にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第67話「コーヴァスジム前編!リゼvsベルモンド!」

 

「ルカリオ!"メタルクロー"!」

 

「グソクムシャ!"アクアブレイク"!」

 

 

ライバルであるコウとのバトルを経た2日後…リゼはイブラヒムの屋敷に設けられたバトルフィールドでイブラヒムのポケモン達を相手に軽いウォーミングアップを行っていた

 

 

「そこまで!」

 

 

ルカリオとグソクムシャは互いに一歩も譲らぬ攻防を繰り広げていたが、これ以上は後に控えるジム戦への支障をきたすと判断してアンジュがストップを入れ、2体はそこでバトルを終了する

 

 

「いい感じだったよ、ルカリオ!調子はバッチリだね!」

 

「ルオッ!」

 

「エンペルト達の状態も問題ないし、今回も良いバトルが期待出来そうだね」

 

「エンペッ!」「サァイッ!」「ブイッ!」

 

 

ウォーミングアップを終え、調子を万全に整えたリゼのポケモン達は午後のジム戦に向けて気合いが十分に高まっている様子を見せる

 

 

「いよいよリゼ様のジム戦!楽しみだな〜!」

 

「うん!どんなバトルをするのか、今からワクワクするね!」

 

「でも、その前に腹ごしらえだ。空腹で集中が切れる…なんてヘマして負けたらダサいからな」

 

「そうですね!しっかり食べて、元気付けないと!」

 

 

特訓に付き合ったフレン達もリゼのジム戦に胸を高鳴らせるなか、イブラヒムにそう言われて一同は昼食の準備に取り掛かる

 

そして、昼食を取り終わった午後…リゼはようやく6つ目のジムとなるコーヴァスジムへの挑戦の時を迎える

 

 

 

 

「たのもー!」

 

 

時刻は昼過ぎ…アンジュ達と共にコーヴァスジムへ訪れたリゼはジム戦への意気込みを声にしながら扉を開く

 

 

「来たな…!待っていたぞ、リゼちゃん!」

 

 

ジムの扉を開いた先には、リゼの到来を待ち侘びていたベルモンドとジム戦の審判を務めるプティの姿があった

 

 

「お〜!イブラヒム達もいるじゃん!もしかして、リゼさんのジム戦の観戦?」

 

「そうだな」

 

「そうなんだ〜!あれ…?そういえば、コウさんとりりむちゃんは一緒じゃないの?」

 

「コウさん達は次のジムに向けて先に旅立っちゃったので」

 

「え〜!そうなの〜!?もうちょっとゆっくりしていけばいいのに〜!」

 

「まあ、コウさんにはコウさんの事情がありますから」

 

「さて、立ち話もそのくらいにして、そろそろジム戦を行うバトルコートへ移動しようか」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 

軽く会話を挟んだところで、ベルモンドの案内を受けてリゼ達はコーヴァスジムのバトルコートへと移動する

 

 

 

 

「さて、ジム戦を始める前に…。リゼちゃん、勝手ながら1つ頼みを聞いてくれないか?」

 

 

バトルコートがある大部屋に移動し、リゼとベルモンドがそれぞれの立ち位置へ、アンジュ達が観覧席に移動したところで、少し申し訳なさそうな様子でベルモンドが頼み事を申し出る

 

 

「頼み…ですか?」

 

「わざわざジム戦前にか…?」

 

「何なんだろう…?」

 

 

突然のことにリゼはもちろん、イブラヒム達も不思議に思うなか、ベルモンドは1つのモンスターボールを投げる

 

 

「ディア〜!」

 

「えぇ…っ!?」

 

「ディアンシー…!」

 

「…っ!?」

 

 

その中から、コーヴァスシティの近くにある鉱山でリゼ達が出逢った幻のポケモン:ディアンシーが飛び出し、リゼ、アンジュ、イブラヒムが驚愕を露わにする

 

 

「え…!?何あの可愛いポケモン…!」

 

「あれは幻のポケモン、ディアンシー…。鉱山で立ち入り禁止にされてる通路の先でベルさんが匿ってたポケモンだ…」

 

「イブラヒムは知ってたの…!?」

 

