【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
やはり約束された運命からは逃れられぬのか。
ついに悲劇は起こる。
「今回は手伝って下さり、ありがとうございました」
「いえいえ、
リおんが礼を
王国の冒険者チーム『漆黒の剣』のリーダーだ。
リおんとエルフ達、そして漆黒の剣は黄金の輝き亭にてエ・ランテル公演後の打ち上げをしていた。
公演は大成功。
戦争などの
フォーサイトも打ち上げに最初は参加していたが、明日の早朝に帝国へ帰還する予定であるので、念のため少し前に就寝した。
漆黒の剣を
羊皮紙は行商人(間者)から購入したものがあったので問題なかったが、手書きである以上、人手がほしかったのだ。
それはそうと、リおんは気になった。
「けど、ビラ係なんて依頼、受けなくても良かったのでは?
そう、彼らの首にかかっているプレートは金。
ビラ仕事など通常なら
「いや、まぁ、何と言いますか、
何やら
するとレンジャーのルクルット・ボルブが、
「そうそう、
意外な発言にリおんは
「へ ?」
と間の
「おい、ルクルット」
「依頼主に
ペテルと、ドルイドのダイン・ウッドワンダーが
「良いじゃねーか別に
面白くなさそうな様子に、気になったリおんは
「何があったんですか?」
ペテルは周りを気にしつつ、
「あまり大きな声では言えないんですが、先回りで依頼を取られてしまうんです」
ダインが声を
「あるチームのリーダーが手を回すのである」
聞けば、ミスリル級チーム『クラルグラ』のリーダー、イグヴァルジが、快調に階級を上げてきた漆黒の剣を
「なんですかそれ! 後輩イジメじゃないですか、みっともない!」
そうリおんが言うと、ペテルは
「まぁ、そうなんですけど、事を
今は
「それに、それだけが理由というわけではありませんよ。ニニャが『困っていたら助けるのが当たり前』と言ったので」
「……え? もしかして」
リおんが
そこにあったのはナザリック教の聖印だった。
「助け合いは大事ですから」
実際、帝国から来たワーウルフの依頼という事で、他の冒険者達は二の足を
帝国のワーカーチームであるフォーサイトが一緒にいたのもマズかったのだろう。
「ニニャさんもナザリック教徒だったんですね」
「先生の受け売りですけどね。『ナザリック教は
「へぇ……」
と、ルクルットがニニャに訊ねた。
「そういやニニャの先生って、しばらく見かけねーけど?」
これに対しニニャが答える。
「まぁ、あちこち見て回る事自体が旅の目的な人ですから……今はどこにいるやら……」
ダインは
「放任主義であるな。信頼している
ダインの言葉に、ニニャは
「だと良いんですけど」
リおんが興味を持って訊ねる。
「ニニャさんの先生っていうくらいだから、すごい方なんですか?」
リおんは初対面の時の事を思い出す。
アルシェはニニャを見るなり目を丸くし顔色を青くしたかと思えば、今度は逆に顔を
「あなたのような方は帝国に来て活躍するべき!」
などと早口で
「え、え ?」と戸惑うニニャを
「この人が
と言いかけた
「わーっ! わーっ!」
とニニャがアルシェの口を押さえにかかり、かなり
ニニャ
「先生から『
ニニャは頭を指
『……
階級についても、あまり
実力の事はチームメンバーにしか教えていないので
これに対しリおん達は、そもそも勝手に
リおんに師の実力を聞かれ、ニニャは
「ひけらかしてはいけないと言われている手前、
……第6位階で
「それはすごい!」とリおんが
他のメンバーは苦笑いだったが。
「そんなニニャさんにビラ係なんて申し訳なく思いますけど、おかげで助かりました。記念すべき初の国外公演だったので、どうしても成功させたかったんです。帝国で
リおんがそう言うと、ニニャが
「リオンさんは移民だったんですね。道理で
その質問に、ジルクニフやフォーサイトに語った話をしようかと一瞬考えたが、気分の良い話でもないので
「……大して話すような事はないですよ。あまり良い場所ではありませんから」
困ったように薄く笑って答えるリおんに何を察したか、
「……今は、幸せですか?」
「……はい! もちろん!」
リおんの返答に、安心した笑みを浮かべる。
「そうですか。良かったです!」
そんな様子を見てダインが、
「うむうむ、きっと神か精霊の
それを聞いたニニャは思い出したようにリおんに聞いた。
「そういえば、リオンさんは何の神様を信仰してるんですか? やっぱり歌の神様?」
「え……あー、そう、ですね……けど、死の神とか悪の神なんかもいいかなー、なんて……あはは」
『自分を』信仰してるかと問われ、照れ臭くなり
「そうなんですか! やっぱりわかります? 悪の神のカッコ良さ!
