にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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本作品をご愛読されている皆様、こんにちは。投稿主のMr.ソロです。
今回は少しお知らせがあります。

今月一杯は諸事情によって投稿をお休みさせていただきます。少しずつ執筆して来月7月の頭には投稿出来るようにはするので、続きはしばらくお待ちいただけますようお願いいたします。

それでは、本編をどうぞ。



第68話「コーヴァスジム後編!ルカリオvsディアンシー!」

 

6つ目のジムバッジを懸けて、コーヴァスジムのジムリーダー:ベルモンド・バンデラスとのジム戦に臨むリゼ

 

ベルモンドの1体目となるトロッゴンをエンペルトで見事突破するも、2体目に繰り出されたアローラ:ゴローニャの特性"じりょく"により交代を阻止され、"じゅうでん"からの"ワイルドボルド"によって戦闘不能に陥る

 

続くサイドンもアローラ:ゴローニャの"じだんだ"で追い詰められるが、持ち前の根性で立ち上がり、なんとか相打ちの結果へ持ち込む

 

そして、互いに使用ポケモンの半分を失ったリゼとベルモンドのバトルは折り返しに突入する

 

 

 

 

「お願い!イーブイ!」

 

 

互いに一歩も引かないバトルを繰り広げるリゼとベルモンドのジム戦もいよいよ後半戦へ突入するなか、リゼは3体目のポケモンにイーブイを繰り出す

 

 

「イブィ!イ、イブィ…ッ!?」

 

 

やる気十分な様子でフィールドへと飛び出たイーブイだったが、それと同時にトロッゴンが仕掛けた"ステルスロック"の効果が発動し、周囲にばら撒かれた鋭利な岩がイーブイに飛来してダメージを与える

 

 

「あぁ…っ!"ステルスロック"のダメージが…!」

 

「バトル開始前から体力を削ってくる、本当に厄介な技だな。それにしても、リゼさんの3体目はイーブイか…」

 

「ノーマルタイプの技は岩タイプにあまり効果が無いんだよね?」

 

「そうですね。でも、リゼのイーブイは岩タイプに弱点を突ける鋼タイプの技"アイアンテール"がある」

 

「なるほど、なら勝機は十分…あっ…」

 

「…?どうかしたんですか?」

 

「いや、よく考えたらベルさんの残りは使用宣言したディアンシーともう1体…。3体目にディアンシーを出して来ないなら、ここで岩タイプの弱点を突こうとする意味はないなって…」

 

 

リゼが3体目のポケモンにイーブイを繰り出したことについてアンジュ達が話すなか、一人あることに気付いたイブラヒムが意味深な発言を残す

 

 

「岩タイプに対してノーマルタイプのポケモンか。おそらく、覚えている技に何かしら対策があるんだろう。だが、生憎と俺の3体目はこいつだ!いけ!ヤミラミ!」

 

 

そんななか、アンジュ達と同様にリゼがイーブイを繰り出した理由を推測するベルモンドは3体目のポケモンにヤミラミを繰り出す

 

 

「ヤミラミ…!?岩タイプのポケモンじゃないのにどうして…!」

 

「知らなかったかい?ジム戦ではチャレンジャーの対応力を測るために、そのジムが専門とするタイプの技を覚える異なるタイプのポケモンを使用することが認められているんだ」

 

「そういえば、スメシシティで夢追さんがそんなこと言ってた…!緑仙さんがこのジムで手こずったポケモンってヤミラミのことだったんだ…!」

 

「ゆめおに緑仙だって…?リゼちゃん、2人と知り合いなのかい?」

 

 

岩タイプを専門とするジムで悪・ゴーストタイプのヤミラミを使用する理由を説明するなか、リゼの口から緑仙と夢追の名前が出たことに驚いたベルモンドはどういった関係なのか気になって尋ね出す

 

 

「はい、緑仙さんがベルモンドさんとのジム戦に敗れてスメシシティに帰って来たところで出逢って、その後にバトルを経て仲良くなってオウマシティまでご一緒しました」

 

「そうか…。緑仙が言っていた恩人とはリゼちゃんのことだったか」

 

「緑仙、ジムへ挑戦しに来たんですね…!」

 

「ああ。リゼちゃんが街へ来た2日程前に挑戦しに来て、見事に勝利したよ。ジムリーダーとしては厳しい対応をせざるを得なかったが、1人のトレーナーとしては彼女がここで終わってしまうのは惜しいと思っていた。そんな彼女を君は立ち上がらせ、大きく成長させた。こんな時になんだが、礼を言わせてくれ。ありがとう」

 

「いえ、私も緑仙さんには諦めて欲しくなかったですから!よーし、私も負けてられない!」

 

 

ベルモンドから緑仙の話を聞いて、リゼは気持ちを昂らせ気合いを入れ直す

 

 

「それにしてもヤミラミか…。たしかに、岩タイプの弱点を突こうと格闘タイプのポケモンで挑もうとするトレーナーには厳しい相手だね…」

 

「対するリゼさんはイーブイ。ノーマルタイプにゴーストタイプの技は効果が無いけど、その逆も同じ。相手に対して有効な技をどれだけ覚えているかが…。いや、その考えは安直だな」

 

 

これから始まるバトルの展開を予想するなか、イブラヒムは直前のバトルでアローラ:ゴローニャが地面タイプのサイドンに敢えて効果が無い電気タイプの技を使い、次に繰り出した"じだんだ"の威力を上げた戦い方を思い出す

 

 

「タイプ相性の上ではダメージの無い技でも、使い方次第でバトルを有利にすることが出来る…」

 

「うん…!どんなバトルになるか楽しみだね!」

 

「それでは、バトル始め!」

 

「イーブイ!"シャドーボール"!」

 

 

一同が期待を寄せて見守るなか、プティがバトル開始の宣言をし、リゼは先手を取ってイーブイに"シャドーボール"を繰り出させる

 

 

「ヤミラミ!"シャドークロー"で受け止めろ!」

 

 

放たれた"シャドーボール"をヤミラミはベルモンドの指示通り"シャドークロー"をぶつけることでそのダメージを大幅に抑え込ませる

 

 

「なるほど、ベルさんはイーブイに効果が無い"シャドークロー"を防御手段として活用するみたいだな」

 

「今度はこっちからいくぞ!ヤミラミ!"パワージェム"!」

 

 

相手に対して効果の無い技の使い方に注目していたイブラヒムがベルモンドのそれを見てそう呟くなか、今度はベルモンドが攻勢に移り、ヤミラミが"パワージェム"を繰り出す

 

 

「イーブイ!"でんこうせっか"で避けて!」

 

 

ヤミラミの周囲に展開された多角形の宝石から放たれる光のビームによる攻撃"パワージェム"をイーブイは"でんこうせっか"を用いて躱し切る

 

 

「逆にリゼは効果が無い"でんこうせっか"をイーブイのスピードを一時的に上げるために使うみたいだね」

 

 

ヤミラミに対するイーブイが覚える効果の無い技の活かし方についてアンジュも所感を呟くなか、リゼは真剣な面持ちで思考する

 

 

(一度の攻撃で数が多い"パワージェム"に対して、イーブイの"シャドーボール"は1発ずつしか繰り出せない…!距離を取った撃ち合いは不利…!接近戦に持ち込むしかない…!)

