【完結】おおかみ☆せんせーしょん(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
・勘違いされる言動には気をつけよう
・ウソでごまかすのはやめよう
・うまい話には気をつけよう
という話です。
「それ、マジなんだな?」
「うん……殺しに来たとしか思えない様子だった」
歌う林檎亭で、アルシェが見た男についてフォーサイトは話し合っていた。
イミーナが聞き耳を立てたところ、何か
「それにしても、そんな
「ヘッケランは知ってるの? 『ブレイン・アングラウス』という人」
アルシェが
そう、男の正体とはブレイン・アングラウスであった。
部屋から聞こえた金属音は刀の手入れをしていただけ。
部屋から出て来ないのも食事をしない(パンとスープのみ部屋で受け取ったようだ)のも、予定になかった宿代を
つまり、単なる
しかしながら、ただでさえストイックさが
しかも、姿を見せたのはアルシェが見た一度きり。
そんな事とも知らず、フォーサイトの会議は続く。
「ガゼフ・ストロノーフが王国戦士長になる前、御前試合で決勝を争ったヤツだ。グリンガムも出場してて準々決勝でソイツに当たって、手も足も出なかったらしい」
それを聞いてロバーデイクが首を
「そんな人物からリオンさんが
だがイミーナは言う。
「そんなの
「逆恨み、ですか?」
「剣の腕前と人格は関係ないでしょ」
鼻を鳴らしながら言うイミーナは、恐らくどこかの『エルフ奴隷を連れた自称天才剣士』を思い浮かべていたのだろう。
他のメンバーも「あぁ」と、同じ人物が頭に浮かんだようだ。
「……で、どうする?」と、ヘッケラン。
「伝えようにも居場所がわからない」と、アルシェ。
ロバーデイクは「かといって、ただ見ているだけというのは……」
「外で見張って、呼び止めるくらいしかないんじゃない? 今日
イミーナの意見で方針が決まった。
一方のリおんはイミーナの勘の通りに、歌う林檎亭に向かっていた。
今日も護衛はニンブルだ。
ちなみにニンブルが護衛役で固定されているのは『
バジウッドやレイナースは変装しても目立つ。
ナザミは
必然的にニンブルしか適役がいないのだ。
リおんは『まずは何曲か歌って、それから前回の続きを語って……』などと、すっかり『酒場の
そして歌う林檎亭の看板が見えてきたところで、またもやニンブルを
視界を何かで
そのまま
離れた位置から「待て!」とニンブルの声。
(
「どういう事か説明してもらいましょうか」
歌う林檎亭から少し離れた路地裏で、ニンブルがフォーサイトを
リおんは『ずだ袋』から顔を出して座り込んだまま、状況がわかっていない様子で『キョトン』としている。
ちなみに『ずだ袋』はワーカー御用達の
ダメージもなく、悪意もなく、何の特殊効果もない単なる袋だった事から、攻撃判定にならずスキルが発動しなかったらしい。
「いやぁ、実は」とヘッケランが説明を始める。
最初は話を聞いて驚いたニンブルだったが、ブレインの名前が出た辺りから顔を
「……で、最初は声かけて呼び止めるつもりだったんだが、時間がかかって声を聞き付けられたらマズイんじゃないかって事になって、ちょっと荒っぽいけど手っ取り早い方法を……」
ヘッケランの説明(言い訳?)にニンブルが割り込む。
「ハァ……わかりました。ご心配くださったのは嬉しいのですが「ニンさん」……なんでしょうリオンさん」
「ブレイン・アングラウスって何者でしょう」
声に振り向こうとしたニンブルは、そのまま盛大にズッコケた。
「……ほ、本気で言ってるんですか、リオンさん」
ヨロヨロと起き上がるニンブルが問う。
リおんは聞かれた事の意味がわかっていないらしく、首を傾げる。
「恨みなんて買った覚えは
「いや、そうではなく! 覚えてないんですか!? ブレイン・アングラウスですよ!? 会ったでしょう!!」
……そうでしたっけ」
ニンブルは頭を抱えた。
「なんで忘れてるんですか! 北市場で! 話をしたでしょう!」
「ムムム! 言われてみればそんな事もあったような気がしてきました!」
……かつて北市場で見かけた『ドラまたスリッパ』なる意味不明なアイテムは、こういう時に使うものだったかと
「その時リオンさんが『武の神』の言葉だと言って彼に話してたじゃないですか! 月を指す指がどうのと」
それにロバーデイクが反応した。
「おぉ、ブレイン・アングラウスに武の神の御言葉を
この時になって
彼が話したのは『とある昔のカンフースター』の話で、その時点ではナザリック教の存在を知らなかった。
だが、ナザリック教にいるのだ。『武の神』が。
武人建御雷である。
(それ武さんの言葉じゃないよ!!)
神の言葉を
リおんはジルクニフと最初に出会った時と同じくらい脳ミソをフル稼働させた。
「……こ、故郷にはアケミ様だけじゃなく、それぞれの神様について書かれた外典もあったんです。こっちには無いんですか。そっかー、無いと知ってれば持って来てたのになー」
つまり『言った事にした』
「なんと、そんな書が。それは
「まぁ、そんなとこですねー」
「という事は、他の神にも? 薬学であれば知の神でしょうか」
(……みんなゴメン、これから色々でっち上げるけど許して)
お空の向こうに半透明エフェクトで浮かび上がる仲間達に、心の中で謝罪するリおんであった。
……読者諸君、
その後、ブレインと再会して話をし終えたリおんは、彼を連れて皇城に向かった。
ブレインに何を話したか?
