてるんだって。ただ、ガラル地方のものと違って中にいるポケモンは捕まえられないそうだよ」
「あ?なんでだよ?」
「ここのマックスダイ巣穴はカンムリ雪原と違って近くにスメシとオウマの街があるから、もし野生のポケモンが巣穴に入ってダイマックスした挙句に暴れて外へ出たら大変な被害をもたらすかもしれない。だからリーグ委員会は野生のポケモンが巣穴に迷い込まないよう、あそこ以外の巣穴に通ずる出入り口を封鎖してるんだ」
「つまり、巣穴には野生のダイマックスポケモンはいない…ってことなんですか?」
「そう。いるのは過度に満ち溢れてるガラル粒子の影響を受けても暴れることがないように調整されたポケモン達だけなんだ」
「その子達がダイマックスアドベンチャーでの相手役をしてるんだね」
「うん。そして、そいつらを倒して奥まで辿り着けばダイマックスバンドに必要な"ねがいぼし"が手に入る。ポケモンリーグで優勝するには必要不可欠なアイテムだよ」
「絶対手に入れんとな!」
「おっしゃ!リゼ達に追いつくためにもちゃちゃっとダイマックスアドベンチャーをクリアしてオウマジムのバッジも速攻で手に入れようぜ!」
葛葉はそう意気込むと我先にと洞窟へ向かって走り出す
「あっ…!ちょっと葛葉ー!」
「お〜!凄く気合い入ってるね〜!」
「やれやれ、本当元気な奴だなぁ」
「ですね!追いかけましょっか!」
葛葉の後を追い、叶達も洞窟へと向かって走り出す
*
「よし、着いた!受付場所は…あった!」
巣穴の手前にある建物…その自動ドアを通って中に入った葛葉はダイマックスアドベンチャーの受付をしているカウンターを見つけると餌に飛び付くゴンベの如き勢いで迫り、手を着ける
「「すみません!ダイマックスアドベンチャーに挑戦しt…あぁ?」」
バンッ!と大きな音を立てて手を着き、ダイマックスアドベンチャー挑戦の申請をしようとした葛葉だったが、全く同じ行動を取る刀袋を背負った同い年くらいの青年がその隣に立っていた
「…何処の誰だか知らねぇけど、俺が先に受付に着いてたんで後ろに並んでくれませんかね?」
「お前が先に着いた?誰がどう見ても僕が先に受付のテーブルに手を着けてただろ」
「いいや、俺が先だった」
「違うな、僕が先だった」
「あぁん?」
「やんのか?」
葛葉と青年がダイマックスアドベンチャーの挑戦順を巡って睨み合う
「ちょっと君達!何を騒いでるの!」
その時、彼等に1人の女性が声を掛ける
「…誰だ?」
「私はダイマックスアドベンチャーの管理責任者を務めてる奈羅花。見たところ何か揉めてるみたいだけど、説明してもらえるかな?」
その時、騒ぎを聞いてダイマックスアドベンチャーの管理を任されている奈羅花が駆け付ける
「「こいつが横入りして来たんです!」」
「…なるほど。ダイマックスアドベンチャーの挑戦順を争ってたわけか。とは言っても、その様子だと話し合いで解決はしなさそうだね。そうなると、方法は1つに限られる」
奈羅花が最後に添えた言葉…それが何を示しているのか気付いた葛葉と青年はニヤリと笑みを浮かべる
「たしかに、ダイマックスアドベンチャーに挑戦するってことはお前も俺と同じポケモントレーナーってわけだ」
「トレーナー同士が争った時、その決着を付けるのに最適な方法は当然…」
「「ポケモンバトルだ!」」
「やっと追い付いた〜…!って、葛葉何やっとるん…?」
「刀也さ〜ん…!そんなに焦らなくても…って、なにこの状況…?」
