「ディア…?」
「このポケモン…!やっぱり、ピンクのダイヤモンドの正体はアナタだったのね…!」
幻のポケモン:ディアンシー…その姿を視認した夜見は嬉々とした表情を浮かべて手を伸ばす
「「「「「メレメレェ〜ッ!」」」」」
その時、ディアンシーの身の危険を感じ取ったメレシー達がそうはさせまいと夜見に向かって突撃してくる
「も〜!邪魔しないでよ〜!ゾロアーク!"うらみつらみ"!」
エンペルトから受けたダメージの余韻に険しい表情を見せるも、夜見の指示を聞いたヒスイ:ゾロアークは起き上がり、メレシー達に"うらみつらみ"を繰り出す
「「「「「メレェ〜…ッ!?」」」」」
「ゾロアーク!今の内にその子を捕まえて!」
メレシー達を返り討ちにした隙に、ヒスイ:ゾロアークは夜見の指示に従って逃げようとするディアンシーを捕まえる
「ディア〜…ッ!」
「おい…!ゾロアークが掴み上げてるあのポケモンは何だ…!?」
「あれは幻のポケモン:ディアンシー…!昔読んだ書物で姿だけは見たことはあったけど…!ベルさんが隠したかったのはあのポケモンだったんだ…!」
「ディアンシー…!もしかして、あの子がピンクのダイヤモンドを…!?」
「いや、今は驚いてる場合じゃねぇ!助けねぇと!」
「そうだった…!エンペルト!"はがねのつばさ"!」
「マンムー!"こおりのキバ"!」
ディアンシーの存在に驚愕するも、リゼとイブラヒムはディアンシーを助けようと、すぐさまエンペルトとマンムーに指示を出し、ヒスイ:ゾロアークへ攻撃を繰り出させる
「そうはさせないよ!出ておいで、ダイケンキ!"ひけん・ちえなみ"!」
ディアンシーを捕まえるのに手一杯のヒスイ:ゾロアークに代わって、夜見は攻撃の指示と共に本来の姿とは異なる凶悪な風貌をしたヒスイ:ダイケンキを繰り出す
飛び出したヒスイ:ダイケンキは"ひけん・ちえなみ"による素早い剣戟でエンペルトとマンムーの攻撃を捌くと同時に、2体の懐へと技を炸裂させる
「エンペ…ッ!?」
「ムゥゥ…ッ!」
「エンペルト…ッ!」
「マンムー…ッ!」
ヒスイ:ダイケンキの"ひけん・ちえなみ"が直撃し、エンペルトは持ち堪えたが、マンムーはヒスイ:ゾロアークとのバトルのダメージが堪えていたこともあり、戦闘不能となってしまう
「くっ…!戻れ、マンムー!」
「あれがヒスイ:ダイケンキ…!なんだか凄く凶暴そう…!」
「あの見た目、本来の水タイプに加えて悪タイプも持ってそうだな…!いけ!サンダース!」
イブラヒムは戦闘不能となったマンムーを戻し、代わりに水タイプの弱点を突けるサンダースを繰り出す
だが、その直後…
「ダァス…ッ!?」
「サンダース…ッ!?」
飛び出したサンダースが地に足を着けた瞬間、その足下で小規模の爆発が発生してダメージを負ってしまう
「どういうこと…!?急にサンダースの足下で何かが爆発して…!」
「これは…"まきびし"だ…!でも、一体いつの間に…!?」
「ふふん!それはヒスイ:ダイケンキがさっき繰り出した技"ひけん・ちえなみ"の追加効果!攻撃後に相手の場を撒菱状態にするのだ!」
「攻撃しながら撒菱を撒くだって…!?」
ヒスイ:ダイケンキが扱う技"ひけん・ちえなみ"の持つ追加効果の詳細を聞かされ、アンジュは驚きの声を上げる
「ヒスイのポケモン…!厄介な技を持ってやがるな…!サンダース!"10まんボルト"!」
「エンペルト!"れいとうビーム"!」
イブラヒムの指示にリゼも続き、エンペルトとサンダースはヒスイ:ダイケンキへ同時に技を繰り出す
「ダイケンキ!"ドリルライナー"!」
迫る2体の技に対し、ヒスイ:ダイケンキは"ドリルライナー"を繰り出す
ヒスイ:ダイケンキは"ドリルライナー"でエンペルトとサンダースの技を容易く弾き返し、そのまま2体へ炸裂させる
「エンペルト…ッ!」
「サンダース…ッ!くそ…っ!電気タイプへの対策もバッチリか…!」
「あのダイケンキ、強い…!」
先程のヒスイ:ゾロアーク以上の実力を誇るヒスイ:ダイケンキにリゼとイブラヒムは表情を険しくする
だが、2人が諦めるつもりは当然なく、リゼは引き続きエンペルトで、イブラヒムはサンダースを交代して悪タイプに有利な虫タイプを持つグソクムシャを繰り出してバトルを続行する
「無理に倒そうとしなくていいよ〜!ダイケンキ!時間を稼ぐだけでいいからね〜!さて、今の内に逃走準備っと…!出ておいで!クレベース!」
ヒスイ:ダイケンキがエンペルトとグソクムシャを相手にしている間に、夜見はヒスイ:クレベースを繰り出す
「クレベース!"あなをほる"で逃走経路を確保!十分に掘れたら吠えて合図を送ってね!」
夜見の指示に従い、クレベースは"あなをほる"で逃走用の逃げ穴を掘り始める
(穴を掘り出した…!まさか、逃げる準備を…!?)
