シャンクスの見聞殺しというワードにときめいてしまいました!
ワンピース最終章ますます楽しみですね!!!
「──オラオラァ! そんなんじゃァ、オールブルーを見つけるなんざ夢のまた夢だぜェ!!」
「くッ……! くそがァ!!!」
黒き極光が閃き、同時に数千発の黒き拳がサンジへと迫る。
見聞色の覇気を総動員させその全てを避けるサンジの動きは、修行初日と天と地程の差がある。
初日は黒き極光を避けるのに必死だった彼が、数を増やした"
冷や汗をかきながら避けるサンジは、見聞色の過剰使用による頭痛を堪えながら赤熱する脚で反撃する。
「"
「武装色は形になってきたがァ、外骨格は未だ覚醒しねェなァ!」
「そろそろ一発蹴らせやがれ!!」
「その程度の武装色じゃ、おれの覇気の上澄みすら貫通出来ねェぞォ」
摩擦による灼熱の脚に武装色の覇気を纏った強烈な一撃は、しかし、ダイナーの掌に吸い込まれ、確かに触れている筈だが、少しの火傷も負わせられない。
ダイナーとの連日に渡る命懸けの修行により、サンジの覇気は猛烈な速度で成長している。
中でも見聞色の覇気の成長は目を見張る程で、毎秒毎分毎時間毎日、休みなく死の危機を感じるために、熟練の覇気使いを凌ぐ程の精度になっている。
掴んだ足を支点にサンジを宙へ放り、容赦なく顔面に拳を突き刺したダイナー。
「だァ!! くそッ! この前からなんで全く効かねェんだ!!? お前マジで人間か!!?」
「どう見ても人間だろうがァ。武装色の覇気を高めれば、ダメージを負う事はねェ。お前の武装色が弱ェだけだ」
「見聞色は成長したけど、武装色は中々強くならねェな……」
「サンジ、何度も教えているが、覇気とは己を疑わない心からくるものだ。最強の己を常に思い浮かべ、己の一撃は全てを破壊するものと考えろ。覇気の成長のための場は、最高の形で用意してあるからなァ」
「"透過能力"はまだなのか……!」
「フッ。まだまだ足りねェみたいだな。サンジ覚悟決めて、もっと気張りやがれ。覚悟を決めれば大抵のことは何とかなる……!」
「……よっしゃァ! ダイナーやるぞ!」
ボロボロの体に鞭を打って脚に力を込める。
灼熱に赤く光り輝く脚は武装色を纏い、空気を焼きながら唸りを上げる。
「そうだ覚悟を決めろ。臆せば先に道はねェ。必ず勝つという覚悟を持てば、お前のとこの船長もやれるかもしれねェぜェ」
「何言って──」
「とりあえず今のお前には関係ねェ。そら、覚悟決めて食らいついてこいや!」
閃く黒き極光。迸る覇王の圧力。
サンジは確かに地獄にいた。
□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️
「はぁ……はぁ、強ェ!!」
「なんだ小僧、その程度か? その程度の力で兄を救うとは笑わせてくれる!! 我を通したければ力が必要だ!!!」
エース救出も目前、立ち塞がった海軍本部中将"黒腕のゼファー"を相手にし、手も足も出ずに疲弊するルフィ。
彼の十八番である強固な武装色の覇気を纏った拳により甚大なダメージを負ったルフィだが、持ち前の根性とエースを救出するという強い意志のみで拳を握る。
「見聞色の覇気でも読みきれねェ……!」
「火事場の年季が違うんだ。お前程度の見聞色の読みなんざ、手に取るように分かるぜ」
「何とかして時間を稼がねェと……! ボンちゃんがエースを助けるまでは絶対行かせねェ!!」
「あァ、あのオカマ野郎にもおれの頼もしい部下が向かっている。海軍の威信にかけて、ポートガス・D・エースの救出なんざさせねェ。安心してお前はおれに潰されろ!!!」
「なッ……グゥッ!!」
漆黒に染まった拳がルフィに突き刺さる。
見聞色の覇気で動きを読んで避けても、それを修正するかのように飛んでくるゼファーの拳に顔を打ち抜かれたルフィ。
あまりの衝撃と痛みに鼻血を噴き出しながら膝をつくルフィはこれからの事を考える。
エース救出の頼みの綱であるボンクレーにはゼファーの部下が当たっているという。
友達であるボンクレーの心配と共に、自身はゼファーを相手に時間稼ぎではなく、勝たねばならないという事実、ゼファーと己との実力の圧倒的な差、それら絶望的な状況に頭が熱を帯びる。
エースは絶対に助け出す。
危険な戦場に着いて来てくれた友達は絶対に死なせない。
強敵であるゼファーは絶対に倒さなければならない。
行くも退くも地獄道。
何もかもがままならない状況に頭がとうとう沸騰しようというところで──。
「──ルフィ!!! お前には勝てねェ!! 逃げろォ!!!!」
マグマのように頭が煮えたぎり、沸騰しようという中で浴びせられたエースの言葉。
弟である己を心配する気持ちと、自分自身を顧みない言葉。
そして、極限の状況の中で浴びせられた「勝てない」という言葉にルフィの中の何かが切れた。
「──うるせェ!!!!」
瞬間、ルフィから迸る覇王色の覇気。
