にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第64話「絆の力!メガシンカvsフェローチェ!」

 

にじレジ団を追って砂漠の地下迷宮へと迷い込んでしまったフレン、メリッサ、りりむ

 

その3人を探しに来たリゼ、アンジュ、ベルモンド、イブラヒム、コウの5人は二手に分かれて行動していた

 

それからしばらく、メリッサ達と逸れたフレンと合流出来たイブラヒムとコウは地下迷宮を進んだ先でウルトラビースト:フェローチェを見つけた

 

そのフェローチェは戦いで負ったダメージを回復しようと野生ポケモン達に"きゅうけつ"を行い、体力を奪い取っていた

 

 

 

 

モクモクモク…

 

 

「フェロ…!」

 

 

最後の1体から"きゅうけつ"をし終えて体力が十分に回復したフェローチェ

 

その矢先、突如として部屋中に煙幕が立ち込めた

 

 

「ワゥンッ!」

 

 

直後、その身に電気を迸らせたパルスワンが飛び込んでき、フェローチェの周りを全速力で駆け回る

 

突然の煙幕と共に現れたパルスワンにフェローチェは警戒心を高める

 

だが、その背後…煙幕の外からフェローチェを仕留めようとエースバーンが攻撃の態勢に入っていた

 

 

(よし!ヒムのコータスの"えんまく"であいつの視界は奪えた!フレンのパルスワンにも気を取られてる!それに、パルスワンがあいつの周りを帯電しながら駆け回ってくれてるおかげで、煙幕の中でもおおよその位置も分かる!決めてくれ、エースバーン…!)

 

 

イブラヒム達と練った作戦に見事フェローチェが嵌っていると見たコウが念じると同時、エースバーンは駆け回るパルスワンを頼りに標的目掛けて、自慢の技"かえんボール"を繰り出す

 

 

「エース…バァンッ!」

 

 

力強く蹴り出された"かえんボール"は凄まじい速さでフェローチェへと突き進み、炸裂…

 

 

「フェロッ!」

 

「バァンッ!?」「ワゥンッ!?」

 

 

…するかに思われたその時、フェローチェは"とびはねる"を繰り出して素早く跳躍し、煙幕を抜けて迷宮の天井へと張り付く

 

 

「フェロッ!」

 

「バァン…ッ!?」

 

 

そして、天井から周囲を見下ろしたフェローチェは自身に奇襲を仕掛けてきた煙幕の外にいるエースバーンを目視すると、天井を勢いよく蹴っての"とびひざげり"を繰り出す

 

 

「ワゥンッ!」

 

 

フェローチェの攻撃が直撃するかに思われたその瞬間、煙幕の中から飛び出したパルスワンが体当たりでエースバーンを突き飛ばし、自らを犠牲に"とびひざげり"の身代わりとなった

 

 

「パルスワン…っ!」

 

「くっ…!エースバーン…!パルスワンを頼む…!ヒム…!」

 

「分かってる!コータス!"ふんえん"!」

 

 

奇襲の失敗とパルスワンの負傷に動揺するも、すぐにコウとイブラヒムは素早く対応し、コータスが繰り出す"ふんえん"でフェローチェを牽制しつつ、その隙にエースバーンにパルスワンを抱え運ばせて自分達の下に戻らせる

 

 

「パルスワン…!もう、あんな無茶して…!でも、格好よかったよ…!ゆっくり休んで…」

 

 

フェローチェとのバトルにおいて、主戦力となるエースバーンの脱落が勝機を失うと理解していたからこそのパルスワンの無茶に、フレンは叱りつつもその頑張りを褒めてボールへと戻した

 

 

「悪い、俺の考えが甘かった…!あのポケモン、俺達が思ってたよりも頭がキレる…!」

 

 

コウは自身の浅はかさを情けなく思うと同時に、フェローチェへの認識を改める

 

 

「奇襲作戦は失敗した…!けど、退くわけにはいかねぇ…!ここからは正々堂々、真正面からの勝負だ…!覚悟はいいよな…!?」

 

「当然…!」

 

「うん…!頼んだよ、ラッキー!」

 

 

フレンはパルスワンに代わってラッキーを繰り出し、イブラヒム達は改めてフェローチェとのバトルに臨む

 

 

「コータス!"かえんほうしゃ"!」

 

「ラッキー!"タマゴばくだん"!」

 

 

イブラヒムとフレンの指示で、コータスとラッキーはそれぞれ射程のある技で攻撃を仕掛ける

 

だが、フェローチェはそれを裕に躱しながらエースバーンへと迫り、"とびひざげり"を繰り出そうと構える

 

 

「来るぞ、エースバーン!"ビルドアップ"!」

 

 

フェローチェの攻撃に対し、エースバーンは"ビルドアップ"を発動

 

攻撃力と共に防御力を高めると共に腕をクロスさせて防御を構え、フェローチェの"とびひざげり"をなんとか受け切る

 

 

「ラッキー!エースバーンに"いやしのはどう"!」

 

 

防いだとは言え、少なくないダメージを受けたエースバーンにフレンはすぐさまラッキーに"いやしのはどう"を繰り出させ、その傷を回復させる

 

 

「フェロ…!」

 

 

それを見たフェローチェは苛立つように目を細め、厄介と判断したラッキーを仕留めようと再び迫る

 

 

「ラッキーに狙いが変わったぞ!」

 

「任せろ!コータス!"ふんえん"!」

 

「ラッキー!"ひかりのかべ"!」

 

 

フェローチェの狙いを素早く察知したコウの呼び掛けと同時に、イブラヒムとフレンがそれぞれ指示を出す

 

コータスが繰り出した"ふんえん"はエースバーンとラッキーを呑み込み、突っ込めば効果抜群の大ダメージを追ってしまうフェローチェは既の所で踏み止まり、後ろへ飛び退いて攻撃の範囲から逃れる