メレシー達を避難させていたアンジュは夜見の行動を目にし、その意図を素早く理解する
(マズい…!リゼとイブラヒムさんはヒスイ:ダイケンキの相手で手が離せない…!私がディアンシーを助けに行く…?いや、ゴルーグじゃヒスイ:ゾロアークの素早さに対応出来ない…!それにバトルするにしても派手で威力のある技が多いゴルーグじゃ、ディアンシーを巻き込む危険もある…!どうすれば…!)
リゼとイブラヒムがヒスイ:ダイケンキを押さえてるなら、自分が動くしかない
そう感じたアンジュはディアンシーを助けるための手立てを必死に考える
「…ッ!」
そんななか、険しい表情を浮かべる主人の姿を目にしたあるポケモンは1匹静かに覚悟を決めていた
「エンペ…ッ!?」
「グシャァァ…ッ!?」
「エンペルト…ッ!」
「グソクムシャ…ッ!」
ヒスイ:ダイケンキの"ひけん・ちえなみ"を食らい、エンペルトは戦闘不能になり、体力が僅かになったグソクムシャは特性の"ききかいひ"でイブラヒムのボールへと戻ってしまう
「クソ…ッ!ここまでレベルの差があるか…!」
「ダイケンキの技と剣捌きに阻まれて、こっちの攻撃が全く通らない…!」
「当然だよ!ダイケンキは私の手持ちの中で1番強いんだから!さあ、勝てないと分かったなら諦めてちょうだい!」
(そんなわけにはいかない…!でも、タイプ相性で不利を取ってるわけじゃないエンペルトで歯が立たないなら、他のポケモンでも勝ち目は…!)
(ディアンシーさえ助けることが出来れば、あとは全力であいつから逃げるだけでいい…!だが、ヒスイ:ダイケンキからその隙を突くには…!)
叩き付けられる力の差にリゼとイブラヒムは悔しい表情を浮かべながらも、2人はディアンシーをどうにか助けられないかと必死に思考を巡らせる
その時だった
ビキィ…ッ!
