にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第74話「ヘルエスタジム!リゼvs戌亥!後編」

 

7つ目のジムバッジを手に入れるため、ヘルエスタジムのジムリーダー:戌亥とことのジム戦に挑むリゼは現在、バタフリーとエンペルトの奮闘によって戌亥のグラエナ、ジヘッドを撃破する

 

そして、3体目のタチフサグマを前にエンペルトが倒され、残るポケモンはサイドンとルカリオの2体

 

戌亥が最後に残すポケモンにルカリオを万全の状態でぶつけるため、リゼは麻痺状態に陥っているサイドンと共にタチフサグマとのバトルに臨む

 

 

 

 

「やるよ!サイドン!」

 

「サァイッ!」

 

「いくわよ、タチフサグマ!」

 

「グマァッ!」

 

 

体力の消耗に麻痺状態…決まればノーマル・悪タイプのタチフサグマを一撃で戦闘不能にすることが出来る効果抜群の技"アームハンマー"を覚えているとしても、成功すれば相手の防御力を大幅に下げる"ブロッキング"の脅威もあって、状況は誰がどう見てもサイドンが不利と見るだろう

 

それでも、サイドンでタチフサグマに勝利するとリゼは高らかに宣言し、その心意気に戌亥も気持ちを昂らせる

 

両者、両ポケモン共にやる気満ちた笑みを浮かべて睨み合うなか、審判であるマスターがバトル再開の合図を出す

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「サイドン!"いわなだれ"!」

 

 

動きが鈍っている麻痺状態の身で、接近戦を主とするタチフサグマに自ら突っ込んでいくのは危険

 

そのため、リゼは離れた位置からでも攻撃出来る"いわなだれ"をサイドンに繰り出させる

 

 

「タチフサグマ!"つじぎり"!」

 

 

迫り来る"いわなだれ"にタチフサグマは"つじぎり"を繰り出し、その悉くを切り払ってサイドンへと突っ込む

 

 

「サイドンの"いわなだれ"をものともしないなんて…!」

 

「まあ、そう都合良くはいかねぇよな。ここからの接近戦、リゼさんはどうするか…」

 

 

タチフサグマから少しも有利を取れないまま接近戦に持ち込まれる展開にイブラヒム達が険しい表情を浮かべるなか、遂にタチフサグマが"いわなだれ"を抜け切り、力強く地を蹴ってサイドンへと距離を詰める

 

 

「来るよ、サイドン!"アームハンマー"!」

 

「なっ…!?」

 

「「えぇ…っ!?」」

 

 

その時、リゼはサイドンに正面からタチフサグマを迎え撃とうと指示を飛ばし、イブラヒム達は驚愕し声を上げた

 

直接攻撃での迎撃は"ブロッキング"によって防がれるだけでなく、同時に防御を崩されて一気に追い詰められる

 

その脅威をリゼが理解していないはずがないのに何故?と、イブラヒムが困惑するなか、サイドンは指示通りに"アームハンマー"を発動させ、右腕を大きく振り上げる

 

 

「タチフサグマ!"ブロッキング"!」

 

 

対する戌亥は当然"ブロッキング"を指示をし、タチフサグマはサイドンの目の前で守りの体勢に入る

 

 

「来た…!サイドン!そのまま大きく空振って!」

 

「…っ!?」

 

「はぁ…っ!?」

 

「リゼ様…っ!?」

 

「何を考えて…!?」

 

 

その時、"ブロッキング"を恐れたのか、わざと技を外すよう指示を出したリゼにイブラヒム達が再び驚愕の声を上げるなか、サイドンはその通りにタチフサグマへ振り抜いた"アームハンマー"を空振らせ、その勢いで体を1回転させる

 

 

ガッ…!

 

「グマァ…ッ!?」

 

「なっ…!?」

 

 

だが次の瞬間、勢いよく空振ったサイドンが1回転したことで払われた尻尾がタチフサグマの足下に命中し、その体勢を崩し転倒させた

 

 

(空振りの勢いで薙ぎ払わせた尻尾をぶつけて…!?そうか…!"ブロッキング"はタチフサグマが胸の前に組んだ両腕による守りの技…!正面からの攻撃は確実に防げるが、上体よりも低い足下への守りは薄い…!そこを狙ったのか…!)

 

 

"ブロッキング"に見出した僅かな隙を突いた作戦にイブラヒムが1人素早く理解するなか、リゼは勝敗を決する一撃の指示を出す

 

 

「決めるよ、サイドン!今度こそ"アームハンマー"!」

 

 

自身の足下に突っ伏すタチフサグマへ渾身の"アームハンマー"を繰り出すべく、サイドンは再び右腕を大きく振り上げる

 

 

「サァァ…イィ…ッ!?」

 

「サイドン…っ!?」

 

「「あぁ…っ!?」」

 

「麻痺状態の影響がここで出たか…!」

 

 

だが、サイドンが"アームハンマー"を振り下ろそうとしたその時、不運にも麻痺状態による強烈な痺れが襲い掛かり、身動きを封じられてしまう

 

 

「チャンスよ、タチフサグマ!"つじぎり"!」

 

 

