前回から約3ヶ月も投稿が空いてしまったこと、申し訳ありません。
今回の話を執筆するに当たり、なかなか最低限自分の納得出来るモノに仕上がれないでいました。まあ、元より駄文なので拘ったところで大してクオリティは向上しませんが、自分に出来る可能な限りを尽くしたいと思い続けて、今日までかかってしまいました。
昨今、この小説を書き始めて以降にデビューしたライバーさん、広がっていくにじさんじのライバー関係から、ポケモン第10世代が出た時に書こうと新たな作品の構想を練り出してます。
しかし、今執筆している作品を書き切らずに次の作品を書こうとするのは後ろめたさが残ります。ですので、私は第10世代が出るまでにこの作品を書き切るつもりでいます。
また今回のように執筆に詰まって投稿が長く空いてしまうことがあるかもしれませんが、その時は"すみません!"と思いながら少しずつでも執筆を進めていく所存です。
以上、謝罪と決意表明でした。それでは、本編へどうぞ。
今から遡ること数百年ほど昔…パルデア地方でかつて栄えたパルデア帝国が滅亡する少し前の頃
大陸の西端に存在した小さな国の周辺に広がる森でソウブレイズの進化前であるポケモン…カルボウは生まれた
「ボ…ボゥ…」
ある日、まだ野生では弱かったカルボウは他の野生のポケモンに襲われて命からがら逃げ延びるも瀕死の怪我を負い、人間が暮らす国と森の境界近くまで逃げたが、そこで体に限界が訪れ、茂みの中に倒れ込んだ
段々と意識が遠くなるなか、その茂みを掻き分ける者がいた
「あら…!あなた、酷い怪我じゃない…!すぐに手当てしないと…!爺や…!こっちに来て…!」
カルボウを見つけたのは一人の少女…その小さな国を幼くして治める王女だった
少女は傷付いたカルボウを見るとすぐに抱え上げて城へ連れて帰り、自身を支えてくれる執事と共に怪我が完治するまで看病をしてくれた
「もうすっかり元気ね。さあ、自由にお行きなさい」
「ボゥ…」
「あら?どうしたの?」
「姫様。このカルボウには帰る場所も仲間も無いのでしょう。あの森でカルボウが生息しているという話は聞いたことがありません。おそらく、まだタマゴの頃から本来の生息域を外れてしまったのかと」
「そんな…!」
執事の話を聞いた少女は、カルボウを幼くして両親を亡くしてしまい一人ぼっちとなった自身と重ね、胸を痛めた
「…ねぇ?もし、あなたさえ良ければ私と一緒に暮らさない?」
「ボウ…!?」
「いいわよね?爺や」
「ええ、構いません。仮に駄目だと申しても、もう心に固く決めているのでしょう?」
「ふふ、そうよ!カルボウ!私のパートナーになってくださらない?」
「ボ…ボゥ…!」
その日、少女の優しさに心を打たれたカルボウは彼女のポケモンとなった
それから、カルボウは少女のポケモンとして幸せな日々を過ごした
そんなある日、少女はカルボウに自身の夢を語った
「私ね、大きくなったら世界を旅したいの!お城の本で見た純白の雪原や広大な砂漠、宝物が眠る遺跡や洞窟にまだ誰も見たことのない沢山の秘境に行ってみたい!でも、旅には危険が付きもので、自然の脅威は勿論、怖いポケモンも沢山いるの…」
「ボウ!ボウボウ!」
「うん!あなたが一緒にいてくれるなら、心強いわ!だから約束よ!いつか私と一緒に世界を見て周りましょうね!」
「ボウ〜!」
だが、少女の夢が叶う前に悲劇は突然訪れた
カルボウが少女のポケモンになってから約1年ほど経ったある日の夜…城の金銀財宝を狙って大勢の賊が少女の住む城を襲撃してきた
「姫様!ここはお逃げください!」
「ええ…!カルボウ、あなたも一緒に…!」
「ボウ!ボウッ!」
「カルボウ…!」
賊の襲撃に少女は執事の言う通りに逃げようとするが、カルボウは賊に対する怒りと少女を守りたい想いから、賊を倒そうと立ち向かった
「ボウボウッ!」
「なんだこいつ…!邪魔するなら容赦しねぇぞ!ザングース!"ブレイククロー"!」
「ザングッ!」
だが、賊が従えるポケモンとのレベル差は大きく、一撃を受けてしまっただけでカルボウは瀕死の重傷を負ってしまった
「ボゥゥゥ…ッ!?」
「カルボウ…!大丈夫…!?しっかりして…!」
「おっと…!お嬢ちゃん、話に聞いたこの城の主だな?丁度いい、金目の物がたんまりある場所に案内してくれよ」
「あなた方にお渡しする物は何もありません…!」
少女は賊に屈せず、カルボウを抱き上げるとすぐさま駆け出した
「…っ!おい!逃げんじゃねぇ!ザングース!"ブレイククロー"!」
「させません!ジジーロン!"りゅうのはどう"!」
少女を襲おうと飛び掛かるザングースに執事のジジーロンが"りゅうのはどう"を直撃させ、その行手を阻む
「姫様!ここは私が足止めいたします!今の内に早く!」
「ありがとう…!爺や…!」
執事に助けられた少女は足を止めずに走り続ける
「あのガキを逃すな!とっ捕まえろ!」
だが、執事に足止めされた賊が仲間に呼び掛け、数人が怒号を発しながら少女を追いかけて来た
(このままだと、裏口に辿り着く前に追いつかれちゃう…!そうだわ…!)