「「「「…ッ!?」」」」
何処かに大きな亀裂が入った音が洞窟内に響き渡り、その直後…
「ビパァァァッ!!」
「ゾア…ッ!?」
「ビッパ…っ!?」
ヒスイ:ゾロアークの足下から"あなをほる"で迫っていたビッパが飛び出して攻撃を炸裂させる
そして、不意を突かれて防御を取れなかったこと、エンペルト達とのダメージが響いていたことから、ヒスイ:ゾロアークはその攻撃で体勢を崩し、捕らえられていたディアンシーはその拘束から解放される
「ゾロアークがディアンシーを離したぞ…っ!」
「ナイスだよ!ビッパ!」
「ビパ!ビパビ!」
「ディア!」
ビッパの活躍にイブラヒムとリゼは声を上げ、ビッパは怪我はないかと心配してディアンシーに駆け寄り、その気遣いにディアンシーは感謝を表す
「くぅ〜〜…っ!よくもやってくれたわね〜〜…っ!悪い子にはお仕置きだよ!出ておいで、モルペコ!"オーラぐるま"!」
ヒスイ:ゾロアークを戦闘不能にさせられ、ディアンシーを奪い返された夜見は"にめんポケモン":モルペコを繰り出し、"オーラぐるま"でビッパに攻撃を仕掛ける
「ビパァ…ッ!?」
「ビッパ…っ!危ない…っ!」
"オーラぐるま"で迫るモルペコを前に動揺と恐怖で動けなくなるビッパにアンジュが叫ぶ
「ヤミラミ!"みがわり"!」
だが、モルペコの攻撃がビッパに届くことはなかった
攻撃が炸裂する瞬間、突然何者かの指示が聞こえたと思えば、2体の間に"くらやみポケモン":ヤミラミが飛び出し、"みがわり"を繰り出して代わりにモルペコの攻撃を受け止めた
そして、ヤミラミは反撃に"パワージェム"を放ち、それを受けたモルペコは夜見の下まで吹き飛ばされる
「あのヤミラミは…っ!」
「どうやら、間に合ったみたいだな!」
「…っ!?」
再び聞こえた声に一同が振り返ると、そこにはコーヴァスシティのジムリーダー:ベルモンドの姿があった
「ベルさん…!」
「3人共、待たせて悪かった!いけ!アーケオス!ビッパとディアンシーを頼む!」
リゼ達に一言詫びを入れ、ベルモンドは"さいこどりポケモン":アーケオスを繰り出し、ビッパとディアンシーの確保に向かわせる
「させないよ!ダイケンキ!"アクアブレイ…"!」
「いけ!ドラピオン!"ミサイルばり"!」
「お願い!バタフリー!"ぎんいろのかぜ"!」
リゼはバタフリー、イブラヒムは"ばけさそりポケモン":ドラピオンを繰り出し、それぞれの技でアーケオスを狙うヒスイ:ダイケンキを攻撃し、その行動を阻止する
「ダイィ…ッ!」
「ダイケンキ…っ!んもう…!諦めが悪い子達だね…!」
リゼ達がヒスイ:ダイケンキを食い止めているその隙に、アーケオスはビッパとディアンシーを強靭な足でガッシリと掴み、2体をアンジュとベルモンドの下へ連れ戻ってくる
「ビッパ…!あんな無茶して…!でも、無事でよかった…!お手柄だよ…!」
アンジュはビッパの危険な行動を咎めながらも、それによってディアンシーを取り戻せたことを褒めて抱き締める
「怪我はないか?ディアンシー」
「ディア〜!」
ベルモンドの優しい声にディアンシーはとびきりの笑顔で応え、彼の胸元へと飛びつく
「大丈夫そうだな。さあ、危ないから今はメレシー達と一緒にイブラヒム達の傍にいてくれ。アンジュさん、ディアンシーを頼む。ヤミラミ、お前も彼等に付いていてくれ」
「ヤミィ!」
「わ、分かりました…!」
「イブラヒム、リゼちゃん。後は俺に任せてくれ」
「は、はい…!」
「頼みます!」
ベルモンドはディアンシーをアンジュに預け、リゼとイブラヒムを退がらせて夜見とヒスイ:ダイケンキの前に立つ
「あちゃ〜、もう来ちゃったか。流石はジムリーダーさんだね」
「なに、街のトレーナー達の力もあってこそだ。さて、君があの噂のにじレジ団のトップか?」
「ううん、違うよ。私はリーダーを支える4人の幹部の1人」
「そうか。君の目的は鉱山の資源ではなく、ディアンシーみたいだが、その理由は何だ?」
「ディアンシーは凄く珍しいポケモンでしょ?だから私達にじレジ団が保護するの」
「保護?何故その必要がある?ディアンシーはメレシー達と共にこの鉱山で不自由なく暮らしている」
