【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
存亡の危機に瀕したドワーフ王国。
皇帝への忠義のため、己の限界を越えるため……
ブレイン・アングラウス、死を決意せり。
というのも、そもそもの原因は戦闘終了後、
「
我は
かの
ついては、この首に
腹を
(そのようにリおんの耳には意訳された)
これに困ったのはリおんである。
(せっかくみんなが
そう、竜『王』、クアゴアの『将』、『兵』……
『国であると主張しているのではないか』とリおんは思った。
国であるか否か、というのは視点による部分も大きい。
国であると自称する事は自由にできるが、他国から国であると認められるには条件がある。
国民、領土、政府、何より『他国と関係を維持する意思と能力』がなければ相手に承認されない。
では、今回の場合はどうなのか。
王はドラゴンなのか、それともクアゴアとは別なのか、もし王がドラゴンなら国家承認せず無視するのは軍事力として危険ではないか……リおんは即答し
情報が少ない。
そもそも、認めてしまえば完全に政治案件である。
冒険者認定制度の『宣伝』として、これ以上ない功績である
『政治絡みだから公表なし、お蔵入り』
などという事になっては泣くに泣けない。
とはいえ善良なリおんの事、自らの命を差し出してまで部下を守ろうとする立派なリーダーを無視してまで
『都合が悪いから皆殺しだー!』
とは考えられるはずもなく。
仕方なく
『自分達は友好国の使者として居合わせ自主的に参戦したに過ぎず、
戦いの主体はドワーフ軍であり、
絶対的に命令できる立場ではないものの、
今回の件で協議を行う必要はあるので、
可能な限り進言はする』
と、何とも
ところが、いざ協議を始めてリおんが
「主体はドワーフ軍であり
という
「いやいや、こちらは助けて頂いた立場で云々」
と一歩引いて見せたのだ。
ドワーフ側は恐縮しきっていたのである。
あれだけの戦いを見せられ、そんな力のあるワーカーチームを有する帝国に
「自分たちが主役!」
などとは言えない、と、もはや平伏していると言っても良い状態だった。
かと言って『冒険者認定制度』の事を明かすわけにもいかず……
結果、リおんとしては完全に余計でしかない『
だからリおんは、遠回しに遠回しに、根気強く『
元貴族令嬢であるアルシェは別として、横で立ち会っていたブレインやヘッケラン、イミーナなどは
「「「……(モウ、ワケガワカラン)」」」
と死んだ魚のような目になっていた。
弁が立ち頭も悪くない神官のロバーデイクさえ、流石に疲労を
ちなみにエルフ達はと言えば、元エルフ国の正規軍人であるからか忍耐強かった。
それでも完全に
「(もうイヤ)」
と語っていた。
……モラノール? 彼女はハイライトの消えた目でリおんとドワーフのオッサン達を交互に見ていただけだ。
何を考えていたかなど気ニシナイ方ガイイ。
さて、合意の内容だが
「今回の戦闘はドワーフ軍が主体となって行われたものであり、
帝国使者は『クアゴアからの宣戦布告はなかった』とドワーフ王国から聞いていたのでモンスター
そもそもクアゴアやドラゴンの組織どころか種族そのものを詳しく知らなかったので政治的な意図はない。
なのでクアゴア
以上の内容でドワーフ王国も理解している」
というもの。
つまり『モンスター退治のつもりしかなかったんだから、誰かにツッコミ入れられたらウチに話を合わせて』である。
それだけでアリバイになるのか? と思われるかも知れないが、この世界では異種族との戦争は珍しくない上、開戦前の合意形成など無いまま戦い始めるのは、よくある事。
竜王国や聖王国を見ればわかる。
あれこれ厳密に決めて行う『戦争』は人間を相手にするもの、という認識が強い。
亜人が相手の場合、武力衝突を戦争と呼ぶ事はあっても、それは
それを考えれば充分な内容である。
『この世界の暗黙の了解』として、リおんが考えるほど細かく話を合わせる必要など無かったのだ。
実際リおんは、摂政会からは首を
『あ、無駄な気苦労だったかも……』
と思ってはいた。
では何故そこまでしたか、と言えば、頭の中が『この世界の政治感覚』になっていなかったからである。
リアルでの政治とは『人間を相手に厳密に行う事』なのだから。
リアルには亜人もドラゴンも存在しない。
まぁ、無駄な労力と言ってしまえばそうなのだが、そこまでキッチリやる性格だからこそジルクニフは『皇帝の代理人』と名乗る事を許しているのだ。
余計な苦労はしても余計な問題を残したりだけはしないだろう、という信頼の証である。
