【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版)   作:ブドウ冷やしんす

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「みんなが真面目にシンミリしてる時にリおんお前何してん」という話。

お待たせしました。
コロナから復活しました()


「繋がる世界」編
そして、新たな日常を


 

《帝都 最高級宿》

 

 

元・フォーサイト(と言ってもアルシェを除く3人)は食堂のテーブル席でボンヤリしていた。

 

 

あの戦いの後、フォーサイトは解散となった。

 

アルシェは正式に魔法省入り、ヘッケランとイミーナには帝国の国家機関である冒険者教習所からスカウトの話が来ていて、近々国家公務員になると決まっている。

 

ちなみにサエルアンナ達エルフ三人は、アルシェの妹二人の世話役をしていた。

 

仮にも魔樹と戦った準英雄クラスのベビーシッター……護衛にしても過剰戦力である。

 

 

ロバーデイクにはジルクニフから「追加の支援を出すから、孤児院と言わず教会を建てないか」と打診(だしん)があり、小さいながら孤児院の機能を備えた教会を持つ事に。

 

 

魔樹との戦いや上空に映し出された『生中継』による騒ぎから、ジルクニフは(リおんとの関係性もあるにはあるが)いち早くナザリック教国になれば帝国の存在感を一気に拡大でき、神殿勢力の政治的影響力を薄められると考えた。

 

本来なら、あまり大きな話を好まないロバーデイクが快諾(かいだく)したのは、ジルクニフが国民皆保険制度や奴隷能力検定試験を決定したためだろう。

 

出陣直前にリおんが『お願い』した結果であり、同時に、神殿勢力や法国の影響力を()ぐ目的だ。

 

 

収入などに応じて医療費支援を受けられる国民皆保険制度……リアルでは利権や政局争い、有権者の無知など民主主義の弱点により崩壊した制度だが、圧倒的な権力をジルクニフが振るう絶対王政である帝国では、()らぐ事などないだろう。

 

 

閑話休題。

 

 

そんなこんなで各々が新しい道に進み始める以上、宿も引き払わなければならない……の、だが、片付けの手を止めて休憩すると、ついボンヤリして時間が過ぎる。

 

原因は、リおんがいない事であろう。

 

 

「よぅ、どうしたんだ? (そろ)って湿気(しけ)た顔してんぞ」

 

同じ宿の利用客である漆黒の剣・ルクルットが声をかけてきた。

 

 

「よ、ルクルット」

 

 

「新生活の準備してるんじゃねーのかヘッケラン。おっと、教官殿とお呼びした方が?」

 

 

おい! 勘弁してくれ!

 

 

「はっはっは……それはそうと、また気にしてたのか?」

 

などと話していると、ペテルが(あわ)てて

 

「こらルクルット! すみません皆さんお邪魔して」

 

 

「なんだよペテル。いいじゃんか、本人達だけでジトジトしてるよりはさ」

 

肩を(すく)め悪びれる様子もないルクルット。

 

 

ヘッケランも

 

「いいんだ、ソイツの言う通りだ。気ぃ(つか)わせて悪いなペテル」

 

 

「いえ……」

 

 

そのままペテルが話を終わりにすると思ったか、ルクルットは話を()る。

 

「なぁ、ペテルからも言ってやれよ。気にしたって仕方ねーってさ」

 

 

「それは」

 

 

フォーサイトの三人は、あの日、魔樹の猛攻をモロに受けてアルシェの援護に入れなかった事を()いていた。

 

リおんが聖地へ帰還した事も含め、アルシェに別離の(さび)しさを受けさせてしまったのは、自分達の不甲斐(ふがい)なさが原因のように感じている。

 

 

ルクルットの言いたい事も分かるが外野が軽々しく言える事でもない、と、ペテルが口ごもっているとヘッケランは

 

「いや、頭じゃ分かってはいるんだ。

 

そもそも計画通り、リオンの号令があったとして『あの猛攻』に合わせられたかは、何とも言えん……ましてや『突然』だ。

 

分かっちゃ、いるんだ……」

 

 

それでも心のどこかで、その言い訳を自分に許す事ができない。

 

なまじ実力に自信を持った後であるため、愛する仲間の事ともなれば、気持ちをスムーズに咀嚼(そしゃく)できなかった。

 

 

ロバーデイクが口を開く。

 

「幸い、全員生きています。リオンさんも再会を約束して下さいました。ただ……神々の事情で何かあったら、我々には何も言えませんから」

 

 

つまりシンプルに言えば『二人の今後が心配で、つい自分達の対応を後悔してしまう』といったところ。

 

 

見かねてニニャも声をかける。

 

「リオンさん本人が再会を希望されているのだから、きっと大丈夫ですよ」

 

 

ダインも続く。

 

「……信じるのである」

 

 

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《皇帝執務室》

 

 

「……ふむ、保険制度の進捗(しんちょく)は順調のようだな。能力検定については、奴隷商への根回しがもう一押し(・・・・・)といったところか」

 

ジルクニフはロウネからの報告書に(つぶや)く。

 

 