戌亥の指示が飛び、飛び起きたタチフサグマは隙だらけのサイドンの懐へ"つじぎり"を炸裂させる

 

 

「サイィィ…ッ!?」

 

「そんな…!」

 

「タチフサグマを倒せる絶好のチャンスが…!」

 

 

攻撃を受けて、その身体が仰け反りそうになるサイドンの姿にフレン達の顔が引き攣る

 

 

「サイドン…っ!あなたなら負けない…っ!いっけぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

だが、諦めまいとサイドンの強さを信じてリゼが叫び、その声援が耳に届いたサイドンはカッと闘志を宿した瞳を見開くと、後ろへ倒れそうになる体を踏み込んだ右足で支え止める

 

 

「…ッ!サァァァァァイッ!!!」

 

「グマァッ!?」

 

 

そして、大砲声を上げながらサイドンは麻痺によって振り上げ止まっていた"アームハンマー"をタチフサグマへ振り下ろす

 

 

ドゴォォォンッ!!

 

「タチフサグマ…!」

 

 

凄まじい衝撃音と共に叩き込まれたサイドンの"アームハンマー"が直撃し、巻き上がった土煙が晴れたそこには地面にめり込んだタチフサグマの姿があった

 

 

「タチフサグマ、戦闘不能!サイドンの勝ち!」

 

「やった…!よく頑張ったね、サイドン!あなたならやれると信じてたよ!」

 

「サァァイッ!!」

 

 

喜ぶリゼからの称賛の言葉を贈られ、サイドンは誇らしげに雄叫びを上げる

 

 

「お疲れ様、タチフサグマ。やるねぇ、リゼはん。まさか、私が先に追い詰められるなんて」

 

「うん!でも、私だけの力じゃない!私の想いにみんなが応えてくれたからこそだよ!」

 

「そうね。リゼはんとポケモン達の強さ…十分に見せてもらったわ」

 

 

"だから…"と、ボールを持ち替えた戌亥はそれを握り締めた右手をリゼに向けて力強く突き出す

 

 

「ジムリーダーとしての私はここまで!最後の1体…私はこの子と一緒に1人のトレーナーとしてリゼはんに全力で勝ちにいく!」

 

「望むところだよ!」

 

「サァイッ!」

 

 

戌亥の闘志にリゼとサイドンは同じ熱意を抱いて応える

 

 

「それじゃあ、いくよ!ヘルガー!」

 

 

戌亥が投げたボールから最後に繰り出された4体目のポケモンは"ダークポケモン":ヘルガーだった

 

 

「…っ!」

 

「とこさんのラストはヘルガーなんだ!格好いい〜!」

 

「悪と炎タイプのポケモンだね。サイドンは体力を消耗してる上に麻痺状態ではあるけど、岩と地面タイプの技は炎タイプに効果抜群。決められれば大きく有利を取れるね」

 

 

"ダークポケモン"と称されるその分類名に相応しい凶悪で獰猛そうな姿に惹かれたフレンは目を輝かせ、メリッサがバトルの分析を口にするなか、ある異質な点に気付いたイブラヒムは1人神妙な面持ちを浮かべていた

 

 

(ヘルガーの首元に着けられてる首輪…!あの中央に嵌ってる石はまさか…!)

 

 

ヘルガーの首元に装着されている銀色の首輪…その真ん中に嵌められている赤と黒で彩られた遺伝子を思わせる模様が刻まれた石にイブラヒムが注目するなか、バトルの再開が告げられる

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「サイドン!"ドリルライナー"!」

 

 

バトル再開…先手を取ったリゼの指示を受け、サイドンは"ドリルライナー"を繰り出し突進する

 

 

「ヘルガー!躱して"にほんばれ"!」

 

 

ヘルガーは突っ込んで来たサイドンの"ドリルライナー"を飛び退いて躱すと、天候を変化させる技"にほんばれ"を繰り出し、天井へと打ち上げた炎エネルギーによる擬似太陽で室内を陽射しが強い晴れ状態にする

 

 

「…っ!」

 

「眩しい…っ!?」

 

「"にほんばれ"…!たしか、天候を晴れ状態にする技だよね…!」

 

「ああ…!晴れ状態では炎タイプの技の威力が上がり、水タイプの技の威力は下げられる…!」

 

「ヘルガー!"かえんほうしゃ"!」

 

 

室内を照らす突然の強い陽射しにまだ慣れないリゼとイブラヒム達が目に手を翳すなか、ヘルガーが晴れ状態の恩恵を受けてパワーアップした"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「サイドン!"いわなだれ"で防いで!」

 

 

効果今一つと言えど直撃は避けようと、リゼの指示を受けたサイドンは繰り出した"いわなだれ"で自身の前に岩の防壁を作り出す

 

 

ボコォォォンッ!!!