また、これは先の話ではあるのだが、冒険者認定制度を公表した際ドワーフ王国は『この事だったのか』と納得し『細かな点も手を抜かない帝国』という印象を抱き、警戒心と信頼感を強める結果に繋がるのだから、必ずしも無駄だったとも言えなかった。
なおクアゴアの扱いだが、最終的な決定はドワーフ側ではあるものの、指揮官ヨオズも含め
「ドワーフより危険作業に強い事から、処刑よりは労役が
というリおんからの提案が受け入れられる形となった。
……ところで、何故クアゴアの大規模侵攻が起きたのか。
ヨオズへの取り調べで判明した
だがフェオ・ライゾにて
失敗して橋を落とされても、ドワーフを封じ込め時間を稼ぐ事はできる、と。
(原因、僕らじゃん……)
……リおんは
「旧王都フェオ・ベルカナを調査します!あわよくば
と
100レベル
そんな理由もあるにはあるが、ドラゴンの『王』なる存在が明らかとなった以上、ドワーフ王国存続のためにも調査が必要である。
ヨオズが言うには
……クアゴア側の情報は王の名前がぺ・リユロであるという事以外ほとんど明さなかったのに対して、ドラゴン側の情報は居場所やら知っている限りの数やらベラベラ話したのだから、同盟国と言いつつ『どのような関係だったか』は
肝心の調査メンバーだが、フォーサイトは全力戦闘の後で疲労しており、ここから先は完全に政治の話だ。
なので今回の主戦力はブレインである。
サポート役ならエルフ達もいる。
……というより、リおんは100レベルの
この世界の下手なレンジャーや
旧・王都への道案内ができる兵士をドワーフ軍から借りて、一行は出発した。
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
「……で? 俺は何したら良いんだ?」
坑道を歩きながらブレインが
「自分で言うのも何だが、政治なんて分からんぞ?」
「安心して下さい。オラサーダルクとは僕が話します」
「……それで?」
「そいつがもし『帝国なんぞ知らん』と言ったら斬って下さい。歌いますから」
リおんの返答に
「良いねぇ、『
結局のところ、国同士の関係とは『それ』に尽きる。
利害の薄い遠国でもない限り、いきなり相互理解や和平など無理な話だ。
ましてや隣国、同盟国たるドワーフ王国の存亡が絡んでいては
いくらリおんが善良でも、必ずしも『いのちは大事に』というわけではない。
帝国の未来こそ優先だ。
……
国家の責任を次々と放棄し企業と市場に売り渡す父親の政治を見てきたリおんは
『国民の幸福や国家の発展は通貨の適切な量と流動によってのみ
と考えるようになった。
通貨には国民の生存に責任がなければいけないので、信認すべきは『国が発行する通貨のみ』であり、
『企業が発行する仮想通貨は
というのが信条である。
リおんが理想とする経済を、社会を実現できるのは
その点、帝国はどうだろう。
共に手を
個々人の確たる自己という感覚による『適度な無関心』が、社会に
そんな国民を
『国民の全ては国家のために』と
帝国軍も精強であり、発展を続けている。
これ程のバランス感覚を備えた国は帝国の他にはない。
(法国は宗教国家なので除外)
確かに帝政である以上、ジルクニフの寿命が尽きたら、次代の王の手腕は分からない。
しかし、それを補う『レール』こそ平民の登用と省庁への権力分散である。
ジルクニフは次代をも見
リおんが帝国にかける期待は大きい。
アイドルなどやっている愛らしい姿や善良さとは裏腹に、リおんは意外とタカ派で保守的な部分がある。
今やビビりになってしまったし、戦いが好きなわけではないが『自国の平和維持には軍備も
常にロジックを重視し、多視点や
(よく調子には乗るが)
もしユグドラシルやアイドルなどの現実
ある意味、父親にとって一番の危険人物であった。
それでもスキャンダルを恐れた父親は『どこかで隠れてログインしているアイツを、ユグドラシルのサービス終了までに見つけ出せ』と警察に指示していたようだが、たっち・みーはウルベルトを止めに
リアルの
公共放送では五十音順に「……
……閑話休題。話が
どうでも良い話だった。
とはいえ、相手が『帝国の使節殿におかれては……』などと礼節を見せられたら外交戦を経て戦争、という面倒な話になる事も覚悟してはいたが、恐らくそんな事にはならないだろうとリおんは確信している。
(でなきゃ事前通告もなしに
弁護のしようがない。
尚、初めこそ
それは良いとして、夕飯の内容を決めるようなノリでドラゴンの扱いを話し合うリおん達に、同行しているドワーフ兵は
(帝国だけは敵に回したらイカン!!)
