にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第54話「マオとルイス!それぞれの想い!」

 

ニジサンジ地方南西の端…そこに位置する桜の里で私は育った

 

子供は私とお姉ちゃんの2人だけ。他の住人は皆大人…特にお爺ちゃんやお婆ちゃんが多かった。私達姉妹よりも歳が上の若い人達が皆、里の外へと旅立ってしまったから

 

そして、数年前…とある企業の人達が里に訪れた

 

その人達はニジサンジ地方で1番のリゾート地を作るために桜の里とその周辺の土地を買収しに来た

 

当然、私達桜の里の皆はそれを拒否した

 

下手に強引な手段に出て大事になることを嫌ったその人達は身を退いたけど、諦めてはいなかった

 

 

「見たところ、住人は老ぼればかりで若い人達は数えるほどしかいない。どうせ、あと十数年もすれば里のほとんどは居なくなる。その時に改めて買収にし来ます。まあ、誰もいなくなってタダで済むかもしれませんけどね」

 

 

その企業の社長さんが言い残した言葉に里の皆は何も言い返すことが出来なかった

 

長い間ずっと自然とポケモン達と共に暮らしてきた里は他の街と比べて古い歴史のまま…里で生きる若い人達も減って、私達の代で廃れるのは目に見えていた

 

お姉ちゃんは"私1人になってもこの里を守る!"って言ってたけど、里の皆の顔は諦めていた

 

私も里が失くなるのは嫌だった。だから自分に何か出来ないか必死に考えてた

 

その時だった…あの人に出逢ったのは

 

 

「私なら、お前の里も周りのポケモン達が住む自然も守ってやれる。もし、その気があるなら私に力を貸してくれないか?」

 

 

内容は難しくてほとんどよく分からなかったけど、その人が目指す未来を聞いて私は計画への加担を決意した

 

でも、お姉ちゃんには話さなかった

 

だって、この計画が完遂した時にはニジサンジ地方はその半分を失うことになるから、心優しいお姉ちゃんが賛同してくれるとは思えなかった

 

だから私は2年前に桜の里を出て、リーダーの野望を叶えるためにじレジ団に入った

 

全てはこの世界に生きるポケモン達のため

 

そして、私が愛する里の存続のため

 

 

 

 

「お姉…ちゃん…!」

 

「ルイスちゃん…!ルイスちゃ〜ん…っ!!」

 

 

トリガー山道北部…マックス巣穴の中のある通路

 

そこで最愛の妹であるルイスと再会した凛月は涙を浮かべて彼女に抱き着いた

 

 

「心配してたんだよ…!2年前、書き置きだけ残して里から突然いなくなって…!」

 

「ご、ごめんなさい…お姉ちゃん…」

 

「本当だよ…。でも、元気そうでよかった…!ちょっと服装はアレだけど…」

 

「こ、この方が動きやすいんだもん…!」

 

 

2年間会えなくなった悲しみよりも再会したことの喜びが大きかったからか、凛月はルイスを許して笑い合った

 

しばらく他愛もない会話を交えた後、気持ちが少し落ち着いた凛月は今1番に知りたいことをルイスに尋ねる

 

 

「それにしても、この2年間何処で何をしてたの?それに何でここにいるの?」

 

「え〜っと…2年間のことは話せば長くなっちゃうんだけど。ここにいるのは正規の出入り口とは別のところから入っちゃって、気付いたら迷子になってた感じで…」

 

「そうだったんだ…。とりあえず、ここは今危険だから詳しい話は後にしよう。すぐ近くに私が一緒に旅をしてる友達とこの巣穴を管理してる人達がいるから、一緒に行動して外に…」

 

「え、え〜っと…それはちょっと…」

 

「ど、どうして…?」

 

「ほ、ほら…!私、正規の出入り口からこの巣穴に入って来てないから怒られちゃう…のが嫌だなぁって、あはは…」

 

 

