覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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ベガパンク!ベガパンク!
ボニー!ボニー!
ボニーのボニー!
尾田っち最高!!!


第13話"頂上戦争"

 3大勢力の一角、海軍本部。

 その海軍本部が存在するマリンフォードでは、前例を見ない程の厳戒態勢が敷かれていた。

 

 白ひげ海賊団の2番隊隊長、"火拳のエース"の処刑に伴い、予想される"白ひげ"、及び予想外の戦力である"麦わらのルフィ"率いるインペルダウン脱獄囚との戦争に、海軍に取れる最高、最大の戦力がこの場に集まっていた。

 

 世界中から招集された名のある海兵、十万。

 政府から公認された強靭な海賊、七武海の五人。

 そして、かつての比類なき強さを取り戻した伝説の海兵達。

 

 四皇の海賊団を相手にしても勝利を納められるであろう程の戦力に、この度の戦争の原因──"火拳のエース"は冷や汗を流していた。

 

「なんだ、この戦力……! なんでジジイが若返ってやがる……!!」

 

 広場の最後尾。高くそびえ立つ処刑台にて己の刑を待つエースは目の前に広がる、恐ろしい程の戦力と、かつて己を何度も叩きのめした恐怖の象徴たる"海軍の英雄"ガープ。

 兄弟盃を交わした義兄弟であるルフィの祖父であるガープには、幼い頃から何度も殺されかけた。

 

 忌まわしき実の父親と何度も死闘を繰り広げたというガープは、エースや、義兄弟であるルフィやもう一人の義兄弟にとって、"強さ"という点において、人生で一二を争う存在だった。

 

 そんな男が、自分が知るあの頃よりも、更に若返り、肉体はより強靭に、覇気は更に鮮烈に変貌していた。

 更に、若返っているのはガープのみならず、同時期に活躍したセンゴク、ゼファー、つる、他伝説の海兵達がかつての肉体、覇気を取り戻していた。

 

「どうなってんだ……」

「──万全の態勢で臨むため、我々も若返った」

「センゴク……!」

「少しさがっていろ」

「はっ」

 

 処刑台へ上がってきたセンゴクの言葉にエースは驚き、睨み付ける。

 そんなエースに視線も向けないセンゴクは電伝虫を取り、マリンフォード中に放送をかける。

 ざわざわと困惑する海兵達と内心を隠し気丈に振る舞うガープ。

 

『──諸君らに話しておくことがある。ポートガス・D・エース……この男が今日ここで死ぬことの大きな意味についてだ……!!』

 

 困惑する声が大きくなる。

 

『エース。お前の父親の名を言ってみろ!!!』

「……!! おれの親父は"白ひげ"だ!!」

『違う!!!』

「違わねェ!! 白ひげだけだ!!! 他にはいねェ!!!」

 

 そこからセンゴクによって語られたエースの来歴は全世界にとって、衝撃的なものだった。

 

 決死の覚悟で生まれてくる子を守った母の愛。

 そして、父親の名前。

 

「お前の父親は!!! "海賊王"ゴールド・ロジャーだ!!!!」

 

 マリンフォードの海兵や七武海が、映像電伝虫で様子を見ていたシャボンディ諸島の記者達が、言葉を失い驚愕する。

 

 かつて、世界中を恐怖に陥れ、現在の"大海賊時代"を作り上げた男。

 血族、ロジャーとの関わりのあった全ての者が処刑された今、まだ血が生きていたという事実。

 

 エースが苦悶の表情を浮かべ俯く中、センゴクはエースを処刑する意味を話す。

 次代の海賊王を作らないために、四皇"白ひげ"との全面戦争になろうとも、必ずエースの首を落とす、と。

 

 センゴクの覚悟を決めた言葉に、海兵達が気合の雄叫びを上がる中、一人の海兵が報告を上げる。

 

「"正義の門"が誰の指示もなく開いています!!! 動力室とは連絡もつかず……!!!」

「何だと!?」

 

 すると海の向こうから総数43隻の大艦隊が現れる。

 乗る者達はいずれもが新世界で名を轟かせる"白ひげ海賊団"傘下の海賊達。

 凄まじい戦力。しかし、本命の"白ひげ海賊団"本艦は見当たらなかった。

 