奴隷能力検定試験とは、国が『戦闘力』『計算・筆記能力』『魔法』という3分野(ごと)の大会を定期的に開き、その成績次第で軍や魔法省など公職に登用される機会を得られる『救済制度』である。

 

エルフのように国民権を持たない種族も、登用となれば国民の権利が認められる。

 

 

また、出場した奴隷が能力を認められると、出場させた奴隷商または所有者が『優良管理者』として国から認定される。

 

名誉や肩書きは奴隷を手放しても良いと考えさせる『(あめ)』であると同時に『劣悪な生活環境に置かれた奴隷は能力を発揮できない』と風評が立つであろう事から、奴隷の待遇改善も期待される。

 

 

一方で法国からのエルフ奴隷には重い関税が課されるようになった。

 

だが不思議と法国からのリアクションはなく、ジルクニフは余計不機嫌になった。

 

法国としては『いつか理解してくれるだろうから今は刺激するべきでなく、軽い嫌がらせくらいは(だま)って受けておこう』という配慮(はいりょ)であり、完全に善意が『ボタンの()(ちが)え』になっていた。

 

 

「……何にせよ奴隷制度も行く行くは廃止する以上、まずは現状を変え、軟着陸させねばならん」

 

 

ジルクニフが新制度の導入に躍起(やっき)であるのは、政治的理由ばかりではない。

 

むしろリおんへの返礼という意味合いが、ジルクニフ個人の中では大きかった。

 

 

今やリおんは神の座に戻り、何かを返そうにも『王からの褒美(ほうび)』という形では不遜(ふそん)になる。

 

勿論(もちろん)、二人の間柄では杞憂(きゆう)に過ぎないとは理解しているが、片や『神』であり、自分は『王』である以上、体面を気にせざるを得ない。

 

だから、せめて提案された制度の実現で返そう、と考えているらしい。

 

 

……(なお)、出会った当初リおんは色々と洞話(ほらばなし)誤魔化(ごまか)していたが、それらについてジルクニフは『リおんを利用するだけ利用した馬鹿な国があったのだろう』と勝手に解釈してくれていた。

 

まさか『神々自身の故郷が地獄だった』などとは想像もできまい。

 

 

ともあれ、帝国を盤石(ばんじゃく)に、より良い姿に……いつかリおんが帰って来た時に備えて、ジルクニフは邁進(まいしん)する。

 

 

ふと、息を()きながら窓の外に視線を向ける。

 

遠くを見()える瞳に、揺らぎはなかった。

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

《やや時を(さかのぼ)り、リオン私室》

 

 

「リおんさん、環境保全活動をしましょう」

 

(うつ)ろな目のダメ狼が転がる部屋に来るなり、モモンガは開口一番そう言った。

 

 

リおんは虚無の表情で『唐突(とうとつ)に何言ってんスか?』と見上げる。

 

転がったまま。

 

 

「いやリおんさん、周りが滅茶苦茶にならないように戦ったんでしょ? 戦いの跡地(あとち)、放ったらかしじゃないですか。まぁ、実際に暴れた私が言うのも何ですけど」

 

 

リおんは帰還ライブ後、部屋に(こも)もっていた。

 

その間、床でゴロゴロ転がったり、壁際に座って蘇生の短杖(ワンド・オブ・リザレクション)で床をコンコン叩き続けたり……

 

帰還ライブ後にモモンガの提案で『慰労会』的な食事会は開かれたものの、それ以後は事実上『面会謝絶』の状態だった。

 

 

モモンガの本音としては『このまま放っといたら本格的にダメ狼になってしまう……かと言って無理やり再会させるのも……』という事から、とりあえず何かやらせよう、と。

 

素人判断ながら『社会復帰プログラム』である。

 

 

「……んー……まぁ……それは……そう……ですねぇ

 

と、(ようや)く立ち上がり真面目に対応する気になったらしいリおん。

 

「であれば……うーん……確か、現地に住んでるドライアードのピニスンが『昔はダークエルフが住んでて』みたいな話をしてましたね。彼らに帰って来てもらうのが一番じゃないでしょうか」

 

 

「ほう、ダークエルフ……と、なると、アウラとマーレに友達を見つけさせてやれたりしますかね」

 

 

「あー、友達ですか。まだ子供ですもんね。……モモンガさんから見て、NPCのみんなってどんな感じなんです? 僕まだ、あんまり話したりしてないから良く知らないんですけど」

 

 

部屋でダメ狼になっていれば当然である。

 

食事会でも終始リおんは『アイドルとしての立ち回り』で、NPC達も遠慮から『一歩引いて大人しく』していた。

 

 

「基本、仕事熱心ですね。あと、種族とか設定によってはナザリック外の存在を見下してたりします」

 

 

「……んー……それは……」

 

中々難しい案件だな、と、リおんは思った。

 

下手に仕事から引き離すとメンタルが……しかし情操(じょうそう)教育としては友達は必要……かつ、あまりモモンガが深刻に考えてなさそうだ、と。

 

 

「……とりあえず、仕事の(てい)で話を進めますか。上から言われたんじゃ友達とは言えませんし」

 