葛葉と青年が口を揃えて叫んだ直後、ひまわり達と青年のことを"刀也"と呼んだ知り合いらしき2人の男女が同じタイミングで建物に到着し、一同は互いへ対抗心を燃やす葛葉と青年の姿を目にして困惑する
「むむ…っ!?可愛い女の子…それにカッコよさそうな女の子まで…!もしかして、あの2人の旅仲間…!?くぅ〜〜〜…っ!羨ましいっ!!」
「えぇ…っ!?」
「な、何なんですかいきなり…!」
「ああっ…!すみません…!思わず発作が出てしまいました…。私はダイマックスアドベンチャーの管理責任者を務めてる奈羅花と言います!よろしく!」
女性好き故の興奮でひまわり達を困惑させてしまった奈羅花は一言謝罪を述べ、全員に向けて自己紹介をする
「ここの責任者さんでしたか。初めまして、そこの葛葉の連れの叶と言います」
「姉の本間ひまわりで〜す!」
「桜凛月と言います」
「天宮こころで〜す」
「俺は伏見ガクっす!」
「私は夕陽リリと言います。そこの剣持の知り合いで…って、あれ?剣持さん?」
叶達、そして剣持の旅仲間である伏見とリリも互いへの自己紹介を済ませるなか、リリがある異変に気付く
先程まで葛葉と睨み合っていた剣持が何か衝撃的なものを目の当たりにしたかのように目を見開いて硬直していたのだ
そして、リリの指摘で全員が剣持に目を向けるなか、1人だけ剣持と目が合う者がいた
「え…?あまみゃ…?」
剣持の視線が自身に向けられていると天宮が気付いた直後、剣持の表情がとびきりの笑顔へと変わる
「その声!喋り方!そして見た目!凄く良い!」
「な、なになに…!?」
突然、嬉々とした大声を上げる剣持にその言葉を向けられた天宮は勿論、葛葉達も困惑する
「な、なんだ…?急に人が変わったぞ…?」
「あ、すみません。この人ロリコンなんです」
「おい、夕陽ぃ!その言い方だと語弊を招くだろ!そのトーンで話すならせめて前置詞に"良い"を付けろ!"良い"を!そもそも"小さい子が可愛い"は世の摂理だろ!つまり、そう思うことは何も変なことじゃない!人類皆産まれたその瞬間からロリコンなんだよ!」
「そ、そうだったんだ…!?ひまもロリコンだったんだ…!?」
「た、多分違うよ…!ひまちゃん…!勢いに流されないで…!」
「この人はちょっと特殊な方向に狂ったロリコンなんで、それに関する話は無視してくれて大丈夫です」
「特殊…!?それは違うぞ、夕陽!僕が掲げる定義こそが真のロリコンの定義なんだ!僕は正しいロリコンだ!」
「ま、まあ…凄いこと言ってますけど、本当に悪い人じゃないんでそこは安心してください…」
ロリコンに関して熱くなる剣持に各々が反応を示すなか、当の本人は軽快な足取りで天宮へと歩み寄る
「お嬢さん、お名前は?」
「あ、天宮こころです…」
「天宮さんね!うん、いい名前だねぇ!僕は剣持刀也!刀也お兄ちゃんって呼んでくれていいよ!」
「お、お兄ちゃん…?」
「…本当に大丈夫なんですか?この人」
「ア、アハハ…」
止まらない剣持のロリコンぶりに叶は改めて安全の確認を取り、それを受けた伏見は擁護し切れなかったのか苦笑いで応える
「よし!俄然やる気が湧いてきたぞ!おい、お前!とっととポケモンバトルしようぜ!」
「ハッ!望むところだ!」
「え…!?ポケモンバトル…!?どういうことなん…!?」
「ダイマックスアドベンチャーの挑戦順で揉めてたから、ポケモンバトルで決着を付けようってことになったんだよ」
「そんなことで…。べつに私達は後でも構わないんだけど…」
「お前はそれで良くても僕には引けない理由があるんだよ!」
(あ…。これ順番を譲りたくない以上に、こころちゃんに良いところ見せたいからだな?)