 

そして、ラッキーは"ひかりのかべ"を繰り出すことによって、自身とエースバーンをも襲ってしまう味方の"ふんえん"のダメージを最小限に留めた

 

 

「よし…!奇襲は失敗したけど、この調子で攻撃を凌ぎつつ、エースバーンを"ビルドアップ"で十分に強化させられれば…!」

 

 

奇襲こそ失敗に終わったものの、コウ達はすぐさまエースバーンを"ビルドアップ"で強化させることで対抗する作戦に切り替える

 

だが、その思惑は予想外にもすぐに潰えることとなった

 

 

「フェロ…!」

 

 

動き出したフェローチェは"とびはねる"で高く跳躍すると、天井に向かって"トリプルアクセル"を繰り出した

 

 

「えっ…!?一体何のつもり…!?」

 

 

フレンが疑問の声を上げるなか、フェローチェの強力な"トリプルアクセル"によって天井の岩壁は破壊され、それが落石の雨となってエースバーン達に降り注ぐ

 

 

「おいおい…!マジかよ…!?」

 

「みんな避けろ…っ!」

 

 

フェローチェからの思わぬ攻撃に、イブラヒムは思わず声を上げ、コウはすぐにエースバーン達に呼び掛けた

 

エースバーンは持ち前の身体能力と素早さで落石をなんとか避け続けるが、足の遅いコータスとラッキーはそうはいかず、降り注ぐ落石の雨の直撃を受ける

 

 

「フェロッ!」

 

 

2体が怯み、動きが止まったその隙を当然見逃すはずもなく、フェローチェはコータスへと迫ると腹底へ脚を引っ掛けて空中へと蹴り上げる

 

その直後に跳躍し、空中へ蹴り上げたコータスの腹に目掛けて"とびひざげり"を炸裂させる

 

 

「コォ…ッ!?」

 

 

"とびひざげり"を受けたコータスは更に上へと吹き飛ばされて天井に激突した後、力無く地上へと落下した

 

 

「フェロッ!」

 

「ラキィ…ッ!?」

 

 

更にその直後、コータスを仕留めたフェローチェは続け様に素早くラッキーへと迫り、同様に"とびひざげり"の一撃を炸裂させる

 

 

「コータス…っ!?」

 

「ラッキー…っ!戻って…っ!」

 

 

フェローチェの一撃で戦闘不能となってしまったコータス達をイブラヒムとフレンはすぐさまボールへと戻す

 

 

「くそ…っ!対応が早過ぎる…!」

 

「まさかここまで知能が高いなんて…!」

 

「ねぇ…!本当に勝てるの…!?」

 

「泣き言を喚いてる暇はねぇぞ、フレン…!こいつを倒せなきゃ、俺達はこの地下迷宮から抜け出せないどころか全滅させられる…!」

 

(メリッサは特にな…!)

 

 

絶望的な状況…それでもメリッサのために退くことは出来ないイブラヒムは改めて覚悟を決め、次に繰り出すポケモンのボールを握り取る

 

 

「いけっ…!ドラピオン…!」

 

「〜…っ!もしここで終わったら、一生にじレジ団を恨んでやるんだから…!頑張って、パッチラゴン!」

 

 

ドラピオンを繰り出したイブラヒムに続き、フレンもこうなった元凶であるにじレジ団への恨み節を吐きながら、ラッキーに代わって"かせきポケモン":パッチラゴンを繰り出し、フェローチェとのバトルを続行する

 

 

 

 

「はぁ…っ!はぁ…っ!」

 

「カバァァッ!」「ワルビィィッ!」「ズルゥゥッ!」

 

 

イブラヒム達がフェローチェとのバトルに臨んでいたその頃、にじレジ団の椎名と別れたりりむはその数こそ減ったものの、未だ野生ポケモン達に追われ続けていた

 

 

「うわ…っ!?」

 

 

懸命に逃げ走っていたりりむだったが、その最中に少し盛り上がった地面の段差に躓き、大きく転倒してしまう

 

 

「カバァァァッ!!」

 

「ひぃ…っ!」

 

 

そこへ容赦なく突っ込んで来る野生ポケモン達を前にりりむは体を丸め、恐怖から目を瞑る

 

 

「エンペルト!"うずしお"!」

 

「バンギラス!"はかいこうせん"!」

 

 

だが、絶体絶命かに思われたその時、りりむの後ろから飛び出してきたエンペルトとバンギラスが技を繰り出し、野生ポケモン達に炸裂させる

 

 

「このバンギラス…!もしかして…!」

 

「りりむちゃん!怪我はないか!?」

 

「よかった〜…!なんとか見つかって…!」

 

「ベルさん…!それにリゼとアンジュも…!」

 

 

助けに入ってきたバンギラスに見覚えがあると思った直後、救援に駆け付けて来たリゼ達の姿にりりむは安堵の息を吐く

 

 

「あのカバルドン達はメイフ砂漠とこの地下迷宮に生息してるポケモン達だな…!縄張りを荒らされたと思って相当お怒りらしい…!」

 

「この数相手は流石に厳しいですね…!」

 

「ああ…!りりむちゃんとは合流出来たことだ…!一先ず、あのポケモン達を振り切ることに…!?」

 

 

と、一旦の方針を告げつつ、逃げ道へと振り返ったベルモンドはそこで言葉を詰まらせ、体が止まった

 

 

「ベルモンドさん…!?急にどうし…!?」

 

 

様子が急変したベルモンドに声を掛けようとリゼも背後を振り向く

 

直後、その視線の先に捉えたものを見て彼同様の反応を見せた

 

 

「フェロ…!」

 

 

見た目こそ、すらりとした細い体でサーナイトやミロカロスに並ぶほど美しいポケモンだが、その瞳は恐ろしい程に冷たく自分達を見つめ、今にも襲い掛からんと感じる程の殺気を放っていた