自身の足では賊から逃げ切ることは不可能と判断した少女は、見つけたその日から何度も遊びに足を運んだ城の地下…その奥にある広い空洞に作られた隠し部屋へ逃げ込むことを思い付いた
城の大広間に駆け込んだ少女はそこにある玉座…その裏にある隠し扉から地下へ逃げ込み、なんとか目的の地下空洞の隠し部屋へと辿り着いた
「はぁ…!はぁ…!後はここでやり過ごせれば…!」
だが、現実は非情だった
目的を果たした賊達が撤退時に火を放ったことで城は大火事となり、火の手こそ届かなかったが、それと共に生まれた黒煙が隠し扉の隙間から侵入して少女達がいる地下空洞にまで達したのだ
これ以上の逃げ場がない空洞の中では黒煙から逃れる術は無く、少女はここが自身の最期だと悟って弱っているカルボウを抱き寄せる
「カルボウ、ごめんなさい…。いつか2人で世界を見て回ろうって約束したのに…。それも叶えられずに、あなたを1人にさせてしまうことをどうか許して…」
「ボ…ボウ…」
謝る少女にカルボウは涙を浮かべ、弱々しい声を上げながら抱き返す
黒煙がどんどん空洞内に充満していき、少女の命を蝕んでいく
だが、そんな苦しい状況で少女はカルボウのことだけを考えていた
自分の命が潰えた後、カルボウはどうするだろうか?
自分を守れなかったことを悔やみ、傍から離れず一生をこの地で終えるかもしれない
それだけ自分のことを想ってくれるのはこれ以上なく嬉しいが、カルボウが幸せになってくれなければそれ以上に心が痛む
しばらくの間は深い悲しみに沈みはするだろう
だが、そこからカルボウが再び歩み出すための光を与えなければと、徐々に命の灯が小さくなるなか、少女は思案した末の頼みを告げる
「ねぇ、カルボウ…。私の最後のお願い、聞いてくれるかしら…?」
意識が遠のいていくなか、カルボウは少女の言葉に耳を傾ける
「もし、あなたが無事に生き残れたら、私の代わりに世界を見て回ってくれないかしら…?私と同じように、あなたを想ってくれる方と一緒に…」
「ボ…ウ…」
「心配しないで…。すぐにとはいかなくても、いつか必ずあなたの手を引いてくれる素敵な人が現れてくれる…。だから、ちゃんと生きて、私の分も幸せな思い出を沢山作ってね…」
「ボ…ゥ…」
少女のその言葉を最後に、カルボウの意識は途絶え、少女が持つポケモンボールの中へと吸い込まれていった
それから数ヶ月後…目覚めたカルボウはポケモンボールから飛び出し、そこで永遠の眠りについた少女を目にして絶望した
同時に少女がかつて城からこの場所へ密かに持ち出していた数ある物の1つ…"ノロイノヨロイ"がカルボウの強い絶望の感情に反応してソウブレイズへと進化を遂げさせた
悲しみに暮れたソウブレイズはその後、少女を守れなかった自身を憎み、ひたすらに強さを求めて廃墟となった城に足を踏み入れた者達や周辺の野生ポケモン達に容赦なくバトルを仕掛け続けた
そうしている内に、ソウブレイズの強さと恐ろしさは噂となって周辺に伝わり、次第に廃墟の城に踏み入る者はいなくなった
それからしばらくして、ソウブレイズはどれだけ強くなろうと守るべき少女がいないのでは意味が無いと虚無感を覚えると、少女の傍で数百年に及ぶ深い眠りについた
そして、次に目覚めたあの日の夜…自身の前にリゼが現れた
ゲットされた直後は連れて行かれる気など更々無かったが、ましろの説得を受けたこと、リゼから少女に通ずるものを感じたことから、それを受け入れた
それと同時に、ソウブレイズはとある使命を自身に課した
この先で戦う全ての相手に勝ち、リゼを守る
そうすることでかつて守ることが出来なかった少女への贖罪になると考えた
だが、現実はソウブレイズが思っているよりも厳しかった
リゼと共に現れた長尾…彼とのジム戦でソウブレイズは敗北を喫してしまった
メイフ砂漠の地下迷宮では、遭遇したフェローチェとのバトルもメガシンカを獲得したリゼのルカリオと協力したことで辛くも勝利しただけで、自身の力のみで成し得ることは出来なかった
少女を失い、進化を遂げてから得た強さが思うような結果を出せていない現状に、ソウブレイズは益々自身への苛立ちを募らせていた
その最中、リゼ達が横切ろうとしたエニカラ雪山から途轍もなく強い存在…フリーザーの気配を感じ取り、同時に並々ならぬ覚悟を決めた
この相手に敵わないなら、リゼと行動を共するのは辞めよう…と
*
「ギャーオッ!」
エニカラ雪山…轟々と激しい吹雪が吹き荒れるなか、山の中腹から更に少し上の上空を飛行していたフリーザーは手頃な大岩に着地し、羽を休ませる