という事にしてリおんは提案した。

 

 

「それもそうですね。仕事……あくまで環境保全に必要だから、という感じですね」

 

 

「ですです。まずは居場所を探さないと。この世界の調査とかしてるんですか?」

 

 

「えぇ、メインはデミウルゴスで、簡単な情報収集は恐怖公の眷属に」

 

 

ぞわわぁとなり、リおんは硬直した。

 

 

「……そう、な、ん、ですか

 

 

「そういえば苦手でしたっけ。大丈夫ですよ。目に付くとこ彷徨(うろつ)いてるわけじゃありませんから」

 

 

「………………そ、そしたら! まずはデミウルゴスに聞かなきゃですね!」

 

頭を切り替えるためか、無理やり明るく振る舞うリおん。

 

 

しかし、

 

「あ、待って下さい」

 

 

「どうしたんです? モモンガさん」

 

 

「……アルベドでもいいんじゃないかなぁ」

 

 

何故か唐突にアルベドを推薦(すいせん)され、リおんは思い当たる事で邪推(じゃすい)した。

 

「……もしかして、ついでに例の『書き換え』の事を謝れと? アレはギルメン皆さんの総意ですよ」

 

 

「……え!? どういう事です!?」

 

 

「元々そういうドッキリ仕掛ける計画があったらしいんです。本当は結婚式とかも考えてたみたいで。けど過疎(かそ)り始めて中々みんなで集まれないからズルズル先延ばしに……だから代わりにやっちゃおうと」

 

 

「……そう、だったんですか

 

自分のためにイベントを企画してくれていた嬉しさと、それが実行されなかった悲しさに、モモンガはしんみり(・・・・)した。

 

 

「……て、いや違うんですリおんさん。そういう理由じゃなくて」

 

 

「え、じゃあ何で」

 

 

「リおんさん、ウルベルトさんに嫌われてたじゃないですか」

 

 

がふっ……いや、嫌われてねーし」

 

 

「それでですね」

 

 

「聞いて!?」

 

 

「NPCって創造主の性格とか引き継ぐみたいなんですよ。だからデミウルゴスも本当は、どう思ってるのかなぁと」

 

 

「………………な、なんだってー!?

 

モモンガを見上げる姿勢のまま、リおんは『ガーン!』と硬直した。

 

 

「……た、確かめましょうモモンガさん!!」

 

 

「……それなら自分で()いてくれませんか?」

 

 

「なんで!?」

 

 

「いえ、私が訊くとパワハラみたいじゃないですか。一応『絶対的支配者』演じてるんで」

 

 

「……思ったんですけど、何で『絶対的支配者』演じてるんです?」

 

 

「……え? いやそれは勿論『皆が望んでるから』ですよ」

 

 

「そうなんです?」(キョトン)

 

 

「アイツら忠誠心ガチなんですよ! こっちの事『マジぱねぇ至高の御方リスペクト!』って感じで見てくるんで、休む間もありませんよ!」

 

 

「……え、もしかしてずっとそんな演技してるんですか!? 『オフ』は!?」

 

 

「『オフ』なんてありません。私室にまで世話役としてメイドが来るんです」

 

 

「……ん? もうそこは『オフ』でいいんじゃないですか?」

 

 

「……ハァ!? ちょ、そこ『オフ』にしたらいつが『オン』なんですか! 見られてるんですよ!? 下手な姿見せたら失望されてしまいます!」

 

 

「それじゃあモモンガさん疲れちゃうでしょう。例えば……そう、玉座の間とか円形劇場(アンフィテアトルム)でみんな集めてしゃべる時は『オン』とか」

 

 

「……ぇえ?」

 

 

「芸能人方式でいいじゃないですか。やる時はやる、けど付いてくるメイドはマネージャーさん、みたいな。みんなの圧がすごいって、モモンガさんが(ゆる)い姿を見せないからでは? お風呂とか食事の時まで全部『仕事』じゃ、頭おかしくなりますって」

 

 

「あ、食事はないです。アンデッドなんで」

 

 

一瞬『そういう事じゃない!!』とツッコミかけたリおんだが、その意味をしっかり頭で理解した時、また話がズレる。

 

 

「え!? もったいない! 『本物の料理』ですよ!?……そうだ、確かやまいこさん人化の指輪持ってたはず。もしかしたら部屋に」

 

 

「いやいいですって! 勝手に使ったら申し訳ない」

 

 

「いいじゃないですか。許してくれますって」

 

 

「ぇえ……」

 

 

「それじゃあデミウルゴスのとこには後で行くとして、まずはやまいこさんの部屋ですね」

 

さっさと出て行こうとしてドアに手をかけるリおん。

 

「あ、待って下さい。今出るとメイドが」

 

 

ドアが開くのとリおんが「え?」と言うのは同時だった。

 

 

「! リおん様ぁ! 大事ございませんか!?

 

もう3日もお食事をお()りになっていないではありませんか!!