 

「サイィ…ッ!?」

 

「うそ…っ!?」

 

 

だが、ヘルガーの強力な"かえんほうしゃ"は岩の防壁を貫いた

 

 

「サイィィィ…ッ!?」

 

「サイドン…っ!」

 

 

そして、"かえんほうしゃ"の直撃を受けたサイドンは絶叫を上げ、地面へと仰向けに倒れ込んだ

 

 

「サ…サイィ…」

 

「サイドン、戦闘不能!ヘルガーの勝ち!」

 

「い、一撃…!?」

 

「サイドンはこれまでのバトルで体力を消耗していたからな。そこに晴れ状態で強化された"かえんほうしゃ"だ。耐えられないのは仕方ねぇ」

 

「"いわなだれ"で築いた厚い岩の壁をあんな簡単に…!戌亥さんの切り札なだけあって、流石に強いね…!」

 

 

イブラヒム達が所感を口にし合うなか、リゼは倒れたサイドンをボールへと戻す

 

 

「お疲れ様、サイドン。十分な活躍だったよ、今はゆっくり休んで」

 

 

サイドンへ労いの言葉を掛け、リゼは最後となる4体目のポケモンが収まるボールを手に取る

 

 

「これが最後のバトル…あなたに託すよ!お願い!ルカリオ!」

 

 

そう言葉を掛けたリゼはボールを力強く投げ、ルカリオを繰り出す

 

 

「ルオォォォッ!」

 

「キタァ〜!ルカリオ〜!」

 

「格闘タイプなら悪タイプに有利。だけど、ヘルガーは炎タイプも持ってるから鋼タイプを持つルカリオに弱点を突けるから油断は出来ないね」

 

「ああ。それに、戌亥さんのヘルガーには奥の手があるかもしれねぇからな…」

 

 

イブラヒム達が見守るなか、いよいよ最後のバトルの火蓋が切られる

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「ルカリオ!"はどうだん"!」

 

「ヘルガー!"かえんほうしゃ"!」

 

 

ルカリオが放つ"はどうだん"とヘルガーが繰り出す"かえんほうしゃ"が激突する

 

だが、威力では晴れ状態によって強化された"かえんほうしゃ"が上回り、数秒と保たずに"はどうだん"は掻き消された

 

 

「…っ!ルカリオっ!避けてっ!」

 

 

直撃すれば効果抜群の大ダメージとなる"かえんほうしゃ"にリゼは回避を指示し、ルカリオはその場から飛び退いて直撃を免れる

 

 

「やっぱり、晴れてる内はヘルガーと正面から勝負出来ない…!なら…!ルカリオ!"かげぶんしん"!からの"はどうだん"!」

 

 

晴れ状態が続く限りはヘルガーの強力な"かえんほうしゃ"に正面から太刀打ちすることは出来ないと分かり、リゼは今日までの特訓の間で新たに覚えた技"かげぶんしん"を指示し、ルカリオは数十体もの分身を作り出す

 

そして、四方八方へ駆け出し散開したルカリオ達はヘルガーを取り囲んで一斉に"はどうだん"を繰り出す

 

 

「"かげぶんしん"…!良い技を覚えてるけど、甘いよリゼはん!ヘルガー!"バークアウト"!」

 

 

ヘルガーが強烈な"バークアウト"を怒鳴り放つと、その音圧に全ての"はどうだん"の勢いは弱められ、最後にはヘルガーに届く寸前で爆散した

 

そして、"バークアウト"の攻撃範囲内にいたルカリオの分身達もその直撃を受けて呆気なく霧散した

 

 

「"かげぶんしん"を利用した一斉攻撃はたしかに強力だけど、分身1体1体の力はオリジナルに劣る。たとえ数で攻めようとも、"バークアウト"のような広範囲技でなら、大きなレベル差でも無い限りこうして対処出来るのよ」

 

「流石だね、とこちゃん…!でも、私の本命は別にあるんだよ!」

 

「…っ!?」

 

「ガウ…ッ!?」

 

 

分身達の攻撃を見事に捌いた戌亥とヘルガーだったが、リゼに返答されたそこで分身達に気を取られて気付けなかった彼女の真の狙いを目にして瞠目する

 

視線の先…そこには、炎のように揺らめくオーラ状の波導を両掌に纏うルカリオの姿があった

 

 

「出た!ルカリオの"波導纏い"!」

 

「"かげぶんしん"での攻撃はこの準備を整わせるための隠れ蓑だったんだね!」

 

「ルカリオ!"はどうだん"!」

 

「ルゥオォォッ!!」

 

 

"波導纏い"…そう名付けられたそれは先のコーヴァスジム戦でベルモンドのメガディアンシーと互角に渡り合うため編み出した、ルカリオが持つ波導の力を更に引き出す戦法

 

それを行使したルカリオは荒々しい波導を渦巻かせる"はどうだん"をヘルガーへと放つ

 

 

「さっきよりも威力が上がってる…っ!?ヘルガーっ!"かえんほうしゃ"っ!」

 

 

瞬時にその脅威を感じ取った戌亥はこのバトルで初めての焦りを露わにし、ヘルガーに"かえんほうしゃ"での迎撃を指示する

 

 

「ガアァァァッ!」

 

 

再び"はどうだん"と"かえんほうしゃ"がぶつかり合う

 

しかし、今度は先程と違い"はどうだん"は"かえんほうしゃ"と拮抗してみせた

 

 

「晴れ状態で強化された"かえんほうしゃ"と互角の威力か…!」

 

