「エンペルト!"はがねのつばさ"!」
「エースバーン!"かえんボール"!」
「マンムー!"10まんばりき"!」
「バシャーモ!"スカイアッパー"!」
コーヴァスシティの街中…突如として現れたにじレジ団とのバトルに臨むリゼ達
指示を受けたエンペルト達はそれぞれの技を繰り出し、にじレジ団4人のポケモン達を撃破する
「パラセクト…!ココロモリ…!」
「ウツボット…!クイタラン…!」
「くっ…!強いぞ、このガキ共…!」
「俺達だけじゃ勝てねぇ…!ここは一旦退いて味方と合流するぞ…!」
リゼ達との実力差に現状での勝ち目がないと判断したにじレジ団の4人は倒れたポケモンをボールに戻すと街の東に向かって逃げ出していく
「一先ず、退けられたな。メリッサ!りりむさん!アンジュさん!出てきて大丈夫だ!」
バトルが一息つき、イブラヒムは邪魔にならないよう脇道で隠れていたメリッサ達に声を掛ける
「リゼさんとコウさんも強いね〜!」
「まあ、この程度の相手なら俺達が1対1で負けることはねぇよ」
「うん!周りの様子からしても向こうの方が劣勢みたいだし、これならなんとかなるかも!」
「ああ。でも、さっきの奴等はまだ手持ちが残ってるみたいだし、仲間と合流される前にとっ捕まえまねぇと」
「なら、早く今逃げた人達を…!」
「ちょっと待って…!」
逃げたにじレジ団達を追おうとフレンが呼び掛けるが、それを遮ってアンジュが一同を呼び止める
「アンジュさん…?どうしたんですか?」
「なんだか、この大規模な襲撃…エデンシティやRRRビーチの時と同じだなって…」
「どういうこと…?」
「これまで遭遇した時のにじレジ団は何らかの目的があって、それから目を逸らさせるために街や人を襲ってた…。その時に共通してたのは、プレートっていうニジサンジ地方の各地にある古代の遺跡に関係する代物を奪うこと…」
と、そこまでのアンジュの話を聞いてリゼはハッと目を見開く
「それってつまり、この街の何処かにプレートがあるかもしれないってこと…!?」
「メイフ砂漠には古代の遺跡があるみたいだし、その可能性は十分にあると思う」
「仮にそうだとしても、何処にあるかなんて…」
「いや、プレートってのが本当にこの街にあるなら、古代の遺跡と関係がある点から博物館にある可能性が1番高い。それに相手は何故か街の東側…博物館の逆側へどんどん後退してる」
「博物館から私達や他のトレーナーを遠ざけさせてるってこと…?」
「アンジュさんの推測が正しいなら、相手の行動にそういう狙いがあるように見えるってことだ」
と、イブラヒムはアンジュの推測に信憑性があると後押しする
「それじゃあ、博物館に戻るってこと…?でも、ここを離れて大丈夫なのかな…?」
「幸い、状況は向こうが劣勢。ベルさんも動いてるだろうし、俺達が少し離れたところで戦況が覆ることはないと思う。何事も無さそうなら、すぐにまた戻ってくればいい」
「じゃあ、決まりだね!私達は一度博物館に…!」
アンジュの推測を信じ、リゼ達が博物館へと引き換えそうとした…その時だった
「だ、誰か…!助けてくれ…!」
慌ただしい様子で彷徨うように助けを求める1人の鉱員が視線の先に現れ、リゼ達は彼の下へと駆け寄る
「どうしたんですか…!?」
「こ、鉱山にここと同じ服を着た連中が来て…!」
「鉱山に…!?なんでそんなところにまで…!」
「まさか、鉱山にある秘密の穴…!」
鉱員の話を聞いてリゼ達が驚くなか、にじレジ団が鉱山にまで現れた理由に思い当たったアンジュはそう言葉を零した
「秘密の穴…?」
「そういえば、リゼさんにはまだ話してなかったな。昨日、ベルさんがピンクのダイヤモンドを大量に持って帰って来てただろ?アレはベルさんしか入ることが許されない秘密の穴で採掘されてるんだ」
「そうなの…!?ということは、にじレジ団の狙いはピンクのダイヤモンド…!」
(もしくは、その根本に関わるベルさんが隠したがっている他の何か…!)
