にじさんじ×ポケットモンスター   作:Mr.ソロ

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第82話「飽くなき挑戦!葛葉vsクレア!」

 

8つ目のジムバッジをゲットするため、イブラヒム、フレン、メリッサの3人と共にシーズシティを目指すリゼはその道中で葛葉、叶、ひまわり、凛月、天宮、笹木と再会し、更にニジサンジ地方の四天王の1人であるクレアと出逢う

 

一同はクレアが務める教会へと招かれるが、そこで葛葉が彼女にバトルを申し込む

 

クレアの1体目のポケモンとなるマホイップの固い防御力の前に苦戦を強いられた葛葉だったが、ギャラドスから交代させたクロバットの活躍により見事戦闘不能に追い込み、四天王を相手に先手を取ったのだった

 

この勢いのまま、葛葉はクレアに勝つことが出来るのだろうか…!

 

 

 

 

「私の次のポケモンはこの子!出てきて!ギャロップ!」

 

 

クレアが2体目に繰り出したのは、薄いピンクと水色が混在した美しい体毛と鋭く立派な一本角が特徴のギャロップとよく似たポケモンだった

 

 

「あのギャロップ…!もしかして、さっきのポニータと同じガラルの姿…!?」

 

「はい。このギャロップはガラルのポニータが進化した姿で本来のエスパータイプにフェアリーが追加されています」

 

「エスパーとフェアリー…。クロバットとは互いに弱点を突けるから、相性は五分だね」

 

「やや不利なのは"ブレイブバード"の反動と"マジカルフレイム"のダメージがあるクロバットの方だな。効果抜群の技を一撃でも食らえばまず間違いなく戦闘不能になるだろう」

 

「倒されるまでにどれだけ相手の体力を削れるかが最終的な勝敗に繋がりそうですね」

 

 

クレアからガラル:ギャロップの簡単な詳細を明かされ、それを基にリゼ達がバトルの展開を意見し合ったところで叶がバトル再開の宣言を下す

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「クロバット!"クロスポイズン"!」

 

「ギャロップ!"サイコカッター"!」

 

 

先制したクロバットが繰り出す"クロスポイズン"の飛ぶ斬撃に対し、ガラル:ギャロップは特徴的な角にエネルギーを溜めて勢いよく振り、扇状の"サイコカッター"を繰り出し衝突させる

 

一瞬、両者の技が拮抗を見せるも威力を上回った"サイコカッター"が"クロスポイズン"を破り、クロバットへと迫る

 

 

「避けろ!クロバット!」

 

 

葛葉の咄嗟の指示にクロバットは素早く反応し、身を翻して"サイコカッター"の直撃を避ける

 

 

「葛葉さんのクロバットの"クロスポイズン"をあんな簡単に…!?」

 

「さっきのマホイップとは打って変わって、あのギャロップは攻撃型みたいやな…!」

 

「アレを食らったら流石にヤベェな…!ここは十分回避出来るように距離を保ちながら削るか…!クロバット!"ねっぷう"!」

 

 

クロバット以上の攻撃力を誇るガラル:ギャロップに凛月と笹木が声を上げるなか、葛葉もそれを脅威と捉えて遠距離から攻めようと相手との距離を取らせてクロバットに"ねっぷう"を繰り出させる

 

 

「ギャロップ!"とびはねる"!」

 

 

クロバットの力強い羽ばたきと共に繰り出された"ねっぷう"が直撃する寸前で、クレアの指示を受けたガラル:ギャロップは"とびはねる"によって大跳躍するとクロバットの真上を取る

 

 

「嘘ぉ…っ!?」

 

「姿は違えど流石はギャロップと言ったところだな…!なんて跳躍力だ…!」

 

「けど、飛行出来ないギャロップは空中では思うように動けねぇ!クロバット!ギャロップとの距離を取って"ねっぷう"だ!」

 

 

ガラル:ギャロップの跳躍力に笹木達がどよめくなか、相手からの攻撃を警戒する葛葉の指示でクロバットはガラル:ギャロップから距離を取る

 

 

「逃しませんよ!ギャロップ!"マジカルシャン"!」

 

「ギャロォッ!」

 

「クロバ…ッ!?」

 

 

その時、ガラル:ギャロップは"マジカルシャイン"の眩い光を広範囲へ繰り出し、直撃を受けたクロバットはそのまま押され地上へと叩き付けられる

 

 

「なっ…!?」

 

「ギャロップ!"サイコカッター"!」

 

 

そして、畳み掛けるようにガラル:ギャロップが繰り出した"サイコカッター"が地上で這いつくばるクロバットに直撃する

 

 

「ク、クロバァ…」

 

 

"サイコカッター"が直撃したと共に発生した爆煙が晴れたそこには、目をグルグルと回しぐったりと倒れたクロバットの姿があった

 

 

「クロバット、戦闘不能!ギャロップの勝ち!」

 

「くっ…!」

 

 

クロバットの戦闘不能を確認し、叶がガラル:ギャロップの勝利を宣言する

 

 

「クロバット、少しもダメージを与えられずにやられちゃった…」

 

「"サイコカッター"を警戒して、回避に集中し過ぎたことが裏目に出たな。不意に繰り出された"マジカルシャイン"に反応が遅れて上手く受け身が取れず、その後の立て直しが間に合わなかった」

 

「葛葉さんが立てた作戦にあんなに早く対応してくるなんて…!流石は四天王ですね…!」

 

 

数的有利も束の間に終わり、リゼ達がクレアとポケモン達の実力を改めて認識するなか、葛葉は倒れたクロバットをボールへと戻す

 

 

「よくやった、クロバット。文句無しの働きだった、ゆっくり休んでくれ。もう一度頼むぞ、ギャラドス!」

 

 

クロバットに労いの言葉を掛けた葛葉は再びギャラドスを繰り出す

 

 

「キシャァァァッ!」

 

「ギャロ…ッ!」

 

 

そして、場に出たギャラドスはマホイップと対面した時と同様に特性の"いかく"を発動させ、ガラル:ギャロップを僅かに怯ませてその攻撃力を下げる

 

 

「あのギャロップは物理技も多く覚えてるみたいだから、この"いかく"で攻撃を下げれたのは大きいですね!」

 

「でも、相手は四天王とそのポケモン。少しも油断は出来ません」

 

 

ガラル:ギャロップに"いかく"による攻撃力の低下が有効的に作用するだろうと期待する凛月にリゼがそう見解を述べるなか、叶がバトルの再開を宣言する

 

 

「それでは、バトル始め!」

 

「ギャラドス!"ハイドロポンプ"!」

 

「ギャロップ!"とびはねる"!」

 

 

