【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
探索、そして遭遇戦。
ドワーフ王国を目指し山道を進むリおん一行。
ここへ
『街道』と言っても
帝国内の都市間を結ぶ主要
これは別に『ドワーフ王国との関係を重視していない』という意味ではない。
ドワーフ王国は『地下世界』であり、帝国は地上の国家だ。
そのため国境自体が
そして環境の
それをあまり明確に線引きしようとすると、逆に権利や
境界を
そもそも自然の世界に線引きできる物事など
それを『全ての事柄に線引きできる』と考えるのは、人間の
整備されていないドワーフ王国への街道は、ある意味で良好な
ちなみに当然ながら、曖昧な国境地帯で何かしら問題が発生する事もあり得るが、その場合は両国共に
もちろん建前としては外交的
だからこそ通常は両国共に
それでも帝国側が
友好国とはいえ、帝国が関心を持っているのはドワーフの作る武具や鉱物資源のみであり『ドワーフ側が商品を売りに(もしくは逆に、何か資源を買いに)来た際、それを
だから巡回や
しかし、ここに来て良質な武具を求める帝国側の事情が発生、皇帝ジルクニフは待ち続ける事が得策ではないと判断した。
ドワーフ王国の調査が決定したのは、そのような背景からであった。
さて、山道を進む一行だが……
ヘッケランが口を開く。
「……ピクニックだな」
イミーナがジト目で
「……わかってても言わないでよ。一応こっちは
通常ならば危険なモンスターを警戒するべきであるが、そんなものは影も形もない。
以前の『トブの大森林調査』ではフォーサイトの対応力を見る試験も兼ねていたため、リおんは何もしなかった。
だが今回は『まだ攻撃力には不安を抱えた状態での前準備』であり、万が一などあっては後に
アゼルリシアの険しい山道、しかし疲労・空腹の無効化……おまけに
その結果としての『ピクニック』であった。
「だってよぅ、腹も減らねぇ疲れねぇ、おまけに敵も出て来ねぇ。そりゃあドラゴンが来たらヤバいんだが……それにほら、ずっと景色だって変わらねぇし」
「ま、確かに岩と草ばっかり……ん?」
イミーナが遠くに何か見付けたらしく、足を止めた。
「どうした」
ヘッケランが
「……岩壁に
「お! やっと到着って事か!」
やる気を取り戻した一行は洞窟を目指す。
入り口まで到着するとロバーデイクが言う。
「確か、呼びかけると衛兵が来てくれるという話でしたよね」
ヘッケランは
「俺達は帝国から来た者だ! 対応してくれ!」
声は反響するが、しばらくしても反応がない。
顔を見合わせ首を
再びヘッケランが呼びかける。
「誰かいないか!」
やはり反響しか返ってこない。
「話と違うじゃねぇか。ここじゃないのか?」
ヘッケランは首を
だが地図が正しければ(
リおんが提案した。
「とりあえず、ここがドワーフの都市か確かめるには中に入ってみるしかないよ」
そこは補強や整備の
正解の道を探り当て、広い空間にまで辿り着くと、ドワーフ用なのか人間からすれば小さい住居が
しかし、侵入しても
「……誰もいないな。ドワーフの都市には違いないんだろうが……」
優秀な鍛冶師を求めていたブレインは、やや
「ホコリが少しだけ積もってる。それなりに時間は
イミーナを
この状況を分析できるのは彼女やリウリンド……レンジャー達が
「……
アルシェが訊ねるが、
「理由までは分からないわ。
ヘッケランは
「なんも手掛かりなし。他の都市を目指すにしても正確な位置が、なぁ……どうしたもんか」
「かと言って、坑道を辿るのは
ロバーデイクが言うように、ドワーフは基本的に坑道を掘り進め都市なども築くのだが、それを何の情報もなしに人間が手探りで進むのは
