【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版)   作:ブドウ冷やしんす

30 / 47

皆さま、お待たせいたしました。

久しぶりのモモンガさんです。


「滅びの魔樹」編
破滅フラグしかない腐敗国家に転移しちまうとか、そりゃないだろう!?


 

《sideガゼフ》

 

 

異例とも言えるエ・ランテルでの王国と帝国、両国王の会談を3日後に(ひか)えた今日。

 

私は『五宝物ではない予備の装備で』野盗討伐(とうばつ)に向かおうとしていた。

 

 

というのも、()()けは陛下に同行して来た貴族の一人、リットン伯爵から陛下への進言だった。

 

開拓村が次々と『(ぞく)』に襲撃されているから助けてほしいと、村娘らしき人物が救援を求めにエ・ランテルまで来たのだと。

 

 

『賊の討伐くらい、我が国が(ほこ)る戦士長なら片手間でしょう』

と、まるで陛下を挑発するかのような言い分に怒りは覚えたものの、助けを求められているのも事実。

 

『是非、行かせて頂きたい』と陛下に願い出た。

 

 

陛下は許可して下さったのだが、リットン伯が

『ならば五宝物は置いて予備の装備で行くべきだろう。賊ごとき相手に使えるほど、我が国の宝は安くはない』

などと。

 

相手が本当に『賊』なのか、敵戦力も不明では蛮勇(ばんゆう)に出るわけにはゆかぬと、救援要請に来た村娘からの聴き取りを求めれば

『開拓村は大森林の近くであり、万が一にも化け物騒ぎを知られて村でパニックなど起こされては(かな)わぬから、そのまま追い返させた』

と言われ、流石(さすが)に耳を(うたが)った。

 

 

情報規制とはいえ、王の直轄領(ちょっかつりょう)で勝手に何の説明もなしに追い返すなど越権(えっけん)行為(こうい)であるし、何より敵の情報が分からんではないか!

 

 

しかし陛下の手前、激昂(げきこう)するわけにもいかず、仕方なく今に(いた)る。

 

……本来であれば陛下としても、リットン伯のような貴族派の人物など王都に置いて来たかったであろう。

 

会談の行く末が思い()られる限りだ。

 

 

「それでは陛下、行って参ります」

 

と、出発しようとする私に陛下が

 

「ガゼフよ。渡しておきたいものがある」

 

そう言って渡されたのは……手紙、であろうか。

 

 

「陛下、これは?」

 

 

「うむ、何やら胸騒ぎがしたのだ……万が一にも判断に困る事態があれば、それを読みなさい。(もっと)も必要にならなければ、それに越した事はないのだが」

 

 

「……(かしこ)まりました。これが必要とならぬよう、最善を()くしましょう」

 

 

陛下からの書を(ふところ)仕舞(しま)い、部下達と共に開拓村へと出発した。

 

 

 

 

 

敵の情報が欲しいと思い、まずは襲撃された村へ。

 

 

「……(むご)い」

 

破壊や血痕(けっこん)が生々しい。

 

誰かが最低限には(とむら)いをしてくれたのか、遺体は埋葬されていた。

 

だが積み重ねてきた経験から、嫌でも状況が目に浮かぶ。

 

 

そして疑問に思う。

 

襲撃者は多数の馬を有した、かなり大規模な集団。

 

それほどの野盗団など、この辺では聞いた事がない。

 

やはり単なる『賊』ではないのでは?

 

 

副長も具申(ぐしん)してくれたが、罠である公算が高まる。

 

まさか貴族派の?

 

俺の名誉に傷を付け、王の権威を(おとし)めるため?

 

そんな事のために自国民を殺すのか!?

 

 

貴族らが農民を奴隷か所有物のように見ているのは知っている。

 

それでも冒険者か犯罪者にでもならない限り『国を出る』というのは難しい。

 

そして、(せま)い世界しか知らない農民達は『それが当たり前な事だ』と思い込む。

 

だから彼らは『どうせ(さか)らえまい』と、考えを改めない。

 

 

俺も、農村にいた頃は同じだった。

 

しかし陛下に今の地位を頂き、知ったのだ。

 

それが間違っているという事、その事に心を痛めてくれる国王の存在を。

 

だと言うのに、貴族派の奴らは!!