何故か提案を拒み、少し落ち着かない様子のルイスに疑問を抱いた凛月はある1つの確信を得ると共に嫌な予感を感じ、恐る恐る声を掛ける

 

 

「…ねぇ、ルイスちゃん。ここに来たのは何か理由があるんだよね?」

 

「べ、べつに理由って程の事情は…」

 

「嘘…ついてるよね?」

 

 

姉妹故にその仕草や表情と声の変化から凛月は嘘を見抜き、言い逃れが出来なくなったルイスは観念して溜め息を吐く

 

 

「…お姉ちゃんにはバレちゃうか。うん、そうだよ。私はある目的があってここに来てる。でも、それをお姉ちゃんに話すことは出来ない」

 

 

"やっぱり…!"と、凛月は当たってほしくなかった嫌な予感が的中したことにショックを感じると共に何かを隠しているルイスに追及する

 

 

「どうして…!もしかして、ルイスちゃん…今この巣穴に起こってることと何か関係があるんじゃ…!」

 

「ごめんね、お姉ちゃん…。でも、これだけは信じてほしい…!私は里の皆とお姉ちゃんを何よりも1番に愛してるから…!出てきて!マルマイン!」

 

 

心苦しい様子でそう告げたルイスは体の質感や雰囲気が通常の個体とは明らかに異なるマルマインを繰り出す

 

 

「…っ!ルイスちゃん…!待って…!」

 

「またね、お姉ちゃん…!マルマイン!"フラッシュ"!」

 

「眩しい…っ!ルイスちゃん…っ!」

 

 

叫ぶ凛月の制止を振り切って、ルイスはマルマインの"フラッシュ"で目眩しをした隙に通路の奥へと走り去り、彼女の目の前から姿を消した

 

 

「ルイスちゃん…。どうして…」

 

 

視界が元に戻った凛月は既に目の前から姿を消したルイスが走り去って行ったであろう通路の奥を見つめ、しばらく呆然と立ち尽くした

 

 

 

 

「決めろ、リザードン!"ドラゴンクロー"!」

 

 

巣穴内の大部屋の1つ…そこでキョダイマックス:タルップルとのバトルに臨んでいた葛葉達はリザードンが繰り出した"ドラゴンクロー"の炸裂によってその終幕を迎えた

 

 

「タルップゥゥゥ…」

 

「よし、倒せた!すぐにタルップルをボールに回収!それと傷付いたポケモン達の回復を手早く済ませて!」

 

 

倒れ、元の大きさに戻ったタルップルを奈羅花達はボールへと回収し、このバトルで傷付いたポケモン達への簡易的な回復に取り掛かる

 

 

「ふぅ…今回は危なげなく勝てたね」

 

「1つ前の大部屋で暴走したポケモン達の実力を把握出来たのは大きかったなぁ。おかげでさっきよりも上手く立ち回れた」

 

「この調子なら残りの奴等も全員倒せるだろ!」

 

「それ、フラグですよ。葛葉さん」

 

「あれ…?凛月さんは…?」

 

 

葛葉達も一息吐くなか、凛月の姿が無いことに気付いた叶が葛葉達に声を掛ける

 

 

「そういえば、バトルの最中も声は聞いてなかったな…!」

 

「まさか、私達の知らない間に逸れたんじゃ…!」

 

「おいおい冗談だろ…!?りつきんさーん…!何処ですかー…!」

 

「みんな、ごめ〜ん…!ちゃんといるよ〜…!」

 

 

慌てた葛葉達が声を上げるなか、数秒と経たせずに大部屋に入って来た方の出入り口から凛月が返答しながら走って来た

 

 

「よかった…!気付いたら姿が見当たらなくて焦りましたよ…!」

 

「ごめんね?ちょっと体調を崩しちゃってて、大部屋の出入り口付近で休んでたんだ。あははは…」

 

「えっ…!体調悪いんすか…!?無理しないで先に外へ戻った方が…!」

 

