【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
【悲報】ラキュースさん世界の真実とニアピンしてしまう
sideラキュース
「ハァ……」
蘇生依頼を果たし、宿に戻った私は何度目かの
もしかしたら
聞いた限りだと、前々から思い詰めていた呪いの事で限界を迎えたから、という話だったけど……
確かに死んで蘇生したら力は落ちる。
けど
どうやら死んだら解ける(逆を言えば死ななきゃ解けない……なんて悪質な!)呪いだったらしく、抱き着いて感謝された。
女として気持ちはわかるけど、敵国貴族、しかも四騎士の一人に、というのは……気まずいというか、何て言うか……
なので、普段は(誰にも秘密だけど)悪の神を
ちょっと情けない……
そんな私を見て、気を
「鬼リーダー、まだ『隠れナザリック教徒』なの?」
「仕方ないじゃない。貴族としての立場もあるんだし」
帝国貴族ならいざ知らず、王国の貴族や神官なんかの『立場ある人達』に言わせたら、一歩間違うと邪教
さらにティナが
「姫さまの
「誘いってわけじゃないけど……」
まぁ、当たらずとも遠からずって気はするけどね。
こっそり信仰してたラナーが『誰かと神学問答してみたいと思ってたの』って……気がついたら私も改宗してたのよね。
前に信仰してた水の神を悪く言うつもりはないけど、今まで教えられてた内容が
それだけナザリック教は奥深い。
……それはそうと、隠してた教典を私が見つけてしまった時の、ラナーの
「確かにきっかけはラナーだったけど、改宗を決めた理由としては子供の頃の出来事もあるかしら」
「子供の頃?」
私は当時の事を話した。
まだ10歳にも満たなかった頃だったかしら。
あの頃から私は
今にしてみたら本当に
追い付かれて、もうダメかと思った時、ゴブリンの頭が弾け飛んだ。
何かの魔法だったらしい。
倒れたまま視線をそちらへ向けると、そこには一人の
黒いローブ。
歳の頃は20代かしら。金色に
首には金色のナザリック教の聖印。
その人は「もう大丈夫だ。さぁ、これを飲みなさい」と、私にポーションを
「初耳」
やや目を丸くしてティナが言った。
「だって言ってないもの。イビルアイの前じゃ話しにくいし」
「何故?」
「ほら、あの子って負けず嫌いな所あるじゃない? あんまり『その時の
「あー、鼻を鳴らして『自分の方がすごい』とか言い始めて、その
「取っ組み合いって……まぁいいわ。それでね」
ポーションを飲むとすぐに
ゴブリンを魔法で一撃、子供の怪我とはいえ立ち所に治してしまえるポーションを簡単に与えてくれたぐらいだから、お礼を言った私は「もしかして、すごい冒険者の方?」って聞いたわ。
そしたら「しがない旅の
私は、そんな
その人は笑って答えてくれた。
……大人になった今なら分かるわ。
あれは『子供をからかう時の、大人の笑み』よ。
「この世界に散らばった、大いなる力を秘めたアイテムを集めるためさ。心無い誰かが手に入れたら世界が
いかにも子供が喜びそうな話よね。
だけど、その時の私は無邪気に信じて目を輝かせた。
「すごい使命を背負ってるんですね! 一緒に旅する方はいないんですか?」
私が聞くと、その人は
「生憎、私の腕前に見合う戦士も神官もいなくてね。一人で旅をしている」と。
だから私は言ったの。
「じゃあ、私が冒険者になって、一緒に行きます!」ってね。
すると、
「それは頼もしいね。では、こうしよう。君が一人前の冒険者になって、私を見つける事ができたら、その時は仲間として認めよう。私は、いつまでも旅をしているはずだから。私の名は───」
「……? 鬼リーダー。ラキュース」
「え?」
「どうした? ボーっとして」
気が付けば、ティナが私の顔を
「……あぁ……いつも、あの時の事を思い起こそうとしても、思い出せないのよね。あの時、確かに名前を聞いたはずなんだけど」
「子供の時の事じゃ仕方ない」
ティナは事もなげに言う。
「それは……そうなんだろうけど……命の恩人の名前を思い出せないなんて、嫌じゃない?」
「けど仕方ない」
「まぁ、ね」
どこかボンヤリしてしまう私に、ティナが訊ねる。
「探すの? その人」
「……ううん。だって、名前も思い出せないし」
本音を言えば、それは『言い訳』だ。
だって、年の頃を考えれば今は30代か、もしかしたら40代になっているかも知れない。
憧れだった人物が、太ったオッサンになっていたり、アズス
これが『大人としての諦め』か『子供のような弱さ』かは知らないけど、私は、名前を思い出せない事を言い訳にして『黒の
「昔の話よ。だから、この話はおしまい。ね?」
「ん」
「ハァ……依頼の事も気分転換したいし……そうだ。歌う林檎亭にでも「リオンきゅん! 行く! さぁ鬼リーダーすぐ準備! ハリーハリー!」はいはい」
もう、ティナったら。
それにしても……
ううん、きっと思い違いよね。
子供の頃の記憶だもの、多少おかしな所があっても不思議じゃないわ。
ポーションが赤いわけないじゃない。