と、戦々恐々であった。
さて、旧王都フェオ・ベルカナに向かうには三つの難所を越えなければならない。
ドワーフ兵が語る。
「一つ目は、ご存知『大裂け目』であります。しかしながら皆様のご活躍もあって、吊り橋を落とす事にはなりませんでした」
一行は何の問題もなく吊り橋を渡った。
一つだけ特筆すべき事があるとすれば……
「……ひ」
「……リウリンド、下、見ちゃダメ」
「はいっ、リオン様!」
ニ名ほど顔を青くしていた事だろうか。
先の戦闘で渡った際は気にしていなかったらしい。
しかしリおん、君は100レベルプレイヤーだろうに……
「二つ目は、この先にある溶岩地帯であります。大きく息をすれば、たちまち肺を焼かれ、
リおんは
だが
一行はリおんが持ち込んだ
リおんは鼻歌でも歌うように炎耐性の歌を歌いながら飛んでいた。
……吊り橋と
ドワーフ兵は思った。
(やっぱり帝国だけは敵に回したらイカン!!!)
「……最後の難所は『死の迷宮』一定時間ごとガスが
一行はリおんの歌で毒を無効化しながら、のんびり攻略した。
(帝国だけは本っっっ当に敵に回したらイカンんんんんん!!!)
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そうして旧王都への坑道を進む一行だったが、その前にクアゴアの集団が現れた。
『すは戦闘か』と思いきや、一団の中央が割れ、一匹のクアゴアが前に出ると、そのまま単身リおん達へと近付いてくる。
互いに顔が分かる程度の距離で立ち止まると名乗りを上げた。
「我こそはクアゴアの全氏族を
ヨオズは、ただ降伏しただけではなかった。
伝令を送り出していたのだ。
送り出されたのは数匹。
その動きは当然リおんは
リおんが摂政会に苦戦している間に、伝令達は
伝令の内、本拠地まで
しかし、途中の天井から
ヨオズは戦いの結果を見て、
この後の展開を考えれば、ヨオズが稼いだ時間と伝令が、クアゴア達の運命を決したと言っても過言ではあるまい。
武人としては敗戦の将となったヨオズだが、クアゴアが奴隷種族に
そんな忠臣ヨオズが判断を間違えるとは思えず、リユロは衝撃を覚えつつも考えた。
(トランジェリットなら自分も見た事がある。あれ一体を倒すのに自分なら何匹か同胞を犠牲にせねばならないだろう……それを、たった四人で犠牲もなく討伐するなど……
ドワーフを圧迫したのは
それ故の対話であった。
リおんは対話に応じる事にした。
「はじめまして。僕らはドワーフ王国と同盟関係にあるバハルス帝国の者です。僕が代表のリおん・がぶりールといいます」
「(報告の通り、頭に獣の耳があるヤツがいるな。コイツが代表?……ドワーフというのは他種族と交雑するのか? 冷気耐性を獲得するため、我々も試した方が良いだろうか)……バハルス帝国?」
「アゼルリシア山脈の外にある、人間の国です。あ、僕はワーウルフですけどね」
リおんはブレインを手で示しながら「人間の」と説明。
ヨオズの様子から、彼らが人間をドワーフと混同していると理解して。
「(ニンゲン、ワーウルフ……ドワーフとは違うのか。多種族の国など、あるのだな)ふむ……先の
リユロはブレインを見つつ訊ねる。
ブレインの戦士としての格の高さに気付いたからだ。
(……いかんな。この気配、俺より上かも知れん)
ブレインの油断ない立ち姿は
……ちなみに、リおんの事は『何やら変な歌を歌うのが後ろにいた。魔法の歌かも知れない』程度の報告であった。
伝令に走った兵は、リおんの『蹴り無双』を見ていなかったらしい。
「いえ、彼はブレイン・アングラウス。我が国の最高戦力で、竜の首を落としたのは別のチームの人です」
それを聞いたリユロは、
「(『
「オラサーダルクなる
リユロは『人間世界の
が、何を言わんとしているのかは勘が働いた。
もし『お前らなど知らん』と答えたら……と、胸騒ぎを覚えたのだ。
「……
リおんは
「斬ります。こちらを認知しない相手を尊重してやる理由がありませんから」
(あっぶねぇぇぇぇぇっ !!)
