【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
「何故こんな事を! 我々に何の恨みが!?」
黒い『それ』は言った。
「質問を間違えているぞ」
「何?」
「逆に
「…………」
「私は、ただ、ほらこの通り」
黒い『それ』は、手に持っていた設計図を火に投げ入れた。
「燃え残りがないように
「………………」
「……お前達を殺したのは、お前達自身だ。故に、」
黒い『それ』は、
「その殺戮者に、
その言葉を最後に、『それ』の姿は掻き消えた。
建物が火災で崩れ落ちる轟音の中、ミノタウロスの
sideイビルアイ
《リおん転移の1年前 王都リ・エスティーゼ》
その日、私は情報収集ついでに街の様子を見て歩いていたのだが、嫌な奴の顔まで見るハメになってしまった。
「やぁ、イビルアイ」
黒いローブに黒い顔、そして恐らくは腹の中まで真っ黒であろう
ツアーに協力する意思のある『ぷれいやー』……というが、表向きの態度ではないかと疑っている。
ツアーは友達だと言っているが、どうだか……私は信用していない。
コイツと知り合って、かれこれ90年以上……いや、もうそろそろ100年、か。
やれやれ、次に来る『ぷれいやー』は
そんな事を考えてたせいか、つい不快感を隠さない返事をしてしまった。
いつも通りに。
「……なんだ、お前か」
「
「なんだとコラー!!」
いつも通り、ついカッとなった私は飛び
そして、いつも通り
おのれ、呼吸するように転移魔法など使いおって……
「
「蹴るなよ、そもそも」
「私に蹴られるような事を言うからだろ!」
「私にそんな事を言わせる、自分の
ああ言えばこう言う!!!
そんな私の怒りも、ヤツは意に
「やれやれ、顔を合わせる
「待て!……忙しい? 貴様、また何か
「企む? あぁ、例えば聖王国でのアレか? なかなか良い大会だろ?」
む……天下一仮面武闘会か……
「……確かに種族間の
「(称号による影響の
「……やはり、本当は裏の
何かを隠すような言い方に、私は疑いの
「今はドワーフのルーン文字を研究したいと思っているし、心配しなくとも、しばらくは聖王国には近付かないよ。というより近付けない、というべきか」
「何? どういう意味だ」
「おぉ! 聞いてくれよイビルアイ! それなんだが」
やばい、と思った時には遅かった。
何故コイツの
『国のために働いているのに、
と
『誰にでもできる事じゃない、他人が何と言おうと胸を張ったら良い』
と
(何故そんな事を……)
いつものようにフィールドワークとして港で若い
(いつもそんな事してるのか……)
しようとしたら
「
などとナチュラルにドクズ発言。
完全に
「……と、まぁそういう事だ」
「知らん! そもそも、私が言っているのは……」
私は
「……ミノタウロス国のような話だ。忘れたとは言わせんぞ」
するとヤツは肩をすくめ、
「私が何をしたと言うのかね。
「……連中が勝手に『情報の受け取り方を間違えた』だけじゃないか」
……これがコイツの本性だぞ、ツアー!
私は怒りに震えそうになる声を
「……あぁ、そうだな。
お前がしたのは、いくつかの
それも、事実だけをな。
ただし、背後関係や当人たちの
その結果はどうだ。
お前は、それを
だが、ヤツは
「だから何だね、人聞きの悪い。まるで火付けしたみたいに言わないでくれないか?
『作り出した』?
そんなもの、『最初からそこにあった問題』から本人達が目を
それが表面化したに過ぎん」
「それで何人の奴隷たちが巻き
「さてね。
『実績』?
ハッ! それとて勝ち取ったわけでもなく『他者の都合』だろ。
全ての生命は、生まれる場所など選べない。
リスクなど、あらゆる存在に平等にあるのだ。
問題は、その中でどう生きるか、だ。
自分では何もせず、
コイツ、いけしゃあしゃあと!!
「それに、私は『友』の
コレだ。
きっとツアーは、自分が相談したせいだと罪の意識を……
そうでなければ、こんなヤツを『友達だ』などと
いつか問い
私に『何を隠している』んだ!
……私だって友達だろう?
話してくれたって良いじゃないか……
いや、今はそんな事を気にしている時じゃない。
私はヤツを『キッ』と
「それでも、他に方法があったはずだろ!」
しかし、私の言葉も態度も、ヤツには届かず。
「やれやれ、簡単に言ってくれる。それに、君は少々『
「……何?」
「本当に正しい事がしたいなら、少しは疑う事を覚えるべきだ」
「だから! 今、お前を疑っているだろう!」
「そうじゃない。疑うべきは『君自身』だよ」
「……な、何だと?」
「ヒトは皆、自分の考えを補強できる『立場』を好む。そこを足場にして、その上から見える景色で物を言う」
「それは……そうとも、分かっている。私は神じゃない。だが! だからこそ目の前の悪を見逃す訳にはいかないんだ!!」
だが、ヤツは……
「ハッハッハ! 違う、違うよイビルアイ! 目の前しか見ていないという意味じゃない!」
愉快そうな笑いから一転、嫌悪感を隠しもしない
「………………
「……な、」
『何故そこまでの感情をぶつけられねばならないのか』という、納得のいかない不満や
「……そんな事だから、いつまで経っても
「……………………………………身長は、」
「関係ないだろぉぉぉぉぉ!!!」
それでもヤツは『アッハッハ』と笑いながら、上空へ逃げつつ、
……クソっ、
大体、食らったところでダメージなど無いだろ。
一発くらい当たれよ!
顔面に!!
腹の立つ事に、ヤツは高みから私を見下ろしながら言う。
「全く。言葉の
……君みたいなタイプは恋愛には気を付けた方が良いよ。
良かれと思って殺そうとした怪物が、実は
「何を訳の分からん事を!!」
何が恋愛だ。
そんなもの、弱さを抱えた者たちの『気の迷い』に過ぎん。
いや、認めるのは
もしかしたら精神病の一種かも知れん。
『恋の病』とか言うものな。
おぉ、イヤだイヤだ。
そんなもの私は絶対に
絶対に、だ!
「いつまでも君と
「な!? 何だと! それは」
私が問い質そうとした言葉を無視して、ヤツはニヤリと笑い、
「さらばだ、
転移魔法で、今度こそ消え去った。
……チッ、あんなヤツに本当の名前など教えるべきではなかった。
少しでも信じた過去の自分を
おのれ、アルス・マグナス……
いつか必ず化けの皮を
……その後、私は『街中で魔法を撃った』と衛兵に職質された。
迎えにきたラキュースに
「ウチの子がすみませんでした!」
と、頭を下げさせられた。
……私の方が年上なんだぞ。
お ぼ え て ろ よ ア ル ス !!!
「 (モグモグ、ゴキュン……クルリ) 確かにあんな性格のヤツだけど (いつも美味しいお土産とか持ってきてくれる) 良いヤツなんだよ。いつか (アイツが君の分のお菓子も持ってきてくれたら) きっと分かってもらえると思うよ」