「ユキワァ…」
「カブゥ…」
そのフリーザーを、群れの大人達がやられて怯えるユキワラシ達が遠い下の小穴から顔を覗かせて見ていた
「ブレェイ…!」
「ユキワァ…ッ!?」
「カブリィ…ッ!?」
その最中、凄まじい敵意を剥き出しにしながらフリーザーの方へと登ってくる存在が現れ、それを目にしたユキワラシ達は恐怖で一目散に小穴の奥へと隠れた
「…!」
その存在にフリーザーも気付き、静かに鋭く睨み付ける
「ブレイ…ッ!」
だが、その威圧にソウブレイズは怯むどころか睨み返した
「ギャーオッ!」
「ブレイッ!」
退かないなら今度こそ叩き潰してやろうと、戦闘の意志を示したフリーザーの咆哮と共に、ソウブレイズは地を蹴った
*
「ムゥ」
「どうだ、マンムー?リゼさん達の匂いは掴めたか?」
「マンムゥ…」
「そうか…」
大規模な雪雪崩が起きてからしばらくして落ち着きを取り戻したエニカラ雪山
その麓と中腹の間辺りで相棒のマンムーの背中に乗るイブラヒム達は先程よりも積雪が増した白銀の世界を移動しながら、ソウブレイズの後を追って先に雪山の奥へ進んでしまったリゼ達の行方を探していた
「ワン!ワン!」
「あっ…!フレン!パルスワンとニューラが戻って来たよ!」
広い雪山から探し出すに辺り別の方向へリゼ達の捜索に向かわせていたフレンのパルスワンとニューラが帰還し、それに気付いたメリッサが声を上げる
「パルスワン!ニューラ!そっちはどうだった!?」
「クゥン…」
「ニューラ…」
「そっちも見つからなかったみたいだね…」
「なら、今度はあっちの方を…!」
申し訳なさそうに俯くパルスワン達の様子からメリッサは収穫が無かったことを察するが、フレンはめげずに次の捜索をお願いしようとする
「ムゥ…!?」
「マンムー…!どうしたんだ…!?」
その時、マンムーは何かに気付いたのか、急に早足で進み出した
「…っ!?イブラヒム、あそこ…!」
マンムーの背に揺られてしばらくし、何かを見つけたメリッサに呼び掛けられてイブラヒムが目を凝らすと、そこには1匹のポケモンの姿があった
「ビ…ビパァ…!」
「アレは…!アンジュさんのビッパじゃねぇか…!」
彼等の目の前に現れたのはアンジュのポケモンの1体であるビッパだった
「どうしてこんなところに…?リゼ様とアンジュさんとは一緒じゃないの…?」
「ビパッ!ビパビィッ!」
「"付いて来て"って、言ってるみたい…!」
「マンムー!頼む!」
忙しない様子のビッパはある方向へ指を指すとすぐさま走り出し、イブラヒム達はマンムーの背に乗ったままその後を追う
「…っ!イブちゃん…!あそこの樹にもたれかかってる人…!」
「ああ、間違いねぇ…!アンジュさんだ…!」
ビッパを追ってしばらくすると、イブラヒム達は1本の樹にもたれかかってぐったりとしているアンジュを見つける
「アンジュさん…!大丈夫ですか…!?」
「ビパッ!ビパビィ…!」
「…大きな怪我は見当たらねぇ。弱っちゃいるが脈もある。多分、気を失ってるだけだ」
「よかった…。でも、リゼ様の姿が見当たらないよ…!」
ビッパと共にアンジュの下へ駆け寄ったイブラヒム達が無事を確認するなか、フレンはリゼがいないことを不安に思う
「ニューラッ!」
「フレン…!ニューラが何か見つけたみたいだよ…!」
その時、フレンのニューラが何かを知らせるように鳴き声を上げ、駆け寄ったイブラヒム達はそこに残る複数の足跡を目にする
「この足跡…!1つは人で、もう2つはポケモンのだね…!」
「ああ、それにこの足型は多分エンペルトとルカリオのものだ。となると、人の足跡の方は…」
「リゼ様だ…!でも、ここにあるってことはアンジュさんと一緒にいたってことだよね…?どうしていなくなっちゃったの…?」
「この状況でリゼさんが1人動く理由…。おそらく、あのソウブレイズだろうな」
「雪山の上から聞こえた鳴き声に、突然の雪崩…。思ってるよりも相当大変なことが起こってるみたいだね…」
「早くリゼ様も探しに行かないと…!」
「ワゥゥゥゥ…ッ!」
「パルスワン…?どうしたの…?」
フレン達が1人いなくなったリゼの身を案じるなか、突然、パルスワンが周囲に樹々以外は何も無い見渡す限り一面の積雪…そのある一点を睨み唸り出した
「ムゥッ!」
「ニューラッ!」
「どうやら、そこに何かいるみたいだな…!」
その様子から、パルスワンが何かに警戒していると察したマンムーとニューラも身構え出し、イブラヒム達にも緊張が走る
ズボッ!