ギャラドスが繰り出す"ハイドロポンプ"をガラル:ギャロップは"とびはねる"による跳躍で難なく躱しながら突っ込んで行く

 

 

「"アクアテール"で迎え撃て!」

 

 

ガラル:ギャロップの"とびはねる"にギャラドスは繰り出した"アクアテール"で迎え撃ち、激突する

 

 

「キシャァァァァァッ!!」

 

「ギャ…ロォ…ッ!」

 

 

鬩ぎ合うこと数秒…吹き飛ばすとまではいかなかったものの、パワーはギャラドスが僅かに勝り、ガラル:ギャロップは弾き飛ばされるも難なく地上へ着地する

 

 

「パワーはギャラドスの方が上みたい!」

 

「さっきの"いかく"でギャロップの攻撃力を下げたことが効いてるんだね!」

 

「ギャロップ!"サイコカッター"!」

 

 

ギャラドスが攻撃力でガラル:ギャロップに勝っている展開に天宮とメリッサが声を弾ませるなか、クレアの指示でギャロップが"サイコカッター"を仕掛ける

 

 

「ギャラドス!"かみくだく"!」

 

 

直後に飛んだ葛葉の指示でギャラドスはその巨体をくねらせ地を這うと、迫る"サイコカッター"に"かみくだく"をぶつける

 

 

「キシャァァァァァッ!!」

 

 

瞬間、技の衝突による爆発が起きてギャラドスを呑み込むが、数秒と経たずにギャラドスは爆煙から飛び出し、ガラル:ギャロップに迫りその胴体に噛み付くと再び繰り出した"かみくだく"を炸裂させる

 

 

「ギャロォォ…ッ!?」

 

「ギャロップ!"マジカルシャイン"!」

 

「ギャ…ロォ…ッ!」

 

 

"かみくだく"のダメージに痛烈な悲鳴を上げるガラル:ギャロップはクレアの指示が飛んだ瞬間にダメージを堪え、噛み付くギャラドスの拘束から逃れるべく"マジカルシャイン"を繰り出す

 

 

「キ…シャァァ…ッ!」

 

「踏ん張れ、ギャラドス!ギャロップを上へ投げ飛ばせ!」

 

 

零距離から浴びせられる"マジカルシャイン"にギャラドスも苦しそうな声を漏らすが、指示と共に飛ばされた葛葉からの激励に自らを奮い立たせると身体を大きく捻って、ガラル:ギャロップを上空へ思い切り投げ飛ばす

 

 

「今だ!"ハイドロポンプ"!」

 

 

その続け様、空中に投げ飛ばされ身動きの取れないガラル:ギャロップにギャラドスは繰り出した"ハイドロポンプ"を直撃させる

 

 

「ギャロォォ…ッ!?」

 

「頑張って!ギャロップ!"サイコカッター"!」

 

 

"ハイドロポンプ"の直撃によって更に上空へ打ち上げられたガラル:ギャロップはクレアの声を耳にして瞳をカッと見開くと、真下にいるギャラドス目掛けて"サイコカッター"を繰り出す

 

そして、"サイコカッター"は落下の勢いで更にそのスピードと威力を次第に増していく

 

 

「あの状態から攻撃してくるか…!けど、回避には十分過ぎる距離だ!避けろ!ギャラドス!」

 

 

"ハイドロポンプ"の直撃を受けたばかりか、かなりの高さから落下している最中でありながらもトレーナーの指示に応え攻撃を繰り出してきたガラル:ギャロップに葛葉は関心の呟きを落とす

 

しかし、"サイコカッター"が落下の勢いでそのスピードを増しているとは言え、地上に届くまではまだ相当な距離があり、葛葉の指示を受けたギャラドスは余裕を持ってその場から十分に離れる

 

その数秒後、落下によって威力が格段に増した"サイコカッター"が地上に直撃し、大きな爆発と共に砂煙が巻き上がる

 

 

「とんでもない威力になってますね…!」

 

「ああ…!食らったら一溜まりもないな…!」

 

「でも、距離があったおかげで命中はしてない…!着地した直後を狙えば…!」

 

 

落下で格段に増した"サイコカッター"の威力にリゼ達は目を見張るも、技はギャラドスに直撃しておらず、後はガラル:ギャロップがあの高さからの着地時に生じる衝撃で硬直する瞬間に攻撃すればギャラドスが勝てるかもしれないと期待を懸ける

 

 

「ギャロップ!"とびはねる"!」

 

 

その時、クレアの指示が飛んで、大量に舞う砂煙の中へと沈み地上へ着地したガラル:ギャロップは次の瞬間に力強く地を蹴って跳び上がり、砂煙を飛び出してギャラドスの頭上を取る

 

 

「キシャァ…ッ!?」

 

「ギャロォッ!」

 

 

不意を突かれて一瞬呆気に取られるギャラドス…その額へとガラル:ギャロップは"とびはねる"の強烈な跳び蹴りを炸裂させる

 

 

「キシャァァ…ッ!?」

 

「ギャラドス…ッ!」

 

「マジか…!?」

 

「あの高さから着地して全く平気だなんて…!?」

 

「いや、冷静に考えればギャロップは強靭な脚を持つポケモン…!何も不思議なことじゃない…!」

 

(それにさっきの"サイコカッター"…!アレは着地までの間に追撃をさせないための牽制であると同時に、着地後の攻撃を確実に決めるため、ギャラドスの不意を突けるよう目眩しとなる砂煙を起こすのが目的だったみたいだな…!)

 

 

痛烈なダメージにギャラドスが大きな悲鳴を上げ仰け反り倒れるなか、ガラル:ギャロップの脅威的な脚の強さにリゼ達は驚き、イブラヒムは更に"とびはねる"炸裂の布石となった"サイコカッター"の意図に気付く

 

 

「ギャラドス!まだ立てるよな!?」

 

「キ…シャァァァ…ッ!」

 

「よし!"アクアテール"で反撃しろ!」

 

 

ギャラドスの戦意がまだ失われていないことを確認した葛葉は"アクアテール"での反撃を指示する

 

 

「キ…シャァァ…ッ!?」

 

「ギャラドス…っ!?」

 

 

だが、攻撃を繰り出そうとしたその時、ギャラドスは苦しそうに表情を歪めると急に身体が固まってしまったかのように動きを鈍らせた

 

 

「ギャラドス、どうしちゃったの…!?」

 

「あの様子…!"とびはねる"の追加効果で麻痺状態になったようだな…!」

 

「そんな…!?」

 

「天運はこちらに傾いたみたいですね!ギャロップ!連続で"サイコカッター"!」

 

 