長い付き合い故に、リリの意見を強く否定する剣持の真意を見抜いた伏見は1人呆れ笑いをこぼす
「バトルの場所ならこの建物の裏手に私達が訓練のために設けたバトルフィールドがあるから、そこを使っていいよ。審判は…」
「あ…!それなら俺がしますよ」
「決まりだな!ボコボコにしてやんよ!」
「それはこっちの台詞だ!」
バトルの場所と審判も決まり、葛葉と剣持は駆け足で建物の裏手にあるバトルフィールドへと向かう
「ウチの葛葉がご迷惑おかけして本当にすみません、奈羅花さん…」
「私達のところの剣持も…」
「気にしなくていいですよ!それに私も今年のポケモンリーグに挑戦する新人トレーナー2人の実力に興味があるし!」
ひまわりとリリの謝罪に奈羅花は明るくそう応え、彼女達と一緒に建物裏のバトルフィールドへと移動する
*
建物の裏手…バトルフィールドへ移動した一同はそれぞれ観覧席となるベンチ、審判台、フィールドの立ち位置に着く
「それじゃあ2人共、ルールの方はどうする?」
「お前、今の手持ちは何体だ?」
「5体だ!」
「なら3対3の先に2勝した方の勝ちでどうだ?その方が時間も短くて済むしな。まあ、僕のストレート勝ちになるだろうけど」
「ハッ!そうやって余裕こいてられるのも今の内だ!」
「それじゃあ、これより葛葉君と刀也さんのポケモンバトルを始めます!ルールは3対3の交代無し!先に2勝した方の勝利とする!じゃあ、まずはお互い1体目のポケモンを!」
「俺はコイツだ!いけ!ギャラドス!」
「さあ、いけ!キリキザン!」
1体目のポケモンとして葛葉はギャラドスを、剣持は"とうじんポケモン":キリキザンを繰り出す
「ギャラドスとキリキザンか〜!」
「タイプ相性上はお互い弱点を突けるわけでもなく、どちらか一方的が不利になるってわけでもないね」
「何言ってんだよ、叶!どう見たって俺が有利だろ!」
「そうなんですか?」
「キリキザンは物理攻撃が得意なポケモン!それに対して、俺のギャラドスは特性"いかく"を持ってる!勝負が始まる前からキリキザンは攻撃力が下がってるからギャラドスの方が優勢なんですよ!」
「なるほど〜!」
叶の分析を否定した葛葉の説明に、天宮達から感心の声が上がる
「…フッ」
「…何がおかしい?」
「わざわざ言う必要はないね。まあ、すぐに分かるさ」
それに対して剣持が含みを帯びた笑みをこぼし、葛葉の疑問に濁した回答をしたところで伏見がバトル開始の宣言を下す
「それじゃあ、バトル始め!」
「ギャラドス!"アクアテール"!」
先攻したのは葛葉…ギャラドスは"アクアテール"を繰り出してキリキザンへと迫る
「キリキザン!"うっぷんばらし"!」
対する剣持の指示でキリキザンは"うっぷんばらし"を繰り出して迎え撃ち、互いに小細工無しで正面からぶつかり合い…
「キッザァァッ!!」
「キシャァァァァ…ッ!?」
数秒と拮抗することなく、"アクアテール"を押し弾いたキリキザンの"うっぷんばらし"がギャラドスに炸裂し、その巨体を吹き飛ばす
「ギャラドス…っ!?」
「キシャァァ…」
「ギャラドス、戦闘不能!キリキザンの勝ち!まずは刀也さんの1勝!」
最初の一撃のみで戦闘不能となったギャラドスに葛葉は勿論、それを見ていたひまわり達の表情は驚愕に染まっていた
「く、葛葉のギャラドスが一撃で…!?」
「もしかして、ギャラドスの"いかく"で攻撃力が下がっとらんかった…!?いや、だとしてもあの威力は…!」
「いや、キリキザンの攻撃力は"いかく"でちゃんと下がってたよ…!」
「じゃあ、なんで…!」
「理由はキリキザンが使った技"うっぷんばらし"にあるんだ…!」
