【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
リリネットさんの運命や如何に!?
「……ハァ」
魔法省一階にあるロビーのラウンジで一人、アルシェは溜め息をついていた。
今や
なお、今はリおんからもらった装備ではなく魔法省の制服とも言うべきローブ姿だ。
それでも服装だけで判別できなくなる者はここに居らず、次代の頂点と評価されるが
それを心配してか、声をかける人物が一人……
「溜め息だなんて、『まだ』何か悩み事を抱えてるのかしら?」
顔を上げた先にいたのは、
「ぇ……フリアーネ!」
思わぬ再会に、アルシェの表情に明るさが戻る。
「久しぶりね。……いつの間にか『英雄』になってしまって、すっかり置いてかれた気分だわ?」
「久しぶり……英雄だなんて、そんな。私は……それより、どうしてここに?」
「学長からのご厚意で『将来の職場を見学』させて
……読者諸君であればピンときた者もいるのではないだろうか。
この世界線でも学長は『例の教団』に属していたため、リおんが首を
そして今のジルクニフは『聖約帝』……かつての邪教徒も神聖視している『死の神』を
故に『まだ自身の醜聞を知らぬ者を味方に付けておく』というのも含む二重三重の意味での『厚意』だった。
もちろん下手な動きを見せれば
おまけに
その辺も
味方に付けたと思っている相手に情報省の息が
閑話休題。
フリアーネにとってアルシェは
心配にもなろうというもの。
それに『溜め息』の理由も
「それで? 浮かない顔でしたけど、どうしたのかしら」
「それは……」
「……やはり『あの御方』に会えないから?」
その一言を聞いた瞬間、アルシェの表情から感情が消え……
目の前にある
「…………………………ぇ……ア、アルシェ!? どうしましたの!?」
フリアーネの言葉に、アルシェは『ギギギギ……』と音が聞こえそうな
「………………あなたにまで、その話を振られたくなかった」
「……ど、どういう事かしら」
弱々しくも
「……あなたがその話を知った理由を考えてもらえば分かると思う」
「理由?……神々が空に映し出した、あの」
「そう……『あの戦い』は世界中の人々が目にした。私達の行動は
…………………………毎日毎日魔法省の女性職員達から恋バナを振られる」
「……ぁ」
そう、例えるならアルシェは『全国ヒットしたノンフィクション恋愛映画のヒロイン本人』のような
そんな存在が同僚として目の前にいたら……ましてやプライバシーだのポリコレだのの感覚が薄い『この世界』ならば、世の女性らの行動は『お察しの通り』である。
初めの頃こそ『嬉し恥ずかし』といった思いもありつつ相手して話していたが、それも『毎日』『誰も彼も』ともなれば……今では何の感情も湧かない『作業』であった。
このままでは性格まで
などと同じ結論に
「ご、ごめんなさいアルシェ。この話題はやめておきましょう……そ、そうだわ! 知っているかしら、最近中央通りに……」
と、新しくオープンしたカフェなどの話題に転換。
本来なら魔法についてなどを学生時代のアルシェであれば好んだところだが、この様子では『ロクに議論もできやしない……』と
久しぶりの『恋バナ以外』の会話でアルシェの
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
(……ヤバい……殺される!?)
港に
だが、いくら気付いていようとも勝ち
脳内で何度『挑戦』しようと、
リリネットの
……読者諸君……一応、彼女は真剣に『己の死線』と向き合っているのだから、場違いにも興奮なぞするようであれば謝罪の上で切腹し
彼女が硬直してる間も、ルプーは
リーオを
その変装用修道服の中の背には『
状況を理解していないリーオは先程から頭の上に『?』を浮かべていて、
異様な場の
そう思っていると、自身と相手を
「急にすみません! 着陸します!」
上からの声に見上げれば、日を遮るようにホバリングする
ゆっくりと、二人が対峙していた間のスペースに降りて来る。
着地したドラゴンから、ローブル聖王国聖騎士団の装備を身に
「遅くなりました! 私、ポンタウ共和国ポト・ダ・フォツナからお越しのリーオ・ベータ様、ルプー・ベータ様の護衛を命じられ参上
リリネットは『助かったぁ……』と
なので、
「あ、あ、聖騎士の方が来られたなら案内は不要ですわね! 私は失礼させて頂きますわ!」
その様子にネイア(他二人も)は
「……ぁ、えっと……今の方は? 何かお邪魔をしたとかではなく?」
リーオがルプーの横から出て来て、より一層ショタな感じに口調や声色を変えて言った。
「不
……リおんよ、ルプスレギナにも言ってやれば良かったのだ。
まぁ、背後に回された彼からは彼女のブチギレ顔が見えなかったので仕方ないと言えば仕方ないが。
「初対面の方って事ですね? 大丈夫なら良かったです」
ちなみに、魔樹戦で会っているのもあるが、リーオはネイアの眼光には動じない。
完璧アイドルは女性に対して失礼なリアクションなどしないのだ。
とはいえ、実際に以前会っている以上、いつボロが出るとも知れない。
なので、
「そこにいやがったか
「「あ(あら)、モモンさん」やべ」
ルプーは
レベル100の脚力で
「ぁぅぅ……」「ぉ゙、ぉ゙、ぉ゙……」
「勝手にいなくなるなって言ったでしょう!? あとルプーお嬢! 話は最後まで聞くように!!」
「「ごめんなさぁい……」」
「あの……えっと……ぇえ?」
再びネイアは
そんな様子を見てモモンは自己紹介した。
「あぁ失礼しました。私はベータ商会から護衛に
「ぁ、あぁ! そうでしたか! 私は聖騎士のネイア・バラハ、こっちは相棒のヘジンマールといいます! こちらこそよろしくお願いします!……どうかしたの? ヘジンマール」
「あぁ、いや……何でもない」
動きからして強者っぽいモモンからは何も読み取れず、むしろルプーやナーベの方が強そうな感じがしたせいか、ヘジンマールは首を
営業モードで冷静さを取り戻したモモンは質問する。
「ところで、一つお
「冒険者組合ですか?」
「はい。あちらには組合がなく、今回の護衛が終わったらそのままこちらで冒険者をやろうかと思っていますので、先に登録と、今回の件を『指名依頼』として改めて契約する事になっております」
これはモモンとナーベ、リーオとルプーという『カバー』を現地に定着させ、何かと使い勝手の良い多種族国家ポンタウの知名度を上げるための策である。
それに組合を通した指名依頼という形にすれば、モモンらのポイント稼ぎもスムーズだ。
……もちろん、モモンガとリおん本人達にとっては『息抜きの遊びに出たい』というだけの話だが。
「なるほど! ではご案内いたします!」
「ありがとうございます。それと商会からの意向で『本人達の社会勉強という意味もあり、わざわざ一国の騎士様の手を
ルプーが
「ご連絡が間に合いませんでした事、お
「そうですか……わかりました。私からお伝えしておきます」
聖王国にインパクトを与える目的から、事前のやり取りから入港まではギリギリを設定していた。
『なので聖王国への
これでリーオの正体がバレるリスクは減った。
こうして、アンダーカバーとしての入国を果たした四人は、聖王国を足がかりに『冒険』を開始したのであった。
なお、後にシズを担当者として『目に見えない様々な対策が
『リーオ少年と冒険者モモン』パートは一区切りかな。