「にじレジ団襲撃の日に、リゼさん達と鉱山へ行った時にな。でも、今まで秘匿にしてきたディアンシーをどうして…?」

 

 

ディアンシーを初めて見るフレンとメリッサにイブラヒムが説明するなか、ベルモンドが話を始める

 

 

「リゼちゃん達にはもう話したんだが、ディアンシーはずっと、その存在の重大さから外に出ることが許されなかった。いずれは俺が外の世界に連れ出してやろうと思ってるが、まだしばらくそれも難しい」

 

 

"そこで…"と、ベルモンドは話を続ける

 

 

「既に事情を知っていて、信頼出来るリゼちゃん達の前になら連れ出してもいいと判断し、ジム内でのバトルくらいなら問題ないと思った」

 

「そういうことだったんですか…!」

 

「ただ、ジムバッジを懸けた公式の試合で正当でない私情を挟むことに抵抗はある。だから、リゼちゃんがもし良ければ、このジム戦でのディアンシーの使用を許してもらいたい。どうだろう?」

 

「もちろん、構いません!ディアンシーとバトル出来るなんて滅多にない機会だと思いますから!」

 

「…ありがとう。とは言え、ジム戦はジム戦だ!リゼちゃんの実力をしっかりと見極めるため、本気でいくぞ!」

 

「はい!お願いします!」

 

 

ベルモンドの頼みについての話が済んだところで、審判を務めるプティがジム戦のルール説明を始める

 

 

「では、これよりチャレンジャー:リゼ・ヘルエスタさんとジムリーダー:ベルモンド・バンデラスのジム戦を始めます!使用ポケモンは4体!どちらかのポケモン全てを戦闘不能した方の勝利とします!なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められ、Z技・メガシンカはいずれか1つのみの使用となります!」

 

「Z技とメガシンカ…。ということは、ベルさんはその内のいずれかを使ってくるのか…」

 

「チャレンジャーの実力に合わせて変えるらしいですよ。俺の時はメガシンカで、フレンの時はZ技だった」

 

「そういえば、メイフ砂漠でリゼ様はルカリオをメガシンカさせたって聞きましたけど、ジム戦を受けずにベルさんからキーストーンとメガストーンを貰ったんですか?」

 

「いや、あの後にリゼはジム戦に勝って正式に貰うことを望んだからベルさんに返したよ」

 

「となると、リゼさんが使えるのはZ技のみというわけだね」

 

「それでは、お互いにポケモンを…!」

 

「俺の1番手はこいつだ!いけ!トロッゴン!」

 

 

プティによるジム戦のルール説明が終わり、ベルモンドは1体目のポケモンにトロッゴンを繰り出す

 

 

「ベルさんの1体目は岩・炎の複合タイプを持つトロッゴンか。草と鋼タイプ対策ってことだね」

 

「岩タイプは弱点が多いっすからね。当然、挑戦者の多くは有利なタイプで突いてくるし、ジムリーダーもそれは分かってるから相応のポケモンを使ってくる。対するリゼさんの1体目は…」

 

「お願い!エンペルト!」

 

 

イブラヒム達が注目するなか、リゼは1体目のポケモンにエンペルトを繰り出す

 

 

「リゼ様の1体目はエンペルトか〜!」

 

「水タイプなら、岩・炎タイプのトロッゴンには有利だね!」

 

「たしかに有利だけど、セオリー通りで勝てるほどベルさんは甘くないぞ」

 

 

リゼがタイプ相性の上で有利を取って安心するフレンとメリッサ

 

だが、イブラヒムはその程度で楽観視せず、アンジュも緊張感を持ってリゼとベルモンドのバトルを見守る

 

 

「先攻はチャレンジャーのリゼさん!それでは、バトル始め!」

 

「いくよ、エンペルト!"うずしお"!」

 

 

バトル開始…早速、効果抜群の技で攻めようとするリゼの指示でエンペルトが"うずしお"を繰り出す

 

 

「トロッゴン!"いわなだれ"!」

 

 

対するベルモンドはトロッゴンに"いわなだれ"を繰り出させ、"うずしお"にぶつけて相殺し、直撃を防ぐ

 

 

「"うずしお"と打ち消しあった…!?なんて威力なんだ…!」

 

