【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
「それじゃ、最後の仕事片付けて来らぁ」
「よろしくお願いします!アルシェも気を付けてね?」
「うん、いってきます」
城門の前でフォーサイトを送り出すリおん。
呪歌の支援ありとはいえ、ドラゴンを倒してみせた4人ならば心配は不要だろうとリおんは思っていた。
見送りを終えたリおんは皇帝執務室へと戻る。
「行ったか」
「はい。彼らなら森の調査くらい問題なく
「確か、お前の見立てでは『精霊種か何かでは』という話だったな」
「えぇ、湖からは毒物も検出されず、移動している動物たちも健康上は異常が見られなかったようですし、アンデッドが
フォーサイトを
そう、レベル30〜40代の『この世界で一般的な強者であれば』
「ですが、ドルイド魔法を操る種族も色々いますし、何者かが悪意で召喚したモンスター、なんて可能性もありますので、そうした『集団』が相手だった場合に備えて軍を動員できる準備は必要でしょう。フォーサイトだけでは手が足りなくなる状況も考えられますから」
「そうだな。いくら強くとも数で来られてはキリがない」
……この時は、まだ『この世界の常識が通用する相手』であると疑いもしていない彼らは、そのように話し合っていた。
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「久しいな、フォーサイト」
「よ、ザリュース。あれから異常なしか?」
前回と同じルート、強くなったフォーサイトはリザードマンの集落まで苦もなく
「……ヘッケランお前、腕を上げたか?」
「お、流石にわかるか。実は俺たち
「
「あぁ、もちろん!」
フォーサイトは
一種ずつに限定したのは、
単にチーム共通のトレードマークが欲しかっただけなのだから。
ヘッケランとイミーナは竜鱗で、それぞれグリーブと手甲を、ロバーデイクとアルシェは竜革で、サーコートとグローブを新調していた。
それ以外の素材については、帝国が高値で買い取ったり、リおんの提案でドラゴンステーキに使われ、記念の
竜は捨てる部位がない。
貴重な素材が手に入って、フールーダや魔法省の職員達もホクホク顔だった。
それはそうと、ヘッケランが気になったのは、
「……なぁザリュース、横にいる植物系モンスターみたいのは?」
「む。植物系モンスターではない。日差しから肌を守るために
「なに嫁さんだと!? この色男め!」
ヘッケランは
冒険に
植物系モ……いや、クルシュが(わかりにくいが)お
「近く正式に婚姻の儀を挙げる事になっているクルシュ・ルールーと申します。皆さんの事は夫から聞いております。養殖技術の件でお世話になったのだとか。私からも深くお礼を」
食料問題で悲惨な経験をしたからか、礼に実感が
ヘッケランが「実際に知識を与えたのはリおんだが」と前置きした上で本人にも伝える
と、ロバーデイクが意味ありげな笑顔で口を開く。
「いやぁザリュースさんが結婚ですか。これは負けていられませんね、ヘッケラン?」
「んな!? 今は別にいいだろうが!」
その雰囲気にザリュースも
「ヘッケランもしや!」
と、同じく挙動不審になったイミーナとヘッケランを交互に見て……
そのような感じに再会の一日目は
……後に、自分達が
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翌日、リザードマンの集落を出たフォーサイトは、一路、北を目指して進んでいた。
ここからは完全に未知のエリアであり、流石のフォーサイトも
雑魚モンスターに苦労する事こそないものの、意外な強者が潜む可能性も捨てきれない。
また、調査の目的である『異変』の主が移動しないとも限らない。
トブの大森林は山脈を挟んだU字型なので、相手が移動せず場所が特定できていれば真横から入るのが最も効率的なのだが、証言を得たリザードマン集落から辿るように調査するしかない。
魔法省で試作された量産型
そのような行動方針が
「待って」
歩みを止め、全員が警戒する。
フェイントのためだろう。直前まで視線を向けていた方向とは違う場所へ、イミーナは素早く矢を射った。
「ほぅ、わしの存在に気付くとはのぅ」
外したようだ。
イミーナが狙った場所の、木の陰からナーガが姿を現した。