 

()せになっておりませんか!? すぐお食事の準備を

 

 

え、え、え

 

 

涙ながらに迫るメイド。

 

狼狽(うろた)えるリおんを後ろから『……あちゃー』と(なが)めるモモンガ。

 

 

異形種や亜人種は丈夫だ。

 

維持する指輪(リング・オブ・サステナンス)なしでも人間に比べれば空腹には強い。

 

(ホムンクルスの空腹は種族ペナルティなので例外だが)

 

実際リおんも「そう言われてみれば、そろそろ」などと空腹具合を確認している。

 

 

メイド達を(なだ)めるようにリおんが、

 

「そ、それならモモンガさんと一緒に食事するよ。これから、やまいこさんの部屋で人化の指輪を探すところなんだ」

 

「「「お手伝いさせて頂きます!!!」」」

 

「アッハイ」

 

 

 

 

()くして、メイド達を連れた二人が人化の指輪を見付け、リおんが「モモンガさん今の装備で人化したら変質者ですよ」と言うので、着替えるため一度私室に行こうとやまいこの部屋から出た時、廊下の遠くから

 

 

あ!?!!

 

 

メイドとして音も(ほこり)も立てずに疾走するという器用な事をしながらルプスレギナが迫ってきた。

 

 

「ぅわわわ!?」

 

 

お部屋からお出になられたと聞き、もう心配で心配で!!

 

 

涙と鼻水でグシャグシャである。

 

なので落ち着かせようとリおんが、ルプスレギナを見上げつつ

 

「これからモモンガさんと食事するところなんだ。大丈夫だよ、ルプーお姉ちゃん(・・・・・)

 

 

その瞬間、()()りながら『ブシュウゥゥッ』と鼻から鼻血(ちゅうせいしん)を噴き出したルプスレギナ。

 

周囲の時間が停止した。

 

二人に血飛沫(ひまつ)が飛ばなかったのは、最後に残った理性の()せる技だったのだろう。

 

 

……『お姉ちゃん』呼びに他意は無い。

 

かつてペロロンチーノにロール(・・・)を半ば強要されていた頃のクセである。

 

 

尚『お姉ちゃん』呼びする度にペロロンチーノと、横で見ている茶釜 (同席していた場合、女子一同も) は奇声を発しながら変な踊りを踊っていた。

 

それをリおんとモモンガは不思議そうに見るばかりであった。

 

 

閑話休題。

 

 

固まったリおんに対し、ルプスレギナ

 

「……それは良うございました! すぐお食事の手配を(いた)しますね?

 

お日様のような笑顔で言った。

 

ただし鼻からダパダパと垂れ流しながら。

 

そのうち『出血』のスリップダメージ判定になりそうである。

 

 

「う、うん。モモンガさんの着替え終わったら食堂に行くから、よろしくね」

 

 

「はい!」

 

……と言いつつルプスレギナ、一秒も離れたくないからなのだろう『代わりに頼むッス』と無言の圧力。

 

流石(さすが)は駄犬。(まさ)に外道。

 

その場にいたメイドの一人シクススは犠牲になったのだ……顔の血痕(けっこん)()きながら少し残念そうに食堂へ向かった。

 

 

 

 

モモンガの私室に到着した一同。

 

メイド達によって金糸の刺繍(ししゅう)入りで豪奢(ごうしゃ)なシャツとスラックスを着せられ人化したモモンガだったが

 

 

「……人化の指輪って、見た目を変えたりできないんですか? なりたい自分を想像するとか。なんかヤツレてますよ? モモンガさん」

 

 

「え? そうですか?」

 

 

「スケルトン系からゾンビ系に種族変更したわけじゃないんですよね?」

 

 

「そんなに!?」

 

 

「人間だった頃の姿ですかね?」

 

 

リおんは言い過ぎかも知れないが、不健康そうな顔であり『至高』という言葉からは遠かった。

 

メイド達は心配そうである。

 

 

「見た目のリセットとか、できそうです?」

 

 

「いや、うーん……いまいちピンとこないですね」

 

 

「なら見た目は固定ですかね。登録されちゃった、とか? となると……生活習慣が原因だと、僕の歌とか信仰系魔法じゃ回復しなさそうですね……確かワールドアイテムに回復系なかったでしたっけ」

 

 

「ヒュギエイアの杯ですか?」

 

 

「そうそれ! じゃあ宝物殿に……」

 

 

「あ、いえ。それだったらデミウルゴスに持たせてます」

 

 

「……え? なんで?」

 

 

魔樹との戦いの後、何故か(・・・)パンドラズ・アクターが『この世界にもワールドアイテムが存在する危険性が……』と進言してきたため、慌ててモモンガは外で仕事をする守護者に所持させると決めていた。

 

現在、アウラに『山河社稷図』を、マーレには『強欲と無欲』を、デミウルゴスに『ヒュギエイアの杯』を持たせている。

 

 

「……と言う事なんですよ」

 

 

「なるほど。確かに危ないですよね。実際、僕も一つ持ってますし」

 

 

「え?………………ぇえええ!? 何で!? どこで!? どうやって!?」

 

 

「あ、そういえば言ってなかったですね。ラストライブの投銭です」

 