「ど、どうするの…!?博物館じゃなくて、鉱山の方にみんなで向かう…!?」
「その方がいいんじゃないか…!?狙われるだけの理由もあるんだし…!」
「でも、博物館にあるかもしれないプレートの可能性は捨て切れない…」
博物館へ戻るか、鉱山へ向かうか
更に大きくなる事態に一同は動揺し、行動に迷いが生じて足踏みしてしまう
「…じゃあ、ここは二手に分かれるのはどうかな?鉱山には私が行くから」
そんななか、リゼは二手に分かれることで両方へ対応する選択を提案し、自身は鉱山へ向かうことを宣言する
「リゼが行くなら私も…!足手纏いになるかもしれないけど、思うところがあるっていうか…」
「アンジュ…。うん…!分かった!」
「鉱山が奴等の本命なら、腕の立つ奴がいるかもしれないからな。俺も行く」
鉱山へ向かうリゼの同行者にアンジュとイブラヒムが意志を示す
「フレンはメリッサと一緒に博物館だ。そっちが奴等の本命である可能性も無いわけじゃないからな」
「分かった…!その代わり、イブちゃん…!リゼ様とアンジュさんのこと、頼んだよ…!」
「ああ。フレンもメリッサのことは頼んだぞ」
「過保護はやめてよ〜!僕だって、やろうと思えばちゃんもバトル出来るんだから〜!」
「どちらかと言えば、バトルの腕よりも考え無しに行動することの方を俺は心配してるんだけどな…」
と、物申すメリッサにイブラヒムは不安の声を漏らす
「コウ君…。りりむ達も博物館に行こう…?」
「でも、りりむちゃん…!鉱山の方は確実ににじレジ団の狙いがある場所だよ…!ヒムが言ってたように奴等の中でも腕っ節のあるトレーナーがいるかもしれないわけで…」
「気にするな、ウヅコウ。もし、向こうがヤバかった時は無理せず増援を待つわ。鉱山が危ないと分かれば、多分ベルさんも飛んでくるだろうし」
「博物館で万が一があった時のためにも、コウさんはフレン達と一緒にいてください!」
「そういうわけなので、この街中の何処かにいるはずのベルさんにも伝えてくれませんか?」
「わ、分かった…!」
と、アンジュの頼みを聞いた鉱員はベルモンドを探しに街中へと走り去る
「…分かったよ。とにかく、無茶なことはしないで無事に帰って来いよ!」
「コウさん達もね!」
そして、フレン達と共に博物館へ行くことにコウは納得を示し、リゼ達はそれぞれ決まった場所へと向けて走り出す
*
「プテラ!"ストーンエッジ"!」
鉱山の外…突如襲撃してきた数十人のレジ団とその場に居合わせていたプティと鉱員達はバトルによって互いに疲弊し切っていた
そして、メガシンカしたプティのプテラが繰り出した"ストーンエッジ"の炸裂によって、にじレジ団最後の1人が繰り出している"やしのみポケモン":ナッシーは戦闘不能となる
「くっ…!ここまでか…!」
「はぁ…!はぁ…!やっと片付いた…!観念してもらうよ…!みんな…!こいつ等を全員捕まえて…!」
その場にいるにじレジ団全員を無力化したプティは動ける鉱員達に彼等の捕縛を頼み、しばらくして、にじレジ団は1人残らずお縄となった
「これで外の連中は終わり…!あとは中に入っていったあの黒いフードの…!でも、もうプティのポケモン達は…」
その場のにじレジ団全員の捕縛は済んだが、彼等とのバトルの間に鉱山の中へ侵入した者が1人いた
だが、プティのポケモンは全て疲弊し切っており、追い掛けたところで何も出来ない事実に歯噛みする
「お〜い!」
「イブラヒム…!それにリゼさんとアンジュさんも…!」
その時、こちらへ呼び掛けながら走ってくるリゼ達の姿が見え、プティは安堵からその場に座り込む
「大丈夫ですか…!プティさん…!かなり疲れてるみたいですけど…!」
「う、うん…。流石にヘトヘトかも…。十数人を一度に相手したから…」
「マジか…!でも、見た感じ片付いたっぽいな」
「ううん…。少なくともまだ1人残ってる…。黒いフードを被った奴が鉱山の中に…」
プティの口から告げられた黒いフードの怪しい人物…その存在に心当たりがあったリゼとアンジュは顔を見合わせる
「黒いフード…!リゼ…!」
