【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
おまたせ…しました…
_:(´ཀ`」 ∠):_
尺の理由から紹介パートを用意できなかったオリキャラのトードマン達を解説しておきま←いらない
この作品ではトードマンみんな忍者です。
魔獣を使役するカエルって忍者な気がしま←妄想
ピヨント
里で一番の勇者。6歳。
最近ケココが気になっている。
ケココ
ピヨントに憧れて入隊。5歳。
ヒロイン。
ペター
ピヨント、ケロルとは同じ月の夜に孵った親友三人組。
ケロルが好き。
ケロル
ピヨント、ペターとは同じ月の夜に孵った親友三人組。
ピヨントに恋をしている。
ゲーゲル老師
30年もの永き時を生きる大老。里長。
里の存亡を賭けた戦いが自分の死に場所と悟り参戦。
「ルプスレギナ、
「もうじわげございまぜん!!!」
モモンガにチョップを食らった頭を押さえながらルプスレギナはガン泣きした。
「……んん、とはいえ、魔樹の件にリおんが関わっていると伝えていなかったのも事実。なので、3日、といったところか」
「だがなルプスレギナ、お前だけに言える事ではないが、過度な人間
「あい、気をつけます……」
「まぁ、今回のは大局に影響はないだろう。足止めも食らっているようだし」
モモンガは
(結局、リおんに接触する機会はなし、か。もう森に向けて出発しちゃったし。仕方ないから皆で鑑賞会かな……)
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《リザードマン集落》
「いやぁ、強ぇ強ぇ。お前マジで人間か? ガハハ!」
「すまんなゼロ。こいつはこういう性格なんだ」
「いや、分かるさ。死地へ行くのに、
リおんに言いつけられた森の賢王、改めハムスケはゼロ達をリザードマン集落へと案内した。
そこで『帝国からの部隊とは別口』と聞きゼンベルが『なら腕を見せてもらおう』と組み手を申し込んだ。
勝敗は互いに
リおんがハムスケに乗って駆ける姿を見せて以降、トブ大森林部族連合は『魔樹が動かない限り待とう』と落ち着きを保っていた。
今はトードマンら隠密行動が得意な部族が定期的に監視するのみ。
適当な場所に腰を下ろしたゼンベルが言う。
「しっかしまぁ、
ゼンベルに
「うむ。だが知ってしまった以上、見て見ぬふりはできぬ。法国の思惑通りになどさせるわけにはいかん」
「……法国だぁ?」
「我々は元々、森の近くにある開拓村が襲撃されていると聞き、それを助けるために動いていた。到着してみると
近くに歩み寄り聞こえていたか、デイバーノックが話を引き継ぐ。
「魔樹を手に入れるための陽動作戦だったらしい。何でも、法国には魔樹を支配する手段があるとか」
「はぁ!? あの化け物を支配だぁ!?」
ゼンベルは目を
「法国は人間至上主義の国と聞く。そんな国が魔樹を手に入れたら……」
ゼロが
「そうだ。間違いなく『人類のために』と
ゼンベルが
「……いいのか? 法国が『人類のため』つってやる作戦を邪魔するって事は、お前さん大悪党にされちまうんじゃねぇのか」
それに対しゼロはフッと笑うと、
「そんなもの、
ゼンベルもザリュースも首を
ゼンベルが
「……人間ってぇのは、虫を食う種族だったか?」
「いや違う。人間は作物や
作物も、家畜の
種を作らせるのは
森がなければ大地は雨を
人間だけが残っても、恐らく意味などない」
それを聞いたザリュースは納得した様子で語る。
「……養殖を始めて俺も気付いた。エビやカニ、貝、藻など……様々な生き物がいて環境は成り立つ。そこで育った魚を食う。俺達は目に見えないバランスの中に生きているんだと」
「法国のやり方では、いずれ人間は立ち行かなくなると、俺は思う」
ヒトは、いつだって正しい事などできていない。
これは絶対に正しいと思った時、それは
そして、正しくあろうとすればするほど、その論理を根拠として間違いへと突き進んで行く。
……「そうだ、その通り」と思った君は、既に間違いへと突っ走っているかも知れない。
本当に間違いを回避しやすい人間は、自分こそが間違っているのではないかと不安になれる人間だ。
不安を感じない時点で自分に
「俺は既に一度、道を
「へぇ、悪党が罪じゃねぇってのかい」
「我らにとって罪とは
「手段を選ばぬ、か」
ゼロの言葉に感じ入るリザードマン二人。
誰の助けも得られぬ
そして世界を変えるのは、いつだって最初『悪』だった。
道が
正義とは『正しかった過去』への信仰である。
だから正義という立場からは、必ずしも未来を正確に見通す事はできない。
「生きる事は、時に綺麗事では済まされぬ。全ての結果を己の
ゼンベルが
「……その心意気、気に入った! てめぇは共に戦うに