「今はね。でも、それもいつまで続くか分からないでしょ?人のエゴにいずれポケモン達はどんどん住処を追われてしまう。リーダーがそう言ってたし、歴史もそれを証明してるよ」
「…たしかに、人間の長い歴史の中、文明の発達と共に環境が変わり、絶滅したポケモンもいると聞く」
「そう。だから、私達は今を生きているポケモン達がそうならないように、より安全で末長く暮らせる場所に保護するの」
「なるほど、それは大層な大義だ。だが、目的がなんであれ、それでどんな手段も正当化されるわけじゃない。君達の行いは間違いだ」
「聞く耳は持ってくれないか〜」
「それはお互い様だろう?」
「ふふ、そうだね。じゃあ、話し合いはここまで。ディアンシーは強引にでも私達にじレジ団が貰っていくよ!」
「ダァァァイッ!!」
対話は決裂し、戦闘の意志を見せる夜見に呼応してヒスイ:ダイケンキが咆哮を上げる
「いいだろう!こちらも全力でいかせてもらう!いけ!バンギラス!」
ベルモンドも意を決し、"よろいポケモン":バンギラスを繰り出す
「出た!ベルさん最強の相棒、バンギラス!」
「あれがベルモンドさんのエースポケモン…!」
「たしかに、相当なレベルであることは一目見ただけで分かる…!でも、あのダイケンキはヒスイの個体であれ間違いなく水タイプ…!岩タイプのバンギラスでは相性が悪いけど…!」
アンジュはタイプ相性の不利を心配するが、当のベルモンドにそういった様子は見受けられなかった
「いくぞ!バンギラス!」
「バンギャァァァッ!」
リゼ達が見守るなか、ベルモンドと夜見のバトルが始まる
それと同時、バンギラスが咆哮を上げると共に洞窟内に突如として砂嵐が発生する
「これは…!」
「バンギラスの特性"すなあらし"…!フィールドの天候を砂嵐状態にする特性だよ…!」
と、驚くリゼにアンジュが解説する
「バンギラス!"ストーンエッジ"!」
先手を取ったのはバンギラス…ベルモンドの指示で"ストーンエッジ"を繰り出し、地中から勢いよく隆起する鋭利な岩がヒスイ:ダイケンキに迫る
「ダイケンキ!"アクアブレイク"!」
夜見の指示でヒスイ:ダイケンキは"アクアブレイク"を繰り出し、砂嵐の中、迫る"ストーンエッジ"を粉砕しながらバンギラスへと突っ込む
「バンギラス!"ワイドブレイカー"!」
「ダイケンキ!"ひけん・ちえなみ"!」
迎え撃つバンギラスの"ワイドブレイカー"に対し、ヒスイ:ダイケンキは"ひけん・ちえなみ"を繰り出す
両者の技が衝突する…かに思われたが、ヒスイ:ダイケンキはバンギラスの"ワイドブレイカー"を上手く受け流し、そのまま懐に飛び込んで"ひけん・ちえなみ"を炸裂させる
「バンギャァッ!」
「…ッ!」
しかし、攻撃を諸に受けたバンギラスは怯むことなく、即座に反撃として"かみくだく"を繰り出し、ヒスイ:ダイケンキはそれに少し驚く様子を見せるも素早く飛び退いて直撃を免れる
「流石はジムリーダーさんのポケモン。効果今一つの攻撃程度なんともないみたいですね」
「君のダイケンキもなかなかのものだ。砂嵐に少しも怯むことのないタフさもそうだが、俺のバンギラスのパワーに張り合えるだけでなく、攻撃を受け流すとはな」
「私のダイケンキは相手の技をいなし、捌いて、そこに出来た隙を逃さずに一撃を入れるバトルスタイルが得意だからね。でも、ちょっと拍子抜けだなぁ。ジムリーダーさんが相手だからもっと手強いかと思ったんだけど」
「ほう?それはどういう意味だ?」
「私のダイケンキのパワーとスピードがあれば、十分にバンギラスの攻撃を捌いて、回避することが出来る。つまり、あなたのバンギラスは私のダイケンキに手も足も出ないってことだよ」
ヒスイ:ダイケンキはバンギラスの"ストーンエッジ"を"アクアブレイク"のパワーで対応でき、接近戦での技の打ち合いはその卓越した戦闘技術によって攻撃を受け流すことが出来る
この事実から、夜見は自身の勝利を確信し、自信満々な笑みを浮かべながらそう言い放った
「なるほど、たしかに君の言っていることは正しい。まだ十分に体力がある君のダイケンキ相手では、俺のバンギラスの攻撃はまともに当たらないだろう」
ヒスイ:ダイケンキが万全の状態でない程に疲労していれば、こうも容易くバンギラスの攻撃を捌くことは出来なかっただろうと、夜見の発言をベルモンドはあっさりと肯定する