 

「イーブイ!」

 

 

ヤミラミに有効打を与えるには接近する他ないと判断したリゼはイーブイに呼び掛ける

 

 

「ブイッ!」

 

 

リゼの呼び掛けでその意図を察したイーブイはそのまま"でんこうせっか"でヤミラミへと突っ込んでいく

 

 

「いっけ〜!リゼ様〜!イーブイ〜!」

 

「このままヤミラミの懐に飛び込めれば…!」

 

「いや、"でんこうせっか"から有効打のある技へ切り替える瞬間は必ずスピードが落ちる…!そこを捉えられないほど、ベルさんのヤミラミは甘くねぇ…!」

 

(いや、リゼの狙いは多分…!)

 

 

期待を高まらせるフレンとメリッサにイブラヒムが否定的な意見を述べるなか、アンジュはリゼがイーブイに取らせた行動に見覚えがあり、その意図に勘付ていた

 

 

(さあ、いつ仕掛けて来る…!?)

 

 

ベルモンドとヤミラミはイーブイが何処で有効打のある技を繰り出してくるか、その瞬間を見逃さないよう注意深く身構えて待つ

 

 

「ブイッ!」

 

「ヤミ…ッ!?」

 

「なに…っ!?」

 

 

だが、ベルモンド達の予想を裏切り、イーブイは"でんこうせっか"を維持したままヤミラミに突っ込んだ

 

しかし、ノーマルタイプの技である"でんこうせっか"はゴーストタイプに効果は無く、突っ込んだイーブイはヤミラミの体を擦り抜けてダメージを与えることはなかった

 

 

「技を切り替えずにそのまま突っ込んだ…!?」

 

「リゼ様、もしかしてタイプ相性を忘れちゃったんですか…!?」

 

「いや、そうじゃない!この状況こそがリゼの本当の狙いだよ!」

 

「今だよ、イーブイ!"かみつく"攻撃!」

 

 

動揺するイブラヒム達にアンジュがそう答えるなか、ヤミラミを擦り抜けたことでその背後を取ったイーブイはリゼの指示を受けて"かみつく"を繰り出し、炸裂させる

 

 

「ヤミィ…ッ!?」

 

「ヤミラミ…っ!くっ…!やられたよ…!ノーマルタイプや格闘タイプの技は実体を無くせるゴーストポケモンの体を擦り抜ける…!その性質を利用して背後を取って来たか…!」

 

 

してやられた後でようやくリゼの狙いに気付けたベルモンドは驚きながらも"面白い"と言いたげな笑みを浮かべる

 

 

「敢えて効果の無い技で突っ込むことでゴーストポケモンの体を擦り抜け、その死角を取る…。たしかに、実用的な戦術だ…。盲点だった…」

 

「アンジュさんはよく気付けましたね…!」

 

「前にリゼが叶さんのミミッキュとバトルした時、同じ手を使ってたからね」

 

「流石はリゼ様〜!」

 

「イーブイ!続けて"アイアンテール"!」

 

 

イブラヒム達も感心するなか、リゼの指示でイーブイは"アイアンテール"を繰り出し追撃する

 

 

「ヤミラミ!"シャドークロー"で受け止めろ!」

 

「ヤ…ミィ…ッ!」

 

「…っ!?"かみつく"の追加効果で怯んだか…!」

 

 

"アイアンテール"を防御すべくベルモンドが指示を飛ばすが、ヤミラミは直前に受けた"かみつく"によって怯み状態に陥ってしまい、動くことが出来ずにそのままイーブイの"アイアンテール"を食らってしまう

 

 

「ヤミィ…ッ!?」

 

「ヤミラミ…ッ!大丈夫か…!」

 

 

ベルモンドに呼び掛けられたヤミラミは吹き飛ばされ倒れた体を起き上がらせ、"まだやれる"と言わんばかりに身構える

 

 

「もう一押し…!イーブイ!"でんこうせっか"!」

 

 

まだ倒れないが、"かみつく"と"アイアンテール"のダメージでヤミラミは着実に弱っており、あと一撃加えられれば倒せると判断したリゼはイーブイを突っ込ませて攻め立てる

 

 

「このままでは流石に負けてしまうな…。だから少し、本気を出させてもらうよ!ヤミラミ!"マジカルシャイン"!」

 

 

このままあっさり負けるわけにはいかないと、ベルモンドはヤミラミに"マジカルシャイン"を繰り出させる

 

 

「イブィ…ッ!?」

 

「イーブイ…っ!?」

 

 

"でんこうせっか"で迫ったイーブイは"マジカルシャイン"によって接近を阻まれ、押し通せずに吹き飛ばされてしまう

 

 

「あのヤミラミ、"マジカルシャイン"を覚えてるのか…!道理で緑仙さんが手こずったわけだ…!」

 

 

格闘タイプに弱点を突けるフェアリータイプの技をヤミラミが覚えていることから、アンジュは緑仙が何度もコーヴァスジムに敗北した理由に合点がいく

 

 

「ヤミラミを中心にして全方位へ放つ"マジカルシャイン"は攻撃と同時に相手の接近を阻む障壁の役割を果たす。これで容易には近付けなくなったぞ。さあ、どうする?」

 

「…っ!イーブイ!"アイアンテール"!」

 

 

攻撃と防御を同時に行う"マジカルシャイン"をどう突破するのか…その対応をベルモンドに迫られたリゼはイーブイに"アイアンテール"を指示する

 

 

「ヤミラミ!"マジカルシャイン"!」

 

 

"アイアンテール"を構えて突っ込んで来るイーブイをヤミラミは"マジカルシャイン"で迎え撃ち、技をぶつけ合う

 

 

「イ…ブィ…!イブィ…ッ!?」

 

「イーブイ…っ!」

 

 

技がぶつかり合った最初、フェアリータイプに対する鋼タイプの相性の良さがあったからか、イーブイの"アイアンテール"が僅かに押していた

 

だが、"マジカルシャイン"を押し切ってヤミラミの下へ到達する前に、踏ん張りが保たなかったイーブイは途中で弾き返されてしまう

 

 

("アイアンテール"を"マジカルシャイン"にぶつけても、イーブイの力じゃヤミラミの下まで押し切れない…!)