「……そうだな。俺もそうしたい。だが……」
ザリュースは難しそうに続ける。
「そのためにはゴブリンかボガードの部族に
ゼロが問う。
「取り決めがあるのか?」
「いや、そういうわけではないのだが……魔樹に気付かれずに近付くには
それを聞いたデイバーノックが、
「
「あぁ、昔よく
ゼロが
二人の反応の意味をリザードマン達は理解できないまでも、
「なら問題ねぇな。そんじゃ、明日にでも案内してやるか」
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「……あれが……滅びの魔樹……」
遠くに見える
それでもゼロは、一度
「……デイバー、無理に付き合えとは言わぬぞ」
「……確かに俺の目的は、
……俺は、既に多くを殺し過ぎた。逃げれば深淵に
魔導という目的を失った歩みに、意味などない」
それに、とデイバーノックは続けた。
「お前さん風に言うなら、死しても知の神くらいは
「フッ、お前の場合は死の神に会うのが先ではないか」
ゼロが冗談に付き合うと、デイバーノックは
「……そうだな。アンデッドの俺なら
「「は?」」
リザードマン二人は目を丸くしてデイバーノックを見やる。
「……デイバー、良かったのか?」
「ゼンベルは嘘が嫌いだと言う。これから共に戦うなら隠し事も
デイバーノックが手袋を外すと、中から出たのは白骨の手。
ギョッとするリザードマン二人。
なんとデイバーノックはアンデッドであった。
「……
「坊さんの連れがアンデッドとは、たまげたねぇ……今さらだが、大丈夫なんだろうなゼロ」
「こいつとは、犯罪組織にいた頃からの付き合いだ」
犯罪組織と聞いて
「俺からすれば人だろうと何だろうと、知性なくば
ナザリック教では魂を『海から打ち上げられた
意識とは、世界の流れに生じた『
故に、いずれは勢いを失い、世界という情報の流れに溶け込み消失するし、よほど超越的な存在でない限り世界から独立した意識などあり得ない。
アンデッドもまた、
周囲からの悲しみや
故に、世界から忘れ去られるその時まで永遠に存続し続けるのだ。
実在しなかったのではなく、『どうでも良い存在』として忘れ去られ、『確固たる存在』として存在し得なくなっただけである。
だから強く信じている者には確かに見えるし、無意識に畏れを抱く者には影響を
……尤も、死の神が実在する『この世界』において、そんな時代が来る事はないのだろう。
強固にして不変の世界など初めからどこにもありはしない。
世界とは、ヒトの観測結果によって簡単に形を変えるものだ。
世界が不変に見えるのは、それだけ人々の
閑話休題。
デイバーノックの言葉に、ゼンベルは
「ハッハッハッ! 確かにな! 俺もオツムは弱いが、冗談くらいは分かる。それがなけりゃ獣と変わらんのだろうよ」
ザリュースも笑った。
「あぁ、特にお前みたいなのはな!」
「てめぇ俺より先に結婚したからって調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
「……ゼンベル、お前なら
「ケッ! うるせぇやい。俺だってなぁ、もうちっと色っぽい雌がいりゃあ……例えば、こう、尻尾の付け根なんかがムッチリ……俺の部族の雌が
ザリュースは驚いた。
『こいつは出会った時から
『これではまるで、
そんな漫才みたいな会話をする二人を横目に、ゼロはエドストレームにも問いかけようとするが
「エド、お前は……」
「興味ないね」
あまりにアッサリした返答にリザードマン二人は目を丸くするも『このクールそうな雌なら、そんなもんか』と思う。
だが、ゼロとデイバーノックは真意に気付いているらしく、言葉の続きを待つと
「……他に、どこに行けってのさ」
肩を竦めるエドストレームに、ゼロが「……すまん」と言うと
「好きで付き合ってるんだから、謝られても困るよ」
何でもないように苦笑するエドストレームに、ゼロは珍しい提案をした。
「……これが終わったら、次の行き先はお前が決めると良い。どこへなりと付き合おう」
エドストレームが驚いたような顔をしていると
「たまには、そんなのも良いだろう」
と笑いかけるゼロ。
エドストレームはプッと吹き出し、腹を抱えて笑った。
そのやり取りを見てザリュース達は『男女の仲も色々あるんだなぁ』と不思議そうにしていた。
リザードマンは基本、純朴な世界観で生きている。
「なぁ旦那、俺も……」
と、ザックが口を開くが、それを
「ザック、お前は帰れ」
「……え」
ゼロはザックに預けてある荷物を取り上げ、中からポーションなどを取り出して返す。
路銀なども、そのままだ。
「これらは戦いに必要だろうが、他はくれてやろう。
カネに換えるなり、好きに使え。
……妹を探しているのだろう?