顔に出さないよう気を付けながら、リユロは
「な、なるほど道理だ。我らは違うぞ? 同盟などと聞いているかも知れないが、ヤツらが圧をかけてくるから仕方なく組んでいるだけだ。
内心、冷や汗を
さり気なく竜を
しかし、リおんは
「……ドワーフ王国も『国』なんですが、宣戦布告もなしに攻め始めたと聞いていますが?」
この辺の『形式』もリユロは知らないが、答え方次第では何となくマズいという事は感じた。
氏族同士であれば、戦の申し入れなしの奇襲は戦士の
「ま、待て! ……戦の申し入れが届いていない? はて、使者は送ったが、てっきりドワーフの手にかかったものとばかり……もしや途中で落命していたか! これはしくじった! その件で短気を起こした事だけは
送ってもいない使者の『行き違い』であると誤魔化した。
リおんは100レベルの
相手の嘘やハッタリには
他の面で後々
帝国はドワーフ王国の同盟国だが、クアゴアと事を
「……なるほど、では
「ドワーフと戦を始めたのは、
と、言いつつリユロは『あわよくば共倒れしてくれないだろうか』などと考えた。
帝国の全容が知れない以上、
それに対してリおんは何て事ないように、
「では丁度いい。彼らの返答次第では、そのまま旧王都を奪還する予定ですので、道案内など頼めますか? ついでに証人になって頂ければ、後の話もスムーズでしょうし」
まさか散歩にでも行くようなノリで「一緒に行こう」などと言われるとは思っていなかった。
自分が案内するにせよ、案内の兵を付けるにせよ、竜が生き延びた場合、危険は大きい。
とはいえ断れば……
「(腹を括るしかない、か)……いいだろう、
もし竜が残ろうとも、その時は自分が何としても
兵士達を『あれはドワーフとは別種で、あわよくば共倒れを狙う。
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
ついに到着した一行。
ドラゴンの力なら開けられる大扉。
リユロは横の小扉から入ろうとする、が……
「 た の も ー ! 」
大扉をリおんが足で押し開けた。
穏便な形で通す事で、万が一の場合の『予防線』を張ろうとしたリユロの
(何してくれてんだアイツは!! というか、どんな
景気良く開いた大扉。
中央を堂々と進むリおん達。
竜達が無反応なわけはなく、最奥から向けられる4対の視線。
「何だ、貴様らは」
不快そうに問う雄の
その怒気を、リユロは物理的な圧にさえ感じていたが、リおん達は『どこ吹く風』と歩みを進めた。
リおんはギターを構え、
「コールアンドレスポンス!」
「fuuuuuuuuuuuuu!……な、何だ今のは」
リおんは看破した結果から『歌でバフれば同格くらいにはなるし、いざとなれば自分が蹴る』と勝利を確信。
話しかけながら距離を測る。
「はじめましてオラサーダルク。僕はリおん・がぶりール。ドワーフやクアゴアの件で我らバハルス帝国と対話する意思があるか確認に来ました」
交渉時のリおんには珍しく、
……それが意味するところは言うまでもなかろう。
ギターは下げない。
20m程の距離で立ち止まる。
ドラゴンの傲慢さが、そこまでの接近を許した。
……ちなみに、大昔の剣豪は10mの距離を三歩で詰めたのだとか。
リおんの問いに答えるオラサーダルク。
「知らんな。貴様らが持っている
リおんからの返答は、演奏の開始だった。
バフを感じつつ、
「限界突破……明鏡止水……能力向上……超向上……神域……」
武技の同時発動数を一時的に増やす『限界突破』はヘッケランから学び、『明鏡止水』は独自に到達した、言わば『脳力開放』の上位派生。
それでも
意図を
「何だ、
ブレインは、ある二つの技の完成に足踏みしていた。
一方の技を完成させるには、もう一方の技を完成させ『人間としての限界』を超えるしかないように感じている、が、その技を完成させようとすれば必然的に……と。
しかし、今はリおんの呪歌があり、目の前に難度から見て最適な『
……彼が成そうとしている事を正確に
武術の達人は、動くまでもなく『見える』のだという。
現代的な感性で見れば『将棋やチェスのような先読み』と考えるだろう。
だが、ブレインの辞書には『脳科学』などという言葉はない。
故に、それでも『
なれば、それは何かと問われるなら、
だが足りない。
『人間として可能な程度の
だから彼は今、技の完成へと自らを
ブレインに、圧が当る。
それは風か、音か。
何故なら彼は今、音も、光も、
ただ必殺の一刀を振るわんと、世界が事象を認識する
魂を『もう一人の自己』として解き放ち、時間も空間も超越し、
必然、その一撃は恐るべき速さと精度を
なれど、その
である以上、人間の精神に耐えられる負荷ではなく、加速する
(……この一歩、踏み出すのに何年
けれど、時間も空間も超越した
(……この距離、己が生み出したものに過ぎん!!)