「ベルさんのトロッゴンは攻撃力を最大限まで伸ばしているんすよ。だから弱点を突いてくる技には、今みたいに技で強引に防いでくる」

 

「アレには私も苦しんだなぁ〜…」

 

「トロッゴン!"ニトロチャージ"!」

 

「エンペルト!"はがねのつばさ"で迎え撃って!」

 

 

トロッゴンの力技にアンジュ達は各々の反応を示すなか、今度はベルモンドから仕掛けてリゼが対応に回り、トロッゴンの"ニトロチャージ"とエンペルトの"はがねのつばさ"がぶつかり合う

 

力は互角のようで互いに相手に押し勝つには至れず、2体は後ろへと飛び退いて一度距離を取る

 

 

「エンペルト!"れいとうビーム"!」

 

「走れ!トロッゴン!」

 

 

距離を取ったところでエンペルトは"れいとうビーム"を繰り出すが、トロッゴンは"ニトロチャージ"で高めた素早さを以って走り抜け、容易く回避する

 

 

「"10まんばりき"!」

 

 

そして、エンペルトの攻撃を振り切ったトロッゴンは一気に距離を詰め、"10まんばりき"を炸裂させる

 

 

「エンペ…ッ!」

 

「エンペルト…!大丈夫…!?」

 

 

効果抜群の攻撃を受けて吹き飛ばされたエンペルトは顔を歪ませ、それを心配してリゼが声を掛ける

 

 

「"ニトロチャージ"で素早さが上がってるとは言え、なんてスピード…!」

 

「ベルさんのトロッゴンの手強さは最大限まで仕上げられた攻撃力と"ニトロチャージ"で素早さを高めてくること。あの状態だと、攻撃を当てるのも至難になる」

 

「トロッゴン!もう一度"10まんばりき"だ!」

 

 

既にベルモンドとのジム戦を経験しているイブラヒムがトロッゴンの強さを解説するなか、再びベルモンドが仕掛け、トロッゴンが走り出す

 

 

「足の早い相手への対策はちゃんと用意しています!エンペルト!地面に向かって"れいとうビーム"!」

 

 

しかし、リゼはニッと笑うとエンペルトにフィールドへ向けて"れいとうビーム"を繰り出させる

 

フィールドは忽ち氷漬けになり、小回りと踏ん張りが利かなくなったトロッゴンは体勢を崩し、転倒する

 

 

「なに…っ!?」

 

「地面を凍らせることで、トロッゴンの機動力を奪ったのか…!」

 

「流石はリゼ様っ!」

 

 

素早いトロッゴンに対応してみせたことにベルモンドは驚き、観覧席のイブラヒム達が声を上げる

 

 

「今だよ、エンペルト!"うずしお"!」

 

 

転倒して隙が出来たトロッゴンにリゼはすかさず指示を出し、エンペルトは"うずしお"を繰り出し、炸裂させる

 

 

「トロッゴォォ…ッ!?」

 

「これはやられたな…!だが、タダでは終わらないぞ!トロッゴン!"ステルスロック"!」

 

 

称賛の声を上げるベルモンドは"うずしお"のダメージでトロッゴンが戦闘不能となる前に"ステルスロック"を指示する

 

"うずしお"のダメージに耐えながら、トロッゴンは"ステルスロック"を発動させ、エンペルトの周囲に尖った岩が突き立つ

 

 

「なに…!?この技…!」

 

「"ステルスロック"…!いや、岩タイプのジムなら使ってきても不思議じゃないか…!」

 

「出たぁ〜っ!凄く厄介な技…!」

 

 

初めて見る技"ステルスロック"にリゼが動揺するなか、その技を既に知っているアンジュは険しい、フレンは嫌そうな表情を浮かべる

 

 

「トロッゴォ…」

 

「トロッゴン、戦闘不能!エンペルトの勝ち!」

 

 

不穏な空気が漂うなか、最後の力を振り絞ったトロッゴンが遂に倒れたことでプティがその戦闘不能を告げる

 

 

「よくやった、トロッゴン…ゆっくり休んでくれ。フィールドを凍らせることでトロッゴンの素早さに対応…実に見事だった!」

 