「もしかしたら、その人はスメシシティで会ったヒスイのポケモンを使ってきた人かも…!」
「ヒスイのポケモン…!エデンシティのオリバーさんから聞いたぞ…!たしか、大昔のシンオウ地方に生息していたポケモンだよな…!?」
「うん…!とにかく、その人は私達が追いかけます…!」
「ありがとう…。プティは手持ちのポケモン達がもう戦えないから…。気を付けてね…」
プティに見送られ、リゼ達は鉱山の中へと走って行く
*
「…っ!?見て…!あそこ…!」
鉱山の中へ入って数分…ベルモンドだけが入れる秘密の穴の前に辿り着いたリゼ達は、そこで傷付き倒れている"せきたんポケモン":セキタンザン
そして、そのセキタンザンを治療している2人のトレーナーを発見する
「大丈夫ですか…!?」
「き、君達は…?」
「街に戻ってきた鉱員から助けを求められて来たトレーナーだ。一応、ベルさんとは知り合い」
「そのセキタンザン…もしかして、ベルさんの…?」
「あ、あぁ…。この穴の先に誰も通さないための見張りとして…。だが、ここに来た黒いフードの女にやられて…」
「俺達もバトルしたが、1体しか倒せなくて…」
「ベルさんが見張りとして置いてたってことは、このセキタンザンは相当なレベルのはず…!それがたった1体しか倒せなかったのか…!」
見張りを任せるに足る強さを有しているであろうベルモンドのセキタンザンに加え、警備のトレーナー2人を相手にたった1体の犠牲で突破した黒いフードの女性
その実力の高さに流石のイブラヒムも動揺を露にする
「ベルモンドさんしか入っちゃいけない穴…この先に私達も入っていいですか?」
「中で見つけたモノは一切取らず、決して口外しないと約束します…!」
「…そうだな。俺達もよく知らないが、ベルモンドさんが警備を敷くほどだ。奴等の好きにされるよりは良い。責任は仕事を全う出来なかった俺達にあるわけだしな」
「だが、気を付けてくれ…!俺達がバトルした黒いフードの女はガラルのマタドガス以外に見たことのない姿形をしたダイケンキを使ってきた…!」
「見たことのない姿形のダイケンキ…!分かりました…!」
警備のトレーナーから忠告を受け、リゼ達は秘密の穴の先へと進んでいく
「ガラル:マタドガスを持ってたってことは、やっぱり黒いフードの女性はスメシシティで会った人に間違いないよ…!」
「そいつ、他にどんなポケモンを持ってたか分かるか…!?」
「えっと…ガラル:マタドガス以外にはフーディンとヒスイのクレベース!元々の氷タイプに岩タイプが追加されてるの!」
「氷・岩タイプか…。草、水、岩、地面、格闘、鋼の6つが弱点だな!これなら案外なんとかなりそうだ!」
「油断は禁物だよ、イブラヒムさん!その人のヒスイ:クレベースは攻撃力も防御力も一級品だった!あの時はリオルの"カウンター"が決まったからなんとかなったけど、今度はそう上手くいかないと思う!」
「まあ、二度同じ手には引っ掛からないだろうな。他には?」
「あとは…たしか、ヒスイのゾロアーク!黛さんの話だと格闘タイプの技が効かなかったからゴーストタイプが追加されてるみたい!」
「ってことは悪・ゴーストタイプか。弱点はフェアリーだけ…そっちも骨は折れそうだな」
「それとさっきの人達が言っていた姿が違うダイケンキだっけ?こっちは通常のダイケンキとどう違うのか分からないから、油断しないように!」
この先に待ち受けているであろう黒いフードの女性に関する情報を共有しながら、リゼ達は穴の奥へと走り続ける
*
「ぇあ〜〜…?色んな鉱石はあっても、ピンクのダイヤモンドなんて何処にも見当たらないよ〜」
鉱山:秘密の穴の最奥…様々な鉱石が壁や岩に埋まっており、幾つもの小さな穴が空いている広い空洞
そこで黒いコートの女性こと、夜見れなはピンクのダイヤモンドが見つからないことに文句を垂れていた
「聞いたところだと二桁…日によっては三桁はくだらない量が手に入るって話だったのにな〜!それなのに1個も見つからない…欠片でさえも!つまり、どういうことでしょ〜か?」
自分以外いないはずの空洞で夜見は自問自答の独り言を続ける