それに呼応してか、周囲に蛇の気配。
「こんな奥地にまで人間とは、珍しい。おぬしら、何をしに来た」
「……森に異変が起きていると情報があって、調査しに来た」
意外にも理性的に対話から始めるナーガに、警戒はしつつも応対するヘッケラン。
魔法やマジックアイテムなどの可能性を除けば、ナーガという種が森全体に及ぶ影響力を有するとは考えにくい、と。
『異変の主』でなかったとしたら、無駄な戦闘で
ナーガは油断なく
「……ふぅむ、強者の気配は伊達ではない、か。よもや森の外に住む人間どもの中に気付く者がいるとはな」
「何か知ってるのか?」
「まぁな……わしは西の魔蛇と呼ばれる、森の西側の支配者なのじゃが、ここ最近、雑魚どもが流れて来て
「なるほど……(南の魔獣……森の賢王、か?)アンタがここにいるって事は、南のヤツは違ったのか」
「あぁ、グの奴と違い話は通じる奴じゃが、縄張りの外に関心はなく、何も知らぬとよ」
「グ?」
「東の奴の名じゃ。トロールの一種らしく、トロールやオーガを従えておる。直情的で
ナーガは考えた。
(体の動かし方、恐らくは同じ竜から作った装備……こ奴らは強い。こちらに有利な森で、配下を使い潰したとしても、わしが死を覚悟するであろうほどには。
グに制裁を加えるなら、わしらだけでは手に余る。手間を
それで疲弊するなら、その時に食ってやろう)
このナーガは強者のプライドより
これに対し、ヘッケランは
(どう考えても、後で油断は禁物だな。それにトロール? 精霊種の影響じゃなくて、単なる縄張りトラブルだったのか?)
とは思いつつ
「なるほど……こっちも無駄な消耗は避けたい。いいだろう。一応、名乗っておこう。俺たちは冒険者チームのフォーサイトだ」
「わしの名はリュラリュース・スペニア・アイ・インダルンじゃ」
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ナーガ達の存在が効いたのか、フォーサイトは順調に歩みを進めた。
ヘッケランがリュラリュースに
「グってヤツの
「わしも、実際ここまで来たのは初めてじゃが、聞く所によれば『枯れ木の森』の先なのだとか」
「『枯れ木の森』?」
「何でも、枯れた木ばかりの土地があるらしい。これは推測じゃが、昔この大森林にはダークエルフが住んでおってのぅ。何やら強大な化け物が暴れたとかで、森を出て行った。大方その化け物が暴れた跡地じゃろぅて」
「へぇ……その化け物ってのは?」
「さてな。ずっと西に住んでおるわしには、よぅわからん」
周りを警戒しつつ話を聞いていたイミーナが言った。
「見えてきたんじゃない? 『枯れ木の森』」
イミーナが示す先には、確かに枯れ葉の色が見えている。
ここを抜けた先か、と、全員が緊張感を持ち始めた時……
「……あのぅ」
「誰!?」
イミーナが弓を向ける。
「ま、待って待って! 戦いに来たんじゃないよ!」
そこにいたのは、
「……ドライアード?」
一体のドライアードが、木の陰から
「わたしピニスンっていうの。ピニスン・ポール・ペルリア。人間とエルフがいるから声をかけたんだけど、話を聞いてくれない?」
「一応、言っとくけどエルフじゃなくてハーフエルフ、ね?……話って?」
「昔ここに来た7人を連れて来てほしいんだ。若い人間が三人、大きい人が一人、年寄りの人間が一人、羽が生えた人が一人、ドワーフが一人なんだけど、知らない?」
それを聞きイミーナは、やれやれと言いたげにこたえる。
「……あのね? 近い種族だからって、みんな知り合いとかじゃないのよ。名前とか、どのくらい昔とか……そもそも、何で連れて来てほしいのよ」
「名前って言われちゃうと困るけど、昔、うーん……あれから太陽が、たっっくさん昇ったよ?」
「いや知らないわよ!!」
リュラリュースが
「話にならん。無視してさっさと行くぞぃ」
しかしピニスンは
「ま、待ってよ! 連れて来てもらわなきゃ困るんだ! 君たちだって大変な事になるんだよ!?」
「……そいつは、どういう意味だ?」
「世界を滅ぼせる『魔樹』が目覚めそうなんだ!」
とんでもない規模の話を持ち出すピニスンに、流石に
(俺たちは『森全体に影響するような異変』を調査しに来たんだ。こいつ、見るからに幼稚っぽいし、大袈裟に見えてるだけかも知れん。だとしたら、少なくともトロールよりは逆にピッタリな話じゃないのか?)