 

 

「なに…!?あのポケモン…!」

 

「見たことがない…!もしかして、アレが…!?」

 

「…っ!いけ!アーケオス!"アクロバット"!」

 

 

初めて遭遇するウルトラビースト:フェローチェにリゼとアンジュが驚くと共に警戒心を強めるなか、いち早く危険を感じたベルモンドは"さいこどりポケモン":アーケオスを繰り出し、"アクロバット"を仕掛けさせる

 

 

「フェロッ!」

 

「アーケ…ッ!?」

 

 

素早く迫り"アクロバット"を繰り出したアーケオスだったが、フェローチェはひらりひらりと軽やかな動きで躱し続け、最後にはアーケオスの背後を取って"とびひざげり"を炸裂させる

 

 

「アーケオス…っ!?戻れ…っ!」

 

 

たったの一撃で大ダメージを受けたアーケオスをベルモンドは即座にボールへ戻す

 

 

「は、速い…!?」

 

「それになんて技の威力なんだ…!」

 

(まったくだ…!俺のポケモン達の中で随一の素早さを誇るアーケオス以上のスピード…!加えて、この威力…!攻撃力も相当なものだな…!)

 

 

ほんの一瞬で決着が着いてしまったフェローチェとアーケオスのバトルにリゼ達が驚愕して息を呑むなか、ベルモンドはそこから得られた僅かな情報を頼りにフェローチェがどんなポケモンなのかを分析する

 

 

(だが、これだけ攻撃力と素早さの能力が秀でているなら、他の能力に大きな弱点を抱えているはず…!超攻撃特化の能力に加えて、あの華奢な体…!おそらく、耐久面は脆いと見た…!)

 

「頼んだぞ、イシヘンジン!」

 

 

まず間違いがないと言える推論を導き出したベルモンドはそれを踏まえた上で勝つための最善の手を即座に練り上げ、"きょせきポケモン":イシヘンジンを繰り出す

 

 

「イシヘンジン!最大パワーで"じゅうりょく"だ!」

 

 

ベルモンドの指示を受けて、イシヘンジンは強力な"じゅうりょく"を発動し、自身とバンギラス、そしてフェローチェを含む一定範囲の重力をとてつもなく強める

 

 

「…ッ!?」

 

 

"じゅうりょく"という技は空中に浮いているポケモンを強めた重力によって強引に地に落とし、本来当たらない地面タイプの技を当てるためや、相手の動きを鈍らせて命中率に不安のある技を当てやすくする狙いで使用される

 

そのため、相応に強い重力がかかることになるが、今回ベルモンドがイシヘンジンに指示した"じゅうりょく"は通常の何倍もの強さだった

 

そのあまりに強過ぎる重力に範囲内にいるポケモン達は一歩動くことすら困難となり、フェローチェも驚いた様子を見せていた

 

 

「これだけ強い重力下なら、自慢のスピードも出せないだろう!バンギラス!"ストーンエッジ"!」

 

 

"じゅうりょく"の影響が効いてるとフェローチェの様子から見て取ったベルモンドは満を持してバンギラスに"ストーンエッジ"を繰り出させる

 

地面から勢いよく隆起しながら迫る"ストーンエッジ"を前に、一歩も動けない様子のフェローチェにベルモンドは勝利を確信する

 

 

「フェロ…ッ!!」

 

「なに…っ!?」

 

 

だが、その確信は瞬く間に覆された

 

"ストーンエッジ"が直撃する寸前、フェローチェはその場で"ドリルライナー"を繰り出して足下の地面を抉り、そのまま"あなをほる"の如く地中へと潜って攻撃を回避した

 

 

「フェロッ!」

 

 

そして、次の瞬間にはイシヘンジンの足下の地面から飛び出したフェローチェが"ドリルライナー"を炸裂させ、集中力が切れたことで"じゅうりょく"の力が弱まる

 

 

「フェロォッ!」

 

「イシィィ…ッ!?」

 

 

更に続けて、フェローチェの"とびひざげり"が炸裂し、イシヘンジンはその場に倒れ伏した

 

 

「くっ…!バンギラス!"ストーンエッジ"!」

 

 

ベルモンドはすぐさまバンギラスに"ストーンエッジ"を繰り出させるが、フェローチェは軽やかな足取りで攻撃を避けながら後退した

 

 

(まさか、"じゅうりょく"の影響を利用して素早く地中へ回避するとは…!知能の高さもトレーナーに育成されたポケモンの比じゃない…!これがウルトラビースト…!)

 

 

これ以上ない一手を覆されたベルモンドは冷や汗を流しながらフェローチェの強さを再認識する

 

 

「カバァ…ッ!」「ワルビィ…ッ!」「ズルゥ…ッ!」

 

「こ、こっちもマズいよ…!?」

 

 

その背後では、怒り心頭のカバルドン達が自分達へとにじり寄って来ていた

 

 

(あのウルトラビーストを突破するのは現実的じゃない…!逃げ道を作るなら、カバルドン達を倒す方が賢明だが、一方だけに構うことは出来ない…!必ず、あのウルトラビーストを抑える役が必要になる…!だが、そんな危険な役目を彼女達に任せるわけには…!)