「改めて見ても凄い威力だね!」

 

 

晴れ状態下での"かえんほうしゃ"を押し切れこそしなかったが、それと張り合える威力にまで技を強化させた"波導纏い"にイブラヒム達は改めて感心する

 

その最中、"にほんばれ"によって生み出された擬似太陽が徐々に小さく、その陽射しが弱まり始める

 

 

「もうすぐ晴れ状態も終わり…!ヘルガー!"ニトロチャージ"!」

 

 

ここから晴れ状態が終わるまでの間、"はどうだん"を押し切れない"かえんほうしゃ"で攻撃するよりも、その後の展開を少しでも有利なものに出来るよう備えた方が良い

 

そう判断した戌亥は素早さを高められる"ニトロチャージ"をヘルガーに繰り出させる

 

 

「ルカリオ!"ボーンラッシュ"!」

 

 

"ニトロチャージ"で突っ込んで来るヘルガーをルカリオは波導の力を纏わせた"ボーンラッシュ"で迎え撃つ

 

 

「ルゥゥオォォォッ!!」

 

「ガルゥ…ッ!」

 

 

両者のぶつかり合いはルカリオの"波導纏い"による"ボーンラッシュ"に軍配が上がり、押し飛ばされたヘルガーは効果抜群のダメージに表情を歪ませる

 

そして、強い陽射しを放っていた擬似太陽は完全に消滅して室内の天候が元通りになる

 

 

(よし、晴れ状態は収まった!このまま一気に…!)

 

パチパチパチ…

 

「…!」

 

「いやぁ、これには私も驚かされたわ、リゼはん。まさか、そんな方法でルカリオをパワーアップさせてくるなんて」

 

 

晴れ状態が終わりを告げ、形勢が自身の有利に傾いてリゼが勢い付こうとしたその時、徐ろに戌亥が拍手と共に称賛の言葉を投げ掛ける

 

 

「波導の力を通常よりも引き出させてるんやろうけど、それはルカリオ自身に相当な集中力と疲労を強いることになる。生半可な心持ちで出来ることじゃない」

 

 

"でも…"と、戌亥は言葉を続ける

 

 

「リゼはんのバタフリーやエンペルト、サイドン達と同じようにルカリオからも貴女の想いに応えたいって気持ちが伝わってくる。だからこそ、これほど物にできている。とても素晴らしいことだわ」

 

「ありがとう、とこちゃん!でも、私を褒める余裕は無いんじゃない?」

 

 

リゼは称賛の言葉を快く受け取りつつも、晴れ状態が無くなり追い込まれているはずの戌亥にそう言い返す

 

 

「そうね。たしかにこのままだと、もう一度"にほんばれ"をせんとルカリオと真っ向から勝負するのは厳しそう。でも、リゼはんがそれを簡単に許してはくれないことくらい分かってる」

 

「…じゃあ、どうするの?」

 

 

リゼの問いに戌亥は不敵な笑みを浮かべ返すと、唐突に自身の首に着けている首輪を外し取った

 

 

「私とヘルガーの絆で勝ち得たとっておきを使わせてもらうわ!」

 

 

戌亥はそう高らかに宣言すると右手に握った首輪を突き出し、そこに埋め込まれた七色の宝石をリゼに見せつける

 

 

「首輪に埋め込まれてるそれ…!もしかして…!?」

 

「やっぱり持ってるか…!キーストーン…!」

 

 

戌亥が外し取った首輪には、ポケモンをメガシンカさせるために必要なアイテムであるキーストーンが埋め込まれていた

 

 

「ヘルガー!メガシンカ!」

 

 

リゼ達が驚くなか、戌亥がそう叫ぶと首輪に埋め込まれたキーストーンが光り輝き出す

 

すると、それに呼応するようにヘルガーが首に着けている銀の首輪…その中央に埋め込まれたメガストーン:ヘルガナイトも光り輝き出す

 

そして、戌亥が持つキーストーンとヘルガーが持つヘルガナイト…光り輝くそれぞれの宝石から複数のエネルギーが帯状に伸びて繋がり、ヘルガーは虹色の光に包み込まれてその姿を変え始める

 

頭の角と身体の随所に見受けられる骨はより大きく鋭く、首元の髑髏は鎧のような形に変化し、やがて虹色の光は輝きを収め、ヘルガーはメガヘルガーへとメガシンカを遂げる

 

 

「ガアァァァァァッ!!!」

 

「これがヘルガーのメガシンカした姿…メガヘルガーよ!」

 

「あれがメガヘルガー…!」

 

「ルオ…ッ!」

 

「凄い迫力…!」

 

「さっきよりも見た目の凶悪が増してるね…!」

 

「ああ、ありゃまるで…!」

 

 

"地獄の番犬"…そう言い表したくなるほどの姿へと変貌し、凄まじい威圧感を放つメガヘルガーにリゼとルカリオは勿論、観戦席のイブラヒム達も気圧される

 

 

「それじゃあ、いくわよ!ヘルガー!"かえんほうしゃ"!」

 

「ルカリオ!"はどうだん"!」

 

 