「それにしても」と、
「人がいなくなっただけで不気味になるもんだね。地下で真っ暗なのもあるだろうけど」
アルシェが応えた。
「確かに。でもカッツェ平野とは違う感じ。負の波動に満ちていないのは、やっぱり
これに対しリおんは少し
「いや、わかんないよ? もしかしたら『ドワーフの亡霊が〜』なんて事も……暗闇の中からヌゥって」
リおんが
……の横には、毛むくじゃらの顔があった。
「そうそう! こんな感じに……え?」
「む?」
目が合った。
「きゃあああああああああああ!!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
だが悲鳴の
スタン効果のあるスキル『シャウト』まで乗せた悲鳴は『亡霊』の意識を
ぶっ倒れる毛むくじゃら。
ついでにギリギリ『効果範囲内』だったリウリンドも耳から血を吹き出して
「あああああごめんリウリンド! モラノール
そんなシッチャカメッチャカの状況から
「待って……足音複数! 金属音なし、恐らく亜人種!」
鎧などを身に着けず、二足歩行ながら爪を鳴らすような足音に、ドワーフではないと
ヘッケランが警戒感を
「な、さっきの悲鳴で呼び寄せたか!?」
リおんは気まずそうに目を
イミーナの警告からすぐ詠唱を開始していたアルシェが術を発動。
「光量・中、30分、
頭上へと光球が放たれ、ランタンが不要な程度に周囲を
フォーサイトが
薄明かりに照らされた現在位置である通路。
奥には曲がり角、上は
後退するなら再び迷路のような道を戻る必要がある。
曲がり角の奥から現れたのは、二本足で歩くモグラとでも言うべき獣人であった。
「なんだありゃ……」
「見た事ないわね」
「知識にない種族」
等々、小声で交わし警戒を強めるフォーサイト。
獣人達が気付くと
「デカいドワーフがいる!」「殺せ!」
と殺気立ち
「チッ、前みたいにゃいかんか!」
リザードマンとの
その時、
(なんか……
ヘッケランも
「ヘッケラン、刃!」
放った矢が獣人の目を
最初の1体目はロバーデイクがメイスで
リおんの歌もあって皆、
ステータスの上昇を感じていた。
しかし、武器は……
「……なんだぁこりゃ!?」
いつの間にかボロボロに刃こぼれした双剣に、ヘッケランは
その様子にロバーデイクもメイスの
3体目が
アルシェが
「さっきの違和感はこれか! 金属糸みてぇな体毛なんて森の賢王じゃるまいし!」
実物こそ会った事はないが、知っている情報から『目の前の獣人』の
ロバーデイクも同じく。
1体目は矢が脳に
この一団が『偵察隊』だった場合、早く
アルシェが言った。
「魔法で範囲攻撃する。持ち
「……わかった。早めで頼むぜ?」
「うん。……アンナリーゼ! ベアトリーチェ!」
ボストンバッグを開き術式を発動、少女の姿をした全高30cm程の球体関節人形が飛び出してきた。
アンナリーゼはオレンジ色、ベアトリーチェは緑色のドレスを着て浮遊している。
「来るぞ!」
アルシェの詠唱開始とヘッケランの声は同時だった。
再び突撃してくる獣人達。
『こんな革製武器で、どれだけ
爪を振り上げ襲いかかる1体目に、
「ぜぇや!」
せめて攻撃を
「ぎゃっ」
という悲鳴と共に、骨を叩き折る確かな手応え。
『あれ?』とは思いつつ、ヘッケランは油断なく足にも一撃。
やはり手応えがあり、敵は転倒した。
見ればロバーデイクも似たような状況で狐に
残る1体は突然の形勢逆転にオロオロして……
「撃つよ!」
二人はアルシェの声に距離を取り、
「十字砲火、
左右に展開した人形から、それぞれ雷が放たれる。
「え、あれ?……弱い?」
と、
ともかく危機を脱した一行は、一先ず地下から