モモの助の成長に涙がほろり!
漫画も楽しみです!!
そこに集まる記者達は、目の前で流れる映像電伝虫の映像を見て言葉を失っていた。
この世界で起きている最大最悪の戦争のライブ映像。
その様子は地獄という言葉ですら生温い。
「な、なんなんだこれは……!」
現時刻、マリンフォードで暴れる猛者達はいずれもが世界に名を馳せる化け物。
かつて"海賊王"の船に乗っていた怪物、王下七武海の強者達、革命軍の幹部、数多の海賊達を屠ってきた歴戦の海兵達、世界最大の監獄を守る地獄の看守達。
そんな化け物達の中でも異次元の存在感を放つ化け物が三人。
かつて"海賊王"ゴールド・ロジャーと鎬を削った伝説の海賊にして、天災なる男、"白ひげ"エドワード・ニューゲート。
比類なき腕力とタフネスを備えた生まれながらの怪物にして、空を駆け暴虐を尽くす魔龍、"百獣のカイドウ"。
"覇王"に次ぐと称される程の覇気の使い手にして、世界最強格の剣士、"赤髪のシャンクス"。
この世界の海において最強格の四大海賊"四皇"が三人も同じ戦場に立っている。
なんだ、これは。
なんなんだ、これは。
ポートガス・D・エースの処刑ではなかったのか。
"白ひげ"の介入は予想していた。
だが、何故こんな事になっている。
何故、過去の怪物達がそこにいる。
何故、王下七武海が政府を裏切っている。
何故、そこに"百獣のカイドウ"がいる。
何故、海賊の中では穏健派と知られる"赤髪のシャンクス"があそこまで怒り狂っている。
──そうだ。あの男だ。全てはあの男だ。
地獄で眠っていた怪物達を引き連れて来たのも。
王下七武海が裏切る原因を作ったのも。
カイドウ襲撃の理由であるこの異常な戦場を作り上げたのも。
そして、シャンクスの怒りの原因もまた。
"モンキー・D・ルフィ"
世界一の大監獄"インペルダウン"から全ての囚人を連れ出し、手綱を握る圧倒的なカリスマと手腕。
王下七武海の内、二人を心酔させ裏切らせる程の異次元の求心力。
歴戦の海兵達を次々と薙ぎ倒し、若返った伝説の海兵達をも打ち倒したその類稀なる戦闘力。
その事実に気がついた瞬間、怖気立つ記者達。
ここで"麦わらのルフィ"の息の根を止めねば大変な事になる。
そんな確信じみた考えが記者達の頭に浮かんだ。
「時代が……!! 時代が変わる!!!」
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「
「ぬゥッッヅァァ!!!」
大質量のマグマを一瞬の内に貫き赤犬を切り裂くシャンクスの一撃。
覇王色と武装色の覇気を纏った斬撃は、
「あ、赤髪ィ……!! 何故お前ほどの男があの小僧に肩入れするんじゃァ!!」
「……ルフィはおれの友達だ。それ以上でも、それ以下でもない!!!」
「戯言をッ! それだけじゃなかろうがァ!!!」
拳を天へと突き上げ流星のようにマグマを降らす。
周囲の環境を侵食し、大地を、空気を燃やす。
火山の如き環境の中、飛来するマグマと共にシャンクスへと踊り掛かる赤犬。
武装色の覇気により黒く染まったマグマの拳をシャンクスへと振り下ろす。
軽々とその一撃を避けたシャンクスは怒りを堪えるかのようにため息を吐く。
「相変わらず、見境がない。仲間も関係なくか……!」
「弱い海兵に未来なし! 戦場で死んでこその海兵じゃァ!!」
「お前のその思想、反吐が出る。若い海兵が苦労しそうだ!」
際限なく降り注ぐマグマと赤犬の猛攻を未来を見ているかのように避け続け、マグマの大地を踏まぬよう空を駆けて赤犬へと斬撃を当てるシャンクス。
「ぬゥ……! "見聞殺し"か、猪口才なァァ!!」
「お前の攻撃はおれには決して届かない! "神避"!!」
「グゥッッ!!?」
海軍が誇る最大戦力たる大将がなす術なく傷を増やしていく惨状に、海兵及び海賊達は改めて"赤髪のシャンクス"の強さを再認識し、恐怖を感じる。
「あ、赤犬さんが一方的に……!!?」
「これが"赤髪"か……!」
「気配がまるで感じぬ……! 見聞色の覇気でも読めぬとは、これが噂の"見聞殺し"……!」
見聞色の覇気でも読めぬシャンクスの気配に、冷や汗を浮かべるハンコック。
最高峰の覇気使いであるハンコックはその異常性を即座に理解する。