「は、はい…!ありがとうございます!」

 

「だが、バトルはまだまだこれからだ!次も同じように突破出来るとは思わないでくれよ!いけ!ゴローニャ!」

 

「ゴローニャッ!」

 

「ゴローニャ…!あれ…?でも、見た目が違う…。というか、体から突き出てるあの黒い岩は何…!?」

 

 

ベルモンドが2体目に繰り出したのは"メガトンポケモン":ゴローニャ

 

だが、その姿は通常のそれとは異なり、顔には髭のようなものが生え、体の上には尖った2つの黒い岩が突き出ていた

 

 

「こいつはアローラ地方でその姿が確認されているアローラの姿のゴローニャだ。タイプは通常とは異なって岩・電気タイプ。磁力を帯びていて、体から突き出ている2つの黒い岩はレールガンのような機能を持っている」

 

「アローラ地方の…!それに電気タイプを持ってるなんて…!岩タイプに弱点を突ける水タイプ対策ってわけですね…!」

 

 

原種と異なるアローラ:ゴローニャについて、ベルモンドから簡単な話を聞き、リゼは更にバトルへの熱を高める

 

 

「へぇ〜、そうなんだ…!」

 

「あれ…?フレンさんはあのゴローニャとバトルしてるんじゃないんですか?」

 

「いえ、私の時は2体目がソルロックでした」

 

「ベルさんは相手のポケモンに合わせて2体目の選出を毎回変えてるんすよ。ちなみに、俺の時はツボツボでした」

 

「相手によって異なる複合タイプのポケモンの選出…。6つ目のジムというだけあって、これまでのジム戦以上に徹底したバトルだね…」

 

 

イブラヒムとフレンの話を聞き、アンジュはベルモンドがジムリーダーとして挑戦者の実力を見極めようとするその本気度を感じた

 

 

(岩・電気タイプなら両方のダメージを抑えられるサイドンが有利!ベルさんの残りの3,4体目のポケモンが分からないし、エンペルトはまだ残しておきたい!)

 

 

得た情報を元にどう有利にバトルを進めていくか考えたリゼはエンペルトをより相性の良いサイドンへ交代しようと判断する

 

 

「それじゃあ、バトル始め!」

 

「エンペルト、戻って!」

 

 

試合再開と同時、リゼはサイドンへ交代するためエンペルトをボールに戻そうとする

 

バチッ…!

 

 

「え…っ!?」

 

 

だが、ボールから伸びた赤い光は弾かれてしまい、エンペルトを戻すことは出来なかった

 

 

「モンスターボールに戻せない…!?どうして…!」

 

「それはゴローニャの特性"じりょく"によるものだ。この特性を持つポケモンを前にして、はがねタイプを持つポケモンは交代が出来なくなる」

 

 

エンペルトが交代出来ないことに驚くリゼに、ベルモンドはニヤリと笑みを浮かべて説明する

 

 

「有利なタイプで対応してくるだけじゃなく、交代まで封じてくるなんて…!」

 

「ベルさんも容赦ないな。リゼさんがエンペルトを使ってくることを見越してアローラ:ゴローニャを手持ちに加えてただろ」

 

「そうなの…!?それってちょっとズルくない…!?」

 

「別にズルくはねぇよ。リゼさんだって鉱山と砂漠の一件で一応ベルさんのポケモン達を見てはいるんだしな」

 

「それに、ベルさんはこの状況からリゼがどう対応してくるのかを見たいんだと思う」

 

「つまり、これはベルさんがリゼさんに与える試練ってことか…」

 

「こっちの思うようにはさせないバトル…!6つ目のジムなだけあって、やっぱり手強い…!エンペルト、連戦になるけど頑張って!"うずしお"!」

 

 

アンジュ達がベルモンドの意図を理解するなか、リゼはすぐに状況を受け入れると共にエンペルトを鼓舞し、"うずしお"での攻撃を仕掛ける

 

 

「ゴローニャ!"じゅうでん"!」

 

 

エンペルトが繰り出した"うずしお"に対し、アローラ:ゴローニャは"じゅうでん"を発動させ、回避はせずに受け止める

 

 

「直撃した…!」

 