明鏡止水で開いた悟りによって、
オラサーダルクを間合いに
正確無比な
因果を超える切っ先は、
逆を言えば斬る事が不可能。
(ここだ)
つまり、このまま振り抜けば言うに及ばず……
(走れ)
命ず。
置き去りにされた
今一度、魂との
ただ一振りを放つための
「 ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お あ あ あ!!!」
オラサーダルクは、いつの間にか眼前に現れていた男に、
男は、刀を振り抜いた姿勢で静止していた。
だが自身には一切の痛みはなく、竜の知覚さえ潜り抜け、前触れなく接近する
「……ふん、驚かせおって。
絶望でもしているのだろう、さぁ慈悲をくれてやろうか、などと思う竜の王。
しかし、目の前の光景に、何か違和感を感じた。
いつも見ている世界に、何かが足りない。
『一体、何が』と、内心で首を傾げるオラサーダルク。
だが、その違和感の正体に気付かぬまま、
彼の意識は闇に沈んだ。
突然ふらりと崩れ落ちるオラサーダルクに、妻達は
一番気の強いムンウィニア=イリススリムが問う。
「オラサーダルク、いくらちっぽけな下等生物が相手とはいえ、いきなり居眠りとは一体どういう……」
言いかけて、違和感に
その違和感は、オラサーダルクが感じたものと同じであった。
何かが足りない景色、倒れているオラサーダルク……
はたと気付く。
「……心音が……聞こえない……」
竜の知覚能力は
いつもなら
「……え? それ……」
「……し、死ん……」
ミアナトロン=フヴィネス、キーリストラン=デンシュシュアも気付いて動揺する。
「……き、貴様、一体何をした!?」
動揺から
ブレイン、
「………………何、
ゆっくりと、
刃には、
そう、これこそブレインが目指した奥義の一つ。
一切を無視して素通しに、
狙った内部の一点のみを『始めからそうであったかのように』斬る、
因果逆転の絶技……
「……決死剣、骨切り」
その音に、我に返った妻達は、ようやく
ブレインは、刀を納めた右手の親指で鼻先を
床に散ったのは血だ。
無理もない。
負荷も
それこそが、技の完成に足踏みしていた理由だ。
技の性質上、『通常の人間が』放つには
しかし、それも先程までの話。
身に付けたアイテムの効果で死を乗り越え、
リおんの呪歌で即時回復、
オラサーダルクを倒す事でレベルアップを果たし、
ついにブレインは『人間の域』を
代償として、彼のド根性ふんどしは役目を終え『ミスリル程度に丈夫なタダの
「さぁ、次は
リおんの歌で取得経験値も増やせる今、ボーナスステージも良いところだ。
ブレインは、この場にいる全てのドラゴンを『糧』にする気でいた。
(てめぇら、全員
ドラゴンは嘘を見抜く。
ブレインの言葉に
ムンウィニアはブツブツと何事か
ミアナトロンは三十六計逃げるに
キーリストランは……
「命ばかりは、お助けを!!!」
恐慌状態を理性で
オラサーダルクに連なる全
だが命乞いは成された。
オラサーダルクの王国は崩壊、これ以上の殺生は不要であろう、と。
リおんがそのように考えるだろう事をブレインも理解していたため、とても面白くなさそうな顔をした。
だが安心したまえブレイン・アングラウス。
君はこれからリおんと共に、オラサーダルクの死骸を
リユ・ドワ
((帝国だけは敵に回したらイカぁぁンんんんんんあああああ!!!))
それ、散りて流るるを人の業にて惑わす勿れ
それ、散りて流るるは春の上にこそ美と成りて
…妖夢、大盛りで(作・servoss様)いいですよね。
元は無名の技ですが、原作ブレインの「爪切り」と魚の「骨切り」に引っかけて←
東方project好きな方は是非とも見てほしい。
最近は流行る・忘れるサイクル早いから、あの人の作品が忘れられるのは悲しい。
一応pixivで「技、使いたいです」メッセージ送ったけど反応なし…生きていらっしゃるのか…