「「「…っ!?」」」
「ふぅ〜…!まったく、酷い目にあったもんだ」
その時、パルスワン達が睨んでいた辺りの雪の中から、突如として筋肉質な身体つきで顔に濃い化粧を施した大男が飛び出した
「きゃああああああああっ!!?」
「な、何だこいつ…!?」
「この人…!ちょっと待って、イブラヒム…!」
その異形な見た目に驚きあまったフレンが叫び声を上げ、イブラヒムが警戒する
だが、目の前に現れた大男に見覚えがあったメリッサが2人を制止する
「あの…!もしかして、あなたはメイフ砂漠の地下迷宮で僕を助けてくれた…?」
「む…?お前はたしか、ウルトラビーストに襲われていたスピアーのトレーナーか?」
「やっぱり…!まさか、こんなところでまた逢えるなんて…!あの時は本当にありがとうございました!」
「え…?イ、イブちゃん…これってどういうこと…?」
「…話を聞く限り、どうやらこの変人が前にメリッサが話してたメイフ砂漠で助けてくれた恩人みたいだな」
メリッサと男の会話からイブラヒムが状況を理解するなか、男がイブラヒムとフレンに目を向ける
「そこの2人は…。なるほど、察するにお前の言っていた大切な人とやらか」
「はい!イブラヒム、フレン!この人がメイフ砂漠で僕のことを助けてくれた…あっ…!そういえば、まだちゃんと名前を聞けてなかったんだった…!えっと…!」
「…っ!そこで気を失っている女…まさか、錬金術師か?」
以前聞きそびれた名をメリッサが尋ねようとした時、大男はイブラヒム達の背後でぐったりと意識を失っているアンジュに気付き、少し驚いた様子を見せる
「錬金術師…?たしか、アンジュさんの通り名だっけ?」
「ああ。アンジュさんがどうかしたんすか?」
「…知り合いだ。それよりもこいつがここにいるということはリゼも一緒にいるはずだろう?姿が見当たらないが…?」
「え…!リゼ様とも知り合いなんですか…!?」
「リゼは私の妹だ」
「「「い、妹〜〜〜…っ!!?」」」
*
「ギャーオッ!」
「ブ…レェェイ…ッ!!」
フリーザーとの再戦を始めてからしばらく、激しいバトルを繰り広げるソウブレイズは苦戦を強いられていた
空中にいるフリーザーへ攻撃するため、"ゴーストダイブ"による空間移動を駆使して攻めていたが、警戒しているフリーザーの不意を十分に突くことが出来ず、攻撃の悉くを捌かれていた
「ブレェェイッ!」
ソウブレイズは咆哮を上げると"サイコカッター"を連続で放ち、それをフリーザーが"エアカッター"で迎え撃つ
両者の技は空中で衝突、相殺し合い、小規模の爆発を無数に起こし、それに伴い生じた爆煙が2体の間に立ち込める
「ギャーオ!」
爆煙によってソウブレイズを見失ったフリーザーは"エアカッター"を繰り出すのを止め、爆煙の外側を左回りに旋回して索敵する
「ブレイッ!」
「…ッ!」
その時、フリーザーの側面から"ゴーストダイブ"を仕掛けてきたソウブレイズが不意に飛び出してき、フリーザーは咄嗟に両翼を大きく前に羽ばたかせることで後方へ退がり、直撃を回避する
だが、攻撃を躱されたソウブレイズは直後に再び"ゴーストダイブ"を発動させて異空間へと消え、次の瞬間にフリーザーの背後へと現れて"ゴーストダイブ"を炸裂させる
「ギャー…ッ!?オォォッ!!」
「ブレ…ッ!?」
だが、フリーザーは"ゴーストダイブ"のダメージに耐えると、反撃に勢いよく振るった尾をソウブレイズの懐にぶつけてそのまま地上へと押し飛ばし叩き付ける
「ギャーオッ!」
「…ッ!?」
そして、地上に叩き付けられたソウブレイズが体勢を立ち直す前に、フリーザーは"げんしのちから"で追撃する
「ブ…レイ…!」
「ギャーオッ!」
"げんしのちから"の直撃で大ダメージを負ったソウブレイズはすぐには立ち上がれず地面に両腕両膝を地面に突き、フリーザーはトドメを刺そうと"れいとうビーム"を繰り出した
「…ッ!」
"げんしのちから"のダメージが残る体では避けようと動くことが出来ず、ソウブレイズは"れいとうビーム"の直撃を覚悟すると同時に自身の敗北を悟り、堪え難い悔しさに瞼を閉じる
「ソウブレイズ…っ!!」
「…ッ!!?」
だが、"れいとうビーム"が直撃する直前で突然リゼの叫び声が聞こえたソウブレイズはハッと瞼を開く
そして次の瞬間、背後から飛び込んで来たリゼがソウブレイズをその場から突き飛ばし、直後にソウブレイズの側面を掠めたフリーザーの"れいとうビーム"がリゼに直撃する
「うっ…!」
"れいとうビーム"の直撃で吹き飛び、雪の上に落ちたリゼは痛みに呻く声を一切上げず、ピクリとも動かなかった
「ブ…レィ…?ブレェイ…ッ!!!」
ソウブレイズは目の前で起こったことがすぐに受け止められず、数秒の放心の後に少しずつそれが現実だと認識し始めると、表情は絶望に染め上がり、声を荒げてリゼへと駆け寄った
「ブレイッ!!ブレイッ!ブレェイッ!!!」
気を失ってるリゼにソウブレイズは激しく取り乱しながら必死に声を掛ける
「ギャーオッ!」
その最中、そんなことなど気にも留めていないフリーザーは背を向けるソウブレイズに容赦なく"エアカッター"での攻撃を仕掛ける
「エンペッ!」
「ルオォッ!」
その時、エンペルトとルカリオが前に飛び出し、それぞれ繰り出した"はがねのつばさ"と"メタルクロー"を駆使してリゼとソウブレイズを守るように立ち並んで防御を固め、フリーザーの"エアカッター"を受け止める
「エンペ…ッ!」
「ルオッ!ルルオォッ!?」
"エアカッター"を受け切ったエンペルト達は"大丈夫か…!?"と、ソウブレイズに彼とリゼの安否を問う