直前に受けた"とびはねる"によってギャラドスが麻痺状態になったことをイブラヒムが見抜くなか、クレアの指示を受けたギャロップは頭の角を連続で振るい放った"サイコカッター"をギャラドスに浴びせる

 

 

「キ…シャァァ…ッ!?」

 

「堪えろ!ギャラドス!"ハイドロポンプ"!」

 

 

絶え間なく浴びせられる"サイコカッター"のダメージに堪えながら麻痺状態の強烈な痺れに抗い、ギャラドスは"ハイドロポンプ"を繰り出す

 

 

「ギャロップ!躱して!」

 

 

しかし、麻痺状態による痺れで動きが鈍くなったことで技を繰り出すまでの挙動が読まれやすくなり、ギャラドスが繰り出した"ハイドロポンプ"はガラル:ギャロップに簡単に避けられてしまう

 

 

「ギャロォッ!」

 

「キシャァァァ…ッ!?」

 

 

そして、ギャラドスは再びガラル:ギャロップが連続で繰り出す"サイコカッター"の攻撃を浴びせられる

 

 

(麻痺で動きが鈍くなっちまったこの状態じゃ、技もまともに当たらねぇ…!だからと言って、このままタダでやられるわけにはいかねぇ…!リザードンの負担を少しでも減らせるよう、せめて最後に何か…!)

 

 

3番手に残すリザードンへ繋ぐため、体力を削るとまでいかずとも、ガラル:ギャロップに何らかの不利を与えておきたいと、葛葉は思考を巡らせる

 

 

「…っ!」

 

 

その最中、葛葉はふと思い返したある記憶からヒントを得る

 

かつて、リゼが黛とバトルした際にメタグロスのスピードを封じるため、フィールドをエンペルトの"れいとうビーム"で凍り付かせたことを

 

 

「これだ…!ギャラドス!地面に向かって"こおりのキバ"だ!最大パワーで叩き込め!」

 

「地面に攻撃やって…!?」

 

「一体何を…!?」

 

 

葛葉が出した指示に笹木や凛月達が驚き声を上げるなか、ギャラドスは渾身の力を込めた"こおりのキバ"を地面へとぶつける

 

すると、"こおりのキバ"がぶつけられた場所からガラル:ギャロップの方に向かって氷柱の突出を伴いながら地面が凍り付いていく

 

 

「ギャロォ…ッ!?」

 

「ギャロップ…っ!?まさか、"こおりのキバ"で地面を凍らせてくるなんて…!」

 

 

予想外の攻撃にクレアも驚き、怯んだギャロップは回避行動を取ることが出来ず、足下から迫った氷に全身を凍り付かされてしまう

 

 

「キ…シャァァ…」

 

 

そして、力を使い果たし体力も限界だったギャラドスは"ドシィィィンッ!"と大きな音を立てて前のめりに倒れ込んだ

 

 

「ギャラドス、戦闘不能!ギャロップの勝ち!」

 

「戻れ、ギャラドス。負けはしたが、最後によくやってくれた。後のことは任せろ」

 

 

叶からギャラドスの戦闘不能を宣告された葛葉はボールに戻したギャラドスにそう言葉を掛けると、最後のポケモンが収まっているボールを手に取る

 

 

「いけ!リザードン!」

 

 

ここまで奮闘した仲間達の想いを背負い、葛葉が投げたボールから通常とは異なる黒い肌を持つ色違いのリザードンが飛び出す

 

 

「ウオォォォォンッ!」

 

「最後はリザードン、それも色違いの…!その子がアナタのパートナーというわけですね!」

 

「そうっすよ!それじゃあ、まずはもう身動きが取れないギャロップを一撃で倒させてもらうぜ!リザードン!"かえんほうしゃ"!」

 

 

葛葉がそう言い放つと共にバトルが再開され、リザードンの繰り出した強力な"かえんほうしゃ"が氷漬けにされ動けないガラル:ギャロップを呑み込む

 

 

「ギャラドスが置き土産で繰り出した"こおりのキバ"でギャロップを凍り状態にさせれたのは大きいな!」

 

「このまま戦闘不能まで押し切れれば…!」

 

 

"リザードンにダメージが全く無い状態で3体目と対峙出来る"と、リゼ達が期待を抱いたその時だった

 

 

「ギャロップ!"とびはねる"!」

 

 

クレアの指示が飛んだ瞬間、自身を捕らえている氷が"かえんほうしゃ"によって溶けたことで動けるようになったガラル:ギャロップは繰り出した"とびはねる"で炎の中から勢い良く跳び抜け出す

 

 

「「「えぇ…っ!?」」」

 

「あの"かえんほうしゃ"をまともに食らっていながら動けるのか…!なんてタフさだ…!」

 

「ギャロップ!"サイコカッター"!」

 

 

攻撃を堪え、反撃に打って出れたガラル:ギャロップの屈強さに一同が驚愕するなか、クレアの指示が飛んで、ガラル:ギャロップは跳び上がった空中から地上にいるリザードンへ向けて"サイコカッター"を繰り出す

 

 

「リザードン!"ドラゴンクロー"で迎え撃て!」

 

 

リザードンは大きな両翼を広げ羽ばたかせると一気に飛び上がり、繰り出した"ドラゴンクロー"を"サイコカッター"と衝突させる

 

両者の技は鬩ぎ合い、威力は互角…かに思われたが、それは一瞬のことで"サイコカッター"は敢え無く"ドラゴンクロー"に破られてしまう

 

 

「「「…っ!?」」」

 

「"サイコカッター"があんなにもあっけなく…!もしかして…!ううん、それよりも反撃を…!ギャロップ!"マジカルシャイン"!」

 

「ギャロォ…ッ!」

 

 

驚くリゼ達と同様に、"サイコカッター"が"ドラゴンクロー"との力比べで簡単に敗れてしまったことにクレアは動揺してその原因を予想するも、今は迫るリザードンを迎撃しようと"マジカルシャイン"の指示を飛ばし、ガラル:ギャロップは技を繰り出すため全身に力を込める

 

 

「ギャロ…ッ!?」

 

 

だが、その瞬間に突然ガラル:ギャロップの身体が発火し、炎に包まれてしまう

 

 

「ギャロップ…っ!?やっぱり…!」

 

「イブラヒム…!アレって…!」

 

「ああ、火傷状態だ…!さっき食らった"かえんほうしゃ"の追加効果…!通りであの"サイコカッター"が簡単に"ドラゴンクロー"に破られたわけだ…!」

 

 

火傷状態…主に炎タイプの技によって引き起こされることが多い毒や麻痺等と同じ状態異常の1つ

 

その効果は毒状態と同じように掛かったポケモンに経常的なダメージを与えるだけでなく、物理攻撃の威力を半減させる

 