大丈夫だ。お前なら、きっと会えるさ」
「………………旦那……」
ザックは言葉もなくし
「ゼンベル、すまんが誰か付けてやってくれ。俺達が世話になった男だ。森の外に逃してやりたい」
「おめぇの頼みならお安い御用だ。任せな」
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エ・ランテルに前線基地機能を残し、ジルクニフは帝都に帰還した。
機能と言っても、期待されているのは
『作戦が失敗した場合、
『遅滞戦という名の玉砕戦を指揮する事』
『できる限り魔樹を法国へ誘導する事』
の三つだけである。
勿論、そんな事は一般市民に知らされてはいない。
だが市民へのプロパガンダとしては『防備は万全である』『一致団結して立ち向かおう』と
それでも指導部の『空気』は伝わるらしく、街全体がピリついていた。
一方で、市民は (プロパガンダに流されているという面はあるものの) 危機を前にして隣人同士の
避難計画で最も人数が多いのは法国方面となっている。
これは
つまり収入や生活実態、行動パターンから割り出した『不満を抱きやすい者』、『協調性に欠け、反発しやすい者』などである。
ランポッサ三世が死んだ際は王国に対しても
(王国に対しては、もうどうでも良くなっていた)
とはいえ法国に対してできる事は、現状『自国がボロボロになった後の嫌がらせ』くらいしかなく、
リおんが涙を流してまで『きれい』と言ってくれた自慢の国を『魔樹への捨て石』に使うなどジルクニフとしても
人事を尽くした以上は天命を待つ他なく、『法国に
勿論、六大神ではなくナザリック神に。
……あまり祈りすぎてジルクニフが『
たぶん
(厳密には神官系
それはさておき、ジルクニフを見送ってからリおん達『討伐隊』は出発した。
いち早く現場の状況を知りたいガゼフ、ザリュース達と面識があるフォーサイト、運び入れる物資など含め
リおんの呪歌に
その他の亜人達の判断は部族
バザーのように供回りを連れた者はリーダー格が竜籠で直行し現状
中には種族特性から『地上組』を選択した者もいる。
神聖なものを守る事を好む
魔法省の職員は竜籠を使わず
全員が第四位階以上のエリートだ。
彼らは戦闘本番では魔力を温存するため
ギリギリ謹慎が解けていないルプスレギナは涙目であった。
カルネ村が見えてきた時、リおんは浮かない顔であった。
(……エンリさんにも、神様扱いされちゃうんだろうなぁ……)
『会いに行けるアイドル』である事を楽しんでいたリおんにとって、悪い意味でなくとも、親しく接してくれていた相手が自分から距離を置き離れて行くのが
だが……
「まあ! うたのかみさまだったなんて! これまでのぶれいをおゆるしくださいませ!」
リおんは真顔になった。
エンリの棒読みが
感じ取れる感情は間違いなく『崇敬』であるのに、言動全てが演技臭くて仕方ない。
(……えっと……どうしてこうなった……何を隠してるんだろう……けどまぁ、悪意は感じないんだよなぁ……スルーしてあげた方がいいのかな……)
エンリはルプスレギナからリおんの事や魔樹の事を聞いていたし『心配ない』とも聞いていた。
だが、同時に『邪魔しないよう知らないフリを』とも言われていた。
ともあれリおんは、
「……いえ、僕が隠していた事ですから、気にしてなんかいません。……むしろ、今まで通りに接してもらう方が嬉しいです」
「はひ! これまでとかわらないしんこうをささげます!」
「……」
必死なエンリに『あ、これもうダメだ』と
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《モモンガ執務室》
「ぃよっし! 良くやったエンリ!」
ハラハラしながら鏡で様子を見ていたモモンガは思わずガッツポーズ。
後ろにメイド達がいるのも忘れて素が出てしまっていた。
積極的に反応を見せる守護者らが不在のため本人は気付いていない。
メイド達は微笑ましげに見守っていた。
ちなみにセバスは先程アルベドから呼び出され、今は席を外している。
「ふぅ……これなら何事もなく本番を迎えられそうだな」