「お前らまで……!!!」

 

 白ひげ海賊団のみならず、その傘下の者達まで助けに来たことに苦しい顔を浮かべるエース。

 

「攻撃しますか!!?」

「まだ待て! 白ひげは必ず近くにいる! 何かを狙っているはずだ!」

「インペルダウンの脱獄囚も間も無く着く頃だ! ネズミ一匹の動向すら気を配れ!! 総員、心せよ!!!」

 

 来たる白ひげに備え、最大限の警戒をする海兵と愉快気に笑う七武海達。

 

「フッフッフッフッフ! 凄ェことになってきた!!!」

「ゾクゾクしてきたぜ!! 早くこの体を試してェ! 早く来い!」

 

 すると、センゴク達の見聞色で気配が感じ取られる。

 

「まさか……! 総員、湾内──海底から現れるぞォ!!!」

 

 瞬間、三日月型のマリンフォード、湾内に盛大な水飛沫を立てて巨大な船が現れる。

 巨大な白鯨を象った船と、次いで現れる鯨を象った3隻の船。

 

「し、"白ひげ海賊団"が現れたぞォ!!!!」

 

 白ひげ海賊団の船、モビーディック号がシャボンコーティングをして海底から現れた。

 当然、乗るのは──。

 

「"白ひげ"……!」

「グララララ! 何十年ぶり、だが随分若い姿だなァ、センゴク!」

 

 立派な白ひげを蓄えた大男──白ひげもまたエース同様にセンゴク、そしてそれ以外のかつて死闘を繰り広げた海兵達が若返っている姿に驚く。

 かつて若き日の己と渡り合った海兵達が若返り、肉体も覇気も最盛期にある事を感じ、冷や汗が流れるが、しかしニヤリと笑い、雄叫びを上げる。

 

「待ってろよエース!!!」

『ウォォォォォ!!!!』

 

 "白ひげ海賊団"傘下含め、総数46隻の大艦隊。

 人数にして約5万人。

 そんな新世界に名を轟かせる強者達が仲間を助けるべく雄叫びを上げる。

 

 白ひげが両腕に力を込め、左右に振り抜く。

 白ひげが食らった悪魔の実は"グラグラの実"。振動を操る"振動人間"にして、白ひげ自身の規格外な力から、"地震人間"とも呼ばれる。

 そんな地震のエネルギーが大気にヒビを入れ、空間が爆発し、そのエネルギーが海面を大きく歪ませる。

 海面は止まる事なく上昇し続ける。

 

「海震……!!」

 

 センゴクが上昇した海面を見て呟く。

 

「オヤジ……みんな……、おれはみんなの忠告を……! それを無視して飛び出したのに、何で見捨ててくれなかったんだよォ!!! おれの身勝手でこうなっちまったのに……!!!」

「いや、おれは行けと言ったはずだぜ、息子よ」

「ウソつけ……!!」

「あの時、忠告してきたダイナーの言葉を無視して、おれはお前に行けと言ったはずだ。お前ならやれる、とな」

「……ダイナーさんの忠告を無視したのはおれだ! ウソつくんじゃねェ……!!!」

「おれは確かにあの日言ったぜ。──いいか海軍!!! おれは、家族に手を出したヤツを絶対に許さねェ。覚悟しろやァ、海軍!!!!」

 

 口々にエースを想い、嘘の言葉を紡ぐ仲間達の姿にエースを涙を堪え、唇を噛む。

 

「巨大な津波が来るぞォ!!!?」

 

 "世界を滅ぼす力"。

 そう称される白ひげの力。

 

 先程の海震で上昇した海面が限界を迎え、巨大な津波となり戻ってくる。

 海軍の艦隊、マリンフォードを飲み込んでしまう程巨大な津波を目に、白ひげは己を鼓舞するように大きく笑う。

 

 数は海軍に劣り。

 若返った伝説の海兵達と比べ老いた己。

 かつての腕力も覇気もなく、持病によりいつ倒れてもおかしくない最悪のコンディション。

 