痛み、苦しみ、不安、焦り、悲しみ、そして怒りにより、ルフィの中の"覇王"が完全に覚醒する。
マリンフォード一帯に広がる覇王色の覇気。
戦場の各地で衝突する覇王色の余波を耐え抜いた猛者達でさえ気を失いかける程の圧力にゼファーは驚愕の表情を浮かべる。
「は、ハハハ! やはり持っていたか! ガープの孫っていうから、そうだとは思っていたが──中々の覇気じゃねェか」
「黙れ。もう決めた。お前は絶対におれが倒す!」
「フン! 覇王色の覇気を覚醒させただけのガキが粋がりやがって。インペルダウン投獄の第一号はお前だ、"麦わらのルフィ"!!!」
ぶつかり合う拳と拳。
全ての迷いを捨ててゼファーを倒すという覚悟を決めたルフィ。
ぶつかり合うも拮抗すらせず弾き飛ばされるルフィだが、受けた武装色の覇気を観察し、見聞色の覇気の精度を更に高めていく。
身体能力も覇気も経験も全てが負けている。
しかし、覚悟は負けていない。
迫る拳を見聞色の覇気で読み、予想される到達点から身を逸らす。
だが、ゼファーの更に高精度の見聞色に読まれ、避けたルフィの顔面に拳が突き刺さる。
観察し受けた武装色を感じ、教えを受けた覇気の原理を元に武装色を試みるが、何も出ずゼファーの拳が突き刺さる。
受けたダメージはとうの昔に限界を迎えている。
しかし、覚悟と根性だけで限界を越えるルフィは、極限の状況の中、加速度的に成長していく。
見聞色の読み合いで負け、ゼファーの未来視により全ての拳を受けていたルフィだが、稀にだが回避に成功する。
ゼファーの漆黒の拳に容易く打ち落とされていた無垢なゴムの拳が漆黒に染まり、僅かながら拮抗する。
"覇王"捕縛を諦め海軍本部大将の座を降り、海兵の育成のため中将へと降りたゼファーをして、規格外の成長速度。
通常、年単位での修行が必要な覇気の習得を、眼前のルーキーは戦いの中で確実に成し得ている。
ルフィが武装色の覇気を一度出してからは、尚更成長速度が早まる。
拳が打ち合う度に精度と強度が増し、数十合拳を合わせる頃には、最早覇気初心者とは思えぬ程の上達ぶり。
──これが部下であれば、教えがいがあったものを。
ニヤリと笑ったゼファーは今まで以上に拳に力を入れ、強靭強烈な武装色を纏った一撃でルフィを吹き飛ばす。
「中々の才能だ! その才能をここで終わらせるには勿体無いが、仕方ない。せいぜい地獄で大人しくしていろ!!」
「……おれはこんな所で負けてられねェ。おれは、"海賊王"になる男だ!!!」
再び吹き荒れる覇王色の覇気。
両の腕を漆黒に染め上げるルフィは雄叫びを上げ、己の血流をフルスピードで加速させる。
全身から蒸気をあげ、更に漆黒に染め上がった腕に噛みつき、筋肉に空気を送る。
腕から送られた空気は全身の筋肉を膨らませ、習得したての武装色の覇気により強固に強靭に変化していく。
「今のままじゃお前に勝てねェ。だから、勝てるようにおれは強くなる」
膨れ上がった筋肉。
漆黒に染まる倍以上に伸びた体躯。
天に逆立つ黒髪と全身から吹き荒れる蒸気。
まるで神話に登場する神のような姿。
戦いを司る"闘神"のような姿にゼファーは眉を上げる。
「おいおい、なんだそりゃァ。能力と覇気の融合なんざ、お前にはまだ早ェだろ」
「うるせェ。戦ってる間にモノにする……!」
ゼファーの言葉通り、悪魔の実の能力と覇気の融合は、覇気を覚えたての初心者がすぐに出来る様な簡単な技ではない。
事実、ルフィの変貌した姿も見た目こそ凶悪だが、中身はゼファーの目からすれば穴だらけ。
とても、強化形態とは言えない代物である。
「お前を見ていると
かつて"海軍の英雄"ガープや"仏のセンゴク"等と共に激動の時代を駆け抜けた伝説の海兵ゼファー。
恐ろしい敵であり、見所のある面白い男だった海賊の王の顔を思い出しながら、眼前の男を見やる。
異常な速度で成長し続けるルフィと、凄まじい速度で成り上がったロジャーの顔が重なって見えた。
「フン、面白い! どこまで成長出来るか見せてみろ!!」
「お前を倒してエースを助け出す!!!」
全盛期の力を取り戻した伝説の海兵、"黒腕のゼファー"。
絶えず成長する新たなる王の卵"麦わらのルフィ"。
圧倒的な実力差が少しずつ、だが確実に縮まっていく中、二人の益荒雄は拳をぶつけ合う。
確固たる覚悟を武器に戦うルフィに、ニヤリと笑うゼファーは黒腕に力を込める。
頂上戦争も終盤戦。
各地の戦いも激しさのピークにある中、ルフィとゼファーもまた激しい戦いを繰り広げる。
ルフィ、極限の状況で絶賛成長中!
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
-
カイドウさん乱入上等!
-
カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
-
カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!