そのため、クロバットの"クロスポイズン"を容易く破るほどの威力を誇るガラル:ギャロップの"サイコカッター"がリザードンの"ドラゴンクロー"と張り合えもせず敗れたのだ

 

 

「今だ!リザードン!"かみなりパンチ"!」

 

 

そして、火傷のダメージに苦しみ動きを止めたガラル:ギャロップに急接近したリザードンは繰り出した"かみなりパンチ"を炸裂させ、地上へと叩き付ける

 

"ドカァァンッ!"と、大きな衝突音が響き、同時に舞い上がった土煙がしばらくして晴れたそこには倒れ伏したガラル:ギャロップの姿があった

 

 

「ギャロォ…」

 

「ギャロップ、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

「よし!いいぞ、リザードン!」

 

「ウオォォォンッ!!」

 

「やった〜!2体目も突破〜!」

 

「クロバットにギャラドス、みんなで繋いだ勝利だね!」

 

「本当に凄い…!四天王相手にこれほどのバトルが出来るなんて…!」

 

「前にバトルした時よりも相当実力を上げてきたみたいだな」

 

「体力も万全…!これはひょっとするとイケるかもしれませんね…!」

 

 

リザードンが勝利の雄叫びを上げるなか、ひまわりと天宮も同じように喜び、四天王に迫れるほどの高い実力を付けた葛葉にリゼやイブラヒムは感心を示し、凛月は葛葉の勝利に期待を寄せる

 

 

「お疲れ様、ギャロップ。ゆっくり休んでね。葛葉さん、ここまでのバトルとても素晴らしいものでした」

 

 

クレアは倒れたガラル:ギャロップをボールへと戻すと葛葉とポケモン達の闘いぶりに称賛の言葉を贈る

 

 

「どのポケモン達も強く育てられていて、マホイップを見事倒したクロバットや最後にギャロップを凍り付かせたギャラドスの頑張りからはアナタとの信頼関係の強さを感じました。まだジムバッジを8つ集め切れていないトレーナーとは思えないほどの実力で驚いています」

 

 

"だからこそ…"と、言葉を続けるクレアはそれまで朗らかだった表情を凛とさせる

 

 

「そんなアナタに私は負けるわけにはいきません!四天王の一角がこの程度のものなのかと失望させちゃうと申し訳ないですから!」

 

 

チャンピオンを超えるため、これほどまでに強さを求め培ってきたまだ旅立って間も無いトレーナー相手に、公式試合でもないプライベートなバトルであっても勝ちを譲ってしまうのは四天王という称号を与えられた者として失礼に当たる

 

その想いを葛葉、引いてはこのバトルを見守っているリゼ達に伝えたクレアはボールを手に取る

 

 

「それでは、最後のバトルを始めましょう!私のポケモンはこの子です!出ておいで!」

 

 

そう言ってクレアがボールを投げ上げると、中から頭に一見ポニーテールのようにも見える異形な大顎を生やした小柄な人型のポケモンが飛び出す

 

 

「クチッ!」

 

「あのポケモンは…!」

 

「クチートだ!」

 

「「「可愛い〜っ!」」」

 

 

登場したのは"あざむきポケモン":クチート…特徴的である異形な大顎の存在感すら霞む可愛らしい見た目に、マホイップの時と同様にフレンや天宮を筆頭とした女性陣が黄色い声を上げる

 

 

「それがクレアさんの相棒ってわけっすか…!」

 

「はい!自慢のエースポケモンです!でも、可愛いだけじゃありませんよ?」

 

「クチィッ!」

 

 

葛葉にクレアがそう言葉を返すと、クチートはリザードンへと向けた特徴的な頭の大顎をガバッと開く

 

 

「ウオォォ…ッ!?」

 

 

その瞬間、涎を垂らしながら大きく開口する大顎が放つ凶悪的でありながら不気味をも感じさせる恐ろしさにリザードンはその鋭い眼付きを歪ませ、額からは冷や汗を流し、警戒からかはたまた気圧されたからか左足を一本後ろへ引いた

 

 

「ひぃ…っ!?」

 

「ア、アレって…っ!?」

 

「ギャラドスと同じ特性の"いかく"だ…!だが、これは…っ!」

 

「ギャラドスのそれとはまた違う恐ろしさを感じますね…っ!」

 

 

そして、リゼ達もリザードンと同様にクチートの"いかく"に思わず身を震わせた

 

 

「リザードン、ビビってんのか?」

 

「ウオォ…ッ!?」

 

 

しかし、その中で唯一、葛葉だけはクチートの"いかく"に恐れを成さず、身震いしているリザードンへそう言葉を投げた

 

かつて無い緊張感に襲われたリザードンは不意に投じられた葛葉のあまりに静かな、それでいて凄みのある声にハッと目を見開き振り返った

 

 

「…ッ!ウオォォォォォンッ!!!」

 

 

しばらく葛葉と見つめ合った後、リザードンは自らを奮い立たせんと空気が割れんばかりの雄叫びを上げ、恐れが消え去った闘志に燃え盛る鋭い眼付きでクチートを睨み返す

 

 

「クチィ…!」

 

「トレーナーの強さに自らを奮い立たせて、"いかく"の恐怖を払った…。やっぱり、貴方達の絆は目を見張るほど素晴らしいです!」

 

 

自身の"いかく"に怖気付かなかった葛葉とリザードンを認めてクチートは感心するように笑みを浮かべ、クレアもまた2人の関係を改めて称賛する

 

 

「す、凄い…!」

 

「流石は葛葉さんです…!」

 

「いっけぇ〜!葛葉〜!リザード〜ン!」

 

「それじゃあ、バトル始め!」

 

「リザードン!"かえんほうしゃ"!」

 

 

葛葉の気迫にリゼ達が感心し、ひまわりが声援を送るなか、叶のバトル再開の合図と共に先制した葛葉は鋼タイプを持つクチートに効果抜群となる炎タイプの技"かえんほうしゃ"を指示し、口を開いたリザードンは大きく息を吸う

 

 

「クチート!"ふいうち"!」

 

 

その時、クレアが飛ばした指示を受けてクチートはリザードンに向かって勢いよく地を蹴ると、直後に頭の大顎を"ガバッ!"と大きく開く

 

 

「…ッ!?」

 

「クッチィッ!」

 

 

突然開かれた大顎を警戒してリザードンの意識がそっちへ向くと共に僅かに動きを鈍らせると、クチートはその隙を突いて一気にリザードンの懐へ肉薄し、"ふいうち"の蹴りを炸裂させる

 

 

「ウオォォ…ッ!?」

 

「負けんなっ!リザードンっ!」

 