 

 

この場を脱するための最善の手はまだ存在するが、そのためには誰かがフェローチェの相手をし、時間を稼がなければならなかった

 

だが、ジムリーダーとして、大人として、漢として、リゼ達の誰かをその危険に遭わせる決断にベルモンドは躊躇した

 

 

「…ベルモンドさん。あのウルトラビーストの相手は私に任せてくれませんか?」

 

「なっ…!?」

 

 

そんななか、踏み切れないベルモンドの葛藤を汲み取るかのようにリゼが自らそう提案した

 

 

「本気かい、リゼちゃん…!?あのポケモンの強さはたった今目の当たりにしたはずだ…!」

 

「はい…。でも、ベルモンドさんも残りの手持ちポケモンは少ないですよね?なら、その戦力はベルモンドさんが確実に勝てる相手にぶつけるのが良いと思うんです」

 

「…っ!」

 

 

自身が考えた作戦にリゼもまた思い至り、そしてそうするしかないと彼女が覚悟を決めていることをベルモンドはすぐに理解した

 

 

「…すまない、俺が不甲斐ないばかりに」

 

「気にしないでください。たしかに、あのポケモンと対峙することに恐怖が全く無いとは言えないんですけど、全く勝てない相手じゃないとも思ってます…!」

 

 

リゼの体は恐怖からか僅かに震えていたが、その表情は絶望に染まってはいなかった

 

 

「何か良い手があるってことかい…?だが、望み薄い勝ちを掴みに行くということは自ら危険に飛び込んでいくということだ…!君の役目は、俺があのカバルドン達を十分に疲弊させるまでの時間稼ぎが出来ればいい…!」

 

「分かってます…!ただ、あのポケモンを倒せるのが1番良いので、やるだけやってみることだけは許してください…!」

 

「…分かった。くれぐれも無茶はしないでくれよ。りりむちゃん!出来ればでいい、手を貸してくれ!」

 

「わ、分かった…!」

 

 

リゼの意志を尊重したベルモンドはフェローチェの相手を託し、バンギラスを連れてりりむと共にカバルドン達とのバトルへ向かう

 

 

(ふぅ…。ウルトラビーストとのバトルは船の上でのマッシブーン以来…!あの時は葛葉さん達も一緒にいたのに手も足も出なかったけど、あの時よりも私もポケモン達も強くなってるんだ…!

 

「よし…!やるぞぉ…!」

 

「いや、なに1人で格好つけようとしてる?」

 

「わっ…!?ア、アンジュ…!?」

 

 

自身もフェローチェとのバトルに臨もうと気持ちを高めようとするなか、隣にスッと立ち並んだアンジュから声を掛けられ、リゼは思わず驚いた

 

 

「流石に1人であのポケモンとバトルするのは荷が重すぎるでしょ。時間稼ぎなら私も少しは力になれると思う。だけど、あのポケモンを無理に倒す気は無いからね?」

 

「うん…!ありがとう、アンジュ!頼りにさせてもらうね!お願い!リオル!」

 

 

リゼはアンジュに感謝を伝えると、改めてフェローチェとのバトルに臨むべく、リオルを繰り出す

 

 

「リオル…!さっきベルさんにあのポケモンに勝つ方法があるかもって話してたけど、もしかしてこの子で…?」

 

「うん。それで、アンジュに頼みたいことがあるんたけど…」

 

 

フェローチェ攻略の鍵を握るポケモンがリオルであることに半信半疑なアンジュに、リゼは小声で作戦を伝える

 

 

「…なるほど。たしかに、その手は有効だと思う。緑仙さんとのバトルの時もそうだったしね。最終的に倒せるかはその後次第だけど、少なくとも大幅に弱らせることは出来るし、時間を稼ぐことにも大きな利点になる」

 

「うん。出来れば、アンジュにはチャンスを作るまでの援護を任せたいんだけど…」

 

「…いいよ、引き受けた。頼んだよ、ゴルーグ!」

 

 

打ち合わせが済み、アンジュもゴルーグを繰り出したところで、いよいよリゼはフェローチェとのバトルを開始する

 

 

「リオル!走って!」

 

 

先手を打ったリゼの指示を受け、リオルはフェローチェに向かって突っ込んでいく

 

 

「フェロッ!」

 

 

迫って来るリオルを迎え打とうとフェローチェも相手に向かって駆け出す

 

 

「ゴルーグ!リオルを援護するよ!"シャドーパンチ"!」

 

 

このまま衝突してもリオルではフェローチェに敵わない

 

そのため、アンジュはフェローチェが自由に動けないよう、当たるまで標的を追尾し続ける"シャドーパンチ"をゴルーグに繰り出させる

 

 

「ゴルゥ!」

 

 

ゴルーグの両腕から放たれた"シャドーパンチ"はフェローチェへと勢いよく飛んでいく

 

 

「フェロッ!」

 

 

フェローチェは2つの"シャドーパンチ"を軽やかな身のこなしで躱すが、直後すぐに"シャドーパンチ"は方向を変え、再びフェローチェへと迫る

 

だが、幾度なく襲われてもフェローチェは"シャドーパンチ"を難なく躱し切り、そのままリオルへと迫っていく

 

しかし、それはリゼ達の想定の範囲内だった

 

 

「リオル!地面を抉るように"いわくだき"!」

 

 

躱された"シャドーパンチ"が再びフェローチェへと迫るのと同じタイミングで、リゼがリオルに指示を出す

 

リオルは地面を掬い抉るように連続で"いわくだき"を繰り出し、抉り出された無数の岩石の礫が勢いよくフェローチェに向かって飛来する

 

縦横無尽に迫り来る"シャドーパンチ"を躱しながら、正面から迫る無数の岩石の礫を対処するのは至難の業であり、まず両方又はどちらか一方の攻撃は直撃すると思われた

 

 

「フェロッ!」

 

 

だが、フェローチェは"シャドーパンチ"と岩石の礫が直撃する寸前で勢いよく跳躍し、岩石の礫の弾幕を飛び越えると共にそれを自身を追尾していた"シャドーパンチ"に巧くぶつけて相殺させた

 

 

(躱された…!でも、このシチュエーションなら…!)