 

 

"あなをほる"のような攻撃の範囲外から攻めるか、より強力な技でゴリ押す方法であればヤミラミへの接近を阻む"マジカルシャイン"を突破することも容易だが、リゼのイーブイに現状そのような手はなかった

 

 

(イーブイが覚えてる技の中で1番威力のある"アイアンテール"で押し切れない以上、ルカリオに交代するのが得策…!でも、もしイーブイをまた出さないといけなくなったら、"ステルスロック"のダメージを受けることになる…!)

 

 

4体目に控えているルカリオに交代する手を考えたが、最悪ルカリオが倒れた時にイーブイは再び"ステルスロック"のダメージを受けることとなり、二度の"マジカルシャイン"を受けた体力ではそう長く戦えないのは目に見えていた

 

加えて、ルカリオの体力をベルモンドの4体目に控えているディアンシーのために出来る限り温存しておきたいと、リゼは考えていた

 

 

(ディアンシーとのバトルにはルカリオを万全の状態でぶつけたい…!だから、ヤミラミはなんとしてもイーブイで突破しないと…!)

 

 

方針を定め、リゼはどうやってヤミラミの"マジカルシャイン"を突破するか思考を巡らせる

 

 

(イーブイの覚えてる技でヤミラミの隙を突いたり、隙を作れるような手はない…!となると、一か八か強引に押し切るしかない…!)

 

「イーブイ!"シャドーボール"!パワーを溜めて!」

 

 

小細工は使えないと考えたリゼは単純なパワー勝負に打って出ることを決め、イーブイに"シャドーボール"を指示し、すぐには放たせずにその威力を高めさせる

 

 

「なるほど、威力を高めた一撃で"マジカルシャイン"を打ち破るつもりか。だが、そうはさせないぞ!ヤミラミ!"パワージェム"!」

 

 

技そのものの威力を高めるには相応の集中力が必要となるため、相手の準備が整う前にそれを妨害しようとベルモンドの指示を受けてヤミラミは"パワージェム"を繰り出す

 

 

「まあ、当然だよな…!"マジカルシャイン"を打ち破れるくらいまで威力を高める隙を与えてもらえるわけがねぇ…!」

 

「で、でも避けながらパワーを溜め続ければ…!」

 

「いや、それは無理だ…!技の威力を通常よりも高めるには相当な集中力を要する…!同時に回避行動を取る余裕なんて無い…!」

 

 

ポケモンが技を通常よりも強力な威力で繰り出す際、技によってある欠点を抱えた様々な方法を用いる

 

例えば、"かえんほうしゃ"や"10まんボルト"のような技の威力を高める時は体力を消耗させるが、当然繰り出した後は呼吸は荒くなり、疲労する様子が見られる

 

"メガトンパンチ"や"メガトンキック"のような技の場合は通常よりも体への負担を強いることで可能とし、負担を掛けた部位にダメージが蓄積されていく

 

そして、"シャドーボール"や"はどうだん"のような技は威力を上げようとすればするほどに集中力が必要となり、個体によっては身動きが取れなくなり、集中力が乱れれば当然技は不発に終わる

 

リゼのイーブイがヤミラミの"マジカルシャイン"に対抗出来る程に"シャドーボール"の威力を上げるには、身動きを取る暇が無い程の集中力が必要になるため、アンジュとイブラヒムはこの作戦は失敗に終わると予想した

 

 

「イーブイ!"シャドーボール"を打ち上げて!"でんこうせっか"!」

 

「「「「…!?」」」」

 

 

だが、次の瞬間にリゼが出した指示を聞いてアンジュ達は驚愕する

 

この最中、アンジュ達は次にリゼが取れる選択を2つ想像していた

 

1つはまだ威力を上げ切れてない"シャドーボール"が無駄にならないよう放つこと

 

もう1つは"パワージェム"を耐えて"シャドーボール"の威力を上げ続けることだった

 

後者はイーブイの体力や防御面を考えるとまず不可能なため、"パワージェム"を凌ぐためにも前者の行動に出るだろうとアンジュ達は予想していた

 

だが、リゼはアンジュ達の想像には無かった指示を飛ばし、イーブイはギリギリまで威力を高めた"シャドーボール"をジムの天井へぶつからない程度に打ち上げ、直後すぐに"でんこうせっか"を繰り出して"パワージェム"の弾幕を躱す

 

 

「一体何処に向かって…」

 

「イーブイ!岩を使ってジャンプ!からの"シャドーボール"に"アイアンテール"!」

 

 

ベルモンドも疑問を抱くなか、更にリゼの指示が飛び、イーブイはフィールドの大岩を踏み台に跳躍すると、丁度打ち上がり切って落下してくる"シャドーボール"に"アイアンテール"を叩きつけ、ヤミラミへと向けて打ち出す

 

 

「…っ!そう来たか…!ヤミラミ!"マジカルシャイン"!」

 

 

可能な限り威力を高めた"シャドーボール"を更に"アイアンテール"で打ち出すことで勢いを加えて強力な一撃にする

 

これで"マジカルシャイン"を打ち破ろうとするのがリゼの作戦だと気付いたベルモンドは受けて立とうとヤミラミに"マジカルシャイン"を繰り出させる

 

 

ドゴッ…!!!

 

 

強力な"シャドーボール"とヤミラミ全力の"マジカルシャイン"がぶつかり合い、その瞬間に大きな衝撃が響く

 

 

「凄い威力…!」

 

「十分に上げられなかった"シャドーボール"の威力を落下と"アイアンテール"の勢いで補ったんだ…!でも…!」

 

「"マジカルシャイン"を押し切るにはまだ足りてねぇ…!」

 

 

半端な状態から更に威力を増した"シャドーボール"にアンジュは一瞬期待したが、技のぶつかり合いは"マジカルシャイン"の方が僅かに上回っており、"シャドーボール"は徐々に押し返されようとしていた

 

 

「悪くない作戦だったが、あと一歩及ばなかったみたいだな…!この勝負は俺の…!」

 

「もう一押しいくよ、イーブイ!"アイアンテール"!」

 

 

ベルモンドがこのバトルの勝利を確信したその時、リゼの指示を受けてイーブイが"シャドーボール"に渾身の"アイアンテール"を叩き込む

 

 

「ヤ…ミィ…ッ!?」

 

「なに…っ!?」

 

 

イーブイの"アイアンテール"による押し込みが加わり、"シャドーボール"は"マジカルシャイン"を押し返し始める

 

 

「ヤ…ヤミィ〜…ッ!?」

 