「…ッ!ウオォォォ…ッ!」

 

 

痛烈な攻撃にリザードンは体勢を崩しそうになるも、そこへ飛んできた葛葉の発破を受けて眦を吊り上げ踏み止まると、眼下のクチートへ"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「…っ!クチートっ!避けてっ!」

 

 

想定外の反撃の早さにクレアは慌てて指示を飛ばし、クチートは"ふいうち"の蹴りを炸裂させたのとは別のもう片足でリザードンの腹を蹴り、その場から飛び退いて"かえんほうしゃ"の直撃を避けた

 

 

「大丈夫…!?クチート…!」

 

「クチィ…!」

 

「驚きました…!クチートの"ふいうち"を受けてあんなに早く反撃してくるなんて…!」

 

「攻撃を受けても反撃に転じれるよう、鍛えてるっすからねぇ!"ふいうち"を覚えてると分かったからには、次こそ完璧に反撃しますよ!"かみなりパンチ"!」

 

 

予想外の打たれ強さにクレアが驚くなか、リザードンは突き合わせた両拳に電撃を纏わし"かみなりパンチ"を繰り出すと、クチート目掛けて勢いよく突っ込んでいく

 

 

「クチート!"かみくだく"!」

 

 

クチートは頭の大顎を大きく開いて待ち構え、突っ込んで来たリザードンが振り抜いた右拳の"かみなりパンチ"を繰り出した"かみくだく"で噛み付き受け止める

 

 

「ウオォ…ッ!?」

 

 

クチートの"かみくだく"は"かみなりパンチ"を完璧に受け止め、電撃が全身に伝わらないよう大顎の口内に留めさせながら噛み付いた右腕に"かみくだく"を炸裂させ、そのダメージにリザードンは表情を歪ませる

 

 

「…ッ!ウオォォォンッ!」

 

 

だが、リザードンはその痛みに堪えると、左拳の"かみなりパンチ"に力を込めて思い切り振り抜く

 

 

「クチート!"じゃれつく"!」

 

 

そこへクレアの指示が飛び、クチートは小さな両手に集中させたフェアリータイプの力を無邪気出鱈目に振るう技"じゃれつく"を繰り出し、リザードンの"かみなりパンチ"と衝突させる

 

 

「ウオォォン…ッ!」

 

「クチィ…ッ!」

 

 

両者の技はしばらく拮抗すると爆発を引き起こし、その衝撃に押し飛ばされる形でリザードンとクチートは互いに後方へと退がった

 

 

「パワーは互角…!四天王のエースポケモン相手に食らい付いてるよ…!」

 

「ああ。だが、それだけにクチートの特性"いかく"で攻撃力を下げられたのは痛いな」

 

「そうでなければ、さっきの"かみなりパンチ"も決まってたかもしれんからなぁ…!」

 

 

クチートと互角に渡り合うリザードンに声を上げるメリッサ同様にリゼ達も目を見張るが、"いかく"による攻撃力の低下が無ければ有利にバトルを進められるだろうにと、イブラヒムと笹木が惜しむようにそう呟く

 

 

「たしかに、このままだと勝つのは厳しいな…!それじゃあ、様子見はここまでだ!ここからは出し惜しみ無しの全力でいかせてもらうぜ!」

 

 

イブラヒム達と同じ判断に至った葛葉はそう言うと、左腕の袖を勢いよく捲った

 

 

「あれは…!」

 

「キーストーン…!」

 

「まあ、当然持ってるよな…!」

 

 

葛葉の左腕袖の下から現れたのは手首に装着されたバングルとそこに埋め込まれたメガシンカに必要となるキーストーンだった

 

 

「リザードン!メガシンカ!」

 

 

リゼ達が驚くなか、葛葉が左腕を天に向けて突き上げるとバングルに埋め込まれているキーストーンが強い光を輝き放つ

 

それと同時に、葛葉のリザードンが持つメガストーンが目の前に浮き現れると共にキーストーンと同じ光を輝かせる

 

直後、キーストーンとメガストーンの両方から線状の光が溢れ伸びて繋がり合い、リザードンは虹色に輝く光に包まれ変化が起こり始める

 

立派な両翼はより大きく荒々しさを増し、翼角や肩には突起物が生え、口角からはその揺めきから炎が噴き出していることが見て取れた

 

そして、虹色の光が卵の外殻が内側から勢いよく破られるように弾け散ると、そこにはメガシンカを遂げたリザードンの姿があった

 

 

「あれがリザードンのメガシンカした姿…!」

 

「そう!メガリザードンX!」

 

「メガリザードン…X…?」

 

 

リザードンのメガシンカを初めて見るリゼや笹木が感嘆の声を漏らすなか、ひまわりの言葉にフレンが疑問符を浮かべる

 

 

「聞いたことがあるな…!たしか、リザードンには2種類のメガシンカが存在すると…!」

 

「はい!アレはそのうちの1つ、リザードナイトXでメガシンカした姿なんです!」

 

「あの姿になると、リザードンは炎・ドラゴンタイプになるんだよ〜!」

 

「たしかに、よりドラゴンタイプらしい見た目になってるかも…!」

 

「この上でまだもう1種類もあるなんて…!メガシンカの可能性にはいつも驚かされるね…!」

 

「メガシンカ…!なら、私達も本気で迎え撃たないといけませんね!」

 

 

凛月と天宮がメガリザードンXついて答えるなか、メガシンカを前にしたクレアはそう呟くと首に掛けているネックレスを手繰り、その先にぶら下がっている十字架を手に取る

 

 

「何で急にネックレスを取り出して…?」

 

「いや、あの十字架の真ん中をよく見ろ…!あそこに埋め込まれている宝石は…!」

 

「キーストーン…っ!」

 

 

いち早く気付いたイブラヒムやリゼが視線を向ける十字架の中央には、遺伝子を思わせる模様が刻まれた虹色に輝く宝石:キーストーンが埋め込まれていた

 

 

「救済を執行しましょう!クチート!メガシンカ!」

 

 

クレアの掛け声と共に、十字架のキーストーンとクチートが持つメガストーンが呼応して眩い光を放ち、クチートもリザードンと同じ様に虹色に輝く光に包まれる

 

その中でクチートの小さな身体は一回り大きくなり、特徴的な大顎は更に異形な形へと変化するだけでなく2つに増え、変化の終わりと共に光が弾け散り、クチートはメガクチートへとメガシンカを遂げる

 

 

「あれがメガクチート…!」

 

「ここからが本当の勝負だな…!」

 

 

クチートのメガシンカにリゼ達は感銘を受け、イブラヒムが目を細めるなか、熾烈なバトルが再開される

 