「そんな…!」
「くっ…!俺達がもう少しヒスイ:ダイケンキと渡り合えていたら…!」
苦戦を強いられるベルモンドとバンギラスの状況に、先にヒスイ:ダイケンキとバトルしていたリゼとイブラヒムは自分達の力不足を痛感し、悔しい表情を浮かべる
「ベルさん!太刀打ち出来ないなら、ヒスイ:ダイケンキの素早さに対抗出来るポケモンに交代するか、ここは無理しないでディアンシーの安全を確保するためにも退いた方が…!」
「問題ない。たしかに、あのダイケンキは強いが、勝てない相手じゃない」
と、ベルモンドは忽然とした態度でアンジュにそう告げる
「お〜!攻撃が通らないと解ったのに随分と自信満々だね〜!でも、悪いけど終わりにさせてもらうよ!ダイケンキ!"せいなるつるぎ"!」
夜見はバンギラスに効果抜群となる格闘タイプの技"せいなるつるぎ"を指示する
ヒスイ:ダイケンキの頭剣が聖なる力を帯びた長剣となり、その一刀をバンギラスへと力強く振り下ろす
「えっ…!?」
その時、予想だにしていなかった光景に夜見は思わず驚きの声を漏らした
なんと、バンギラスは迫るヒスイ:ダイケンキへ迎撃せず、その攻撃を正面から受け止めると同時にヒスイ:ダイケンキの体をガッチリと掴み捕らえた
「攻撃をいなされ、捌かれるなら、下手にこちらから攻めるのではなく、より確実に攻撃を当てられる状況を作り出せばいい!」
ベルモンドが取った手は捨て身での拘束…相手の攻撃を受け止め耐え、接近してきたその瞬間を確実に捕らえることだった
「なんて強引な…!"せいなるつるぎ"は格闘タイプの技だよ…!?岩・悪タイプのバンギラスには超効果抜群…!戦闘不能の致命傷になりかねないのに…!」
「なに、俺は信じてたからな。バンギラスなら耐え切ってくれると。さあ、かましてやれ!"はかいこうせん"!」
その体がボロボロになりながらもトレーナーの信頼に応えたバンギラスは渾身の"はかいこうせん"を繰り出し、炸裂させる
「ダイィィ…ッ!!?」
"はかいこうせん"を零距離からまともに受けたヒスイ:ダイケンキは吹き飛ばされ、洞窟の壁へと叩き付けられる
「ダイケンキ…っ!?」
「ダ…ダイィ…ッ!」
夜見が駆け寄るなか、ヒスイ:ダイケンキは痛みに苦しむ唸り声を上げながら、ボロボロになった体を起こす
「流石に一撃じゃ倒せないか。だが、ダメージはかなり大きいはずだ。このまま足掻いても勝ち目はない。大人しく投降してくれ」
「ぐぬぬぬ…!」
ベルモンドの指摘通り、今の一撃で一気に劣勢に追い込まれた夜見は悔しく唸る
「クレェェェェェッッ!!!」
だが、丁度その時に逃げ穴を掘っていた夜見のヒスイ:クレベースの咆哮がその先から轟いた
「おっ…!グッドタイミング、クレベース!ディアンシーを確保出来なかったのは残念だけど、本命が上手くいってれば問題なし!それじゃあ、逃げさせてもらうね〜!」
"とうっ!"と、掛け声と共にヒスイ:ダイケンキ達を連れて夜見はヒスイ:クレベースが掘った穴の中へと飛び込む
「あっ…!逃げられちゃう…!」
「構わなくていい、リゼちゃん!あの先が何処に繋がってるかも分からない以上、深追いは危険だ!それに、ここには傷付いたポケモン達もいる!まずはその子達の治療が優先だ!」
「た、たしかにそうですね…。ありがとうございます、ベルモンドさん」
ベルモンドの冷静な判断に夜見を追おうとした足を止め、リゼは皆と一緒にその場で傷付いたポケモン達の治療に取り込んだ
*
「よし、この子で最後だ」
「「「「「メレメレ〜!」」」」」
「"ありがとう"って、言ってるみたい!」
「これだけ元気なら大丈夫そうだね」
数十分後、傷付いていたメレシー達の最後の1匹の治療が終わり、メレシー達は飛び跳ねながらリゼ達に感謝を伝える
「大きな怪我をした奴が1匹もいなくてよかったっすね」
「ああ。これも君達が早く駆け付けてくれたおかげだ。改めて礼を言わせてくれ。ディアンシーとメレシー達をにじレジ団から守ってくれて、ありがとう」
「ディア!」
メレシー達に続き、リゼ達の奮闘にベルモンドとディアンシーも感謝を伝える
