覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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頂上戦争がここまで長くなるなんてッ!
バウンティラッシュがとても楽しいです!!
カッコいいキャラ達がワンピース!!!


第28話"長年の夢"

 "麦わらのルフィ"が海軍大将"赤犬"の手により瀕死状態に陥り"海軍の英雄"ガープが暴走を始めたのと同時刻。

 海軍本部中将モモンガは眼前で広がる光景に恐れ慄いていた。

 

「こ、これは……!!」

 

 悍ましい程の覇王色の覇気。

 覇気と共に吹き荒れる石化の力。

 

 王下七武海の一人、"海賊女帝"ボア・ハンコックの痩身から吹き荒れる怒りの覇王色と"メロメロの実"の能力が、避け損ねた海兵、海賊、男、女関係なく石化させていく。

 空間を裂くかのような不快な音が辺りに響き渡り、稲妻のような覇王色の黒き光がハンコックの周囲で迸っている。

 

「る、ルフィ……!!? ルフィ……!! あぁ、ルフィ!!!」

 

 悲しみに飲み込まれたハンコックの瞳は遥か先にて倒れ伏すルフィを捉え、そして下手人である赤犬を視界に入れた瞬間、その美しい顔を歪め、般若の如き憤怒の表情を見せる。

 

 更に高まる覇気。

 

 あまりの覇王色の覇気にモモンガ、インペルダウン署長マゼランは冷や汗を流す。

 近くで戦闘を繰り広げていた"大酒のバスコ・ショット"、"若月狩り"カタリーナ・デボン、王下七武海、"鷹の目"ジュラキュール・ミホークはその覇気に一瞬戦いの手を止める。

 

「ムルンフフフ! ハンコック、思っていたより強いわねェ」

「心地良い覇気だの〜〜!!」

「"麦わら"の命、ここまでか、あるいは……」

 

 ルフィの瀕死に失望あるいは残念に思っていたデボンとショットは、それぞれがハンコックの予想以上の強さと覇気に声を上げた。

 

「ゆ、許さぬ……! よくもわらわの愛おしい人を……!! 許さぬぞ、赤犬!!!!」

「待て、"海賊女帝"!! 行かせんぞ!!」

「そう簡単におれから逃げられると思うな"海賊女帝"!!」

 

 憎き赤犬の元へと走り出そうとしたハンコックの前にモモンガとマゼランが立ち塞がる。

 

「そなた等に用はない!! そこを退くのじゃ!!!」

 

 バリバリと覇王色の黒き光を放つハンコックは、一瞬の内に加速。油断なく刀を構えるモモンガと、致死の毒を纏ったマゼランを強靭な脚力で蹴り飛ばして突破した。

 

「グゥッ……! まだ底を見せていなかったのか……!」

 

 モモンガは刀を折られ吹き飛ばされ、毒を石化され、その上から蹴り飛ばされたマゼランはあまりのダメージに膝を付く。

 

 そんな一瞬の間に凄まじい速度で駆けるハンコックは、撒き散らす石化の覇王色で道中の海兵、海賊を石化させながら更に加速する。

 ハンコックの瞳に映るのはマルコの治療を受ける瀕死のルフィと、愛する人を傷付けた憎き赤犬のみ。

 

「おのれ、赤犬ッ!!!」

「なッ!!? ぐゥッッ!!!?」

「"海賊女帝"!!?」

「生かしてはおかぬ!! よくもわらわの愛しき人を……!! 許さぬ……、許さぬぞ!!!!」

 

 バリバリと悍ましい程の覇気が溢れ出す。

 殺意と憎悪と憤怒が混ざり合い、恐ろしい形相のハンコックに白ひげ海賊団の面々は顔を引き攣らせ、あまりの覇気の強さに肌に粟が生じる。

 

 赤犬はハンコックのメロメロの能力を纏った蹴りによってマグマを石化され、凄まじい衝撃で吹き飛ばされた。

 蹴り飛ばされた腹部を抑えながら立ち上がった赤犬は、無視できない程のダメージに顔を歪ませながらもハンコックを睨み付ける。

 

「……ハンコック。貴様、"王下七武海"を辞めるという事でええんじゃろうなァ……!」

「もう、そんな事はどうでもよい……!! そなただけは殺さねばわらわの気がすまぬ!!! 惨たらしく死ぬがよい!!!」

「七武海でない海賊に用はなし! 貴様を殺して悪の巣窟、女ケ島も滅ぼしてやるけぇのォ!!!」

 

 己の正義を体現するために怒りとマグマを燃え上がらせる赤犬。

 愛する人を傷付けた男を討つために憤怒の覇気を撒き散らすハンコック。

 

「"不死鳥マルコ"! ルフィを死なせたらそなたを殺す!! 死んでも助けるのじゃ!!!」

「お〜、怖ェよい! 心配しなくても"麦わら"はおれ達の恩人だ。おれの命に代えても治してやるから、お前は赤犬を頼むよい」

「……ふん。頼むぞ」

「お前さんが力になってくれるとは、随分と心強い! 七武海を辞めた者同士、ここはよろしく頼む!」

「男と馴れ合うつもりはない。わらわの足を引っ張るでないぞ、ジンベエ!」

「わっはっは! こりゃァ、気合いを入れてやらねばならんのう!!」

「裏切り者が纏めて来るとは丁度ええ。手間が省けて楽でええのォ!!」

 

 マリンフォード頂上戦争、最終局面。

 逃げる戦いと、追う戦い。

 

 逃げる船は準備万端。

 此度の戦争のキーは海賊の手にあり。

 

 しかし、戦火の火は消えず。

 

 次代の王の命を守るため、新たな衝突が始まった!