と考え、とりあえず聞いてみる事にした。
「ピニスン、だったか? その話、詳しく聞かせてもらおうか」
だがリュラリュースは
「おい、おぬし。今は」
それを
「まぁまぁリュラリュースさんよ、こいつの話が大袈裟にしたって、トロールと戦ってる背後で
「むぅ……仕方あるまい。手短に頼むぞ」
「おぅ。で、ピニスン。その『魔樹』とかいうの、名前とか特徴とか教えてくれ」
「名前は確か……えっと、なんだっけ……ああ、そうそう! ザイトルクワエだ! ザイクロなんちゃらの一種とか言ってた!」
そこから始まった証言に、一行は困惑する。
曰く、それが原因でダークエルフが逃げ出した。
曰く、『昔ここに来た7人』によって封印され、眠りに
「アタシの本体の木も近いから、いつ枯れちゃうかと不安で……」
話を聞いたフォーサイト一同は緊張した面持ちで顔を見合わせた。
ヘッケランが言う。
「……当たりだろ、これ」
「……どのみち、グの塒は『枯れ木の森』の向こうじゃ。念のため、手前も調べておくべきじゃな」
方針は決まった。
ヘッケランはピニスンに言う。
「俺たちは森の異変を調査しに来たんだ。お前の言う7人ってのは『十三英雄』かも知れないから、連れて来るのは無理だ。だから俺らが調べて、もし本当に手に負えないようなら国に知らせて、対策を考えるしかない」
「え、どうして無理なの!?」
イミーナが引き継ぐ。
「アンタには分かんないかも知れないけど、人間は200年も長生きできないのよ」
「そ、そんな……」
「とりあえず調べてはみるわよ。そんな化け物が暴れたら、私らの国も大変な事になるもの」
「……うん……わかったよ……手が見つかったら、アタシが枯れちゃう前にお願いね?」
落ち込むピニスンに、ロバーデイクが
「えぇ。色々と教えてもらったのですから、善処はします」
一行は、『枯れ木の森』へと足を踏み入れた。
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枯れた木々ばかりでモンスターどころか動物や虫さえいない『死んだ世界』を一行は進む。
不気味であるだけでなく、実際、いつどこから触手が襲ってくるかも知れない危険地帯。
自然と無口になり、警戒を
そうやってしばらく進んだ時だった。
「む!?」
リュラリュースは何かを見つけた。
「どうした?」
と、ヘッケラン。
リュラリュースは額に汗を
「……こっちじゃ。付いてこい」
その後に続き進んだ先には、木々が
何やら
「こいつは……」
ヘッケラン達が状況を
近くには大剣が転がっている。
「こいつがグじゃ」
腹には大きな穴がポッカリと空いていた。
「……はは、手間が省けたのぅ」
そう言うリュラリュースだったが声は震えており、全く愉快そうではない。
「フォーサイトよ。ぬしらに出会した事を感謝せねばなるまい」
その意味を察したヘッケランは、
「……ピニスンに話を聞いて、正解だったろ?」
皮肉っぽく言っているが、こちらも空元気だ。
「あぁ、そうじゃな。教訓になったわぃ。とはいえ、その教訓を活かせるほど長生きできるか不安になってきたがのぅ」
グの死体を検分したアルシェが口を開く。
「多分、
それを聞いたリュラリュースは顔を
「グよ。馬鹿じゃ馬鹿じゃとは思っておったが……『貴様が与えた
現場検証を終えたイミーナが解説する。
「恐らく、地中から突然『触手』が飛び出してきて薙ぎ払われたのね。首や背骨をへし折られた跡がある。グは大剣で防ごうとしたみたいだけど、吹っ飛ばされて木に激突……体勢が崩れてるところに一突き。他のやつは回復が間に合わなかったのか、恐怖で腰を抜かしたか、あっという間だったようね」
そこまで語ったイミーナは「それと……」と言いかけて、
「……嫌な事、言っていい?」
イミーナの様子から、間違っても『面白い冗談の
「それでも、聞かなきゃ何も知らないで死ぬだけなんだろ?……言ってくれ」
「……触手の太さはグの腹を見ての通り。長さは、私たちが倒した
つまり『高々、手足一本』で、そのサイズ。
