覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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オリ主のタグがまるで活きない!!
小説の半分以上ダイナーさん登場せず!
ルフィ君の独壇場ですね!!!


第24話"脱出手段"

 雷鳴が鳴り響き、陸海空が揺れ動き、万象一切凍てつき、炎と溶岩が吹き荒び、尋常ならざる覇王色の覇気が荒れ狂う。

 

 空では長大な青龍が竜巻や鎌鼬を生み出し、炎を吐き、雷鳴を呼び寄せ暴れ回る。

 海では天を突く程の規格外の巨人が凡ゆるものを破壊しながら暴れ回る。

 大地では数多の化け物達が環境を変貌させ、尽くを破壊しながら衝突している。

 

 地獄。

 間違いなくこの世で最も危険な戦場がそこにあった。

 

 エースの救出に成功し、後は脱出するだけというところで襲来した四皇"百獣のカイドウ"により、戦場は更なる混沌に包まれた。

 カイドウから吐き出された破壊光線のような炎を迎撃する白ひげ。

 炎と尋常ならざる地震のエネルギーが激突し、空間が捻じ曲がる。

 

 まるで神話の中の出来事のような、恐ろしい光景に海賊も海兵も言葉を失ってしまう。

 

 白ひげとカイドウ、両者の何気ない一撃が恐ろしい程の威力と範囲。

 

「ウォロロロロ!!! 今日はなんて良い日だ!! 最高の戦争じゃねェか!!!!」

「グララララ!!! おめェはいつまで経っても変わらねェなァ!!!」

 

 再び衝突する両者の一撃。

 凄まじい熱気が辺りに広がり、恐ろしい程の振動が広がっていく。

 

「──どうなってんじゃ、こりゃァ! カイドウの奴は赤髪が抑えとったんじゃなかったのか!!?」

「カハハハ! こんな凄ェ戦場、あの野郎が来ねェ訳がねェだろ。シャンクスは部下に任せて、あの野郎は一人で飛んできたんだろうよ」

「とんでもない事になったのう……」

「おい、ガープ!! サボってないで私達も行くぞ!!!」

「ん? なんじゃセンゴク。あいつは良いのか?」

「エースも解放されたんだ! あんなデカブツ相手にしてられるか!! とにかく、私達も早く駆けつけねばとんでもない事になるぞ!」

 

 海上でウルフと戦っていたセンゴクがガープとバレットの元へやって来た。

 大小様々な傷を作り、焦りの表情を浮かべるセンゴクにガープはこれまでの様々な修羅場を思い出してニヤリと笑う。

 

「何を笑っている、ガープ!!!」

「ぶぁっはっはっは!!! いや、わしらがここまでやるのも随分と久しぶりじゃな、と思ってな。昔はお前とゼファー、おつるちゃんと数々の修羅場を潜ったもんじゃがなァ」

「……ふっ。"火拳のエース"の首は海軍の威信をかけて必ず獲らねばならない。もう貴様に"孫"の首を獲れとは言わん! だから、貴様はカイドウと白ひげの相手をしろ!!」

「センゴク……。ぶぁっはっは!!! 流石は親友じゃのう! 相分かった、任せろ!!!」

 

 当初予想していた"海軍本部"及び"王下七武海"と"白ひげ海賊団"の戦争から、見る影もない程に姿を変えた頂上戦争。

 数多の作戦を無駄にし、海軍の痴態を世界中に晒してしまったセンゴクは、戦争に勝利したとしても訪れるであろう"変化した世界"を想像し、せめてもの思いで覚悟を決める。

 

「私は"火拳のエース"及び"麦わらのルフィ"の処刑に行く。私を止めるか、バレット……!!」

 

 止めるならば、お前が先だと言うセンゴクにバレットはニヤリと笑い、しかし首を振る。

 

「お前とやるのも楽しそうだが、生憎とおれもやる事がある。それに、お前にゃァ、アイツらはやれねェよ!」

 

 カハハハと笑うバレットはそう言うと飛び出し、海上まで駆け抜けていく。

 そして、センゴクとガープはバレットの言い残していった言葉に驚いた。

 

「あやつがあんな事を言うとはのう……」

「私達の知らない間に、少し丸くなっていたみたいだな……」

 