「岩タイプに水タイプの技は効果抜群!これは良いダメージに…!」

 

「…いや、そうでもない。ゴローニャを見てみろ」

 

 

"うずしお"の直撃に声を上げるメリッサとフレンだが、それを否定するイブラヒムの言葉を受けてアローラ:ゴローニャへ目を向ける

 

視線の先…"うずしお"に囚われその攻撃を受け続けているアローラ:ゴローニャは、効果抜群のはずにも関わらずその表情を歪ませてはいなかった

 

 

「あのゴローニャ、そんなに効いてないみたいだよ…!?」

 

「や、痩せ我慢なだけじゃないの…!?」

 

「なわけあるか。"うずしお"が直撃する前に繰り出した技"じゅうでん"には特防を高める効果がある。だから本来よりもダメージが軽減されてるんだよ」

 

 

驚くメリッサとフレンにイブラヒムが解説する

 

 

「単に弱点を突いただけでそう簡単に優勢にはならないよね…!なら、まずは確実に動きを止める…!エンペルト!"れいとうビーム"!」

 

 

アローラ:ゴローニャが"うずしお"に囚われている間に完全に身動きを封じてしまおうと、リゼは氷漬けを狙ってエンペルトに"れいとうビーム"を繰り出させる

 

 

「ゴローニャ!"ワイルドボルト"!」

 

 

対するアローラ:ゴローニャはベルモンドの指示で"ワイルドボルト"を発動

 

地を蹴ると共にそのパワーで自身を拘束する"うすしお"を弾き飛ばし、そのまま迫る"れいとうビーム"も押し退けてエンペルトへと炸裂させる

 

 

「エンペェェ…ッ!?」

 

「エンペルト…ッ!」

 

 

強力な"ワイルドボルト"の一撃を受けたエンペルトは大きく吹き飛ばされ、フィールドの岩に激突して力無く倒れる

 

 

「エンペェ…」

 

「エンペルト、戦闘不能!ゴローニャの勝ち!」

 

「"うずしお"の拘束を意図も容易く打ち破って、"れいとうビーム"も押し退けた…!」

 

「凄い威力だったね…!」

 

「"じゅうでん"は特防を高めるだけじゃなく、次に繰り出す電気技の威力を高める効果もあるからな」

 

「地味な割にめちゃくちゃ便利な技じゃん…!というか、リゼ様のZ技って水タイプのなんですよね…!?」

 

「そっか…!エンペルトがやられたらもう…!」

 

 

アローラ:ゴローニャの強さとエンペルトが倒れたことでリゼにとってこのバトルで唯一の切り札であるZ技が使えなくなったことにフレンとメリッサが動揺するなか、当のリゼはエンペルトをボールへと戻す

 

 

「エンペルト、お疲れ様。ゆっくり休んで。流石はベルさん…!有利なタイプだろうと、油断は出来ない…!次こそあなたの出番だよ!サイドン!」

 

 

ベルモンドの実力を改めて認識し、リゼはエンペルトに代わって2体目のポケモンにサイドンを繰り出す

 

 

「リゼさんの2体目は岩・電気タイプのゴローニャに対して有利な岩・地面タイプのサイドンか」

 

「岩タイプの技は効果が今一つ、電気技は無効!これなら余裕で勝てるね!」

 

「それはどうだろうね…。相手は6つ目のジムリーダー…こういう不利な状況への対策も用意はしてるはず」

 

 

アンジュ達が見守るなか、サイドンvsアローラ:ゴローニャのバトルが始まる

 

 

ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!

 

ドコォォォン…ッ!

 

 

「サイ…ッ!?」

 

「サイドン…っ!?」

 

 

…かと思いきや、サイドンがフィールドへ出た途端、トロッゴンが悪足掻きにばら撒いた周囲に突き刺さっていた鋭利な岩:"ステルスロック"が突如浮き出し、サイドンへ目掛けて飛来してきた

 

 

「急に周囲の岩が…!どうして今…!?」

 

「それが"ステルスロック"の特徴だからさ。"ステルスロック"は設置以降に場に出てきたポケモンにダメージを与える技。加えて、岩タイプとの相性関係でそのダメージ量も変化する」

 