「ブレイ…ッ!ブレレイ…ッ!!レイィ…ッ!!」
だが、ソウブレイズは気が動転していてエンペルト達の声が耳に入らず、ひたすらにリゼへ声を掛け続けている
「ギャーオッ!」
「「…ッ!」」
ソウブレイズがまともに動けない状態にあると判断したエンペルトとルカリオは一先ず、彼とリゼがフリーザーの攻撃に晒されないよう自分達が引き付け遠ざけようと考え、同時に動き出す
「エンペッ!」
「ルオッ!ルオォッ!」
エンペルトとルカリオは二手に分かれて駆け出すとそれぞれ"うずしお"と"はどうだん"を繰り出し、フリーザーに攻撃する
フリーザーは縦横無尽に飛行しながら"れいとうビーム"を繰り出してエンペルト達の攻撃を撃破する
「…ッ!ブレィ…ッ!」
エンペルト達がフリーザーの相手をしているなか、ソウブレイズは何度呼び掛けても意識を取り戻さないリゼに、かつての主人である少女を失った時の絶望を思い出し、またしても守れなかった罪悪感が込み上がり、両目から溢れ出した大粒の涙がリゼの頬に落ちる
「んっ…。ソウ…ブレイズ…?」
「…ッ!?ブレイ…ッ!!」
その時、リゼが意識を取り戻し、ソウブレイズはハッと顔を上げる
「無事みたい…だね…。よかった…」
「ブレイ…ッ!ブレィ…!」
「そんなに…謝らないでいいよ…。トレーナーが…自分のポケモンを守るのは…当然なんだから…。私の方こそ…ごめんね…。あなたのこと…すぐに助けてあげられなくて…」
「…ッ!」
"れいとうビーム"の直撃によって右半身が凍り、その冷たさに今尚体力を奪われ弱っているにも関わらず、優しい言葉を掛け、心配してくれているリゼにソウブレイズは一層罪悪感を募らせる
「…ねぇ、ソウブレイズ。あなたは…強くなりたいんだよね…?自分の力だけで…誰にも負けない強さを…」
リゼの問いに、ソウブレイズはこくりと頷く
「それは…決して悪いことじゃないよ…。でも…時には自分1人の力だけじゃ…どうにもならないことが…沢山ある…。多分…あなたは昔に1人で…大切な人を守れなかったから…1人で頑張ろうとしてるんだよね…?でも…今のあなたにはエンペルト達が…仲間がいる…。1人でどうしようもない時は…頼っていいんだよ…」
リゼのその言葉に、ソウブレイズは頷きはせず表情を歪ませる
他の誰かの手を借りることが間違っているとは思っていない
だが、1人で戦い、強くなることをソウブレイズが強いているのは少女を守れなかった自身への罰でもだった
一生取り返すことの出来ない後悔だからこそ、そう簡単に赦せはしない
(そうだよね…。そんなことで助けられる後悔じゃない…。それでも…)
顔を俯かせたまま苦しそうな表情を浮かべるソウブレイズからその想いを感じ取ったリゼは再び意識が薄れていきそうななか、気力を振り絞って言葉を掛ける
「ソウブレイズ…あまり自分を責めないで…。強さを求めて無理をして…身も心も傷付いて、苦しむあなたの姿は…見ていて辛い…。きっと前の主人も…あなたには苦しんでほしくないって…思ってる…。あなたの幸せを…なによりも望んでるはず…だ…から…」
「…ッ!ブレイ…ッ!」
その言葉を皮切りに、リゼは再び意識を失う
ボコォォォン…!!!
「エンペ…ッ!?」
「ルオ…ッ!?」
その時、ソウブレイズの背後でフリーザーの攻撃によって大きな雪飛沫が上がる爆発が起き、その衝撃でエンペルトとルカリオが吹き飛ばされる
「ギャーオッ!!」
直後、エンペルト達を押し除けたフリーザーがリゼ諸共にソウブレイズ目掛けて"れいとうビーム"を繰り出した
「エンペェ…ッ!」
「ルオォ…ッ!」
「…ッ!!?」
"危ない…!"と、エンペルトとルカリオが声を大にして叫んだ警告でソウブレイズはようやく周囲への意識を取り戻して攻撃に気付くが、リゼを抱えて回避するには間に合わないと瞬時に悟り、迫る"れいとうビーム"からリゼを守ろうとその身を盾にするように覆い被さる
「イブィ…ッ!」
「フリィ…ッ!」
「サイィ…ッ!」
"れいとうビーム"の直撃を覚悟していたソウブレイズだったが、その直前にリゼのボールからイーブイとバタフリー、サイドンが自ら飛び出し、それぞれ"アイアンテール"、"サイコキネシス"、"ドリルライナー"をぶつけ、数秒続いた押し合いの末に"れいとうビーム"を相殺させた
「…ッ!?」
「フリィ〜ッ!?」
「イブッ!イブブイッ!」
「サァイッ!」
呆気に取られるソウブレイズにバタフリーは"大丈夫!?"と心配し、イーブイは"何ボサッとしてるの!早くリゼをここから離れさせて!"と退避を促し、サイドンは"俺達が時間を稼ぐ!"とフリーザーとのバトルに臨み出す
「…ッ!ブレイッ!ブレ…ッ!」
「エンペッ!」
「ルオォッ!」
「…ッ!」
"時間を稼ぐなら俺がやる!お前達こそリゼと一緒に…!"と、フリーザーと戦おうとするイーブイ達にソウブレイズが逃げるよう叫ぶが、"お前を1人置いていくことなんて出来ない!"、"逃げるならお前も一緒だ!"と、言い切る前にエンペルトとルカリオに言い返される
「サァイ!」
「フリィ〜!」
「ブレイ…!」
"まあ、この状況でアレから全員逃げ切るのは難しいけどな!"、"だから、バトルするしかない!"とエンペルト達と同様に一歩も引こうとしないサイドン達にソウブレイズは"どうして、そこまで…!"と、問い掛ける
「イブィ。イブイブブィ」
「…ッ!」
"君がいなくなったらリゼは凄く悲しむ。僕達はリゼのことが大好きだ。だから、彼女の悲しむ姿は見たくない。この気持ち、君なら分かるんじゃない?"
