ドサッ!ドサッ!
「あいたたた…!メリー…!りりむさん…!大丈夫…!?」
「うん…。なんとか…」
メイフ砂漠地下迷宮…にじレジ団とウルトラビースト:フェローチェとのバトルの最中に、野生のカバルドン達が作り出した砂地獄によってここへ落とされたフレンは共に来たメリッサとりりむの安否を確認する
「あれ…!?りりむさんは…!?」
「見当たらないね…。もしかすると、砂地獄に呑まれた時に逸れちゃったのかも…」
「大変…!急いで探さないと…!」
りりむの返事が無かったことで、フレンは彼女がこの場にいないことに気付き、すぐさま探しに行こうと立ち上がる
「……」
「…!メリー…?大丈夫…?」
だが、何処か上の空な様子で立ち尽くすメリッサが気になり、フレンは心配そうに声を掛ける
「あっ…。う、うん…。大丈夫…」
「ねぇ、メリー…?さっきもボッーとしてたけど、何処か具合が悪かったりしない?何かあるなら遠慮しないで…」
妙にはっきりとしない、何かはぐらかそうとしている様子のメリッサをフレンが問い詰めようとしたその時だった
ストンッ…!
「「…っ!!」」
何かが地に着いた音が迷宮内に響き渡る
そして、その音はフレンとメリッサにとって、自分達を脅かす恐怖の音に聞こえた
「フェロッ…!」
「…っ!?メリー…っ!!」
音の正体が発した声が僅かに聞こえた瞬間、危険を察知したフレンはメリッサへ飛び付き、その勢いで2人して地面へと倒れ込む
ドゴォン…ッ!
直後、丁度メリッサが立っていた辺りを何かが通過し、その先の壁へと衝突して大きな亀裂を入れた
(今の鳴き声にこの速い攻撃…っ!?まさか…っ!)
突然、自分達を襲ってきたモノ
その正体に思い当たったフレンの悪い予感は的中した
「フェロ…ッ!」
メイフ砂漠で突如開いたウルトラホールから現れた2体のウルトラビースト:フェローチェ…その内の1体だった
「りりむさんを探さないといけないこんな時に…!出てきて!バシャーモ!"ブレイズキック"!」
悪態をつきながら、フレンはバシャーモを繰り出して"ブレイズキック"を指示する
ボールから飛び出たバシャーモは一直線にフェローチェへと迫り、得意の"ブレイズキック"を放つ
「フェロ…ッ!」
「バシャ…ッ!?」
「えっ…!?」
フェローチェは素早く軽い動作で難なくバシャーモの"ブレイズキック"を避ける
そして、その直後の行動がフレンとバシャーモを驚愕させた
「…っ!?」
フェローチェは"ブレイズキック"を躱した直後、バシャーモに反撃するのではなく、何故かメリッサへ向かって突っ込んで来た
「メリー…っ!!」
迫るフェローチェに臆し、無駄だと理解しながらも身を守ろうと反射的に手を前に出して身構えるメリッサにフレンが叫び駆け出す
「パレェェスッ!!」
間に合わない…フレンがそう思ったその時、メリッサが持つボールの1つが勝手に開き、そこから色違いの"いわやどポケモン":イワパレスが飛び出し、その身を以ってフェローチェの"とびひざげり"を受け止めた
「バシャッ!」
「…ッ!」
イワパレスが攻撃を受け止めたその隙に、バシャーモが再び"ブレイズキック"を繰り出すが、フェローチェは既の所で跳躍してそれを躱した
「よ、よかったぁ…っ!」
「パレェスッ!」
「イワパレス…!ありがとう、助かったよ…」
身を挺してくれたイワパレスにフレンは安堵し、メリッサが感謝を告げる
「フェロ…」
「バシャァ…ッ!」
「それにしても、何であのポケモンはいきなりメリーを襲ったの…?」
「分からない…。分からない…けど…」
(あのウルトラホールと僕には何か特別な関係がある気がする…。そして、多分それがあのポケモンが僕を狙ってくる理由…)
直感的に、メリッサはフェローチェに襲われる理由が自身とウルトラホールとの間に何かしら関係があるからではと推測する
(フレンと2人がかりで挑んでも、あのポケモンに勝てるか分からない…。りりむちゃんのこともあるし、もしこの予想が当たってるならフレンを逃がせるかもしれない…!)