「"まきびし"みたいな技ってことか…!でも、相性関係ってことは"まきびし"と違って飛行タイプや"ふゆう"の特性を持つポケモンにも効くっぽい…!厄介な技ですね…!」

 

「あの技本当に厄介なんだよねぇ…。私の時もソルロックに使われて凄く苦戦したし…」

 

「でも、サイドンは地面タイプを持ってるから"ステルスロック"のダメージはそれほど大きくないよね?」

 

「ああ。だが、交代するたびにダメージを受けるってのは相当なリスクになる上に、バトルの流れや勢いも殺される」

 

「どういうこと…?」

 

「有利にバトルが進んでるなら、トレーナーはもちろんポケモン達の士気も高まってより良いパフォーマンスが出来る」

 

「逆にバトルの流れが不利だったり、追い込まれることで精神が不安定になるとパフォーマンスが落ちることは珍しくない」

 

「交代はそういった悪い流れを変える手段の1つだが、"ステルスロック"はそれにリスクを伴わせてくる」

 

「単純な強さだけじゃなく、精神的にも追い込んでくるバトル…。イブラヒムさんが言っていた"ベルさんがトレーナー達にとって最大の鬼門"だってことが今分かった気がする…」

 

 

ベルモンドの解説を聞いてリゼが"ステルスロック"について理解する背後で、アンジュ達はその厄介さと共にベルモンドがジムリーダーとして如何に高い壁として立ちはだかっているかを改めて感じた

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「いくよ、サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

プティのバトル再開の宣言と共にリゼが先手を取って仕掛ける

 

 

「ゴローニャ!"ストーンエッジ"!」

 

 

"ドリルライナー"で突っ込んで来るサイドンに対し、アローラ:ゴローニャは繰り出した"ストーンエッジ"でサイドンとの間に防御壁として幾つもの鋭利な岩を隆起させる

 

それに構わず突っ込んだサイドンは破竹の勢いで"ストーンエッジ"の防御壁を突破していき、最後の1つも破壊してアローラ:ゴローニャに"ドリルライナー"を炸裂させる

 

 

「ゴロォ…ニャァッ!」

 

「今のを耐えるんだ…!?」

 

「ゴローニャは防御力に秀でたポケモンではあるけど、それでも効果抜群の"ドリルライナー"を受けてもあの様子なのは、"ストーンエッジ"の防御壁でサイドンの"ドリルライナー"の威力を抑えたからだね」

 

 

だが、アンジュの指摘通り、アローラ:ゴローニャは"ストーンエッジ"を防御に利用したことでサイドンの"ドリルライナー"の威力を弱めたことで大きなダメージにならずに済んでいた

 

 

「サイドン!"いわなだれ"!」

 

「ゴローニャ!"ワイルドボルト"!」

 

「えぇ…っ!?」

 

「地面タイプに電気タイプの技は効果が無いのに、なんで…!?」

 

 

フレン達が驚くなか、ゴローニャはベルモンドの指示通りに"ワイルドボルト"を繰り出し、迫る"いわなだれ"を砕き進んでサイドンに炸裂させる

 

だが、当然地面タイプに電気タイプの技は無効

 

サイドンへダメージを与えられずに終わったゴローニャはその後に飛び退いて大きく距離を取る

 

 

「今のは"いわなだれ"のダメージを技で軽減するのが狙いだったのかな…?」

 

「いや、それならサイドンに攻撃を当てる必要まではないはずだ…。ベルさんのことだから、何か考えがあるとは思うんだが…」

 

(ベルモンドさんが何を考えてるのかは分からないけど、だからこそ予想もつかない今は考え過ぎずに次の手を打たないと…!)