 

既に全力だったヤミラミはこれ以上パワーを上げることも出来ず、"マジカルシャイン"を押し切られて"シャドーボール"が直撃する

 

 

「ヤミラミ…っ!」

 

 

直撃の後に生じた爆発に呑み込まれたヤミラミにベルモンドが叫ぶも、しばらくして爆発の煙が晴れた先でヤミラミはぐったりと倒れ伏していた

 

 

「ヤミラミ、戦闘不能!イーブイの勝ち!」

 

「やった…!よくやったね、イーブイ!」

 

「イブィ〜ッ!」

 

 

ヤミラミの戦闘不能の判定が告げられ、リゼとイーブイは勝利の喜びを分かち合う

 

 

「リゼ様〜!イーブイ〜!流石です〜!」

 

「一時はどうなるかと思ったけど、何とか勝てたね…!」

 

「これでベルさんの残るポケモンはディアンシーのみ…!イーブイも限界が近いだろうけど、少しでも削ることが出来ればそれだけ優位にバトルを進められる…!」

 

 

一先ずは数の優位を保った状態でリゼがディアンシーとのバトルを迎えられることにアンジュ達が一安心する

 

 

「ヤミラミ、ご苦労だったな。よく育てられたポケモン達にその絆の育み、バトルの柔軟な発想と窮地になっても折れない姿勢…。ここまでのバトルを通して、リゼちゃんのトレーナーとしてのその実力を十分に見せてもらった。素晴らしいものだよ」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

「さて、俺のポケモンも次で最後だ。だから、ここからは実力を見極めるための手加減はしない!持てる力全てを出し尽くして、全力の俺を超えてみせてくれ!頼むぞ!ディアンシー!」

 

 

バトルもいよいよ大詰めを迎え、ベルモンドはリゼに激励の言葉を贈ると共に最後の1体となるディアンシーを繰り出す

 

 

「ディア〜!」

 

「出てきたね…!ディアンシー!」

 

 

これから始まる幻のポケモンであるディアンシーとのバトルにリゼは緊張すると同時に胸を高鳴らせる

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「イーブイ!"アイアンテール"!」

 

 

プティからバトル再開の合図が出され、リゼは先手を取ってイーブイに"アイアンテール"を繰り出させる

 

 

「ディアンシー!"すなあらし"!」

 

 

突っ込んで来るイーブイに対し、ベルモンドの指示を受けたディアンシーは"すなあらし"を巻き起こす

 

 

「イ…ブィ…ッ!?」

 

 

ディアンシーの強力な"すなあらし"にイーブイは"アイアンテール"をぶつけるが弾かれてしまい、そのまま吹き飛ばされてしまう

 

 

「今だ、ディアンシー!"ダイヤストーム"!」

 

 

吹き飛ばしたイーブイを追撃すべく、ディアンシーは無数のダイヤモンドを嵐の如く勢いで放つ技"ダイヤストーム"を繰り出し、炸裂させる

 

 

「イブィ…」

 

「イーブイ、戦闘不能!ディアンシーの勝ち!」

 

 

"ダイヤストーム"を受けたイーブイはそのまま倒れ伏し、プティから戦闘不能が宣告される

 

 

「あちゃ〜…。少しもダメージを与えることなく戦闘不能か…。まあ、ヤミラミとのバトルで受けたダメージもあったし当然か…」

 

「というか、今の技は何…!?」

 

「"ダイヤストーム"…記録上、ディアンシーだけが覚える専用の技。見た通り、ディアンシーの能力で作り出した無数のダイヤを嵐の如く勢いで相手にぶつける技だよ」

 

「"すなあらし"も強力だったけど、鉱山の奥でひっそりと暮らしてた割には強いね…!」

 

「ハッハッハ!いつか俺と外の世界に出るために特訓していたらしくてな!実践経験こそ殆ど無いに等しいが、こうして最後を任せるのに十分な力はあるぞ!」

 

 

ディアンシーの予想以上の強さに驚くフレンとメリッサが驚くなか、ベルモンドは痛快に笑いながらその理由を語る

 

 

「ありがとう、イーブイ…ゆっくり休んで。ディアンシー、思ってた以上に侮れない相手かも…!でも、メイフ砂漠でのウルトラビーストとのバトルを通して私達も強くなった!その力を改めてベルモンドさん達に見せてあげよう!お願い!ルカリオ!」

 

 

リゼもディアンシーの強さを改めて認識し、最後のバトルに向けた意気込みと共にルカリオを繰り出す

 

 

「ルオッ!」

 

 

砂嵐が吹き荒れるフィールドにルカリオは威勢よくボールから飛び出す

 

その直後、フィールドに展開されている"ステルスロック"に襲われるが、ルカリオは岩タイプに耐性がある格闘・鋼タイプを持つためダメージは少なく済み、平然とした様子で佇んでディアンシーと向かい合う

 

 

「出た!ルカリオ!」

 

「鋼タイプのルカリオなら、岩タイプのディアンシーに相性は抜群…!でも…!」

 

「ああ。ベルさんはその対策をきっちり用意してあるはずだ。それに、まだZ技も残ってる」

 

「そういえば、ベルさんはヤミラミにメガシンカを使わなかったね…。どうしてだろう…?」

 

「そりゃあ、切り札ってのは普通最後まで取っておくもんだからな。だから、最後に出すと決めてたディアンシーのためにZ技を残したんだろ」

 

「なんにしても、最後まで油断出来ないバトルになりそうですね…!」

 

 

アンジュ達が見守るなか、最後のバトルの火蓋が切って落とされる

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「ルカリオ!"はどうだん"!」

 

「ディアンシー!"ムーンフォース"!」

 

 

リゼとベルモンドは同時に指示を飛ばし、ルカリオは"はどうだん"、ディアンシーは"ムーンフォース"を繰り出し、ぶつけ合った"はどうだん"とムーンフォース"は大きな爆発を起こして相殺される

 

 

「なかなかの威力だ…!ディアンシー!"ダイヤストーム"!」

 

 

ルカリオの"はどうだん"に感心の声を呟いたベルモンドは続けてディアンシーに"ダイヤストーム"を繰り出させる

 

 

「ルカリオ!"ボーンラッシュ"!」

 

 

対するルカリオは繰り出した"ボーンラッシュ"を風車のように廻旋させることで"ダイヤストーム"を弾き、そのままディアンシーへと突っ込む

 

 

「ルオッ!」

 

「ディア…ッ!?」

 

 

そして、"ダイヤストーム"を押し切ったルカリオはディアンシーに"ボーンラッシュ"を炸裂させる

 

 

「決まった…!」

 

「効果は抜群…!ここで更に叩き込めれば…!」

 