 

 

……いや落ち着け。

 

まだ全て決まったわけではない。

 

 

ともかく今は、一刻も早く次の村へ。

 

これ以上、ここで調べられる事はない……

 

犠牲になる者を一人でも減らさなければ。

 

 

 

そんな決意を嘲笑(あざわら)うかのように、行く先々の村は(すで)に手遅れ。

 

こちらの動きを読んでいるのか、敵の行動は早い。

 

 

やはり、罠なのだろう。

 

ただ、気になっていた事に答えが見えたかも知れん。

 

生存者の姿が見えない。

 

かと言って、墓の数も村の規模と合わない。

 

初めは『まさか人質に』と嫌な想像が浮かんだが、ある村で村長のものらしき書き置きを見つけた。

 

 

『生きてる人、カルネ村』

 

 

たどたどしい書き方だが意味は通じた。

 

村長と言えども筆記能力など人によって区々(まちまち)だからな。

 

 

カルネ村、か。

 

何があるとは聞いていないが、信頼されているのだな。

 

エ・ランテルでなく、そちらを目指すのだから。

 

 

……恐ろしい事を考えてしまった。

 

エ・ランテルで追い返されたのは、どこの村の者だったろう。

 

カルネ村は一番奥の村だ。

 

もし追い返されたのがカルネ村の者なら、その帰り道で『助けを求めたのに追い返された』という情報が他の村にも伝わるのではないか?

 

だからエ・ランテルではなくカルネ村を頼ったのだとしたら?

 

 

王の直轄領で王国への信頼が損なわれるなど、あってはならない事ではないか!

 

リットン伯の越権行為が、軽視できない影響を残してしまうかも知れない!

 

 

……急がなければ。

 

王は国民を見捨てていないと示さなければならない!

 

 

 

 

 

馬を必死に走らせカルネ村の近くまで来てみれば、何やら『破られた即席の馬防柵』のような物が見えてきた。

 

その前で、待ち構えるように立つ人影が3人ほど。

 

 

近づくにつれ、村長と思しき男と杖を持った村娘、豪奢(ごうしゃ)なローブに身を包んだ仮面の魔法詠唱者(マジックキャスター)である事が見て取れた。

 

 

念のため距離を空けて馬を停め、声を張り上げる。

 

「私は王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ! 村長か!? 隣の魔法詠唱者(マジックキャスター)が誰か教えてもらいたい!」

 

 

「それには及びません戦士長殿。私は旅の魔法詠唱者(マジックキャスター)アインズ・ウール・ゴウン。道すがら村が襲われているのを見つけ、助けた者です」

 

 

私は思わず「ぅ」と小さく(うめ)いてしまった。

 

だが礼を失するわけにはいかない。

 

王国として、これ以上の無様を(さら)すわけには……

 

すぐに馬を降り、頭を下げる。

 

「本来なら我らが助けるべきところ、感謝の言葉もない!!」

 

……間に、合わなかった。

 

その痛恨に比べれば、俺の頭を下げるくらい安いものだ。

 

 

……何のために税を払わせ、時に徴兵(ちょうへい)を強いているのだ。

 

こういう時に、俺達が助けるからではないのか!!

 

余りの無念に涙が出そうになる。

 

だが泣きたいのは彼らだ。

 

俺は泣いて良い立場ではない!

 

 

……まずは彼、ゴウン殿と話さなければ。

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

モモンガは『歌の神』についての動揺(どうよう)(おさ)()みつつエンリからの聴き取りを続けていた。

 

 

「ところで、村が襲われたのは本当に単なる異教徒狩りだったのだろうか。最近、何か変わった事はなかったか?」

 

 

モモンガは少し疑問だった。

 

他の村も襲撃されていたし、何より『部隊が二段(がま)え』という事が。

 

 

(誰かを(だま)す時みたいだもんな。ユグドラシルでも良く使った手だし)

 

 

『使われた手』でない辺りが実にアインズ・ウール・ゴウンらしい。

 

 

「変わった事、ですか……あぁ、あまり関係なさそうですが、一月以上前に顔見知りの男の子が突然ここに現れて『急いでるから』って森の中に走って行きました。転移魔法みたいだったから驚いちゃって……」

 

 

「……ふむ、確かに関係はなさそうだな。ちなみに少年は魔法詠唱者(マジックキャスター)かね? その後は?」

 

 

「彼は帝国で人気の吟遊詩人(バード)で、あれから見ていませんから心配で……護衛も連れていませんでしたし」

 