と、イーブイに問い返されてソウブレイズは目を見開き、少し考え込んだ後に"ゴーストダイブ"を発動させ、異空間を通って少し離れた岩陰へリゼを運ぶ
「……」
もうこの世にいない少女の真意を確かめることは出来ない
だが、リゼは少女と同じ優しい心の持ち主で、少女と同じく心から自分を想っている
その彼女が今の自分を見て心を痛めているのなら、少女もまたそう想うのだろう
「ブレイ…。ブレイ、ブレイ…」
リゼを通して、もうこの世にはいない最愛の少女の想いを感じ取ったソウブレイズは"ごめんなさい。今度こそ、本当の意味で君達を守る"と、右腕の剣を掲げながら2人の大切な存在への誓いを立てる
*
「ギャーオッ!」
「「「「「…ッ!」」」」」
ソウブレイズがリゼを連れて消えてしばらく、エンペルト達とフリーザーは互いに睨み合い、相手の出方を窺っていた
「……」
「…ッ!」
「イブィ…ッ!」
いつ相手が仕掛けてくるかイーブイ達が緊張を走らせるなか、双方の間に"ゴーストダイブ"の穴が開き、そこからソウブレイズが現れる
「…ブレイ」
"…俺の身勝手に巻き込んですまない"と、エンペルト達に背を向けてソウブレイズは言葉を続ける
「ブレイ。ブレイ…レイ」
"俺は大切な存在を守れる強さを求め、リゼを守ることで贖罪になると思っていた。だが、自分を憎むあまりに強さを求め過ぎたことで、俺は守りたい存在の心を酷く苦しませていた"
「ブレイ…。ブレイ、ブレイレイッ!ブレイッ!!」
"俺は守らなければならない…。いや、彼女と…彼女と同じ優しさを持つリゼを守りたい!悲しませたくない!だから、お前達に頼みたい!俺に…力を貸してくれ!!"
ソウブレイズが自身の想いを告げると、その隣へと歩み寄って来たエンペルトがソウブレイズの肩にポンと手を乗せる
「エンペッ!」
"勿論だ!その代わり、お前も俺達に力を貸してくれ!"
エンペルトがソウブレイズにそう告げると、その想いを同じくするイーブイ達も頷いて応える
「…ブレイッ!」
"ああ…!よろしく頼む!"
ソウブレイズはそう告げると、リゼを守るためにエンペルト達と共に改めてフリーザーとのバトルに臨む
「ギャーオッ!!!」
「ルオッ!」
フリーザーが轟かせた咆哮がバトル開始の合図となり、呼び掛けるルカリオと共にエンペルト、ソウブレイズ、イーブイがフリーザーに向かって走り出す
「ギャーオッ!」
「フリィ〜ッ!」
「サァイッ!」
エンペルト達を迎え撃とうとフリーザーが無数の"エアカッター"を繰り出す
それをバタフリーとサイドンがそれぞれ繰り出した"サイコキネシス"と"いわなだれ"を駆使し、エンペルト達に届く前に空中で撃ち落とす
「エンペッ!」
「ルオッ!」
バタフリーとサイドンがフリーザーの攻撃を凌いでいる間に、滞空しているフリーザーの下まで迫ったエンペルトとルカリオが"うずしお"と"はどうだん"を繰り出す
「ギャーオッ!」
「ブレイッ!」
「イブィッ!」
フリーザーがエンペルト達の攻撃を避け、気を取られている真上から、"ゴーストダイブ"で異空間を移動してきたソウブレイズとイーブイが飛び出し、"むねんのつるぎ"と"アイアンテール"を叩き込む
「ギャーオ…ッ!?」
「フリィ〜ッ!」
「サァイッ!」
「エンペッ!」
「ルオッ!」
2体の一撃を食らったフリーザーは地上へと叩き落とされ、その直後にエンペルト達がそれぞれの技を一斉に繰り出して追撃して大爆発を起こす
「フリィ…ッ!?」
「…ブレイッ!」
"やっつけた…!?"と声を上げるバタフリーに、爆発で発生した黒煙を注視していたソウブレイズが"いや、まだだ…!"と言い放つ
「ギャーオッ!!!」
「「「「「「…ッ!!?」」」」」」
直後、咆哮を轟かせたフリーザーは力強く翼を羽ばたかせて黒煙を払い飛ばすと同時に強烈な"ふぶき"を繰り出した
「エンペ…ッ!」
「ルオ…ッ!」
氷タイプの技が弱点となるバタフリーとサイドンを庇おうとエンペルトとルカリオが2体の前に立って必死に"ふぶき"を耐え忍ぶ
「イ…ブィ〜…ッ!?」
だが、エンペルト達とは離れた位置にいたイーブイは"ふぶき"に耐え切れず遥か後方へと吹き飛ばされてしまう
「ブレイ…ッ!」
「ギャーオッ!」
「…ッ!?」
イーブイを心配してソウブレイズが意識を逸らした瞬間、フリーザーが繰り出した"げんしのちから"が襲い掛かる
「ギャーオッ!」
「エンペッ!」
「サァイッ!」
「ルオッ!」
「フリィ〜ッ!」
ソウブレイズへの追撃に続けて技を構えるフリーザーに、そうはさせまいとエンペルトとサイドンが"ドリルくちばし"と"すてみタックル"を仕掛ける
既のところで攻撃に気付いたフリーザーはその場から飛び立って直撃を避けるが、反撃の隙を与えまいとルカリオとバタフリーが"ラスターカノン"と"エアスラッシュ"で追撃する
「ブレイ…!」
エンペルト達のおかげでフリーザーの追撃を免れたソウブレイズは"げんしのちから"の直撃によるダメージから立ち上がり、再び攻撃を仕掛けに動き出す
「イ…ブィ…」
その最中、吹き飛ばされたイーブイは自身も戦線に復帰しようと起き上がろうとするが、"ふぶき"によるダメージで体は酷く傷付いており、力を出せないでいた