 

岩タイプのディアンシーに効果抜群となる地面タイプの技"ボーンラッシュ"の一撃目が炸裂し、更に連続して攻撃を浴びせれば大ダメージになると、イブラヒム達は期待を高める

 

 

「ディアンシー!"ムーンフォース"!」

 

 

だが、ディアンシーは"ボーンラッシュ"を受けながらも怯むことなく、ベルモンドの指示を受けてすぐに"ムーンフォース"を繰り出し反撃する

 

 

「ルオ…ッ!?」

 

「えぇ…っ!?」

 

「効果抜群の"ボーンラッシュ"を受けてるはずなのに、あんなにすぐ反撃を…!もしかして、あんまり効いてないの…!?」

 

「いや、ディアンシーのレベル自体はそう高くないはずだ…!となると、特性か技辺りにダメージを抑えているカラクリがある…!」

 

 

効果抜群の技を浴びせられているなか、すぐに反撃することが出来たディアンシーにフレンとメリッサは驚きの声を上げ、イブラヒムはそれが何かしら要因があってのことだと推測する

 

 

「流石はイブラヒム、目の付け所がいいな!その理由はディアンシーの技"ダイヤストーム"にある!"ダイヤストーム"には一定の確率で防御力を大幅に高める追加効果があるんだ!」

 

「それで効果抜群の"ボーンラッシュ"のダメージを抑えられたから、すぐに反撃に転じることが出来たんだ…!」

 

「それなら、物理技じゃなく特殊技で攻める!ルカリオ!"ラスターカノン"!」

 

 

ベルモンドから"ダイヤストーム"の隠された力を聞かされたアンジュ達が納得の声を上げるなか、リゼの指示が飛んでルカリオは"ラスターカノン"を繰り出す

 

 

「そう来るだろうと思っていた!ディアンシー!"マジカルフレイム"!」

 

 

ベルモンドの指示を受け、ディアンシーは"マジカルフレイム"を繰り出し、"ラスターカノン"とは衝突せずにすれ違わせて互いに技を直撃させる

 

 

「ルカリオ…!大丈夫…!?」

 

「ルゥゥ…ッ!ルオッ!」

 

「ディアンシー!平気か!?」

 

「ディ…ッ!ディアッ!」

 

 

互いに効果抜群の技を受けたルカリオとディアンシーはリゼとベルモンドに呼び掛けられると、"まだまだやれる!"と力強く返答する

 

 

「相打ちだったけど、"ラスターカノン"は鋼タイプの技…!岩・フェアリータイプのディアンシーにはめちゃくちゃ効果抜群だよね…!」

 

「ああ…。だが、これはマズいな…」

 

「え…?どういうこと…?」

 

 

ディアンシーに効果抜群の"ラスターカノン"が炸裂してフレンが心を弾ませるなか、逆に不穏な言葉を溢すイブラヒムにメリッサが尋ねる

 

 

「まず、ディアンシーが今使った技:"マジカルフレイム"には相手の特攻を必ず下げる追加効果がある。だから、次にルカリオが繰り出す特殊技は今よりも威力が落ちたものになる」

 

「そして、この砂嵐も厄介だ…。砂嵐状態では、岩・地面・鋼タイプのポケモン以外に継続的なダメージを与える、というのが基本的な知識だけど、岩タイプには更に自身の特防を高める効果もあるんだ」

 

「つまり、今のディアンシーは攻撃と特殊…両方に対して高い防御を有してるってこと…!?」

 

「逆にリゼさんのルカリオには防御面を強化する技も、体力を回復する技も無い。このままだと、ルカリオはディアンシーよりも先に限界が来るぞ…」

 

「そんな…!」

 

 

イブラヒムとアンジュ、2人の解説を聞いてフレンとメリッサの表情が一気に不安で染まる

 

 

(たしかに、"マジカルフレイム"で特攻を下げられ続けたら与えるダメージが減るのは当然、技同士のぶつけ合いにも押し負けることになる…!なら…!)

 

「ルカリオ!"メタルクロー"!」

 

 

このままでは劣勢になると理解していたリゼはルカリオに"メタルクロー"を繰り出させ、ディアンシーへと突っ込ませる

 

 

「そう来たか…!なら、ディアンシー!"マジカルフレイム"!」

 

 

リゼの狙いを察したような言葉を呟いたベルモンドは再びディアンシーに"マジカルフレイム"を繰り出させる

 

 

「…っ!ルカリオ!"ボーンラッシュ"で防いで!」

 

 

"マジカルフレイム"を繰り出された途端、リゼは慌てて指示を出し、ルカリオは"メタルクロー"から"ボーンラッシュ"へと技を切り替えて風車のように廻して攻撃を弾き防御する

 

 

「"メタルクロー"は攻撃した際に、一定の確率で攻撃力を上げる追加効果がある!それを狙ってディアンシーの高まった防御力に追い着こうと考えたんだろうが、そうはさせないぞ!」

 

 

技が当たらなければ逆転の目となる追加効果は望めない

 

ベルモンドにそれを読まれてディアンシーに"メタルクロー"では防げない"マジカルフレイム"を繰り出され、防御するために"ボーンラッシュ"の使用を余儀なくされてリゼの表情が少し険しくなる

 

 

「…っ!ルカリオ!"はどうだん"!パワーを溜めて!」

 

 

容易に接近出来ないならばと、リゼは特攻の低下を補わせる威力を高めた"はどうだん"を繰り出すようルカリオに指示する

 

 

「その手にはもう乗らないぞ!ディアンシー!"マジカルフレイム"!"はどうだん"は確実に阻止するんだ!」

 

 

イーブイとのバトルでしてやられた教訓から、ベルモンドは"はどうだん"の阻止または相殺を最優先とし、ディアンシーに"マジカルフレイム"を繰り出させる

 

 

「ルカリオ!跳んで!」

 

 

一直線に放たれた"マジカルフレイム"をルカリオはその場で力強く跳躍することで躱し、直後にある程度威力の高まった"はどうだん"を放つ

 

ディアンシーは繰り出し続けている"マジカルフレイム"の向きを迫る"はどうだん"へと合わせて衝突させると、相殺すると同時に大きな爆発が引き起こされ、フィールドに爆煙が立ち込める

 

 

「ルカリオ!波導でディアンシーの居場所を探って!"メタルクロー"!」

 

 

リゼの指示を受け、ルカリオは波導の力を集中させて爆煙の先にいるディアンシーの位置を捉えると、"メタルクロー"を繰り出し構えて爆煙の中へと突っ込んでいく

 

 

「なるほど。たしかに、ルカリオが持つ波導の力であれば視界が悪い煙の中でもこちらを捉えられる。だが、甘い!ディアンシー!"すなあらし"!」

 