「叶さん…でしたっけ?よく知ってますね。"うっぷんばらし"は能力が下げられた時に威力が倍になる技なんです」
「だから攻撃が下がってるのにアレだけの力が…!」
「いや、それだけじゃない…!」
「え…?」
「おや、それにも気付いてましたか」
まだ隠されている秘密に気付いた叶を称賛するようにリリは笑みを浮かべた
「攻撃力が下がったままの"うっぷんばらし"なら互角に終わってたと思う…!それでもキリキザンが勝ち、尚且つギャラドスを一撃で倒せたのはその特性にあるんだ…!」
「特性…?」
「そう、剣持さんのキリキザンの特性は"まけんき"。能力を下げられた時に攻撃力をぐーんと高める特性なんです」
「能力を下げられた時…ってことは、ギャラドスの"いかく"で…!」
「攻撃力が下げられたことで"まけんき"が発動して、逆に攻撃力を通常よりも高めさせてしまったんだ…!」
「その上での"うっぷんばらし"だから威力は桁違いなものになった…ってことだね。この対面自体は偶然だけど、キリキザンの持つ特性とそれと最高に合う技を覚えさせてる。なかなかやるね」
「天宮さ〜ん!今の見てた〜?僕のキリキザン凄く強いだろ〜!」
「……」
叶、リリ、奈羅花の分析を以ってひまわり達の疑問は解消され、剣持が天宮に猛アピールするなか、顔を俯かせた葛葉はギャラドスをボールへと戻す
「おやおや?僕をボコボコにするって言った割にはあっさり負けてるね〜!まあ、それも仕方ないか!今の対面はあまりにも僕に有利だったわけだし?そう落ち込むことはないからな!アハハハ!」
「…ハハッ!」
剣持はここぞとばかりに煽るが、それに対して葛葉は意味深な軽い笑みをこぼした
「…何がおかしいんだ?」
煽った相手の予想外な反応に剣持が疑問を投げ掛けると、葛葉は俯かせていた顔を上げて清々しい表情を見せる
「いやなに、ここ最近調子が良かったもんだから思い上がってた自分を嘲笑っただけだ。お前には感謝するぜ。どんな奴が相手だろうとポケモンバトルでは舐めちゃいけねぇ。お前は強い…ここからはそれを認めた上でいくぜ!」
「…なるほど、ただの粋がりじゃなさそうだな」
清々しい表情から一変…真剣な顔つきになった葛葉を見て剣持もまた気を引き締めて第2試合に臨む
「次はお前だ!いけ!ガバイト!」
「さあ、いけ!オノンド!」
続く2体目に葛葉はガバイト、剣持は"あごオノポケモン":オノンドを繰り出す
「わあ〜!オノンドだ〜!」
「ドラゴン対決…。さっきと違ってお互いに弱点を突けるから、先にドラゴン技を決めることが勝負の鍵になりそうやね」
「頑張れ〜!葛葉〜!ガバイト〜!」
「それじゃあ、バトル始め!」
ひまわり達の応援の声が響くなか、伏見がバトル開始の宣言を下す
「ガバイト!"すなあらし"!」
再び葛葉の先攻…ガバイトが繰り出した"すなあらし"によってフィールド全体に砂嵐が吹き荒れる
「オノンド!"りゅうのまい"!」
対する剣持はオノンドに"りゅうのまい"を指示し、攻撃力と素早さを高めさせる
「攻撃力と素早さを上げてきたか。こうなると特性の"すながくれ"で姿を捉えにくくしたとは言え、迂闊に正面から攻めるわけにはいかないな」
「んなこと分かってんだよ!考えも無しに勝負するかっての!ガバイト!"あなをほる"!」
叶の分析に葛葉はそう返答し、指示を受けたガバイトは"あなをほる"を繰り出して地中へと潜る
「地中からの攻撃か…!でも無駄だぞ!僕のオノンドの素早さなら攻撃が来た瞬間でも反応が間に合う!」
「おいおい、聞いてなかったのか?考え無しに勝負するかってよぉ!ガバイト!穴を空けまくれ!」