「大丈夫、大丈夫!少し休ませてもらったお陰でこの通り元気だから!」

 

「ほ、本当っすか…?」

 

「そんなに心配なら葛葉、ここから先のバトルはリザードンを温存するといいよ」

 

 

凛月を心配する葛葉に叶がそう提案する

 

 

「最悪この先で凛月さんが体調を悪くしても、リザードンなら背中に乗せて地上まで戻ることが出来るだろ?」

 

「でも、それだとバトルに支障が出るんじゃ…」

 

「大丈夫ですよ、凛月さん。僕の見立てだと葛葉のリザードンは相当体力を消耗してるからバトルも保って次が最後になる。相手によってはもう戦力にならないかもしれないから、支障はそれほどないと思います」

 

「言ってくれるじゃねぇか、叶ぇ…!なんなら今、お前のその見立てが正しいかどうか確かめさせてやろうか…?」

 

「お…!ピキってるピキってる」

 

「お、落ち着いて葛葉君…!リリっちも呑気に見てないで…!」

 

「…ふふっ!」

 

 

自然と煽る叶に噛み付く葛葉、その光景を面白がるリリと宥めようとする伏見…そんな緊張感の無い雰囲気に凛月は思わず笑みをこぼした

 

 

「…まあ、今回はお前の口車に乗ってやるよ。全っ然俺のリザードンはまだバトル出来るけどな!…そういうわけなんで、りつきんさん。無理そうになったら遠慮なく俺に声掛けてください」

 

「…ありがとうございます、葛葉さん。私も出来る限り迷惑をかけないようにするので」

 

「みんな〜!もう少し奥に進むつもりだけど大丈夫〜!?」

 

「大丈夫ですよ〜!それじゃあ、行こうか」

 

 

葛葉の気遣いに凛月が感謝を伝えたところで準備が整った奈羅花達から声が掛かり、一同は再び巣穴の奥へと進み出す

 

 

(ルイスちゃんのことは凄く気掛かりだけど、それで足を止めるわけにはいかない…!ルイスちゃんが何をしようとしてるのかは分からないけど、私の目的が叶えば問題ない…!そのためにも、今は目の前の事に集中しないと…!)

 

 

葛葉達と共に巣穴の更に奥へ進むなか、凛月はポケモントレーナーとして旅立った理由と想いを想起すると共に、その覚悟を新たにする

 

 

 

 

「はい。一先ず、手当ては済んだよ」

 

「ありがとう。…バサギリ、天宮の言う通りにしばらくは大人しくしといてよ?」

 

 

剣持側…天宮の手を借りてバサギリの手当てを済ませたマオは彼をボールへと戻す

 

 

「よし!それじゃあ、改めてひま達は外に戻ろっか!」

 

「そうだね。まだ他にもダイマックスしたポケモン達が徘徊してるだろうから、遭遇する前にここから早く移動しないと」

 

「うん!マオも一緒に!」

 

「あ…えっと…。僕は…一緒には行けないかな…」

 

 

危険な状態にあるこの巣穴から出ようとしないマオに天宮達は困惑する

 

 

「ど、どうして…?」

 

「そ、それは…」

 

「…そういえば、魔使は何でここにいるんだ?」

 

「剣持さん…どういうこと…?」

 

「僕達が来た時、ダイマックスアドベンチャーに挑戦してる先客はいなかった。ここは基本的に1組ずつしか挑戦は出来ないんだ。だから魔使…君は正当な手続きがあった上でこの巣穴に入ったわけじゃないんだろ?」

 

「そ、そうなの…?マオ…?」

 

 

天宮達から向けられる懐疑的な視線にマオはごくりと固唾を飲み込み、苦笑いを浮かべて返答する

 

 

「じ、実はここから更に北の所で偶然この巣穴に繋がってる入口を見つけちゃってさ…!好奇心から入っちゃったけど、まさかダイマックスアドベンチャーの巣穴とは思わなかったんだよ…!」