 

「リザードン!"かえんほうしゃ"!」

 

「クチート!"ふいうち"!」

 

 

葛葉とクレアがメガリザードンXとメガクチートに取らせた行動は最初と同じシチュエーション

 

"かえんほうしゃ"を繰り出す予備動作に入ったメガリザードンXへ突っ込んだメガクチートが2つに増えた大顎を大きく開く

 

メガリザードンXは2つの大顎に一瞬意識を取られるが、最初に受けた"ふいうち"のことを思い出し、すぐにメガクチート本体へと注意を向ける

 

 

「クッチィッ!」

 

「ウオォォ…ッ!?」

 

 

しかし、直後にメガクチートが仕掛けた攻撃は最初に繰り出してきた際の蹴りではなく、不意を突くために敢えて大胆な動きを見せた2つの大顎をグッと閉じ尖らせ突き出したものだった

 

その攻撃に虚を衝かれたのか、驚いたように目を見開いたメガリザードンXはその直撃を受けて押し飛ばされてしまう

 

 

「さっきと攻撃が違う…!?」

 

「最初に見せた大顎に注意を向けさせて本体で攻撃するって方法を相手が警戒してくるのを見越して変えてきたみたいやね…!」

 

「…ッ!ウオォォォンッ!!」

 

 

"ふいうち"の攻撃方法を複数用意しておくことで簡単には対応させない徹底ぶりに一同が驚くなか、押し飛ばされたメガリザードンXは体勢を立て直すと"お返しだ!"と言わんばかりに"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「クチート!"アイアンヘッド"!」

 

 

メガシンカしたことで威力だけでなくスピードも規模も増した"かえんほうしゃ"に回避は間に合わないと判断したクレアは攻撃を指示する

 

メガクチートは2つの大顎を合わせて盾のように構えると"アイアンヘッド"を繰り出し、その体勢のまま"かえんほうしゃ"へと飛び込んだ

 

 

「"かえんほうしゃ"に突っ込んでった…!?」

 

「鋼タイプのクチートには効果抜群…!メガシンカでパワーアップもしてるから相当なダメージになっちゃうのに…!」

 

 

自滅とも言える行動に声を上げたひまわりやメリッサ達が驚愕に目を見開いた…その直後だった

 

 

「クッ…チィィッ!!」

 

「ウオォォォ…ッ!?」

 

 

"かえんほうしゃ"にの中からメガクチートが勢いよく飛び出し、そのままメガリザードンXの懐へと"アイアンヘッド"を炸裂させ、大きく吹き飛ばした

 

 

「マジか…!?」

 

「あの"かえんほうしゃ"を堪えた…!?」

 

「"アイアンヘッド"を発動させた2つの大顎を盾に身を守ったことでダメージを大幅に軽減したみたいだな…!」

 

「とは言え、苦手な炎タイプの技…それもあんなに強力なものに何の躊躇いも無く飛び込めるなんて…!」

 

「それだけ、クレアさんとクチートの絆が強いってことだね…!」

 

 

技と身体的特徴を活かした戦法は然ることながら、リゼ達は一見無謀にも思える指示に対して一切一瞬の迷いもなく従い動いたクチートからクレアへの強い信頼を感じ取る

 

そんななか、怪訝な表情を浮かべながら凛月が口を開く

 

 

「それにしても、メガクチートの攻撃力おかしくないですか…?」

 

「と言うと…?」

 

「お互いにメガシンカする前、リザードンはクチートの攻撃を受けてもあんなに軽々と吹き飛ばされたりしてませんでしたよね…?メガシンカしたことでクチートの攻撃力が格段にパワーアップしていたとしても、リザードンだってメガシンカして防御力は上がってるはずなのに、これはちょっと…」

 

「言われてみればたしかに…!どういうことなんやろ…?」

 

 

凛月が指摘するメガクチートの異常なまでの攻撃力の高さに笹木を始めとしてリゼ達も首を傾げる

 

 

「とんでもない攻撃力っすね…!メガシンカしたことで変わった特製のおかげっすか…?」

 

 

その最中、心当たりがある様子の葛葉が含みのある笑みを浮かべながらクレアにそう問い掛けた

 

 

「その通りです。クチートはメガクチートにメガシンカすると、特性が攻撃力を倍にする"ちからもち"に変わるんです」

 

「攻撃力が倍…!?」

 

「異常な攻撃力の高さはそのためか…!」

 

「やっぱりな…!けど、俺のリザードンもパワーなら負けてないぜ!"かみなりパンチ"!」

 

 

クレアからの種明かしにリゼ達が驚くなか、葛葉は張り合う姿勢を見せると共に指示を飛ばし、メガリザードンXは両拳での"かみなりパンチ"を繰り出す

 

 

「クチート!"かみくだく"!」

 

 

対するクレアは先程と同じ"かみくだく"での迎撃を指示し、メガクチートはメガリザードンXが突き出す両拳からの"かみなりパンチ"を頭の2つの大顎でまたしても噛み付き受け止める

 

だが、ここで先程とは違う結果がもたらされた

 

 

「クチィィ…ッ!?」

 

 

先程は"かみくだく"で受け止め、その口内で留めれた"かみなりパンチ"の電撃が抑え込めず、メガクチートは全身に電撃のダメージを受けてしまう

 

 

「"かみなりパンチ"の電撃が通った…!」

 

「でも、どうして…!?」

 

「そっか、リゼさん達は知らないもんね!リザードンはメガリザードンXにメガシンカすると、特性が物理攻撃の威力を高める"かたいツメ"に変わるんだよ!」

 

「なるほどな…!それで"かみくだく"の抑え込む力を上回ったんか…!」

 

「攻撃力が"いかく"で下がって本来のパワーは出せていないはずなのにこの威力…!流石ですね…!クチート!リザードンを投げ飛ばして!」

 

 

天宮から説明されてリゼ達が納得するなか、クレアはそのパワーを称賛しつつ指示を飛ばす

 

 

「クッ…チィィッ!!」

 

「ウオォォ…ッ!?」

 

 

メガクチートは電撃のダメージに堪えながら両腕に噛み付いた2つの大顎に力を入れると、勢いよくメガリザードンXを持ち上げ投げ飛ばし、地面へと叩き付けた

 

 

「あんなに小さな体でリザードンを投げ飛ばした…!?」

 

「これも"ちからもち"のおかげか…!」

 

「クチート!"じゃれつく"!」

 

 

攻撃力だけでなく、純粋なパワーも相当なものになっていると一同が驚くなか、メガクチートは投げ飛ばしたメガリザードンXに飛び掛かり"じゃれつく"での追撃を仕掛ける

 

 