『見よ、
…………ち、違いますよ。ははは。別にミーハーな理由で信仰してるわけではありませんからね。
リおんが
「そーですね」「であるな」
「はいはい、わかってるわかってる」
と軽く流し、ニニャは
「もー! だから! 違うって! 言っ」
その
もちろん今は幸せだ。だが
(……たぶん僕は接続事故で死んだんだろうけど、それは単独の機器不良だったのかユグドラシルのシステム全体の事故だったのか……)
六大神、八欲王、十三英雄、口だけ賢者……この世界で見聞きする情報に、ちらほらと存在するプレイヤーらしき
(……もし、システム全体の事故だったとしたら、引退したりログインしてなかった人たちは別として、ラストライブに来てくれてたファンとかナザリックにいたはずのモモンガさんも、こっちに?……けど、なんで時間がバラバラなんだろう……それに、ナザリック教を布教した人って誰なんだろう……)
決定的に誰かと
(……今は考えても仕方ないか。でも、また会えたらいいな……)
《翌日》
「それじゃ、先に帰って待ってるぜ」
「漆黒の剣の皆さん、お世話になりました」
「じゃあねー」
「ニニャさん、昨日の話は本気で考えてほしい。何なら魔法省にも
あははと苦笑いするニニャ
「ではリオンさん、我々も次の仕事に
「またいつか歌いに来いよな」
「
そのまま今度は漆黒の剣と別れる流れだ。
「それにしてもリオンさん、ずいぶんとアルシェさんは熱心に
別れ
『例の件』は、まだ国家機密の
どう答えるべきか迷うリおんであったが、
「……これは、あくまで噂なんですが、帝国で冒険者のあり方が変わるらしいという話です」
「あり方?」
「単なるモンスター退治屋ではない形……実力ある方は王国で働くよりも、やりがいを感じられるようになるでしょうね。ただ、競争率が上がるので……」
リおんは口元で人差し指を立てた。
特別に教えたのだから、秘密にした方が良い、と。
理知的なニニャは理解する。
「……なるほど、帝国の動向は注目しておいた方が良さそうですね。ありがとうございます。それじゃ!」
そう言って離れて行くニニャに、小走りに
「ここにいたのね。忘れ物を届けに来たの」
「姉さん!」
こちらへ軽く
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sideラキュース
「何とか、あちらの馬車が来る前に着いたわね」
私達がエ・ランテルに到着したのは夕刻の少し前だった。
予定では馬車の到着は日没頃。出発は明日の朝。
確認したところ、実際まだ着いていなかった。
そのタイミングで宿に来られて、まずは一安心ね。
宿泊場所は黄金の輝き亭。
こちら方面の仕事で何度か使っている宿で、王都の常宿ほどではないにせよクオリティも高いので気に入っている。
「さ、入りましょ」
ティナを連れて中に入ると、食堂を
ツイてるわね。
受付を
「運が良いですね。実は帝国で売れっ子という
どうやら王国民にも好評だったらしい。
実力の程が
部屋へ荷物を置いて、ホールに向かう。
食事には早いけど、人気を博した噂の
そう思って来てみれば、その正体に驚いた。
ワーウルフの少年!
まさかラナーの言っていた人物に、王国で会うとは思わなかったわ。
しかも、あんなに愛らしい美少年とは思わなかった。
他の女性客がうっとりしてるのも
一緒にいる、あまり王国では見かける事のないエルフの女性3人もメンバーという事かしら。
スレイベルと木製フルート、一人はコーラスのようね。
どうやら今から物語が始まるらしい。
やや急いで適当な席に着く。
近くの給仕には飲み物を頼んで。
語られるのは呪われた島で繰り広げられる冒険譚。
やった!
異国情緒
「
えーっ!?
……違うわよ? 今の声は私じゃないんだから。
ほら周りの人達も悲鳴あげてるし!
それにしても『お
確かに、気が付けばそろそろ食事時だけど……
なるほど、技量も確かだけど人気になるわけだわ。
他では聞いた事のない物語で、こんな手を使われたら嫌でも追っかけになる人が出てくるでしょうね……
見た目に似合わず
でも、面白いから許す!
……そうだわ。この後の予定を聞いておこう。
これから私達は帝国まで行くんだから、もしかしたら続きを聴けるかも!
私は席を立って彼の元へ。
「素晴らしい上演でした! 時間を忘れてしまったわ」
まずは
本心だし、いきなり
私が言葉をかけると、彼は満面の笑みで
「ありがとうございます!……アダマンタイトのプレート!? もしかして蒼の薔薇の方ですか? はじめまして! リおん・がぶりールと申します。お聴き頂けて光栄です!」
王国の女冒険者でアダマンタイト級、という事から当たりを付けたのかしら。
情報に強いみたいね。
それに『さり気なく女性より先に名乗る』くらいだから、
大したものね。
「ご
一礼して目線を戻すと、何故か彼の姿は無く……まさか!?
バっと振り返れば、今まさに紹介しようと思っていた、後ろに付いてきたはずのティナの姿も無い!
ホール入口を見れば、モゾモゾと動く麻袋を抱えたティナの後ろ姿!!
「テ ィ ナ ぁ ぁ ぁ ぁ !?」
「「「 リオン様ぁぁぁ !? 」」」
この後、めちゃくちゃ謝った。
リ「もがー!(誘拐ぃぃ!?)」←再び
テ「大丈夫大丈夫、お姉さんとイイ事しよ?」