「イワパレス…ちょっと耳を貸して…」
「パレェ…?」
そして、メリッサはフェローチェが自身を狙ってきているという状況を利用して、あることを実行する決意を固め、イワパレスに耳打ちする
「パレェ…ッ!?」
「メリー…?イワパレスと何を…?」
「お願い…!やって…!イワパレス…!」
「…ッ!パァァレェェェス…ッ!!」
フレンの呼び掛けには応じず、メリッサは必死の形相で指示を出す
イワパレスは苦渋の表情を浮かべながらもその指示に応え、繰り出した"がんせきふうじ"で岩を巧みに操って、フレンとバシャーモを囲み閉じ込める
「メリー…っ!?一体何を…!?」
「フレン!あのポケモンは僕が引きつける!その間にりりむちゃんを探しに行って!」
「何を言って…!?ちょっと待って…!メリー…っ!!」
フレンの制止を振り切り、メリッサはイワパレスと共に迷宮内に幾つかある通路の1つへ向かって走り出す
「フェロ…ッ!」
「そうだよ…!僕はこっち…!イワパレス!」
通路へと駆け込んだメリッサはフェローチェが自分達を追いかけて来ていることを確認すると再びイワパレスへ攻撃の指示を飛ばし、イワパレスは"がんせきふうじ"を繰り出す
フェローチェはそれをひらりと躱すが、外れた"がんせきふうじ"は通路の出入り口天井に直撃し、それによって崩れた瓦礫が通路を塞ぐこととなった
(よし…!これであのポケモンがフレンの方へ行くことはない…!あとは僕だけでなんとか…!)
フェローチェの脅威からフレンを守るため、メリッサは自身が囮となることを選んだ
ボゴォォォンッ!
直後、バシャーモが繰り出す強烈なキックでフレンは岩の囲いから抜け出した
「待って…!メリー…!バシャーモ、お願い…!」
自ら囮になったメリッサを追うため、フレンはバシャーモに通路を塞ぐ瓦礫を破壊するよう頼む
「バシャッ!シャッ!シャァッ!」
だが、通路を塞ぐ瓦礫は相当に厚く、バシャーモが何度攻撃してもそう簡単には破壊出来そうになかった
「バシャーモ、頑張って…!」
「ダグダ…!」「サン…!」「サダイ…!」
「…っ!?」
瓦礫を破壊するべく攻撃し続けるバシャーモを見守るなか、フレン達の周囲にダグトリオやサンドパン、サダイジャ等の野生ポケモン達が敵意を持って集まってくる
「あのダグトリオ…!もしかして、さっき私達を砂地獄に巻き込んだ…!」
「サンッ!」
「…っ!出てきて、ニューラ!"こごえるかぜ"!」
目の前に現れたダグトリオ達が先程地上で遭遇した群れだと分かるや否や、共に現れた群れのサンドパン達が"ブレイククロー"で一斉に襲い掛かかってくる
フレンは咄嗟に"かぎづめポケモン":ニューラを繰り出し、"こごえるかぜ"で迎撃させてサンドパン達を退かせる
「お願い、話を聞いて…!私はあなた達の縄張りを荒らすつもりも戦うつもりもないの…!」
「ダグゥ…ッ!ダグダ…ッ!」
フレンはダグトリオ達に訴え掛けるが、身を守るためとは言え、襲って来たサンドパン達を攻撃してしまったことから聞く耳を持ってはもらえなかった
「バシャッ!」
「ニューラッ!」
「早くメリーを追い掛けないといけないのに…!メリー…っ!!メリィィィ…っ!!!」
避けられない戦闘によってメリッサを追い掛けることを許されず、フレンは悲痛な叫び声を迷宮内に響かせた
*
「お〜〜〜い!みんな何処〜〜〜!?」
迷宮内…フレン達とは別の場所に辿り着いた椎名は共にいたにじレジ団の団員達と逸れてしまい、呼び掛けながら彷徨っていた
「全然反応がない…。一体何処にいるんだよ…。で…?いつまで付いてくるつもりなん?」
途方に暮れるなか、椎名は唯一自身と同じ場所に辿り着き、そこからずっと後ろを付いてくる1人の少女にぶっきらぼうに声を掛ける
「そ、そんなこと言わないでよ、しぃしぃ…。りりむ達、仲間でしょ…?」
椎名の後ろを付いてくるのはフレン達と逸れてしまったりりむだった
「仲間ならどうして私達の邪魔をしたんだよ!お前が追いかけて来なければ、あの2人が私達に追い付くこともなかったのに!」
「あ、あれはフレン達が勝手に…。それに、りりむはただしぃしぃに聞きたいことがあって…」