 

リゼの作戦を評価しつつも否定したベルモンドはディアンシーに"すなあらし"を繰り出させる

 

 

「ルオ…ッ!」

 

 

ディアンシーが繰り出した強力な"すなあらし"によって爆煙が瞬く間に吹き飛び晴れると同時に、その突風を受けてルカリオの足が一瞬鈍くなる

 

 

「いたぞ!ディアンシー!"ムーンフォース"!」

 

 

その隙に、ルカリオを捕捉したディアンシーは"ムーンフォース"を繰り出し、ルカリオは両腕の"メタルクロー"をクロスする形で防御を構えてそれを受け止める

 

 

「今のも駄目だなんて…!」

 

「流石の対応力だな…!これまでのバトルと違って容赦ねぇ…!」

 

「これが、本気を出したベルさんの実力…!」

 

 

トレーナーの実力を見極めるためにある程度の手加減があったこれまでのバトルと違い、勝つことに全力を出す徹底的なバトルを繰り広げるベルモンドの真の実力にアンジュ達は瞠目する

 

 

(爆煙を目眩しにする手も防がれた…!次に"マジカルフレイム"が直撃すれば、ルカリオの特殊技が通じなくなって打てる手も少なくなる…!そうなる前に、何か方法を…!)

 

 

本気を出したベルモンドとディアンシーを相手にどうやってバトルを進めるかとリゼが思考を巡らせるなか、"さて…"と、ベルモンドが静寂を破る

 

 

「リゼちゃん、君はきっと今どうやってディアンシーに有効打を与えるか考えているだろうが、さっきも言った通り俺はもう手加減はしない。ここからは更に…激しくいくぞ!」

 

 

ベルモンドはそう言い放つと、自身の首に掛けているネックレス…それにぶら下がる銀色のチャームを手に取り掲げ、そこに埋め込まれたある物をリゼ達に見せ付ける

 

 

「アレは…!?」

 

「キーストーン…っ!」

 

「ってことは、まさか…!?」

 

「君達に見せてあげよう!メガシンカしたディアンシーが見せる至高の輝きを!」

 

 

チャームに埋め込まれていたキーストーンを見てリゼ達が驚愕するなか、ベルモンドがそれを突き出すと眩く輝き出し、同時にディアンシーが持つメガストーン:ディアンシーナイトも輝きを放つ

 

そして、双方から溢れるエネルギーが繋がり合い、七色の光に包まれたディアンシーはその姿を変化させてメガディアンシーへとメガシンカする

 

 

「あれがメガディアンシー…!」

 

「めちゃくちゃ可愛いんですけど…!?」

 

「綺麗…!」

 

「まさか、幻のポケモンがメガシンカするなんて…!」

 

「変わったのは見た目だけじゃねぇ…!メガシンカしたディアンシーからは途轍もないエネルギーのようなものを感じる…!メガシンカしたポケモンは能力が飛躍的に上昇するから当然だが、相当やべぇぞ…!」

 

 

より煌びやかな姿となったメガディアンシーにリゼとフレン、メリッサが目を奪われ、アンジュとイブラヒムが驚愕するなか、ベルモンドが早速仕掛けに動く

 

 

「ディアンシー!"ダイヤストーム"!」

 

 

メガシンカ後の最初の攻撃として、ベルモンドの指示を受けたメガディアンシーは"ダイヤストーム"を繰り出す

 

だが、メガディアンシーが繰り出した"ダイヤストーム"はメガシンカする前とは異なり、無数に放たれるダイヤモンドの大きさとその勢い、攻撃の範囲までもが格段に増していた

 

 

「…っ!?ルカリオ…!"ボーンラッシュ"!」

 

 

その威力が目に見えて上がっている"ダイヤストーム"を前に、リゼは驚きながらも指示を出し、ルカリオは"ボーンラッシュ"での防御を取る

 

 

「ルゥゥ…ッ!ルオ…ッ!?」

 

「ルカリオ…っ!?」

 

 

だが、威力を増した"ダイヤストーム"を前にルカリオは"ボーンラッシュ"で防御しながら突き進むことが出来ず、最後はその勢いに押し切られてしまい直撃を受けてしまう

 

 

「なんて威力だ…!さっきまでとは遥かに違う…!」

 

「おそらく、メガシンカしたことで特攻の能力が大幅に上がったんすね…。でも、メガシンカしたとは言え、これほどの威力は…」

 

「ディアンシーはメガシンカすることで攻撃面が大幅に強化される反面、メガシンカする前よりも防御面の能力が低下するんだ。通常は防御に特化、メガシンカ後は攻撃に特化しているというわけだな」

 

 

異常なまでの威力の上昇にアンジュとイブラヒムが驚愕と共に疑問を覚えるなか、ベルモンドは余裕な様子でその理由を説明する

 

 

「ってことは、今ならさっきまでよりもディアンシーにダメージを与えられる…!」

 

「また"ダイヤストーム"で防御力を上げられたり、"マジカルフレイム"で特攻を下げられる前に追い詰めないと…!頑張って〜!リゼ様〜!ルカリオ〜!」

 

「たしかに、攻めるなら今しかない…!ルカリオ!パワーを溜めて"はどうだん"!」

 

 

フレンが声援を送るなか、リゼの指示を受けてルカリオは"はどうだん"の威力を高める

 

 

「あれ…?ベルさん、なんで何も仕掛けて来ないの…?」

 

 

ルカリオが"はどうだん"の威力を高めている最中、メリッサは先程まで威力を高め切られる前に攻撃を仕掛けていたベルモンドがディアンシーにその指示を未だに出していないことに気付く

 

 

「おそらく、メガシンカしたディアンシーなら最大まで威力を高めたルカリオの"はどうだん"を上回ると踏んで、敢えて正面から受けて立つつもりだな…」

 

 

メリッサの疑問にイブラヒムがそう答えたところで、ルカリオは威力を最大まで高めた"はどうだん"をディアンシーへと放つ

 

 

「ディアンシー!"マジカルフレイム"!」

 

 

それに合わせてベルモンドが指示を飛ばし、メガディアンシーは"マジカルフレイム"を繰り出して"はどうだん"にぶつける

 

 

「ルオォ…ッ!?」

 

 

ディアンシーがメガシンカする前は相殺して終わった"はどうだん"と"マジカルフレイム"のぶつかり合いだが、今回は衝突後に一瞬だけ拮抗するも、すぐに"はどうだん"が押し返されてしまい、そのまま"マジカルフレイム"がルカリオへと直撃する

 

 

「威力を高めた"はどうだん"でも相殺出来ないなんて…!」

 

「これでもう、ルカリオは特殊技の撃ち合いで勝てなくなった…!物理技も近付けなきゃ意味がねぇし、ディアンシーの技をゴリ押すことも叶わねぇ以上、もう勝負は…!」

 

「か、勝手に終わらせないでよ…!イブちゃん…!きっとまだ何か方法はあるはず…!リゼ様〜!ルカリオ〜!」

 

(リゼ…!ルカリオ…!)