「イブィ…?」
"みんながまだ戦っているのに、自分は先に力尽きてしまうのか…"と、悔しい想いが込み上げるなか、イーブイは霞む視界の端…白銀の世界の中で密かに輝くあるモノを捉えた
「ブレイ…ッ!」
「エンペ…ッ!」
「ルオ…ッ!」
ソウブレイズ達は果敢に攻めるが、その連携を脅威と感じたフリーザーも本気を出し、一切の攻撃を通さず鋭い反撃でソウブレイズ達を追い込んでいた
「ギャーオッ!」
限界が近付き、息も上がってきたソウブレイズ達にトドメを刺そうとフリーザーが"ふぶき"を繰り出す構える
「…ッ!?」
だがその瞬間、突然フリーザーを中心として激しい霰が吹き荒れ始めた
「ギャーオ…!」
氷タイプであるフリーザーは吹き荒れる霰にビクともせず、注意深く周囲を警戒する
「ギャーオ…ッ!?」
だが、その霰の中で周囲への警戒に意識を集中させているフリーザーに何かが攻撃を直撃させた
フリーザーは反射的に自身の長い尾を振り回して反撃するが、直撃を受けたかに見えた攻撃の主は残像のように霰の中に消えてしまった
「グレイ…ッ!」
直後、背後から鳴き声が聞こえてフリーザーが振り返ると、そこには先程までイーブイであったポケモン…雪の中に偶然埋もれていた"こおりのいし"によって進化を遂げた"しんせつポケモン":グレイシアの姿があった
「ギャーオッ!」
自身に手痛い一撃を食らわせた相手に怒りを覚えたフリーザーは"エアカッター"を放つが、グレイシアは天候が霰状態の時にその景色に溶け込むことで回避能力を高める特性"ゆきがくれ"を駆使してその悉くを躱し、再び"アイアンテール"をフリーザーに炸裂させる
「…ッ!ギャーオ…ッ!!」
攻撃を食らい続けて怒り心頭のフリーザーは空高く飛び上がると、霰状態を利用した広範囲に及ぶ"ふぶき"を繰り出す
「グ…レイ〜…ッ!」
特性の"ゆきがくれ"を駆使しても避け切れない必中の"ふぶき"を受けたグレイシアは吹き飛ばされないよう手足に力を込めて必死に耐える
「フリィ〜…ッ!(イーブイ、進化したんだ…!)」
「エンペッ!(ああ…!そのおかげであいつも相当なダメージを負ってる!もう一撃デカいのを食らわせれば…!)」
「ブレイッ!(その役目、俺に任せてくれ!)」
「ルオッ!(分かった!俺達はソウブレイズの攻撃があいつに届くよう全力で援護するぞ!)」
「サァイッ!(踏ん張れよぉっ!お前らぁっ!)」
グレイシアの活躍に再び奮起し、勝機を見出したエンペルト達はフリーザーに大きな一撃を与える役を買って出たソウブレイズと共に決着を付けに動き出す
「グ…レイ…ッ!」
「ギャーオッ!…ッ!?」
"ふぶき"を受け続けて限界が近づいたグレイシアが膝を突くなか、フリーザーはその最中に自身へ迫って来るソウブレイズに気付くと、グレイシアへの攻撃を止めてソウブレイズに"ふぶき"を繰り出そうと構える
「フリィ〜ッ!!」
「ギャー…オ…ッ!?」
その時、バタフリーがフルパワーで繰り出した"サイコキネシス"によって捉えられたフリーザーは動きを大きく鈍らされる
「ギャーオォォォ…ッ!!」
「フ…リィ〜〜〜…ッ!!!」
だが、フリーザーの抵抗力は凄まじく、バタフリーは必死に"サイコキネシス"のパワーを維持しようと踏ん張るも、そう長くは持たないことは誰が見ても明らかだった
「サァイッ!」
バタフリーがフリーザーの動きを鈍らせている間に、ソウブレイズが攻撃を直撃させられる確実な隙を作り出すべく、サイドンはエンペルトとルカリオに呼び掛けると同時に力強く握った両拳を大きく後ろへ引く
「エンペッ!」
「ルオッ!」
その呼び掛けを受けたエンペルトとルカリオはサイドンが構える両拳に跳び乗る
「サァァァァァイッ!!!」
次の瞬間、サイドンは"アームハンマー"を発動させた両腕を振るい、そのパワーを利用して拳に乗ったエンペルトとルカリオをロケットの如く勢いで打ち出す
「エンペェェェッ!!」
「ルオォォォッ!!」
エンペルトとルカリオはその状況から"ドリルくちばし"と"メタルクロー"を繰り出し、サイドンの"アームハンマー"で打ち出された勢いが乗ったその一撃がフリーザーの両翼を打ち抜く
「ギャーオ…ッ!?」
直後、バタフリーに限界が訪れたことでフリーザーは"サイコキネシス"の拘束から解放されるが、大ダメージを負った両翼では飛行することが出来なくなり、地上へと墜落する
「ブレイッ!!」
「…ッ!ギャーオッ!!」
上空へ距離を取ることは不可能となり、機動力を大幅に削がれ地に堕ちたフリーザーは自身へと迫るソウブレイズを迎え撃つべく"げんしのちから"を繰り出す
それをソウブレイズは"つるぎのまい"を発動させながら斬り払い、一歩も踏み止まらずに突き進む
「ギャーオッ!!!」
数を繰り出せるとはいえ、"げんしのちから"1つ1つの威力では攻撃力を上げ続け迫るソウブレイズの刃を止めることは出来ないと悟ったフリーザーは"げんしのちから"を弾幕にして繰り出すのを止め、パワーを集約させた高火力の一撃にして放つ
「ブレイ…ッ!!」
その一撃を技も無しに斬り払うのは不可能だと判断したソウブレイズは"つるぎのまい"で攻撃力を最大まで高めた両腕の刃による"むねんのつるぎ"で迎え撃つ