 

 

□■□■□■□■□■□■

 

 

 世界から消された一つの神話。

 今や一握りの者達しか知らぬ、かつて本当にあった遥か太古の男の物語。

 

 消された歴史の遥か昔、神が身勝手に跋扈し、遥か宇宙の彼方から数多の侵略者が襲い来ていた魔の時代。

 

 そんな時代の担い手。

 

 人類史を容易く滅ぼす四つの最終試練を踏破した万夫不当の益荒雄。

 

 "救世の英雄"

 "神の天敵"

 "龍殺し"

 "暗黒の太陽"

 

 数多の名を持つ男は現在、親友と共に女風呂にいた。(・・・・・・)

 

「おいおい、あの女最高だな……! 特にあのケツがいい!」

「うるせェぞ、ダイナー! 声でバレちまうだろうが! いや、おれはあの子の胸がいい!」

「お前の方がうるせェよ。しかも、そんなに鼻血流してお前こそバレちまうだろうか!」

 

 "救世の英雄"こと、"覇王"ダイナーは、親友であるサンジと共に"モモイロ島"近郊にあるとある島の温泉、その女風呂に潜んでいた。

 

「──んで、どうよ? 長年の夢が叶った心境は?」

「控えめに言って、最高だ! 見渡す限り肌色、肌色、肌色! そしてピンク! でも、やっぱり罪悪感が……」

「気にすんな。お前は海賊。その能力がありながら、この絶景を拝まねェ……。その方が美女達に失礼だと思わねェか?」

「──た、確かに!! そ、その通りかもしれねェ!」

「だろォ? お前は選ばれた益荒雄だ。ならば、罪悪感など抱くんじゃねェ!!!」

 

 ダイナーの無茶苦茶な理論にサンジは目を輝かせ、その目を充血させながら食い入るように目の前の肌色の楽園を見る。

 鼻から興奮による血を流し、しかし流石にそれを女達に見られる訳にはいかないとダイナーが鼻血を消し飛ばす。

 

 目の前に広がるユートピア。

 

 一糸纏わぬ美女達が一切の警戒を抱く事なく、その魅惑的な肉体を晒している。

 

 あどけなさを残す美しい少女が、豊満な肉体の妖艶な美女が、どこかの雑誌で見た事がある美しい少女の裸体がサンジの興奮を高める。

 

「うぉ〜〜ん!! ダイナー、お前が親友だった事をおれは嬉しく思う……!! ここまでおれを導いてくれてありがとう!!」

「気にするな、心の友よ。おれの隣に立てる男はお前だけだ、サンジ」

「あぁ! 心の友よ!」

 

 感涙を流すサンジはダイナーと熱い抱擁を交わし、これまでの辛い修行が一瞬で脳裏を流れ、そしてそれを一瞬で忘れ、女風呂の覗きを継続する。

 

「しかし、覗きのためにここまで早く"外骨格"を発現させるとはな……」

「なんか言ったか、ダイナー?」

「……いや、なんでもねェ」

 

 隣で共に女の裸体を眺める"エロの大魔王"を見やり、驚きと呆れが混ざった声を出すダイナー。

 

 半年はかかると予想していた外骨格の発現及び、透過能力をサンジは己の欲望一つで、その期間を一週間にまで縮めた。

 ダイナーをして驚異的と称する程の速度。

 

 本来、サンジの生家であるヴィンスモーク家、ジェルマ王国の類稀なる科学力による"レイドスーツ"がなくては使えない能力を、ダイナーによる肉体、細胞、血統因子改造によって、生身で使えるようにしたが、その影響もあり発現までには長い時間を要するとダイナー自身考えていた。

 

 それを容易く覆したサンジの成長速度。

 

 天元突破の欲望ありきとはいえ、その成長速度に驚いたダイナーは愉快気に笑う。

 

「おい、サンジ。外骨格の発現祝いだ。この街一番の娼館に連れて行ってやる。お前も男になってこい」

「マジかよ!!? いよいよか〜〜! いや〜、楽しみだなぁ〜!!」

「ハハハハ! 金は気にすんな。美女を好きなだけ、気が済むまで抱いてこい!」

 

 興奮と期待に顔を歪ませるサンジにダイナーは考えを巡らせる。

 遥か彼方で起きている頂上戦争とその未来。

 

 隣で期待に胸を膨らませる親友の船長の確定した死の未来。

 

 未来視の見聞色で戦争のこれからの推移が見えている。

 

 "麦わらのルフィ"はよくやった。

 

 大監獄から数多の強者を引き連れ、生まれ持った王の力をもって仲間にし、兄を助け出した。

 恐ろしいまでの成長速度で強敵達を打ち破り、しかし逃走一歩手前でその命を落とす。

 不死鳥による治療も及ばす、だが、白ひげ含む大多数の海賊達は生き延びる。

 

 頂上戦争において、白ひげ含めインペルダウン脱獄囚達の大勝利。

 

 

 ──しかし、サンジは失意の底に沈むだろう。

 

 知らなかった自身を憎むかもしれない。

 

 教えぬ己を恨むかもしれない。

 

「なァ、サンジ。俺への三つの願い、何に使う?」

「あん? そうだな……。やっぱり、仲間が大変な時に助けてもらう事かな」

「ハハハハ! そうか、やはりそうだよなァ! よし、分かった! 頼まれちゃァ、仕方がねェ」

「何言ってんだ? それより、早く行こうぜ! おれは今、人生で一番燃えている!!!」

「分かった、分かった! 何時間でも好きに楽しんでこい!」

 

 サンジの言葉に大笑いしたダイナーは、その笑い声を女風呂に響かぬように消し去りながらサンジと共にその場を後にする。

 

 ダイナー及びサンジ、街一番の娼館へと繰り出す!

 

 

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