 

「あそこ以外の入口…!そういえば、兄やんが言ってたっけ…!野生のポケモンが入って来ないように他の出入り口は塞いでるって…!」

 

「じゃあ、魔使はまだ塞がれてなかったか、新しく出来ていた他の出入り口から巣穴に迷い込んだってことか」

 

「そ、そういうことなんだよね〜…!あはははは…!」

 

「でも、何でそれが一緒に外に出ない理由になるの?」

 

「そ、それは…ここを管理してる人達に見つかるとマズいから…」

 

「怒られることを心配してるってことなん?だったら、ひま達がちゃんと説明してあげるし、なんなら一緒に謝ってあげるから大丈夫やって!」

 

「え…?あ〜…え〜っと…それはありがたいんだけど、実は他にも理由はあって…」

 

「まだ何かあるの…?」

 

「実は友達と一緒に来たんだけど、嵐に巻き込まれて逸れちゃって…」

 

「そうなの…!?」

 

「僕達と同じってことか…」

 

「それでね…!もし逸れたら"ねがいぼし"があるって聞いた最奥に集合しようってことになってるから、僕はまだ外に出るわけにはいかないんだ…!だから…!」

 

「よし!なら、ひま達も一緒に行ってあげる!」

 

「へ…?」

 

 

これで怪しまれずに天宮達と別れることが出来る…とマオは思ったが、ひまわりから告げられた言葉に間の抜けた声が溢れる

 

 

「この巣穴の中で魔使を1人にさせるわけにもいかないしな」

 

「困った時はお互い様!あまみゃ達が一緒にマオの友達を探すの手伝ってあげるね!」

 

「そ、それはどうもありがとう…」

 

「それじゃあ、巣穴の奥を目指してレッツゴー!」

 

 

これ以上は怪しまれると感じたマオは抵抗を諦め、天宮達の同行を受け入れて共に巣穴の奥へと歩みを進める

 

 

(どうしようどうしよう…!このままだと僕がにじレジ団のメンバーだってことがバレちゃう…!ルイス達と合流する前になんとか隙を見つけて…!)

 

 

天宮達といるこの状況からなんとか脱しようとマオが思考を巡らせるなか、ひまわりから声を掛けられる

 

 

「それにしても、マオちゃんのバサギリ凄く強いんやな!」

 

「たしかに、あのキョダイマックスしたアップリューをかなり弱らせてたからな。そんなバサギリをゲットしてるなんて、魔使は凄いトレーナーなんだな」

 

「…凄くなんかないよ。バサギリはゲットって言うか成り行き上そうなっただけだし、僕の言うことなんて全然聞いてくれないから…」

 

 

自身とバサギリを褒めるひまわり達の言葉に喜びはせず、悲しそうに顔を俯かせたマオはふと昔のことを思い出す

 

 

 

 

1年程前まで、マオはニジサンジ地方の西にある街:コーヴァスシティに住んでいた

 

明るい性格だが、同時にお調子者で生意気気味な所があり、それが災いして街の子供達と馴染むことが出来ず友達はいなかった

 

 

『マフォクシーの"だいもんじ"が炸裂〜っ!ドダイトスが戦闘不能となり、ニジサンジリーグ準決勝第1試合を制して決勝戦へと駒を進めたのはニュイ選手だ〜っ!』

 

(いいなぁ〜!僕もいつか立派なポケモントレーナーになりたいなぁ〜!)

 

 

そんなマオは将来ポケモントレーナーになることを夢見ており、よく街の周辺に生息している野生のポケモンを見たり、触れ合うことを日々の楽しみにしていた

 

そんなある日、コーヴァスシティの南に位置するエニカラ雪山…その麓の野生のポケモンを見に行ったマオはあるポケモンを目にする

 

 

(なんだ…あのポケモン…!?本でも見たことがない…!)