メガシンカしたことによってパワーアップしたメガヘルガーの"かえんほうしゃ"にルカリオは"波導纏い"で強化した"はどうだん"を放つ

 

衝突した両者の技は拮抗してしばらく押し合い、最後には爆発を引き起こして相殺し合った

 

 

「晴れ状態でもないのに、あの"はどうだん"と互角なんて…!」

 

「流石はメガシンカ…!強力だな…!」

 

「でも、これで互角ってことはもしまた晴れ状態にされたら…!」

 

「そうはさせない!ルカリオ!"ボーンラッシュ"!」

 

 

メガヘルガーの強力な"かえんほうしゃ"にイブラヒム達が驚き、再び"にほんばれ"で天候を晴れ状態にされることを恐れるなか、当然その危険を理解しているリゼはその隙を与えまいと指示を出し、ルカリオは波導を纏わせた"ボーンラッシュ"を手にヘルガーへと突っ込む

 

 

「ヘルガー!躱して"バークアウト"!」

 

 

だが、先の"ニトロチャージ"で素早さを強化させていたヘルガーはルカリオが振り回す"ボーンラッシュ"を難なく躱し、大振りの一撃を飛び退いて避けると"バークアウト"を繰り出す

 

 

「ル…オォォォ…ッ!?」

 

「ルカリオ…っ!」

 

 

"バークアウト"が直撃したルカリオはその騒音に苦しんで耳を塞ぎ、同時に両掌に纏っていた波導が霧散してしまう

 

 

「"波導纏い"が消えた…!?」

 

「"バークアウト"の強烈な騒音に集中力を乱されたことで維持出来なくなっちまったんだ…!」

 

「ヘルガー!"にほんばれ"!」

 

 

ルカリオから作った隙を機にメガヘルガーは"にほんばれ"を繰り出し、擬似太陽を発生させて室内の天候を再び晴れ状態にする

 

 

「しまった…!ルカリオ…!もう一度波導の力を集中させて…!」

 

「させへんよ!ヘルガー!"かえんほうしゃ"!」

 

 

ルカリオの"波導纏い"を解除されたばかりか"にほんばれ"を許してしまったリゼは体勢を立て直そうと慌てて指示を出すが、当然その猶予を与える気が無い戌亥はメガヘルガーに"かえんほうしゃ"を繰り出させる

 

 

「「「「…っ!!?」」」」

 

 

その時、リゼとイブラヒム達は瞠目した

 

メガヘルガーが繰り出す"かえんほうしゃ"が晴れ状態の恩恵を受けてメガシンカする前以上の威力となることは誰もが予想していた

 

だが、メガヘルガーが繰り出した"かえんほうしゃ"は火山が噴火した炎のように、晴れ状態の恩恵だけとは到底考えられないほど、その威力と規模が増していた

 

 

「間に合わない…!ルカリオ…!"ボーンラッシュ"で防いで…!」

 

 

バトルフィールドの縦半分を呑み込む程のあまりに大規模な"かえんほうしゃ"に"波導纏い"が間に合うことは疎か、回避も不可能と悟ったリゼはせめてもの抵抗に"ボーンラッシュ"での防御を指示する

 

 

「ルゥゥ…オォォォ…ッ!?」

 

 

"ボーンラッシュ"を風車のように高速で回転させて"かえんほうしゃ"を受け止めたルカリオだったが、その絶大な威力を前に防ぎ切れず呑み込まれてしまう

 

 

「ルカリオ…っ!?」

 

「な、なに…!?あの威力…!?」

 

「晴れ状態は炎タイプの技の威力を上げると言っても、これは異常過ぎない…!?」

 

「ああ…!あの爆発的な威力の増し方…!晴れ状態になった瞬間だってのを考慮すると、おそらくメガシンカしたことで変わった特性によるものだな…!」

 

「そう、私のヘルガーはメガシンカしたことで特性が変わってる。その名も"サンパワー"…晴れ状態の時に特攻能力が強化されるのよ」

 

 

そう推測を導き出したイブラヒムに答るように、戌亥はその謎を明かした

 

 

「やっぱりそうか…!厄介な特性だな…!」

 

「特攻能力が強化されるってことはつまり、晴れ状態なら炎タイプの技の威力が何倍にも増すだけじゃなくて、他の特殊技も全部強くなるってことだよね…!?」

 

「そんな…!ただでさえメガシンカしたことでパワーアップしてるのに、晴れ状態なら更に強くなるなんて…!」

 

「ああ…!ただ、"サンパワー"はその強力さ故に晴れ状態が続く限り特攻能力を強化する代わり、体力を消耗させるデメリットも存在する…!謂わば諸刃の剣の特性…!だが…!」

 

 

そのデメリットを補って余りある脅威的な攻撃性能の強化…加えて長期戦ならともかく、短期決戦での逆転を狙うこの状況ならば、実質的にデメリットは存在しないと言っても過言ではなかった

 

 

「これがメガシンカしたヘルガーの真の力…!流石はとこちゃん…!でも、まだ勝負は終わってない…!そうでしょ、ルカリオ…っ!」

 

 

だが、その圧倒的な強さを前にしてもリゼに諦めも絶望も無かった

 