モモンガ的には、あれでも『セーフ』だったらしい。
(……それにしても、皆、
最近、守護者らが
両手の人差し指をチョンチョンするな骸骨。
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リザードマン集落……実質『トブ大森林部族連合本部』だが……そこへ大量に飛来した
それはそうだろう。彼らにとってドラゴンなど時折アゼルリシア山脈から『
しかし、そのうちの一体が低空まで来ると、持っていた籠のようなものがスルスルと降ろされて……
「
「ヘッケラン!?」
「援軍、連れて来たぜ!!」
そこからは、違う意味で
次々と降り立つ勇士、猛将、賢者達。
威風堂々たる竜の姿も
「……おい、もしかして」
「勝てるんじゃないか、俺たち」
熱を帯び
「何言ってんだ。『何が何でも勝つ』んだよ、俺達は」
ヘッケランが声をかけた。
「これは、俺達の生存戦争だ」
魔樹との戦いは、周辺国や各部族から後に『大戦争』とシンプルに表現される。
後にも先にも『あらゆる種族や国家が
戦い慣れしたアベリオン丘陵の種族に世界の広さを感じる森林連合、
自ら死地に
数日後に地上組が到着し『歌の神』との
(リおん本人は変な汗を流していた)
語り
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役者が
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早朝、魔法省が用意した
魔樹を囲む形で、北側はリザードマンやトードマン、
東側から南までは残りの亜人種が
西側から南までを人間種が担当する。
ゴブリンやボガードは
戦士系では実力が足りず、魔樹の餌になってしまうだけだろう。
皆、
上空を
リおんの号令を皆が待つ。
彼はアイテムボックスから二本のスクロールを取り出すと、一本を頭上に放り投げ、一本を展開、発動。
「
ギターの演奏を始める。
「……作戦、開始!!」
歌が始まると、力を
「
死の宝珠を掲げたフールーダが、竜の背から命を下す。
ただ盾として使い
リおんの目の前に、先程投げたスクロールが落ちて来る。
タイミング良くページの
「
リおんの姿が
と、次の瞬間、落雷のような
休眠状態への不意打ちバフ乗せクリティカル……リおんから魔樹への
続けて、今度は地下から地鳴りが響く。
魔樹の触手が地中を掘り進む音だけではない。
クアゴア決死隊による根 (触手) への一斉爆破攻撃であった。
彼らは帝国から支給された
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
《地中 魔樹直下》
最初の爆破を行った後も、クアゴア達は移動と攻撃を続けていた。
互いに音でしか相手を見付けられない、深く、静かな地下の戦い。
クアゴア達は最初の攻撃で潰してしまった坑道の他にも避難路や
「敵、進路そのまま。第三坑道で接敵する」
行く先で壁が崩れる音。
「チッ、やはり速い。見つけ次第、
到着し、壁を突き破り反対の壁へと突き刺さる根に殺到するクアゴア達。
原作ではナザリック勢が瞬殺してしまったため知られていないものの、伸ばされた『根』は地表へ突出すると光や気温変化などの刺激で表面が硬化、強靭な『触手』になるが、実は地下で『根』の状態なら軟らかく (それでもオリハルコンくらいには硬い) クアゴア達でも攻撃できた。
さらに言えば、地表と違って
(刺突される恐れはある)
とはいえ……
「太いな。これ以上時間はかけられん。吸着弾」
一匹が
それを半ばまで齧り進めた断面に投げ付け
「退避」
クアゴア達が後退した直後、
被膜は、
「掘り返せ」
土の中から根を見付け、状態を確認する。
「……やったな。次に移る」
根、触手は『
リおんが本体を倒すまで、文字通り日の当たらない彼らの戦いは続く。
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
クアゴア達による最初の一斉爆破が
「クアゴア連中が仕事を果たした! 負けておれんぞ!!」
「我に続け!