 

 

マオが目にしたのはバサギリ…しかし、その全身傷だらけでぐったりと倒れ込んでいた

 

 

(あいつ傷だらけじゃん…!でも、傷を治す道具も体力を回復させられる食べ物も持ってないし…!あっ…!)

 

 

バサギリの様子を見たマオは何とかしてあげられないかと持ち物を確認するなか、1つだけ持っていたモンスターボールを見つける

 

 

(これで捕まえれば、街のポケモンセンターまで連れて行くことが出来るじゃん…!)

 

 

解決策を見出したマオは駆け足でバサギリへと近寄る

 

 

「…ッ!バサァ…ッ!」

 

「ひぃっ…!?」

 

 

だが、マオの存在に気付いたバサギリは目を覚ますと睨み付けて威嚇し、脅かしてその歩みを止めさせる

 

 

「そ、そんなに睨むなよ…。僕はお前を助けてあげたいだけなんだ…。このボールに入ってくれれば、ポケモンセンターに連れて行って傷を…」

 

「バサァァッ!!」

 

「ひぃぃぃっ…!!?」

 

 

怯えながらも勇気を出して声を掛けるマオだったが、怒鳴り声を上げて更に威嚇するバサギリに恐れを為して逃げ出し、離れた木々の陰へと隠れる

 

 

(な、なんなんだよ、あいつ〜…!助けてあげようとしたってのにさ〜…!)

 

「「「ノオォォッ!」」」

 

(ひぃっ…!?)

 

 

優しさを無碍にされてマオが機嫌を悪くするなか、ポケモンの咆哮がバサギリのいた方向から響き渡る

 

それに驚いたマオは恐る恐る木の陰から覗く込むと、倒れ込んでいるバサギリの前に数体のユキノオー達が現れていた

 

 

「ノオォォッ!」

 

 

ユキノオー達はバサギリに対して非常に強い怒りを露にしており、"れいとうパンチ"を繰り出して袋叩きを始める

 

 

(ユ、ユキノオーだ…!この麓じゃ滅多に姿を見せないのになんで…!も、もしかして…あいつ、雪山に入ってユキノオー達の縄張りで何かしたのか…!?)

 

 

怒れるユキノオー達の様子からマオはバサギリと彼等にどのような経緯があったのか想像すると共に、巻き込まれたら自分の身が危険だと感じてソッと背を向ける

 

 

(ぼ、僕には無理だ…。ポケモンはまだ持ってないし、助けられっこない…。そもそも、あいつが僕の助けを拒まなければよかったんだ…。自業自得だよ…)

 

「バ…サァ…ッ!」

 

(…あ〜、もうっ!)

 

 

理由をつけて自分に言い聞かせ、その場から立ち去ろうとしたマオだったが、ユキノオー達に痛めつけられるバサギリの苦しむ声が耳に入り、見捨てようとした罪悪感と助けてやりたい想いから体を動かせずにはいられなくなった

 

 

「や、やめろぉぉぉぉぉ…っ!!」

 

 

恐れながらもマオは必死にそう叫んで姿を晒し、彼女の登場にバサギリとユキノオー達の視線が集中する

 

 

「も、もうこんなに弱ってるのに…!これ以上傷付ける必要ないだろ…!さ、さっさと家に帰れよ…!」

 

 

バサギリを痛めつけることを辞めるよう、マオは精一杯の勇気を振り絞ってユキノオー達に叫ぶ

 

 

「「「ノオォォッ!!」」」

 

 

だが、怒れるユキノオー達はその言葉に耳を貸さず、繰り出した"れいとうパンチ"をマオへと向けて振り下ろす

 

 

「ひぃっ…!」

 

「バ…サァ…ッ!」

 

「「「ノオォォ…ッ!?」」」

 

 

"れいとうパンチ"の直撃をマオが覚悟したその時、バサギリはもう動かすのもままならないはずのボロボロの体を起き上がらせ、繰り出した"がんせきアックス"をユキノオー達に炸裂させて吹き飛ばした