 

「……投……銭……マジかぁ……リおんさんハンパないっすね」

 

 

「いや最終日でしたし、そのくらい起きても不思議ないでしょう」

 

 

「……んー、そう、言われれば、そうかも知れ、ない、かなぁ……あ、どんなアイテムなんです!? 効果は!?」

 

 

「あはは、相変わらずアイテムマニアですね。期待させて申し訳ないですけど、効果はビミョーですよ?」

 

言いつつリおんはアイテムボックスから『ダヴはオリーブの葉を運ぶ』を取り出し説明する。

 

 

「何の変哲もない鳩ですね……かわいいけど……ワールドアイテムの効果を終わらせるって、そもそもワールドアイテム使われた時点で終わりのような……」

 

 

「ですよねー。まぁ、かわいいけど」

 

 

「「あはははは」」

 

 

(すさ)まじいアイテムを手に談笑する支配者達に、メイド達は畏敬(いけい)の念を新たにしているが、そんな事も気にせず二人で『なにコレ』と笑い合う。

 

 

……実際には、ワールドアイテムの効果により現状がある『この世界』で使えば、一発で世界を混乱のドン底へ叩き落とす超級アイテムなのだが、二人が気付く事はなかった。

 

リおんの手の上で『ぐっくるっくぅ』と鳩が鳴いた。

 

 

「さて」と気を取り直し、鳩をしまうリおん。

 

「それならデミウルゴスを呼びましょう。さっきの件と合わせて手間が(はぶ)けますし」

 

 

「ですね」とモモンガ、伝言(メッセージ)を発動した。

 

 

 

 

「お待たせ致しまして申し訳ございません。デミウルゴス、ただいま参りました」

 

 

「うむ、よく来たデミウルゴス」

 

 

入室したデミウルゴスはモモンガの姿を見て、ほんの(わず)かに『ピクリ』としたものの何も言わず、普段通りに振る舞った。

 

尚、リおんはモモンガの陰から『嫌われてたりするんだろうか……』と少しオドオドした様子で見ている。

 

 

「来てもらったのは他でもない。いくつか用があってな。まず、お前に預けてあったヒュギエイアの杯、あれを使いたい」

 

 

「はっ」

 

(うやうや)しく杯を捧げるデミウルゴス。

 

それを受け取ったモモンガは、アイテムボックスから取り出した無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)で杯に水を注ぎ、効果が発動し中の水が一瞬だけ光を放つのを確認すると、それを飲み干した。

 

すると、

 

「おぉ、心なしか体が軽い」

 

 

「顔色よくなりましたよモモンガさん」

 

 

美男子……とまでは言えないが、健康的な成人男性の顔になっていた。

 

『この世界は顔面偏差値が高めだ』というのは日本人の感覚で、西洋人的な顔から受ける印象でしかない。

 

実際には、東洋的な顔の者が少ないので『エキゾチックだ』と場合によってはモテるくらいには整った顔であろう。

 

メイド達も安心して……というか見()れていた。

 

ルプスレギナは終始リおんしか見ていないが。

 

 

「さて、この杯は改めてお前に預けるとして、次の用件だ。いくつか訊きたい事があってな」

 

 

「何なりとお(たず)ね下さいませ」

 

 

モモンガが杯を預け、デミウルゴスが応えると、オズオズとリおんが前に出て「デ、デミウルゴスあの」

 

 

「あ、待って下さいリおんさん! その前にちょっと」

 

気になって仕方ないと動いたリおんを、少し慌てて待ったをかけたモモンガはメイド達に「席を外せ」と外へ出す。

 

何となくモモンガの勘が働いた。

 

 

「はい、いいですよリおんさん」

 

 

リおんはデミウルゴスに歩み寄ると、

 

「デ、デミウルゴス……」

 

 

「? はい、何でございますか」

 

 

見上げて問う。

 

「……ぼ、僕の事きらい?」涙目である。

 

 

ヒュッと息を()んだデミウルゴス、一瞬で血の気が引いた。

 

モモンガは額に手を()り内心で『言い方!!』と内心で叫び天を(あお)いだ。

 

だが『そんな事になる気はしていた』のだ。

 

こんな場面にルプスレギナがいたらデミウルゴスに襲いかかっていたかも知れない(レベル差があるので問題ないかも知れないが)

 

 

モモンガの危険察知能力は、自分には働かないがギルメンの行動に関しては正確だ。

 

ただし『茶釜からペロロンチーノへの説教』『るし★ふぁーの悪戯』『たっち対ウルベルトの喧嘩』など、発生までのタイムラグが小さい場合の回避率は2割以下であった。

 

今回に関してはグッジョブである。

 

 

デミウルゴスは慌てて(ひざまず)き目線の高さをリおんに合わせ、

 

何故そのような事を!? 私に至らぬ点があったのでしょうか! このデミウルゴス、お望みとあらば喜んで目だろうと心臓だろうと(えぐ)り出し

 

「え、え、え」

 

想像していたリアクションと違ったのだろう、目を白黒させるばかりのリおん。

デミウルゴスの顔は、もはや土気色であった。

 