「考えられるのは1つ…ピンクのダイヤモンドは自然に埋まっているのではなく、何らかの方法で生み出されている!そして、そんな芸当が出来るのはこの世の不思議な不思議な可愛い生き物…ポケモンだけ!そんな珍しいポケモンは私が…いや、にじレジ団がちゃんと保護してあげないと!」
答えを導き出した夜見は嬉々とした表情を浮かべながらボールを投げ、ヒスイ:クレベースを繰り出す
「ピンクのダイヤモンドを生み出せる珍しいポケモンちゃ〜ん、出ておいで〜!夜見はアナタを家族のように愛してる母のような人ですよ〜!でも、聞き分けの無い悪い子は〜…私のクレベースが無理矢理探し出しちゃうからね〜!」
夜見が忠告を言い終えると、ヒスイ:クレベースは警告と言わんばかりに近くにあった岩を容易く粉々に砕く
「さあ〜、早く出てこないとちょっと痛い思いをすることになっちゃうよ〜?私もそんなことは不本意だけど、時間もないからお願い出来ないかな〜?」
と、夜見は最後の忠告を呼び掛ける
だが、それに返ってくる声は無かった
「…じゃあ、しょうがないね。クレベース、やっちゃって」
夜見から指示が降り、ヒスイ:クレベースは空洞内に幾つもある小さな穴…その1つに出入り口が壊れないよう体当たりをかます
「メ、メレェ〜…っ!?」
すると、穴から数体の"ほうせきポケモン":メレシーが慌てながら飛び出し、辺りを逃げ惑う
「お…!メレシーじゃ〜ん!でも、メレシーにピンクのダイヤモンドを生み出す力なんて無いはずだよね?となると、もしかしてここにいるのは幻と言われている"あのポケモン"かな〜?」
メレシーを見て、とあるポケモンの存在に確信を得た夜見はニヤリと不敵な笑みを浮かべる
「いた…!そこの貴女!ポケモン達に乱暴な真似は止めて!」
その時、突如自身の行動を非難する声が聞こえて夜見が振り返ると、そこには彼女を追い掛けてやって来たリゼ達の姿があった
「なんだ…!この空洞は…!」
「あそこにいるのは…"ほうせきポケモン"のメレシーだ!もしかして、ここはメレシー達の住処…!?」
(となると、ピンクのダイヤモンドは…!)
と、アンジュが思考するなか、リゼ達を視界に捉えた夜見は少し驚いた表情を見せる
「ぇあ〜?てっきりジムリーダーが来ると思ってたけど…。って、貴女達は以前にスメシシティで…!」
「やっぱり、黒いフードの女性は貴女だったんですね…!ここで何をしてるんですか…!」
「そんなこと言われても、素直に教えてはあげないよ〜だ!この前は四天王の邪魔も入って任務が失敗しちゃったから、今回こそは貴女をケチョンケチョンにしてあげる!いくよ!クレベース!」
「クレェェェッ!!」
リゼへの因縁を抱える夜見は質問には答えず、ヒスイ:クレベースと共にバトルの態勢に入る
「今回も貴女達の企みは阻止してみせる!お願い!エンペルト!」
「リゼさんにリベンジしたそうなところ悪ぃけど、悪者の都合に付き合う義理はねぇからな!いけ!マンムー!」
そして、リゼとイブラヒムは夜見とのバトルに臨むため、それぞれエンペルトとマンムーを繰り出す
「わ、私も…!」
アンジュもポケモンを繰り出そうとボールを構えるが、リゼが手を横に出して制止する
「アンジュはメレシー達を安全な場所に避難させて!2人掛かりだけど、負けないとも限らないから念のため!」
「リゼ…。うん、分かった…!お前も手伝ってくれ!ビッパ!」
リゼの頼みを引き受け、アンジュはビッパを繰り出して共にメレシー達の避難に動き出す
「それじゃあ、いきますよ!イブラヒムさん!」
「ああ!マンムー!"10まんばりき"!」
「エンペルト!"はがねのつばさ"!」
バトル開始…リゼとイブラヒムの指示でエンペルトとマンムーはそれぞれ"はがねのつばさ"と"10まんばりき"を繰り出す
「ふふん…!クレベース!躱して!」
対する夜見はヒスイ:クレベースに回避を指示する
だが、ヒスイ:クレベースはかなり鈍足なポケモンであり、素早さが早い部類とは言えないエンペルト達の攻撃ですら回避するのはまず不可能であった
「えっ…!?」
「なっ…!?」
