覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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ようやくアニメでニカが出てきましたね!
作画も凄いし、声優さんも凄いし最高でした!
次回も楽しみです!!


第27話"怨敵赤犬"

 "最悪の世代"の一人にして此度の史上最悪の戦争に混沌の渦を齎した海賊、"麦わらのルフィ"は現在、瀕死の状態にあった。

 

「ルフィ!!!」

 

 ルフィの兄にして此度の戦争の引き金である"火拳のエース"は、マグマの腕に腹部を貫かれている弟を見て叫び声を上げる。

 見るからに致命傷。

 全てを燃やし尽くすマグマにより腹の血肉は蒸発し、ルフィの口、鼻からはとめどない血が流れている。

 既にその目に意思は感じられず、先程まで満ち溢れていた覇気もまた弱々しくなっていた。

 

「お、おい、嘘だろルフィ!!! お前までおれを置いていくのか……!!」

 

 マグマの腕が抜き放たれ、支えを失い倒れ伏したルフィを呆然と眺め、エースは深い絶望の声を上げる。

 

「……実に情けない男じゃ"火拳のエース"。無様に捕まり、生き恥を晒し、終いにゃァ、助けに来た弟をも死なす。こんな男が隊長とは、"白ひげ"はやはり先の時代の敗亡者じゃのう!」

「おい、ルフィ……! 返事しろよ……! おい……!!」

「……折れたか。今、貴様も地獄へ送ってやるけぇのォ!!」

 

 見る影もなくなったエースの覇気にもう話はないと、拳をマグマへと変化させ振りかぶる赤犬。

 一連の流れに面白くなさそうな黒ひげと無言で事を見守るセンゴクを横に、瞬間極大の覇王色の覇気が吹き荒れた。

 

「ッ!!!? これはガープの……!!」

「……ゼハハハハ!! こりゃァ凄ェ!!」

「ぬゥ!!!」

 

 現時点でまだ立ち戦う歴戦の猛者達、そして今にもエースを殺そうと拳を振り下ろしていた赤犬ですら一瞬意識が飛ぶ程の覇王色の覇気に皆が驚愕する。

 そして、覇王色の発生源に目を向けると、そこにはバチバチと稲妻のように迸る武装色と覇王色の覇気を纏うガープの姿があった。

 

「──ガープ!!!」

 

 瞬間、センゴクがその場から消え、一瞬の内にガープへと肉薄し拳を叩き付ける。

 その拳は既に振り抜いていたガープの拳へと衝突し、極大の覇王色の衝突が発生した。

 

 二人を起点とした大規模な衝撃。見渡す限りの雲が全て消え去り、数多の化け物達による異常気象すらも消滅する。

 

「何をする気だガープ!!!」

「──ッ!!!!!」

 

 海兵と海賊という敵の立場でありながら、しかしそれ以上に愛する孫の惨状に我を忘れ、怒りが限界を超え、愛する孫の腹に穴を空けた下手人を討つべく本能のままに動く。

 

 "海軍の英雄"と呼ばれる最強の海兵の覇気と拳を凌ぐセンゴクは、額に冷や汗を浮かべる。

 

「ガープ! 貴様、流石にこれ以上はおれでも庇いきれんぞ!!!」

「──ッ!!!!」

「ッ、もはや聞こえんか……!」

 

 目の焦点は合っておらず、しかしながら尋常ではない戦闘力のガープに舌を鳴らし拳を迎撃するセンゴク。

 

 凄まじいまでの覇気の篭った拳を覇気の衝撃で撃ち落とすセンゴクと、それを欠片も気にせずに拳を乱打するガープ。

 立ち塞がるセンゴクを無視して赤犬へと向かおうとするガープの横面を殴り飛ばし、横目で"百獣のカイドウ"と"白ひげ"を見る。

 

「今、貴様らとやり合う余裕はない。大人しくそこで待っていろッ」

「ウォロロロロロ!! 随分寂しいことを言うじゃねェか!! おれも混ぜろよ、その闘争によォ!!!」

「チッ、面倒な!」

 

 嬉々として二人の化け物の闘いに混ざり込むカイドウに舌を鳴らすセンゴク。

 そんな三人を横目に、残る白ひげは能力を用いて声を島中に響き渡らせる。

 

「野郎共!! これが最後の船長命令だ!!! エースを必ず生きてこの島から連れ出せ!!! マルコ!!! "麦わらのルフィ"の命を何としてでも繋ぎ止めろ!!! おれ達──"白ひげ海賊団"の恩人の命を死んでも失わせるな!!!!」

 