 二人の知るバレットは強くなることのみに執着した修羅だった。

 今でも強くなることへの貪欲な執着は変わっていないみたいだが、しかし、他者への関心がかつてと比べ、あるように見れる。

 

 実際、これまでのバレットであれば、カイドウの姿を見た瞬間、目的も何もかも忘れて飛び掛かっていただろう。

 そんなバレットが闘争欲求を抑え、共に戦った仲間と脱出する為の船を己の能力で作っている。

 

 バレットの変化に驚愕しつつ、二人はそれぞれの任務を果たすべく覇気を高める。

 

「あの酔いどれ小僧に灸を据えてやろう!!」

「私は全力で貴様の孫達の相手をする。何も言わせんぞ、ガープ!」

「今更何も言わないわい! ここで死ぬのならそれが定め。全力で行ってやれ!!」

 

 その言葉を最後に二人は走り出す。

 ガープは環境を塗り替え、大規模な戦闘をする白ひげとカイドウの元へ。

 センゴクは解放されたエースと、驚天動地の大罪人ルフィの処刑のために。

 

 混沌渦巻く戦場の中、二人の伝説の海兵は動き出した。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

  

 海上に膨大な質量が広がっていく。

 鉄や石、果ては海楼石まで。ありとあらゆる無機物が海上に広がり、凄まじい速度で重なり合い変形していく。

 

「カハハハ! これだけ材料があれば、どんな船でも作れるなァ!!!」

 

 マリンフォード全土の無機物を圧縮した鎧を分解し、船の形にガシャガシャしていくバレットは、島中心部でぶつかり合う白ひげ、カイドウ、ガープを眺める。

 

「はァ……おれもどうかしている。あんな楽しそうな闘争に交ざらねェで、ガキ共のケツ持ちか……」

 

 戦う事だけに喜びを見出し、己が最強になる事だけを唯一の目標としてきたバレットは、自分自身の行動にため息を吐く。

 見える三つ巴の戦いは間違いなく世界最高峰のもの。

 

 かつては手も足も出なかった化け物である白ひげと、同時期に同じように腕を競い合ったカイドウ。

 そして、己が認めた船長と渡り合っていた化け物であるガープ。

 

 そんな化け物達の戦いに交ざりたいという欲求を抑え、しかし、ルフィ達を逃す為に行動している自分に、思いの外悪くない気分のバレット。

 

「カハハハハ!!! まァ、いい。ここを脱出してアイツを鍛えてやるのも悪くなさそうだ! そうすりゃァ、ダイナーを超えるための修行相手になるかもしれねェ」

 

 ふと思い付いた事だが、それも悪くないと考えるバレット。

 異常な速度で成長するあの男ならば、覇王を超えるための足がかりになるかもしれない。

 ニヤリと笑ったバレットは、島一つ分の膨大な無機物を一気に放出し、船の建造を早める。

 

 凄まじい速度で変形していく船。

 インペルダウンから脱獄した全員は優に乗り込め、白ひげ海賊団ですら全員が乗り込めるであろう巨大な無機物の塊は、バレットの能力の制御化の元、船としての能力を獲得する。

 

「おい、ウルフ! 全員乗り込んだらお前も乗れ。能力は解除しろよ」

「分かった! おれあんまり船乗らねぇから不思議な気分だ! でもあいつら大丈夫か? さっきの仏像のやつ強かったぞ!」

「フン。ここまで来れねェようじゃ、所詮その程度だったって事だ。だが、地獄を乗り越え兄の救出をやり遂げたんだ。見届けようじゃねェか……!」

 

 比類なき闘争本能を抑え、皆を脱出させる為に戦いをやめたバレット。

 

「島を脱出する奴ァ、急いでここまで来い!!! 最後に根性出せ、野郎共ォ!!!!」

 

 バレットは島全土に響かせるように叫ぶ。

 走るルフィやエースの気配を感じながら、戦艦を破壊しようと迫り来る海兵達を迎撃しながら、バレットは脱出後の未来を想像する。

 

 頂上戦争、海賊側の脱出手段として、バレットの能力による巨大戦艦が待機する!