だが、ヒスイ:クレベースは迫るエンペルト達の攻撃をその見た目からは想像出来ない軽やかな動きで回避し、その光景に驚いたリゼとイブラヒムは思わず声を上げる
「クレベース!マンムーに"けたぐり"!」
そして、エンペルト達の攻撃を回避したヒスイ:クレベースはマンムーの側面へと回り、左前脚に"けたぐり"を炸裂させる
「マン…ッ!?」
「マンムー…ッ!くっ…!格闘技が弱点かつ体重の重いマンムーに"けたぐり"か…!」
「ふふん!コーヴァスシティのジムリーダー対策に覚えさせておいたのが役に立ったね!」
バトル開始早々にマンムーが手痛いダメージを受けたことでイブラヒムは歯噛みし、夜見はニヤリと笑みを浮かべる
「というか、今の動きは何…!?前にバトルした時はあんな機敏に動いてなかったのに…!」
「どうしてクレベースがあんなに動けるのか、それは今考えなくていいっすよ!思ってたよりも素早いだけなら、それを念頭に入れて手を打てば問題ねぇ!マンムー!"こごえるかぜ"!」
イブラヒムはヒスイ:クレベースの有り得ない動きに動揺するリゼに助言しつつ、広範囲への攻撃が可能かつ直撃すれば素早さの低下を狙える"こごえるかぜ"をマンムーに繰り出させる
「クレベース!"ハイパーボイス"!」
「クレェェェェェッッ!!!」
それに対し、夜見の指示でヒスイ:クレベースは"ハイパーボイス"を発動
空洞全体を震わせるほどの轟音が響き、その音圧に阻まれて"こごえるかぜ"はヒスイ:クレベースには届かず、そのまま掻き消される
(さっきの"けたぐり"もそうだが、どうしてクレベースが"ハイパーボイス"を覚えてるんだ…?原種とは異なるから…?いや、だとしても異様過ぎる…。他に考えられる要素は…)
先程リゼに助言したものの、明らかに異様なヒスイ:クレベースにイブラヒムは思考を巡らせる
そして、これまで培ったポケモンに関する知識と道中でリゼから聞いた話から、イブラヒムは1つの答えを導き出す
「…っ!そういうことか…!リゼさん!アレはヒスイ:クレベースじゃねぇ!さっき話に出てたヒスイ:ゾロアークだ!」
「えぇ…っ!?」
「ありゃ、もうバレちゃったか〜。じゃあ、もう化ける意味もないね〜。元の姿に戻っていいよ、ゾロアーク」
イブラヒムの推測は見事的中し、それをあっさりと認めた夜見の意志に従って、ヒスイ:クレベースに化けていたヒスイ:ゾロアークは変身を解き、真の姿を露にする
「ゾロアークの特性はポケモンに化けることが出来る"イリュージョン"!俺達を混乱、動揺させてバトルの調子を狂わせるための作戦だったわけだ!」
「まあ、そんなところだね〜。本当はここに来ると予想したジムリーダーの対策だったんだけど。でも、それが分かったからと言って勝てるとは思わないことだよ!ゾロアーク!"わるだくみ"!」
イブラヒムに作戦を見破られても夜見は余裕を崩さず、"わるだくみ"を指示してゾロアークの特攻をぐーんと高めさせる
「特攻を高めてきたか…!一気に勝負を付ける気だな…!」
「そんな…!ただでさえ、こっちの攻撃を阻む程の威力だったのに、それが更に強力になったらどうすれば…!」
絶体絶命の危機にリゼは動揺しながらも逆転の一手はないかと思考を巡らせる
だが、リゼよりも先にその一手を思い付いたイブラヒムが声を掛ける
「リゼさん、俺に考えがある。たしか、エンペルトは"れいとうビーム"を覚えてたよな?」
「う、うん…」
「なら、俺の合図に合わせてマンムーの技に当てるよう指示してくれ…!」
「…っ!わ、分かった…!」
「助かるぜ!いくぞ、マンムー!ゾロアークに突っ込みながら"こごえるかぜ"だ!」
リゼの同意を得たところでイブラヒムは指示を出し、マンムーは"こごえるかぜ"を繰り出しながらヒスイ:ゾロアークへと突進する
「また"こごえるかぜ"〜?さっきので無駄だって分からなかったのかな〜?ゾロアーク!もう一度返り討ちにしちゃうよ!"ハイパーボイス"!」
イブラヒムを煽る夜見の指示で、ヒスイ:ゾロアークは先程よりも威力の高まった"ハイパーボイス"を繰り出す
「リゼさん…ッ!」
「うん!エンペルト!"こごえるかぜ"に向かって"れいとうビーム"!」