 島中に響いた白ひげの声に、白ひげ海賊団の面々は一瞬にして目的地を逃走用の船からエースとルフィの元へと変え、名指しされた1番隊隊長にして"船医"である"不死鳥マルコ"もまた一直線に向かう。

 そして、マリンフォードに今も立つ猛者達は白ひげの言葉に驚愕した。

 

 あの"白ひげ"が"麦わらのルフィ"を恩人と口にした。

 

 白ひげという歴史に残る大海賊にとって今を生きる海賊達は、彼の口癖である『ハナッタレ』そのものである。

 そんな男がたった一人のルーキーを恩人と呼び、そして一人の海賊としてルフィを認めた事への大きな衝撃。

 

 遠い戦場からルフィの惨状を唇を噛みながら見ていたイワンコフや、ルフィの最期に失望していたインペルダウンの脱獄囚達もまた、白ひげの言葉に驚愕し、そしてルフィの復活の未来を見た。

 

「余計なことをするのォ……! 悪に希望など必要なし!!」

 

 力なく横たわるルフィの前に項垂れるエースへとマグマの拳を振り下ろす赤犬。

 しかし、再び邪魔が入る。

 

 どこからともなく飛来した一条の海流がマグマの拳を弾き飛ばした。

 マグマにより海水が蒸発し、周囲が水蒸気で煙る。

 

「うっとうしいのォ……! つまらん時間稼ぎはよせ、ジンベエ。貴様も元七武海、わしの力は充分知っとろうが」

 

 周囲の水蒸気を一瞬にして消し去った赤犬は度重なる邪魔者に怒りを露わにする。

 

「この身を削って時間稼ぎになるなら本望!!! 大恩あるエースさんも、ここまで連れてきてくれたルフィ君も死なせるわけにはいかん!!!」

「ならば、貴様ごと地獄へ送ってやる……!!」

 

 覚悟を決めるジンベエと、諸共葬るべくマグマを燃やす赤犬。

 

「おい、エースさん! いつまでそうやってうだうだしておるつもりじゃ! お前さんまで死ぬつもりか!!? オヤジさんをこの戦争の敗北者にするつもりか!!!?」

「ッ!!」

 

 ジンベエの言葉に一瞬反応したエースだったが、すぐに項垂れる。

 

「ルフィ君がどんな覚悟でここまで来たか分からんのか! その覚悟を兄のお前さんが無駄にする気か!!」

「無駄な話はもういいじゃろう! 裏切り者への制裁も追加じゃァ!!!」

 

 エースを背に赤犬の前に立ち塞がるジンベエへとマグマの拳を放つ。

 火傷を負いながらも防いだジンベエは、エースへと尚も言葉を紡ぐ。

 

「ここは一先ず生きて逃げ延びるんじゃ! ルフィ君はマルコが必ず生きながらえさせる!!」

「……ッ」

「──"鳳凰印"!!!」

「くッ……! マルコか! ゴミ共が次から次へと頭に来るのォ!!」

「ビスタ! お前はエースを連れて逃げろ! お前たちはジンベエの援護を頼むよい!」

「了解!」

 

 現れた白ひげ海賊団の面々。

 マルコによる覇気を伴う蹴りが赤犬を怯ませ、続くビスタがエースを強引に肩に担ぎ上げて駆け出す。

 

「ッ! ビスタ、下ろせ!! ルフィがまだ残っている!!」

「冷静になれエース。お前の弟はマルコが救い出す。オヤジ命令だ」

「──ッ!」

「逃すかァ!!!」

 

 エースを抱え逃げ出すビスタへとマグマを放つ赤犬。

 しかし飛来した覇気を纏う銃弾がマグマを撃ち抜き、あらぬ方向へと弾き飛ばす。

 

「お前の相手はおれ達だろう、赤犬……!」

「……どうやら余程死にたいようじゃのう、白ひげ海賊団!!!」

 

 荒れる頂上戦争。

 "麦わらのルフィ"の瀕死をもって一段階進んだ戦場において海軍の最大戦力、大将"赤犬"と元王下七武海"海侠のジンベエ"及び白ひげ海賊団の面々がぶつかり合う。

 

 未だ戦争は終局にあらず。

 

 暴れ狂う英雄とぶつかる海軍の仏。

 自然の申し子達による環境の侵し合い。

 逃げる海賊、追う海兵。

 

 そして──

 

「絶対に死ぬんじゃねェよい、エースの弟ッ!!」

 

 此度のエース奪還において獅子奮迅の活躍をした男の命を救うため、全身全霊をもって治療に当たる男が一人。

 

 

 頂上戦争も最終章、皆の体力も限界を超え、しかし闘いの連鎖は止まらず。

 

 両者、勝利を求め足掻き続ける!

 

 

 

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