葛葉の指示を受けて、ガバイトはまずオノンドから十分離れた位置に穴を空けて顔を出し、その注意を引いた直後にすぐまた穴の中へと潜ってはそこからランダムな位置に幾つもの穴を空けていった
「あれは一体何を…?」
「地中からの攻撃は何処から来るか直前になるまで分からないけど、攻撃の瞬間には穴を空ける…つまりは地面を割ると言った攻撃の前兆がある」
「その一瞬の前兆に反応することで迎撃や回避が可能になる。逆に言えば、その前兆が無いと迎撃も回避も困難になるの」
「そっか…!穴を予め空けておくことでその前兆を無くしたんか!」
「それだけじゃない。今は砂嵐が吹き荒れてるから相当耳の良いポケモンでもない限り、地中を進む際の僅かな音にも反応は出来ない」
「さあ、どの穴から飛び出てくるか…な〜んてな!」
叶達が分析するなか、葛葉が攻撃の合図を出す
砂嵐に晒されながら何処から仕掛けてくるのかキョロキョロと周囲を警戒するオノンド…その真下からガバイトは飛び出し、"あなをほる"を炸裂させる
「お〜!決まった!」
「沢山空けた穴によってオノンドの注意を散漫させたのが効いたね」
「それに事前に空けてた穴をブラフに使ったことでオノンドは更に意識を割かないといけなくなる。キリキザン戦のお返しと言わんばかりの特性と技の相性を見事に活かしたバトルだね!」
「やるな…!でも、穴から出てきたこの時を待ってたんだよ!オノンド!"ドラゴンクロー"!」
攻撃を決めた葛葉の一手に叶達が歓声を上げる
だが、"りゅうのまい"で攻撃力と素早さの上がったオノンドであれば再びガバイトが穴の中へ潜る前に攻撃を直撃させ、尚且つ迎撃されても押し勝つことが出来る
そう確信していた剣持の指示を受けて、オノンドはすぐさま体勢を立て直すと"ドラゴンクロー"を繰り出してガバイトへと迫る
「ガバイト!"すなじごく"!」
「なに…!?」
それに対して、葛葉の指示でガバイトは"すなじごく"をオノンドの足下に繰り出し、"すなじごく"に足を取られたオノンドは駆けていた勢いも相まって大きく前のめりに転倒してしまう
「今だ、ガバイト!"ドラゴンクロー"!」
「オノンド!"ワイドブレイカー"で受け止めろ!」
オノンドの体勢が崩れたところでガバイトが"ドラゴンクロー"で仕掛けるが、剣持の指示に素早く反応したオノンドは"ワイドブレイカー"で足下の"すなじごく"を強引に掻き消しつつ、ガバイトの"ドラゴンクロー"を受け止める
「"すなじごく"まで振り払ったか…!ガバイト!穴に潜れ!」
攻撃を防がれた葛葉はこのまま接近戦になるのはマズいと判断し、技のぶつけ合い後にガバイトを飛び退かせてもう一度穴の中へと潜らせる
「これでもう一度隙を作って…!」
「甘いねぇ!オノンド!穴に向かって"りゅうのはどう"!」
葛葉の考えを否定し、剣持はオノンドに"りゅうのはどう"を指示してガバイトが掘った穴の1つに放たせる
「ガバァ…ッ!」
直後、穴の中に身を潜めていたガバイトに"りゅうのはどう"が炸裂し、その衝撃から穴の外へと吹き飛ばされてしまう
「穴を沢山空けたのが仇になったなぁ!決めろ、オノンド!"ドラゴンクロー"!」
空中へと吹き飛ばされたガバイトに目掛けて、オノンドは跳躍して"ドラゴンクロー"を繰り出す
「マズい…!空中だと"すなじごく"は当たらない…!」
「葛葉さん…!ガバイト…!」
ガバイトのピンチに叶と凛月が焦りを見せる
「まだだ…!ガバイト!"すなあらし"を纏え!」
だが、まだ勝負を諦めていない葛葉がここで逆転の一手を叫び、ガバイトは"すなあらし"を発動させて指示通りにその身に纏わせる
ガギィィン…ッ!
