ウタの歌が耳から離れない最近です。
これからのワンピースがますます楽しみです!!!
「
武装色の覇気で強化された三首の毒竜が鎌首をもたげる。
絶えず流動する致死の毒が漆黒に染まり、硬度と威力を極大に増したそれは、かつてルフィを瀕死に追いやったそれとは大きさも、強度も次元が違うものだった。
マゼランは全身の痛みに息を切らしながらバレットを睨みつける。
「あいつ……、あの時本気じゃなかったのか……ッ」
「……死んでも、ここは通らせん!」
「フン。心意気はいいが、そんな覇気でおれを止められるか!!?」
毒の三首が大顎を開きバレットへと迫る。
触れれば一瞬で体の自由を奪い、死に至る毒竜を前に、己の拳を黒く染め上げ、覇王色の覇気を纏うバレット。
覇王色を身に纏う事が出来る一握りの強者。
その溢れ出す覇王色の覇気で看守達は次々と意識を失う。
「生ぬるいなァ!」
覇気を纏った触れない一撃は迫る三首を全て消滅させ、その衝撃がマゼランへ襲い掛かる。
「グゥッ……!!!」
覇気を身に纏い耐えるマゼランへ、バレットは拳を叩き込む。
先程の巻き戻しかのように同じように吹き飛ぶマゼランに、ハンニャバルやサディちゃんは声を失う。
自分達が絶対的な信頼を寄せるインペルダウンの最強戦力が成す術なくやられている。
そんな事実に心が折れそうになる。
性格に難あれどマゼランに匹敵する実力をもつシリュウも、LEVEL6の脱獄囚、パトリック・レッドフィールドに一方的にやられている。
「マゼラン署長とシリュウ看守長がここまで一方的に……!!?」
「ん〜〜♡ なんて悪夢……!」
「ムルンフフフ! 流石は"鬼の跡目"ねェ。凄まじい覇気……!」
「相変わらず強ェな」
「……すげェ。バレットのおっさんもレッドのおっさんもめちゃくちゃ強え」
かつて己を瀕死にまで追いやったマゼランを、一方的に余裕すらもちながら打ちのめすバレットに感嘆の声を漏らすルフィ。
見聞色の覇気を覚醒させた今、彼らの強さ、凄さが以前よりも強く感じた。
黒く染まった"毒竜"など、今の自分では手も足も出ないと言う事が分かってしまう。
「おれにもあの黒いヤツ出来るかな……?」
「ヴァナタはこの極限の状況と規格外の化け物達に当てられて、見聞色の覇気を覚醒したばかり。本来、覇気の習得には多大な時間が必要っチャブル。黒いヤツ──"武装色の覇気"を習得するには時間が足りなすぎるわ。今はその気配を感じる感覚を忘れないことね」
「イワちゃん……。おれがもっと強くなれば、皆を守ることができる。あいつらみてぇに強くなりてェ!!!」
「フフ。それならエースボーイを助け出してから修行することね! 案外、バレットも手伝ってくれるかもしれないわよ?」
「……あぁ! 絶対助け出して、もっと強くなるよ!!!」
決意を固めたルフィは目前の戦いに目をやる。
「バレット! 処刑までそう時間もあるまい。さっさと片付けて先に行くぞ」
「おれに指図するんじゃねェ。だが、そうだな。そろそろ片付けよう」
「……おいおい、そう簡単に行かせると思うけガッ!!?」
全身血塗れで刀を握るシリュウを一瞬で切り刻むレッドフィールド。
強い覚悟と怒りで睨み付けていたシリュウだが、手足を、胴を、顔を、全てに斬撃を受け、己の血の池に沈んだ。
「シリュウ!」
「他所に構ってる隙はねェよ」
そう言うなり、バレットの全身が黒く染め上がる。
今まで以上の強靭な覇気が全身を包み込み、凄まじい覇王色の覇気が黒い稲妻となり渦巻く。
その姿はまるで"覇王"のようで、レッドフィールドはニヤリと笑う。
「……恐ろしいな。あの時、"麦わらのルフィ"の息の根を止めなかったことを後悔している」
「カハハハ! 今まで世話になったな!」
その瞬間、凄まじい轟音と共にバレットの姿が消え、マゼランを殴り飛ばす。
血反吐を吐きながら吹き飛んでいくマゼランは、何層も壁を破壊していく。
既に意識はなく、インペルダウン最強の男は、伝説の海賊、"鬼の跡目"ダグラス・バレットに敗れた。
「先へ進むぞ小僧共」
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「ギャハハハ!!! このままド派手に脱獄じゃァ!!!」
「……やけに警備が手薄だガネ」
インペルダウン、LEVEL1、"紅蓮地獄"まで登ってきた赤鼻の男、バギーは脱獄への希望に笑い声を上げ、共に行動する眼鏡の男、Mr.3、ギャルディーノは警備の手薄さと、追手の少なさに疑問を抱く。
囚人達を解放し、インペルダウンを混乱に陥れ脱獄を計る自分達を放置するだろうか、とMr.3は考える。
「おい、バギー。なにかおかしいガネ」
「あァン? 今さらビビってんじゃねェよ、3!!! ここまで来たんだ、あとは脱獄するだけだぜェ!!?」
「そうだぜ3兄さん!! あとは出るだけじゃねェか!!」
「いや、あまりにも追手が少なすぎるガネ。私達が生きていることなんてマゼランも知っているはず……! マゼランが来ないってことは、何かヤバイ事が起こっているということだガネ」