「出来る事なら相手をしたくないものじゃ。気配を感じぬ者など、戦いづらいことこの上ない」
「あぁ。じゃが、今日のところは仲間のようじゃ。ルフィ君の身を案じてあそこまで怒っておる」
「そ、そうじゃ! ルフィ! ルフィは大丈夫か!!!」
赤犬とシャンクスの戦いに冷や汗をかいていたハンコックは、ジンベエの言葉に一瞬で視線をルフィへと移し、即座に走り去ってしまった。
「……随分と愛されておるな、ルフィ君」
話しかけたにも関わらず、一切視線を向かられず無視されたままに残されたジンベエは、尋常ならざるシャンクスと赤犬の戦いを目に焼き付け、ハンコックの後を追う。
「わしももっと強くならんといかんのう……」
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「ルフィ、ルフィは大丈夫なのか!!!?」
「騒ぐなよい、"海賊女帝"。集中力が切れちまう」
「マルコ、ルフィはどうなのじゃ!!!! あぁ! こんなにも血を流して!! ルフィの腹にこんな孔が……!!!」
「だから、騒ぐなって言ってるよい!! 少しでも気ィ抜いたら、エースの弟は一瞬であの世行きだ」
「ッ!!」
吹き出すような汗と真剣な表情のマルコの荒げる声にハンコックは悔しげに口を噤む。
近くでルフィの容態を見て感じる絶望的なそれ。
腹にポカリと空いた孔。
臓器をまるごと焼き貫いたそれは、医学に素人なハンコックの目から見ても回復は絶望的だと分かってしまう。
絶望感と悲しみと悔しさと怒りが混ざり合い、涙を浮かべるハンコックへと追いついたジンベエが声をかける。
「狼狽えるなハンコック。お前さんがそんな顔をしてどうする。妻であるお前さんがルフィ君の復活を信じず、誰が信じるというのじゃ。絶望する気持ちは分かるが、気を強く持て」
「……そうじゃ、そうじゃな。ルフィがこんなところで死ぬはずがない。わらわのお、夫がこんなちんけな所で死ぬはずなどありはせぬ!」
「ワハハ! そうじゃ、それでいい!」
ジンベエのその言葉に妻としての夫を信じる気持ちを持つハンコック。
実際のところ夫婦でもなんでもないが、それを知る由もないジンベエはハンコックの言葉に納得げに頷いた。
「それで、実際のところどうなんじゃ、ルフィ君の容態は?」
「……正直、かなり厳しいよい。臓器は殆どイカれちまって、修復も遅い。"麦わら"の体力もほぼ残ってねェから、あんまり言いたくないが、時間の問題……」
「マルコ!! そなた、ルフィを死なせたらただじゃおかぬぞ! 生きている事が苦痛になる程に痛ぶってから獣の餌にしてくれる!!!!」
「おれも死なせたくねェよいッ!! こいつァ、おれ達……"白ひげ海賊団"の恩人だ。こいつを絶対に死なせる訳にはいかねェ……!!」
しかし、覚悟に反して状況は絶望的だ。
不死鳥の回復能力をもってしても時間のかかってしまう程の甚大なダメージと、そもそものルフィの体力不足。
そんな現状を理解しているマルコは歯噛みし、吐き捨てるように言葉を呟く。
「くそッ! 都合よく奇跡が起きてくれりゃァ……!!」
そんな泣き言のようなマルコの言葉。
その言葉を呟いた瞬間、正に奇跡が起きた。
グニャリと空間が歪んだ。
まるでそこだけが世界から消え去ったかのようにマルコの眼前の空間が色を失った。
何も感じず、何も見えない。それが何かすら分からず、そして、そこから一人の男が現れた。
白髪に褐色の肌の大男。
その端正な美貌に愉快な表情を浮かべ、歪んだ空間から忽然と現れたその男。
世界中が恐れ慄く、正真正銘、並ぶ者なき世界最強。
"覇王"ルイン・ダイナーが現れた。
「ッ!!? ぅエッ!!!? は、"覇王"!!!!?」
「あァ、この間ぶりだなマルコ。随分と頑張ってるみたいじゃねェか」
ハハハハと愉快げに笑うダイナーへと恨みがましい目を向けるマルコ。
「一体こんな所に何の用だよい! アンタはこの戦いには手を出さないんじゃなかったのか?」
「まァ、そうだったんだがなァ? 友達からの頼みだから仕方がねェ」
「友達? アンタに友達が……? いや、それは今はいい。悪いが、今アンタと話している場合じゃないんだよい!」
そう言うなりルフィの治療に集中するマルコ。