「それにしても、ベルさんが採掘していたピンクのダイヤモンドの出処が幻のポケモンだなんてな」
と、一段楽したところでイブラヒムがディアンシーについて触れる
「このディアンシーはベルモンドさんのポケモンなんですか?」
「一応はそうだな」
「一応…?」
「ディアンシーは勝手に俺のボールに入ってきたんだ。だから俺の意志でゲットしたわけじゃない」
「そういうことなんですね…!でも、ポケモンの方から好意を向けてもらえるなんて素敵ですね!」
「まあ、気持ちとしてはたしかに嬉しいんだが、困ったこともあってな」
「どういうことっすか?」
「ディアンシーは生まれてからずっとこの鉱山で暮らしてきたからか、外の世界に強い興味を持っている。だが、同時に外の世界には自分を脅かす危険があることも知っている」
自身の足に擦り寄るディアンシーの頭を撫でながら、ベルモンドは話を続ける
「昔、様々なポケモンが住処にしていたこの鉱山を資源豊富な場所としてしか見ず、好き勝手に採掘していた奴等から、俺が街のジムリーダーとなることでその権威を駆使して鉱山の所有権を勝ち取ったんだ」
「もしかして、その人達から鉱山を守ったから、ベルさんはディアンシー達から好かれることに…?」
「ああ。それがきっかけか、俺はディアンシーに懐かれると同時に外の世界に出る上で俺が頼りになる存在と思われたんだ」
「それでベルモンドさんのポケモンに…!」
「それから幾度となく外の世界へ連れ出すようせがまれてるんだが、それが難しくてな」
「それは…ディアンシーが幻のポケモンだからっすか…?」
「それもあるが、1番の理由はこの鉱山の奥深くに生息しているポケモン達とコーヴァスシティの人々にとって、ディアンシーの存在が命綱になっているということだ」
「命綱…?それに街の人達にも関係してるってどういう…?」
「ディアンシーには、メレシー達と共に暮らす国を維持するために必要なエネルギー源となる巨大なダイヤモンド…"聖なるダイヤ"を生み出す力がある」
「"聖なるダイヤ"…っ!?実在するんですか…!?」
ベルモンドの口から出た"聖なるダイヤ"…その単語にアンジュが声を荒げて驚く
「アンジュ、知ってるの…!?」
「あくまで言い伝え程度には…!ディアンシーには、ダイヤモンドを創り出す他に鉱山を活性化させる膨大なエネルギーの塊である"聖なるダイヤ"を生み出す力があって、その恩恵を授かった鉱山は尽きることのない資源で満ち溢れると…!もしかして、それがこの鉱山に…!?」
「ああ、地下深くに存在する。この鉱山はディアンシーが生み出す"聖なるダイヤ"の力で半永久的に豊富な資源を採掘することが出来るんだ。そして、"聖なるダイヤ"が失われると鉱山は瞬く間に滅ぶことになる」
"聖なるダイヤ"には、ポケモン達が暮らすために必要な環境の修復や質の良い資源を生成する力がある
ただし、"聖なるダイヤ"が失われれば当然その恩恵も消失し、鉱山は急速に廃れてしまう
"聖なるダイヤ"が無くては既に廃れていた鉱山からそれが失われれば、そこで暮らすポケモン達や鉱山の採掘物で成り立っているコーヴァスシティにも大きな影響が出てしまうのだ
「その"聖なるダイヤ"のために、ディアンシーは一生ここから出られないってことっすか…!?」
とは言え、ディアンシーがその枷に縛られて自由を奪われるのはあまりにも可哀想だった
ディアンシーへの同情からイブラヒムが声を上げるが、ベルモンドは首を横に振った
「"聖なるダイヤ"には寿命があって、それが切れる前に新たな"聖なるダイヤ"を生み出す。それ以上の役目はディアンシーにはない」
「じゃあ、"聖なるダイヤ"の寿命に余裕がある内はディアンシーも自由ってことですよね?なら、外に連れ出すことに大きな問題は…」
「問題は"聖なるダイヤ"を狙う連中が現れること。そして、それが失われた時にすぐに新たな"聖なるダイヤ"を創り出す必要があることだ」
ディアンシーを連れ出せない最大の理由…それを聞いたリゼ達はようやく事の重大さを理解した
「今話した通り、"聖なるダイヤ"は絶大な力を有している。それを自分達の利益のために奪おうと考える輩は少なからずいるだろう。なんなら、それを創り出せるディアンシーが狙われるだろう」