その時、イブラヒムの呼び掛けに合わせたリゼの指示で、エンペルトはマンムーが繰り出す"こごえるかぜ"に目掛けて"れいとうビーム"を放つ
次の瞬間、"れいとうビーム"は直撃した"こごえるかぜ"を凍り付かせ、マンムーとヒスイ:ゾロアークの間に分厚い氷の壁を作り出す
ヒスイ:ゾロアークの"ハイパーボイス"は氷の壁を容易く削っていくが、壊れた箇所はすぐにマンムーとエンペルトが継続して繰り出す"こごえるかぜ"と"れいとうビーム"で補修され、一向に攻撃は届かないでいた
「ウソでしょ…!?」
「よし、上手くいった!マンムー!"こごえるかぜ"を継続しながら氷の壁を押せ!リゼさんも引き続き頼む!」
「分かった!エンペルト!"れいとうビーム"!」
予想外の一手に夜見が驚くなか、マンムーはイブラヒムの指示で目の前に出来た分厚い氷の壁を自慢のパワーで押しながらヒスイ:ゾロアークへと迫る
更に追加の"こごえるかぜ"と"れいとうビーム"で削れた氷の壁をより分厚くしていく
「まさか、その氷の壁を盾にして…っ!?ゾロアーク!最大パワーで"うらみつらみ"!」
喉への負担が掛かるため持続的に繰り出せない"ハイパーボイス"を止め、夜見の指示に従ってゾロアークは"うらみつらみ"を繰り出す
マンムーによって押し迫る分厚い氷の壁とヒスイ:ゾロアークの最大パワーによる"うらみつらみ"が衝突し、"ドゴォォォンッッ!!!"と激しい衝撃音が空洞内に轟く
「ムゥゥゥ…ッ!!」
「エンペェェェ…ッ!!」
「ゾォアァァァ…ッ!!」
マンムー、エンペルト、ヒスイ:ゾロアーク…3体は唸り声を上げ、更に力を込める
ビキビキ…バコォォォォォンッッ!!!
そして、マンムーが押す氷の壁が残り約5mまで迫って来たところでヒスイ:ゾロアークがそれを打ち破った
「マンムー!"こおりのキバ"!」
だが、氷の壁は打ち破ってもマンムーの突進は止まっていない
"うらみつらみ"を最大パワーで繰り出し続けて疲弊したヒスイ:ゾロアークに、マンムーは"こおりのキバ"を繰り出す
「迎撃は間に合わない…!ゾロアーク!ジャンプして躱して!」
再び技を出すには時間がいると理解していた夜見は回避を指示し、ヒスイ:ゾロアークは疲弊した体に鞭を打ち、跳躍してマンムーの攻撃を躱す
「そうくるよな…!でも、空中だと身動きが取れなくなるそれは悪手だ…!」
「エンペルト!"渦纏うドリルくちばし"!」
イブラヒムがそう呟いた直後、"うずしお"と"ドリルくちばし"を合体させた技"渦纏うドリルくちばし"を繰り出す用意が整ったエンペルトが勢いよく飛び出し、逃げ場を失ったヒスイ:ゾロアークへ炸裂させる
「ゾアァァァ…ッ!?」
"渦纏うドリルくちばし"の直撃を受けたヒスイ:ゾロアークは大きな呻き声を上げ、空洞奥の壁まで吹き飛ばされて激突する
「やった…!」
「良い一撃が入った…!これは効いたろ…!」
「ゾロアーク…ッ!」
強烈な一撃を叩き込めたことにリゼとイブラヒムが拳を握って喜ぶなか、夜見はヒスイ:ゾロアークの下へ駆け寄る
「…っ!?」
そこで、あるモノが視界に入った夜見は目を見開き、足を止める
ゾロアークが激突した壁…その傍にあったメレシー達の巣穴が崩れていた
「ディア…?」
そして、その崩れた巣穴の中からメレシーとは異なるピンクのダイヤモンドを身に付けた、まるでお姫様のようなポケモン…"ほうせきポケモン":ディアンシーが怯えた様子で顔を覗かせていた
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
サイドン、リオル、ソウブレイズ
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
卯月コウ
手持ち:エースバーン、サーナイト
イブラヒム
手持ち:マンムー、コモルー、グソクムシャ
サンダース
フレン・E・ルスタリオ
手持ち:バシャーモ、パルスワン、ラッキー
ラトナ・プティ
手持ち:プテラ、カブトプス、トリデプス
夜見れな
手持ち:フーディン、マタドガス(ガラル)
クレベース(ヒスイ)、ゾロアーク(ヒスイ)
ダイケンキ?