 

状況を見()ねたモモンガが止めに入る。

 

「落ち着けデミウルゴス。別にお前の忠誠心を疑っているわけではない。そういう意味ではないのだ」

 

 

「モモンガ様……では一体……」

 

 

「うむ。まず前置きとして、お前達には創造主の性格や考え方が受け継がれている。お前とセバスが反発し合うのも、それだろう」

 

 

「なんと」

 

デミウルゴスは少し複雑そうな表情をした。

 

創造主の一部が自身の中にある、と言われるのは嬉しいが、セバスとの(いが)み合いも同じ理由によると言われると『セバスとの不快な空気も大切な宝の一部である』と言われているかのようで、感情的に咀嚼しきれない。

 

 

(それを当然のように受け入れる懐の深さが、御方々の視野の広さにも繋がっているのかも知れませんね……)

 

デミウルゴスは畏敬の念を深めた。

 

 

モモンガは続けた。

 

「そういった理由で、リおんさんは不安に思ったのだよ。彼は少し行き違いがあって、ウルベルトさんに避けられている雰囲気であったのだ」

 

 

「そうなのですか!? リおん様、私にそのような感情はございません! リおん様にお目通り頂く事は、モモンガ様への拝謁(はいえつ)同様、至上の喜びでございます! まして避けるなど!!」

 

 

リおんは目を輝かせ「本当!?」と嬉しそうに訊いた。デミウルゴスも「勿論でございます!」と必死に(うなず)く。

 

 

タネ明かししてしまえば、ウルベルトは悪感情から避けていたわけではなかった。

 

最初こそ「ブルジョワめ」と反感を覚えたものの、リおんの人となりを知れば『いかにも鼻持ちならない富裕層』ではないという事くらい理解できた。

 

しかしながらご存知の通り、彼は厨二病罹患(りかん)経験者である。

 

自分のキャラを壊さないよう和解するには、どう接して良いか思い付かなかったのだ。

 

そうこうしているうちに『和解どころではない』事態となり……

 

 

そのため、今のデミウルゴスがリおんに感じるのは『繊細(せんさい)なガラス細工に触れる時のような緊張感』くらいのものであった。

 

 

「やれやれ、これで個人的な件は片付いたな……ではデミウルゴス。外の調査を担当するお前に訊きたい。ダークエルフの居住地について何か情報はないか」

 

 

「ダークエルフでございますか」

 

「魔樹がトブの大森林に現れる前はダークエルフが住んでいたらしい。戦いで荒れた森の管理者として帰還させたい。いつまでもアウラとマーレを森に張り付けていたくはないしな」

 

 

それを聞いたデミウルゴス、額に『ティロリロリロリーン』と稲妻が(はし)

 

なるほど……そういう事でございますか

 

 

「ん……む……そういう……事だ」

 

 

(はる)か先をも見通すご慧眼(けいがん)、いえ、阿吽(あうん)の呼吸というべきでしょうか……御方々へお仕えできる光栄に、身が打ち震える思いでございます

 

 

「そ、そうか」

 

 

リおんは頭に『?』と浮かべてモモンガとデミウルゴスを交互に見る。

 

適当な返事をするなモモンガ。

 

 

「して、ダークエルフの場所は分かるか」

 

 

「……申し訳ございません。大まかな位置であれば、法国とエルフの戦争に(から)把握(はあく)しているのですが、接触するためとなりますと更に調査が必要でございます。ダークエルフは優先度が低いものと判断したばかりに……如何様(いかよう)にも罰を」

 

 

「その必要はない。急に話を振ったのは私だ。不快になど思ってはいない。調査を進めてほしい。判明次第、アウラとマーレを連れて向かうつもりだ。二人には我々から直接伝える。……リおんさんも会いたいだろうし」

 

 

リおんの顔色を見ながら付け加えるように言うモモンガ。

 

『我々から直接伝える』の辺りでリおんは『久しぶりに会いたい!』と読み取れるほど目を輝かせていた。

 

 

 

 

デミウルゴスを見送り食堂へ向かうと中央辺りの席で、二人のために会食の準備が整っていた。

 

 

メイド達は内心『あれがモモンガ様の人間形態!!』とテンション爆上げであったがプロ意識で抑え込んでいた。

 

 

カトラリーが並んでいるので、恐らくフレンチのコース形式であろう。

 

モモンガがリおんの耳元に顔を寄せ、小声で(ささや)く。

 

「リおんさん、アレ、なんですか? 何か儀式? 食事マナーとか知らないんですけど」

 

 

カトラリーは外側から順番に使って下さい。食べてる最中に手を止める場合はフォークの先が皿を向くようにハの字に、食べ終わった時はフォークの先が上を向くようにナイフと揃えて置いて下さい。どちらの場合もナイフの刃は内側に向けて。ナプキンは水かドリンクを持ってきてくれるタイミングで二つ折りにして膝の上。多分、最初にドリンク訊かれると思うんで。口や手を拭く時は内側の端を使って下さい。食べ終わった時クシャクシャ気味で適当に畳んでテーブル端に置いて下さい。カトラリーやナプキンを落としたら自分で拾わないで下さい。スープ飲む時は音を立てないで、吸うんじゃなくて流し込むように。食器を持つのはマナー違反ですけど傾けてスープを掬うのはOKです。パン食べるタイミングは自由ですけどメインの皿と同時に下げられますので……