レメディオスが、バザーが叫ぶ。
東側、西側の勇者達が
「
「
「
北側で高密度に集められた雲は雨を降らせ、魔樹の触手で
「っしゃあ! 俺達の戦場だ!!」
ゼンベルが
「リザードマンに遅れを取るな! 突撃ぃ!!」
グレーター・サーベルウルフ、大型パープルワーム、トブ・グレーター・タイガーといった魔獣をけしかけ、自身らも立ち向かうトードマン達。
「行くぞ皆!」
「へっ、お前にばっか良い格好させるかよピヨント!」
「そんな事言って、足引っ張るんじゃないよ? ペター……闇渡り!」
「な、なにをこの! 待てよケロル!!……ったく、誰に良いトコ見せるためだと」
勿論いくらリおんの呪歌を受けているとはいえ、一本一本がドラゴン並みの触手を簡単に切断できるわけではない。
「流水加速! 剛撃!!」
聖剣サファルリシアが光を増し、すれ違い様に一閃するレメディオス。
しかし、
「クッ、やはり一撃では無理か」
いくらザイトルクワエが『悪』寄りと言っても、知性がないだけでカルマ値は『極悪』ではない。
ましてサイズと硬さがあるため『予想よりは刃が通る』程度のもの。
おまけに斬った所で内臓などが零れるわけでなし。
「ドラゴンなら致命傷なんだがな……」
しかし『そんな気はしていた』と、仕方なく二撃目を諦め冷静に回避へ転じるレメディオス。
エドストレームが、普段はバラバラに踊らせている
それはまるで花のようで……
「喰らいな! 輪転斬華!!」
高速で回転する金属の花弁は、さながら回転ノコギリ。
触手を切断せんと襲いかかる、が
「チッ、硬いね。全部は無理か」
三分の一程度で刃が止まってしまう。
「任せろ!」
ゼロが突進する。
それを
「おぉぉぉらぁ!!」
ゼロの拳を受け、切れ込みから
打撃系の味方が攻撃チャンスを得た時、
回避に転じたレメディオスにも、
「団長、任せて下さい!」
頭上から声とブレスが降る。
凍結した損傷箇所に、ネイアが
「ヘジンマール!」
「おう!」
そのまま突っ込むヘジンマールは寸前に宙返り。
言葉さえ不要な
触手を見事に叩き割った。
「良くやったネイア! 次へ行け!!」
「はい!」
「
「超技!
イビルアイの砂に絡め取られた触手に、ラキュースが魔剣の一撃。
しかし……
「不動金剛盾の術」
見かけボロボロになってもなお叩き付け攻撃をして来る触手をティアが防ぐ。
「くっ、あれでも一撃では無理だと……ならば、
「俺っちの出番だなぁ! 超級連続攻撃ぃぃ!!」
一番損傷が激しかった部分を石化、ガガーランが打ち崩す。
「ふぃー……たった一本相手でもコレかよ。気が遠くなるぜ」
「言ってる場合か。まだまだ来るぞ!」
「怯むな! 一所に留まらず
「ぉぉお! 剛爪!!」
触手の先端が彼を狙えば、
ヴィジャーは最初、父から受け継いだ『魔爪』の名に
しかし魔樹の威容を目の当たりにして考えを改め「武功などと小さな話ではない。これは魂ある全ての者の誇りをかけた戦いだ。やるぞ俺は」とヘクトワイゼスに語ったのだ。
(あの方こそ新たな長に相応しい。何としても生きて帰ってもらわねば。例えこの身に代えようとも)
槍を刺されたまま暴れる触手。
「ぐぉあ!?」
投げ飛ばされるヘクトワイゼス。
『叩き付け』の体勢に入る触手にも、せめて目を逸らすまいと睨み付ける。
だが横から、
「ぅおおお!」
「やれぃ!!」
彼が上空に叫ぶと、冷気が撃ち降ろされた。
触手ごと冷気に包まれる、が
「ふははは! どうだ化け物、寒かろう!!」
冷気に対する完全耐性の前には『余波』くらいではビクともしない。
「済まぬ、助かった!」
「構わん! 叩き割れ!!」
亜人達が殺到し、凍結部位は砕け散る。
「流水加速! 即応反射! 四光連斬!!」
触手の攻撃を避けたガゼフが即座に斬り付ける。
しかし……
「……六光連斬でなければ一撃では無理か……」
確かに呪歌の加護はある。
HP回復、MP消費低減、能力強化、ステータス異常防止……
だが武技では『精神力』を消耗する。
それはユグドラシルのルール外であり、プレイヤーにとって言わば『隠しゲージ』のようなもの。
歌による能力強化や高揚などの精神作用で間接的には負担も軽減されるが、MPに対するものほど恩恵はない。
いつ終わるとも知れない戦いで、精神力の枯渇は死活問題だ。
だから温存したいのが正直な所。
大ダメージにも怯まない触手が、反撃とばかりに薙ぎ払い。
防御か回避か。
どちらにせよ武技を使う事になる。
が、その決断をするより先に
「重要塞!!!」
巨岩がぶつかり合うような轟音が響く。
そこにタイミングを見計らっていたレイナースの
「はぁっ!!」
触手は
「ニンブル、合わせろ!」
「承知!」
「「でゃぁ!!」」
上段から、下段から、バジウッドとニンブルから損傷箇所に叩き込まれる二つの斬撃。
触手は断ち切られた。
「かたじけない!」
「へっ!