 

「サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

ベルモンドがアローラ:ゴローニャへ出した指示にイブラヒム達が疑念を抱くなか、狙いが分からない以上は下手に思考を割くことがペースを乱されることに繋がると考えたリゼはサイドンへ指示を出して"ドリルライナー"を繰り出させる

 

 

「ゴローニャ!"じだんだ"!」

 

 

迷いなく仕掛けて来るリゼとサイドンにベルモンドは不敵な笑みを浮かべると、アローラ:ゴローニャは"じだんだ"を指示をする

 

アローラ:ゴローニャは酷く苛立った様子で力強く地面を踏み抜いて割り、それによって大岩ほどある地面の破片を勢いよく弾け飛ばす技"じだんだ"を突っ込んで来るサイドンの腹部へ直撃させる

 

 

「サィィィ…ッ!」

 

「サイドン…っ!?」

 

 

効果抜群とは言え、あまりに苦しそうな呻き声を上げながら吹き飛ばされるサイドンを心配し、リゼが叫ぶ

 

 

「な、なに…!?今の威力…!」

 

「あのサイドンが軽々と吹き飛んだよ…!?」

 

「"じだんだ"…!直前に出した技が失敗していると威力が倍になる地面タイプの技だ…!」

 

「サイドンに効果が無い"ワイルドボルト"をゴローニャに指示したのはこのためだったのか…!」

 

 

高威力の"じだんだ"で一気にサイドンを追い込む

 

そのために、直前で地面タイプを持つサイドンにダメージを与えることが出来ない電気タイプの技である"ワイルドボルト"をアローラ:ゴローニャに指示したのだと判り、アンジュ達は驚きの声を上げる

 

 

「さあ、畳み掛けるぞ!ゴローニャ!もう一度"じだんだ"だ!」

 

 

体勢を立て直す暇は与えまいと、ベルモンドは再びアローラ:ゴローニャに"じだんだ"を繰り出させる

 

 

「…っ!頑張って、サイドン!"いわなだれ"で防御!」

 

 

リゼに鼓舞されたサイドンは苦しい様子を見せるも根性で体を起こして"いわなだれ"を繰り出し、それをぶつけることで"じだんだ"の直撃を防ぐ

 

 

「やるなぁ…!あの"じだんだ"を受けた直後でこれほど早く立ち上がるとは…!」

 

「決めるよ、サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

サイドンの根性にベルモンドも感心するなか、リゼはここで勝負を決めようとサイドンに"ドリルライナー"を繰り出させる

 

 

「ゴローニャ!"ストーンエッジ"で迎え撃て!」

 

 

"ドリルライナー"で突っ込んで来るサイドンをアローラ:ゴローニャは"ストーンエッジ"で迎え撃つ

 

 

「サ…サイィィィィィッ!!!」

 

 

サイドンは地面から迫り上がる"ストーンエッジ"の直撃を受けるも意地と根性で堪えて突き進み、アローラ:ゴローニャに"ドリルライナー"を炸裂させる

 

 

「ゴロォォ…ッ!?」

 

「ゴローニャ、戦闘不能!」

 

「やった!よくやったね!サイドン!」

 

 

アローラ:ゴローニャの戦闘不能を確認したプティの判定を聞き、リゼは奮闘したサイドンに喜びの声を上げる

 

 

「サ…イ…」

 

「…っ!サイドン…!?」

 

 

だが、最後に受けた"ストーンエッジ"で既に体力を消耗し切っていたのか、サイドンは力無くその場に倒れ伏した

 

 

「サイドン、戦闘不能!」

 

「相打ち…。いや、むしろあの状況からこの結果に持ち込めただけ十分か」

 

「惜しかったけど、サイドンも最後よく頑張ったよね…!」

 

 

手持ち数の有利までは取れなかったものの、強敵だったアローラ:ゴローニャを突破出来ただけでも十分だと、イブラヒム達はサイドンの活躍を褒め称える

 

 

「お疲れ様、サイドン。最後の頑張り、応えてくれてありがとう」

 

「よくやった、ゴローニャ。素晴らしい働きだったぞ。流石だな、リゼちゃん!君のサイドンが最後に見せた底力!トレーナーとポケモンの信頼関係があるからこそ成せたもの!見事だった!」

 

「ありがとうございます!」

 

「さあ、バトルも丁度折り返しだ!その意気で最後まで君の持てる力全てを出し切ってくれ!」

 

 

更に熱を帯びていくバトルに向けて、リゼとベルモンドは3体目となるポケモンを収めているモンスターボールを強く握り締める

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイドン、ルカリオ、ソウブレイズ

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

ベルモンド・バンデラス(ジム戦)
手持ち:ディアンシー、トロッゴン、ゴローニャ(アローラ)
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