 

小声の超絶早口で説明するリおん。

真顔で。

 

モモンガの頭から煙が出そうである。

 

 

 

結局のところ、リおんが説明した内の半分は無意味に終わった。

 

何故なら、料理長やメイドらのサービスはタイミングも完璧であったし、モモンガも食事の途中で手を止める事などなかったのだから。

 

 

出されたワインは会社の付き合いで飲んだ合成アルコールとは別物であったし、サラダの新鮮さも、肉料理の旨味も、合成食料とは比べ物にならなかった。

 

食べ物を食べて喜ぶ、という幼少期以来の刺激で『自分は生命体なのだ』と自覚した一時であった。

 

 

「料理長」

 

 

「ははぁっ!」

 

 

食後のコーヒーで至福の満足感に浸った後、落ち着いたモモンガはシホウツ・トキツを呼んだ。

 

すぐさま席の横に跪く料理長。

 

 

「何の言葉もなく、ただ食べ進めてしまった。許せ」

 

 

「謝られる必要など」

 

 

「料理長」

 

 

「ははぁっ!」

 

 

「……旨かった。次はもう少し言葉で表現できるようになりたいものだ。これからも、宜しく頼む」

 

 

「………………は、ははぁぁぁぁぁっ!!!

 

モモンガの言葉に(しば)しプルプル震えた後『わが生涯に一片の悔いなし!!』と、滂沱(ぼうだ)の涙を流しながら頭を下げた。

 

 

……と、モモンガはそんな様子だったのだが

 

 

「はいリおん様、お口をお開け下さい。あーん」

 

 

「いいいいいって! 自分で食べれるよルプーお姉ちゃん!!」

 

 

「いえいえ、お疲れでしょうし遠慮などなさらず。さ、あーん」

 

 

「ぅぅ///………………ぁ、あーん」

 

 

その瞬間、ルプスレギナの顔は『わが生涯に一片の悔いなし!!』と輝いていた。

 

周囲のメイドが(うらや)む圧が凄い。

 

もう少しで空間が歪みそうである(そんなスキルはない)

 

 

……ここは食堂である。いい加減に鼻血と(よだれ)を拭きなさいルプスレギナ。拭け。

 

 

《第六階層 巨大樹》

 

 

「ずいぶん嬉しそうですね」

 

 

「この前はステージと客席で距離ありましたから、直接会うのは最後に『お茶会』参加した時以来なんですよ!」

 

 

ルプスレギナによる羞恥(しゅうち)地獄から解放されたリおんは、久しぶりに対面する双子に文字通り『ワクワクドキドキ』である。

 

 

安全なナザリック内のため、ついでに人化状態を周知しようとモモンガの姿は戻していない。

 

 

そして巨大樹の前に到着した二人の視界の端、枝から飛び降りる小さな人影。

 

 

「ようこそおいでくださいました! モモンガ様、リおん様!」

 

 

「急に来て、すまんなアウラ。マーレは中か?」

 

 

「あ、少々お待ちください!……マーレ! さっさと飛び降りて来なさい!!」

 

アウラが上に怒鳴ると、か細い声で

 

「む、無理だよお姉ちゃん……客席よりずっと高いよ……」

 

 

「お二人をお待たせし」

 

アウラが追加で(げき)を飛ばそうとした時、

 

かわいいぃぃぃっ!!!

 

 

「へ?」

 

リおんがアウラに飛び付いた。

 

 

「うはー! ハグしても警告来ない!!単なるポージングの何倍もかわいいよ!! 生き生きしてるって素晴らしい!!! 茶釜さんにも見せたかっ」

 

 

ぅひぇあああああ!?!!///

 

 

抱きしめた状態でグルングルン回るリおん。

 

アウラは顔を真っ赤にしながら目を回している。

 

 

「リ、リおんさん落ち着いて。もうそのくらいに……」

 

 

「え?……あ、ごめんアウラ! 大丈夫!?」

 

 

「……ふぁい……らいじょうふ、れふ……」

 

大丈夫そうには見えない。

 

頭から湯気でも出そうだ。

 

 

そんなアウラの横には、いつの間にかマーレがいた。

 

……ジーッとリおんを見つめている。

 

 

最初は高さに(おび)えて見せていたのだが、アウラが振り回されだした辺りでフッと目のハイライトが消え、何の躊躇(ちゅうちょ)も無く飛び降り、猛スピードで駆けて来ていた。

 

 

「あ! マーレも久しぶり!!」

 

先程の反省からか、軽めに『ぎゅー』ハグして『かいぐりかいぐり』と頭を()で回すに留めた。

 

 

「えへへ……おひさしぶり、です……」

 

(ほほ)を赤らめ撫で回しを受けるマーレ。

 