バジウッドは軽口で返し、ナザミは無言で
『次に行け』と。
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
歌を
振り回される枝を圧し折り、口を蹴り付け『種』の砲撃をキャンセル。
それでも、リおんは本来『後衛職』だ。
いくらバフをかけた所で、その攻撃力では体力バカである魔樹のHPは中々減らない。
おまけに肝心のHPは『測定不能』
作戦では、一定以上HPが減ると発動
魔樹の体力も生態も不透明、
タイミングを間違えただけでバーサクモードのキャンセルは失敗、
途中で何かトラブルが起きただけで魔力の消費ペースが狂い
作戦とさえ呼べないようなチキンレース。
全てがギャンブルであった。
そんな作戦でも『これなら勝てる』と
歌の加護があるとはいえ、先の見えない戦いでも
だが、どうしても小さな
「危ねぇ!!」
リおんがキャンセルし損ねた砲撃が飛んで来る。
危険も
着弾、炸裂。
後には地面しかなく、周りは『犠牲になったか……』と思った、が
地面の土がモコモコ盛り上がって人型に……
「ふぁぁ、俺が
周りから安堵と
この戦いで
また、リおんが打ち合わせの際「砲弾が空中で停止しているように見えたら直撃コースだから全力で逃げろ」と伝えていたのが幸いし、砲撃の犠牲者は数が多いゴブリンやボガード、自身を過信して迎撃しようとした
ただ、前提として挑み
「ぐぁっ!?」
クアゴア達の手が回らなかったか、触手が
トードマンの若きエース、ピヨントが薙ぎ払われバランスを崩す。
その機会を見逃さず、養分を求めた刺突が来る。
「先輩!!」
ケココが悲鳴を上げた。
万事休す、その時……
「不動金剛……ぬぅっ!」
「ゲーゲル老師!?」
盾となり貫かれる老兵。
「不動金縛りの術!!……くくく、捕まえたぞ化け物」
「今助けに」
「
触手を捕まえたまま、術を発動。
「……里の未来を背負う者達よ、見ておくが良い! 忍法、爆炎陣んん!!!」
全魔力を投入しての大火力。
位階換算で第八位階になろうかという
30年という、一般トードマンなら気が遠くなる程の永きを生きた大老の、壮絶なる最期であった。
ゼロは進退
何とか抱え込み捕まえたものの、
「くっ……」
「ゼロ!!」
エドストレームの
……が、その時
「旦那ぁ!!」
ゼロを狙う触手から、何か小瓶が割れる音。
すると触手は苦しむが如くのたうち回り、狙いを外して地面に突き刺さると、そのまま徐々に
声が聞こえた方向には、
「……ザック!?」
草やら小枝やら泥やらに塗れ、擦り傷だらけになったザックが、パンパンに膨れた背嚢を背負い、息を切らして立っていた。
「どうでぇ化け物、バレアレ印『枯草剤』の味はよぅ!!」
ザイトルクワエには当然『毒耐性』はある。
しかし、それは『ユグドラシルにおける毒』に対しての能力であり、ザックが持ち帰った枯草剤は『ユグドラシルに存在しない植物特効の毒』であった。
故に、その耐性を貫通した。
言ってみればイビルアイの
それ自体は廃液や試薬を混ぜてリイジーにより作られた急造品であり、技術的には帝国魔法省の方が恐ろしい物を作れるだろう。
だが無意識に『森の奥で毒をばら撒く』という発想を忌避したリおんが提案するわけもなく……
しかしザックにはリアル世界で猛威を振るった『ベトナム枯葉剤』や『新型農薬』の先入観などない。
捕まえている方の触手にも小瓶が投げ付けられ、窮地を脱したゼロ。
「ザック……お前ってヤツは……」
「へへっ。旦那、あっしは荷物持ちですぜ? 買い出しくらいできなきゃ格好が付きませんぜ」
言葉にならず『感謝は戦いの後だ』と飲み込んだゼロ。
頭上に叫ぶ。
「ネイア・バラハ! 魔樹に効く毒が届いた!!」
その声に反応、すぐさま状況を判断、反転。
自身を追いかけていた触手とすれ違い、降下、ザック目掛けて低空飛行。
「受け取れぇぇぇっ!!!」
力一杯に背嚢を放り投げるザック。
狙い
「皆さん!、毒を配ります!!」
上空から声を張り上げる。
「エドストレーム、叩き割れ!