 

「ルゥ…ルオォォ…ッ!」

 

 

それはルカリオも同じく、身体は"かえんほうしゃ"の一撃で瀕死寸前のボロボロながらも、その瞳に確かな闘志を宿して立ち上がる

 

 

「うん…!勝とう、ルカリオ!ここまで繋げてくれた皆のために!もう一度立ち上がってくれたアンジュとの約束を果たすために!」

 

「ルオォォォッ!」

 

 

ルカリオと気持ちを一つにしたリゼは笑みを溢すと、バッグの中から布地の薄い白のグローブを取り出し、それを両手に着け始める

 

 

「へぇ…!リゼはんも持ってたのね…!」

 

 

リゼが着けた白いグローブ…その左手の甲に埋め込まれている自身が持つそれと同じ七色の宝石を目にして戌亥は呟いた

 

 

「あれは…!」

 

「キーストーン…!ってことは…!」

 

「ああ、メガシンカだ…!」

 

 

コーヴァスジムに勝利したことでベルモンドから受け取ったキーストーン…それが埋め込まれた白いグローブを身に付けた左手をリゼは天に向かって突き上げる

 

 

「いくよ、ルカリオ!メガシンカ!」

 

 

その掛け声と共にリゼのキーストーンが眩く光り輝き出し、呼応するようにルカリオが持つルカリオナイトも光り輝き出すとそれぞれから凄まじいエネルギーが溢れ出す

 

それらは繋がり合うとルカリオを虹色の光で包み込み、頭部にある4つの房を発達させ、体毛を増やし逆立て、腕と胸から突き出た棘は両脚にも現れる

 

そして、包んでいた虹色の光が弾け消え、身体は一回り大きくなり、房や腕、脚の先端が赤く変色し、その姿は凛々しさと荒々しさを増して、ルカリオはメガルカリオへとメガシンカを遂げた

 

 

「ルオォォォォォッ!!」

 

「凄い…!さっきまでよりもルカリオの波導が強く感じられる…!これがメガルカリオ…!メガシンカの力…!」

 

 

キーストーンとメガストーン、そして両者の絆でルカリオと繋がってるリゼはそのパワーアップを強く感じ取り、感動のあまりにそう声を漏らした

 

 

「メガルカリオ、格好良い〜…っ!」

 

「メガシンカ同士での対決…!これなら…!」

 

「決して気は抜けねぇが、勝機は十分にある…!」

 

「これでお互いに出し惜しみは無し…!さあ、リゼはん!私とヘルガーを超えてみせなさい!」

 

 

戌亥の呼び掛けにリゼは気迫の込もった笑みを返す

 

 

「いくよ、ルカリオ!"はどうだん"!」

 

 

リゼの指示が飛び、メガルカリオは両掌を合わせる

 

次の瞬間、両掌に一瞬で業火の如く荒々しい波導の力を集中させると"はどうだん"を生成…かと思えば瞬時にその大きさを倍に膨れ上がらせ、更に規模を大きくさせていく

 

 

「一瞬で"波導纏い"を…!?」

 

「メガシンカしてパワーアップしたおかげかも…!」

 

「ああ…!だが、メガシンカする前よりも溢れてる波導が荒々しくなってやがる…!おそらく、メガシンカで異常に強化された波導の力に慣れてねぇんだ…!」

 

「つまり、どういうこと…?」

 

「纏うために集中させてる波導が許容量を超えて漏れてる可能性がある…!あの調子だと、そう長くは保たねぇぞ…!」

 

 

ルカリオの"波導纏い"は波導の力を更に引き出すことで自身と技の強化を計っており、通常以上に波導の消耗を激しくしている

 

長時間の使用でもしない限りルカリオが自身の持つ波導の力を使い切ることはまず無いが、メガシンカした今は強化された波導を安定してコントロール出来ておらず、必要以上にその力を溢れさせてしまっていた

 

 

「体力的にも時間との勝負…!一気に決着を付けないといけないってことだね…!」

 

「頑張れ〜っ!!リゼ様〜っ!!メガルカリオ〜っ!!」

 

「文字通り全身全霊ってわけね…!受けて立つわよ、ヘルガー!"かえんほうしゃ"!」

 

 

メガシンカと"波導纏い"によってこれまで以上にパワーアップした"はどうだん"に戌亥は真っ向から勝負しようと決め、気持ちを同じくするメガヘルガーは"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「ルオォォォッ!!」

 

 

繰り出された"かえんほうしゃ"に合わせてメガルカリオも自身の上半身以上の大きさまで膨れ上がった大玉の"はどうだん"を放つ

 

 

ドォォォンッ!!