 

(ふーん……吟遊詩人(バード)ならスクロールを使えるはずだし、まぁ不思議はないか。護衛も付けないで急いでいた、というのは気になるが……あれだな。ユグドラシルだったら『森に消えた少年』とかクエストが始まりそうだ)

 

 

とはいえ『無関係だろう』と、心の中のメモに(とど)めておくモモンガ。

 

 

「それにしても、帝国の吟遊詩人(バード)がカルネ村にまで興行に来たのか」

 

 

「あ、いえ。森の調査に来たというワーカーチームに付いて来たんです」

 

 

「……ワーカー、とは?」

 

 

「組合に登録してない冒険者の事です。非合法すれすれな仕事も受ける人も多いらしいので、ゴロツキのイメージが強かったんですが、村に来たフォーサイトの皆さんは心優しい方々で、メンバーのロバーデイクさんはナザリック教の神官でした」

 

 

(へー、冒険者は何となく分かるけど、フリーランスのもいるのか)

 

 

モモンガは『そのうち冒険者とかやってみたいなぁ』などと思いつつ、

 

「そんな者たちでもワーカーを選ぶほど、組合のルールが厳しかったりするのか?」

 

 

「いいえ。ただ、メンバーのイミーナさんはハーフエルフなので、風当たりが強かったんじゃないかと」

 

 

「……んん? ハーフエルフは嫌われているのか?」

 

 

「……ナザリック教の教えからすると馬鹿げた話なのですが、エルフやドワーフは亜人扱いされたりするのです。帝国では、ドワーフとは取引があるので人間扱いしてもらえるらしいのですが……」

 

 

(ぇえ? そうなの? これ結構重要だな。アウラやマーレは人間の前には出さない方が良いか……嫌な思いなんてさせたくないし)

 

 

『そうなると人間社会の調査に出せる人員は限られるなぁ』とNPC達の中から候補を考えたところで、モモンガの脳裏にパンドラズ・アクターの顔も浮び……

 

(……いや、とりあえず(たな)上げしよう)

 

日和(ひよ)った。

 

 

「……コホン。という事は、ナザリック教は少数派なのだろうか」

 

 

「申し訳ございません。力不足を痛感するばかりです」

 

 

「ぁ……いやいや、()めるつもりはないとも。できる限りの事をしている、というだけで素晴らしい事だ」

 

 

この会話の時点で、横で聞いているアルベドは『カルネ村を起点とした布教による侵食と国権奪取……』などと考えを(めぐ)らせているとは、モモンガは思いもしなかった。

 

 

エンリはナザリック教信者の現状について()べる。

 

「帝国はさておき、王国では四大神信仰が根強く、貴族様などは我々を邪教扱いしておりますので、竜王国ほどには……」

 

 

(……DQNギルドと呼ばれたのは『いい思い出』だけど邪教扱いは、なぁ……)

 

「帝国や竜王国では違うのか。竜王国とは?」

 

 

「帝国は自由な気風なのだそうで。竜王国はビーストマンに襲撃され続けている国なのですが、聖遺物を守る聖堂騎士団が国民をも守っているのでナザリック教は広く信仰されております」

 

 

アルベドが『信仰による世界掌握……』などと(つぶや)いている事には気付かないモモンガ。

 

そこにデミウルゴスからメッセージが届く。

 

〈申し訳ございませんモモンガ様。敵指揮官の尋問(じんもん)を行ったのですが、尋問対策の呪いが掛けられていたらしく死亡を許してしまいました。敵の策も見破れぬ(おろ)かな私に、どうか(ばつ)を……〉

 

 

(そんなのアリなのかよ。油断できないなオリジナル魔法……)

 

「デミウルゴスよ、お前を罰しようとは思わぬ。弱き者ほど知恵で出し抜こうとするのだ。良い教訓になったろう。私はお前達の成長を期待している。お前ほどの智者(ちしゃ)が、まさか同じ失敗をしたりはせぬだろう?」

 

 

〈モモンガ様……勿論(もちろん)でございます! 必ずやご期待にお(こた)(いた)します!〉

 

そこから『法国の特殊部隊、陽光聖典である事』『目的は王国戦士長ガゼフ・ストロノーフの暗殺であった事』などを知らされた。

 

 

(……王国戦士長? ナザリック教は少数派だというし、異教徒狩りはカモフラージュか?)