 

 

「へ…?お、お前…もしかして、僕のことを守って…」

 

 

ユキノオー達の攻撃から守ってくれたバサギリにマオは驚くが、やはり体に無理をさせた攻撃だったか、意識を失ったバサギリはその場に倒れた

 

 

「お、おい…!?大丈…!」

 

「「「ノオォォ…ッ!!」」」

 

「ひぃっ…!?」

 

 

倒れたバサギリを心配してマオが声を掛けるなか、攻撃を食らって更に怒り狂ったユキノオー達がマオとバサギリに向かって突っ込んで来る

 

 

「オーロンゲ!"しっとのほのお"!」

 

 

その時、突然響いた指示と共にマオ達の前に現れたオーロンゲが"しっとのほのお"を繰り出し、ユキノオー達に炸裂させる

 

 

「「「ノオォォ〜…!」」」

 

 

オーロンゲの"しっとのほのお"を食らってすっかり怯えてしまったユキノオー達は情けない声を上げて雪山の奥へと逃げ帰って行った

 

 

「た、助かった…?」

 

「ああ、あのユキノオー達は住処へ引き返して行った。もう大丈夫だ」

 

「よ、よかった〜…」

 

 

ユキノオー達を去って行ったことで安堵したマオは腰が抜けてその場に座り込む

 

 

「オーロンゲ、よくやった。それにお前も1人でよく頑張ったな」

 

「う、うん…。おじさん達が助けてくれたおかげで助かったよ…。あと、こいつも…」

 

「こいつ…?このバサギリがお前を助けたのか?」

 

「バサギリ…?このポケモンの名前…?」

 

「ああ、こいつは昔のシンオウ地方…又の名をヒスイ地方でその存在が確認されている絶滅の危機に瀕しているポケモンだ」

 

「絶滅…!ってことは仲間がいないってこと…?」

 

 

"絶滅"という言葉を聞いて孤独の身にあるバサギリをポケモンを除けば友達のいない自身と重ねたマオは悲しそうな表情を浮かべる

 

マオがバサギリを憂うなか、男は2人を横目で見つめていた

 

 

(俺が噂に聞いた"雪山に現れる凶暴な見たことのないポケモンの正体は間違いなく、このバサギリだろうが…。守ったということは、こいつに少なからず心を開いているということか…?)

 

 

マオとバサギリの間に何かが生まれていると感じた男は彼女に声を掛ける

 

 

「お前、名前は?」

 

「マ、マオ…。魔使マオだよ…」

 

「マオ、良ければ俺の組織に入らないか?」

 

「え…?そ、組織って何の…?」

 

「このバサギリのような絶滅の危機にあるポケモンだけでなく、この世に生きる全てのポケモン達を保護を目的とする組織だ。俺はそのためにバサギリを捕まえるが、こいつにとってお前は必要な存在だと直感している。だからもし、お前にその気があるなら俺達の仲間になってほしい」

 

「そ、そんな急に言われても…」

 

「…今答えを出すのが難しいなら、2週間後にコーヴァスシティへ訪れる。その時に改めてお前の答えを聞かせてくれ」

 

 

そう言って、男はバサギリをモンスターボールで捕獲し、その場を立ち去った

 

それから2週間後…組織:にじレジ団への入団を決意したマオは街で再会した男に答えを告げ、ポケモン達を保護している彼の拠点の1つに案内され、そこでバサギリと再会する

 

 

「久しぶりだね、バサギリ!傷も治ってすっかり元気そうじゃん!」

 

「……」

 

「…あれ?」

 

 

再会の挨拶に対して表情を変えずにじっと見つめるバサギリにマオが困惑するなか、男は2人の目の前に立って話を切り出す

 

 