 

 

と、大きな音を轟かせ両者の技は衝突し、互角の力で押し合い続けて最後には大爆発を引き起こした

 

 

「凄い…!」

 

「万全の状態にあるメガヘルガーの"かえんほうしゃ"と互角…!」

 

「メガシンカのパワーアップと波導による強化だけじゃねぇな…!おそらく、メガヘルガー同様に特性が技の威力を上げるものに変わってるんだ…!」

 

 

そう述べるイブラヒムの推測通り、ルカリオはメガシンカしたことで特性が自身のタイプと一致する技の威力を底上げする"てきおうりょく"に変わっていた

 

そのため、"サンパワー"を発動させているメガヘルガーが誇る最高火力の"かえんほうしゃ"に張り合うに至れたのだ

 

 

「メガシンカに加えてそれは流石に厄介ね…!ヘルガー!"バークアウト"!」

 

「ガアァ〜…ッ!」

 

 

先程のように集中力を乱すことで"波導纏い"を無力化することに加え、"はどうだん"の威力を左右する特攻能力を下げられる効果を狙い、戌亥の指示を受けたメガヘルガーは"サンパワー"によって更に強力となった"バークアウト"を繰り出そうと大きく息を吸う

 

 

「ルカリオ!脚に波導を集中させて!」

 

 

その時、リゼの指示を受けてメガルカリオは両掌に纏っていた波導を両脚へと瞬時に移して踏み込む

 

 

ドンッ!!!

 

「…ッ!!?」

 

「なっ…!?」

 

 

次の瞬間、地を蹴ったメガルカリオは一瞬にしてメガヘルガーの正面に肉迫した

 

 

「"メタルクロー"!」

 

 

そして、メガルカリオは両手から繰り出した"メタルクロー"をメガヘルガーへと叩き込む

 

 

「ガルゥゥ…ッ!」

 

「怯むな、ヘルガーっ!」

 

「…ッ!ガアァァァァァッ!!!」

 

 

メガヘルガーは"メタルクロー"の直撃を受けて押し飛ばされるが、戌亥の呼び掛けに持ち堪えると渾身の"バークアウト"を怒鳴り放つ

 

 

「ルカリオ!耳に波導を集中させて!」

 

 

その時、再びリゼの指示でメガルカリオが両脚に纏っていた波導を両耳へと移し、直後にメガヘルガーの"バークアウト"が直撃する

 

 

「ルオッ!」

 

 

だが、両耳を波導で守ったメガルカリオはそのダメージと強烈な騒音を大幅に抑え、"波導纏い"を維持しながら"バークアウト"の音圧に逆らってメガヘルガーへと迫る

 

 

「やるわね…!ヘルガー!"ニトロチャージ"!」

 

「ルカリオ!"ボーンラッシュ"で迎え撃って!」

 

 

先程のように"波導纏い"を攻略することは出来ないと悟ると戌亥は攻撃を切り替え、メガヘルガーは"ニトロチャージ"を繰り出し突っ込んでいき、メガルカリオは波導を纏わせた"ボーンラッシュ"迎撃する

 

 

「ルオォォッ!」

 

「ガアァァッ!」

 

 

メガルカリオの波導を纏った"ボーンラッシュ"と"ニトロチャージ"の炎に身を包んだメガヘルガーの両尖角が幾度なく激しくぶつかり合う

 

 

「ルゥゥオォォォッ!!」

 

「ガウゥゥ…ッ!」

 

 

メガルカリオが繰り出す渾身の大振りとメガヘルガーの強烈な突進が衝突するが、直前の"メタルクロー"によって攻撃力が上がっていたメガルカリオが勝り、押し負けたメガヘルガーは吹き飛ばされてしまう

 

 

「次で決めるよ!ルカリオ!"かげぶんしん"!」

 

 

勝負に出るリゼの熱い闘志を受け取り、メガルカリオは"かげぶんしん"を繰り出して数十体の分身達を展開させる

 

 

「"はどうだん"!」

 

 

そして、数十体の分身達と共にメガルカリオは再び"波導纏い"で強化させた"はどうだん"を構える

 

 

「ヘルガー!この一撃に全てを懸けなさい!"かえんほうしゃ"!」

 

「ガアァァァァァァァァッ!!!」

 

 

自身も次の一撃に全てを込めようとする戌亥の想いに応え、メガヘルガーはありったけのパワーを込めた最大火力の"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「"かげぶんしん"解除!いっけぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

リゼの絶叫と共に、メガルカリオは"かげぶんしん"を解除して分身達を一斉に消滅させる

 

その瞬間、分身達が構えていた"はどうだん"のエネルギーが本体の構える"はどうだん"に集約され、その威力と規模を爆発的に膨れ上がらせる

 

そして、メガルカリオは自身の何倍も大きくなった超大玉の"はどうだん"を放ち、"かえんほうしゃ"にぶつける

 

 

ドォォォォォォォンッ!!!