「聞きたいことぉ…?」
不機嫌な様子で椎名はりりむに聞き返す
「ねぇ、しぃしぃ…。なんで泥棒なんてしたの…?それに街の人達を襲うなんて…」
「そんなの、私達の目的のために決まってるやん。忘れたんか?」
「ポケモン達を保護するため…だよね?でも、なんで化石を…?」
「…化石ポケモンは本来この世界にいてはいけないポケモンだから、ってリーダーが言ってた。今の世界で甦った化石ポケモン達にとって生きるために最適な場所は少ないんだよ。仮に暮らせたとしても、元々そこで暮らしてた野生のポケモンや環境に悪影響を与えかねないって」
「じゃあ、化石を盗もうとしたのは…」
「化石ポケモンと今を生きてるポケモン達…そのどっちもが傷付かないためには化石ポケモン達が復元されるのを阻止した方がいい。だから復元されないように盗もうとしたってわけ」
「そうだったんだ…。でも、せっかくまた生きられるチャンスがあるのに可哀想…」
発達した技術によって再びこの世を生きることが出来るというのに、それによって化石ポケモン自身と他のポケモン達に様々な問題が生じてしまう
その悲しい現実にりりむは心の底から気の毒に思った
「それもこれも、あたし等とは違う奴等のせいだよ。化石ポケモンに限った話じゃない。弱いから、性格に難があるから、生活に不都合な生態系をしているから。そんな理由で人間はポケモンを簡単に見限る。りりむにも思い当たるところがあったから、にじレジ団に入るって決めたんやろ?」
「うん…」
「だったら、あたし等の活動に協力してよ」
「でも…」
と、りりむは口籠る
椎名もりりむも、過去にポケモン達が不当な目に遭う光景を目にしてきており、そこへ手を差し伸べてきたリーダーと呼んでいる者の勧誘を受けて にじレジ団に入団した
だが、りりむはにじレジ団に入団してからまだ日は浅く、その活動に今回のような悪事と見て取れるものまであるとは知らなかった
「りりむがしぃしぃ達に協力したら、コウ君達と戦わないといけないんでしょ…?それは嫌だな…」
椎名の話は理解していた。ポケモン達を助けるためには、時に世間から悪と見られる行動も起こさなければならないと
そして当然、それを実行すれば反発する者達と激突することになる
コウ達と出会う前ならば、その覚悟が出来ていたかもしれない
だが、りりむはコウとの旅で自分達と同じくポケモンを大切にしている人達も沢山いることを知った
ポケモン達のため、にじレジ団の思想に共感し協力したい気持ちと、それによってコウ達と敵対したくない気持ち
相反する2つの気持ちのどちらを取るか、りりむは答えを決められなかった
「だって、コウ君はりりむ達が嫌う人達とは違うんだよ…?フレンやメリッサ、イブラヒムだって…」
「そんなことは分かってる。あたし等みたいにポケモンのことをちゃんと想ってる人がいるってことは。でも、ああいう奴等はあたし等と違って、強引なやり方に抵抗があるんだよ」
"それに…"と、椎名は言葉を続ける
「あたし等にじレジ団の最終目標は世界の在り方を変えるものだから。そもそも受け入れてくれる奴はそれほど多くないんだよ」
「そういえば、りりむ、まだその最終目標…?がどういうものなのか聞いてない…。りりむ達のリーダーはポケモン達のために世界をどうするつもりなの…?」
「教えないよ。今のりりむを信用は出来ない」
入団時に大雑把に伝えられたにじレジ団の目的を改めて問うりりむだったが、椎名はそれを冷たく拒否した
「じゃあ、どうしたら教えてくれるの…?」
「そんなの、あたし等にじレジ団の活動に協力してくれることに決まってる。でも、答えが出せないんやろ?」
「うん…」
そう簡単には答えを決められず迷うりりむに、椎名は"はぁ…"と溜め息を吐いた
「まあ、もう一度よく考えるんやな。新しく出来たお友達との友情を取るか、ポケモン達が平穏に暮らせる世界の実現を取るか。言っとくけど、あまり時間はないからな」
「分かっ…!?」
後ろを振り向いて椎名が忠告したその時、りりむは言葉を詰まらせて表情を強張らせた
「な、なに…?そんな怯えた顔して…ひぃっ…!?」