「ブ…レイィィィ…ッ!!!」
強力な"げんしのちから"と衝突したソウブレイズは互角のパワーに足を止められるも、更に全身への力を込めて徐々に押し返していく
「ギャーオッ!!!」
そこへダメ押しにとフリーザーは"れいとうビーム"を繰り出そうと構える
「グレェェェイッ!!!」
「…ッ!?」
フリーザーが"れいとうビーム"を放とうとした瞬間、体力の限界だったグレイシアが最後の力を振り絞り繰り出した"フリーズドライ"が直撃し、フリーザーの体勢が崩れた
「ブレェェェイ…ッ!!!」
グレイシアが作り出したその僅かな隙の内に、ソウブレイズは既に全力なその状態から更に引き上げたパワーで"げんしのちから"を打ち破る
「フリィ〜〜〜ッ!!!」
「サァァァイッ!!!」
「エンペェェェッ!!!」
「ルオォォォッ!!!」
「グレェェェイッ!!!」
「ブ…レェェェェェェェェイッ!!!!!」
エンペルト達の雄叫びを背中に、ソウブレイズは衝撃が生まれる程の力で地を蹴って一気にフリーザーの懐へと肉迫し、限界を突破した大火力の"むねんのつるぎ"で一閃する
「ギャーオ…ッ!!?」
その一撃と一瞬遅れて起こった凄まじい大爆発に呑まれ大ダメージを負ったフリーザーは絶叫を上げ、爆発の煙が雪山の強風で掻き消され晴れたところで前のめりに力無く倒れ伏した
「フリィ〜!!!」
「サァ〜イ!!!」
「ルオ〜!!!」
「エンペ〜!!!」
「グレ〜イ!!!」
フリーザーの撃破にエンペルト達は歓喜の声を上げる
「ブ…レィ…!」
ソウブレイズもその喜びを分かち合おうとエンペルト達の方へ振り返るが、身体が既に限界を超えていたことと勝利への安堵から、力が抜けると共に急激に意識が遠退いてしまい、その場にパタリと倒れ込んでしまった
「エン…ペ…!」
そして、それはエンペルト達も同様で、倒れたソウブレイズを心配して駆け寄ろうとした瞬間、全員揃って限界を迎え、その場に倒れ込んだ
「おい…!大きな爆発があったのこの辺りじゃなかったか…!?」
エンペルト達が倒れてから少しして、リゼを探しに雪山を登ってきたイブラヒム達が到着する
「みんな、見て…!あそこに倒れてるの、リゼさんのポケモン達じゃない…!?」
「本当だ…!でも、リゼ様の姿が近くに見当たらないよ…!?」
「ワンッ!ワンッ!」
「パルスワン…!?何処に行くの…!?」
違う方へ駆けていくパルスワンをフレンが追って離れるなか、イブラヒム達は倒れているエンペルト達の下へ駆け寄る
「一体何が…っ!?チャイカさん…!あそこに倒れてるポケモン…!」
「ああ…。伝説のポケモン、フリーザーだな」
「伝説のポケモン…!もしかして、リゼさんのポケモン達が倒したの…!?」
「そうらしいな」
エンペルト達のいる少し先で、同じく倒れているフリーザーを目にしてイブラヒム達が驚くなか、チャイカはフリーザーに近付くとモンスターボールを投げて捕獲する
「フリーザーを…!?チャイカさん、何を…!」
「落ち着いてくれ。このフリーザーはおそらく、住処を失ってこの地方に渡って来た個体だ。道中でも話したが、俺はポケモンの保護活動を行っている。誰の迷惑にもならないコイツの新しい住処が見つかるまでは俺が信頼出来る者の下に預けて置いた方がいいだろう」
「スメシシティの加賀美さんですね…!」
「そ、そういうことか…。すみません、疑っちゃって…」
「いや、唐突に他の誰かが倒した…それも伝説のポケモンをゲットしたら、横取りしているように見えてしまうのは無理もない」
早とちりしたことを謝罪するイブラヒムをチャイカが気遣うなか、先程パルスワンを追い掛けて離れていたフレンから大声が上がる
「みんな、大変…!リゼ様を見つけたけど、右半身が凍って弱ってる…!早くなんとかしないと…!」
「チャイカさん!リゼさんはアンジュさんと一緒にボーマンダにフレンと乗せて先にシーズシティのポケモンセンターまで連れて行かせます!」
「ああ、そうしてくれると助かる。倒れてるリゼのポケモン達は力自慢のポケモンに運ぶのを手伝ってもらいたい」
「任せてください!」
「僕もイワパレスと手伝うよ!」
リゼ達をシーズシティのポケモンセンターへ連れて行くため、イブラヒム達がそれぞれ行動に移るなか、チャイカはボーマンダに乗せられて飛んでいくリゼを見つめる
(まさか、トレーナーの指示も無しに伝説のポケモンを倒してしまうとはな。ふっ…。良いトレーナーに成ったな、リゼ)
と、チャイカはフリーザーを倒したエンペルト達を通して、リゼのトレーナーとしての成長を嬉しく思った
リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、グレイシア、バタフリー
サイドン、ルカリオ、ソウブレイズ
アンジュ・カトリーナ
手持ち:ゴルーグ、ビッパ
イブラヒム
手持ち:マンムー、ボーマンダ、グソクムシャ
サンダース、ドラピオン、コータス
フレン・E・ルスタリオ
手持ち:バシャーモ、パルスワン、ラッキー
フライゴン、ニューラ、パッチラゴン
メリッサ・キンレンカ
手持ち:エモンガ、スピアー、イワパレス
花畑チャイカ
手持ち:オーロンゲ、ニューラ(ヒスイ)