まだアウラは目を回している。

 

平和だ。(見かけ上は)

 

 

 

この後、双子に『デミウルゴスがダークエルフの居場所を突き止めたら、トブの大森林保全のため、ダークエルフ達を呼び戻しに行く。同行するように』と伝えた。

 

 

二人は「おまかせください!」「がんばります!」と、やる気を(みなぎ)らせた。

 

 

リおん達も「お出かけ楽しみですね!」と満足気に戻って行った……の、だが

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「やぁ二人とも」

 

 

「どうしたの? デミウルゴス。話って」

 

 

「ダークエルフの件について、御方々から伺っているかな」

 

 

「うん! そいつら連れ戻して森を管理させるんでしょ? 楽しみだねマーレ」

 

 

「う、うん。がんばろうね、お姉ちゃん」

 

 

「ふむ……お聞きしたのは、そこまでかい?」

 

 

「どういう事?」

 

 

「(……成長を(うなが)すため? しかし、二人が気付いていないなら、そのまま御方々にご迷惑をおかけするわけにも……もしそうだったなら、後で私がお(しか)りを受けるとしよう)……いいかい、二人とも。確かにダークエルフを連れ戻すけれども、それだけで終わりだと思うかね?」

 

 

「えっ、違うの!?」

 

 

「よく考えてごらん? まとめて多くのダークエルフを住まわせるという事は、そこには村が、街が、最終的には国ができると思わないかい? 御方々は、君達を王とする国を立ち上げさせようとお考えなのだよ」

 

 

「ええ!?」「お、王様、ですか?」

 

 

「デミウルゴス、王様になるなら御方々じゃないの?」

 

 

「言いたい事は分かるよ? でも王とは下々を統治する管理者だ。一方、御方々は『この世界』における神々。御方々の手を(わずら)わせるのは正しい事かな?」

 

 

「「なるほどー」」

 

 

「さすがデミウルゴス。御方々の考えが分かるんだね!」

 

 

「……いや、まだまだだよ。足元にも及ばない。例の『魔樹との戦い』で、リおん様はアルシェという娘を庇って窮地(きゅうち)(おちい)っただろう?」

 

「……ぅ………………そう、だね」

 

 

「実は、モモンガ様は最初から分かっておられたのだよ。その証拠に、あの時モモンガ様は『待たせたな、遂に出番だ』と仰られた。そして今回の『ダークエルフ』の件だ。恐らく、リおん様の窮地も『演じただけ』だったのだろう」

 

 

「ど、どういう事ですか?」「わかりやすく説明してよ!」

 

 

「リおん様が窮地に陥れば、モモンガ様が動かない訳はないだろう?

 

そして魔樹との戦いは、我々がサプライズ企画のつもりで全世界規模で放映されていた。つまり全世界にナザリックの、御方々の絶大な力が示されたんだ。

 

こんな偶然などあり得ない。サプライズだと思っていたのは、全てモモンガ様の掌の上だったのさ。

 

さて、そんな時に御方々や、その前座を務めた君達が『魔樹は倒した、トブの大森林に戻れ』と言ったら従って当然だ!

 

そうなればトブの大森林に御方々を(あが)める国ができる。竜王国、都市国家連合、帝国、ダークエルフの国……巨大なナザリック教圏が誕生する事になるんだ。

 

御方々は最初から互いの存在に気付き、示し合わせ、我々を気付かせぬままに導き、壮大な計画に沿()って行動なさっていたんだよ」

 

 

なんだってー!?」「す、すごいです!

 

 

「しかもダークエルフの件は計画全体の一部に過ぎないのだと思うよ。魔樹の件という布石を打つ事で、そこからいくつもの各計画に発展するのだと考えられる。とても全体像までは見通せないけどね」

 

 

御方々って」「す、すごい

 

 

「……だと言うのに、我が身の無能さが恥ずかしいよ。ダークエルフについての調査を、優先度は低いと思って後回しにしてしまっていたんだ。もし気付けていれば……君達には是非(ぜひ)、私がお待たせした分を取り戻してもらいたい」

 

 

「……ねぇデミウルゴス。がんばったら、リおん様も、ほ、ほめてくれるかなぁ」

 

 

「……うん?」

 

 

「なんかさぁ……あのアルシェってのとリおん様の様子見てから、よくわかんないけど、負けてられない! って思って……」

 

 

「(……ふーむ、なるほど、なるほど)……そうだね。あの娘をどう扱われるかはリおん様のお考え次第だけれど、大切にはされているようだね」

 

 

「ぅぐっ」「……」(マーレの霊圧で空間が←そんなスキルは)

 

 

「でも、だからこそ君が、君達が評価して頂ければ、あるいは、もしかしたら……」

 

 

「も、もしかしたら!?」「……!」

 

 

「……これ以上を語るのは越権(えっけん)行為だ。何にせよ、頑張るんだよ? 二人とも」

 

 

うん!」「は、はいっ





《まとめ》
ルプーが犯罪者予備群

デミさんまた余計な事言って

マーレきゅんコワイ
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