「オノ…ッ!?」
「なんだって…!?」
直後、繰り出されたオノンドの"ドラゴンクロー"はガバイトが纏った砂嵐によって弾かれ、剣持とオノンドは驚きの声を上げる
「前に見たリゼさんのエンペルトがやっていた"うずしお"の応用を参考にさせてもらったぜ!それとコレもなぁ!ガバイト!そのまま"あなをほる"!」
以前、スメシシティのバトルスタジアムで見たリゼのエンペルトの"渦を纏うドリルくちばし"から葛葉は"すなあらし"を纏うことによる防御手段を発想し、更にそれを他の技と合体させることを真似た
"すなあらし"を纏ったガバイトはオノンドの攻撃を防いだ後に地面への急降下して"あなをほる"を発動
そして、オノンドが着地したと同時にガバイトは地中から飛び出し、"すなあらし"によって強化された"砂塵纏うあなをほる"を炸裂させる
「オノォォ…ッ!」
「オノンド…!」
苦痛の鳴き声を上げて吹き飛ばされたオノンドは力無く地面へと落下し、剣持が呼び掛けるも立ち上がる様子はなかった
「オノンド、戦闘不能!ガバイトの勝ち!葛葉君の1勝!」
「よっしゃあ!いいぞ、ガバイト!」
「ガバァッ!」
伏見からオノンドの戦闘不能の判定が下され、葛葉はガッツポーズを取って勝利を喜び、ガバイトも力強い鳴き声を上げる
「何…今の…!?」
「技と技を組み合わせて更に強力な技へと昇華させた…!葛葉さん、なかなか面白いことをするね!」
「まあ、今のはライバルからヒントを得たものですけど、この土壇場でやってみせたのはたしかに凄いですね」
葛葉がガバイトで魅せた"すなあらし"の応用と"あなをほる"との合体技に叶達は感心の声を上げる
「よくやった、オノンド…ゆっくり休んでくれ。お前、思ったよりもやれるみたいだな」
「当たり前だ!俺はニジサンジ地方のチャンピオンになるんだからな!」
「だろうな。だからこそ、僕も負けるわけにはいかない!最後はこいつで完膚なきまでに勝ってやるよ!さあ、いけ!ダイケンキ!」
オノンドをボールへと戻した剣持は続く3体目として"かんろくポケモン":ダイケンキを繰り出す
「おお…!ダイケンキだ!初めて見た〜!」
「ダイケンキは剣持さんのエースポケモンですからね。強いですよ」
「あのダイケンキに葛葉さんは残る3体から誰を選ぶのかな…?」
「まあ、なんとなく予想は付くんだけど…」
一同がダイケンキに対する選出に注目するなか、葛葉はガバイトを戻して3体目に繰り出すポケモンのボールを構える
「最後は当然お前だ…!いけ!リザードン!」
ボールを投げ、葛葉が3体目に繰り出したのはその身を黒く輝かせる色違いのリザードン
その選出結果に見事予想が的中した叶は呆れ笑いを浮かべ、それ以外の全員は驚愕して目を見開く
「みずタイプのダイケンキにほのおタイプのリザードン…!?」
「というか、あのリザードン色違いじゃん…!初めて見た〜…!」
リザードンの登場にひまわり達が驚きの声を上げるなか、剣持とダイケンキは真剣な面持ちで葛葉とリザードンに向かい合っていた
「…そいつがお前のエースポケモンってわけか」
「ああ!言っとくが、俺のリザードンは強ぇぞ!」
「ウォォォンッ!」
「みたいだな…!でも、それは僕のダイケンキも同じだ!」
「ケェェェンッ!」
自身の強さを信じる葛葉と剣持の想いに応えるようにリザードンとダイケンキは咆哮を上げる
「準備は整ったっすね?それじゃあ、バトル…!」
バゴォォォォォォォォォォンッッッ!!!