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

「なんだあのドラゴン!!?」

「カイドウ!!? なんでアイツまで来てやがんだ!!?」

「あいつカイドウっていうのか! めちゃくちゃ強ェぞ!!?」

 

 ルフィが知る限り最強の存在であるガープと激しい戦いを繰り広げるカイドウと白ひげを見て、ルフィは目を疑う。

 戦いのレベルがまるで違う。

 この戦争を経て確かな成長を実感するルフィだが、それでも感じるレベルの違い。

 

 ゼファーを撃退出来たのも、ゼファー自身の油断と奇跡があってのものだと理解しているルフィは、彼方で戦う三者の実力に戦々恐々とした。

 

「アイツは親父と同じ"四皇"の一人、"百獣のカイドウ"。今のおれ達じゃ、逆立ちしても勝てねェような化け物だ……!」

「シャンクスと同じ"四皇"か! じゃぁ、今の内に逃げよう、エース!!」

「……そうだな。今おれが行っても親父の足手まといになっちまうか……!」

 

 エースは白ひげの援護に行くべきか考えるが、あまりのレベルの違いに、足手まといになると悟る。

 助けてもらった己の命を守るため、白ひげの海軍への勝利を守るため、エースはルフィと共に彼方から聞こえたバレットの声の方向へと走る。

 

 しかし、突如凄まじい衝撃が迫ってくる。

 

「"火拳のエース"、"麦わらのルフィ"!! 絶対に逃さんぞ!!」

「センゴクか!!!」

 

 突如現れた漆黒の大仏。

 衝撃を避けたルフィとエースは眼前に立ち塞がったセンゴクを睨み付ける。

 

「よくもここまで引っ掻き回してくれた! だが、貴様等の首、絶対にここで落としてやるぞ!!!」

「また強ェ奴か……!! やるしかねェ、エース!!!」

「分かってる! お前達が助けてくれたこの命、こんな所で散らしたりしねェ!!!」

 

 覚悟を決め、目の前に立ち塞がった強者とぶつかろうという瞬間、上空から凄まじい覇気が落ちてくる。

 

「──兄貴は無事に助け出したみてェだな"麦わらのルフィ"! ゼハハハハ!! おめェだけは許さねェぞ、クソ野郎がァァ!!!!」

 

 突如空から降ってきた大男達。

 黒いひげを生やした大男、チャンピオンベルトを腰に巻いた大男、片眼鏡をかけた大男、シルクハットを被る大男、病弱な見た目の大男。

 

 黒いひげの男、七武海の一人、"黒ひげ"マーシャル・D・ティーチはこめかみに青筋を浮かべながら、憤怒の覇気を垂れ流している。

 

「おめェのせいで、おれの長年の計画は全てパァだ! おめェは必ずおれの手でぶち殺してやる!!!」

「ティーチ!!! てめェ!!!」

「お前はジャヤの……!」

「こんな事になるなら、無理をしてでもあの時! エースの首じゃなくて、お前の首を政府に出すんだった……! 計画していた何もかもが無駄になっちまった! 許さねェ……!!!」

「ッ!! お前が"黒ひげ"……!?」

 

 これ以上ない程激怒している黒ひげ。

 

 長年の計画をルフィの手により一瞬で潰された黒ひげは、かつてない程の怒りを抱き、漆黒の"闇"を放出する。

 

「おめェも、エースも、海軍も、白ひげも……! 全て地獄に落としてやるァ!!!」

「地獄はもう越えた……! お前なんか何も怖くねェ!!」

「今になって、落とし前を──雪辱を果たすチャンスが来るなんてな……! 覚悟しろよ、ティーチ!!!」

「貴様等だけで話を進めるな! 次から次へと……!! 全員この場で処刑してやる!!!」

 

 因縁の戦い。

 かつて同じ船に乗る仲間だったエースと黒ひげ。

 エースの身柄を政府に渡し王下七武海になり、インペルダウンへと侵入し、LEVEL6の凶悪な囚人を仲間にするという黒ひげの計画を潰したルフィ。

 海軍として世界中へ醜態を晒し、数々の乱入により、イライラが最大値にまで上っているセンゴク。

 

 凶悪な勢力がまた一つ増え、頂上戦争、終盤戦において、因縁の戦いが勃発する。

 

 頂上戦争。

 海賊vs.海軍&インペルダウンvs."黒ひげ"。

 

 また一人、王の器が戦争へと参加した!

 

 

 

 

 

 

 

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!

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