その前に次号ジャンプのワンピースが楽しみです。
気になります!!
「──親父! 西の方角から覇王の船が来るよい!!!」
「あァ、分かってる」
数瞬後、鯨に似た船──モビー・ディック号の
雲一つない青空に突如現れた漆黒の物体は、流線型をし、どのような原理か宙空にピタリと静止している。
先程声を発した男の言う通り、これは船である。
おおよそ船には見えないそれは、覇王の能力によって作り出された、世にも珍しい覇気で作られた船。
尋常ならざる覇気で作られたそれは、ただ空にあるだけでモビー・ディック号に乗っていた船員達の意識を奪っていった。
「ぐッ! 意識が飛びそうだ……!」
パイナップルのような特徴的な髪型をした男、マルコが呻いた瞬間、突如辺りを支配していた重圧が消え、また、上空に静止していた船も消え去った。
上空に目をやると、そこから降って来る影が見える。
「グララララ、来やがったな」
ドカンッと凄まじい音がして、甲板に"覇王"が降り立った。
かつての海賊王や伝説の海賊達と鎬を削ったあの頃と全く変わらぬ姿をした友を目にした白いひげの大男はニヤリと笑う。
「近くを通ったらお前の船が見えたから寄ってみた。随分老けたなニューゲート?」
「そういうお前は全く変わらねェなァ、ダイナー」
「細胞の全てを覇気で強化してるからな。老化どころか、日々成長中だ」
「化け物が」
「流石の白ひげも老いには勝てんか」
悲しいなぁとダイナーは頭を振り、未だ成長中という話を聞いていたマルコは冗談じゃないと、顔を青褪める。
"覇王"ダイナーは伝説の海賊だ。この世界にて知らない者はいないんじゃないかという程の傑物。
数十年前から最強と呼ばれている男が衰えるどころか、未だに成長しているとはどんな悪夢か。
かつてのダイナー対海軍海賊連合軍の頂上決戦は未だ語り継がれている。
マルコ自身、ダイナーの強さを見てきたこともあり、老いすらもないならば、どうやったらこの男は死ぬのかと頭を傾げた。
「久しいなマルコ。どうやったら俺が死ぬか──ってか? そりゃァ、俺よりも強い奴がいたならば、死ぬだろうよ」
「バカ言うなよい。海軍の総力と四皇の連合でも殺せなかったんだ。アンタより強い奴なんて現れる訳がないよい!」
「なら、俺は永遠に生きることになるなァ」
ハハハハと笑うダイナーに顔を引き攣らせる一同。
彼らが親父と慕う白ひげーーエドワード・ニューゲートはこの海において最強の一角とされる四皇の一人だ。
悪魔の実"グラグラの実"の"地震人間"。
その力は、世界を滅ぼすとまで言われ、現在において、最も海賊王に近い男と呼ばれている。
そんな伝説の男ですら、やはり老いには勝てず、体も最盛期とは言い難い。
「──やはりティーチの奴、仲間殺しで船を降りたな?」
ダイナーの言葉に目を吊り上げ反応する白ひげ。
「未来を見通して言ってたんだ。お前が嫌いな仲間殺しだったから教えてやったのに──」
「うるせェ、アホンダラァ!!!」
瞬間、ニューゲートから覇王色の覇気が溢れ出る。
王の資質を持つ者だけが使うことの出来る特殊なこの覇気は、威圧する力を持つ。
ニューゲートから放たれる覇王色の覇気は、甲板を軋ませ、光を詰まらせ、空を歪ませた。
ドサリ、ドサリと船員が倒れていく中、目を細めたダイナーは手を挙げる。
「分かった、分かった。悪かったって。おい、マルコ! お前の親父と二人で話してぇから皆んな連れて中入っててくれねェか?」
面倒臭いなぁ、といったように挙げた手をヒラヒラと動かすダイナーは、マルコにニューゲートと二人にして貰うよう伝える。
ニューゲートに目くばせしたマルコ達は、了承をもらい気絶した船員達を引き連れて船内へと入って行った。
「んで? 誰がティーチを追ってんだ?」
「……エースだ」
「……また余計なこと言うが、恐らく負けるぞ」
「おめェも赤髪と同じようなこと言いやがんのか」
「ティーチの奴、うまく隠してるようだったが、あいつ中々強ェぞ? エースも悪くはねェが、まだまだ未熟だな」
「んな事分かってらァ……。エースを行かせたのはおれだ。エースならティーチを必ずとっ捕まえてくれる」
白ひげ海賊団に乗っていた男──マーシャル・D・ティーチは仲間を殺し、逃走した。
古株の男だった彼のいきなりの凶行に海賊団は一時荒れ、船長である白ひげは怒り狂った。
"仲間殺し"という己が最も嫌いな罪をもって船を降りたティーチに必ず罰を与える、と。
「だが、あれだな?