「カバァ…ッ!」「ワルビィ…ッ!」「ズルゥ…ッ!」
りりむの表情に疑問を抱くなか椎名が前を向くと、そこにはカバルドンやワルビル、ズルズキン等の野生ポケモンの群れが敵意を持った様子で立ち塞がっていた
「し、しぃしぃ…!あのカバルドン達ってもしかして…!」
「さ、さっき上であたし等を襲ってきた奴等よな…?ま、まさか…まだあたし等に怒って…?」
「カバァァァッ!!」
「「ひぃぃぃぃぃ…っ!!?」
カバルドン達が轟かす怒りの咆哮に、椎名とりりむは揃って悲鳴を上げて逃げ出した
*
「着いたぞ。ここが砂漠の地下迷宮に繋がる古代の遺跡だ」
アンジュのゴルーグの背中に乗り、フレン達が砂地獄に呑まれた場所から更に東へ飛行すること数分…リゼ達は地下迷宮に繋がる唯一の場所である古代の遺跡に到着した
「さて、ここからフレン達を探しに行くわけだが、彼女達があの砂地獄に呑まれて地下迷宮の何処に辿り着いたか、逸れず一緒にいるかも分からない」
「それに、にじレジ団も砂地獄に呑まれて地下迷宮にいるかもしれない…」
「そうだ。だから、俺達としては一刻も早く孤立してるフレン達を探し出さなければならない。そこで、ここは二手に分かれて行動しようと思う」
「でも、分かれて行動したらもう一度集まるのも大変なんじゃ…」
「そこは考えがある。出てこい、ダイノーズ!」
リゼの心配にベルモンドはそう答えると、"コンパスポケモン":ダイノーズを繰り出す
「一方の組にダイノーズが操るユニット:チビノーズを同行させる。そうすれば、ダイノーズ本体が発する磁力を頼りに合流出来る」
ダイノーズ本体の周りを浮遊する3つの小さなユニット…通称チビノーズ
それらを利用することで迷宮内で離れ離れになっても再び合流することが出来ることをベルモンドはリゼ達に説明する
「流石はベルさん、用意周到ですね」
「じゃあ、あとはどう分かれるかですね」
「なら、俺とウヅコウがチビノーズを連れて行く。リゼさん達はベルさんと一緒に行動してくれ」
「分かった。2人共、気をつけてね」
「そっちもな」
ベルモンドの説明に納得がいくと、イブラヒムの提案で組み合わせが決まり、一同はフレン達を見つけるため迷宮内へと足を踏み入れた
*
「フェロッ!」
「来るよ…!スピアー!"ミサイルばり"!イワパレス!"がんせきふうじ"!」
フレンを危険に巻き込ませまいと、自ら囮となったメリッサはスピアー、イワパレスと共にフェローチェとの追走劇を繰り広げていた
足の速いフェローチェ相手にメリッサはスピアーとイワパレスの弾幕を張れる技で牽制しつつ、周囲の岩壁を破壊しながら動きの制限を狙いながら逃げ続けていた
(攻撃の余裕は無くせてるけど、その分こっちの攻撃と妨害を避けることに集中してる…!このままだといずれ…!)
あれからフェローチェは攻撃の手を止め、スピアー達の攻撃とそれによる瓦礫の妨害等の回避に専念していた
だが、攻撃の手を止めたことで逆に追うことに意識を集中させたことから、フェローチェは着実にメリッサとの距離を縮めていた
そのことにメリッサは焦燥と危機感を募らせるが、予想よりも早く絶望は彼女に追いついた
「フェロッ!」
「スピィ…ッ!?」
「パレェ…ッ!?」
迫り来る弾幕を抜けたフェローチェは一気に加速して距離を詰め、スピアーに"トリプルアクセル"を、続けて間髪入れずにイワパレスへ"とびひざげり"を炸裂させる
「スピアー…っ!イワパレス…っ!」
「フェロ…ッ!」
「…っ!?」
メリッサは吹き飛ばされたスピアー達の下へ駆け寄るが、そこへ目掛けてフェローチェが"とびひざげり"を繰り出し、"もうおしまいだ…!"と攻撃を覚悟した彼女は恐怖のあまりに目を瞑った
「オーロンゲ!"リフレクター"!」
だがその時、男の声と共にオーロンゲがメリッサとスピアー達の前に飛び出し、"リフレクター"を展開してフェローチェの"とびひざげり"を受け止めた
「えっ…!?」
「そこのお前、怪我はないか?」
突然のことに驚くなか、メリッサは背後から声を掛けられて振り返ると、そこにはオーロンゲのトレーナーと思われるギャングのような装いをした大柄な男が立っていた