しかも『地上に伸ばした分だけで』である。
「……最悪だな」
リュラリュースは二重の意味で
フォーサイトが、それほどの竜を打倒した
「フォーサイトよ。国で対策を考えると言っていたな。勝算あるのか?」
ヘッケランが難しい顔で答える。
「俺らだけじゃ無理とは思うが、ブレインの
「……おぬしらには、是が非でも生きて帰ってもらう必要が出てきたな。ぬしらほどの強者に護衛など不要かも知れぬが、わしの配下を森から抜けるまで貸してやろう」
「……そいつはありがたいね。一分一秒でも
気安い感じにも聞こえる言葉だが、その真意の半分は
『十中八九、魔樹は手に負える相手ではない』と。
アルシェによる
遠く、目の前の光景にいる『ソレ』を
「……スゲーよな、俺ら」
同じく呆然と眺めていたイミーナは、真意が
「俺ら『真の冒険者』は『
アルシェは、ヘッケランの言葉も聞こえていないように、血の気の引いた顔で『ソレ』を見続ける。
「……もう『蝗』って規模じゃねーけどな」
ロバーデイクは、思わず聖印を握りしめ、神々に祈った。
「『竜の群れ』だろ、これ」
ナーガ達はリュラリュースの手前、逃げ出しこそしないものの恐怖に震え、リュラリュースも
それら視線の先には、一切の生命が枯れ果てた
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フォーサイトは『もはや一刻の
別れ際ナーガの一体に、調査用に携帯していた
本来なら守秘義務違反になる行為だが、今や友人であるザリュース達に何も伝えず去るのは気が
『貴重な前線基地の一つになるかも知れない集落と
『万が一にも魔樹との接触を防ぐため』
と自分に言い訳して
初め、集落はナーガの出現に蜂の巣を突いたような騒ぎになったが『西側の支配者からの使いであり、フォーサイトから預かった物を届けに来た』と聞き、緊張感は持ちつつも落ち着きを取り戻し、再生方法の説明と共に
その内容に再び波紋が広がり『愛する妻や互いを認め合ったライバル、兄や部族の仲間達、折角軌道に乗った養殖事業を、水泡に帰すわけにはいかぬ』と、先だって養殖について理解を得ようとした時と同様、部族間を走り回る事となる。
さて、一方の帝国……
リおんは情報省経由で『フォーサイト生還』の報を受け、皇城で首を長くして待っていたが、帰って来たフォーサイトは出発時やる気に満ちていた様子から一転、明らかに顔色を悪くしていた事で驚いた。
「お、おかえり。どうしたの?」
城門前で思わず問いかけるリおん。
ヘッケランは
「すまん、一刻も早く陛下に報告したい。想定以上の『敵』を見つけた。今は休眠状態だが、俺らだけじゃ何もできねぇ」
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フォーサイトの報告に、沈黙が執務室を支配した。
十三英雄や魔神についての知識を有するフールーダが口を開く。
「……年代から言って十三英雄に違いないでしょう。十三とは言っても実際には、もっと人数は多く、人間以外の種族も含まれますからな」
それを受けジルクニフは、
「つまり何か。伝説に
「……倒せるものなのか?」
ジルクニフが訊ねると、ヘッケランが補足する。
「難度で言えば、たぶん240以上、あのデカさ相手に苦戦する事も考えると……すんません、バカな冗談みたいに聞こえるから言いたくないんですが……400と言っても不思議じゃない」
「……はは、酒場の酔っ払いから聞きたかったな。全く笑えん」
再び、誰も何も言えなくなる。
……ただ、確かに執務室を沈黙が支配してはいたが、多くが困惑や絶望、諦観から来るそれである中、一人だけ沈黙の意味が違う者がいた。
もちろんリおんである。
何故なら、唯一その『レベル帯』を知っているのだから。
(レイドボスかよ!!!)
つまり、その魔樹に対抗できるとしたら自分を置いて他はなく……
(……行ってみるしかない、か)
「陛下! 僕ちょっと行ってきます!!」
言うが早いか、リおんは
「おい! リオン!!」
「お主!