「「「「「…っ!!?」」」」」
伏見がバトル開始の宣言をした最中、突然大きな爆発音とともに地響きが一同を襲った
「「きゃあああああああああああ…っ!!」」
「みんな…!姿勢を低くして頭を守って…!」
「リザードン…!姉ちゃん達の傍に行ってくれ…!」
「ダイケンキも頼む…!」
突然の出来事に各々が対処するなか、それの原因が何なのか情報を得ようと可能な限り周囲を見渡した奈羅花はあるものが視界に入って目を見開く
「あ、あの光の柱は…!」
奈羅花の視線の先は上空から見た時にマックスダイ巣穴の最奥に位置する地点…そこから空に向かって大きな赤紫色の光の柱が昇っていた
それから耐えること数分…光の柱が消えて地響きもようやく収まり、一同は恐る恐る立ち上がる
「びっくりしたぁ…!」
「りっちゃ〜ん…!怖かったよぅ〜…!」
「安心して、こころちゃん。もう大丈夫だから。守ってくれてありがとね、リザードン、ダイケンキ」
「ウォォン!」
「ケン!」
「天宮さん達は無事みたいだな。がっくん、そっちは大丈夫か?」
「心配するなら俺も守ってくれよ、刀也さん…」
「僕の守備範囲に入りたいならロリになってくれ。もしくはその可能性を示してくれ」
「葛葉、大丈夫か?」
「ああ、なんとかな…。そんなことより、さっきのは一体何なんだ…!?」
「あの光の柱…!もしかしたら、マックスダイ巣穴に満ちているガラル粒子の塊かもしれない…!でも、なんであんなに膨大なエネルギーが突然噴出して…!」
ロトロトロト…!
まだ頭が混乱するなか、自身のスマホロトムに着信が入った奈羅花はすぐに通話を繋ぐ
「もしもし!奈羅花だけど!」
『奈羅花さん…!大変です…!さっき巣穴内のガラル粒子の濃度が急激に増して、その影響でポケモン達が暴走を…!』
「なんですって…!?分かった…!動けるスタッフの半数で周囲を封鎖!誰も巣穴に近付けさせないで!残りのスタッフは私と一緒に巣穴の調査に行く!すぐに準備して!」
『わ、分かりました!』
スタッフから緊急の連絡を受け取った奈羅花は素早く指示を出し、通話を終えて動き出す
「みんなは安全のために建物の中に避難しておいて!私はさっきの原因を調査するために巣穴の中へ向かうから!」
「いやいや、目の前でこんなことが起こってんのにじっとしてられるわけないでしょ!」
「巣穴のポケモン達が暴れてるんでしょ…?それって、苦しんでるからじゃないの…?」
「もしかして、さっきの通話を聞いてたの…!?」
「聞いてたってより、聞こえてたんですけどね。まあ、それだけ大変なことになってたら大声にもなりますよ」
「ダイマックスしてるポケモン達の暴走は普通に相手するよりも厄介なはずです。戦力は多いに越したことないんじゃないですか?」
「…あなた達、今から自分達がどんなに危険かも分からない場所に向かうってこと分かってる?」
「危険は覚悟の上です!苦しんでるポケモン達のために私達も力になれるなら協力したいんです!」
頑なに同行する意志を曲げない葛葉達に根負けし、奈羅花は深い溜め息を吐く
「…分かった。その代わり、私の指示には絶対従うこと!巣穴は巨大な迷路だからね!みんなの安全のためにもこれだけは譲れない!それとこれね!」
葛葉達は奈羅花から提示された同行するための条件を承諾し、加えてカプセル状の薬を手渡される
「これは一体…?」
「それはスメシシティの葉加瀬ちゃんが開発したダイマックスを抑制する薬だよ。巣穴の中はガラル粒子の濃度が濃いから、調整されたポケモン以外はその薬を飲まないとダイマックスする挙句に次第と暴走しちゃうの。だから今戦えるポケモン達には必ずこれを飲ませておいて!」
「よっしゃあ!なんか色々変なことにはなってるけど、いざダイマックスアドベンチャーだ!気引き締めていくぞ!」
葛葉の意気込みに叶達は頷いて同調し、奈羅花に案内されて一同はダイマックスポケモン達の暴走の原因を突き止めるべく、巣穴の中へと足を踏み入れる
葛葉
手持ち:リザードン、ギャラドス、ガバイト
???、???
剣持刀也
手持ち:ダイケンキ、キリキザン、オノンド