 

 

衝突と同時に先程以上の大爆音が轟き、空気は震え稲妻が迸り、両者の技は凄まじい力で鬩ぎ合う

 

 

「ルゥゥゥオォォォォォッ!!!!!」

 

 

その最中、勝ちたい、負けられない、リゼの想いに応えたい…そんな強い思いを込めた大咆哮を上げたメガルカリオは"はどうだん"へ更に波導の力を流し込む

 

 

「ガアァァ…ッ!ガアァァァァァァァァッ!!!」

 

 

瞬間、"はどうだん"が"かえんほうしゃ"を押し始め、抗おうとメガヘルガーも咆哮を上げ更に力を込める

 

だが、止まることなくその威力を増していく"はどうだん"をメガヘルガーは押し返すことが叶わず、"はどうだん"はメガヘルガーを呑み込み、直後に大爆発を引き起こした

 

 

「「…っ!」」

 

「きゃあ…っ!?」

「うわぁ…っ!?」

「くっ…!」

 

 

大爆発による強烈な爆風と衝撃を一同が耐えることしばらく、ようやくその勢いが収まると共に立ち込めた爆煙が次第に晴れていく

 

 

「ルォ…!ルォ…!」

 

「ガァ…!ガァ…!」

 

 

そのフィールドの上には、今にも倒れてしまいそうなほどボロボロな身体で立ち、肩で息をしながらも向かい合うメガルカリオとメガヘルガーの姿があった

 

そして、2体が睨み合う静寂にリゼと戌亥、イブラヒム達が息を呑んで見守るなか…

 

 

「ガ、ガゥ…」

 

 

メガシンカが解け、元の姿に戻ったヘルガーが先に地面へと倒れ伏した

 

 

「ヘルガー、戦闘不能!ルカリオの勝ち!よって勝者、リゼ・ヘルエスタ様!」

 

「〜〜〜…っ!やった〜〜〜!!勝った!とこちゃんに勝ったよ!ルカリオ!」

 

 

いつかチャレンジャーとして勝負することを夢見ていた戌亥との激しいバトルを制し、見事勝利を納めたリゼは嬉しさのあまりに飛び上がりながら、ルカリオの下へと駆け出す

 

 

「ル…オ…ッ!」

 

「わっと…!大丈夫…!?ルカリオ…!?」

 

「ルォ…」

 

 

メガシンカが解かれ、振り向きざまに倒れ掛けたルカリオをリゼはその身で受け止め、心配する彼女にルカリオは"大丈夫…"と言いたげに笑ってみせる

 

 

「…本当に凄かったよ。傷を治したら、エンペルト達と一緒に改めて勝利を祝おうね」

 

 

その言葉にルカリオは満足気な表情で頷き返し、奮闘した彼をまずは休息させることが大事だとリゼは喜び合いたい気持ちを一旦置き、手に取ったボールの中へとルカリオを戻す

 

 

「リゼ様〜!おめでとうございます〜!」

 

 

その時、頃合いを見て駆け寄って来たフレン達からリゼが祝福と称賛の言葉を受け取るなか、戌亥は倒れたヘルガーの下へ歩み寄る

 

 

「お疲れ様、ヘルガー」

 

「ガウ…」

 

「あら、負けたのに随分と清々しい顔ね」

 

「ガウゥ…」

 

「ふふ、そうね。私も満足だわ。今日この日を迎えられて」

 

 

まだ幼かった頃から見守ってきたリゼの成長と彼女と全力でバトル出来たこと

 

敗北の悔しさに勝るその喜びを分かち合い、微笑み合った戌亥はヘルガーをボールへと戻すと晴れ晴れとした表情でリゼの下へ歩み寄る

 

 

「とこちゃん…!」

 

「リゼはん。ずっと待ち望んでた貴女とのバトル、最高だったわ」

 

「私も!とこちゃんととこちゃんのポケモン達に力を尽くしてバトル出来て凄く熱かった!」

 

 

互いの健闘を讃え合い、リゼと戌亥は固い握手を交わす

 

 

「それじゃあ、リゼはん。これがヘルエスタジムに勝利した証…ヘルエスタバッジよ」

 

 

そして、戌亥は懐から取り出したヘルエスタバッジをリゼに手渡す

 

 

「7つ目のジムバッジ…!これで残すはあと1つ!」

 

「最後のジムは隣街のシーズシティ。ニジサンジ地方のトップジムリーダーは私よりも強い。しっかり準備して挑むのよ。そして、絶対に勝ってポケモンリーグに進みなさい」

 

「勿論!そのつもりだよ!」

 

 

7つ目のジムバッジとなるヘルエスタバッジを受け取ったリゼは戌亥からの激励にそう意気込みを返す

 

 

「こりゃ、負けてられねぇな…!」

 

「うん!次は私達の番!リゼ様ととこさんに良いところ見せるためにも頑張るぞ〜!」

 

「ファイトだよ!イブラヒム、フレン!」

 

「今日はもうポケモン達も疲れてるから、明日以降準備が整ったらいつでも挑戦しに来て」

 

「今日応援してもらった分、私も2人が勝てるよう応援するね!2人がとこちゃんとどんなバトルをするのか、楽しみだな〜!」

 

 

リゼと戌亥のバトルを見届け、自分達のジム戦に意気込むイブラヒムとフレン

 

2人の挑戦をリゼは心から応援すると共に、繰り広げられるであろうバトルに胸をワクワクさせるのだった

 

 

 

 

「着いた…!グンカンシティ!」

 

 

その頃…改めてポケモンリーグへ挑戦するため各地のジムを巡る旅に出たアンジュは、最初に挑むジムがある街、グンカンシティへと辿り着いた

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、グレイシア、バタフリー
   サイドン、ルカリオ、ソウブレイズ

戌亥とこ
手持ち:ヘルガー、タチフサグマ、ジヘッド
   グラエナ
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