 

「…っ!」

 

 

リゼとアンジュに緊張が走るが、それはリオルとゴルーグの連携攻撃が躱されたことへの焦りからではない

 

フェローチェに勝つための真の狙いが来ることを予感したからだった

 

 

「フェロッ!」

 

 

跳躍後、空中で一回転したフェローチェはリオルに目掛けて"とびひざげり"を繰り出す

 

だが、それはリゼにとってまたとない展開だった

 

 

「きた…!リオル!"でんこうせっか"で躱して!」

 

 

リゼの指示が飛び、リオルは"でんこうせっか"による素早さを活かしてフェローチェの"とびひざげり"が直撃する寸前で後ろへ飛び退いた

 

 

(よし…!これであのポケモンは"とびひざげり"を外した反動で大きなダメージを負う…!)

 

 

リゼの作戦が決まったと見て、アンジュは内心で歓喜する

 

リゼの狙い…それは"とびひざげり"を外した時の反動ダメージ

 

ベルモンドとのバトルで相手への決め手としてフェローチェが"とびひざげり"を用いていたことから、リゼはこの作戦を思いついた

 

 

(思ってたよりも早く仕掛けてきてくれて良かった…!一先ずはこれで…!)

 

 

自信のある技だからか、ある程度時間が掛かると覚悟していた"とびひざげり"をこうもあっさりとフェローチェが繰り出してくれたことに、リゼも内心で安堵する

 

だが、フェローチェが"とびひざげり"の反動ダメージを食らうと思われたその瞬間、リゼとアンジュの歓喜は驚愕と絶望へと塗り替えられる

 

 

「フェロッ!」

 

「「…っ!?」」

 

 

フェローチェは"とびひざげり"を繰り出した右脚の膝が地面と衝突する直前、伸ばした左脚を先に着地させて勢いを殺し、右脚膝と地面の衝突を防ぐ

 

そして直後、着地させた左脚をバネにフェローチェはリオル目掛けて地を蹴り、"とびひざげり"を炸裂させる

 

 

「リオ…ッ!?」

 

 

フェローチェの"とびひざげり"の直撃を受けたリオルは軽々と吹き飛ばされ壁に激突し、更に衝撃で崩れた瓦礫の下敷きとなってしまう

 

 

「リオル…っ!」

 

「リゼ…っ!不用意に動いちゃ…っ!」

 

 

フェローチェの強烈な一撃を受け、瓦礫に埋もれて身動きが取れないリオルの下へリゼは慌てて駆け出すが、同時にアンジュが危機迫った様子で叫ぶ

 

 

「フェロ…ッ!」

 

 

リオルの下へ駆け出したリゼを見て、地を蹴ったフェローチェは爪を突き立てた腕を伸ばす

 

 

「…っ!?」

 

「サァイッ!」

 

 

フェローチェの爪がリゼを襲うかに思われたその時、リゼのボールからサイドンが飛び出し、フェローチェの攻撃を受け止める

 

 

「サイドン…!?」

 

 

指示なく飛び出して来たサイドンにリゼが驚くなか、更にボールが勝手に開く

 

 

「エンペッ!」「フリィッ!」

 

 

サイドンに続いてエンペルト、バタフリーも飛び出し、それぞれ"れいとうビーム"と"サイケこうせん"をフェローチェへ繰り出す

 

 

「フェロッ!」

 

 

それに気付いたフェローチェはすぐに飛び退くことでエンペルト達の攻撃を避けた

 

 

「みんな…!」

 

「エンペッ!エペエペッ!」

 

「リゼ…!ここは私とエンペルト達に任せて、早くリオルの下に…!」

 

「う、うん…!」

 

 

エンペルトとアンジュに促され、リゼは急いで再びリオルの下へ駆け出す

 

 

「リオル…!すぐに出してあげるからね…!お願い!イーブイ!"アイアンテール"でこの瓦礫を砕いて!」

 

「イブイ!」

 

 

リオルが埋もれてしまっている瓦礫の下に辿り着いたリゼはイーブイを繰り出し、"アイアンテール"での瓦礫の除去を始める

 

 

「エンペルト、バタフリー、サイドン…!無理はしなくていい…!ベルさん達の方が終わるまで、あいつを足止め出来たらそれでいいから…!」

 

 

アンジュの呼び掛けにエンペルト達は頷いて理解を示し、フェローチェとのバトルを再開する

 

 

 

 

「フェロッ!フェロォッ!」

 

「サナ…ッ!?」

 

「ダァス…ッ!?」

 

「パチパァ…ッ!?」

 

 

あれから更にフェローチェとのバトルを続けていたイブラヒム、フレン、コウの3人だったが、フェローチェの圧倒的な強さの前にエースバーン、ドラピオンが力尽き、続くポケモン達も成す術なく次々と倒されてしまっていた

 

 

「サーナイト…っ!大丈夫か…!?」

 

「パッチラゴン…っ!もう休んで…!イブちゃん…!あのポケモンを倒すのは私達じゃ無理だよ…!」

 

 

3人は傷付き倒れた自身のポケモン達の下へ駆け寄り、フェローチェに勝ち目がないと諦めたフレンがイブラヒムにバトルから退くよう呼び掛ける

 

 

「たしかに、このまま続けてもジリ貧だ…!とは言え、逃げるにしてもすぐに追いつかれる…!逃げるなら、誰か1人残って足止めする必要がある…!」

 

「そんな…っ!?」

 

 

勝つことが不可能である見立てにイブラヒムも同意するが、全員がフェローチェから逃げ切る希望も無く、誰かを犠牲にしなければ1人も助からないと、無情な現実をフレンに告げる

 

 

(元を辿れば、みんなをウルトラビーストの脅威に晒したのはメリッサを然るべき機関に保護させることを勝手に拒んだ俺にある…!だから…!)