「それならそれで、好都合じゃねェか! その混乱に乗じておれ様達は、こことはおさらばだ!!!」
「うぅん……。確かに、ここまで来たら行くしかないガネ」
そう言って納得のいかないままにバギーや解放された囚人達と走り出すMr.3。
その瞬間、背後からバギーへと看守が吹き飛んできた。
「ぶへぁッ!」
『キャプテン・バギー!!!?』
「なんだガネ!!?」
凄まじい勢いで吹き飛んできた看守が背中に衝突したバギーは、地面に顔を勢いよくぶつけ、汚い声を上げる。
「誰だゴルァ〜〜!!! ぶっ殺して──」
「あ、お前ら無事だったのか!! よかった!!」
「え〜〜〜〜!! 麦わらァ〜〜〜〜!!?」
死んだと思っていたルフィが現れたことに目を飛び出して驚くバギーとMr.3。
「てめぇ、生きてやがったのか!!」
「あぁ! なんとか生きてた! お前らも無事でよかった!」
『ゲフッ!!』
ルフィのあまりにも純粋な言葉に心を痛めるバギーとMr.3。
胸を押さえるバギーはルフィから視線を逸らし、横に目をやると、先程以上の衝撃を覚える。
「げッッ!!? ば、バレット……さん……!!!?」
「ア? おぉ、久しぶりだな。なんだ、お前もここにいたのか、バギー」
厳つい顔でそう声をかけるバレットにバギーは冷や汗を流す。
「おい、バギー! こいつ、あの"鬼の跡目"じゃないガネ!!?」
「バレットのおっさん、バギーのこと知ってんのか?」
バレットに生意気な口を聞くルフィに目を見開いてダラダラと汗を垂れ流すバギー。
Mr.3はルフィ達と共に来たかつてのボス、クロコダイルを見て驚愕している。
「あァ。コイツとおれは昔同じ船──"海賊王"ゴールド・ロジャーの船に乗っていた」
『えェ〜〜〜〜!!!?』
一同騒然。
Mr.3一行、ルフィ一行、全員が声を揃えて驚愕した。
かつて世界の海を制覇した海賊の王の船。
その元
そんな衝撃の事実にクロコダイルは驚き、しかし、あまりのバギーの弱さにため息を吐く。
「おまえ、あれから何も鍛えていなかったみたいだな。シャンクスの奴は四皇にまでなったみてぇじゃねェか。てっきり、おまえとシャンクスは同じ船に乗るもんだと思ってたがな」
「い、イヤだなぁバレットさん。おれがシャンクスと同じ船に乗るわけねェじゃねェすか!」
「ハッ! あれだけバカみてェに仲良く喧嘩しまくってた奴がよく言うな」
そんなバギーとバレットのやり取りを聞いた一行は更に驚愕し、バギーに助けられた囚人達は感動と尊敬に涙すら流す。
「まぁ、いい。話は後だ。急がねぇと時間がねェ」
「そういえば、マゼランが現れないが、もしや倒したのか?」
「バレットのおっさんが倒してくれたぞ! あとシリュウって強ェおっさんもレッドのおっさんが倒してくれた」
「レッドのおっさん──って、"孤高の赤"!!? 他にもヤバイ奴ばっかだガネ〜〜!」
かつて恐ろしい事件を起こした規格外の怪物達。
そんな囚人達が共に行動していることに戦慄し、イヤな予感はこれだったガネ、と歯をカチカチと震わせるMr.3。
しかし、マゼランと看守長シリュウが倒された今、もはや自分達を止められる者はいない。
あとは外の海軍の艦隊のみ。
Mr.3は眼前の恐ろしい面子から視線を外し、脱獄後の生活に夢を馳せるのだった。
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「ゼハハハハ! おいおい、警備がやけに手薄だな。まァ、いい! 野郎共、このままリフトでLEVEL6まで一気に行くぞ!!!」
ルフィ一行がLEVEL4にてマゼラン、シリュウと相対している頃、何も知らない粗暴な男、王下七武海の一人、"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチは自身の野望のため、インペルダウンに侵入し、手薄な警備を薙ぎ倒しリフトで一気に降りる。
「これを成功させればおれの計画は一気に進む……! ゼハハハハ!!!」
仲間達も一緒に笑う中、これより数分後、彼らはかつてない困惑と怒りを覚えることになる。
"黒ひげ"危機一髪ッ!
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
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カイドウさん乱入上等!
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カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
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カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!