「リザードン!"ドラゴンクロー"!」

 

 

起き上がっての回避は間に合わないと判断した葛葉は迎撃を指示し、背中を地に着けているメガリザードンXはその状態のまま両爪での"ドラゴンクロー"を繰り出し、上から仕掛けてくるメガクチートの"じゃれつく"を受け止める

 

 

「クチィィ…!」

 

「ウオォォ…!ッオォォン!」

 

 

鬩ぎ合うこと数秒…メガリザードンXはメガクチートの"じゃれつく"を弾き返し退かせた

 

 

「弾き返した…!」

 

「特性の"かたいツメ"に加えて、メガシンカしたことでドラゴンタイプを得たことが"ドラゴンクロー"の威力を底上げして、メガクチートの"じゃれつく"と引き分けられたみたいだな」

 

 

メガクチートのパワーに張り合えた要因をイブラヒムがそう分析するなか、起き上がったメガリザードンXはメガクチートから距離を取り、葛葉は眉を吊り上げる

 

 

(物理技でならパワーはなんとか互角だが、メガクチートの高い防御力と守りの堅さは厄介だな…!このまま真正面から攻めても勝つのはキツい…!大技で仕掛ける前に、まずは相手の隙を作らねぇと…!)

 

 

大技とは"フレアドライブ"のこと…これが決まればメガリザードンXは反動による大きなダメージを負うが、メガクチートを少なくとも戦闘不能目前には追い込めるであろう大ダメージを与えることが出来る

 

だが、メガクチートに万全の体勢で受けられては少なからずダメージを抑えられ、メガリザードンXが反動のダメージに苦しみ動きを止めてしまった時の隙を突かれ反撃を食らう恐れがあった

 

故に、確実に大ダメージを与えられる好機を作り出す必要があると葛葉は考えた

 

 

「…一か八か、やってみるか!リザードン!"かみなりパンチ"!」

 

 

数秒ほどして、何かアイデアを閃いた葛葉は指示を飛ばし、メガリザードンXは"かみなりパンチ"を繰り出し構える

 

 

「来たわね…!クチート!"ふいうち"!」

 

 

葛葉の出方を窺っていたクレアはメガリザードンXが技を繰り出したのを見計らって"ふいうち"を指示し、メガクチートは先程繰り出した時と同様に圧を掛けるように2つの大顎を大きく開いて突っ込んでいく

 

 

「また"ふいうち"…!」

 

「大顎の攻撃か、それとも本体の攻撃か…!」

 

「どっちで来るか分からないんじゃ、反撃も決まらないよ…!」

 

 

メガクチートが仕掛ける"ふいうち"にリゼ達が表情を強張らせるなか、葛葉が叫ぶ

 

 

「リザードン!地面に叩き込め!」

 

「「「「えぇぇぇ…っ!?」」」」

 

「「「「「「…っ!?」」」」」」

 

 

予想外の指示にひまわり達が声を上げ、リゼ達が目を見開くなか、メガリザードンXは"かみなりパンチ"を真下の地面へ叩き込む

 

すると次の瞬間、メガリザードンXとメガクチートの間の地面に次々と亀裂が入り、そこから幾つもの電撃が勢いよく噴き上がった

 

 

「クチィィィ…ッ!?」

 

「クチート…!?」

 

 

予想外の読めない攻撃にメガクチートは回避が叶わず直撃を受けてしまう

 

 

「今だ!!"フレアドライブ"!!」

 

 

地中から噴き上がる電撃のダメージにメガクチートは体勢を崩し、それを好機を捉えた葛葉が叫んだ指示でメガリザードンXは"フレアドライブ"を繰り出す

 

 

「クチート…っ!"アイアンヘッド"…っ!」

 

 

炎タイプの技の中でも高い威力を誇る"フレアドライブ"をまともに食らうわけにはいかないとクレアは苦し紛れの指示を飛ばし、メガクチートは"アイアンヘッド"を発動させた2つの大顎を盾のように構える

 

直後にメガリザードンXの"フレアドライブ"が衝突する

 

 

「ウオォォォォォンッ!!!」

 

「クッ…!チィィィ…ッ!?」

 

 

鬩ぎ合いの最中にメガリザードンXが咆哮を上げるなか、直前の電撃によるダメージが踏ん張る力を削いだのか、メガクチートは"フレアドライブ"に堪え切れずに2つの大顎を用いた"アイアンヘッド"の防御を破られ、直撃を受けて大きく吹き飛ばされる

 

 

「"フレアドライブ"が決まった…!」

 

「効果は抜群…!これは相当なダメージになってるよ…!」

 

「もう一撃決めれば…!」

 

「四天王に勝てる…!」

 

「決めるぞ、リザードン!"かえんほうしゃ"!」

 

 

見事にメガクチートを戦闘不能寸前に追い込め勝利まで目前となり、"もしや…!"とリゼ達の期待も一気に高まるなか、メガリザードンXはトドメの一撃に渾身の"かえんほうしゃ"を繰り出す

 

 

「…っ!頑張って…!クチート…!"アイアンヘッド"!」

 

「…ッ!クチィッ!!」

 

 

絞り出すように叫ばれたクレアの声にメガクチートは大ダメージに歪ませた瞳をカッと見開き、直後に起き上がるとすぐさま後ろへ跳び、頭から地面に飛び込む

 

次の瞬間、メガクチートは頭の2つの大顎をバネのように使って大きく跳躍し、"かえんほうしゃ"を飛び越え躱した

 

 

「ウオォォ…ッ!?」

 

「なっ…!?」

 

「「「「「あぁ…っ!?」」」」」

 

「クッチィィィッ!!!」

 

 

"それほどのダメージを負っていながら、まだそんな動きが出来るのか…!?"と、葛葉とメガリザードンX、リゼ達も揃って驚愕を露わにするなか、雄叫びを轟かせ飛び込んでくるメガクチートは渾身の"アイアンヘッド"をメガリザードンXの脳天に叩き込んだ

 

 

「ウオォォォォォ…ッ!!?」

 

 

あまりの痛烈なダメージにメガリザードンXは大きな悲鳴を上げ、体をよろめかせてその場に片膝を突く

 

 

「リザードンが…っ!?」

 

「効果が今一つとは言え、今の一撃はかなり重いダメージになってるぞ…!」

 

「でも、まだやれる…!リザードン!"フレアドライブ"!」

 

 

勝利を目前にして油断したことは事実だが、相手がまだそれだけ動けると分かった以上次は無い

 

"今度こそ確実に決める"…そう意気込む葛葉は"フレアドライブ"の指示を飛ばす

 

 

「ウオォォン…」

 

「なっ…!?」

 

 