デイバーノックが
エドストレームが空中に放り投げた小瓶に
これは八本指在籍時代のオリジナル呪文だ。
毒殺に、または手元の飲み物などで窒息死させるために……どちらにせよ犯罪臭しかしない魔法。
「ヘッケラン・ターマイト、お前もだ!」
双剣にも魔法をかけてやる。
「こいつぁ良い! ありがとよ!」
それを上空から見て『やはり攻撃ばかりが魔法ではない』『まぁまぁ味のあるオリジナル呪文だ』と頷いていたフールーダは、視界の横で信じられない光景を目にした。
「なるほど」と呟いたニニャ。
「ペテル!
その場で呪文をコピーしてみせた。
「なんじゃとー!?」
「な、なんと……」
フールーダも、コピー元のデイバーノックも度肝を抜かれる。
魔法適性──倍の速度で魔法を習得可能。
つまり、ニニャの実力に応じて習得時間を短縮するのだ。
今の彼女ならば第二位階など『秒』である。
「ニニャ殿ー! 戦いの後には是非わしの弟子にー!!」
「ごめんなさーい! もう師匠はいるんですー!」
「なんと、その御仁を紹介してくだされー!!」
上空と地上、お互い叫んで受け答え。
……戦闘中なのだが。
アルシェは今回の戦い、持久戦との事で温存のため大技を封じられ、
その状況が変わった。
「──散開」
今や6体もの人形を同時操作するアルシェ。
……片手にナイフをぶら下げ、枯草剤を振り掛けられたそれは
小さく、生命反応もない人形は『攻撃さえ有効なら』触手への相性は良い。
非力だから今までは使えなかったが、毒があれば話は別だ。
毒という武器を手に入れ、最も気力を取り戻したのは『弓士』達であろう。
イミーナも、ルクルットも矢筒の底に毒液を注ぎ込み、一矢でも多く打ち込もうと奮戦する。
また……
「チクチク刺すだけでいいのはお得」
闇渡りしながらティナが毒塗れの針を打ち込んでいく。
毒を使う攻撃なら忍者の
「お得お得。90%OFFセール」
ティアもメンバーの援護がてら針を投げる。
「それはほぼタダ」
「これはしたり」
そして、もう一人。
派手な技は一切使わないが堅実かつ無駄のない挙動で
「
これは本来、動植物の体を活性化させる、弱い
しかし、毒に侵されているとあらば……
「魔樹よ、吾輩の魔力を持っていくが良いのである。それが自らの死期を早めるとも理解できずに!!!」
毒に侵され爛れた部位が、あっという間に拡大。
立ち所に腐れ落ちる。
それを見たゴブリンやボガードのドルイド達が真似をしだす。
この呪文は第一位階。
ドルイドなら誰でも使える初歩的な魔法に過ぎない。
今までの苦戦が嘘のように、形勢が逆転した。
そして、魔樹が
触手から本体にダメージが入る唯一の例外、それが毒攻撃である。
ザイトルクワエが『この世界』に来て
「これなら……これなら勝てる!!!」
バーサクモードまで、あと少し。
リおんが、全員が希望を見出した。
「……だがなぁ、リおん・がぶりール。
そういうわけには、いかんのだ。
彼の目的とは、そしてリおん・がぶりールの運命や