 

急に『国の要人暗殺』などという話になり『キナ臭ぇ……』と内心、顔を(しか)めるモモンガ。

 

 

(神様扱いには引いたが、自分たちを(した)う人々が都合の良い(おとり)に使われるのは不快だな。リおんじゃないけど『ファンは大事に』だ)

 

 

そして噂をすれば影というべきか、アルベドが小声で、

「モモンガ様、シモベから『武装した騎馬隊が村に接近中』との報告が」

 

少し遅れて、

 

「モモンガ様」

 

外で村人達の手当てなどに当たっていたセバスとルプスレギナが入って来た。

 

村人達も気付き始めた、と。

 

 

「ふむ……村人たちを集めてセバスらに守らせよう。村長とエンリには付いて来てもらいたい。まだ敵とは決まっていないからな。……どうしたエンリ。ルプスレギナをジッと見て」

 

 

「……ぇ、あ、いえ!……(……気のせい?)……お、おキレイな方でしたので!」

 

まさか神々に仕える従属神を相手に『どこかで会ったような』とは言えず誤魔化すエンリ。

 

 

さておき、モモンガ(と、モモンガの魔法で不可知化したアルベド)、エンリと村長は村の入口まで移動した。

 

 

 

 

 

「本来なら我らが助けるべきところ、感謝の言葉もない!!」

 

村を助けた事を伝えるなり、すぐさま馬を降り頭を下げたガゼフに、モモンガは感心と

 

(……なんか、いなくなった会社の先輩に似たタイプいたなぁ。真面目で良い人で……シワ寄せが集まりそうなタイプ。あの人、生きてれば良いけど……最後に会った時、顔色悪かったしなぁ……)

 

少しの同情を覚えた。

 

 

「いえいえ。着いたばかりの私としても近隣の情報が欲しかったですから。少しばかり報酬も頂きまして」

 

そういう事になっている。

 

この村を助けたのは『旅の魔法詠唱者(マジックキャスター)アインズ・ウール・ゴウン』である、と。

 

 

「! であれば! その報酬は私に立て替えさせてもらえないだろうか。これ以上は村に負担をかけさせたくない。村長、救援が間に合わなかった件、申し訳ない!」

 

リットン伯の対応もあり、村に負い目を感じているガゼフ、今度は村長に頭を下げた。

 

村長は恐縮している。

 

その様子を見てモモンガは、ますます『ぅわあ……』と思い、

 

「わかりました。私は何も異論ありませんから」

 

「おぉ、ありがたい」

 

と、ここで

 

戦士長様

 

父親の死もあり、声を震わせつつ()かずにはいられないエンリ。

 

……何故、エ・ランテルは救援の求めを拒絶したのですか……

 

 

「そ、それは……」

 

場所が場所である以上パニックの恐れがあるというのは、リットン伯のデタラメでも何でもない事実だ。

 

だが、

 

(既に襲撃の被害を受けてしまった後で全く何も伝えないというのも不誠実が過ぎる……)

 

「……この件は、住民の混乱を避けるため口外しないよう仰せつかっているので、できれば、ここだけの話にしてほしい……」

 

王への忠誠と板(ばさ)みになりつつも、しかし、王国への信頼が損なわれるのもマズい、と、ガゼフは説明する事にした。

 

幸い、ここには他の村人はいない、と。

 

「帝国が、森の奥に推定難度300という化け物を休眠状態で見つけたらしく、王国との休戦や連合での討伐を申し込まれているのだ」

 

 

難度、300……」

 

冒険者らと会話する事も多いエンリは顔を青くした。

 

 

「……エンリ。難度、とは?」

 

モモンガが訊ねると、

 

「む、そうか。ゴウン殿は来たばかりで知らなかったか。難度というのは……」

 

と、ガゼフが説明してくれた。

 

 

(なお)、難度は現地人にとっての戦い(にく)さで多少の上下変動があるとモモンガは気付いていない。

 

『現地人にとっての力量差』からすると『プレイヤーから見た力量差』は大ざっぱである。

 

 

(なるなどー、だいたいレベルを3倍した感じか。という事は300というと……ちょっと待て! 100レベルだと!?)

 

モモンガは精神沈静化で人知れず光った。

 

(おいおいおいおい、即調査案件だろコレ! そりゃ守護者みんなカンストだけど油断して良い話じゃない! そんなのが森の、奥、に……?)