 

 

犠牲を出すことを容易には決断出来ないフレンとコウをよそに、事の原因は自身にあると強く責任を感じるイブラヒムは1人静に覚悟を決める

 

 

「…コイツの足止めは俺がする!長くは保たねぇから、うづコウとフレンはベルさんから預かったチビノーズの案内に従って一度みんなと合流しろ!」

 

「なっ…!?」

 

「そんなのダメだよ、イブちゃん…っ!一緒に…!」

 

「いいから早くいけっ!!俺の心配よりも、メリッサ達を見つけ出してここから脱出することを…っ!!」

 

 

提案を受け入れられない2人にイブラヒムは言い聞かせようと声を荒げる

 

一方で、彼等の決断を待つ義理も無いフェローチェは次なる標的への攻撃態勢に入った

 

 

「フェロ…!」

 

 

"とびはねる"で跳躍したフェローチェは天井へ着地したかと思いきや、すぐさま蹴り出してフレンに向かって突っ込んでいく

 

 

「…っ!?フレン…っ!危ねぇ…っ!!」

 

 

それに気付いたイブラヒムは思わずフレンの下へ駆け出すと共に危険を彼女に叫ぶ

 

だが、イブラヒムがフレンの下へ辿り着くよりも、フレンがその場から離れようとするよりも早く、フェローチェの伸ばした腕がフレンに届くことは誰の目にも明らかだった

 

この場にいない、第三者の介入が無い限りは…

 

 

「スピアー!"ミサイルばり"!」

 

 

フェローチェの攻撃がフレンに届く前、突然フェローチェ目掛けて無数の"ミサイルばり"が飛来する

 

それに気付いたフェローチェはフレンから意識を逸らし、"トリプルアクセル"を繰り出して向かって来る"ミサイルばり"を全て弾き返す

 

それによって、フレンへと迫っていた勢いは殺され、地面へと着地したフェローチェは後方へと大きく飛び退いた

 

 

「スピィッ!」

 

「このスピアー…!もしかして…!」

 

「みんな…!大丈夫…!?」

 

 

見覚えのあるスピアーの介入にイブラヒム達が呆気に取られるなか、少し遅れてメリッサが3人の前に姿を現した

 

 

「メリー…っ!」

 

「こっちはおかげさまでまだ全員無事だ…!助かったよ、メリッサさん…!」

 

「メリッサ…!お前こそ大丈夫なのか…!?何処か怪我してたりは…!」

 

「大丈夫だよ、イブラヒム。心配しないで」

 

 

メリッサの無事に3人は安堵するが、すぐさまイブラヒムが声を上げた

 

 

「いや、メリッサ…!お前は今すぐここから離れろ…!コイツは俺達でも歯が立たない相手だ…!俺が足止めして時間を稼ぐから、その間にフレン達と一緒にベルさん達の下に…!」

 

「それは嫌だっ!!」

 

 

メリッサの無事を確認した以上、その身の安全を第一に優先しようとイブラヒムはメリッサをフレン達と共にこの場から逃そうと訴えるが、メリッサはそれを強く拒んだ

 

 

「イブラヒムを1人置いてなんていけない…!それに、このポケモンは僕が倒さないといけないんだ…!」

 

「何言ってんだ、メリッサ…!お前がコイツと戦う必要なんて…!」

 

「必要ならあるよ…!だって、そうしないと僕の望みは叶わないんだから…!」

 

 

イブラヒムの頼みを拒み、メリッサは左腕を天に向けて掲げる

 

次の瞬間、メリッサが左手首に嵌めているバングルとスピアーから光り輝くエネルギーが溢れ出す

 

 

「この輝きは…!」

 

「メガシンカ…!?」

 

 

光の正体がキーストーンとメガストーンによるものだとすぐに理解したコウとイブラヒムが驚きの声を上げるなか、溢れ出した帯状のエネルギーが繋がり合い、スピアーはメガスピアーへとメガシンカを遂げる

 

 

「いくよ!スピアー!」

 

「スピィッ!」

 

 

メリッサの呼び掛けに応え、メガスピアーはフェローチェへと突っ込む

 

 

「フェロッ!」

 

 

対するフェローチェは"トリプルアクセル"を繰り出して迎撃に出る

 

 

「スピッ!スピィィッ!」

 

「フェロ…ッ!?」

 

 

だが、メガスピアーはフェローチェが繰り出す"トリプルアクセル"を、メガシンカしたことで飛躍的に上昇した素早さを以って躱し切る

 

 

「今だよ!"どくづき"!」

 

 

攻撃を躱し、その素早さにフェローチェが動揺した隙を突いてメリッサが指示を飛ばし、メガスピアーはフェローチェに"どくづき"を炸裂させる

 

 

「フェロ…ッ!」

 

「あのポケモンの速さに張り合ってる…!」

 

「これがメガスピアーの力か…!」

 

「もしかして、このままいけるんじゃない!?頑張れ〜!メリ〜!スピア〜!」

 

「スピアー!もう一度"どくづき"!」

 

 

"どくづき"の一撃を受けて膝を突くフェローチェと、その素早さに張り合うメガスピアーにイブラヒム達が希望を見出すなか、メリッサの指示で再びメガスピアーはフェローチェへ"どくづき"を仕掛ける

 

 

「フェロ…ッ!」

 

 

だが、フェローチェはそれまで以上に素早く動き、メガスピアーの"どくづき"を躱すと共に、"きゅうけつ"を繰り出してメガスピアーの胴体に喰らいつく

 

 

「スピィ…ッ!」

 

「スピアー…っ!?」

 

 

攻撃の痛みに呻き声を漏らすも、それを堪えてメガスピアーは反撃に"どくづき"を繰り出すが、フェローチェは直撃する寸前で離れて攻撃を躱した

 

 

「アイツ、まだあんなに速く動けるのかよ…!」

 

「いや、これまでが本気じゃなかったんだ…!」

 

 

メガスピアーの素早さを上回るフェローチェ本来の力に再びイブラヒム達の表情が険しくなる

 

 

「スピィッ…!」

 

「フェロ…ッ!」

 

 

互いに気の抜けない相手であると認識し合ったメガスピアーとフェローチェは目で追うのも困難なほど凄まじい速さでバトルを繰り広げ始める

 

 

「す、凄い…!もしかして、これなら勝てるんじゃ…!」

 

「いや、ダメだ…!メガシンカのおかげで素早さはほぼ互角だが、戦闘経験に差があり過ぎる…!」

 

「あのポケモンを追い詰めるには、他にも何か手がねぇと…!」

 

 

フェローチェに張り合うメガスピアーに希望を見出すフレンだったが、現状を冷静に判断するイブラヒムとコウによって一蹴される

 

 

(そんな…!でも、私達のポケモンはほとんどが体力を消耗し切ってる…!なにより、あの速さに付いていけるポケモンなんて…!)