「それにディアンシーを外に連れ出せば、より多くの人達にその存在を露見させてしまう可能性もある…!」
「ああ。尤も、今回にじレジ団にディアンシーの存在が露見してしまったから、奴等を情報源にディアンシーと"聖なるダイヤ"を狙ってくる者が今後現れるかもしれない。だから、俺はディアンシーの願いを叶えてやることは出来ない。俺がディアンシー達と街の人達を守るしかないんだ」
コーヴァスシティのジムリーダーとなり、ディアンシー達と鉱山を必要とするポケモン達と街の人々のためにと抱いた決意を改め、ベルモンドは拳をグッと握り締める
「悪いな、少し重い話をしてしまって。さて、街の方も心配だ。一度戻るとしよう」
「ディア…!」
一先ず脅威を退けた鉱山を一度後にし、街へ戻ろうとベルモンドが提案するなか、ディアンシーが不安そうな様子で呼び止める
「大丈夫だ、ディアンシー。またすぐに戻ってくる。ヤミラミ!念のため、俺が戻ってくるまでディアンシー達を頼んだ!お前も頼む!ギガイアス!」
ベルモンドはディアンシーにそう告げ、ヤミラミと新たに繰り出した"こうあつポケモン":ギガイアスを警護として残し、リゼ達と共に鉱山を後にして一先ずコーヴァスシティへと戻っていった
*
「街の方も片付いたみたいですね」
「俺が駆け付けに行った時には、大半のにじレジ団を無力化していたからな」
リゼ達が鉱山を下りてコーヴァスシティに着いた頃、街中には痛々しいバトルの痕跡が残っているものの、にじレジ団の影は何処にもなく、喧騒も治まっていた
「おっ、博物館が見えてきた…!って、あそこにいるのはウヅコウか?」
博物館の目の前まで帰ってきたところで、イブラヒムがその出入り口で立っていたコウを見つける
「お前ら…!無事だったみたいだな…!」
「ああ、ベルさんのおかげでな」
「コウさん、そっちは大丈夫だった?」
「それが大変なんだ…!俺達が睨んだ通り、博物館にもにじレジ団が来てたんだ…!」
互いの無事を確認するや否や、コウの言葉にリゼ達は目を見開く
「やっぱり、砂漠にある古代の遺跡と関係があるプレートを狙って…!?」
「ああ…!でも、プレートはなんとか俺とフレン達で守り抜いた…!」
「そうだったんだ…!あれ…?そういえば、フレン達は何処なの…?」
「それが、奴等の目的はプレートだけじゃなかったんだ…!奴等は博物館に保管されてあるポケモンの化石も狙ってて、それを盗まれたことに気付いたフレン達は奴等を追ってメイフ砂漠へ行っちまったんだ…!」
「「「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!?」」」
「3人だけでにじレジ団を追ったのか…!?なんて無茶な…ん…?なんだ…?街の人達の様子が…」
コウからフレン達のことを告げられてリゼ達が大声を上げて驚くなか、ベルモンドは急に周囲の人達がある方向に視線を向け、驚愕、恐怖といった表情を浮かべていることに気付く
「え…?みんな、急にどうし…コウさん…?」
「お、お前等…!アレ…っ!」
ベルモンドの指摘でリゼ達も周囲の異変に気付くなか、街の人達と同じ方向を向いていたコウも急に様子が変わり、彼が声を震わせながら指差した方へリゼ達も視線を向ける
「えっ…!?」
「嘘…っ!?」
「あの穴は…!まさか噂に聞く…!?」
「ウルトラ…ホール…っ!!?」
メイフ砂漠の遠く上空に現れた穴…ウルトラホールを目にしてリゼ達も街の人達同様に驚愕を露わにするなか、過去に一度それを見たことのあるイブラヒムは心臓を締め付けられるほどの嫌な予感を感じた
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
サイドン、リオル、ソウブレイズ
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
イブラヒム
手持ち:マンムー、コモルー、グソクムシャ
サンダース、ドラピオン
夜見れな
手持ち:ダイケンキ(ヒスイ)、モルペコ、フーディン
マタドガス(ガラル)、クレベース(ヒスイ)、ゾロアーク(ヒスイ)
ベルモンド・バンデラス
手持ち:バンギラス、ディアンシー、ヤミラミ
セキタンザン、ギガイアス