「さて、まずは組織への入団感謝する。差し当たって、まだポケモンを持っていないお前に1匹与えたいんだが、本人たっての希望でバサギリがお前のポケモンになりたいそうだ。我々の目的を達成するため、励んでくれ」

 

「わ、分かりました…!これからよろしくな…!バサギリ…!」

 

 

想像していた形とは違うが、ポケモントレーナーとして初めてのポケモン…それも自身のポケモンになりたいと言ったらしいバサギリにマオは嬉しそうに呼び掛ける

 

 

「……」

 

「え…?」

 

 

だが、バサギリはマオの呼び掛けには応えず、プイッとそっぽを向いた

 

 

「な、なんなんだよ…!さっきからその態度はさぁ…!お前、僕のポケモンになりたいんだろ…!?なのになんでそんなに冷たいんだよぉ…!」

 

 

バサギリの態度にマオは地団駄を踏み、それを見た男は笑い声を上げる

 

 

「フハハハッ!たしかに、バサギリはお前のポケモンになることを決めた。だが、どうやらトレーナーとして認めてるわけじゃないようだな」

 

「はぁ…!?なんだよ、それ…!」

 

「まあ、バサギリにも色々と考えがあるんだよ。これから絆を深めていけば、いつかきっと認めてくれるだろう。なあ?バサギリ」

 

「バサァ」

 

「うぐぐ…!えぇい!今に見てろよ!すぐに僕が立派なトレーナーであることを証明してやる!」

 

 

こうして、エニカラ雪山での出逢いをきっかけにマオはにじレジ団に入り、バサギリは彼女のポケモンとなった

 

 

 

 

そんな出逢いからこれまでの日々を振り返ったマオは俯かせていた顔を更に沈ませる

 

 

「何で僕のポケモンになってくれたのかも分からないままだし、いつまで経っても僕に冷たいし、さっきも僕が近付いたら攻撃してきたし…。もしかしたら、バサギリが理想としてるトレーナーに僕がなれてないから失望して嫌われてるのかも…」

 

「そんなことないよ!バサギリはマオのこと凄く好きだと思う!」

 

 

バサギリとの関係が悪くなってるんじゃないかと酷く落ち込むマオに天宮はそう言い切る

 

 

「な、なんでそんなこと分かるの…?」

 

「だって、あの時苦しんでたバサギリの眼は怒りとかじゃなくて、マオを心配してる眼だったもん!」

 

「へぇ、天宮さんはポケモンの気持ちが分かるんだね」

 

「うん!故郷の里で色んなドラゴンポケモン達と触れ合ってたおかげかな!」

 

「なるほど。それなら攻撃してきたのは、ガラル粒子の影響を受けて暴走してしまうかもしれない自分から魔使を遠ざけさせるためだったんじゃないかな?」

 

 

天宮の見解から導き出した剣持の推測にマオは目を丸くする

 

 

「遠ざけさせる…?それって、僕を守ろうとしてくれたってこと…?」

 

「絶対そうやって!それに、ずっと傍にいてくれてるポケモンがトレーナーのこと嫌いになるなんてことないって!」

 

「そ、そうなのかな…?ならいいんだけど…」

 

 

バサギリが自分のことを嫌っていないと断言する天宮達の言葉に、マオは半信半疑ながらも少し照れくさくなる

 

 

「そうだよ!だからマオもバサギリのこと怖がらないで、ちゃんと向き合ってあげれば認めてくれるよ!」

 

「怖がらなくてもいい…ちゃんと向き合う…か。うん、分かった。ありがとう、天宮。それにひまわりさんと剣持さんも」

 

「どういたしまして、マオ!」

 

 

天宮達からの励ましに感謝を伝え、バサギリとの関係に希望を見出したマオは笑顔を浮かべた

 





葛葉
手持ち:リザードン、ギャラドス、ガバイト
   ???、???

魔使マオ
手持ち:バサギリ、ギモー

ルイス・キャミー
手持ち:レパルダス、マルマイン?
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