 

 

イブラヒムとコウは当然、フレンも勝敗の行く末を察してしまい、2体の速さに付いていきバトル出来るポケモンがおらず、ただ眺めることしか出来ないことに歯痒さを感じていた

 

 

(何か…何か手はないの…!?)

 

 

だが、メリッサとスピアーが頑張っているなか、ただ眺めているだけではいたくない

 

その想いからフレンは何か自分にも手はないかと思考を巡らせる

 

 

(…っ!いる…!私のポケモンに1体だけ…あの速さに付いていける子…!)

 

 

その末に、フレンはそれを唯一可能とするポケモンに思い当たり、ボールを手に取る

 

 

(バシャーモ…!この子をメガシンカさせれば、あのポケモンのスピードにも追い付ける…!でも…!)

 

 

バシャーモのメガシンカ…フレンはそこに可能性を見出したが、バシャーモはこれまでのバトルで酷く消耗していた

 

バシャーモに限ったことではないが、そんな状態のポケモンに自身より遥かに強いポケモン相手に"無理を承知で頑張ってくれ"と言い出すには、フレンのポケモン達に対する愛情は大きく、胸が痛い思いだった

 

 

ポンッ!

 

 

「えっ…!?」

 

 

だが、フレンの戸惑いを他所に、バシャーモはボールを自ら開いて飛び出した

 

 

「バシャァ…ッ!」

 

「バシャーモ…!無理しないで…!」

 

 

疲労から既に息の荒い苦しそうな様子のバシャーモにフレンは心配から声を掛ける

 

 

「バシャ…ッ!」

 

 

だが、心配するフレンにバシャーモは"これくらいなんともない"と言いたげな作り笑いを浮かべ、拳の炎を燃え上がらせる

 

その姿に、フレンはバシャーモの想いを察する

 

 

「…ありがとう、バシャーモ。無茶を承知でお願い…!あなたの力を貸して…!」

 

「バシャァッ!!」

 

 

想いに応えたバシャーモは気合いの入った雄叫びを上げ、フレンは左手の羽根付き手袋に埋め込んであるキーストーンに触れる

 

瞬間、キーストーンから溢れ出した光り輝く線状のエネルギーとバシャーモが持つバシャーモナイトから溢れ出したそれが繋がり合い、バシャーモはメガバシャーモへとメガシンカする

 

 

「フレン…!?」

 

「メリー!私達も一緒に戦うよ!バシャーモ!"スカイアッパー"!」

 

 

メリッサの隣に立ったフレンは指示を出し、メガバシャーモは2体のバトルに割り込んでフェローチェに"スカイアッパー"を繰り出す

 

 

「フェロッ!」

 

 

だが、それは容易く躱されてしまい、反撃にフェローチェから"とびはねる"が繰り出される

 

 

「バシャーモ!"まもる"!」

 

 

素早いフェローチェの"とびはねる"攻撃に対し、メガバシャーモは"まもる"を発動させてその攻撃を防ぎ切る

 

 

「"ブレイズキック"!」

 

「バシャァッ!」

 

「…ッ!?」

 

 

そして、今度は"ブレイズキック"を繰り出すが、またしてもフェローチェに避けられ、直撃はしなかった

 

だが、先程の"スカイアッパー"の時とは違い、"ブレイズキック"は直撃こそしなかったものの、避けたフェローチェの腕を僅かに掠めていた

 

その表情から余裕が消え、焦りと驚愕が表れているフェローチェに分かっているのは数秒前よりもバシャーモの素早さが上がっていることだった

 

何故、急にバシャーモの素早さが上がったのか?

 

その理由はバシャーモのメガシンカにあった

 

フレンのバシャーモの本来の特性は体力の限界が近付くと炎タイプの技の威力が上がる"もうか"だが、メガシンカすることでその特性は時間が経つに連れて素早さが増していく"かそく"に変化する

 

これを利用することでフレンは勝機を見出せると考え、実際にあと少し余力を出すのが遅れていたらフェローチェは戦闘不能寸前に至る大ダメージを受けるところだった

 

 

「フェロ…ッ!」

 

 

フェローチェはメガバシャーモを一睨みすると素早くその場から後ろへと飛び退いた

 

 

「惜しい…!あともうちょっとだったのに…!」

 

「それは仕方ないな…。バシャーモは既に疲れ切ってる…。それが"かそく"による素早さの強化を低下させてるんだ…」

 

「そうなんだ…!?でも、少しずつだけど素早さはちゃんと上がってる…!だったら、まだ希望はあるよね!」

 

「バシャァッ!」

 

「フレン…!バシャーモ…!」

 

「メリー!私達も頑張るから!あのポケモンを倒して、みんなで無事に帰ろう!」

 

「うん…!」

 

 

フレンの想いにメリッサは頷き、彼女と共にフェローチェとのバトルを続行する

 

 

(メガシンカしたポケモン2体ならなんとか…!いや、スピアーはともかくバシャーモは体力が限界だ…!状況はまだこっちが不利…!)