実は何も考えていなかったリおんは、日本刀を使う凄腕剣士の話を聞かせた。創作物から。
そう、また『でっち上げ』である。
ナザリック教というものがある以上、ユグドラシルプレイヤーの話はどこに地雷があるかわからないので使えない。
一方で、この世界はリアルの人間には実現不可能な武技というトンデモ技が存在する。
故に、創作物の話を過去の話・故人の話として話す事にした。
まぁ、ある意味ホラを吹くのが
そして『旦那様の所なら強くなるためのバックアップを全面的に受けられる。とりあえず紹介だけでもしたいので』と連れて来た。
そんな風に、
(……俺は、なんて『ちっぽけ』な世界を見てたんだ。世界は、思ってたよりずっと広ぇ)
いや、別にそんな事はない。
(全く違う
いや、いない。でたらめの創作話である。
しかし、そんなでたらめ技も武技として実現可能かも知れないのが、この世界である。
(……なぁ、ガゼフ。俺達は棒切れを振る子供みたいなもんだったんだ。上には俺らが逆立ちしたって敵わない奴らが……あぁ、俺もそんな領域に踏み込む事ができるだろうか。いや……やってみてぇ、やってみせるぞ、俺は。お前はどうだ、ガゼフ。俺を止められるか?)
口車に乗せられている事はさておき、ブレインの意思は固まりつつあった。
「……なぁ、ところでリオンよぅ、方角はこっちで合ってんのか?」
「はい、もう少しですよ」
「いや、もう少しって……どう見ても前方にあるのは城なんだが」
ブレインは「いや、まさかな……」と疑念を抱きつつ付いて行くが……
「さ、着きましたよ」
「いややっぱ城じゃねーか!!……おい、お前らの『旦那様』ってのは」
「もちろん、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス皇帝陛下です。ね? 『ニンブル』さん」
ブレインは「はぁ!?」と目を
「すみませんね。『目立つな』との御命令でして」
「……『激風』ニンブルとはな。あん時マジで斬り合いしてたら、めでたく指名手配犯になってたわけだ」
「フッ、あの時はヒヤヒヤしましたよ。リオン君まで
「……つーかよ、
行き先を知ってゴネ始めたブレインを、リおんが説得する。
「ご安心下さい。『雷光』バジウッドはご存知で?」
「……ぁー、まぁな?」
「路地裏でケンカばかりしてた人です。言っては何ですけど
「それは、そうだが……」
「
実際に騙しているのだが。
敷地内に入るとリおんは「
城内の廊下は走るなよ?
《皇帝執務室》
「どうしたリオン。今日は歌いに出たのではなかったか?」
「陛下、ブレイン・アングラウスが来ました」
仕事の合間の
「本当か!? でかしたリオン。これは是が非でも
「つきましては彼の希望に関して聞いて頂きたい事が」
「何か聞き出せたか」
「一つ目に、そもそも彼は宮仕えが嫌だとか。騎士よりは剣術
「ふむ、指南役、か。なるほど物は
「二つ目に、今以上に剣の腕を
「今なお向上心があるのは素晴らしいな」
「あと陛下、こちらを」
そう言ってリおんは、ポーチから一振りの日本刀を取り出した。
そう、先回りしたのはこれが目的だった。
黒に近い深い
派手さはないものの一目で高級そうだとわかる
「
渡されたジルクニフは驚きつつ、ゆっくりと鞘から
どこか神聖な光を放っているように見える。
バジウッドら、この場にいないニンブル以外の四騎士達も息を呑んだ。
「……良いのかリオン。このような
「陛下の、帝国の利益となるなら何も
本心である。
ただし『そもそも投げ銭だから元手はタダだし、剣なんて使えないから自分が持っていても意味がないから』という部分も含めての話だが。
実際、
(そんな風に言えるのはアインズ・ウール・ゴウンのギルメンで投げ銭ドバドバなアイドルのリおんだからではあるが)
『売っても高々白金貨300枚くらいだろう、が、帝国の将来に資するとなれば貨幣換算できないほどの価値になる。投資としては安すぎる。ボロ
と、リおんは考えていた。
金銭感覚が狂っている?
心配ない。いつも国家財政の
それはさておき、帝国の将来にかけるリおんの期待を感じ『
その後、ニンブルに連れられて来たブレインとの
ジルクニフから
「試してみるか? お前の腕も見てみたい。外に
ジルクニフの提案に、一同は移動。
他の騎士達も見守る中、ブレインの
構えたブレインは、
そして、気付けば振り抜いていた。
熱したナイフでバターを切るより
まるで初めからそうであったかの
朝東風丸の切れ味も
『一歩間違えば自分は
鞘に収めたブレインはジルクニフに両膝を突き、頭を下げつつ朝東風丸を
「先程の件、
この期を
……その頃、『死を撒く剣団』は契約する事になっていた凄腕用心棒が「その前にマジックアイテム見てくるわ」と出かけたきり帰って来ない事で気を
契約を
野盗団…( ;∀;)