 

 

アンジュ達が固唾を呑んで見守るなか、リゼは額に汗を浮かべ険しい表情で必死に思考を巡らせていた

 

 

(近付こうにも"ボーンラッシュ"じゃ捌き切れない上に、特殊技の撃ち合いは勝負にならない…!技を応用した手はもう通用しない…!メガディアンシーを倒すには、他の何かを利用しないと…!何がある…!?フィールドにあるもの…!他にはルカリオが持つ特徴や力…!はっ…!?)

 

 

思考する最中、リゼはあることに気が付いて目を見開く

 

 

(ルカリオが持つ波導の力…!もし、それを攻撃にも利用することが出来たら…!)

 

「ルオ…!」

 

「…っ!」

 

 

ルカリオ最大の特徴でもある波導…その力にリゼが可能性を見出した瞬間、その意思を感じ取ったのか、ルカリオはリゼに顔を振り向き"試してみよう!"と言うように頷いた

 

 

「…うん!やるだけやってみよう!ルカリオ!」

 

 

リゼが呼び掛けると、ルカリオは瞳を閉じて深く深呼吸し、精神を集中させる

 

そして、ゆっくりと構えを取りながら両拳に向けて波導の力を流し込む

 

 

「ルオォッ!!」

 

 

次の瞬間、ルカリオが目をカッと開き咆哮を上げたと同時に、その両拳に蒼い炎のようなものが溢れ出す

 

 

「ルカリオの手に何か出てきたよ…!?」

 

「アレはもしかして…波導のエネルギー…!」

 

「ほう…!面白いことを考え付くな…!」

 

 

ルカリオの両拳に溢れ出た波導のエネルギー…それを目の当たりにしたアンジュ達は目を丸くし、ベルモンドも驚くと共に興味を示す

 

 

「ルカリオ、いけそう?」

 

「ルオッ!」

 

「よし!それじゃあ、いくよ!"はどうだん"!」

 

 

勝利への兆しが見えて威勢を取り戻したリゼは指示を出し、ルカリオは"はどうだん"を繰り出そうと構える

 

次の瞬間、ルカリオが構える両掌に"はどうだん"が生成されるが、これまでのモノとは違って凄まじい波導のエネルギーを帯びていた

 

 

「あの"はどうだん"…!さっきまでと少し違くない…!?」

 

「ルカリオの手から溢れ出てるエネルギーと同じものがその周りを激しく渦巻いてる…!」

 

 

ルカリオが生成した荒々しい波導のエネルギーを周囲に渦巻かせている"はどうだん"は、この場の誰もが先程までとは明らかに違うと断言出来るほどに凄まじいパワーを感じさせていた

 

 

(パワーを溜める行為をしていない素の状態で既にこれほどのエネルギー…!更に威力を高められたら、メガシンカしたディアンシーと言えど危うい…!)

 

「ディアンシー!"ムーンフォース"!」

 

 

ルカリオが繰り出そうとしているその"はどうだん"を脅威と感じたベルモンドはすぐさま指示を出し、メガディアンシーは"ムーンフォース"を繰り出す

 

 

「ルカリオ!いっけぇぇぇ!!」

 

「ルオォォッ!!」

 

 

リゼの呼び掛けと同時に、ルカリオは波導の力によって強化された"はどうだん"を放ち、"ムーンフォース"へとぶつける

 

ぶつかり合った"はどうだん"と"ムーンフォース"の威力は拮抗し、最後には大爆発を引き起こしての相殺に終わる

 

 

「なにこの威力…っ!?」

 

「おそらく、ルカリオの拳から溢れ出てる波導のエネルギーが"はどうだん"に流れ込んだことで威力が増大しているんだ…!」

 

「だとしても、二度の"マジカルフレイム"を受けて特攻が下がってる状態でこれか…!本調子だと一体どれだけ馬鹿げた威力になるんだ…!?」

 

「とにかく、これならメガディアンシーと互角に張り合えるんだよね…!リゼ様〜っ!ルカリオ〜っ!頑張って〜っ!」

 

「ルカリオ!"ボーンラッシュ"!」

 

 

波導の力を駆使した"はどうだん"の凄まじい威力にアンジュ達は驚愕すると同時にリゼの勝利に希望を見出すなか、リゼの指示でルカリオは"ボーンラッシュ"を繰り出すと、それに波導のエネルギーを纏わせて強化し、メガディアンシーへと突っ込む

 

 

「こいつはちょっと洒落にならないな…!ディアンシー!"ダイヤストーム"!」

 

 

想定以上の結果を見せた波導の力による強化に焦りを感じたベルモンドはメガディアンシーに"ダイヤストーム"での迎撃を指示する

 

 

「ルオォッ!」

 

 

ルカリオは"ボーンラッシュ"を風車のように振り回して"ダイヤストーム"へと突っ込むが、先程とは違って波導のエネルギーによる強化を受けた"ボーンラッシュ"は"ダイヤストーム"の無数のダイヤを易々と砕き、ぐんぐんとメガディアンシーへと迫っていく

 

そして、"ダイヤストーム"を見事に押し切ったルカリオは波導を纏った"ボーンラッシュ"をメガディアンシーへ叩き込む

 

 

「ディアァァ…ッ!?ディ…ッ!!」

 

 

波導のエネルギーで強化された効果抜群の"ボーンラッシュ"の直撃を受けてメガディアンシーは痛烈なダメージを負うが、直前の"ダイヤストーム"で防御力が上がっていたことでその痛みに耐え、体勢を立て直してルカリオを見据える

 

 

「"ダイヤストーム"の追加効果を引き寄せれたか…!よくやった!ディアンシー!これで最後にするぞ!"マジカルフレイム"!」

 

 

メガディアンシーの頑張りを褒めるベルモンドは次の一撃で勝負を決めようと呼び掛けると共に指示を出し、メガディアンシーは残る力全てを注いだ最大パワーの"マジカルフレイム"を繰り出す

 

 

「ルカリオっ!私達も次で決めるよっ!"ラスターカノン"!」

 

 

リゼもここで勝負を着けようと呼び掛け、ルカリオも持てる波導のエネルギー全てを注ぎ込んで強化させた全力の"ラスターカノン"で迎え撃つ

 

 

「ルオォォォォォッ!!」

 