「だ、誰…?」
「この迷宮で調べものをしている、ただの通りすがりだ。それより…」
「フェロ…ッ!」
「ウルトラビーストのフェローチェか。先程感じた空間の妙な震えの原因はこいつだったか」
「おじさん…あのポケモンを知ってるの…?」
「まあな。非常に珍しい上に強いポケモンだが、安心しろ。オーロンゲ!」
「ロンゲェッ!」
男はメリッサの問いに曖昧な返事をし、オーロンゲと共にフェローチェに対峙する
「フェロッ!」
「来るぞ!"どげざつき"!」
突っ込んで来るフェローチェに対し、オーロンゲは男の指示の下、土下座の構えを取って油断を誘い、特徴的な剛毛の髪を勢いよく突き出して攻撃する技"どげざつき"を繰り出す
何本もの髪で襲い掛かるが、フェローチェはその全てを悉く躱して"とびひざげり"を炸裂させる
「ロン…ゲェッ!」
"とびひざげり"を受けたオーロンゲは押し飛ばされるが、"リフレクター"のおかげで大きなダメージにはならなかった
「流石はパワーとスピードに優れたポケモンだ。"リフレクター"があるとは言え、そう長くは持ち堪えられん。早急に仕留めねばな…オーロンゲ!」
フェローチェの力量を把握した男は少々強引な手を使ってでも勝負を付けるべきと判断し、名を呼ばれたオーロンゲはそれだけで男の意向を察してコクリと頷き返した
「フェロ…ッ!」
睨み合うこと数秒…再びフェローチェが仕掛け、"とびひざげり"を繰り出す
「オーロンゲ!髪を使って受け止めろ!」
男の指示に従い、オーロンゲはフェローチェの"とびひざげり"に対して、自身の髪を何重にも束ねた盾のような防御膜を張る
ドム…ッ!
「フェロ…ッ!?」
クッションの役割を果たした髪の防御膜はフェローチェの"とびひざげり"を受け止めると共に髪に沈んだ脚を絡め取って捕えることに成功した
「これでこっちの攻撃は避けられないな。オーロンゲ!"ソウルクラッシュ"!」
脚が沈んだ髪の防御膜から抜け出そうと必死に踠くフェローチェ…その胴体へオーロンゲの強烈な"ソウルクラッシュ"が炸裂する
「フェロ…ッ!!?」
フェローチェの華奢な体は勢いよく吹き飛ばされ、"ボゴォォォンッ!!!"と大きな音を立てて迷宮内の壁へと激突した
「す、凄い…!」
「さて、悪いが捕獲させてもらうぞ。お前達ウルトラビーストを野放しには出来ないからな」
自分達が苦戦したフェローチェに強力な一撃を食らわせてみせた男とオーロンゲのバトルにメリッサが驚嘆するなか、男はウルトラビーストの捕獲用に設計された特殊なボール:ウルトラボールを構える
「…ッ!」
「…!」「…っ!?」
だが、大ダメージを受けたはずのフェローチェは意識を取り戻した瞬間に飛び起きると、すかさず背を向けて迷宮の奥へと逃げていった
「…まだそんな力があったか」
(フェローチェは能力が攻撃とスピードに特化している分、防御面は脆い。オーロンゲの一撃で瀕死寸前まで弱っているが、奴が回復技を覚えているならここで逃がしてしまうのは厄介だな)
"だが…"と、想定外のフェローチェのタフさに少しばかり驚くと共に今後の事態を懸念するなか、男は後ろのメリッサに目をやる
「スピアー…!イワパレス…!大丈夫…!?」
(…流石に置いていくわけにはいかんな)
手持ちのポケモンが傷付いているメリッサを置き去りには出来ず、男は逃げたフェローチェを追うことを諦めた
「見ての通りフェローチェは逃げた。一先ずは安心していい。傷付いたポケモン達のことは俺が看てやろう」
「あ、ありがとうございます…」
「なに、気にするな。当然のことをしているだけだ」
男はメリッサの下へ寄り、傷付いた彼女のスピアー達の手当てに取り込んだ
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
サイドン、リオル、ソウブレイズ
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
フレン・E・ルスタリオ
手持ち:バシャーモ、パルスワン、ラッキー
フライゴン、ニューラ
メリッサ・キンレンカ
手持ち:エモンガ、スピアー、イワパレス