 ──しかし。

 

「グララララ!!! おれは"白ひげ"だァ!!! 野郎共、エースを救い出せェ!!!!」

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

「──そう言やァ、小僧。"火拳のエース"が兄と言っていたが、お前ら、種違いの兄弟か? 時期的にお前はロジャー(・・・・)の息子ではないだろう?」

「いや、おれ達は義兄弟の盃を交わしたんだ! おれとエースの父ちゃんは違ェし母ちゃんも違ェ。おれの父ちゃんはドラゴンってヤツみたいだぞ。この前じいちゃんから聞いた」

 

 巨大なウルフの掌の上でルフィに問うバレットの言葉と、ルフィの返答に全員が驚愕する。

 エースが海賊王ゴールド・ロジャーの息子だという事にイワンコフやバギー達が驚き、ルフィが革命家ドラゴンの息子だということにバギーやLEVEL6の面々が驚く。

 

 どちらも特級の大犯罪者。

 片や、この海を制し、大海賊時代を作り上げた大海賊。

 片や、世界を変えようと目論む最悪の組織"革命軍"のリーダー。

 

 皆が驚く中、バギーが騒ぎ立てる。

 

「ろ、ロジャー船長の息子ォ!!? エースがロジャー船長の息子だとォ!!? 息子がいるなんて、そんな話聞いたことねェぞ!!?」

「エースに父ちゃんのこと聞いたら怒るからな。何かあったんじゃねェか?」

「マジか……!」

 

 先日共に宴を行い、友人となったエースがまさかの、かつて乗っていた船の船長の息子だったという衝撃の事実にバギーは愕然とする。

 

「お前、モンキー・Dといったな。ならば、お前のジジイは……」

「じいちゃんはモンキー・D・ガープ。海兵だ!」

「……凄ェ血筋だ」

 

 再度皆が驚愕する。

 伝説の海兵"海軍の英雄"ガープの孫にして、最悪の犯罪者"革命家"ドラゴンの息子。

 それならば、確かに覇王色の覇気を持っていてもおかしくない、とバレットは考えニヤリと笑う。

 

「カ……カハハハ! こりゃァ、面白ェ! あの怪物ジジイの孫か! お前ら兄弟のこれからの強さに期待だな……!!」

「……ロジャー船長の息子を部下に加えれりゃァ、おれ様の箔も上がる……! 野郎ども! マリンフォードに行くのは反対だったが、戦場で華を上げるのも悪かねェ! おれ様の威厳を見せつけにいこうぜェ!!!」

 

 楽し気に大きく笑うバレットと、かつての船長の息子を部下に加えた未来を思い描き、企み自身が解放した囚人達を焚き付けるバギー。

 バギーを神のように崇拝する囚人達が雄叫びを上げる様子をバレットやクロコダイル、レッドフィールド達が白けた目で見る中、ルフィの目にマリンフォードが入る。

 

「もう少しで着くぞ! めちゃくちゃ船が来てる!!」

「ヒーハー! 白ひげ海賊団も既に来ているようねェ。このまま処刑台側まで行きましょう!!!」

「了解だー! 海軍本部をぶっ潰してやるー!」

「待ってろよー! エース!!!」

 

 遥か下方に見えるのは凍った海で激闘を繰り広げる海軍と白ひげ海賊団。

 覚醒したばかりのルフィの見聞色の覇気で感じられる、彼らの強さは相当なもの。

 頂上戦争に相応しい、頂点同士の戦争だった。

 

「カハハハ! 久しぶりの戦争、待ち侘びたぞ!!」

「火拳のエースはあそこか……! 海軍の野郎どもの絶望する顔が楽しみだ」

「バロロロロ! ウルフ! 奴ら諸共沈めてやれ!!!」

「ムルンフフフ! 海軍の美女の首は私のものよ!」

「ここでおれ様が目立てば、海賊王の未来への大きな第一歩だ!!!」

 

 三者三様、意志や渇望は違えど目的は一つ。

 

「エース! 絶対に助けるからなァ!!!」

 

 海賊側戦力、"麦わらのルフィ"率いるインペルダウン脱獄囚参戦!

 

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!

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