「ディアァァァァァッ!!」

 

 

激突した"ラスターカノン"と"マジカルフレイム"は空気を震わせる程の凄まじい衝撃波とエネルギーを発し、ルカリオとメガディアンシーは"負けてなるものか"と咆哮を上げる

 

 

「負けるな!ディアンシーっ!!」

 

「頑張って!ルカリオっ!」

 

 

互いに一歩も譲らない技のぶつけ合いに熱い気持ちが込み上げてきたリゼとベルモンドが叫び、その想いに応えようとルカリオとメガディアンシーは更に力を込める

 

 

「ディィィアァァァァァ…ッ!!!」

 

「ルゥゥゥ…ッ!オォォォォォォォ…ッ!!!」

 

 

2体の技のぶつかり合いはより激しさを増すが、ルカリオの"ラスターカノン"が僅かにその威力を上回って徐々に押し返し始める

 

 

「ディ…アァァァァァ…ッ!!」

 

 

メガディアンシーは必死に抵抗するも覆すことは叶わず、遂に"マジカルフレイム"を打ち破られてしまい、そのまま"ラスターカノン"の直撃を受ける

 

 

「ディアンシー…ッ!」

 

 

ベルモンドが心配するなか、"ラスターカノン"の直撃で生じた爆煙の中から落下して出てきたディアンシーはそのまま地面へと墜落する

 

 

「ディァ…」

 

「ディアンシー、戦闘不能!ルカリオの勝ち!よって勝者、リゼさん!」

 

「勝った…。やった…!勝ったよ!ルカリオ!」

 

 

プティからジム戦の勝利が宣告され、リゼは大いに喜びながら力を出し尽くして座り込んでいるルカリオへと駆け寄り、後ろから思い切り抱き付く

 

 

「ルオ…!?」

 

「よく頑張ったね!ルカリオ!凄かったよ!」

 

「…ルオ」

 

 

ワシャワシャと激しく頭を撫でられるルカリオは驚きと嫌がる様子を見せるが、リゼの喜ぶ顔に最後は抵抗を諦め釣られるように軽い笑みを溢した

 

 

「お疲れさん、ディアンシー。勝たせてはやれなかったがどうだった?楽しかったか?」

 

「ディア…!」

 

 

バトルは敗北で終わったが、ベルモンドと共にリゼとルカリオとのバトルが出来たディアンシーは満足気な笑みを浮かべる

 

 

「そうか…。夢のような時間は一先ずここでおしまいだが、続きはいつか一緒に世界を旅する時まで取っておこう。だからそれまで待っていてくれ。必ず迎えに行くから」

 

 

いつか外の世界へ連れ出す…優しく微笑みながら改めてその約束を交わし、ベルモンドはディアンシーをボールへと戻す

 

 

「リゼ!6つ目のジム戦勝利、おめでとう!」

 

「リゼ様もルカリオ達も本当に凄かったです!」

 

「うん!沢山勉強になったし、見ててこっちも熱くなるようなバトルだった!」

 

「最後だけとは言え、本気を出したベルさんに勝っちまうなんて大したもんっすよ」

 

「今まで見てきたジム戦の中でも1番白熱したバトルだったよ〜!本当におめでとう〜!」

 

「みんな、ありがとう!」

 

「リゼちゃん!」

 

 

自身の下へ駆け寄って来たアンジュ達から称賛の言葉が贈られるなか、リゼは声を掛け歩み寄って来るベルモンドへと向き直る

 

 

「まずは改めて感謝を…ディアンシーと本気のバトルをさせてくれてありがとう。そして、実に素晴らしいバトルだった」

 

「はい!私もベルモンドさんとディアンシー達とバトルが出来て楽しかったです!」

 

「それは良かった。それじゃあ、コーヴァスジム:ジムリーダーである俺に勝利した証として、このコーヴァスバッジを。そして、メガシンカ出来るポケモンを持つリゼちゃんには、このキーストーンとメガストーン"ルカリオナイト"を贈ろう」

 

 

互いの健闘を讃え合ったリゼはベルモンドから6つ目のジムバッジとなるコーヴァスバッジとキーストーン、ルカリオナイトの3つを受け取る

 

 

「ありがとうございます!」

 

「やりましたね!リゼ様!」

 

「これで遂に、リゼも正式にメガシンカが使えるようになったね」

 

「どんどん手強いライバルになるね、イブラヒム」

 

「まあ、その方が張り合いがあるってもんだろ」

 

「リゼちゃん…それにイブラヒムとフレン。君達3人の残るジムはヘルエスタジムとシーズジムの2つだったな。残る2人のジムリーダーは俺よりも強く、更なる苦戦を強いられると思うが、ポケモン達と絆を育み共に成長している君達なら、きっと勝てると俺は信じてる。ポケモンリーグ挑戦…頑張ってくれ!」

 

「「「はい!」」」

 

 

イブラヒム、フレンと共にベルモンドから激励の言葉を受け取り、6つ目のジムバッジを懸けたリゼのジム戦は幕を下ろした

 

 

 

 

「…こいつは困った」

 

 

コーヴァスシティ東南東…エニカラ雪山

 

その中腹より少し上の所に存在する古い遺跡の出入り口に佇む男は、遺跡内の探索を終えた矢先の突然の猛吹雪に足を止められてしまい困っていた

 

 

「せっかく最近良くなったと思って来たらこれだよ…。しかも例年以上の猛吹雪ときた…。これはしばらく遺跡に身を寄せて野宿かねぇ…」

 

 

猛吹雪の中では徒歩で下山することはおろか、並大抵の飛行ポケモンでは強風に煽られ墜落してしまうため、下山を諦めた男は吹雪を凌ぐため遺跡の中へと踵を返す

 

 

「ギャーオ…」

 

「…っ!」

 

 

その時、微かに聞こえたポケモンの鳴き声に男は足を止め思わず振り返る

 

 

「今の鳴き声…!まさか、奴が渡って来ているのか…!」

 

 

その鳴き声の正体に心当たりがある男は吹雪以外は何も見えない外を睨み、そう呟いた

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、イーブイ、バタフリー
   サイドン、ルカリオ、ソウブレイズ

アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ

イブラヒム
手持ち:マンムー、ボーマンダ、グソクムシャ
   サンダース、ドラピオン、コータス

フレン・E・ルスタリオ
手持ち:バシャーモ、パルスワン、ラッキー
   フライゴン、ニューラ、パッチラゴン

メリッサ・キンレンカ
手持ち:エモンガ、スピアー、イワパレス

ベルモンド・バンデラス(ジム戦)
手持ち:ディアンシー、トロッゴン、ゴローニャ(アローラ)
   ヤミラミ
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