ジルクニフやフールーダが止める声(ただしフールーダの場合はスクロールが理由であろう)も
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その日、いつものように教会(掘っ立て小屋)で祈りを捧げていたエンリ・エモットは、突然、目の前に現れたリおんに驚く。
「え!? リオン君!?」
「あれ、エンリさん?……あ、やべ、場所を間違えた」
テンパりすぎて転移先を間違えたらしい。
「突然どうしたの? それに今の、もしかして転移」
「ごめんエンリさん、今めちゃくちゃ急いでるから、また今度!」
リおんは教会から飛び出して行った。
「……なんだったのかしら」
リおんは教会を、カルネ村を飛び出すと、トブの大森林へ突っ込んで行く。
レンジャーでないとはいえ、レベル100
ガチビルドのカンスト
(ただでさえ急いでるってのに何でリザードマン集落に飛ばないんだよ僕は!!)
スタート地点の出遅れを取り戻すべく『ほぼ空を飛んでいるような状態』で爆走するリおん。
しかし、その行く手を
だがリおん、鞭のようなものをむんずと
「いるのは見え見えだし邪魔だよバカー!!」
ジャイアントスイングの要領で放り投げた。
「ござぁぁぁぁぁ!?」
何か巨大な毛の塊が木に激突。
見た事のない姿に、思わず足を止めたリおん。
「……え、何あれ。でかいジャンガリアンハムスター?」
本作やっと初登場、ご存知『森の賢王』である。
目を回した状態から復帰した賢王は、
「なな、なんという力……降参でござるよ〜」
服従のポーズだろうか、
だが、うるうるした瞳を見てリおんが思ったのは、
(え、え、待って待って、これじゃトップアイドルともあろう僕が動物虐待してるみたいじゃん……それはマズい!!)
「いや、あの、ごめん、ごめんね? いじめるつもりはなかったんだよ。今めちゃくちゃ急いでて、つい……」
すると森の賢王、
「急ぎの用でござるか! ならば
自分で走った方が速いだろうと思いつつ、リおんは
(でっかいジャンガリアンハムスターに乗るのか……
………………………………ファンシーでかわいいじゃん!)
乗った。
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リザードマン集落は
そこには今やリザードマン五部族は元より、ナーガ、ゴブリン部族、果ては宿敵であるはずのトードマン部族の代表までもが集結していた。
帝国を信じて待つべきだ、いや
そんな時、見張りのリザードマンが駆け込んで来る。
シャースーリュー・シャシャが問う。
「どうした!」
「大型の魔獣が、ものすごい速度で接近して来ております!!」
それを聞き指示を出すよりも早く、集落の横を
それを各種族の戦士達が見る。
リュラリュースは見覚えのある魔獣だった。
「あれは南の……背中におるのは誰じゃ」
ザリュースが気付く。
「リオン殿!」
フォーサイトから聞いた名前にリュラリュースは驚いた。
「何、あれが!? 来て早々、ああも
……ハムスターもネズミの一種である。
知っているだろうか。
丸っこいイメージのハムスターだが、全力で走る時は意外と長く伸び、スマートに見える形になる。
つまりリおんの思いとは裏腹に、その姿は……
戦士達は『白銀の魔獣を駆り、滅びを呼ぶ化け物に向かう勇者』に
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枯れ木の森を抜け、遠くにザイトルクワエの姿を認めたリおん。
(……目覚めたらマズいから看破系も使えないけど、間違いなくボス級じゃん。何であんなのがいるんだよ……攻撃力は分かんないけど、HPだけはレイドボスを想定するべきだよね)
本人としては、正直なところ一人でレイドボスを相手にするのは荷が重いと思っていた。
リおんは、あくまで
いくら自分にバフを、相手にデバフをかければ
(スクロールとかをジャブジャブ使う作戦で行くしかない、か)
リおんは
願いが
であれば実戦で倒すしかなく、リおんは
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《皇帝執務室》
「おぉ、リオン! 帰ったか!」
ジルクニフは期待を込めた視線でリおんを迎えた。
しかしリおんは、今まで見た事がないほど神妙な表情で願い出る。
「……陛下……少し、お話が……」
その様子に、何か『良くないもの』を感じたジルクニフはフールーダや四騎士、ロウネらに目配せし退室させる。
彼らを見送り、それでもリおんは何かを躊躇うように視線を床に落としたまま、口を開かない。
「……どうした? リオン」
そっとジルクニフが問いかけると、リおんは……
「………………ごめんなさい、陛下……
…………………………あれは、無理です」