「あん? どういう意味だ?」
「どういう意味も何も、ティーチは────」
ダイナーの言葉にニューゲートは目を見開き、驚愕する。
「──なるほどなァ。因縁はある訳か」
「まぁ、いずれにせよ、俺は手を出さねェよ? ティーチの奴の事も気に入ってるしな?」
「あァ、それで問題ねェ。逆に手ェ出すっつうならお前から先にヤル所だったぜ」
「ハハハハッ! 管をたくさん付けてる白ひげなんか、なんも怖くねェなァ!!!」
その一言が合図にお互いが覇気を纏い、
新世界のとある島、余波にて爆散ッ!!!
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東の海の片隅に浮かぶレストラン──海上レストラン"バラティエ"。
元海賊であるオーナーが、かつて海で食糧難になった時に、「海上にもレストランがあれば」という願いから生まれた、世にも珍しい海上レストランである。
絶品と評判のこの店には、連日、世界中の美食家や腹をすかせた海賊達が通っているという。
「──ゼフ! やっぱりおまえのメシが一番ウメェ!!!」
テーブルに所狭しと置かれた大量の料理を食べ続ける褐色肌の大男──覇王ダイナーは歓喜の声を上げる。
自身の体の大きさ程の肉に食らいつくダイナーを見た口髭を三つ編みにした男──この店のオーナーゼフはニヤリと笑う。
「ありがとよ。そんだけ食ってもらえれば俺としても本望だ」
「この日のために世界中の食材を集めてきたんだ! うまいメシを頼むぜ!!」
「中々見ねェ食材に、ウチのバカどもが興奮してたぜ?」
「そりゃァいい! ありとあらゆる場所の食材だ! "怪々覇装"の船一杯に詰めてあるからなァ!」
ダイナーの食事量は規格外だ。バラティエに積んでいる食材程なら容易く平らげる程。
そのため、ダイナーがバラティエに来る時は食材の持ち込みが常だった。
今回もダイナーの能力で形作った覇気の巨大な船一杯に食材を詰め込み、バラティエの横に停泊させていた。
「ところでサンジの奴はどうしたんだ? 姿が見えねェが」
「チビナスなら船を降りた。居心地のいい別の船を見つけたようだぜ?」
「あん? 別の船ってことは海賊でもやってんのか?」
「あぁ。客で来た海賊の船にほいほい付いて行きやがった」
言葉は悪いが、しかし、ゼフにしては珍しく柔らかな笑顔を浮かべているのを見たダイナーは「ふむ」と店内に特殊な見聞色を使う。
相手の感情や気配を強く感じることができる力が見聞色の覇気というが、極めた見聞色は少し先の未来をも見通すことが出来る。
世界最強の覇気使いであるダイナーは未来のみならず過去すらも見通す力を持つ。
過去を見たダイナーは嬉しそうに笑う。
「──良い仲間を見つけたみたいだな」
「今やあいつも立派な賞金首だ。どこで死ぬかも分からねェ」
「あんな小さかったクソガキが海賊にねェ。時間が経つのは早ェな……」
「フン! 天下の覇王もジジイ臭え事言うようになったか」
「うるせェよ。お前とサンジが店を始めてすぐからの付き合いだぜ? 懐かしくもなる」
ダイナーからレディの口説き方を真剣に聞いていた少年は、いつの間にか大人の男になっていたらしい。
「そうだなァ。次は久しぶりにあいつに会いに行ってくるか」
「あぁ。そうしろ。あいつもおまえに挨拶出来ないことを気にしていた」
「そうか。ならたくさん土産を持って行かねェとな!」
「持っていきすぎるなよ。船が沈む」
フンッと笑うゼフと、何を持っていくか、と考えるダイナー。
美味いメシを食い、仲の良い友人と語らう時間は何よりも大切なものである。
麦わらの一味の料理人、黒足のサンジ、古くからの友人と再会する日は近い。
そして、彼の仲間達がこの特級の化け物と見える日も近い……。
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
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カイドウさん乱入上等!
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カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
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カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!