だが、攻撃を繰り出すため立ちあがろうとしたメガリザードンXは途端に体をふらつかせ、前のめりに倒れて両手両膝を地に着けた

 

 

「ねぇ…!リザードンの様子が…!?」

 

「どうしちゃったの…!?」

 

「多分、"アイアンヘッド"が頭に直撃して脳を酷く揺らされたから、激しい眩暈が起きて動けないんだ…!」

 

「クチート、ありがとう…!"じゃれつく"!」

 

 

メガリザードンXが動けない理由にリゼがいち早く気付くなか、クレアは自身の想いに応え動いてくれたことへの感謝を呟くと共に指示を飛ばした

 

 

「クチィィッ!!」

 

「ウオォォォン…ッ!?」

 

「あぁ…っ!?リザードン…っ!」

 

 

勢いよく地を蹴り肉迫したメガクチートの"じゃれつく"が炸裂し、メガリザードンXは痛烈な悲鳴を上げ、葛葉の下まで吹き飛ばされてしまう

 

 

「ウオォォン…」

 

「リザードン、戦闘不能!クチートの勝ち!よってこの勝負、クレアさんの勝ち!」

 

「…負けたか」

 

 

倒れ伏して弱々しい鳴き声を上げるメガリザードンXはメガシンカの効果が切れて元の姿へと戻ってしまう

 

それを見届けた叶は戦闘不能の判定と共にクレアの勝利を宣言し、敗北を喫した葛葉は数秒目を見開き立ち尽くすと、その結果を静かに呑み込むように目を閉じてそう呟いた

 

 

「負けちゃった…」

 

「葛葉さんもリザードン達も頑張ったのに…」

 

「惜しかったですね…」

 

「でも、四天王にここまでバトル出来たのは凄いことですよ…!」

 

「それはたしかにそうだな。今の時点で、四天王とあれだけバトル出来る奴はそういない」

 

「認めたくないけど、これまでバトルしてきたトレーナーの中でもアイツの実力は頭一つ抜けてるな…!」

 

「うん…!私達も負けてられないね!」

 

 

葛葉の敗北をひまわりや天宮、メリッサ達が残念に思うなか、にじさんじ地方で屈指の実力を誇る四天王の一角をあと一歩のところまで追い込んだ実績に目を向けた凛月の言葉にイブラヒムや笹木、リゼは同意を示し、ポケモンリーグ優勝延いてはチャンピオンリーグ優勝のため、更に自らとポケモン達を鍛えようと想いを新たにする

 

 

「お疲れ様、クチート。頑張ってくれてありがとう」

 

「クチィ〜!」

 

 

バトルを終えてメガシンカが解け、元の姿に戻ったクチートの頭を撫でながらクレアは労いと感謝の言葉を伝えると、倒れたリザードンを抱き起こす葛葉の下へと歩み寄る

 

 

「よくやったな、リザードン」

 

「ウオォン…!」

 

「葛葉さん。アナタとのバトル、とても胸熱いものでした。ありがとうございます」

 

「いや、こちらこそありがとうございました」

 

 

クレアから差し出された手を取り、葛葉はリザードンに肩を貸して共に立ち上がる

 

 

「初めてのポケモンリーグ挑戦でもうそれだけの実力を身に付けているなんて、本当に驚きました。ポケモンリーグ優勝も夢じゃない、本気のドーラちゃんにだって勝てると思います」

 

「…!…ありがとうございます。でも、ポケモンリーグ優勝は当然です。俺が目指すのはチャンピオンを超えることっすから!」

 

「「…!」」

 

 

"ポケモンリーグ優勝は当然"…その言葉に反応してイブラヒムと笹木が対抗心を燃やすように鋭い視線を向け、それに気付いて顔だけ軽く振り向かせた葛葉は煽るように口端を吊り上げた

 

 

「な、なんだか凄くバチバチしてますね…」

 

「もう…葛葉ってば…!」

 

「あ、あはは…」

 

「ふふ。熱いライバル関係、いいですね。皆さんのポケモンリーグ挑戦、応援していますね」

 

 

火花を散らす葛葉達にリゼ達は苦笑いを浮かべ、微笑むクレアは彼等への健闘を祈るのだった

 

 

 

 

「クレアさん、色々とありがとうございました。ウチの葛葉までお世話になって」

 

「おい、姉ちゃん…!それはちゃんと礼言ったんだからいいだろ…!」

 

「いいんですよ、私もポケモン達も久しぶりに熱いバトルが出来て楽しかったから」

 

 

バトルの後、疲れた葛葉のポケモン達を休ませてもらいながらクレアとの御茶の時間を過ごしたリゼ達は夕日が落ちてきた頃合いで教会をお暇することとなった

 

 

「ひまちゃん達はこれからヘルエスタに?」

 

「はい。リーグ委員会からも勧められてる通りに、まずはヘルエスタジムを攻略してからシーズジムに」

 

「そうですか!とこちゃんは手強いけど、頑張ってください!」

 

「笹木さんはフレン達と一緒でシーズジムに挑戦なんでしたっけ?」

 

「そうやよ!」

 

「じゃあ、一緒に行こうよ!イブラヒムさん達もいいですか?」

 

「俺達は構わないっすよ」

 

「それじゃあ、みんな元気でね〜!」

 

「次会う時はお互いバッジを8つ集めてましょうね!」

 

「うん!それじゃあ!」

 

 

別れの挨拶を交わし、リゼ達とひまわり達はそれぞれが目的とするジムがある街に向けて歩き出す

 

 

「あれ…?葛葉〜!何ボーッとしてんの〜!置いてくで〜!」

 

 

唯1人、葛葉はシーズシティがある方角をジッと見つめ立ち尽くしていた

 

 

「葛葉さん…?どうしたんですか…?」

 

 

"どうしたのか?"と、リゼ達も足を止め振り向くなか、クレアが不思議そうに首を傾げ尋ねると、ややあってから葛葉は悪童のような笑みを浮かべた

 

 

「…俺もシーズジムに挑戦するぜ!」

 

「「「…っ!」」」

 

「「「「「え…?」」」」」

 

「えぇぇぇぇぇ…っ!!?」

 

 

その言葉に叶は目を見開き、イブラヒムは目を細め、リゼ達は素っ頓狂な声を漏らし、ひまわりは驚愕の絶叫を上げた

 





リゼ・ヘルエスタ
手持ち:エンペルト、グレイシア、バタフリー
   サイドン、ルカリオ、ソウブレイズ

葛葉
手持ち:リザードン、クロバット、ギャラドス
   ガバイト、ルガルガン(真昼)

シスター・クレア
手持ち:クチート、ギャロップ(ガラル)、マホイップ
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