「……この男が"覇王"か。じゃが、ニョン婆の言っていた覇気を感じぬ」
「"赤髪のシャンクス"と一緒じゃ。気配を抑えておる」
「分かっている。目の前にいるのに見失ってしまいそうな……、こんな感覚初めてじゃ」
言い聞かせられていた"覇王"の覇気を感じられぬばかりか、見ているのにも関わらず見失ってしまいそうな程の気配の不可思議さに混乱するハンコックとジンベエ。
そんなハンコックを視線に入れたダイナーはヒューッと口笛を鳴らす。
「お前は"海賊女帝"ボア・ハンコックか。想像以上に良い女だ。どうだ、今夜俺と共に熱い夜でも?」
「結構じゃ。わらわはルフィの妻。ルフィ以外の男に一切の興味などないわ」
「アン? サンジのとこの船長は結婚してやがったのか? そんな話聞いちゃいなかったが……」
「わらわとルフィは夫婦じゃ! 誰が何と言おうが、夫婦じゃ!」
「ほォ、そうだったのか。まァ、そりゃ残念。仲良くしろやァ」
「そなたに言われずとも、そうする」
強く言い放つハンコックに楽しげに笑うダイナーと、そんな様子に冷や汗を浮かべるマルコ。
「ハハハハ! 俺にそこまで強く言う女も久しぶりだ! なァ、ジンベエ?」
「ワハハ! ハンコックは性格最悪じゃからのう! それよりもダイナーさん、インペルダウンでは世話になった。改めて礼を言う」
「気にするな。美味い飯と美味い酒、また今度一緒にやろうぜェ」
「あぁ、是非とも!」
インペルダウンでの恩への改めての感謝を述べるジンベエ。
あの食事があったからこそ、ここまでこの戦争を戦い抜く事が出来ている。
あれがなければ今頃体力が底をついていただろう。
ダイナーはシャンクスと赤犬、センゴクと黒ひげの戦いに視線を向け、しかしすぐにルフィへと視線を移した。
「良く頑張ったじゃねェか、麦わら小僧。天晴だ。兄を無事救い出し、この戦争をここまで掻き乱した。充分だ」
ダイナーは膝を折り、ルフィの頭を乱雑に撫でた。
よくやったと、まるで子供を褒める父のような姿にマルコもハンコックも、ジンベエも呆気にとられる。
「──だが、死ぬにはまだ早い。お前の仲間からの頼みだ。特別に助けてやる」
瞬間、ダイナーから膨大な覇気がエネルギーと化してルフィに流れ込む。
天を貫く程の膨大な量の黒き極光がルフィに流れ込み、その傷を瞬く間に修復していく。
ドクンッ!!
腹部に空いた巨大な孔が塞がった。
ドクンッ!!
失った内臓が再生した。
ドクンッ!!
度重なる戦闘で負った大小様々な傷が全て治癒した。
「心は資格充分。力は俺が貸してやる。さァ、数百年振りの神の覚醒だ」
ドンドットット♫ ドンドットット♪
ドラムの音が辺り一帯に鳴り響く。
陽気な聞くだけで元気が出るような力あるリズム。
その音と共に変化を始めるルフィの肉体。
炎の如く逆立つ髪と服は白く染まり、羽衣のような蒸気を纏う。
ドラムの音と共に吹き荒れる覇王色の覇気。
先の"赤髪のシャンクス"と遜色のない程の覇気が絶え間なくルフィの体から迸り、そのあまりの強さに戦場の誰もが視線を向ける。
その場には異常な覇気を撒き散らす姿を大きく変貌させたルフィと、呆気にとられるマルコとハンコック、ジンベエの姿。
ゆらりと立ち上がる白きルフィ。
ドンドットットという不可思議なドラムのような音を心臓から響かせながら立ち上がったルフィは、己が身の異常に戸惑う。
「どうしたんだ? おれ……。何で? ……まだ立てる」
貫かれたはずの腹部を触り、頭を捻る。
確実な死への感覚があった。
それが今はどうだ、貫かれた腹部に傷はなく、それどころか大小様々に負っていた傷するも何一つなくなっている。
「死んだはずなのに」
己の心臓から響く陽気なドラムの音色。
それと共に湧き上がる陽気な気持ち。
「楽しくなってきた……! アハハハハハ!!!」
笑えて仕方がない。
大変なはずなのに。
死んでいたかもしれないのに。
大好きな兄が無事かも分からないのに。
とても"楽しい"!!!
「アハハハハハ!!!!! よーし! 皆んなで無事に帰るぞ!!!!」
マリンフォード頂上戦争、最最終局面。
解放の戦士、数百年振りの神の覚醒で戦いは大きく動き出す。
"麦わらのルフィ"覚醒! 解放のドラムを携え、頂上戦争に終止符を打つ!!