 

 

果敢にフェローチェとバトルするメリッサ達とは異なり、冷静に状況を分析するイブラヒムはこれでもまだ勝利には届かないと推測する

 

 

(俺も何か出来れば…!でも、俺の残るポケモンはコモルー1体…!足が遅いコイツじゃあのスピードには付いていけねぇ上に、射程のある技もねぇから下手な介入すら出来ねぇ…!後のことは2人に頼って、俺はただ見守ることしか出来ねぇのか…!)

 

 

何も出来ない状況に自身への情けなさと悔しさが込み上げるなか、フェローチェとの激しい攻防を繰り広げるメガスピアーとメガバシャーモは相手を前後に挟み込んだ瞬間、同時に攻撃を繰り出す

 

だが、フェローチェは2体の攻撃が重なる瞬間に体を捻らせることで紙一重で直撃を避け、更にそのすれ違い様に"トリプルアクセル"を繰り出し炸裂させて2体を吹き飛ばす

 

 

「スピィ…ッ!?」

 

「バシャ…ッ!?」

 

「スピアー…っ!」

 

「バシャーモ…っ!」

 

 

吹き飛ばされて地面に叩き付けられた2体を心配し、メリッサとフレンが叫ぶ

 

 

「フェロッ!」

 

 

直後、フェローチェが動き出すが、その標的は戦闘不能寸前のメガスピアー達ではなく、メリッサだった

 

 

「…っ!?」

 

「メリー…っ!」

 

(いや、ここだ…っ!)

 

 

メリッサの危機にフレンが叫ぶなか、イブラヒムは彼女を救おうと同時にフェローチェを倒すチャンスを見出し、ボーマを投げた

 

 

「頼んだぞ、コモルー!"まもる"!」

 

 

イブラヒムはメリッサとフェローチェの間に割って入るようにコモルーを飛び出させ、即座に"まもる"を発動させる

 

 

「フェ…ロォォォ…ッ!?」

 

 

コモルーの"まもる"によって"とびひざげり"を防がれたフェローチェは技が失敗に終わったことによる反動のダメージを受け、苦しみ悶える声を上げる

 

 

「"とびひざげり"の反動ダメージを狙った"まもる"…!ナイスだ、ヒム…!」

 

「ああ…!この隙に叩き込む!コモルー!"ドラゴンクロー"!」

 

 

激痛に踠くフェローチェの隙を突いて、コモルーは"ドラゴンクロー"を繰り出す

 

 

「フェロォ…ッ!!」

 

「コモォ…ッ!?」

 

 

だが、フェローチェは怒りを原動力に激痛を耐えながらコモルーの"ドラゴンクロー"を躱し、直後に反撃の"トリプルアクセル"を炸裂させる

 

 

「コモォ…ッ!?」

 

「嘘だろ…!?アイツ、なんて執念なんだよ…!」

 

「そんな…っ!」

 

「くっ…!負けるな…!コモルーっ!」

 

 

千載一遇のチャンスを捩じ伏せられ、メリッサ達の表情に絶望の影が差すなか、"諦めるわけにはいかない"という強い想いをイブラヒムはコモルーに叫んだ

 

 

「コ…モォォ…ッ!!!」

 

 

イブラヒムの声…その想いが届いたのか、コモルーは失いかけた意識を取り戻して雄叫びを上げる

 

その瞬間、コモルーの体が眩く輝き出した

 

 

「…ッ!?」

 

「コモルー…っ!?」

 

「な、なに…!?」

 

「この光は…!もしかして…!?」

 

「ああ…!進化が始まったんだ…!」

 

 

一同が目を見張るなか、コモルーは輝きの中で姿形を変え、"ドラゴンポケモン":ボーマンダへと進化を遂げる

 

 

「ボーマァッ!」

 

 

そして、進化を果たした瞬間、ボーマンダはフェローチェの左脚へと喰らいついた

 

 

「フェ…ッ!?フェロォ…ッ!!」

 

 

喰らいつかれたフェローチェは"離れろ!"と言わんばかりに右脚による蹴りを何度も叩き込むが、ボーマンダは決して離すまいと堪える

 

 

「…っ!今だ…!メリッサっ!フレンっ!」

 

 

フェローチェを倒すため、ボーマンダが決死の行動でチャンスを作っていると察したイブラヒムが2人に叫ぶ

 

 

「うん…っ!スピアー!"どくづき"!」

 

「バシャーモ!"ブレイズキック"!」

 

 

メリッサとフレンが同時に指示を飛ばし、その声にメガスピアーとメガバシャーモは残る力を振り絞って起き上がり、フェローチェへと突っ込んでそれぞれの技を繰り出す

 

 

「ボーマァァァッ!!!」

 

「スピィィィッ!!!」

 

「バシャァァァッ!!!」

 

 

3体は咆哮が轟かせ、メガスピアーとメガバシャーモはフェローチェに攻撃を炸裂させる

 

 

「フェ…ロォォォォォ…ッ!!?」

 

 

2体の渾身の一撃を受けたフェローチェは甲高い呻き声を上げ、吹き飛ばされた先の壁に勢いよく叩きつけられる

 

 

「フェ…ロ…」

 

 

そして、力無いか細い声を最後に意識を途絶え、フェローチェはその場に倒れ伏した

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイドン、リオル、ソウブレイズ

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

卯月コウ
手持ち:エースバーン、サーナイト、ラプラス

イブラヒム
手持ち:マンムー、ボーマンダ、グソクムシャ
   サンダース、ドラピオン、コータス

フレン・E・ルスタリオ
手持ち:バシャーモ、パルスワン、ラッキー
   フライゴン、ニューラ、パッチラゴン

メリッサ・キンレンカ
手持ち:エモンガ、スピアー、イワパレス

ベルモンド・バンデラス
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   アーケオス、イシヘンジン
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