 

 

陽光聖典の作戦、偽の帝国騎士、森の調査に来たワーカーチーム、森に消えた少年は何に(あわ)てていたのか……

 

タイミングが良すぎる一連の情報に、モモンガは『裏で何かデカい動きの真っ最中なのではないか』と、背筋がゾワゾワした。

 

 

(これは……もしや法国、何か(たくら)んでるのか? 戦士長に伝えるべきだろうか)

 

 

別に王国の味方をしたいわけではない、が、『自分たちのファン』が陰謀に飲み込まれるのを黙って見ているのは不愉快に過ぎた。

 

 

「戦士長殿。今の話を聞いて、少し気になる事が」

 

 

「……何だろうか、ゴウン殿」

 

 

「この村を襲った連中……彼女、エンリ達が奮闘したおかげでボロを出しまして」

 

 

モモンガは、帝国騎士を(よそお)った部隊と本命の特殊部隊・陽光聖典であった事を教えた。

 

「陽光聖典の大部分には逃げられました(・・・・・・・)が、遺体なら残っております」

 

 

それを聞き、ガゼフ

 

「……この非常時に、あの国は何を考えているのか!? 何が人類の守護者か!!

 

全身の筋肉が(ふく)れ上がるほど激怒した。

 

 

モモンガは、ちょっとだけ『ビクッ』として

 

「人類の守護者、ですか?」

 

 

「……彼の国は秘密主義で分からない事も多いが、表向き人類守護のために戦う事を標榜(ひょうぼう)しており、実際、人間の国家とは戦争をした事がない。だが……」

 

 

秘密主義。

 

油断ならないオリジナル魔法の存在もあって、モモンガは思った。

 

もし、今回の作戦が王国・帝国の仲違(なかたが)いを(ねら)ったものだとしたら、それは『森の化け物』と無関係とは思えない。

 

両国の邪魔をする理由があるとすれば……

 

 

「……秘密主義、ですか……戦士長殿。もし、ですが、その『森の化け物』を手中に(おさ)める方法を法国が持っているとしたら?」

 

 

「それは!」

 

 

「人類守護のための絶大な戦力が手に入るなら、多少の犠牲(・・・・・)(いと)わない連中なのでは? この村を襲ったように」

 

 

この世界に何故か存在する『ユグドラシルの魔法』そして『自分たち』

 

実際、絶対支配のワールドアイテム『傾城傾国』などというものを知っている以上、それそのものや、それに類する何かがあっても不思議ではない。

 

モモンガは疑った。

 

 

しかし、だからといって自分たちが矢面(やおもて)に立つのは危険性が高い。

 

なら王国や帝国に政治の力で突っついてもらうのはどうだろうか、と。

 

ぷにっと萌えの『誰でも楽々PK術』を駆使するモモンガなら、このくらいの策謀は思いつく。

 

 

「ガゼフ殿。王陛下や、帝国に知らせては?」

 

 

「……そうだな。必要だろう。ただ、陛下や帝国は良いとして、我が国の貴族派……王に反抗する者達は邪魔するだろうな」

 

 

(内部抗争まで抱えてんのかよ!!)

 

モモンガは『なるなど暗殺計画なんて立てられるわけだ』と、王国の腐敗(ふはい)(あき)れた。

 

 

「ゴウン殿。虫の良い話だとは承知(しょうち)しているが、どうか今(しば)し村を守ってくださらぬか! 討伐の話が決まれば、このガゼフ、例え命を()すとも立ち向かう所存! それまで、どうか!!」

 

頭を下げて()うガゼフ。

 

 

「……わかりました。折角(せっかく)助けた村人たちに死なれるのは面白くありませんから」

 

 

「おぉ! ゴウン殿、心より感謝する! これで後顧(こうこ)(うれ)い無し!」

 

 

 

その後、村や遺体の検分を済ませた戦士団はエ・ランテルに引き返していった。

 

 

姿を隠していたアルベド達と再び話し合う頃には、既に夜の(とばり)が下りていた。

 

だが……

 

 

「アルベド、聞いていたな。すぐ森をアウラやマーレに調査させる」

 

 

「はっ!」

 

 

「……ん、デミウルゴスか。どうした……………………は ?

 

モモンガは思った。

 

ふざっけんなよ!』と。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。